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マフラー交換と騒音規制|近接排気騒音・性能等確認済表示・保安基準適合

更新: 約28分で読めます

マフラー(消音器)の交換は、自動車のカスタマイズのなかでも特に人気の高い分野です。一方で「車検に通らなかった」「街頭検査で整備命令を受けた」といったトラブルが後を絶ちません。その原因の多くは、騒音規制のしくみが年式や車両区分によって大きく異なることを知らないまま、見た目やブランドだけでマフラーを選んでしまう点にあります。

自動車の騒音規制は、道路運送車両法にもとづく「道路運送車両の保安基準」第30条を頂点に、細目告示・別添という階層構造で細かく定められています。さらに近年は、平成26年(二輪車)・平成28年(四輪車)の騒音規制で国際基準が導入され、従来の「車種ごとに決まった数値をクリアすればよい」という絶対値規制から、「新車のときの騒音から悪化していないこと」を確認する相対値規制へと考え方そのものが切り替わりました。この転換を理解していないと、カタログの数値だけを見て適合していると誤解してしまいます。

この記事では、マフラー交換にかかわる騒音規制について、保安基準第30条・細目告示第118条・別添38(近接排気騒音の測定方法)・別添112(後付消音器の技術基準)といった一次情報にあたりながら、実務目線で整理します。近接排気騒音の測定方法、性能等確認済表示(いわゆる認証マーク)の読み方、構造等変更検査の要否、違反した場合の法的リスクまで、順を追って確認していきましょう。

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マフラー交換で問われる騒音規制の全体像

マフラー交換に関係する法令は、大きく分けて二つの系統があります。ひとつは車両そのものの構造を規律する道路運送車両法、もうひとつは道路上の運転行為を規律する道路交通法です。この二つは目的も執行主体も異なるため、両方をクリアしなければなりません。

道路運送車両法第41条第1項は、自動車が運行の用に供されるために技術基準へ適合していなければならない装置を列挙しており、その第11号に「消音器その他の騒音防止装置」が挙げられています。原動機付自転車についても、同法第44条第8号で「消音器」が同様に定められています。ここでいう技術基準が、国土交通省令である道路運送車両の保安基準(以下「保安基準」)です。

他方、道路交通法第62条は、装置が道路運送車両法第3章またはこれにもとづく命令の規定に適合しないため交通の危険を生じさせ、または他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(整備不良車両)を運転させ、または運転してはならないと定めています。さらに同法第71条の2は、消音器を備えていない自動車等、および消音器を切断するなど内閣府令で定める改造等を加えた消音器を備えている自動車等の運転を、直接に禁止しています。

つまりマフラー交換は、①車検(新規検査・継続検査・構造等変更検査)で保安基準に適合すること②公道走行時に道路交通法上の整備不良・消音器不備に当たらないことという二重の関門を通過する必要があるということです。「車検に通ったから警察に止められても問題ない」とは限りませんし、逆に「今は捕まっていないから車検も通る」とも限りません。

保安基準第30条が定める2つの要件

騒音防止装置の中心となる規定が保安基準第30条です。条文は次の三項から構成されています。

第1項は「自動車(被牽引自動車を除く)は、騒音を著しく発しないものとして、構造、騒音の大きさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」と定めます。第2項は「内燃機関を原動機とする自動車には、騒音の発生を有効に抑止することができるものとして、構造、騒音防止性能等に関し告示で定める基準に適合する消音器を備えなければならない」と定めます。第3項は、道路運送車両法第75条の3第1項により型式指定を受ける騒音防止装置についての規定です。

ここで重要なのは、第1項が「騒音の大きさ」、第2項が「消音器そのものの構造・性能」という別々の要件を課している点です。マフラー交換で不適合になるケースは、この二つのどちらか(あるいは両方)に引っかかっています。なお第2項は「内燃機関を原動機とする自動車」を対象としているため、電気自動車には消音器の装備義務そのものが及びません。

第2項が求める消音器の6要件

保安基準第30条第2項を受けた細目告示第118条第2項は、消音器が満たすべき基準として次の6項目を列挙しています(継続検査等の場合。使用過程車で改造等による変更がないものについては細目告示第196条第2項に同旨の規定があります)。

  1. 消音器の全部又は一部が取り外されていないこと
  2. 消音器本体が切断されていないこと
  3. 消音器の内部にある騒音低減機構が除去されていないこと
  4. 消音器に破損又は腐食がないこと
  5. 消音器の騒音低減機構を容易に除去できる構造(一酸化炭素等発散防止装置と構造上一体となっている消音器であって、当該一酸化炭素等発散防止装置の点検又は整備のために分解しなければならない構造のものを除く)でないこと
  6. 自動車(大型特殊自動車及び小型特殊自動車を除く)に備える消音器は加速走行騒音を有効に防止するものであること

特に見落とされやすいのが5番目の「容易に除去できる構造でないこと」です。自動車技術総合機構(NALTEC)の審査事務規程7-56では、消音器本体の外部構造および内部部品が恒久的方法(溶接、リベット等)により結合されていないもの(ボルト留め、ナット留め、接着)は、原則としてこの基準に適合しないと取り扱われています。ただし、取り外しても騒音防止性能に影響のない外部構造部品(意匠カバー、断熱カバー等)と、消音器本体に取り付けられた排気バルブを作動させるための制御機構装置は、この例外として扱われます。

ボルトで着脱できるインナーサイレンサー(消音バッフル)を差し込んで音量を下げているだけ、という状態が問題視されるのはこのためです。取り外そうと思えば工具ひとつで外せる構造は、「容易に除去できる構造」に該当し得ます。

なお、6番目の「加速走行騒音を有効に防止するもの」という要件は、後述する性能等確認済表示(交換用マフラー事前認証制度)と直結しています。細目告示第118条第2項第6号は、側車付二輪自動車・三輪自動車・カタピラ及びそりを有する軽自動車以外の自動車については「使用の過程にあるものに限る」としており、これは平成22年騒音規制で使用過程車および並行輸入車等の消音器に加速走行騒音の防止性能が義務付けられた経緯を反映しています。

近接排気騒音とは|細目告示別添38が定める測定方法

「近接排気騒音」という言葉は、マフラー交換の話題で最も頻繁に登場します。これは、走行させずに停車状態で排気口の近くにマイクを置き、エンジンを空吹かしして測る騒音のことです。

もともと日本では昭和27年から「排気騒音規制」が行われていました。これは排気管開口部から後方20メートル離れた地点で測定する方法でしたが、長い試験路と静かな環境が必要で、街頭での取締りには不向きでした。そこで、より簡便に騒音性能を確認できる手法として近接排気騒音規制が導入され、昭和61年から二輪車・原動機付自転車、昭和63年から乗用車、平成元年からトラック・バスへと順次適用が広げられ、平成10年から平成13年にかけて許容限度の強化も行われています。

近接排気騒音を採用した理論的な根拠は、近接排気騒音の値が大きくなると加速走行騒音の値も大きくなるという相関関係にあります。使用過程では加速走行騒音試験の実施が現実的に困難であるため、近接排気騒音がその代替手段として位置づけられているわけです。

測定方法の具体的な規定

近接排気騒音の測定方法は、細目告示の別添38「近接排気騒音の測定方法」に定められています。主要な内容は次のとおりです。

試験自動車の状態は、点検・整備要領等により整備されていること、および適当な速度で走行することにより十分暖機されていることが求められます。冷えた状態の測定値は正式なものとして扱われません。

騒音計は、JIS C1509-1-2005 クラス1によるもの、またはこれと同等の性能を有するものを使用し、周波数補正回路の特性はA特性、指示機構の動特性は「速い動特性(FAST)」とされています。エンジン回転計は、自動車に備えられたもの以外のものを用いるものとされており、車載タコメーターの表示では代用できません。

マイクロホンの位置は、排気流の方向を含む鉛直面と外側後方45度に交わる排気管の開口部中心を含む鉛直面上で、開口部中心から0.5メートル(±0.025メートル)離れた位置とされます。高さは開口部中心の高さ(開口部中心の高さが地上0.2メートル未満の場合は地上0.2メートル)の±0.025メートルです。マイクロホンの向きは水平で開口部中心の方向に向け、開口部が上向き(鉛直線に対する角度が30度以下)の場合はマイクロホンを上方に向けます。

測定場所は、概ね平坦で、車両の外周およびマイクロホンから2メートル程度の範囲内に壁、ガードレール等の顕著な音響反射物がない場所とされます。壁際やガレージ内で測った値は参考値にすぎません。

測定方法は、自動車を停止状態、変速機の変速位置は中立、クラッチは接続状態にしたうえで、原動機を最高出力時の回転速度の75パーセント(二輪自動車等で最高出力時の回転速度が毎分5,000回転を超えるもの、また一定の四輪車で毎分7,500回転以上のものは50パーセント)の回転速度に連続して5秒間程度無負荷運転し、そこから加速ペダルを急速に放した場合の自動車騒音の大きさの最大値を測定します。回転速度の許容幅は±100rpmです。

排気口が複数ある場合の扱いも定められています。開口部の中心間隔が0.3メートルを超える場合(消音器を複数有する場合を含む)は、それぞれの開口部を計測対象としてマイクロホンを設置します。0.3メートル以下の場合は、最も後方の開口部を計測対象とします。この場合において、排気が漏れている部位は排気管開口部とみなされます。左右出しやデュアル出しのマフラーで片側だけ静かでも意味がないのは、この規定によります。

絶対値規制から相対値規制へ|規制世代で基準が変わる

マフラー選びで最も誤解が多いのが、「近接排気騒音は96dB以下ならOK」といった一律の理解です。現在の規制は、車両がどの騒音規制世代に属するかによって、判定のしかたそのものが変わります。

従来の絶対値規制

かつては、自動車の種別ごとに一定の許容限度を設け、それを超えなければよいという方式(絶対値規制)が採られていました。この方式は、現在でも一部の車種について残っています。細目告示第118条第1項第2号および第196条第1項第2号の表は、大型特殊自動車・小型特殊自動車を110dB、三輪自動車ならびにカタピラおよびそりを有する軽自動車を車両総重量・最高出力・原動機位置に応じて96dBから100dB、側車付二輪自動車(二輪自動車から改造を行ったものを除く)を94dBとしています。

注意したいのは、この表には一般的な四輪の乗用車・貨物車や二輪自動車は含まれていないという点です。一般的な自動車の近接排気騒音は、使用の過程にある自動車を対象とする第4号で規律されています。新車時の近接排気騒音値は、第3号(協定規則第41号・第51号にもとづく加速走行騒音の審査)に適合することを認めた際にあわせて確認され、その値が使用過程での判定の起点になります。

平成26年・平成28年騒音規制と相対値規制の導入

二輪車については平成26年騒音規制で国際基準UN R41-04が導入され、従来の全開加速走行騒音に代えて市街地での走行状態を模擬した加速度で走行した際の騒音を規制する方式に変わり、定常走行騒音規制は廃止されました。適用日は、新型自動車(輸入自動車を除く)が平成26年1月1日以降、それ以外が平成29年1月1日以降です。

四輪車については平成28年騒音規制で国際基準UN R51-03が導入され、同じく市街地加速走行騒音の規制へ移行し、定常走行騒音規制が廃止されました。加えて圧縮空気騒音規制が導入されています。適用日は、新型自動車(輸入自動車を除く)が平成28年10月1日以降です。

そして同じ平成28年騒音規制で、近接排気騒音について、従来の車種ごとに規制値を定めた絶対値規制に代えて、使用過程において新車時の騒音から悪化しないことを確認する相対値規制が導入されました。規制値は「近接排気騒音値が、新車時に確認した騒音値+5dBの値以下であること」です。あわせて、近接排気騒音の測定方法も国際基準にもとづく方法へ変更されています。

相対値規制の適用日は次のとおりです。二輪自動車等(L3カテゴリ)は、新型自動車(輸入自動車を除く)が平成28年10月1日以降、それ以外が令和3年9月1日以降。四輪車等(M・Nカテゴリ)は、新型自動車(輸入自動車を除く)が平成28年10月1日以降、それ以外が令和4年9月1日以降(N2カテゴリは令和5年9月1日以降)です。

この結果、自車が「新車時の値+5dB」で判定される世代なのか、固定値で判定される世代なのかを、まず確認しなければならないことになります。どの世代の規定が適用されるかは、原則として自動車の製作年月日や型式指定等を受けた時期によって決まります(保安基準の適用関係を整理する告示にもとづく従前規定の適用)。なお、使用の過程にある多仕様自動車については、NALTECの審査事務規程上、自動車検査証等の備考欄に記載または記録されている保安基準適用年月日により判定する取扱いが定められています。

マフラーを交換した自動車に適用される近接排気騒音の基準値

ここからが実務上の核心です。マフラーを交換した使用過程車については、細目告示第118条第1項第4号が適用されます。細目告示第196条は「消音器について改造又は交換を行っていない自動車」を対象とした規定であるため、交換した車両はこちらではなく第118条で判定されます。

四輪車(二輪・側車付二輪・三輪・カタピラそり軽・大型特殊・小型特殊を除く)

