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両立支援等助成金 出生時両立支援コース|男性育休の支給額・代替要員加算と申請要件

更新: 約33分で読めます

厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」(調査時点:令和7年10月1日現在)によれば、男性の育児休業取得率は50.9%となり、前回調査(令和6年度40.5%)から10.4ポイント上昇して初めて5割を超えました。男性育休はすでに「制度としては就業規則に書いてあるが取得実績がない」という段階を過ぎ、「実際に取得させ、その間の業務をどう回すか」という運用の段階に入っています。

この局面で中小企業を金銭的に後押しするのが、両立支援等助成金の出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)です。本記事では、令和8年4月8日改正の支給要領および令和8年度の厚生労働省パンフレットに基づいて、支給額・支給要件・申請期限・添付書類を実務目線で整理します。

あわせて、検索結果でいまだに頻出する「代替要員加算」について、現行の出生時両立支援コースにこの加算は存在しないことを支給要領の条文レベルで確認し、どこに整理し直されたのかまで解説します。

なお、本記事で扱う両立支援等助成金は、雇用保険法に基づく「雇用関係助成金」です。その支給申請書の作成および提出代行は社会保険労務士の独占業務であり(社会保険労務士法2条1項1号・1号の2、27条)、行政書士は取り扱うことができません。この点は記事後半で条文と支給要領の根拠を示して詳しく解説します。行政書士法人Treeがご相談を承れるのは、経済産業省系・地方自治体系の補助金など、行政書士の業務範囲に属するものに限られます。以下のご案内も、その範囲の補助金についてのものです。

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出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは|根拠法令と令和8年度の位置づけ

出生時両立支援コースは、両立支援等助成金という助成金グループの中の1コースです。まず、どの法律に基づく制度なのかを押さえておくと、後述する「誰が申請代行できるのか」という論点まで一本の線でつながります。

根拠は雇用保険法62条1項6号の雇用安定事業

支給要領の冒頭は、この助成金の根拠を明示しています。すなわち、雇用保険法62条1項6号ならびに雇用保険法施行規則115条1号および116条の規定に基づく助成金です。

雇用保険法62条1項は、政府が「雇用安定事業」として行うことができる事業を列挙した条文で、その6号は、前各号に掲げるもののほか被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であって厚生労働省令で定めるものを行うこと、と定めています。両立支援等助成金は、この6号を受けた厚生労働省令(雇用保険法施行規則)によって具体化された事業です。

窓口は都道府県労働局です。両立支援等助成金については、公共職業安定所(ハローワーク)ではなく雇用環境・均等部(室)が担当する点が、他の雇用関係助成金と異なります。

令和8年度の両立支援等助成金は7コース構成

令和8年度(令和8年4月8日時点)の厚生労働省パンフレット「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」によれば、両立支援等助成金は次の7コースで構成されています。

コース 助成の対象となる取組
Ⅰ 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) 男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境や業務体制の整備を行う
Ⅱ 介護離職防止支援コース 介護支援プランを策定し、労働者が介護休業や介護両立支援制度を利用する
Ⅲ 育児休業等支援コース 育休復帰支援プランを策定し、育児休業の円滑な取得・職場復帰に取り組む
Ⅳ 育休中等業務代替支援コース 労働者の育児休業や短時間勤務の期間中に他の労働者が業務を代替する
Ⅴ 柔軟な働き方選択制度等支援コース 育児中の労働者が利用できる柔軟な働き方に関する制度を導入する
Ⅵ 事業所内保育施設コース 事業所内保育施設の設置・運営等(平成28年4月1日以降、新規申請受付を停止)
Ⅶ 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース 不妊治療、月経・更年期といった女性の健康課題に対応する制度を整備する

このうち出生時両立支援コースは、男性の育児休業取得そのものにフォーカスした唯一のコースです。「業務代替」に着目したコース(Ⅳ)とは目的が異なり、この違いが後述する「代替要員加算」の論点に直結します。

男性育休取得率は50.9%|数字で見る現状

令和7年度雇用均等基本調査(令和7年10月に実施、事業所調査の有効回答数3,291事業所)の結果は、男性育休をめぐる状況が急速に変化していることを示しています。

指標 令和7年度 令和6年度
男性の育児休業取得率 50.9% 40.5%
女性の育児休業取得率 88.3% 86.6%
男性の有期契約労働者の育児休業取得率 40.4% 33.2%
男性の育児休業者がいた事業所の割合(配偶者が出産した男性がいた事業所に占める割合) 57.1% 41.0%

ここでいう取得率は、令和5年10月1日から令和6年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、令和7年10月1日までに育児休業(産後パパ育休を含む)を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合です。実務上とくに重要なのが取得期間の分布で、育児休業を終了して復職した男性の取得期間別割合は「5日未満」6.8%、「5日〜2週間未満」14.1%、「2週間〜1か月未満」28.0%、「1か月〜3か月未満」30.3%です。出生時両立支援コースが求める育休日数(1人目は連続5日以上、2人目は10日以上、3人目は14日以上)は、復職者の多くが取得している期間の範囲内にあり、すでに男性育休の実績がある企業にとって、日数要件は現実的な水準といえます(ただし、出生後8週間以内の開始や所定労働日数の条件は別に確認が必要です)。

制度面では、育児・介護休業法22条の2に基づく育児休業の取得の状況の公表義務が、2025年(令和7年)4月から常時雇用する労働者数が300人を超える企業にも拡大されました(従来は1,000人超)。公表義務の対象が300人超であるのに対し、この助成金の「特定事業主」は労働者数の基準が300人以下と、同じ300人が境目に置かれています(ただし特定事業主は後述のとおり資本金の基準でも該当し得るため、両者は完全な裏表の関係ではありません)。

「補助金」ではなく「雇用関係助成金」である

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金や小規模事業者持続化補助金のような、いわゆる補助金とこの助成金では制度の性格が大きく異なります。補助金には公募期間があり審査を経て採択・不採択が決まりますが、雇用関係助成金には公募も審査による採否もなく、要件を満たしていれば支給されるのが原則です。要件充足の立証が申請実務の中心になります。

もう一点、雇用関係助成金支給要領第1共通要領0703ロは、雇用関係助成金を「支給申請者の申し込みに対する行政庁の承諾により成立する贈与契約」と位置づけ、支給・不支給の決定や支給決定の取消しは行政不服審査法上の不服申立ての対象とならないとしています。不支給決定を審査請求で争う道が用意されていないため、申請前の要件確認が決定的に重要になります。

補助金と助成金の制度上の違い、および申請代行の担い手の違いについては、補助金と助成金の違い|2026年版・申請代行を行政書士と社労士のどちらに頼むべきかもあわせてご覧ください。

「代替要員加算」は令和8年度の出生時両立支援コースには存在しない

本記事の読者がもっとも誤解しやすいのが、この論点です。結論から述べます。令和8年度(令和8年4月8日改正の支給要領)の出生時両立支援コースに、「代替要員加算」という支給区分はありません。

支給要領0102が定める助成金の種類は3つだけ

支給要領0102「助成金の種類」は、この助成金を支給する場合を次の3つに限定して列挙しています。

  1. 男性労働者の育児休業取得:雇用環境整備の措置を複数実施するとともに、育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しなどが含まれた規定に基づく業務体制整備を行い、産後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得させた場合
  2. 男性労働者の育児休業取得率の上昇等:男性労働者の育児休業取得率を前事業年度から30ポイント以上上昇させ、かつ育児休業取得率50%を達成した場合等
  3. 育児休業等に関する情報公表加算:自社の育児休業等の利用状況に関する情報を公表した場合

支給額を定める0302a(男性労働者の育児休業取得)を見ても、規定されているのは1人目20万円(雇用環境整備の措置を4つ以上実施した場合は30万円)、2人目10万円、3人目10万円のみで、代替要員の確保を理由とする加算は一切登場しません。支給要領上、①の30万円は1人目の支給額の区分として定められており(厚生労働省のパンフレットでは「1人目に10万円を加算」と表記)、このほかの加算は②に係る0302bロのプラチナくるみん加算15万円と、0302cの情報公表加算2万円です。

代替要員加算は令和6年1月1日に廃止され、別コースへ整理された

かつて第1種(現在の①男性労働者の育児休業取得)には代替要員の確保に対する加算が存在しました。支給要領の附則からその経緯が読み取れます。附則0701ルは令和5年11月29日付通達による改正を令和6年1月1日から施行するものとし、経過措置0702ニは「令和5年12月31日までに0301a(第1種)に該当する育児休業が開始した対象育児休業取得者に係る申請については、……改正前の規定を適用する」としています。

すなわち、令和5年12月31日までに育児休業が開始したケースに限って旧規定(代替要員加算を含む)が適用されるにとどまり、令和6年1月1日以後に開始した育児休業については適用がありません。令和8年度に新たに申請しようとする事業主にとっては、事実上、無関係な過去の制度です。

インターネット上には「出生時両立支援コース第1種+代替要員加算20万円」といった記述がいまなお多数残っていますが、これらは令和5年12月31日以前に育児休業が開始した事案を前提とした古い情報です。この情報を信じて代替要員を新規雇用しても、出生時両立支援コースから加算は支給されません。

業務代替への助成は「育休中等業務代替支援コース」が担っている

代替要員に関する支援がなくなったわけではなく、令和6年1月1日に新設された育休中等業務代替支援コースへ整理し直されました。令和8年度の支給額は次のとおりです(厚生労働省「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」令和8年4月8日時点)。

種別 支給額
① 手当支給等(育児休業) 業務体制整備経費6万円(育休1月未満は2万円)+業務代替手当(支給額の3/4、プラチナくるみん認定事業主は4/5)。上限10万円/月、24か月まで
② 手当支給等(短時間勤務) 業務体制整備経費3万円+業務代替手当(支給額の3/4)。上限3万円/月、子が3歳になるまで
③ 新規雇用(育児休業) 代替期間に応じた額。最短の7日以上で9万円(プラチナくるみん認定事業主は11万円)、最長の1年以上で81万円(同99万円)

このほか、業務体制整備経費は1事業主1回限りであること、育休取得者・制度利用者が有期雇用労働者の場合は代替期間1か月以上を条件に①〜③に10万円が加算されることが示されています。

