ワーキング・ホリデーで来日し、日本での生活や仕事に手ごたえを感じた方から「このまま日本で働き続けたい」というご相談を受けることが増えています。しかしワーキング・ホリデーは、あくまで休暇を過ごすことを主たる目的とする在留資格であり、そのまま無期限に日本で働き続けられる制度ではありません。日本で就職して働き続けるには、在留期間が満了する前に、就労を目的とする在留資格へ変更する手続(在留資格変更許可申請)を済ませておく必要があります。
この記事では、ワーキング・ホリデーの法的な位置づけ(在留資格「特定活動」告示第5号)から、協定を結んでいる国・地域、就労ビザへの変更手続の流れ、変更先として現実的な在留資格、審査で見られるポイント、そして実務上つまずきやすい注意点までを、条文と出入国在留管理庁の公表資料に沿って実務目線で解説します。
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目次
ワーキング・ホリデーとは|在留資格「特定活動」告示第5号の位置づけ
ワーキング・ホリデーは、独立した在留資格の名称ではありません。日本の出入国管理制度上は、在留資格「特定活動」のうち、法務大臣があらかじめ告示で定めた活動の一つとして位置づけられています。この点を正確に理解しておくことが、変更手続を考えるうえでの出発点になります。
根拠となる告示と条文上の書きぶり
根拠となるのは、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(平成2年5月24日法務省告示第131号)、いわゆる特定活動告示です。この告示は繰り返し改正されており、直近の改正は令和8年4月8日法務省告示第31号です。
この告示の第五号が、いわゆるワーキング・ホリデーにあたります。条文は、対象となる国・地域との取決めの適用を受ける者が行う活動として、次のように定めています。
日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため本邦において一定期間の休暇を過ごす活動並びに当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動(風俗営業活動を除く。)
ここから読み取れる制度の性格は明確です。主たる目的は「休暇を過ごすこと」であり、報酬を受ける活動は「休暇のために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内」で認められる、いわば付随的な位置づけにとどまります。就労そのものを目的とする在留資格ではない、ということです。
就労が認められる範囲と、風俗営業活動の除外
ワーキング・ホリデーの実務上のメリットは、原則として資格外活動許可を取得しなくても報酬を受ける活動ができる点にあります。出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第19条第1項は、別表第一の在留資格で在留する者が、その在留資格に応じた活動に属さない収入を伴う事業の運営や報酬を受ける活動を行うことを原則として禁じ、同条第2項の資格外活動許可を受けた場合を例外としています。ワーキング・ホリデーの場合は、告示第5号の活動内容そのものに「報酬を受ける活動」が含まれているため、その範囲内であれば資格外活動許可を別途取得する必要がありません。
ただし、告示第5号は風俗営業活動を明示的に除外しています。告示は「風俗営業活動」の意味を、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項の風俗営業、同条第6項の店舗型性風俗特殊営業、同条第11項の特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの、または同条第7項の無店舗型性風俗特殊営業、同条第8項の映像送信型性風俗特殊営業、同条第9項の店舗型電話異性紹介営業、同条第10項の無店舗型電話異性紹介営業に従事するもの、と具体的に定義しています。
ここで重要なのは、風俗営業が営まれている営業所での就労は、接客業務かどうかを問わず除外の対象になり得るという点です。「調理場での皿洗いだから問題ない」といった自己判断は危険で、後の在留資格変更や在留期間更新の審査において、在留状況に関する消極的な要素として評価される可能性があります。
在留期間と在留カード
在留資格「特定活動」の在留期間は、入管法施行規則別表第二が定めています。ワーキング・ホリデーのように入管法第7条第1項第2号の告示で定める活動を指定される者(いわゆる告示特定活動)の在留期間は、5年、3年、1年、6月又は3月のいずれかです(告示に定めのない特定活動については「5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」とされています)。実際にワーキング・ホリデーで決定される期間は相手国・地域との取決めの内容によって異なりますので、ご自身の在留カードに記載された在留期間の満了日を必ずご確認ください。なお、台湾については告示第5号の2が「一年を超えない期間」と明記しています。
また、「特定活動」で在留する場合、パスポートに貼付される指定書に、法務大臣が個々に指定した活動の内容が記載されます。自分がどの号の特定活動として在留しているのかは、この指定書で確認できます。変更手続を検討するときは、まず指定書の記載を確認するところから始めてください。
ワーキング・ホリデーの協定国・地域|告示に列挙された32の国・地域と台湾
ワーキング・ホリデーは、日本と相手国・地域との間の取決めに基づいて運用されています。取決めの形式は一律ではなく、特定活動告示第5号は、口上書によるもの、協定によるもの、協力覚書によるものの三つに分けて相手国・地域を列挙しています。
口上書に基づく国・地域(18)
告示第5号が「ワーキング・ホリデーに関する口上書」の適用を受ける者として列挙しているのは、次の政府に対するものです。
- オーストラリア政府
- ニュージーランド政府
- カナダ政府
- ドイツ連邦共和国政府
- グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府(英国)
- アイルランド政府
- デンマーク王国政府
- 中華人民共和国香港特別行政区政府
- ノルウェー王国政府
- スロバキア共和国政府
- オーストリア共和国政府
- アイスランド共和国政府
- リトアニア共和国政府
- エストニア共和国政府
- オランダ王国政府
- ウルグアイ東方共和国政府
- ルクセンブルク大公国政府
- マルタ共和国政府
協定に基づく国(11)
「ワーキング・ホリデーに関する日本国政府と……との間の協定」の適用を受ける者として列挙されているのは、次の政府との協定です。
- 大韓民国政府
- フランス共和国政府
- ポーランド共和国政府
- ハンガリー政府
- スペイン王国政府
- チェコ共和国政府
- スウェーデン王国政府
- フィンランド共和国政府
- ラトビア共和国政府
- イスラエル国政府
- イタリア共和国政府
協力覚書に基づく国(3)
「ワーキング・ホリデーに関する日本国政府と……との間の協力覚書」の適用を受ける者として列挙されているのは、ポルトガル共和国政府、アルゼンチン共和国政府、チリ共和国政府との協力覚書です。
以上を合計すると、告示第5号に列挙されている相手国・地域は32となります。
台湾は告示第5号の2で別に規定されている
台湾については、政府間の取決めという形式をとらないため、告示第五号の2で別に規定されています。同号は、告示の別表第三に掲げる要件のいずれにも該当するものとして日本国領事官等の査証(ワーキング・ホリデー査証)の発給を受けた者が、日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため、本邦において一年を超えない期間休暇を過ごす活動と、そのために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動(風俗営業活動を除く)を行うことを認めています。
別表第三が定める要件は次のとおりです。
- ワーキング・ホリデー査証の申請時に台湾の居住者であること
- ワーキング・ホリデー査証の申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
- 一年を超えない期間、本邦において主として休暇を過ごす意図を有すること
- 以前にワーキング・ホリデー査証の発給を二回以上受けていないこと
- 被扶養者を同伴しないこと(当該被扶養者に査証が発給されている場合を除く)
- 台湾の権限のある機関が発行した入管法第2条第5号ロに該当する旅券を所持していること
- 台湾に戻るための旅行切符又は当該切符を購入するための十分な資金を所持していること
- 本邦における滞在の当初の期間に生計を維持するための十分な資金を所持していること
- 健康であり、健全な経歴を有し、かつ、犯罪歴を有しないこと
- 本邦における滞在中に死亡し、負傷し、又は疾病に罹患した場合における保険に加入していること
なお、年齢の上限、年間の査証発給枠、滞在可能期間、同一人が利用できる回数などは、国・地域ごとの取決めによって異なります。告示に明記されているのは台湾についての要件であり、それ以外の国・地域の具体的な条件は取決めの内容によりますので、渡航前の条件については外務省および相手国・地域の日本国大使館・総領事館が公表している最新情報をご確認ください。また、告示に列挙されていても、査証の発給開始時期や運用開始時期は国・地域ごとに異なる場合があります。
なぜ「ワーホリのまま働き続ける」ことができないのか
「今の職場で気に入られたので、このまま続けたい」というご相談は非常に多いのですが、ワーキング・ホリデーの在留資格のままでそれを実現することは制度上できません。理由は三つあります。
理由1:指定された活動の範囲でしか在留できない
「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行う在留資格です。ワーキング・ホリデーとして指定を受けている以上、行える活動は告示第5号(または第5号の2)に定められた「休暇を過ごす活動と、そのための旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動」に限られます。フルタイムの正社員として腰を据えて働くことは、この枠組みが想定する活動とは性質が異なります。
理由2:滞在できる期間の上限が取決めで画されている
ワーキング・ホリデーは相手国・地域との取決めに基づいて滞在期間が定められており、日本国内での在留期間更新によって滞在を無期限に延ばしていくことは想定されていません。国・地域によっては取決めの範囲内で在留期間の更新が認められる場合もありますが、いずれにせよ取決めが上限を画しています。台湾については告示第5号の2が「一年を超えない期間」と明記しています。更新の可否や上限は取決めごとに異なりますので、ご自身のケースについては個別にご確認ください。
理由3:資格外活動許可では解決しない
「資格外活動許可を取れば長く働けるのでは」と考える方がいますが、これは誤りです。入管法第19条第2項の資格外活動許可は、本来の在留資格に応じた活動の遂行を阻害しない範囲内で、それに属さない収入を伴う活動を行うことを許可する制度です。本来の活動(=休暇を過ごすこと)そのものの期間を延ばす効果はありません。
したがって、日本で就職して働き続けたいのであれば、在留期間が満了する前に、就労を目的とする在留資格への変更許可を受けることが唯一の道になります。
就労ビザへの変更手続の全体像|在留資格変更許可申請(入管法20条)
ワーキング・ホリデーからの切り替えは、すでに日本に在留している方の手続ですので、海外から呼び寄せるときに使う「在留資格認定証明書交付申請」ではなく、在留資格変更許可申請で行います。
根拠条文と審査の基本構造
入管法第20条第1項は、在留資格を有する外国人が在留資格の変更を受けることができると定め、同条第2項が法務省令で定める手続により法務大臣に申請しなければならないとしています。そして審査の中心となるのが同条第3項です。
前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。
「相当の理由があるときに限り」「許可することができる」という書きぶりのとおり、変更許可は申請者の権利ではなく、法務大臣の広範な裁量に委ねられた処分です。要件を形式的に満たしていれば自動的に許可されるものではなく、提出した書面によって「変更を認めるのが相当である」と判断してもらえるだけの材料を揃える必要があります。条文が「当該外国人が提出した文書により」と書いている点も見逃せません。口頭での説明ではなく、書面で立証できているかが審査の土台になります。
なお、同条第3項ただし書は「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする」と、短期滞在からの変更にだけ特別に厳しい制限を課しています。逆にいえば、特定活動(ワーキング・ホリデー)からの変更については、このような特別の制限は条文上置かれていません。ワーキング・ホリデーであることのみを理由に一律に変更が認められないという規定は、入管法にも特定活動告示にも存在しません。あくまで第20条第3項の一般的な基準に従って個別に審査されます。
短期滞在からの変更については、短期滞在から在留資格変更は可能?やむを得ない特別の事情と立証を解説で詳しく整理しています。
申請先・申請できる人・手数料・処理期間
出入国在留管理庁が公表している在留資格変更許可申請の概要は次のとおりです。
- 申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
- 申請期間:在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間の満了日以前
- 申請できる人:現に有する在留資格の変更を受けようとする外国人本人(永住者の在留資格への変更を希望する場合を除く)。本人に代わって申請書類を提出できる者として、法定代理人のほか、申請等取次者(受入れ機関の職員、届出済みの行政書士・弁護士など一定の要件を満たす者)等が定められています
- 手数料:許可されるときに窓口申請6,000円/オンライン申請5,500円(収入印紙で納付)。2026年10月1日から、許可される在留期間に応じた額に改定されます(後述)
- 標準処理期間:1か月~2か月
手数料は2025年4月1日に改定されており、2025年3月31日までに受け付けられた申請については改定前の4,000円が適用されます。手数料の根拠は入管法第67条と、具体的な額を定める入管法施行令第25条第1項です。なお、在留資格認定証明書の交付申請には手数料はかかりません。
2026年10月1日から手数料が改定されます
出入国在留管理庁は、2026年10月1日から在留許可手数料を改定することを公表しています。改定後は、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料が一律ではなくなり、許可される在留期間の長さに応じた額になります(改正後の入管法施行令第25条第1項)。公表されている改定後の額は次のとおりです。
- 3月以下:窓口10,000円/オンライン10,000円
- 3月超6月以下:窓口18,000円/オンライン15,000円
- 6月超1年未満:窓口25,000円/オンライン21,000円
- 1年:窓口33,000円/オンライン27,000円
- 1年超3年未満:窓口48,000円/オンライン42,000円
- 3年以上5年未満:窓口64,000円/オンライン56,000円
- 5年以上:窓口75,000円/オンライン65,000円
経過措置として、2026年9月30日までに受け付けられた申請については、許可が10月1日以降になっても改定前の額(窓口6,000円・オンライン5,500円)が適用されます。また、改定後はオンライン申請の手数料の納付方法がコンビニ決済又は銀行決済に変わり、収入印紙では納付できなくなります(別途決済手数料がかかります)。ワーキング・ホリデーからの変更で在留期間1年が決定された場合、改定後は窓口33,000円・オンライン27,000円となる計算で、申請の受付時期によって負担額が大きく変わります。申請を予定している方は、出入国在留管理庁の公表資料で最新の額をご確認ください。
オンライン申請を利用するには事前に利用者情報の登録が必要です。手続の流れは在留資格のオンライン申請|利用者情報登録・対象手続・代理申請の流れで解説しています。また、本人が入管に出頭せずに申請できる仕組みについては申請取次行政書士とは|ビザ申請で本人出頭が免除される仕組み・入管取次の範囲を解説をご覧ください。
在留期間満了までに処分が出ないとき(特例期間)
標準処理期間が1~2か月とされている以上、在留期間の満了間際に申請すると、満了日までに結果が出ないことがあります。この場合に備えて設けられているのが、入管法第20条第6項のいわゆる特例期間です。
第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。
ポイントは三つあります。第一に、期間は処分がされる時か、従前の在留期間の満了日から2か月を経過する日のいずれか早い方までであり、無制限ではありません。第二に、30日以下の在留期間を決定されている者は対象外です。第三に、この期間中に在留できるのは「引き続き当該在留資格をもつて」であり、あくまで従前のワーキング・ホリデーとしての活動が続けられるにすぎません。特例期間に入ったからといって、変更申請中の就労ビザの活動を先取りして開始できるわけではない点に十分ご注意ください。
実務では、在留期間満了日の3か月前を目安に準備を始め、遅くとも1か月半前には申請を済ませることをおすすめしています。
標準的な準備のタイムライン
在留期間満了日から逆算した、実務上の目安は次のとおりです。
- 満了日の4~3か月前:就職先を確定させ、雇用契約書または労働条件通知書を取り交わす。並行して、母国の大学の卒業証明書・成績証明書の取り寄せを開始する
- 満了日の3~2か月前:受入れ機関のカテゴリーを確認し、会社側で用意する資料(登記事項証明書、決算文書の写し、法定調書合計表の写し等)を揃える。専攻内容と職務内容の関連性を整理し、理由書を作成する
- 満了日の2~1.5か月前:在留資格変更許可申請を提出する
- 満了日以降:処分が出ていなければ特例期間(入管法第20条第6項)で在留を継続。許可通知が届いたら手数料を納付し、新しい在留カードの交付を受ける
ここで見落とされがちなのが、会社側の書類準備に想像以上の時間がかかるという点です。特にカテゴリー3・4の中小企業では、決算文書や法定調書合計表の写しを探すところから始まることも多く、申請人本人が「自分の書類は揃ったのに提出できない」という状態になりがちです。就職が決まったら、早い段階で会社の担当者と提出書類の分担を共有しておきましょう。
許可が出たあとの流れ
入管法第20条第4項は、許可することとしたときは、中長期在留者に該当する(又は新たに該当することとなる)場合には在留カードの交付によって通知するものと定めています。そして同条第5項により、許可の効力は在留カードの交付などの措置があった時に生じます。つまり、新しい在留カードを受け取って初めて、変更後の在留資格としての活動を開始できるということです。「許可のはがきが届いた時点から新しい仕事を始めてよい」わけではない点に注意してください。
変更先として現実的な在留資格|技術・人文知識・国際業務を中心に
ワーキング・ホリデーからの変更先として最も多いのが「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国)です。ただし選択肢はそれだけではありません。ご自身の学歴・職歴・職務内容に照らして、どの在留資格が該当するのかを最初に見極めることが重要です。
技術・人文知識・国際業務
技人国は、自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識を必要とする業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する活動を対象とします。該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者などが挙げられています。在留期間は5年、3年、1年又は3月です。
上陸許可基準(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令=平成2年法務省令第16号)は、技人国について次のいずれにも該当することを求めています。
(1)技術・知識系の業務に従事する場合——次のいずれかに該当し、業務に必要な技術・知識を修得していること。
- 当該技術・知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと
- 当該技術・知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程又は専攻科を修了(法務大臣が告示で定める要件に該当する場合に限る)したこと
- 10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程、専修学校の専門課程・専攻科で当該科目を専攻した期間を含む)を有すること
ただし、情報処理に関する技術・知識を要する業務に従事する場合で、法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格し、又は告示で定める資格を有しているときは、この学歴・経験要件は適用されません。
(2)国際業務系の業務に従事する場合——次のいずれにも該当すること。
- 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること
- 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳・通訳・語学の指導に係る業務に従事する場合は不要
(3)報酬要件——日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
ワーキング・ホリデーで来日する方は母国の大学を卒業しているケースが多く、その場合は学歴要件そのものより、専攻内容と職務内容の関連性をどう説明するかが実質的な争点になります。関連性の立証については技人国ビザの学歴要件|大学・専門学校の専攻と職務の関連性の立証、10年の実務経験ルートについては技人国ビザの実務経験10年要件|大学・専門学校卒業者の違いと証明資料・不許可対策、情報処理技術者の特例については技人国ビザのIT技術者特例|情報処理試験合格による学歴要件免除制度を解説が参考になります。
特定技能1号
学歴要件を満たさない場合でも、現場業務を続けたいのであれば特定技能1号が選択肢になります。特定技能の特定産業分野は19分野です。特定産業分野を定める省令(平成31年法務省令第6号)が令和8年3月31日法務省令第22号で改正され、令和8年(2026年)4月1日から、従前の16分野にリネンサプライ・物流倉庫・資源循環が追加されて19分野となりました。ただし、追加された3分野は告示基準の整備や技能試験の実施を経て順次受入れが可能になっていく段階にありますので、実際に受入れができるかどうかは分野ごとに最新の運用をご確認ください。
特定技能1号への変更には、原則として分野別の技能試験と日本語試験の合格が必要で、さらに受入れ機関側で支援体制の整備や協議会加入などの要件を満たす必要があります。ワーキング・ホリデー中に試験を受験しておき、合格後に変更申請するという進め方が現実的です。
介護・技能・教育・企業内転勤など
介護福祉士の国家資格を取得している場合は在留資格「介護」、外国料理の調理師などで一定の実務経験がある場合は「技能」、日本の小中高等学校等で語学教育等に従事する場合は「教育」など、職務内容に応じた在留資格が用意されています。いずれも上陸許可基準に固有の要件が定められていますので、職務内容から逆算して検討することになります。
経営・管理(起業する場合)
日本で会社を設立して事業を行う場合は「経営・管理」への変更を検討することになりますが、この在留資格は2025年10月16日施行の上陸基準省令改正で要件が大きく厳格化されました。現行の基準は、事業所の確保に加えて、経営・管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤職員が従事して営まれること、事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む)が3,000万円以上であること、事業の経営を行う者または常勤で従事する者のいずれかが高度に自立して日本語を理解し使用できる水準以上の能力を有すること、経営管理分野等の博士・修士・専門職学位を有するか経営・管理について3年以上の経験を有すること、などを求めています。詳細は経営管理ビザの2025年10月16日改正|資本金3,000万円・常勤職員1名・日本語N2・事業計画書専門家確認と2028年10月までの経過措置で解説しています。
なお、育成就労制度は2027年施行予定で、育成就労産業分野は17分野とされています。ワーキング・ホリデーからの直接の変更先として一般的に想定されるものではありませんが、制度全体の見取り図として押さえておくとよいでしょう。
審査で見られるポイント|変更・更新許可のガイドライン8項目
出入国在留管理庁は「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正 令和8年6月)を公表しており、第20条第3項の「相当の理由」の判断で考慮される要素を明らかにしています。項目は次の8つです。
- 行おうとする活動の該当性——申請に係る在留資格に対応する活動を行おうとしていること
- 上陸許可基準等への適合——法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
- 素行が不良でないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
- 納税義務等を履行していること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
ワーキング・ホリデーからの変更で特に問題になりやすい項目
3番目の「現に有する在留資格に応じた活動」は、ワーキング・ホリデーからの変更では注意が必要な項目です。前述のとおり、告示第5号の活動は「休暇を過ごす活動」が主で、報酬を受ける活動は旅行資金を補うため必要な範囲内とされています。滞在中ほぼ休みなくフルタイム同然に働いていた、あるいは風俗営業が営まれている営業所で就労していたといった事情は、この項目で消極的に評価されるおそれがあります。
7番目の「納税義務等の履行」も見落とされがちです。アルバイト先で源泉徴収されていた所得税のほか、住民税の納付状況も確認され得ます。高額・長期の未納がある場合、悪質なものは消極的に評価されるとされています。なお、税額の計算方法や確定申告書の作成、納税に関する具体的な相談は税理士の業務範囲ですので、ご自身の納税状況に不明点がある場合は税理士にご確認ください。
8番目の「届出等の義務の履行」については、住居地の届出(入管法第19条の7以下)が代表例です。引っ越しをしたのに市区町村への届出をしていない、といった状態は在留管理上マイナスに働きます。
また、6番目の「雇用・労働条件の適正性」との関係で、雇用契約書・労働条件通知書の内容が労働関係法令に適合しているか、最低賃金を下回っていないか、社会保険の加入予定が適切かといった点も確認されます。
必要書類の考え方|カテゴリー区分と立証資料
技人国への変更を例にとると、提出書類は受入れ機関の規模等に応じたカテゴリーによって大きく変わります。出入国在留管理庁が示すカテゴリーの区分は次のとおりです。
- カテゴリー1:日本の証券取引所に上場している企業、保険業を営む相互会社、国・地方公共団体、独立行政法人、特殊法人・認可法人、公益法人、法人税法別表第一の公共法人、イノベーション創出企業、一定の条件を満たす企業など
- カテゴリー2:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人、又は在留申請オンラインシステムの利用申出が承認されている機関
- カテゴリー3:前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
- カテゴリー4:上記のいずれにも該当しない団体・個人
カテゴリー1・2は提出書類が大幅に簡略化される一方、カテゴリー3・4では会社の登記事項証明書、直近年度の決算文書の写し、事業内容を明らかにする資料など、受入れ機関の実在性・安定性・継続性を示す資料が広く求められます。設立間もない企業に就職する場合は、事業計画書などで今後の見通しを説明する必要が出てきます。カテゴリー判定の実務は技人国ビザのカテゴリー1〜4区分の判定方法|2026年対応・必要書類の違いを解説にまとめています。
共通して準備する書類
カテゴリーを問わず、おおむね次のような書類が必要になります。
- 在留資格変更許可申請書(申請人等作成用・所属機関等作成用)
- 写真(規格に適合するもの)
- パスポート及び在留カード(提示)
- 雇用契約書又は労働条件通知書の写し(活動内容・期間・報酬・地位が明示されたもの)
- 学歴を証明する資料(卒業証明書、学位記の写し等)/実務経験で立証する場合は在職証明書等
- 専攻内容を証明する資料(成績証明書、履修科目一覧等)
母国の大学の卒業証明書や成績証明書は、取り寄せに数週間から1か月以上かかることも珍しくありません。変更を考え始めた時点ですぐに手配を始めるのが実務上のコツです。外国語の書類には日本語訳を添付します。
理由書の役割
申請書と定型書類だけでは、審査官に対して「なぜこの人をこの職務で採用する必要があるのか」「専攻と業務がどう結び付くのか」を十分に伝えられないことがあります。そこで実務上重要になるのが理由書(採用理由書・申請理由書)です。採用に至った経緯、会社の事業内容と当該ポストの位置づけ、具体的な業務内容と一日の業務の流れ、学歴・職歴との関連性、報酬の決定根拠などを筋道立てて説明します。書き方の構成は技人国ビザ理由書の書き方|採用経緯・業務内容・関連性の構成と必要書類・不許可対策で詳しく解説しています。
不許可になりやすいパターンとその対策は技人国ビザの不許可事例と再申請対策|2026年の制度変更(言語要件・手数料)対応を併せてご確認ください。
ワーキング・ホリデーからの変更で特に注意したい実務ポイント
「一度帰国が必要」と言われたときの考え方
インターネット上には「ワーホリからの変更は一度母国に帰る必要がある」といった情報が散見されます。しかし前述のとおり、入管法第20条には短期滞在からの変更に関するただし書はあっても、特定活動(ワーキング・ホリデー)からの変更を制限する規定はありません。日本国内から在留資格変更許可申請を行うこと自体は制度上可能です。
もっとも、相手国・地域との取決めの内容は一律ではなく、また第20条第3項の「相当の理由」の判断は個別具体的です。実際に許可を得られるかどうかは、活動の該当性・上陸許可基準への適合・在留状況などを総合的に見て判断されます。一律に不可でもなければ、一律に可でもない——これが正確な理解です。ご自身のケースについては、指定書と在留カードの記載を確認したうえで、個別に検討する必要があります。
入社日が在留期間満了より後になる場合
「4月入社の内定は出たが、ワーホリの在留期間は2月末まで」というケースは頻繁に起こります。この場合、在留期間満了日以前に変更申請を済ませておけば特例期間の対象になりますが、特例期間中に行えるのは従前のワーキング・ホリデーとしての活動だけです。また、特例期間は最長でも従前の在留期間満了日から2か月です。入社日と在留期間満了日のギャップが2か月を超える場合は、そもそもスケジュール設計に無理があるということになりますので、内定段階で入社日を前倒しできないか、会社と早めに調整することをおすすめします。
変更許可後に転職・退職したとき
技人国などに変更した後は、入管法第19条の16第2号により、契約の相手方である本邦の公私の機関の名称・所在地の変更、その消滅、当該機関との契約の終了又は新たな契約の締結が生じたときは、その事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁長官への届出が必要になります。ワーキング・ホリデー(特定活動)はこの条文が列挙する在留資格に含まれていないため届出義務がありませんが、変更後は義務が発生する点に注意してください。
転職する場合は、新しい職務内容が現に有する在留資格に該当するかどうかを確認するため、入管法第19条の2の就労資格証明書の交付申請を活用するのが実務上有効です。詳しくは技人国ビザで転職したら14日以内に届出!就労資格証明書と3か月ルールをご覧ください。
家族の帯同
ワーキング・ホリデーでは、原則として被扶養者を同伴しない前提の制度設計になっています(台湾については別表第三第五号に明記されています)。一方、技人国などの就労資格に変更した後は、配偶者や子について在留資格「家族滞在」を検討できるようになります。ただし家族滞在は扶養を受けて日常的な活動を行うための在留資格であり、就労するには資格外活動許可が必要です。家族滞在からの就労系在留資格への切り替えについては家族滞在ビザから就労ビザへ変更|技人国・特定技能・資格外活動超過の注意点をご参照ください。
受入れ企業側の手続
企業側にも留意点があります。外国人を雇い入れたとき・離職したときは、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に基づく外国人雇用状況の届出をハローワークに行う義務があります。また、在留カードの原本を確認して就労が認められる在留資格かを確認することも欠かせません。ワーキング・ホリデーの在留カードには就労制限に関する記載がありますので、指定書と併せて確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1.ワーキング・ホリデーの在留期間中に、変更申請の準備を進めても問題ありませんか
問題ありません。むしろ推奨されます。ただし、変更許可を受ける前に、変更後の在留資格に対応する活動(フルタイムの正社員としての就労など)を先行して開始してしまうと、資格外活動として扱われるおそれがあります。許可が下りるまでは、あくまでワーキング・ホリデーの範囲内の活動にとどめることが大原則です。
Q2.大学を卒業していませんが、技人国に変更できますか
技術・知識系の業務であれば10年以上の実務経験、国際業務であれば当該業務に関連する3年以上の実務経験というルートがあります。また情報処理分野では法務大臣が告示で定める試験の合格・資格の保有により学歴要件が不要になる特例があります。ご自身の職歴でこれらを立証できるかどうかが分かれ目になります。
Q3.アルバイト先の飲食店にそのまま就職したいのですが、技人国に変更できますか
接客・調理・レジ打ちといった業務が中心の場合、技人国が想定する「自然科学・人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務」または「外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務」に該当しないと判断される可能性が高くなります。店舗運営の企画、海外向けマーケティング、インバウンド対応の翻訳・通訳など、業務の実態が明確に該当するといえるかを冷静に検討する必要があります。該当が難しい場合は、特定技能1号など別のルートを検討することになります。
Q4.変更が不許可になったらどうなりますか
不許可の場合、原則として従前の在留資格・在留期間の範囲でしか在留できません。すでに在留期間が満了しているときは、出国準備のための在留資格「特定活動」(短期間)が付与される取扱いがあり得ますが、その期間は限られます。不許可の理由を確認したうえで、要件を満たす形に整えて再申請するのか、出国してあらためて在留資格認定証明書交付申請から進めるのかを判断することになります。
Q5.オンライン申請と窓口申請、どちらがよいですか
2026年9月30日までに受け付けられる申請では、手数料はオンライン申請が5,500円、窓口申請が6,000円で、オンラインの方が500円安く設定されています。2026年10月1日以降に受け付けられる申請では、許可される在留期間に応じた額に改定され、窓口とオンラインの差も大きくなります(在留期間1年の場合、窓口33,000円・オンライン27,000円)。オンライン申請は出頭が不要で、混雑する入管窓口に並ぶ必要がない点も利点です。ただし利用者情報の事前登録が必要で、対象手続や添付できるファイル形式に制約がありますので、案件の性質に応じて選択してください。
Q6.在留期間はどれくらいもらえますか
技人国の在留期間は5年、3年、1年又は3月です。どの期間が決定されるかは、受入れ機関の規模や安定性、申請人の在留状況などを踏まえて個別に判断されます。ワーキング・ホリデーからの初回の変更では1年が決定されるケースが多く見られますが、期間の長短は許可・不許可とは別の問題ですので、まずは許可を得ることに注力するのが現実的です。
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まとめ
ワーキング・ホリデーは、在留資格「特定活動」のうち特定活動告示(平成2年法務省告示第131号、最近改正 令和8年4月8日法務省告示第31号)第5号・第5号の2に定められた活動です。条文上、主たる目的は「休暇を過ごすこと」であり、報酬を受ける活動は旅行資金を補うため必要な範囲内に限られ、風俗営業活動は明示的に除外されています。この性格を理解しておくことが、変更手続を考える出発点になります。
告示第5号に列挙されている相手国・地域は、口上書18・協定11・協力覚書3の合計32で、これに第5号の2の台湾が加わります。年齢の上限や滞在可能期間、利用回数などは取決めごとに異なり、告示に具体的な要件が明記されているのは台湾(別表第三/18歳以上30歳以下、査証発給を二回以上受けていないことなど)です。渡航条件は外務省等の最新情報でご確認ください。
日本で働き続けるには、在留期間の満了日以前に在留資格変更許可申請(入管法第20条)を行う必要があります。手数料は窓口6,000円・オンライン5,500円ですが、2026年10月1日から在留期間に応じた額に改定されます。標準処理期間は1~2か月で、満了日までに処分が出なければ同条第6項の特例期間により最長2か月在留を継続できます。入管法には特定活動からの変更を一律に制限する規定はありませんが、許可は第20条第3項の裁量判断です。
変更先として最も多い技術・人文知識・国際業務では、上陸許可基準として学歴(大学卒業等)または実務経験(技術・知識系は10年、国際業務は3年)と、日本人と同等額以上の報酬が求められます。加えて、出入国在留管理庁の変更・更新許可のガイドライン8項目——活動の該当性、基準適合、現在の在留資格に応じた活動、素行、独立生計、雇用・労働条件、納税義務、届出義務——が総合的に評価されます。納税や届出の履行状況は、渡航時から意識しておきたいところです。
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※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