細目告示第118条第1項第4号ロは、新車時に確認された近接排気騒音値が一定のしきい値を超えるかどうかで、二つの判定方法を使い分けています。

自動車の種別 新車時に確認した近接排気騒音値 マフラー交換後の基準
専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の自動車(車両の後部に原動機を有するもの以外) 91dB以下 96dBを超えないこと
91dB超 新車時の値+5dBを超えないこと
専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の自動車(車両の後部に原動機を有するもの) 95dB以下 100dBを超えないこと
95dB超 新車時の値+5dBを超えないこと
乗車定員11人以上の乗用自動車・貨物自動車(車両総重量3.5t以下) 92dB以下 97dBを超えないこと
92dB超 新車時の値+5dBを超えないこと
乗車定員11人以上の乗用自動車・貨物自動車(車両総重量3.5t超・最高出力150kW以下) 93dB以下 98dBを超えないこと
93dB超 新車時の値+5dBを超えないこと
乗車定員11人以上の乗用自動車・貨物自動車(車両総重量3.5t超・最高出力150kW超) 94dB以下 99dBを超えないこと
94dB超 新車時の値+5dBを超えないこと

いわゆる「乗用車は96dB」という数値の根拠がここにあります。ただしこれは、新車時に確認された近接排気騒音値が91dB以下の車両に限った話であり、91dBを超える車両では「新車時の値+5dB」が基準になります。

さらに重要な例外があります。細目告示第118条第1項第4号ロ(3)は、別添112「後付消音器の技術基準」に規定する市街地加速走行騒音有効防止後付消音器の基準に適合する消音器に交換した自動車については、当該消音器に係る性能等確認済表示に記載された近接排気騒音値に5dBを加えた値を超えないこととしています。つまり、認証を受けた交換用マフラーを装着した場合は、そのマフラーの表示に書かれた近接排気騒音値が判定の起点になるということです。

二輪自動車

細目告示第118条第1項第4号イは、二輪自動車について次のとおり定めています。新車時に確認した近接排気騒音値が89dBを超える構造の車両は「新車時の値+5dB」、89dBを超えない構造の車両は「94dB」が基準となります。そして、別添112の市街地加速走行騒音有効防止後付消音器の基準に適合する消音器に交換した二輪自動車は、当該消音器に係る性能等確認済表示に記載された近接排気騒音値+5dBが基準となります。

マフラーを交換していない場合

参考までに、消音器について改造・交換を行っていない車両については、細目告示第118条第1項第4号ハ・ニおよび第196条第1項第3号により、いずれも「新車時に確認した近接排気騒音値+5dB」が基準となります(性能等確認済表示のある消音器を備える場合は、当該表示に記載された値+5dB)。純正のまま乗っていても、劣化や損傷で音量が上がれば不適合になり得るということです。

性能等確認済表示と「加速走行騒音を有効に防止する消音器」の要件

近接排気騒音をクリアしていても、それだけでは保安基準第30条第2項の要件を満たしません。前述した細目告示第118条第2項第6号の「加速走行騒音を有効に防止するもの」という要件を、別の方法で証明する必要があります。

交換用マフラー事前認証制度

国土交通省は、交換用マフラー市場において有効な騒音防止性能を有するマフラーが適切に選別される環境を整備すること等を目的として、交換用マフラーの騒音防止性能等をあらかじめ確認する機関を国土交通大臣が登録し、当該登録を受けた機関(登録性能等確認機関)が性能等を確認したマフラーには「性能等確認済表示」を表示する制度を大臣告示により創設しました。これが交換用マフラー事前認証制度です。

この制度について、国土交通省は乗車定員11人以上の自動車、車両総重量が3.5トンを超える自動車、大型特殊自動車および小型特殊自動車に備えるマフラーは対象外としています。これは平成22年騒音規制にあわせて整備された枠組みで、後述する別添112のⅠ(全開加速走行騒音有効防止後付消音器)の適用範囲に対応するものです。一方、平成28年騒音規制に対応して設けられた別添112のⅡ(市街地加速走行騒音有効防止後付消音器)は、適用範囲から除くものを側車付二輪自動車・三輪自動車・大型特殊自動車・小型特殊自動車と定めており、乗車定員11人以上の自動車や車両総重量3.5トンを超える自動車も対象に含まれます。

NALTECの審査事務規程が掲げる登録性能等確認機関は、一般財団法人日本自動車研究所、株式会社JQR、公益財団法人日本自動車輸送技術協会、一般社団法人JMCA登録性能確認機関の4機関です。表示に現れる略称(JARI、JMCA等)は、この確認を行った機関を示しています。

別添112 Ⅰ|全開加速走行騒音有効防止後付消音器(「S」「R」)

別添112「後付消音器の技術基準」は、Ⅰ「全開加速走行騒音有効防止後付消音器の技術基準」とⅡ「市街地加速走行騒音有効防止後付消音器の技術基準」の二部構成になっています。

Ⅰは、別添40「加速走行騒音の測定方法」により測定した加速走行騒音を有効に防止する後付消音器に適用され、平成22年騒音規制の世代に対応します。後付消音器は、指定自動車等に備えられている消音器と同一の構造を有し同一の範囲の自動車等の同一の位置に備えられる「第二種後付消音器」と、それ以外の「第一種後付消音器」に区分されます。

第一種後付消音器の騒音防止性能試験では、細目告示第118条第1項第4号(一般原動機付自転車は第268条第1項第4号)の基準に適合すること、および別添40により測定した加速走行騒音が82dB(一般原動機付自転車は79dB)を超えない構造であることが確認されます。

第一種の性能等確認済表示は、①性能等を確認した機関等の略称(アルファベット)、②〜⑤識別番号(7桁以上の数字。1桁目は後付消音器の個数、2桁目は触媒の有無〔1:触媒付、0:触媒なし〕、3・4桁目は性能等を確認した年(西暦)の下2桁、5桁目以降は確認機関が定める3桁以上の識別番号)、⑥アルファベット「S」(加速走行騒音の値が別添112の表に掲げる値を超えないとき)、⑦後付消音器を取り付けることができる自動車等の原動機型式(過給器付き原動機は末尾にアルファベット「t」を付す)で構成されます。国土交通省が公表している表示例では「JARI 2 1 09 0001 S」「JMCA 2 1 09 001001 S」といった形式が示されています。

「S」が付される場合の加速走行騒音の値は、専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の普通・小型・軽自動車(二輪を除く)などが76dB、小型自動車および軽自動車のうち二輪自動車が73dB、一般原動機付自転車が71dBと定められています。第二種後付消音器の表示は、①確認機関の略称、②第二種後付消音器の製作者の商標または商号、③アルファベット「R」で構成されます。

別添112 Ⅱ|市街地加速走行騒音有効防止後付消音器(「A」「P」)

Ⅱは、新たに運行の用に供しようとする際に細目告示第40条第1項第4号・第5号、第118条第1項第3号イ・ロの規定が適用される自動車等に備える後付消音器であって、協定規則第41号または第51号に定める方法により測定された加速走行騒音を有効に防止するものに適用されます。すなわち、平成26年騒音規制以降の二輪車、平成28年騒音規制以降の四輪車に対応する新しい区分です。

Ⅱの性能等確認済表示は、①確認機関の略称、②〜⑤識別番号(構成はⅠと同じ)、⑥アルファベット「A」または「P」(試験の適用区分に応じて異なる)、⑦原動機型式、そして⑧後付消音器を取り付けた際の近接排気騒音値(dB)で構成されます。Ⅰの表示には近接排気騒音値が含まれないのに対し、Ⅱの表示にはこれが含まれる点が決定的な違いです。前述した相対値規制の判定は、この表示に記載された値を起点として行われます。

したがって、平成28年騒音規制適用車に「S」表示だけのマフラーを装着した場合、その表示は当該車両に適用される規定への適合を直接に証明するものにはなりません。NALTECの審査事務規程7-56でも、消音器の改造を行う場合であって市街地加速走行騒音値に影響する改造を行ったものについては、公的試験機関において実施された加速走行騒音試験結果成績表の原本、または細目告示別添112「後付消音器の技術基準」Ⅱにもとづく性能等確認済表示により基準適合性を確認することとされています。年式に対応した区分の表示を選ぶことが不可欠です。

表示以外で適合を証明する方法

細目告示第118条第3項第1号は、使用過程車のうち乗車定員11人以上または車両総重量3.5トン超のものを除く自動車で、消音器について改造または交換を行ったものについて、次のいずれかに該当する消音器であることを求めています。

  • 指定自動車等の製作者が当該指定自動車等に備える消音器に行う表示があるもの(純正表示)
  • 道路運送車両法第75条の2第1項にもとづき指定を受けた特定共通構造部に備えられている騒音防止装置の消音器に表示される同法第75条の4第1項の特別な表示があるもの
  • 同法第75条の3第1項にもとづき指定を受けた騒音防止装置の消音器に表示される同法第75条の4第1項の特別な表示があるもの
  • 別添112「後付消音器の技術基準」に規定する性能等確認済表示があるもの
  • 協定規則第9号、第41号もしくは第51号またはこれらと同等の欧州連合指令に適合する自動車が備える消音器に表示される特別な表示があるもの
  • 協定規則第59号もしくは第92号またはこれらと同等の欧州連合指令に適合する消音器に表示される特別な表示があるもの
  • 公的試験機関が実施した試験の結果を記載した書面により、別添40により測定した加速走行騒音が82dB以下であることが運行の際に明らかである自動車が現に備えている消音器
  • 外国の法令にもとづく書面または表示により、協定規則第9号、第41号もしくは第51号またはこれらと同等の欧州連合指令に適合することが運行の際に明らかである自動車が現に備えている消音器

欧州製マフラーの「E」マークや「e」マークが有効になり得るのは、この規定によるものです。ただし、UN R59(乗車定員9人以下の乗用車および車両総重量3.5トン以下の貨物車の交換用消音器に関する規定)やUN R92の表示が付いていること自体は確認できても、それが自車に適合する組み合わせであるかは別問題です。また、加速走行騒音試験結果成績表による証明を選ぶ場合、審査事務規程では、新たに運行の用に供しようとする自動車の初めての検査および使用過程車の改造等が行われた後の初めての検査の際には原本が必要とされ、その後は写しをもって代えることができるとされています。書類の保管が重要になる場面です。

構造等変更検査の要否|マフラーは「指定部品」

マフラーを交換したら構造等変更検査を受けなければならないのか、という質問は非常に多く寄せられます。結論から言えば、通常のマフラー交換では構造等変更検査も自動車検査証の記載事項変更も不要です。

国土交通省は、使用過程における自動車について、軽微な変更となる自動車部品の取り付けについては構造等変更に係る諸手続きを簡素化する取扱いを平成7年11月22日から実施しています。軽微な変更に該当する条件は、次の二つです。

第一に、自動車部品を装着したときに寸法(長さ、幅および高さ)および車両重量が一定範囲内であることです。具体的には、長さ±3cm、幅±2cm、高さ±4cm、車両重量は小型自動車・軽自動車が±50kg、普通自動車・大型特殊自動車が±100kgとされています。

第二に、指定する自動車部品(指定部品)を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合であることです。主な指定部品の例として、機能的部品には身体障害者用操作装置、エア・バッグ、けん引用トレーラ・ヒッチ、ショック・アブソーバ、マフラー、排気管、タイヤ、タイヤ・ホイール等が挙げられています。

したがって、ボルト留めやクランプ留めで装着する一般的な交換用マフラーであれば、寸法・重量の範囲内である限り手続は不要ということになります。ただし国土交通省は、これらの軽微な変更となる自動車部品を装着した状態においても道路運送車両の保安基準に適合していることが必要であり、これはユーザーの責任において管理するものであると明示しています。手続が不要であることと、基準に適合しなくてよいこととは全く別です。

なお、新規検査または予備検査においては、検査時の状態で自動車の諸元を決定する従来どおりの取扱いとなります。車検の種類ごとの違いについては、車検の種類と有効期間|継続検査・新規検査・構造等変更検査の違いを解説もあわせてご確認ください。改造自動車や並行輸入車の審査については、NALTEC(自動車技術総合機構)とは|車検・構造変更・改造車審査・並行輸入車登録を解説で整理しています。

違反した場合の法的リスクと街頭検査

基準に適合しないマフラーを装着した場合、どのような法的リスクがあるのかを、道路運送車両法と道路交通法の両面から確認します。

道路運送車両法上の責任

まず、道路運送車両法第47条は「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と定めています。整備事業者に任せていたとしても、保安基準適合を維持する責任は使用者にあります。

同法第99条の2(不正改造等の禁止)は「何人も、(中略)自動車検査証交付済自動車等について、自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為であつて、当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行つてはならない」と定めています。この規定に違反した者は、同法第108条第1号により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられます。「何人も」とされているため、使用者だけでなく作業を行った第三者も対象になり得る点に注意が必要です。

また、同法第54条の2第1項は、自動車が保安基準に適合しない状態にあり、かつその原因が自動車またはその部分の改造、装置の取付けまたは取り外しその他これらに類する行為に起因すると認められるときは、地方運輸局長が使用者に対して必要な整備を行うべきことを命ずることができると定めています。整備命令を発したときは、自動車の前面の見やすい箇所に整備命令標章が貼り付けられ(同条第2項)、何人もこれを破損・汚損してはならず、命令が取り消された後でなければ取り除いてはなりません(同条第3項)。命令を受けた使用者は、命令を受けた日から15日以内に、整備を行った自動車と自動車検査証を地方運輸局長に提示しなければなりません(同条第4項)。

使用者が命令もしくは指示に従わないとき、または第3項・第4項に違反したときは、6月以内の期間を定めて自動車の使用を停止することができ(同条第6項)、停止期間が満了しても保安基準に適合するに至らないときは、適合するまでの間、運行の用に供してはなりません(同条第7項)。整備命令または指示に違反した者は同法第109条第7号により50万円以下の罰金、使用停止処分に違反した者は同法第108条第2号により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられます。

道路交通法上の責任

道路交通法第62条(整備不良車両の運転の禁止)に違反して車両等(軽車両を除く)を運転させ、または運転したときは、同法第119条第2項第2号により3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金に処せられます。道路交通法施行令の定義によれば、「自動車等整備不良(制動装置等)」には騒音防止装置に係るものが明示的に含まれており、基礎点数は2点、反則金は大型車12,000円、普通車9,000円、二輪車7,000円、原付等6,000円です。

さらに、道路交通法第71条の2は、道路運送車両法第41条第1項第11号または第44条第8号に規定する消音器を備えていない自動車等(当該消音器を切断したものその他の消音器の機能に著しい支障を及ぼす改造等で内閣府令で定めるものを加えた消音器を備えている自動車等を含む)の運転を禁止しています。ここでいう内閣府令で定める改造等は、道路交通法施行規則第9条の4の3により、①消音器を切断すること、②消音器の騒音低減機構を除去すること、③消音器に排気口以外の開口部を設けることの3つと定められています。違反は同法第120条第1項第10号により5万円以下の罰金、反則行為としては「消音器不備」に当たり基礎点数2点、反則金は大型車7,000円、普通車・二輪車6,000円、原付等5,000円です。

加えて、道路交通法第71条第5号の3は、正当な理由がないのに、著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で自動車等を急に発進させ、もしくは速度を急激に増加させ、または動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させないことを、運転者の遵守事項として定めています。いわゆる空吹かしや急発進がこれに当たり、反則行為としては「騒音運転等」として基礎点数2点、反則金は消音器不備と同額です。

街頭検査と「不正改造車を排除する運動」

国土交通省は、自動車関係団体で構成する不正改造防止推進協議会とともに「不正改造車を排除する運動」を実施しており、各地方運輸局では6月(内閣府沖縄総合事務局は10月)を強化月間としています。強化月間中には、不正改造を「しない」「させない」ための啓発、警察機関の協力を得た街頭検査の実施、不正改造車・迷惑黒煙車に関する情報収集などが集中的に行われます。重点排除項目にはマフラーの切断・取外し等が含まれており、違反車両に対しては整備命令が発せられます。

実務上のチェックポイントとよくある誤解

ここまでの内容を、マフラーを購入・装着する際に確認すべき事項として整理します。

購入前に確認すること

自車の騒音規制世代を確認する。平成22年騒音規制、平成26年騒音規制(二輪)、平成28年騒音規制(四輪)のいずれが適用されるかで、必要となる表示の種類が変わります。判定は原則として自動車の製作年月日や型式指定等を受けた時期によりますが、自動車検査証等の備考欄に保安基準適用年月日の記載・記録がある場合は、それも手がかりになります。

表示の種類が自車の世代に合っているかを確認する。「S」(全開加速走行騒音有効防止後付消音器)と「A」「P」(市街地加速走行騒音有効防止後付消音器)は別物です。平成28年騒音規制適用車には、原則としてⅡの区分の表示が必要になります。

原動機型式が一致しているかを確認する。性能等確認済表示には、そのマフラーを取り付けることができる自動車等の原動機型式が表示されます(過給器付き原動機は末尾に「t」)。同じ車名でもエンジン型式が異なれば適合しません。

触媒の有無を確認する。識別番号の2桁目が触媒の有無を示します(1:触媒付、0:触媒なし)。触媒付きの車両に触媒なしのマフラーを組み合わせれば、騒音以外に排出ガス規制の問題も生じます。

表示に記載された近接排気騒音値を控えておく。Ⅱの区分の表示には近接排気騒音値が記載されます。この値+5dBが、以後の判定基準になります。

装着後に確認すること

装着後は、消音器に破損または腐食がないこと、消音器の全部または一部が取り外されていないこと、消音器本体が切断されていないこと、内部の騒音低減機構が除去されていないことを維持する必要があります。溶接部の割れや腐食による穴あきは、排気漏れとして扱われるだけでなく、それ自体が細目告示第118条第2項第4号の不適合となります。別添38は「排気が漏れている部位は排気管開口部とみなす」としているため、腐食による穴は測定点そのものを変えてしまいます。

着脱可能なインナーサイレンサーで音量を調整している場合は、前述のとおり「騒音低減機構を容易に除去できる構造」に該当し得ます。恒久的方法(溶接、リベット等)で結合されていることが原則である点を踏まえた判断が必要です。

よくある誤解

「96dB以下なら車検に通る」は不正確です。96dBという数値は、専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下で車両の後部に原動機を有するもの以外の自動車のうち、新車時に確認した近接排気騒音値が91dB以下のものに適用される値にすぎません。相対値規制の対象車では、新車時の値+5dB(認証マフラー装着時は表示記載値+5dB)が基準です。

「認証マークが付いていればどの車にも使える」も誤りです。表示には取り付けることができる原動機型式が併記されており、対象外の車両に装着すれば適合の証明にはなりません。

「車検対応と書いてあるから大丈夫」も鵜呑みにできません。販売時の表記は法令上の用語ではなく、対象車種や規制世代の限定が小さく注記されていることがあります。判断の基礎になるのは、あくまで消音器に表示された性能等確認済表示の内容と、自車に適用される細目告示の規定です。

「大型車にもⅠの区分の認証マフラーがある」わけではありません。別添112のⅠ(全開加速走行騒音有効防止後付消音器)は、乗車定員11人以上の自動車、車両総重量3.5トン超の自動車、大型特殊自動車および小型特殊自動車に備えるマフラーを適用範囲から除いています。このうち乗車定員11人以上または車両総重量3.5トン超の使用過程車については、細目告示第118条第3項第2号にもとづき、純正同一構造の消音器、装置型式指定を受けた騒音防止装置の消音器、別添112のⅡに定める市街地加速走行騒音有効防止後付消音器の基準に適合する消音器、または公的試験機関の書面等による証明といった別のルートで適合性を確保することになります。

なお、二輪車の手続についてはバイクの名義変更手続き|排気量別の必要書類・費用・手続き場所を解説、車検の有効期間の表示については検査標章(車検シール)の貼付位置と表示義務|2023年7月変更・道路運送車両法第66条・電子車検証もあわせてご参照ください。

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まとめ

マフラー交換の適否は、保安基準第30条の第1項(騒音の大きさ)と第2項(消音器の構造・騒音防止性能)という二つの要件を、それぞれ別に満たしているかで決まります。近接排気騒音の数値だけを見て判断すると、消音器の構造要件や加速走行騒音の防止性能という論点を丸ごと見落とすことになります。

近接排気騒音の判定は、車両の騒音規制世代によって方式が異なります。従来の車種別の絶対値規制に加え、平成26年(二輪)・平成28年(四輪)の騒音規制で新車時の値+5dBという相対値規制が導入されました。マフラーを交換した使用過程車には細目告示第118条第1項第4号が適用され、乗車定員10人以下の一般的な乗用車では新車時の値が91dB以下なら96dB、91dB超なら新車時の値+5dBが基準となります。

性能等確認済表示は、区分と記載内容まで読み解く必要があります。別添112のⅠ(「S」「R」)は全開加速走行騒音、Ⅱ(「A」「P」)は市街地加速走行騒音に対応し、Ⅱの表示にのみ近接排気騒音値が記載されます。平成28年騒音規制適用車ではⅡの区分が前提となるため、表示の有無だけでなく種類と原動機型式の一致まで確認することが不可欠です。

手続面では、マフラーは指定部品に該当し、溶接・リベット以外の方法で装着し寸法・重量が一定範囲内であれば、構造等変更検査も記載事項変更も不要です。ただし国土交通省が明示しているとおり、基準適合の維持はユーザーの責任です。違反すれば道路運送車両法第99条の2(6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)、整備命令違反(50万円以下の罰金)、道路交通法上の整備不良や消音器不備(いずれも基礎点数2点)といった責任が生じます。

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