実務上の整理はこうなります。男性労働者に産後8週間以内の育休を取得させたこと自体への助成は出生時両立支援コース、その間の業務代替体制への助成は育休中等業務代替支援コース、と目的別に別コースへ申請する形です。ひとつの育児休業について両コースを検討する場合は、併給調整の可否を必ず事前に管轄労働局へ確認してください。

令和8年度の支給額|3つの類型と金額を一覧で整理

ここまでの内容を踏まえ、令和8年度の支給額を一覧にまとめます。金額はいずれも令和8年4月8日改正の支給要領0302a・0302b・0302cによるものです。

類型 対象 支給額
① 男性労働者の育児休業取得
(旧・第1種)
1人目の育児休業取得者 20万円
雇用環境整備の措置を4つ以上実施していた場合は30万円
2人目の育児休業取得者 10万円
3人目の育児休業取得者 10万円
② 男性労働者の育児休業取得率の上昇等
(旧・第2種)
取得率の上昇要件を満たした特定事業主 60万円
プラチナくるみん認定を受けている場合は15万円を加算(計75万円)
③ 育児休業等に関する情報公表加算 ①または②の対象事業主で情報公表を行った者 2万円

回数制限が細かく設定されている点に注意

支給額そのものより誤りが起きやすいのが、回数制限です。支給要領の定めを整理すると次のようになります。

  • ①の1人目(20万円または30万円)は、1事業主につきいずれか1回限り。20万円を受給した後で、あらためて30万円を狙って申請することはできません。2人目(10万円)・3人目(10万円)もそれぞれ1事業主につき1回限りです。
  • 同一の男性労働者に係る同一の子についての育児休業は、1回限りの支給。
  • ここでいう「1〜3人目」は、助成金の支給対象となった労働者のみを数える。先行する申請が支給決定に至っていない段階で、その取得者を支給対象労働者とみなして後続申請を行うことは差し支えないが、先行申請が支給対象とならなかった場合は、その時点の支給対象労働者数に基づいて何人目かを改めて判断する。
  • ②は1事業主1回限り。プラチナくるみん加算も同様。
  • ③は1事業主につき1回限り。なお、育児休業等支援コース、育休中等業務代替支援コース、柔軟な働き方選択制度等支援コースの各情報公表加算をすでに受給している場合でも、本コースの情報公表加算は別に1回受給できます

①と②の申請順序には一方通行の制約がある

見落とされがちですが、①と②の間には次の制約があります。

  • 0301aのただし書き:②の申請を行った(申請中も含む)中小企業事業主は、①の支給対象事業主から除かれる。
  • 0301bのただし書き:①の支給申請日の属する事業年度における②の申請は不可。

この2つを重ねると、①を先に申請し、その申請をした事業年度より後の事業年度に②を申請するという順序は成り立ちますが、②を先に申請してしまうと①は申請できなくなるという一方通行の構造になっています。①の受給を将来検討する余地があるなら、②の申請時期は慎重に判断すべきです。申請計画は必ず社会保険労務士または管轄労働局に確認してください。

①男性労働者の育児休業取得(旧・第1種)の支給要件を分解する

ここからは、もっとも申請件数が多いと考えられる①の要件を、支給要領0301aに沿って分解します。要件は大きく「対象事業主」「雇用環境整備の措置」「業務体制整備」「育児休業の日数」の4つです。

対象は中小企業事業主に限られる

①は中小企業事業主に限定されています(②は後述のとおり「特定事業主」まで対象が広がります)。中小企業事業主の定義は雇用関係助成金支給要領第1共通要領0202によります。

主たる事業 資本金の額または出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

資本金基準と労働者数基準は「または」の関係なので、どちらか一方を満たせば中小企業事業主に該当します。判定の基準時は、支給要領0201により支給申請日の属する月の初日における資本金等の額または企業全体で常時雇用する労働者の数です。共通要領0203の「常時雇用する労働者」は2か月を超えて使用される者であり、かつ週当たりの所定労働時間が通常の労働者と概ね同等である者を指すため、パート・アルバイトを一律に除外できるわけではありません。

なお助成金は事業主単位で支給されます(0103)。複数の事業・事業所を営んでいても一事業主として扱われ、事業所ごとに何度も受給できる制度ではありません。

雇用環境整備の措置は5つの選択肢から

支給要領0205が定める「雇用環境整備の措置」は、育児・介護休業法22条1項および同法施行規則21条の7第1号に規定する措置で、次の5つです。

記号 措置の内容 証拠書類の例
労働者に対する育児休業に係る研修の実施 研修の開催案内、実施要領等
育児休業に関する相談体制の整備 相談窓口の設置に関する案内、周知資料等
労働者の育児休業の取得に関する事例の収集および当該事例の提供 事例を掲載した書類等
労働者に対する育児休業に関する制度および育児休業の取得の促進に関する方針の周知 周知資料、全労働者への送信・回覧が確認できるもの等
育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分または人員の配置に係る必要な措置 代替労働者等の業務リスト(見直し・休止状況が分かるもの)、業務マニュアル等

必要な実施数は、何人目の育児休業取得者かによって変わります。

対象 原則 出生時育休の申出期限を2週間超としている場合
1人目 2つ以上 3つ以上
2人目 3つ以上 4つ以上
3人目 4つ以上 5つすべて

右列の加重は、育児・介護休業法9条の3第4項に基づき、労使協定で出生時育児休業の申出期限を「開始予定日の2週間前を超えるもの」(2週間を超え1か月以内)としている事業主に適用されます。自社の労使協定を確認せずに必要数を判断すると、要件不足のまま申請してしまう典型的な落とし穴になります。

実施時期にも要件があります。当該措置は、対象育児休業取得者の雇用契約期間中かつ申請日の概ね3年以内に行われており、かつ育児休業の開始日の前日までに行っている必要があります。ただしロ(相談体制の整備)のみは、申請日の概ね3年以上前に実施されたものも対象になります。研修や方針周知は「3年以内・育休開始前」という二重の期限があるため、実施日を客観的に立証できる資料の保管が不可欠です。

業務代替者の業務見直しに係る規定等の策定

0301aロは、育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに取り組む旨を定めた規定等を策定し、その規定に基づいて業務体制の整備をしていることを求めます。

規定等の置き場所は、労働協約、就業規則もしくは労使協定、またはこれらに関連する内規等(内容が明文化され、社内の労働者に周知されていることが書面で確認できる場合に限る)です。当該内容を盛り込んだ育休復帰支援プランを作成する形でも構いません。規定等には、次の両方が含まれている必要があり、片方だけでは要件を満たしません。

  1. 育児休業取得者の業務の整理、引継ぎに関する事項
  2. 1により引継ぎ対象となった業務の見直しの検討に関する事項

「引継ぎ」だけを書いた規定は多いのですが、「引き継いだ業務そのものを見直す(削減・停止・効率化を検討する)」という視点を明記していないケースが目立ちます。ここは条文の文言に沿って書き込んでください。

期限は、規定等の策定が育児休業の開始日の前日まで(周知が必要な場合は周知も同日まで)。一方、規定等に基づく業務体制の整備自体は、遅くとも育児休業の終了日までに行っていればよいとされています。

育児休業の日数要件は「連続日数」と「所定労働日数」の二段構え

0301aハは、雇用保険の被保険者として雇用する男性労働者が、対象となった子の出生後8週間以内に開始する育児休業を、次の日数取得したことを求めます。

対象 連続日数 うち所定労働日に対する休業
1人目 連続した5日以上 申出に係る4日以上
2人目 連続した10日以上 申出に係る8日以上
3人目 連続した14日以上 申出に係る11日以上

「連続5日以上」と「所定労働日4日以上」は別個の条件です。週休2日制の企業で金曜から翌週火曜まで暦日5日間休んでも、所定労働日は金・月・火の3日にとどまり、1人目の要件を満たしません。カレンダーを当てて事前に検算してください。

もうひとつの重要な取扱いが、支給要領0202のなお書きです。育児休業中に労働者が就業した場合、当該日は育児休業日数にカウントしません。産後パパ育休(出生時育児休業)は労使協定を締結すれば休業中の就業が可能ですが、就業させる場合は、就業日を除いた日数で要件をクリアできるか確認が必要です。

「出生後8週間以内」=出生日当日を含む57日間

支給要領0203は、「出生後8週間以内」を子の出生日当日を含む57日間と明確に定義しています。8週間=56日ですが、出生日当日を1日目として数えるため57日間になります。1日の数え違いで不支給になり得るところです。

予定日と実際の出生日がずれた場合の取扱いも規定されており、出産予定日前に生まれた場合は出生日から出産予定日の8週間後までに、出産予定日後に生まれた場合は出産予定日から出生日の8週間後までに育児休業を開始したものが、出生後8週間以内の取得として取り扱われます。

②男性労働者の育児休業取得率の上昇等(旧・第2種)の要件と60万円

②は、個々の育児休業ではなく企業全体の男性育休取得率の改善に着目した類型です。1事業主1回限りですが、支給額は60万円(プラチナくるみん認定があれば75万円)とまとまった金額になります。

対象は「特定事業主」|中小企業事業主より範囲が広い

②の対象は中小企業事業主ではなく、支給要領0208が定める特定事業主です。定義は次のとおりです。

その資本金の額若しくは出資の総額が3億円(小売業(飲食店を含む。)又はサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)を超えない事業主又はその常時雇用する労働者の数が300人を常態として超えない事業主

中小企業事業主との違いは労働者数の基準にあります。中小企業事業主では小売業50人・卸売業/サービス業100人という業種別の基準が設けられていますが、特定事業主では業種を問わず一律300人です。たとえば従業員200人のサービス業(資本金1億円)は、中小企業事業主に該当しないため①は使えませんが、特定事業主には該当するため②は使えます。判定の基準時は①と同じく支給申請日の属する月の初日です。

取得率要件は2ルート

0301bハは、男性労働者の育児休業取得率について次のいずれかを満たすことを求めます。

  • (イ) 上昇ルート:男性労働者の育児休業取得率が、前事業年度と比較して30ポイント以上上昇し、かつ50%以上となっていること。支給要領は「例:前事業年度において40%だった場合、70%以上になること」と例示しています。
  • (ロ) 少人数・高水準ルート:支給申請日の属する事業年度の前々事業年度において、雇用保険の被保険者として雇用する男性労働者のうち配偶者が出産した者の数が5人未満である場合に、支給申請日の属する事業年度の直前の2事業年度における男性の育児休業取得率がいずれも70%以上であること。

(ロ)は、対象者が少数のため取得率が大きく振れる小規模事業主のためのルートです。1人しか対象者がいなければ取得率は0%か100%にしかならず、(イ)を安定的に満たすのは難しいためです。

育児休業取得率の定義を正確に

支給要領0204は、男性労働者の育児休業取得率を「雇用保険の被保険者として雇用する男性労働者であって、ある事業年度において配偶者が出産したものの数に対する、当該事業年度における育児休業取得者数の割合」と定義します。ポイントは次の3点です。

  • 事業年度は各事業主における会計年度。国の年度(4月〜3月)とは限らず、自社の決算期に合わせて算定します。
  • 分母は「配偶者が出産した男性労働者」であり、雇用保険被保険者であることが前提。全男性従業員数ではありません。「配偶者」には婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。
  • ②においては、配偶者が出産した者が0人の事業年度について、育児休業取得者数が0人なら取得率0%、1人以上なら取得率100%として取り扱う。

さらに重要な調整規定として、①の支給対象となる男性労働者の同一の子に係る出産および育児休業は、②の取得率の算出に含めないとされています(0301bハ柱書)。取得率の試算をする際は、この除外を必ず反映させてください。

雇用環境整備・業務体制整備とプラチナくるみん加算

②においても、0301bイで雇用環境整備の措置を2つ以上(出生時育休の申出期限を2週間超としている事業主は3つ以上)行っていることが求められます。また0301bロで、①と同内容の「業務代替者の業務見直しに係る規定等」の策定と、それに基づく業務体制の整備が必要です。いずれも、取得率要件を満たした事業年度に育児休業を取得したいずれかの男性労働者の雇用契約期間中かつ当該男性労働者の育児休業開始日の前日までに行っている必要があります(雇用環境整備は申請日の概ね3年以内。0205ロのみ3年以上前も可)。

0302bロにより、②の申請日までに対象事業主がプラチナくるみん認定(次世代育成支援対策推進法15条の2に基づく認定)を受けている場合には、60万円に15万円を加算して支給されます。くるみん・プラチナくるみん認定は、賃上げ促進税制の上乗せ要件にも関係します(税務上の取扱いは税理士にご確認ください)。

③育児休業等に関する情報公表加算(2万円)と共通の対象事業主要件

「両立支援のひろば」での公表が要件

③は、①または②に該当する中小企業事業主または特定事業主が、自社の育児休業等の利用状況に関する情報を公表した場合に2万円を加算するものです(0301c・0302c)。公表先は「両立支援のひろば」の「一般事業主行動計画公表サイト」と特定されており、自社ホームページでの公表では要件を満たしません。

公表すべき情報は次の3項目です。

項目 内容 記載欄
(イ) 男性労働者の育児休業等の取得割合。育児休業のみで算定するか、育児目的休暇の利用者を合算するかを選択できる(%、小数第1位以下切り捨て) 「男性の育児休業取得率等」欄
(ロ) 女性労働者の育児休業の取得割合(%、小数第1位以下切り捨て) 「女性の育児休業取得率」欄
(ハ) 労働者(男女別)の育児休業の平均取得日数。a〜dのいずれかの計算方法による実績と、どの方法によったか(対象事業年度も記載) 「育児休業等の取得の状況に関する備考」欄

(イ)(ロ)ともに、該当者がいない場合は当該欄に「―」を記載します。(ハ)の計算方法a〜dは、対象とする子の出生年度・復職年度・育休開始年度のいずれを基準にするかで分かれており、自社で集計しやすい方法を選び、その方法と対象事業年度を明記します。

公表の対象年度と継続期間

公表は、原則として支給申請日の属する事業年度の直前の事業年度の情報について行う必要があります。ただし、直前の事業年度の終了日から3か月以内に支給申請を行う場合で、集計作業に時間を要するなどの理由により直前事業年度の情報の公表が困難な場合は、2事業年度前の情報の公表でも認められます。

支給申請日までに公表していることが原則ですが、支給申請より前にサイトへの掲載申請を完了しているものの掲載手続が完了していない場合も対象です。この場合はサイト管理者からの受付メール(受信日時が分かるもの)を提出し、掲載手続が終わり次第、公表画面を追加提出します。また、支給申請日から支給決定日までの間は公表を継続し、支給決定後も少なくとも申請事業年度の終了までは公表を継続することに同意する必要があります。

共通の対象事業主要件(0301)

①②③に共通して、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • :0208に定める特定事業主であること。ただし①については共通要領0202に定める中小企業事業主であること。
  • :育児休業(出生時育児休業を含む)および育児のための短時間勤務制度(育児・介護休業法23条1項の所定労働時間の短縮措置)について、対象労働者の休業等開始前に労働協約または就業規則に規定していること。「育児・介護休業法に準拠する」旨の規定を置くだけでは、制度を規定しているとは判断されません。当該規定は、支給申請日において施行されている同法の定める水準を満たしている必要があります。
  • :次世代育成支援対策推進法12条1項に基づく一般事業主行動計画を策定して都道府県労働局長に届け出ており、申請時において当該行動計画が有効であること。あわせて行動計画を公表し、労働者に周知させるための措置を講じていること(プラチナくるみん認定事業主を除く)。
  • :対象男性労働者について、対象となる育児休業開始日から申請日まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること。

実務でとくに事故が多いのがハです。一般事業主行動計画は計画期間が満了していると「有効」ではありません。数年前に策定して以来更新していない企業は、申請前に必ず計画期間を確認してください。届出だけして公表・周知をしていないケースも要注意です。

不支給要件(0302)

共通要領0302に定めるもののほか、次のいずれかに該当する場合は支給されません。

  • :支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法、男女雇用機会均等法、パートタイム・有期雇用労働法、労働施策総合推進法、女性活躍推進法の重大な違反があることにより、当該事業主に助成金を支給することが適切でないと認められる場合。なお育児・介護休業法の重大な違反(同法が禁止する不利益取扱いを含む)については、支給決定までの間に行われたものを含みます
  • :支給申請時点で育児・介護休業法に違反し、同法56条に基づく助言または指導を受けたが是正していない場合。

このほか共通要領0302により、不正受給による不支給措置期間中でないこと、支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度に係る労働保険料が未納でないこと等も確認されます。労働保険料の未納は、要件を完璧に整えていても不支給になり得る要素です(支給申請日の翌日から2か月以内に納付した場合などは除かれます)。申請前に納付状況を確認してください。

申請期限・提出書類・電子申請の実務

申請期限は類型ごとに異なる

類型 申請期限
① 男性労働者の育児休業取得 0301aハに該当する育児休業の終了日の翌日から起算して2か月以内
② 男性労働者の育児休業取得率の上昇等 0301bの要件を満たす事業年度の翌事業年度の開始日から起算して6か月以内
③ 育児休業等に関する情報公表加算 ①または②に基づき同時に申請

①の「2か月以内」は非常に短い期限です。育児休業が終わってから慌てて雇用環境整備の証拠を探し始めても間に合いません。雇用環境整備の措置や業務見直し規定の策定など、育児休業の開始日の前日までに求められる要件を先に整え、実施日が分かる資料を残しておくのが現実的な進め方です。

期限計算については次の点を押さえてください。

  • 郵送は到達主義。支給要領0402は、郵送(配達記録が残るものに限る)で提出されたものについて、消印の日付が申請期間内であっても、労働局への到達日が申請期限を徒過していた場合には申請期間内に申請されたと認められないと明記しています。締切間際の投函は避けてください。
  • 共通要領0401により、申請期間の末日が行政機関の休日(土曜日、日曜日、国民の祝日、12月29日から翌年1月3日までの日)に当たる場合は、翌開庁日が末日とみなされます。
  • 天災その他、申請期間内に申請しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由のやんだ後1か月以内に、理由を記した書面を添えて申請することができます。

提出先は「本社等」の所在地を管轄する労働局長

支給要領0401は、人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所(本社等)の所在地の管轄労働局長に提出するものとし、支給申請は支給対象労働者が生じた事業所にかかわらず本社等が行うこととしています。支店で育休取得者が出た場合でも、申請主体は本社です。なお共通要領1001により、両立支援等助成金は公共職業安定所長への業務委任の対象から除かれています。

①の添付書類(すべて写し)

0401aが列挙する添付書類は次のとおりです。

  1. :労働協約または就業規則および関連する労使協定(育児休業(出生時育児休業を含む)および育児のための短時間勤務制度を規定していることが確認できる部分)
  2. :雇用環境整備の措置を複数実施していることおよびその実施日が確認できる書類
  3. :業務代替者の業務見直しに係る規定等(業務の整理・引継ぎに関する事項および引継ぎ対象業務の見直しの検討に関する事項が含まれているもの)
  4. :対象育児休業取得者の育児休業申出書(申出日が明記されているもの)
  5. :所定の期間について休業したことが確認できる書類(出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳等)
  6. :対象育児休業取得者の雇用契約期間、および育児休業期間の所定労働時間・所定労働日・所定労働日数が確認できる書類(労働条件通知書、企業カレンダー、勤務シフト表等)
  7. :育児休業に係る子がいることおよび当該子の出生日(出生前から育児休業を開始している場合は予定日)が確認できる書類(母子健康手帳の該当部分、住民票、戸籍その他の公的証明書類等)
  8. :0301ロに係る措置を講じていることが確認できる書類(労働局に届出した策定届の写し等)。プラチナくるみん認定事業主は除く

②の場合は、上記イ・ロ・ハに加えて、取得率要件を満たした男性労働者の育児休業申出書と、0301ロに係る措置を講じていることが確認できる書類が必要です(0401b)。③の場合は、【出】様式第3号のほか、一般事業主行動計画公表サイトの企業情報の公表画面等が必要です(0401c)。

様式・電子申請・書類の保存

使用する様式は「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)支給申請書」(【出】様式第1〜4号)です。紙で申請する場合は、これに支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)を添付します(電子申請の場合は不要)。

電子申請も可能で、共通要領0206は電子申請を「雇用関係助成金ポータルまたはe-Gov電子申請により行われた申請」と定義しています。電子申請では専用の様式(【出】様式第2号(電子申請用)等)を使用し、原本の提出を求めている添付書類は原本の写しを提出します。

すでに当該申請を行ったことのある事業主は、「提出を省略する書類についての確認書(出生時両立支援コース)」(【出】様式第4号)により、既に提出している内容に変更がない書類の提出を省略できます(電子申請の場合を除く)。

書類の保存義務にも注意してください。共通要領0404により、事業主は提出または提示した書類等の原本(原本を提出した場合はその写し。電子情報を含む)を、支給決定日の翌日から起算して5年間保存しなければなりません。社会保険労務士に依頼した場合は、提出書類の写しを必ず受け取って保管してください。

実務でつまずきやすいポイントと不正受給のリスク

要件充足のチェックリスト

ここまでの内容から、申請前に確認すべき事項を実務目線で抽出します。

  • 労使協定で出生時育休の申出期限を2週間超にしていないか。している場合、雇用環境整備の必要数が1つ増えます。
  • 雇用環境整備の実施日を客観的に立証でき、育児休業開始日の前日までに完了しているか。研修の開催案内、周知メールの送信日、掲示の写真など、日付が残る形にしておく必要があります(相談体制の整備のみ、3年以上前の実施でも可)。
  • 業務見直し規定に「引継ぎ」と「見直しの検討」の両方が書かれているか。
  • 連続日数と所定労働日数の両方を満たすか。育児休業中に就業させていないか。企業カレンダーを当てて計算してください。就業日は日数にカウントされません。
  • 一般事業主行動計画は有効期間内か。届出・公表・周知は済んでいるか。
  • 就業規則に育児休業と育児のための短時間勤務制度が具体的に規定されているか。労働保険料の未納はないか。

不正受給のペナルティは極めて重い

共通要領0205は「不正受給」を、事業主等が偽りその他不正の行為により本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとすることと定義します。刑法各本条に触れる行為のほか、刑法上犯罪を構成するに至らない場合であっても、故意に支給申請書に虚偽の記載を行い、または偽りの証明を行うことが該当します(故意によらない記載誤りは該当しません)。

重要なのは、事業主等の代表者のほか、役員、従業員、代理人その他当該事業主等の支給申請・申請書類の作成に関わった者が不正の行為をした場合には、当該事業主等が不正の行為をしたものとみなされる点です。外部に依頼した場合でも、責任は事業主に帰属します。

ペナルティの内容は次のとおりです。

  • 返還額(共通要領0801イ(イ)に基づき返還を求めた額)
  • 延滞金:不正受給の日の翌日から納付の日まで、年3分の割合で算定(支給申請が令和2年3月31日以前の場合は年5分)
  • 返還を求めた額の2割に相当する額(これに対する延滞金が発生する場合はその額を含む)

これらの合計が「不正受給に係る請求金」です。さらに共通要領0702により、不正受給を行った事業主等に対しては、不支給とした日または支給を取り消した日から起算して5年間、助成金を支給しないという不支給措置がとられます。加えて、不正行為に関与した役員等が他の事業主等の役員等となっている場合は、その他の事業主等に対しても同期間助成金を支給しないとされています。不支給措置期間を経過しても請求金が全額納付されていない場合は、時効が完成している場合を除き、全額納付される日まで不支給措置期間が延長されます。

また共通要領0902により、社会保険労務士または代理人が不正受給に関与していた場合は、不支給決定または支給決定取消を行った日から起算して5年間、当該社会保険労務士が行う提出代行・事務代理に基づく申請または当該代理人が行う申請を受理しないこととされ、管轄労働局から全国社会保険労務士会連合会および都道府県社会保険労務士会に対して情報提供が行われます。前述のとおり不支給決定は行政不服審査法上の不服申立ての対象になりません。争う手段が限られているため、申請前の要件確認が何より重要です。

申請代行を頼める専門家|社会保険労務士の独占業務と行政書士の業務範囲

最後に、冒頭で予告した業際の論点を整理します。「補助金・助成金の申請代行」と一括りに語られがちですが、両立支援等助成金についてはこれを扱える国家資格が法律で限定されています。

雇用関係助成金の申請は社会保険労務士の独占業務

社会保険労務士法2条1項は、社会保険労務士の業務として次を挙げています。

  • 1号:別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(労働社会保険諸法令)に基づいて申請書等を作成すること
  • 1号の2:申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること
  • 1号の3:労働社会保険諸法令に基づく申請等について代理すること(事務代理)

そして同法別表第一の四号に「雇用保険法」が掲げられています。両立支援等助成金は雇用保険法62条1項6号に基づく助成金ですから、その支給申請書はまさに「労働社会保険諸法令に基づく申請書等」に当たります。

そのうえで同法27条(業務の制限)は、次のように定めます。

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

この点は、厚生労働省の雇用関係助成金支給要領第1共通要領0901ロ(イ)cにも明記されています。同項は、事業所の従業員以外の代理人が支給申請等の手続きを代理する場合について、社会保険労務士法27条の適用除外となっている者(弁護士等)以外の者が支給申請等に係る手続きを行っている場合には、同条違反の可能性があることを述べ、さらに管轄労働局労働基準部監督課への情報提供と本省への報告という対応手順まで定めています。

関連して、共通要領0903は、労働保険事務組合についても、徴収法33条1項に基づき事業主の委託を受けて処理できる事項には助成金に係る事務手続等は含まれないため、事業主は労働保険事務組合に助成金に関する申請等を委託することができないとしています。

なお、社会保険労務士が手続きを代行・代理する場合は、社会保険労務士法施行規則16条から16条の3までの規定に基づき「提出代行者」または「事務代理者」と表示し、社会保険労務士の名称を冠して記載しなければなりません。支給決定通知等は社会保険労務士ではなく支給申請者である事業主に直接通知されます。

行政書士の業務範囲との線引き

行政書士の業務は、行政書士法1条の3第1項により、他人の依頼を受け報酬を得て「官公署に提出する書類(中略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(中略)を作成すること」と定められています。作成した書類の提出手続の代理は1条の4第1項第1号が根拠です。

ただし、同法1条の3第2項は、他の法律において制限されているものについては業務を行うことができない旨を定めています。両立支援等助成金の支給申請書は、社会保険労務士法27条によって社会保険労務士(および同条の適用除外に当たる弁護士等)以外の者が業として行うことを制限された書類です。したがって、行政書士は、両立支援等助成金の支給申請書を作成することも、その提出を代理することもできません。

行政書士が業務として扱えるのは、経済産業省・中小企業庁・地方自治体などが所管し、労働社会保険諸法令に基づかない補助金です。小規模事業者持続化補助金、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、省エネ・脱炭素関連の補助金、自治体独自の創業助成金などがこれに当たります。

相談先の整理

手続 代行できる専門家
両立支援等助成金の支給申請 社会保険労務士(弁護士等の適用除外者を含む)
就業規則の作成・変更・届出、労使協定の整備 社会保険労務士
一般事業主行動計画の策定届の作成・届出 社会保険労務士
経済産業省系・自治体系の補助金申請(労働社会保険諸法令に基づかないもの) 行政書士

出生時両立支援コースの申請をご検討であれば、社会保険労務士、または管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へご相談ください。制度の詳細や様式は厚生労働省ウェブサイトで公表されています。

一方で、設備投資・販路開拓・省力化・創業といった行政書士の業務範囲に属する補助金については、行政書士法人Treeでご相談を承っています。関連する補助金の記事として、補助金の交付決定通知書の読み方|交付決定後に確認する金額・条件・注意点もあわせてご覧ください。以下のご案内は、この範囲の補助金についてのものです。

補助金の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、公募要領の要件確認から事業計画書・申請書類の作成、交付決定後の各種手続まで、完全成果報酬型・着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時は完全無料でサポートします。ご相談は何度でも無料です(採択を保証するものではありません)。

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まとめ

令和8年度の出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)の支給額は、①男性労働者の育児休業取得で1人目20万円(雇用環境整備の措置を4つ以上実施していた場合は30万円)、2人目・3人目が各10万円、②男性労働者の育児休業取得率の上昇等で60万円(プラチナくるみん認定があれば15万円加算)、③育児休業等に関する情報公表加算で2万円です。①は中小企業事業主限定、②は常時雇用300人以下等の特定事業主まで対象が広がります。

本記事の最大の注意点は、「代替要員加算」が現行の出生時両立支援コースには存在しないことです。令和8年4月8日改正の支給要領0102が定める助成金の種類は①②③の3つのみで、0302aの支給額にも代替要員に関する加算はありません。旧規定は令和5年12月31日までに育児休業が開始したケースに限られ、業務代替への助成は令和6年1月1日新設の育休中等業務代替支援コースが担っています。

申請実務で決定的に効くのはタイミングです。雇用環境整備の措置と業務見直し規定の策定は育児休業の開始日の前日までに完了している必要があり、①の申請期限は育児休業の終了日の翌日から起算して2か月以内と短期です。あわせて、一般事業主行動計画が有効期間内であること、就業規則に育児休業と育児のための短時間勤務制度が具体的に規定されていること、労働保険料に未納がないことも事前に確認してください。

実体面では、「連続日数」と「所定労働日数」が別条件であること、育児休業中に就業した日は育児休業日数にカウントされないこと、「出生後8週間以内」は出生日当日を含む57日間であることが、日数の数え違いを生みやすい三大ポイントです。不支給決定は不服申立ての対象とならず、不正受給と判断されれば返還額・年3分の延滞金・返還額の2割が請求され、5年間の不支給措置も課されます。

最後に業務範囲です。両立支援等助成金は雇用保険法62条1項6号に基づく雇用関係助成金であり、その支給申請書の作成および提出代行は社会保険労務士の独占業務です(社会保険労務士法2条1項1号・1号の2、同法別表第一四号、27条)。行政書士法1条の3第2項により、行政書士はこれを業務として行えません。行政書士法人Treeでは、経済産業省系・地方自治体系の補助金など行政書士の業務範囲に属する申請書類の作成と提出手続の代理(行政書士法1条の3第1項、1条の4第1項第1号)を承っています。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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