車両関連

冷蔵冷凍車の登録区分|貨物(1・4ナンバー)と特種(8ナンバー)の判定

更新: 約6分で読めます

冷蔵冷凍車(冷凍車・冷蔵車・保冷車)を新たに取得・架装したとき、あるいは既存車両に冷凍機を後付けしたときに必ず問題になるのが「この車は何ナンバーになるのか」という登録区分の判断です。同じ冷蔵冷凍車でも、貨物自動車(普通自動車は1ナンバー、小型自動車は4ナンバー)として登録される車両と、特種用途自動車(8ナンバー)として登録される車両があり、その分かれ目は車検証上の「用途」をどう判定するかにかかっています。判定は国土交通省の依命通達「自動車の用途等の区分について」に基づき、物品積載設備や特種な設備の床面積の割合、構造要件などを照らし合わせて行われます。本記事では、貨物自動車になる場合と特種用途自動車になる場合の判定基準を、代理申請・書類作成を担う行政書士の視点から整理します。

自動車の「用途」は4区分|冷蔵冷凍車はどこに入るか

自動車検査証(車検証)に記載される「用途」は、国土交通省の依命通達「自動車の用途等の区分について」により、乗用・乗合・貨物・特種の4つに区分されます。冷蔵冷凍車は、原則として荷物を運ぶための車両ですので、まずは「貨物」に該当するかどうかを検討します。そのうえで、車両の主たる使用目的が特種であり、所定の構造・装置の要件をすべて満たす場合に限り「特種」(特種用途自動車)に区分されます。

分類番号(いわゆるナンバーの数字)との対応は次のとおりです。なお、軽自動車には別の分類番号が割り当てられるため、本記事は普通自動車・小型自動車を前提とします。

  • 貨物(普通自動車)……1ナンバー
  • 貨物(小型自動車)……4・6ナンバー
  • 特種用途自動車……8ナンバー

つまり「冷蔵冷凍車=必ず8ナンバー」ではありません。多くの冷蔵冷凍車は貨物自動車(1・4・6ナンバー)として登録されており、一定の構造要件を満たして初めて特種用途自動車(8ナンバー)となります。

貨物自動車(1・4・6ナンバー)になる冷蔵冷凍車

冷蔵冷凍車が貨物自動車に区分されるのは、車両の主たる目的が「物品の運搬」であり、冷凍機・冷蔵機や断熱構造が物品積載設備(荷室)の一部・延長として備えられていると評価される場合です。一般的な保冷車・冷蔵車・冷凍車の多くがこの貨物区分に入ります。

とくに、荷室の内側に断熱材を施しただけで冷凍機・冷蔵機を搭載しない「保冷車」は、特種な設備を備えているとは評価されにくく、車両のサイズに応じて普通自動車であれば1ナンバー、小型自動車であれば4ナンバーの貨物自動車として登録されるのが通例です。冷凍機を搭載していても、後述する特種用途自動車の床面積割合などの要件を満たさない場合は、同様に貨物自動車となります。

貨物自動車として成立するための一般的な構造の考え方は次のとおりです。

  • 物品(荷物)を積載するための十分な荷室(物品積載設備)を有していること
  • 荷物の積卸口・荷室の床面積など、貨物車として必要な構造を備えていること
  • 運転者席・客室と荷室との間に適当な隔壁・保護仕切等が設けられていること(一定の小型車を除く)

特種用途自動車(8ナンバー)になる冷蔵冷凍車

特種用途自動車(8ナンバー)とは、主たる使用目的が特種であり、その目的にあわせて定められた構造・装置の要件をすべて満たす自動車をいいます。冷蔵冷凍車については、単に荷物を運ぶための車両ではなく、外気温にかかわらず食料品等を冷蔵・冷凍した状態で運搬することを主目的とし、そのための「特種な設備」を備えた車両として評価される場合に特種用途自動車となります。

判定にあたって特に重要となるのが、特種な設備(冷蔵冷凍のための設備)が車両全体に占める床面積の割合です。依命通達では、特種用途自動車に該当するための要件として、おおむね次の点が示されています。

  • 特種な設備の占有する面積が1平方メートル以上(軽自動車にあっては0.6平方メートル以上)であること
  • 運転者席より後方に備えられた特種な設備の占有する面積が、運転者席を除く客室の床面積、物品積載設備の床面積、および特種な設備の占有する面積の合計の2分の1を超えていること
  • 特種な設備が、ボルト・リベット・溶接等により車体へ確実に固定されていること

この「2分の1を超える」という割合要件が、貨物自動車と特種用途自動車を分ける中心的な基準です。荷室の多くを通常の物品積載スペースとして使う構成では割合要件を満たさず貨物自動車に区分される一方、冷蔵冷凍のための特種な設備が車両後方の過半を占める構成であれば特種用途自動車に区分され得ます。

冷蔵冷凍車に共通して求められる構造要件

用途区分にかかわらず、冷蔵冷凍車として成立するためには、食料品等を適切な温度帯で運搬できる構造であることが求められます。実務上、次のような構造が確認されます。

  • 運転室(客室。客室がない場合は運転者席)と荷室とが隔壁により区分されていること
  • 外気温にかかわらず食料品等を冷蔵・冷凍できる冷蔵冷凍装置(冷凍機・冷蔵機)を有すること(特種用途自動車として登録する場合)
  • 荷室内部が断熱構造とされ、設定温度を保持できること
  • 荷室内の水・ドリップ等が漏洩・飛散しない構造となっていること

これらは、温度帯(チルド・フローズン等)や架装の仕様によって具体的な確認内容が変わります。同じ「冷蔵冷凍車」でも、断熱のみの保冷車か、冷凍機を搭載した冷凍車・冷蔵車かによって用途区分の結論が変わり得る点に注意が必要です。

後付け架装・構造変更時の手続き|構造等変更検査

すでに登録済みの貨物自動車に冷凍機を後付けしたり、荷室を断熱・架装し直したりして、車両の構造・装置・用途が変わる場合には、運輸支局または自動車検査登録事務所での構造等変更検査が必要になることがあります。架装の内容によっては車検証の「用途」が貨物から特種へ(またはその逆へ)変わるため、変更後の構造が用途区分の要件を満たすかどうかを事前に確認しておくことが大切です。

こうした自動車の登録申請や構造等変更検査の代理申請、これに付随する書類の作成は、行政書士がお手伝いできる業務です。一方で、自動車税など税金の取扱いに関するご相談は税理士、貨物自動車運送事業の許可そのものに関するご相談は許認可申請に係る書類作成の範囲で対応し、当事者間の紛争に発展した事案は弁護士の取扱いとなります。なお、自動車取得時に課されていた自動車税環境性能割は2026年4月に廃止されています。費用負担を検討する際はこの点もあわせてご確認ください。

冷蔵冷凍車の登録区分は、車両の構造・架装の仕様によって貨物自動車(1・4ナンバー)になるか特種用途自動車(8ナンバー)になるかが変わり、判定には床面積の割合や構造要件の確認が欠かせません。「自社の車両がどちらに該当するのか」「後付け架装で用途が変わるのか」といったご相談を承っております。料金につきましては個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。詳しくはこちらからお問い合わせください。

まとめ

冷蔵冷凍車は「必ず8ナンバー」ではなく、国土交通省の依命通達「自動車の用途等の区分について」に基づき、貨物自動車(普通1ナンバー・小型4ナンバー)になる場合と特種用途自動車(8ナンバー)になる場合があります。分かれ目は、冷蔵冷凍のための特種な設備の占有面積(1平方メートル以上、軽は0.6平方メートル以上)と、運転者席より後方の特種設備が客室・物品積載設備・特種設備の合計床面積の2分の1を超えるかという割合要件、そして隔壁や設備の固定方法といった構造要件です。断熱のみの保冷車は貨物自動車となるのが通例で、冷凍機を搭載し割合・構造要件を満たす車両が特種用途自動車となります。新規登録や後付け架装に伴う構造等変更検査の代理申請・書類作成については、行政書士法人Treeへお気軽にご相談ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree