車両関連

中古車販売の古物商許可|自動車商の必要書類・費用・古物台帳・本人確認を解説

更新: 約7分で読めます

中古車を仕入れて販売する事業を始めるには、原則として営業所を管轄する都道府県公安委員会の古物商許可が必要です。自動車を取り扱う古物商は実務上「自動車商」と呼ばれ、許可後は古物台帳への記録や取引相手の本人確認といった義務が課されます。さらに、使用済自動車(廃車)の引取りまで行う場合は古物商許可とは別の登録も必要です。この記事では、行政書士の立場から、中古車販売の開業に必要な許可・登録と、開業後に守るべき実務上の義務を整理して解説します。当事務所は古物商許可申請の書類作成・提出代行に対応しています。

中古車販売に古物商許可が必要な理由と「自動車商」

古物営業法上、一度使用された物品、使用されない物品で使用のために取引されたもの、またはこれらに幾分の手入れをしたものは「古物」にあたります。中古車はまさに古物であり、営利目的で中古車を仕入れて転売する場合は古物商許可が必要です。許可なく古物営業を行うと、古物営業法違反として処罰の対象になります。

古物は13品目に分類され、自動車は「自動車」区分(実務上の通称が自動車商)に該当します。この「自動車」区分には、自動車本体だけでなく、その部分品(エンジン、タイヤ等)も含まれます。申請の際は、取り扱う品目を正しく選ぶことが重要です。

なお、自分が使っていた車を売る、いわゆる個人売買のように営利を目的としない取引には許可は不要です。許可が必要かどうかは「反復継続して利益を得る目的があるか」で判断されます。

申請先・手数料・必要書類・許可までの期間

古物商許可は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)を経由して、その営業所がある都道府県公安委員会に申請します。申請手数料は19,000円です(不許可・取下げの場合でも返還されません)。個人申請の主な必要書類は次のとおりです。

  • 古物商許可申請書
  • 略歴書(申請者・管理者分)
  • 本籍(外国籍の方は国籍等)が記載された住民票の写し(申請者・管理者分)
  • 誓約書(申請者・管理者分)
  • 身分証明書(本籍地の市区町村が発行するもの。申請者・管理者分)
  • URLを用いて取引する場合は、その使用権限を疎明する資料

法人で申請する場合は、これらに加えて登記事項証明書や定款、役員全員分の書類が必要になります。標準処理期間は、不備のない書類一式を受理してから土日祝日・年末年始を除いておおむね40日程度が目安とされますが、都道府県や事案により異なります。なお、過去に一定の犯罪歴がある、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない等の欠格事由に該当すると許可は受けられません。

自動車を扱う場合の「管理者」の要件に注意

古物商は、営業所ごとに業務を適正に行う責任者として管理者を1人選任しなければなりません。ここで自動車商に特有の注意点があります。自動車(自動二輪車・原動機付自転車を含む)を取り扱う営業所の管理者には、不正品の疑いがある自動車の車体・車台番号の打刻部分等における改造等の有無やその態様・程度を判定するために必要な知識・技術・経験が求められます。

具体的には、そうした業務に3年以上従事した者が通常有する程度の知識・技術・経験、またはこれと客観的に同程度と認められるものが必要とされています。先任者からの指導や講習の受講など、3年より短い期間で同程度の能力を習得した場合でも認められる余地があります。整備や中古車取引の実務経験がない方が自動車商として申請する場合、この管理者要件を満たせるかが審査のポイントになります。許可されるか不安な場合は、申請前に管轄警察署へ相談しておくと手戻りを防げます。

許可後に必須となる「古物台帳」と本人確認

許可を取得した後は、古物営業法上の義務(いわゆる防犯三大義務)を守る必要があります。中でも重要なのが、取引相手の本人確認古物台帳(帳簿等)への記録です。

本人確認義務

古物を買い受ける際などは、相手方の住所・氏名・職業・年齢を、運転免許証などの本人確認書類や、その確認のためにとった措置によって確かめる必要があります。インターネットや郵送など相手と対面しない非対面取引では、確認方法が法令で別途定められており、より慎重な対応が求められます。

記録(古物台帳)義務

取引の都度、次の事項を古物台帳に記録します。台帳は書面のほか、一定の要件を満たせば電磁的方法(パソコン等)での記録も認められます。

  • 取引の年月日
  • 古物の品目および数量
  • 古物の特徴
  • 相手方の住所・氏名・職業・年齢
  • 相手方の真偽を確認するためにとった措置の区分

自動車の場合、「古物の特徴」として自動車登録番号(ナンバー)または車台番号、車名、車体の色等を記録するのが実務です。古物台帳は、最後に記載した日から3年間、営業所に備え付けて保存しなければなりません(電磁的方法による場合は記録した日から3年間)。

少額取引の例外と自動車の扱い

本人確認・記録義務は、原則として対価の総額が1万円未満の取引では一部免除されますが、これには重要な例外があります。自動二輪車・原動機付自転車(汎用性のあるねじ・ボルト等を除く部分品を含む)などは、1万円未満であっても本人確認と記録が必要です。中古車本体は通常1万円以上で取引されるため、実務上は常に本人確認と台帳記録を行うと考えておくのが安全です。これらの義務を怠った場合の罰則も定められており、令和7年6月1日施行の改正により従来の懲役・禁錮は原則として拘禁刑に整理されています。

廃車も扱うなら「自動車リサイクル法」の引取業登録が必要

中古車販売店が見落としやすいのが、使用済自動車(廃車)の引取りを行う場合の登録です。下取りや買取りで引き取った車を廃車にするなど、使用済自動車を引き取る事業を行うには、有償・無償を問わず、古物商許可とは別に自動車リサイクル法に基づく引取業者の登録を都道府県知事(または保健所設置市等の長)から受ける必要があります。あわせて自動車リサイクルシステムへの事業者登録も求められます。

「古物商許可さえあれば中古車に関する全てができる」というわけではありません。ご自身の事業計画(販売のみか、買取・下取り・廃車まで行うか)に応じて、必要な許可・登録を整理することが大切です。許可制度の全体像については、当事務所の車両関連手続きのページもあわせてご覧ください。

中古車販売の古物商許可(自動車商)は、管理者要件や品目選択など、他の品目より審査が慎重に行われる傾向があります。当事務所では、古物商許可申請書の作成、添付書類の収集サポート、警察署への提出代行までを行政書士が一貫してサポートします。なお、許可取得後の税務(消費税・所得税等)は提携の税理士をご紹介し、取引上のトラブルなど法的な紛争が生じた場面では弁護士、法人登記など登記が関わる場面では司法書士と連携して対応します。料金は事案により異なりますので、個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。まずは車両関連手続きのご相談窓口からお気軽にご連絡ください。

まとめ

中古車を仕入れて販売するには、営業所を管轄する公安委員会の古物商許可(自動車商)が必要で、申請手数料は19,000円です。自動車を扱う管理者には改造等を判定できる知識・経験(3年以上の従事相当)が求められます。許可後は取引相手の本人確認と古物台帳への記録(最終記載日から3年保存)が義務で、自動二輪・原付は1万円未満でも記録が必要です。さらに使用済自動車の引取りを行う場合は自動車リサイクル法の引取業登録が別途必要になります。事業内容に応じて必要な許可・登録を漏れなく整えましょう。

中古車販売の古物商許可に関するよくある質問

Q:自分の中古車を1台だけ売る場合も古物商許可は必要ですか。

A:自分が使用していた車を売る個人売買など、営利を目的としない取引には許可は不要です。許可が必要になるのは、反復継続して利益を得る目的で中古車を仕入れて転売する場合です。判断に迷う場合は、事業計画の内容をふまえて行政書士にご相談ください。

Q:実務経験がなくても自動車商の許可は取れますか。

A:管理者に求められる「改造等を判定できる知識・技術・経験」は、3年以上の従事に相当する程度のものとされますが、先任者からの指導や講習の受講その他の方法によって同程度の能力が認められれば取得できる余地があります。経験がない場合の対応は都道府県により運用が異なるため、申請前に管轄警察署へ確認することをおすすめします。

Q:古物台帳は手書きの帳簿でなければいけませんか。

A:書面の帳簿のほか、一定の要件を満たせばパソコン等による電磁的方法での記録も認められています。いずれの方法でも、必要事項を漏れなく記録し、最後に記載した日(電磁的方法の場合は記録した日)から3年間、営業所に備え付けて保存してください。

Q:許可までどのくらいの期間がかかりますか。

A:標準処理期間は、不備のない書類を受理してから土日祝日・年末年始を除いておおむね40日程度が目安とされますが、都道府県や事案の内容によって前後します。書類に不備があるとさらに時間がかかるため、申請前の準備が重要です。

Q:中古車の買取・下取りも予定していますが、追加で必要な手続きはありますか。

A:買取り自体は古物商許可の範囲ですが、引き取った車を廃車にするなど使用済自動車を引き取る事業を行う場合は、自動車リサイクル法に基づく引取業者の登録が別途必要です。販売のみか、廃車処理まで行うかによって必要な手続きが変わります。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree