建設業関連

土壌汚染対策法の土地の形質変更届出|要届出区域と3,000㎡基準

更新: 約26分で読めます

造成工事や解体後の敷地整備、大規模な基礎掘削に着手しようとしたとき、「土壌汚染対策法の届出が必要だと言われた」「着手の30日前までに出さないと間に合わないらしい」と急に慌てるケースは少なくありません。土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)は、一定規模以上の土地の形質の変更を行う際に、あらかじめ都道府県知事へ届け出ることを義務づけています。この届出を失念すると、罰則の対象になるだけでなく、調査命令が出て工程が数か月単位で止まるおそれもあります。

この記事では、土壌汚染対策法における土地の形質の変更の届出について、法第4条第1項の3,000㎡基準と900㎡の特例、届出が不要となる例外行為、要措置区域・形質変更時要届出区域の違い、法第12条第1項の14日前届出、汚染土壌を搬出する場合の法第16条の届出、そして罰則までを、条番号を示しながら実務目線で整理します。工事の発注者・元請・施工者のいずれの立場でも押さえておくべき論点を網羅しました。

建設業許可の取得・更新でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、要件の確認から申請書類の作成・提出代行、決算変更届や各種変更届まで対応します。ご相談は何度でも無料です。

建設業許可サポートの詳細を見る

土壌汚染対策法の「土地の形質の変更」と届出制度の全体像

土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、その汚染による人の健康被害を防止するための措置を定めた法律です。同法が規制の対象とする物質は「特定有害物質」と呼ばれ、土壌汚染対策法施行令第1条に列挙されています。カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、クロロエチレン、シアン化合物、四塩化炭素、ジクロロメタン、水銀及びその化合物、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ベンゼン、ほう素及びその化合物、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、有機りん化合物など、全26種類が定められています。

「土地の形質の変更」の意味

「土地の形質の変更」という用語は、法第3条第7項が「土地の掘削その他の土地の形質の変更(以下「土地の形質の変更」という。)」と規定し、掘削を含む行為の総称として法律上定義しているものです。掘削だけでなく、盛土や切土、地表面の被覆状態を変える行為なども広く含まれる概念であり、建築物の基礎工事、地下埋設管の敷設、駐車場の造成、解体後の整地なども対象になり得ます。「建築確認が不要な工事だから関係ない」という判断は成り立ちません。建築基準法や都市計画法とはまったく別系統の規制であることを、まず出発点として押さえてください。

3つの届出ルートを区別する

土地の形質の変更に関する届出は、大きく3つのルートに分かれます。第一が、区域指定を受けていない土地について一定規模以上の形質変更を行う場合の法第4条第1項の届出(着手30日前まで)です。第二が、すでに形質変更時要届出区域に指定された土地での形質変更に係る法第12条第1項の届出(着手14日前まで)です。第三が、有害物質使用特定施設の使用廃止に伴う調査義務について一時的免除(法第3条第1項ただし書の確認)を受けている土地での形質変更に係る法第3条第7項の届出です。

この3つは、届出期限も様式も、届出後に生じる効果もそれぞれ異なります。自社の現場がどのルートに当たるのかを最初に見極めることが、実務の第一歩になります。なお、汚染の除去等の措置が必要な要措置区域に指定された土地では、法第9条により土地の形質の変更が原則として禁止されており、そもそも「届け出れば工事ができる」という制度設計にはなっていません。この点は後述します。

制度が動いている規模感

環境省が公表した「令和6年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」(令和8年4月公表)によれば、令和6年度に法第4条第1項に基づく形質変更の届出が受理された件数は12,507件でした。土壌汚染状況調査の結果報告件数は合計1,680件(法第3条668件、法第4条758件、法第5条0件、法第14条251件、処理業省令第13条3件)、区域指定は要措置区域83件、形質変更時要届出区域578件となっています。年間1万件を超える届出が全国で処理されている、決してレアではない手続だと理解しておくとよいでしょう。

法第4条第1項の届出|着手30日前までに都道府県知事へ

法第4条第1項は、「土地の形質の変更であって、その対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上のものをしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の場所及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない」と定めています。

届出義務者は「形質の変更をしようとする者」

条文が義務を課しているのは土地の所有者ではなく、「土地の形質の変更をしようとする者」です。したがって、借地上で造成工事を行う事業者や、土地の売買前に買主側が造成に着手する場合など、所有者以外の者が届出義務者になる場面が生じます。実務上は、発注者・元請・下請のうち誰が「しようとする者」に当たるかで迷いやすいところですが、一般には当該形質変更を企画し実施の意思決定を行う主体が届出者となります。工事請負契約の締結時点で、誰の名義で届け出るかを明確に取り決めておくとトラブルを避けられます。

なお、届出者が土地の所有者等でない場合、後述のとおり土地の所有者等の所在を明らかにする書面の添付が必要になります。これは、届出後に法第4条第3項の調査命令が出るとき、その名宛人が「土地の所有者等」になるためです。つまり、届出をするのは施工者側でも、調査義務を負うのは所有者側という構造になっており、この点を事前に説明しておかないと、後日「聞いていない」という紛争の火種になります。

届出の様式と記載事項

届出は、土壌汚染対策法施行規則第23条第1項により様式第六による届出書を提出して行います。記載事項は同規則第24条に定められており、次のとおりです。

  • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名
  • 土地の形質の変更の対象となる土地の所在地
  • 土地の形質の変更の対象となる土地の面積及び当該土地の形質の変更に係る部分の深さ
  • 現に有害物質使用特定施設が設置されている工場若しくは事業場の敷地等に当たる場合は、当該工場・事業場の名称、有害物質使用特定施設の種類及び設置場所並びにそこで製造・使用・処理されていた特定有害物質の種類

これに加えて、法第4条第1項本文により、形質変更の場所と着手予定日の記載が求められます。深さの記載が求められている点に注意してください。後述する届出不要の例外判定でも深さ50センチメートルという基準が登場するため、掘削深度は設計段階で確定させておく必要があります。

添付書類

規則第23条第2項により、届出書には次の図面・書類を添付します。

  • 土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした平面図、立面図及び断面図
  • 土地の形質の変更をしようとする者が当該土地の所有者等でない場合は、登記事項証明書その他の当該土地の所有者等の所在が明らかとなる書面

平面図・立面図・断面図の3点セットが求められる点が実務上のポイントです。着手30日前という期限から逆算すると、施工図がある程度固まっていなければ届出書は作れません。設計変更が頻発する現場では、届出内容と実際の施工が食い違わないよう、変更が生じた場合の再届出の要否を所管自治体に確認しておくのが安全です。

3,000㎡基準と900㎡の特例|面積要件をどう判断するか

法第4条第1項が「環境省令で定める規模以上」と委任している面積要件は、土壌汚染対策法施行規則第22条に定められています。この条文が、実務で最も参照される規定です。

原則は3,000㎡

規則第22条本文は「法第四条第一項の環境省令で定める規模は、三千平方メートルとする」と定めています。したがって、対象となる土地の面積が3,000㎡以上の土地の形質の変更を行おうとする場合、原則として着手30日前までの届出が必要です。3,000㎡はおおむね55メートル四方に相当する規模で、中規模以上の造成工事や工場・倉庫の建設ではごく普通に超える面積です。

なお、判定の対象は「土地の形質の変更の対象となる土地の面積」であり、敷地全体の面積ではありません。逆に言えば、広大な敷地の一部だけを掘削する場合は、その掘削対象部分の面積で判定することになります。ただし、一連の工事を意図的に分割して各回を3,000㎡未満に見せる運用は認められません。同一の計画に基づく一連の形質変更として通算されるかどうかは、所管自治体の判断事項ですので、境界事例では事前相談が不可欠です。

900㎡に引き下げられる特例

規則第22条ただし書は、次の土地における形質の変更については、面積要件を九百平方メートルとすると定めています。

  • 現に有害物質使用特定施設が設置されている工場又は事業場の敷地
  • 法第3条第1項本文に規定する使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地(同項本文の報告をした工場・事業場の敷地又は同項ただし書の確認を受けた土地を除く)

「有害物質使用特定施設」とは、法第3条第1項の括弧書きにより、水質汚濁防止法第2条第2項に規定する特定施設であって、同項第1号に規定する物質(特定有害物質であるものに限る)をその施設において製造し、使用し、又は処理するものをいいます。めっき工場、金属加工、化学工業、クリーニング所など、水質汚濁防止法上の特定施設を有する事業場が該当し得ます。

この特例は見落とされやすい規定です。「3,000㎡未満だから届出は不要」と判断してしまい、実は敷地に有害物質使用特定施設があったために900㎡基準が適用され、無届けとなってしまう事故が起こり得ます。工場跡地や稼働中の工場の一角での工事では、水質汚濁防止法の特定施設設置届出の有無を必ず確認してください。

届出が不要となる例外行為

法第4条第1項ただし書は、面積要件を満たしていても届出を要しない行為として、次の3類型を挙げています。

  1. 法第3条第1項ただし書の確認に係る土地についての土地の形質の変更(第1号)
  2. 軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの(第2号)
  3. 非常災害のために必要な応急措置として行う行為(第3号)

第1号は、調査義務の一時的免除の確認を受けている土地についての規定です。この土地では法第4条ではなく法第3条第7項の届出ルートに乗ることになり、二重規制を避ける趣旨の除外です。なお法第3条第7項に係る届出不要行為は規則第21条の4に定められており、面積900㎡未満の形質変更などが挙げられています。

第2号を受けた規則第25条は、次の行為を届出不要としています。

  • 第1号:次のイ・ロ・ハのいずれにも該当しない行為。イ 土壌を当該形質変更の対象となる土地の区域外へ搬出すること。ロ 土壌の飛散又は流出を伴う形質変更を行うこと。ハ 形質変更に係る部分の深さが50センチメートル以上であること
  • 第2号:農業を営むために通常行われる行為であって、前号イ(区域外への土壌搬出)に該当しないもの
  • 第3号:林業の用に供する作業路網の整備であって、第1号イに該当しないもの
  • 第4号:鉱山関係の土地において行われる土地の形質の変更
  • 第5号:都道府県知事が規則第3条から第15条までに定める方法に準じた方法により調査した結果、基準不適合土壌が存在するおそれがない、又は土地の土壌の汚染状態が全ての特定有害物質の種類について土壌溶出量基準及び土壌含有量基準に適合すると認められるものとして知事が指定した土地における形質変更

実務で最も使われるのが第1号です。「区域外への土壌搬出をせず」「飛散・流出を伴わず」「深さ50センチメートル未満」の3条件をすべて満たす行為であれば、面積が3,000㎡以上でも届出は不要になります。表層の舗装打ち替えや浅い整地などがこれに当たり得ます。逆に言えば、残土を場外に搬出する工事は、深さが浅くてもこの除外を使えません。「50センチ未満だから大丈夫」という単純な理解は誤りですので注意してください。

届出後の流れ|調査命令が出る土地の基準と自主調査結果の提出

法第4条第1項の届出をすると、都道府県知事は届出内容を審査します。ここで一定の要件に該当すると判断されると、土壌汚染状況調査の命令が発出されます。

法第4条第3項の調査命令

法第4条第3項は、知事が届出を受けた場合において、当該土地が「特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当する」と認めるときは、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に調査させてその結果を報告すべきことを命ずることができると定めています。命令の名宛人が届出者ではなく土地の所有者等である点は、繰り返しになりますが重要です。

「環境省令で定める基準」は規則第26条に定められており、次のいずれかに該当することとされています。

  1. 土壌の特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないことが明らかである土地であること
  2. 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体が埋められ、飛散し、流出し、又は地下に浸透した土地であること
  3. 特定有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理する施設に係る工場又は事業場の敷地である土地又は敷地であった土地であること
  4. 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体をその施設において貯蔵し、又は保管する施設に係る工場又は事業場の敷地である土地又は敷地であった土地であること
  5. 前3号に掲げる土地と同等程度に土壌の汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがある土地であること

第3号・第4号に注目してください。ここでいう施設は、水質汚濁防止法上の特定施設に限定されていません。特定有害物質を製造・使用・処理する施設、あるいは貯蔵・保管する施設の敷地であった土地であれば該当し得ます。工場跡地、資材置場、給油設備のあった土地などは、法第3条の調査契機に当たらなくても、この規則第26条によって調査命令の対象になり得るということです。

実際の運用としては、届出のすべてに調査命令が出るわけではありません。前掲の環境省の施行状況調査によれば、令和6年度に法第4条第1項の届出が受理された12,507件のうち、当該年度の届出について法第4条第3項に基づく調査命令が発出されたのは37件でした。割合としては限られますが、いったん命令が出れば調査と結果報告が完了するまで工事計画に大きな影響が生じます。

法第4条第2項の自主調査結果の提出

法第4条第2項は、届出をしようとする者が、土地の所有者等の全員の同意を得たうえで、指定調査機関に土壌汚染状況調査を行わせ、形質変更の届出に併せてその結果を都道府県知事に提出できると定めています。この規定は、土壌汚染対策法の一部を改正する法律(平成29年法律第33号)により整備され、平成30年(2018年)4月1日から施行されているものです。

この提出を行った場合、法第4条第3項ただし書により、知事は調査命令を発しないこととされています。つまり、あらかじめ調査を済ませて結果を出してしまえば、後から命令を受けて工程が止まるリスクを避けられるという仕組みです。所有者等の同意は、規則第25条の2により、届出に係る形質変更の場所を記載した書面によって行います。調査結果の報告は規則第25条の3により様式第七による報告書を提出して行い、汚染状態を明らかにした図面等を添付します。

令和6年度の実績では、法第4条第2項に基づく調査結果報告が699件(うち基準不適合276件)、法第4条第3項の命令に基づく調査結果報告が59件(うち基準不適合21件)で、合計758件でした。命令を待たずに自主的に調査結果を提出するルートのほうが、件数としては大きく上回っていることが分かります。工期の予見可能性を重視する現場ほど、このルートを選択する傾向にあるといえます。

調査対象地の規模感

届出面積の分布については、令和6年度版では集計が行われていないため、直近で公表されている令和5年度版の数値を掲げます。同年度に法第4条第2項及び第3項に基づき調査結果が報告された698件について、届出面積の平均が17,487㎡、中央値が6,281㎡、最大面積が1,125,100㎡と報告されています。面積区分では「3,000㎡以上5,000㎡未満」が最も多く、次いで「5,000㎡以上7,000㎡未満」「15,000㎡以上30,000㎡未満」の順でした。基準ぎりぎりの規模の案件が中心的な層であることが読み取れます。

要措置区域と形質変更時要届出区域|2つの区域の違い

調査の結果、汚染が判明した土地は、要件に応じて2種類の区域のいずれかに指定されます。この違いを理解しないと、法第9条と法第12条のどちらが適用されるのかを誤ります。

要措置区域(法第6条第1項)

法第6条第1項は、次のいずれにも該当すると認める場合に、都道府県知事が当該土地の区域を要措置区域として指定するものと定めています。

  1. 土壌汚染状況調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと(第1号)
  2. 土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当すること(第2号)

指定は同条第2項により公示され、同条第3項により公示によって効力を生じます。汚染の除去等の措置により指定の事由がなくなったと認めるときは、同条第4項により全部又は一部の指定が解除されます。

形質変更時要届出区域(法第11条第1項)

法第11条第1項は、土地が法第6条第1項第1号に該当し、第2号に該当しないと認める場合、すなわち基準不適合ではあるが人の健康被害のおそれの基準には該当しない場合に、形質変更時要届出区域として指定するものと定めています。汚染はあるが、摂取経路がないため直ちに措置までは求められない、という位置づけです。

両区域の関係については、法第11条第4項に整理規定があります。形質変更時要届出区域の全部又は一部について法第6条第1項の指定(要措置区域指定)がされた場合には、その部分について形質変更時要届出区域の指定が解除されたものとされます。工事によって摂取経路が生じるなど状況が変われば、区域の種別が変わり得るということです。

件数としては、令和6年度の新規指定は要措置区域83件に対し、形質変更時要届出区域578件でした。指定を受けた土地の大半は形質変更時要届出区域であり、実務で遭遇する頻度も圧倒的にこちらが高くなります。

要措置区域内は形質変更が原則禁止(法第9条)

法第9条は「要措置区域内においては、何人も、土地の形質の変更をしてはならない」と定め、届出ではなく禁止という強い規制を置いています。例外は次の3類型に限られます。

  1. 法第7条第1項の規定により知事から指示を受けた者が汚染除去等計画に基づく実施措置として行う行為
  2. 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの
  3. 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

第2号を受けた規則第43条第1号は、①実施措置を講ずるために設けられた構造物に変更を加えること、②形質変更の対象となる土地の面積の合計が10平方メートル以上であり、かつ深さが50センチメートル以上であること、③深さが3メートル以上であること、のいずれにも該当しない行為を、法第9条による形質変更禁止の例外としています(帯水層に関する知事の確認を受けた場合の読替えあり)。要措置区域では届出制ではなく禁止が原則であるため、この例外に当たらない限り工事そのものが行えません。面積10㎡・深さ50センチという極めて小さい単位で規制が及ぶ点に注意が必要です。

法第12条の届出|形質変更時要届出区域内は着手14日前まで

形質変更時要届出区域に指定された土地で工事を行う場合は、法第12条第1項の届出が必要です。法第4条とは期限も様式も異なります。

着手14日前までの事前届出

法第12条第1項は「形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の十四日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない」と定めています。

法第4条と異なり、面積要件がありません。区域内であれば、規模の大小にかかわらず届出義務の対象になるのが原則です。また、届出事項に「施行方法」が加わっている点も重要な違いです。汚染がすでに判明している土地を扱う以上、どのような工法で汚染の拡散を防ぐのかが審査対象になるためです。

様式と記載事項・添付書類

規則第48条第1項により、届出は様式第十五による届出書を提出して行います。添付書類は同条第2項に列挙されており、①形質変更をしようとする場所を明らかにした形質変更時要届出区域の図面、②形質変更をしようとする区域の状況を明らかにした図面、③施行方法を明らかにした平面図・立面図・断面図、④形質変更の終了後における土地の利用の方法を明らかにした図面などが求められます。

記載事項は規則第49条第1項に定められ、氏名・名称・住所等のほか、土地の形質の変更の完了予定日施行中に地下水汚染の拡大が確認された場合における対応方法事故、災害その他の緊急事態が発生した場合における対応方法などが含まれます。単なる工事の届出ではなく、汚染管理計画としての性格を持つ書面であることが分かります。

届出が不要となる例外

法第12条第1項ただし書は、次の4類型を届出不要としています。

  1. 知事の確認を受けた施行及び管理に関する方針に基づく形質変更で、汚染が専ら自然又は専ら水面埋立てに用いられた土砂に由来する土地における形質変更であり、かつ人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして環境省令で定める要件に該当するもの(第1号)
  2. 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの(第2号)
  3. 形質変更時要届出区域が指定された際既に着手していた行為(第3号)
  4. 非常災害のために必要な応急措置として行う行為(第4号)

第2号を受けた規則第50条第1項第1号は、要措置区域の規則第43条と同様の考え方で、①汚染の除去等の措置を講ずるために設けられた構造物に変更を加えること、②形質変更の対象となる土地の面積の合計が10平方メートル以上であり、かつ深さが50センチメートル以上であること、③深さが3メートル以上であること、④⑤自然由来等土壌の他区域での使用に関する行為、のいずれにも該当しない行為を届出不要としています。ここでも面積10㎡・深さ50センチという小さな単位が基準になります。

事後の届出が求められる場合

法第12条には、事前届出だけでなく事後届出の規定も置かれています。

  • 第2項:形質変更時要届出区域が指定された際、既にその区域内で形質変更に着手している者は、指定の日から起算して14日以内に届け出なければならない(規則第51条・様式第十五)
  • 第3項:非常災害のために必要な応急措置として形質変更をした者は、形質変更をした日から起算して14日以内に届け出なければならない(規則第52条)
  • 第4項:第1項第1号の施行管理方針に基づく形質変更をした者は、環境省令で定める期間ごとに、当該期間中に行った形質変更の種類・場所等を届け出なければならない

第3項は特に見落とされやすい規定です。災害時の応急措置は事前届出こそ不要ですが、事後14日以内の届出義務は残ります。「非常災害だから届出は要らない」と誤解しないよう注意してください。

計画変更命令は「届出を受けた日から14日以内」

法第12条第5項は、知事が第1項の届出を受けた場合において、届出に係る形質変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受けた日から14日以内に限り、届出者に対し施行方法に関する計画の変更を命ずることができると定めています。基準は規則第53条に定められ、土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある土壌が区域内の帯水層に接する場合の施行方法の基準や、形質変更に当たり基準不適合土壌・特定有害物質等の飛散等を防止するために必要な措置を講ずることなどが挙げられています。

着手14日前の届出期限と、命令の期限である14日が一致しているため、命令が出れば着手日はほぼ確実にずれます。工程にバッファを持たせておくべき理由がここにあります。

法第4条と法第12条の比較

両者の違いを整理すると次のとおりです。法第4条は区域指定を受けていない土地が対象で、面積要件は3,000㎡(特例900㎡)、期限は着手30日前、様式第六、届出の効果は調査命令の要否審査です。法第12条は形質変更時要届出区域内の土地が対象で、面積要件はなく(例外規定で10㎡・50センチ等の線引きあり)、期限は着手14日前、様式第十五、届出の効果は施行方法の審査と計画変更命令の要否判断です。「30日前・3,000㎡」と「14日前・区域内」という組合せで覚えておくと混同しにくくなります。

汚染土壌を区域外へ搬出するとき|法第16条の届出

要措置区域又は形質変更時要届出区域(法第16条第1項の括弧書きにより「要措置区域等」と総称されます)の土壌を区域外へ搬出する場合には、形質変更の届出とは別に、搬出に関する届出が必要です。

法第16条第1項は、要措置区域等内の土地の土壌(指定調査機関が環境省令で定める方法により調査した結果、汚染状態が基準に適合すると知事が認めたものを除く。以下「汚染土壌」)を当該要措置区域等外へ搬出しようとする者は、搬出に着手する日の14日前までに届け出なければならないと定めています。届出事項は、汚染土壌の特定有害物質による汚染状態、体積、運搬の方法、運搬する者の氏名又は名称、処理する者の氏名又は名称、処理施設の所在地、搬出の着手予定日など9項目と環境省令で定める事項です。ただし、非常災害のために必要な応急措置として搬出する場合及び試験研究の用に供するために搬出する場合は除かれます。

また、同条第2項により、届出事項を変更しようとするときは、その行為に着手する日の14日前までに変更の届出が必要です。同条第3項により、非常災害の応急措置として搬出した者は、搬出した日から起算して14日以内に届け出なければなりません。同条第4項により、運搬の方法が運搬基準に違反している場合や、法第18条第1項に違反して汚染土壌処理業者に処理を委託しない場合には、知事は届出を受けた日から14日以内に限り、措置を命ずることができます。

汚染土壌は、廃棄物処理法上の産業廃棄物とは異なる規律に服します。法第18条により汚染土壌の処理は法第22条第1項の許可を受けた汚染土壌処理業者に委託しなければならず、法第20条により管理票(いわゆる汚染土壌の管理票)の交付・保存義務が課されます。産業廃棄物のマニフェストとは別制度ですので、現場で運用を混同しないよう注意が必要です。産業廃棄物の側の手続については、産業廃棄物収集運搬業許可申請の完全ガイド|要件・JWセンター講習・5年更新を解説もあわせてご確認ください。

罰則|無届けで土地の形質の変更を行った場合

土壌汚染対策法は、届出義務違反に対して罰則を用意しています。条番号ごとに整理します。

法第66条第2号|3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金

法第66条第2号は、法第4条第1項又は法第12条第1項の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、土地の形質の変更をした者を、3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処すると定めています。本記事の中心テーマである2つの届出は、いずれもこの規定が適用されます。無届けだけでなく、虚偽届出も同じ罰則の対象である点に留意してください。

法第65条|1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

法第65条第1号は、法第4条第3項の調査命令や法第12条第5項の計画変更命令などに違反した者を、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処すると定めています。また同条第2号は、法第9条の規定に違反した者、すなわち要措置区域内で禁止されている土地の形質の変更を行った者を同じ法定刑としています。要措置区域での違反は、形質変更時要届出区域での無届けよりも重く扱われるということです。

法第67条第1号・法第69条第2号

法第67条第1号は、法第12条第4項の届出(施行管理方針に基づく形質変更についての定期の届出)をせず、又は虚偽の届出をした者を30万円以下の罰金に処すると定めています。また法第69条第2号は、法第12条第2項若しくは第3項(区域指定時に既に着手していた場合の届出、非常災害の応急措置後の届出)などの届出をせず、又は虚偽の届出をした者を、20万円以下の過料に処すると定めています。事後届出の懈怠は過料という行政上の秩序罰にとどまる整理です。

両罰規定

法第68条は両罰規定を置いており、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し法第65条から第67条まで(第67条第3号を除く)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科すると定めています。担当者個人の判断ミスであっても、会社が罰金刑を科される可能性があるということです。建設業許可業者にとっては、法令遵守の状況が許可の審査や監督処分の場面で問われることもあり、罰則の金額以上の影響が生じ得ます。

実務上の注意点と関連する届出・許認可

最後に、現場で問題になりやすい論点をまとめます。

「着手30日前」から逆算した工程管理

法第4条第1項の届出は着手30日前が期限ですが、届出書には平面図・立面図・断面図の添付が必要で、面積と深さの確定も求められます。さらに、届出後に法第4条第3項の調査命令が出た場合、指定調査機関による調査と結果報告が必要になり、着手までの期間はさらに延びます。逆に、法第4条第2項により自主調査の結果を届出に併せて提出すれば、調査命令は発せられません。工期がタイトな案件では、この選択肢を早い段階で検討する価値があります。

また、法第4条第2項の提出には土地の所有者等の全員の同意(規則第25条の2により書面で行う)が必要です。共有地や借地では同意取得に時間がかかることがあるため、逆算のうえで早期に着手してください。

自治体の条例による上乗せ

土壌汚染対策法とは別に、都道府県・政令市が独自の条例・要綱・指導指針等を定めている例が多数あります。この項目は毎年度集計されているわけではなく、直近では環境省の令和5年度施行状況調査において、土壌汚染対策に関連する条例・要綱・指導指針等を制定している自治体は115自治体とされ、そのうち「法で定める調査契機の他に独自の調査契機を設けているもの(法で定める調査契機に上乗せの基準を設けているものを含む)」が26件と報告されています。

つまり、法の3,000㎡基準を下回る規模でも、条例により調査や届出が求められる地域が現に存在するということです。現場の所在地を管轄する自治体の条例・要綱を必ず確認してください。国の法令だけを見て「不要」と判断するのは危険です。

並行して検討すべき他の届出

解体を伴う造成工事では、土壌汚染対策法の届出だけでなく、複数の法令に基づく届出が同時期に走ります。建設リサイクル法に基づく分別解体等の届出については建設リサイクル法の特定建設資材廃棄物とは|対象工事・届出・分別解体・再資源化・罰則を解説を、石綿に関する大気汚染防止法の事前調査結果報告等については解体工事における大気汚染防止法の届出|事前調査結果報告・特定粉じん排出等作業の手続を行政書士が解説をご覧ください。届出期限がそれぞれ異なるため、工程表に法令ごとの締切を書き込んで管理することをおすすめします。

また、岩石の採取を伴う事業では採石法に基づく登録・認可が関係します。詳しくは採石業者登録(採石法第32条)|都道府県知事登録・採石業務管理者(第32条の13)・岩石採取計画認可(第33条)と関連環境法令をご確認ください。解体工事を請け負う場合の許可・登録の区分については解体工事業の登録と建設業許可の違い|どちらが必要かを解説が参考になります。

建設業許可側の手続との関係

土壌汚染対策法の届出は、建設業許可の有無とは直接連動しません。許可を持たない事業者でも届出義務は生じますし、逆に許可業者だから免除されることもありません。ただし、法令違反による処分歴は建設業許可の各種手続で問われる場面があります。許可事項に変更が生じた場合の届出期限については建設業許可の変更届出|2週間・30日・4か月の提出期限と必要書類を行政書士が解説で整理していますので、あわせてご確認ください。

自主的に区域指定を申請する制度

法第14条第1項は、一定の土地について所有者等が自ら調査した結果、汚染状態が法第6条第1項第1号の環境省令で定める基準に適合しないと思料するときは、知事に対し要措置区域又は形質変更時要届出区域の指定を申請することができると定めています。申請に係る所有者等以外の所有者等がいるときは、あらかじめその全員の合意が必要です。知事は、申請に係る調査が公正かつ法第3条第1項の環境省令で定める方法により行われたと認めるときは指定をすることができ、この場合の調査は土壌汚染状況調査とみなされます(同条第3項)。令和6年度の申請件数は251件でした。土地取引の前提として汚染状況を法的に確定させたい場面で用いられる制度です。

建設業許可の取得・更新でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、要件の確認から申請書類の作成・提出代行、決算変更届や各種変更届まで対応します。ご相談は何度でも無料です。

建設業許可サポートの詳細を見る

まとめ

土壌汚染対策法における土地の形質の変更の届出は、区域指定を受けていない土地についての法第4条第1項(着手30日前まで・様式第六)と、形質変更時要届出区域内の土地についての法第12条第1項(着手14日前まで・様式第十五)という2つの柱で構成されています。期限も様式も異なるため、まず自社の現場がどちらのルートに当たるのかを確定させることが出発点になります。

面積要件は、施行規則第22条により原則3,000㎡とされ、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場・事業場の敷地等については900㎡に引き下げられます。この900㎡特例の見落としが無届けにつながりやすい典型的な落とし穴です。あわせて、規則第25条第1号の「区域外への土壌搬出をせず、飛散・流出を伴わず、深さ50センチメートル未満」の3条件をすべて満たす行為は届出が不要となる点も、正確に理解しておく必要があります。

届出後は、規則第26条の基準に該当すると判断されれば法第4条第3項の調査命令が土地の所有者等に対して発せられます。これを避けたい場合は、所有者等全員の同意を得たうえで指定調査機関の調査結果を届出に併せて提出する法第4条第2項のルートが有効です。令和6年度は届出12,507件に対し当該年度分の調査命令が37件、自主提出による調査結果報告が699件と、自主提出が主流になっていることが統計からも読み取れます。

罰則面では、法第66条第2号により法第4条第1項・法第12条第1項の無届け又は虚偽届出は3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法第65条第2号により要措置区域内での形質変更禁止(法第9条)違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金とされ、法第68条の両罰規定により法人にも罰金刑が科され得ます。加えて、多くの自治体が独自の条例・要綱を定めており、法の基準を下回る規模でも手続が求められる地域があります。国の法令と条例の二段構えで確認する姿勢が欠かせません。

行政書士法人Treeでは、建設業許可の新規取得・更新・業種追加、決算変更届や各種変更届など、官公署に提出する許認可書類の作成と提出代行を業務範囲として承っています。土壌汚染対策法の届出が絡む現場では、許可手続と並行して工程管理が必要になる場面も多くあります。建設業許可に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree