車両関連

リコール・改善対策・サービスキャンペーンの対応|道路運送車両法63条の3・所有者通知・無償改修の流れ

約11分で読めます

自動車メーカー等から所有者に届く「リコール」「改善対策」「サービスキャンペーン」は、製造段階の不具合等に対する無償の改修措置です。所有者は通知を受け取ったら、できるだけ早くディーラー・指定整備工場で改修を受ける必要があり、未対応のまま放置すると安全性に支障があるほか、車検(継続検査)の合格・中古車取引・売却時の評価に影響が生じる可能性があります。

本記事では、(1)道路運送車両法第63条の3に基づくリコール届出制度、(2)リコール・改善対策・サービスキャンペーンの3類型の違い、(3)国土交通省・自動車技術総合機構(NALTEC)の役割、(4)所有者への通知方法(ハガキ・登録情報経由)、(5)無償改修の範囲(部品代・工賃・代車費用)、(6)改修未対応車両の車検への影響、(7)中古車取引時の確認義務を、実務目線で解説します。

リコール対象車両の確認、中古車取引時のリコール未対応確認、抹消登録車両のリコール対応をご検討中の方へ。行政書士法人Treeでは、車両関連の各種登録・抹消・名義変更手続をサポートします(実際のリコール改修はディーラー・指定整備工場、リコール届出はメーカー、税務は税理士、紛争性のある事案は弁護士をご紹介します)。

車両関連業務サポートの詳細を見る

目次

  1. リコール制度の概要(道路運送車両法第63条の3)
  2. リコール・改善対策・サービスキャンペーンの3類型の違い
  3. 国土交通省と自動車技術総合機構(NALTEC)の役割
  4. 所有者への通知方法(ハガキ・登録情報経由)
  5. 無償改修の範囲(部品代・工賃・代車費用)
  6. 改修の流れと所要時間
  7. 改修未対応車両と車検(継続検査)の関係
  8. 中古車取引時のリコール確認
  9. 抹消登録車両・廃車車両のリコール
  10. 業務範囲|ディーラー・行政書士・国交省・NALTECの役割
  11. よくある質問

リコール制度の概要(道路運送車両法第63条の3)

リコール制度は、道路運送車両法第63条の3(基準不適合車両に係る届出等)に基づく制度で、自動車メーカー・輸入事業者等が、保安基準に適合しない、または適合しないおそれのある状態にある自動車について、その不具合の原因が設計・製造過程にある場合に、国土交通大臣に届け出たうえで、所有者に通知して無償で改修を行う制度です。

リコールの法的枠組み

  • 道路運送車両法第63条の3(リコール届出制度)
  • 道路運送車両法第63条の4(業務改善命令)
  • 道路運送車両法施行規則
  • 国土交通省の通達・ガイドライン

対象となる不具合

リコールの対象は、保安基準(道路運送車両の保安基準)に適合しないか、適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計または製造過程にあるものです。使用過程での通常の摩耗・経年劣化は対象外です。

リコール・改善対策・サービスキャンペーンの3類型の違い

メーカーから所有者に送られる無償改修通知には、似た名称で性質が異なる3類型があります。

類型 根拠 性質 不具合の重大性
リコール 道路運送車両法第63条の3 法令上の届出制度 保安基準不適合または不適合のおそれ
改善対策 国土交通省通達に基づくメーカーの届出 保安基準は満たすが、商品性・耐久性等の不具合 リコールに次ぐ重要性
サービスキャンペーン メーカー独自の判断 商品性向上等を目的とする任意の改修 軽微な不具合・商品性向上

3類型ともに「無償改修」

3類型いずれもメーカー負担の無償改修で、所有者は部品代・工賃を負担する必要はありません。違いは、不具合の重大性と法的枠組みです。

国土交通省と自動車技術総合機構(NALTEC)の役割

国土交通省の役割

  • リコール届出の受理・公表
  • メーカーへの業務改善命令(道路運送車両法第63条の4)
  • リコール隠しへの罰則適用
  • 国土交通省「自動車のリコール・不具合情報」ウェブサイトでの公開

自動車技術総合機構(NALTEC)の役割

  • 自動車検査(車検)・新規検査の実施
  • 不具合情報の分析(一般ユーザーからの不具合情報受付)
  • リコール対象車両の特定・所有者通知の登録情報照合の協力

不具合情報の通報窓口

自動車に不具合があると感じた場合、国土交通省「自動車のリコール・不具合情報」ウェブサイトを通じて不具合情報を通報することができます。蓄積された情報がメーカーへの調査依頼やリコール届出の端緒となることがあります。

所有者への通知方法(ハガキ・登録情報経由)

通知の流れ

  1. メーカーが国土交通大臣にリコール届出を提出
  2. メーカーが対象車両を特定(製造番号・車台番号で抽出)
  3. メーカーが運輸支局の自動車登録情報(自動車検査登録情報)を活用して所有者・使用者を特定
  4. メーカーから所有者宛にハガキ・郵送で改修通知が送付される
  5. ディーラー・指定整備工場で無償改修を実施

通知が届かないケース

  • 転居後に登録住所を更新していない(住所変更登録)
  • 所有者変更後に名義変更(移転登録)を行っていない
  • 中古車購入時に前所有者が登録情報を更新していない

通知が確実に届くようにするには、転居・所有者変更時に速やかに登録手続を行うことが重要です。

リコール対象かの自分での確認方法

  • 国土交通省「自動車のリコール・不具合情報」ウェブサイトで車台番号を入力して検索
  • 各メーカー公式サイトのリコール情報ページで車台番号検索
  • ディーラー・指定整備工場に車検証を持参して確認

無償改修の範囲(部品代・工賃・代車費用)

リコール・改善対策・サービスキャンペーンによる改修は、すべてメーカー負担の無償です。

無償の範囲

  • 部品代:交換部品・修理材料の費用
  • 工賃:ディーラー・指定整備工場での作業工賃
  • 代車費用:改修期間中の代車提供(メーカー・ディーラーにより取扱いが異なる)
  • 輸送費用:車両の引取り・納車費用(対応有無は事業者により異なる)

無償の対象外

  • 所有者が自費で先行修理してしまった場合の遡及補償(事案によりメーカー判断)
  • リコール起因の事故による損害賠償(製造物責任の問題として別途検討)
  • リコール対象部品以外の同時整備(任意の追加整備として有料)

改修の流れと所要時間

  1. 通知ハガキを確認、ディーラー・指定整備工場に予約
  2. 車両を整備工場に持ち込み(または引取り)
  3. 改修作業(部品交換・プログラム書換等。所要時間は内容により1時間〜数日)
  4. 改修完了の確認、車両受領
  5. 整備記録簿への改修記録の記載(次の車検時の確認に重要)

所要時間の目安

  • プログラム書換等の軽微な改修:1〜2時間
  • 部品交換(ブレーキ・エアバッグ等):半日〜1日
  • エンジン関連・大規模改修:数日〜1週間

改修未対応車両と車検(継続検査)の関係

リコール・改善対策の改修が未実施の車両でも、車検は受けられます(車検そのものの合格・不合格の判定はリコール未対応とは独立)。ただし、次の影響に注意してください。

車検時の確認・案内

  • 車検実施時に、整備工場側でリコール未対応を確認し、所有者に通知・改修案内
  • 車検と同時に改修を実施する場合が多い
  • 整備工場によっては、リコール未対応車両の車検入庫を断る場合もある

事故時の責任

リコール対象であることを知りつつ放置していた状態で事故が発生した場合、所有者の整備義務違反(道路運送車両法第47条の整備管理者の義務、自動車所有者の整備義務)が問われる可能性があります。また、自動車保険の補償範囲も影響を受ける可能性があります。リコール通知を受けたら速やかに改修を受けることが重要です。

中古車取引時のリコール確認

中古車の購入・売却・名義変更時には、リコール対応状況の確認が重要です。

購入時の確認

  • 販売店(中古車販売業者)にリコール対応状況を確認
  • 車検証・整備記録簿でリコール改修記録を確認
  • 自分でも国土交通省・メーカーサイトで車台番号により対象有無を検索
  • 未対応がある場合は、納車前または納車後速やかにディーラーで改修

売却時の通知

  • 過去のリコール対応状況を購入者に正確に説明
  • 未対応のリコールがある場合は事前に申告
  • 整備記録簿で改修記録を引き継ぐ

リコール隠し・未告知のリスク

販売店がリコール対応状況を意図的に隠して販売した場合、不正競争防止法・景品表示法上の優良誤認表示、刑法246条詐欺罪、消費者契約法上の不実告知による取消し、契約不適合責任等が問題となる可能性があります。

抹消登録車両・廃車車両のリコール

一時抹消登録車両

一時抹消登録中の車両でも、再登録(中古車として再販売・自家用復活等)の際にはリコール対応が必要です。メーカーの通知が届かない可能性があるため、再登録時に車台番号でリコール対象か確認するのが安全です。

永久抹消登録(廃車)車両

永久抹消登録された車両は再び公道を走ることがないため、リコール対応は不要となります。ただし、解体時にリコール対象部品が特定の処理を要する場合(電池・燃料系統等)は、解体業者が対応します。

業務範囲|ディーラー・行政書士・国交省・NALTECの役割

  • 自動車メーカー・輸入事業者:リコール届出、所有者通知、改修費用負担
  • ディーラー・指定整備工場:実際のリコール改修作業
  • 国土交通省:リコール届出の受理・公表、業務改善命令、不具合情報の集約
  • 自動車技術総合機構(NALTEC):車検実施、不具合情報の分析
  • 運輸支局:自動車登録情報の管理、所有者・使用者情報の提供(リコール通知のため)
  • 行政書士(行政書士法人Tree):自動車の登録(新規・移転・変更)、抹消登録、車庫証明、名義変更等の運輸支局手続
  • 弁護士:リコール起因の事故による損害賠償、製造物責任、リコール隠しを巡る紛争

中古車取引・名義変更・抹消登録の際のリコール対応確認、抹消登録後の再登録に伴う車両整備の整理は行政書士法人Treeにご相談ください。リコール改修自体はディーラー・指定整備工場、リコール起因の損害賠償は提携弁護士、税務処理は提携税理士をご紹介します。

車両関連業務サポートの詳細を見る

よくある質問

Q. リコール・改善対策・サービスキャンペーンの違いは何ですか.
A. リコールは道路運送車両法第63条の3に基づき保安基準不適合(またはそのおそれ)を改修する制度. 改善対策は保安基準は満たすが商品性・耐久性等の不具合を改修するもの. サービスキャンペーンはメーカー独自判断による任意の改修. 3類型いずれもメーカー負担の無償改修です.

Q. リコール通知が届かない場合はどうしますか.
A. 転居・名義変更時の登録更新がされていないと通知が届かないことがあります. 国土交通省「自動車のリコール・不具合情報」ウェブサイトで車台番号により対象有無を検索できます. メーカー公式サイトでも検索可能です. 確実な通知のため、転居時の住所変更登録、所有者変更時の移転登録を速やかに行ってください.

Q. リコール対象車両は車検に通りませんか.
A. 車検そのものはリコール対応とは独立して合格・不合格が判定されるため、リコール未対応でも車検は受けられます. ただし、車検時に整備工場側がリコール未対応を確認・通知し、同時改修を促す場合が多くなっています. リコール対応は速やかに行ってください.

Q. リコール改修は本当に無料ですか.
A. はい. 部品代・工賃はメーカー負担で所有者の費用負担はありません. 代車費用・引取り納車費用はメーカー・ディーラーにより取扱いが異なります. リコール対象外の同時整備は別途有料です.

Q. リコール対象車両を放置した状態で事故が発生したら責任はどうなりますか.
A. リコール対象であることを知りつつ放置していた場合、所有者の整備義務違反が問われる可能性があります. 自動車保険の補償範囲にも影響することがあるため、通知を受けたら速やかに改修を受けることが重要です. 製造物責任との関係は事案により異なるため、弁護士にご相談ください.

Q. 中古車を購入する際、リコール対応は確認すべきですか.
A. 必須です. 販売店にリコール対応状況を確認するとともに、車検証の車台番号で国土交通省・メーカーサイトでリコール対象を検索してください. 未対応がある場合は、納車前または納車後速やかにディーラーで改修を受けます.

Q. 抹消登録した車両のリコールはどうなりますか.
A. 一時抹消登録の場合、再登録時にリコール対応が必要となるため、再登録前に車台番号で対象有無を確認するのが安全です. 永久抹消登録(廃車)の場合は公道を走ることがないため対応不要ですが、解体時に特殊処理を要する部品については解体業者が対応します.

Q. 古い車両でもリコール対応はできますか.
A. リコールには時効に類する期限の定めはなく、製造から長年経過した車両でも対応されるのが原則です. ただし、年代によっては交換部品の在庫がない・代替部品で対応する等、ケースバイケースの判断となります. ディーラーに車台番号でご確認ください.

まとめ

リコールは道路運送車両法第63条の3に基づき、保安基準に適合しない、または適合しなくなるおそれがある状態にある自動車について、その不具合の原因が設計または製造過程にある場合に、メーカーが国土交通大臣に届け出たうえで所有者に通知して無償で改修を行う制度です。改善対策(保安基準は満たすが商品性・耐久性等の不具合)、サービスキャンペーン(メーカー独自判断による任意改修)と合わせ、3類型ともメーカー負担の無償改修で、所有者の費用負担はありません。

所有者には自動車登録情報を経由してメーカーから通知ハガキが送付されますが、転居・名義変更時の登録更新が滞っていると通知が届かないことがあります。国土交通省「自動車のリコール・不具合情報」ウェブサイトで車台番号により対象有無を検索することで自分でも確認できます。

リコール対象車両でも車検そのものは受けられますが、リコール対応であることを知りつつ放置した状態で事故が発生すると、所有者の整備義務違反が問われる可能性があり、自動車保険の補償範囲にも影響することがあります。通知を受けたら速やかに改修を受けることが重要です。中古車取引時はリコール対応状況の確認・通知が義務的に重要で、未告知は不正競争防止法・景品表示法・詐欺罪・消費者契約法上の問題となる可能性があります。

自動車の登録・抹消登録・名義変更時のリコール対応確認、抹消登録後の再登録に伴う車両整備の整理は行政書士法人Treeにご相談ください。リコール改修自体はディーラー・指定整備工場、リコール起因の事故による損害賠償は提携弁護士、税務処理は提携税理士をご紹介します。

関連記事

※ 本記事は執筆時点の法令(道路運送車両法・同施行規則等)・国土交通省・NALTECの公表情報・運用実務に基づき作成しています。リコール・改善対策・サービスキャンペーンの個別対象車両・改修内容はメーカー・ディーラーの案内によります。リコール起因の事故による損害賠償・製造物責任は事案により異なるため、弁護士へのご相談をお願いいたします。

行政書士法人Tree