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製造物責任(PL)免責条項の書き方|PL法3条・消費者契約法・PL保険を契約書で整理

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製造物責任(PL)法は、製造物の欠陥による被害について製造業者の損害賠償責任を定める特別法で、過失の有無を問わず欠陥による責任を負わせる「無過失責任」が大きな特徴です。製造業者が販売店・代理店・OEM相手先と契約を結ぶ際、PL責任の分担と免責条項の設計を誤ると、後日のリコール費用・訴訟対応で重大な不利益を被ります。「PL免責条項はどこまで有効か」「個人消費者向け契約と事業者間契約で違いはあるか」「保険との組合せはどう設計するか」――こうした論点を整理せずに契約書を雛形のまま使うと、PL法3条の責任構造やPL法4条の免責事由、消費者契約法上の無効規定(令和4年改正のサルベージ条項規制を含む)との関係を誤るおそれがあります。本記事では、PL免責条項の書き方、PL法3条の責任範囲、契約書での免責設計を実務目線で解説します。

本記事の結論:

  • PL法3条は製造業者等の無過失責任を定める規定で、被害者からの直接請求を契約だけで排除することはできず、消費者契約では全部免除条項が消費者契約法8条1項により無効となる。
  • PL法4条の免責事由(開発危険の抗弁・部品製造業者の抗弁)は要件が厳格で立証責任は製造業者側にある。
  • 事業者間契約(OEM・販売店・部品供給)では、(1)損害賠償の上限設定、(2)責任範囲の分担、(3)PL保険の付保義務、(4)通知・協力義務の明記、を組み合わせて合理的に設計する。
  • 当所はOEM契約書・販売店契約書・部品供給契約書のPL条項、リコール対応条項、輸入契約のPL求償条項の作成に対応。PL訴訟・損害賠償交渉は提携弁護士をご紹介します。

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根拠法令

  • 製造物責任法(PL法)2条1項・2項・3項各号(定義・製造業者等の3類型)・3条(製造物責任)・4条1号(開発危険の抗弁)・2号(部品・原材料製造業者の抗弁)・5条1項・2項(消滅時効)・3項(蓄積性損害の起算点特則)
  • 民法709条(不法行為)・415条(債務不履行)・契約不適合責任(民法562条以下)
  • 消費者契約法8条1項1〜4号(事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効)・8条3項(令和4年改正・2023年6月1日施行、サルベージ条項規制)・10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
  • 消費生活用製品安全法(重大製品事故の消費者庁長官への報告義務)
  • 道路運送車両法(自動車のリコール届出制度)
  • 民法90条(公序良俗)
  • 独占禁止法(取引上の優越的地位の濫用)

PL法3条の責任構造

PL法3条は、製造業者等が製造、加工、輸入又は一定の表示をして引き渡した製造物の欠陥により、他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。重要なポイントは次の3点です。

  • 無過失責任:製造業者の故意・過失を問わず、欠陥の存在と因果関係で責任が発生
  • 「他人の生命・身体・財産」:PL法3条ただし書「ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない」により、当該製造物自体のみに生じた損害はPL法上の責任対象外(実務上は拡大損害のみが対象)。ただし、売買契約上の契約不適合責任、債務不履行責任、不法行為責任等が別途問題となる場合があります。
  • 製造業者等(PL法2条3項各号)の3類型:
    • (i) 当該製造物を製造・加工・輸入した者(2条3項1号)
    • (ii) 自ら当該製造物にその氏名・商号・商標等の表示をした者、または当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者(同項2号、「表示製造業者」)
    • (iii) 製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者(同項3号、「実質的製造業者」)

「欠陥」とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いている状態を指し、(a) 製造上の欠陥、(b) 設計上の欠陥、(c) 指示・警告上の欠陥、の3類型に分類されます。

PL法4条の免責事由

PL法4条は、製造業者の免責事由として2つを定めています。

開発危険の抗弁(4条1号)

「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと」を立証すれば免責されます。引渡時点での科学的知見の限界が要件で、医薬品・先端技術製品で議論される抗弁ですが、要求される「科学・技術の知見」は世界最高水準のものを指すと解されており、現在までに開発危険の抗弁が認められて製造物責任が否定された裁判例は確認されていません。実務上、立証ハードルは極めて高いため、契約書のリスク設計では抗弁成立を期待した条文構成は避けるべきです。

部品・原材料製造業者の抗弁(4条2号)

「当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと」を立証すれば免責されます。完成品メーカーの設計指示に従った部品メーカーの責任を限定する規定です。

消費者契約におけるPL免責の限界|消費者契約法8条との関係

事業者と消費者の間の契約では、消費者契約法8条1項により、次のいずれの条項も無効です。

  • (a) 事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項(1号
  • (b) 事業者の故意・重過失による債務不履行責任の一部を免除する条項(2号
  • (c) 事業者の不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項(3号
  • (d) 事業者の故意・重過失による不法行為責任の一部を免除する条項(4号

さらに、令和4年改正消費者契約法(2023年6月1日施行)で新設された8条3項により、軽過失による損害賠償責任の一部を免除する条項であっても、「事業者の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用される」ことを明らかにしていないもの(いわゆるサルベージ条項)は無効となります。

PL法上の責任も例外ではなく、消費者向け取扱説明書・保証書・約款での「いかなる場合も損害賠償責任を負わない」といった全部免責条項は無効となる可能性が高い設計です。損害賠償額の上限設定(軽過失の一部免責)についても、典型的なサルベージ条項である「法令に反しない限り○○円を上限とする」型の留保文言では無効となり、「事業者の軽過失による場合に限り○○円を上限とする」のように軽過失への限定を明示する条文設計が必要です。消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項)との比較衡量、生命・身体損害の場合の慎重判断も別途必要となります。

事業者間契約でのPL条項設計

事業者間契約(OEM契約・販売店契約・部品供給契約)では、消費者契約法の規制は通常及びませんが、第三者被害者に対するPL法上の直接責任を契約だけで排除することはできません。実務上は、当事者間の求償関係・費用負担・通知協力義務・保険付保義務を合理的に設計します。典型的な設計は次のとおりです。

(1) 責任分担条項

「製造業者は、当該製造物の欠陥により第三者に生じた損害について、PL法に基づく責任を負担する。販売者は、当該損害が販売者の故意・過失(取扱・保管・販売後の改変等)に起因する場合に限り、責任を負担する」と分担を明記します。

(2) 損害賠償の上限

「本契約に基づく損害賠償の上限は、過去12か月間に支払われた契約金額相当額とする。ただし、故意・重過失による場合、PL法・消費者契約法その他の強行法規違反による場合はこの限りでない」と上限を設定します。強行法規違反の除外を明記することで、消費者・第三者向けPL責任の不当な制限を回避します。

(3) PL保険の付保義務

「製造業者は、本契約期間中、事業内容・製品リスクに応じた保険金額の生産物賠償責任保険(PL保険)に加入し、必要に応じて販売者を追加被保険者とすること又は保険加入証明書を販売者に提出することを協議する」といった形で、保険商品・契約形態に応じてPL保険の付保を義務化します。販売店側のリスク回避と、被害者救済の実効性確保の両面で重要な条項です。

(4) 通知義務・協力義務

「販売者は、製造物の欠陥に関する苦情・事故情報を受領した場合、速やかに製造業者へ通知する。製造業者・販売者は、PL事案発生時に相互に必要な情報提供・調査協力を行う」と通知・協力義務を定めます。リコール対応の迅速化に寄与します。

リコール対応条項の設計

製造物の欠陥が判明した場合のリコール対応を契約書に明記します。

  • リコール実施判断の主体(製造業者の単独判断・両者協議)
  • リコール費用の負担(原則製造業者・例外規定)
  • 販売店の協力義務(顧客リスト提供・回収業務)
  • 所管官庁への報告義務:消費生活用製品の重大製品事故では、製造・輸入事業者が事故発生を知った日から10日以内に消費者庁長官に報告する制度(消費生活用製品安全法)/自動車の場合は道路運送車両法に基づくリコール届出。対象製品・事故類型により報告先・期限が異なるため、契約書では報告義務の主体・期限・連絡体制を明確化することが必須

リコール費用は製品回収・代替品提供・告知広告など多額になるため、負担分担の明記が重要です。消費生活用製品安全法上の重大製品事故報告義務違反は罰則の対象となります。

PL責任の消滅時効

PL法5条は、製造物責任に基づく損害賠償請求権について、次のとおり期間制限を定めています。

  • 5条1項1号:被害者またはその法定代理人が損害および賠償義務者を知った時から3年間行使しないとき
  • 5条1項2号:製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したとき
  • 5条2項:人の生命または身体を侵害した場合は、1項1号の「3年間」が「5年間」となる(2020年民法改正により新設)

蓄積性物質による損害や、一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害(医薬品の副作用・建材のアスベスト等)については、PL法5条3項により、5条1項2号の10年期間は「損害が生じた時」から起算する特則があります。長期にわたるリスク管理が必要です。

輸入業者の責任

PL法2条3項1号は、製造業者だけでなく「業として当該製造物を輸入した者」も責任主体としています。海外メーカーの製品を輸入販売する事業者は、PL責任を直接負担します。輸入契約書において、(a) 海外メーカーへの求償権、(b) 海外メーカーのPL保険加入確認、(c) 製造物の安全性に関する保証条項、を整備することが実務上重要です。

業務範囲の整理

行政書士業務として対応可能な範囲:

  • OEM契約書・販売店契約書・部品供給契約書のPL条項作成(行政書士業務:権利義務に関する書類の作成)
  • PL保険付保義務・通知義務・協力義務の条項設計
  • リコール対応条項の作成、社内のリコール対応規程・重大製品事故報告体制の整備支援
  • 取扱説明書・警告表示の作成支援(指示・警告上の欠陥の予防)
  • 輸入契約書のPL求償条項作成
  • 消費生活用製品安全法上の重大製品事故報告書、道路運送車両法上のリコール届出書等、所管官庁への官公署提出書類の作成・提出代理(行政書士業務・1条の3第1項1号)
  • 令和4年改正消費者契約法(2023年6月1日施行)に対応した利用規約・約款のサルベージ条項見直し

行政書士業務範囲外(提携専門家を紹介):

  • PL訴訟・損害賠償請求訴訟の代理(弁護士法72条)
  • 具体的な損害賠償交渉・和解金算定(弁護士業務)
  • 紛争性を帯びた行政庁との折衝(弁護士業務)
  • PL保険の選定・加入助言(保険業法上の登録が必要)

FAQ|PL免責条項・製造物責任・PL保険のよくあるご質問

Q1. 取扱説明書に「いかなる損害も責任を負わない」と書けば免責されますか。

消費者契約では消費者契約法8条により無効です。事業者間でも強行法規違反となる範囲は無効となります。

Q2. PL責任は契約書で完全に免除できますか。

被害者からのPL法上の直接請求を、製造業者・販売店・代理店間の契約だけで排除することはできません。消費者契約法8条1項により全部免除条項は無効となり、PL法上の被害者は契約の当事者でない第三者であることから契約の効力も及びません。一方で、事業者間では、求償関係・費用負担・通知協力義務・保険付保義務などを契約で整理することは可能です。

Q3. PL保険には必ず加入すべきですか。

法的義務はありませんが、無過失責任・多額の賠償リスクから実務上ほぼ必須です。生産物賠償責任保険として一般的に提供されています。

Q4. 部品メーカーは完成品メーカーの指示に従えば免責されますか。

PL法4条2号により、(a) 欠陥が「専ら」完成品メーカーの設計指示に従ったことにより生じたこと、(b) 部品・原材料製造業者に過失がないこと、をいずれも部品製造業者側が立証した場合に免責される可能性があります。「専ら」とは設計指示が欠陥の主たる原因または唯一の原因であることを意味し、自社の専門知見に照らした警告義務違反等があれば免責は認められません。実務上、設計指示書面の保管・検査記録の整備が重要です。

Q5. 輸入業者にもPL責任はありますか。

あります。PL法2条3項により輸入業者は責任主体に含まれ、海外メーカーへの求償は別途契約で確保します。

Q6. リコール費用は誰が負担しますか。

原則として欠陥の責任を負う製造業者ですが、契約書で明記することが重要です。販売店の協力義務とセットで設計します。

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まとめ

PL免責条項は、PL法3条の無過失責任と、消費者契約法8条1項各号・8条3項(令和4年改正のサルベージ条項規制)・10条による消費者保護の枠組みのなかで、事業者間の合理的な責任分担として設計するのが実務上の中核です。「すべて免責」型の条項は無効リスクが高く、(1) 損害賠償の上限・除外事由(軽過失への限定明示)、(2) PL保険付保義務、(3) リコール対応・通知協力義務、(4) 消費生活用製品安全法上の重大製品事故報告体制(10日以内報告)、(5) 輸入業者の求償権、を組み合わせて多層的に設計します。製造物責任は被害発生時の影響が甚大なため、契約書の作成段階から専門家関与によるリスク低減が重要です。OEM契約書・販売店契約書・部品供給契約書のPL条項設計、利用規約のサルベージ条項見直し、所管官庁へのリコール届出書作成について、まずは無料相談で事業の状況をお聞かせください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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