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産廃許可は承継できる?産業廃棄物処理業の事業承継|株式譲渡・事業譲渡・合併・相続の許可手続

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産業廃棄物処理業(収集運搬業・処分業)を後継者や別法人へ引き継ぐとき、最も注意すべきは「許可がそのまま承継できるとは限らない」という点です。建設業許可では令和2年10月1日施行の改正で事業承継・相続の認可制度(建設業法第17条の2・第17条の3)が整い、事業譲渡・合併・分割は事前認可、相続は死亡後30日以内の認可により、要件を満たせば空白期間なく地位を引き継げるようになりました。一方、産業廃棄物処理業の許可(廃棄物処理法第14条第1項・第6項)には、これと同等の「業の許可そのものを承継する」制度が用意されていません。本記事では、行政書士の立場から、合併・分割・相続・譲渡それぞれのケースで許可がどう扱われるか、無許可営業を避けるための実務手順を整理して解説します。

大前提:産廃処理業の「許可」は原則として承継できない

産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可は、申請した法人・個人の能力(経理的基礎・技術的能力・施設・欠格要件への非該当)を審査して、その者に対して個別に与えられる許可です。許可は事業者に専属するため、許可そのものを他者へ譲渡したり、相続によって引き継いだりすることは原則できません。建設業許可のような業の承継認可制度が産廃処理業にはない、という点が大きな特徴です。

そのため、誰が・どの方法で事業を引き継ぐか(スキーム)によって、必要な手続きが大きく変わります。「会社ごと引き継ぐのか」「事業(資産)だけを引き継ぐのか」「個人の死亡に伴うのか」を最初に切り分けることが出発点になります。

スキーム別に見る許可の扱い

事業承継の主な方法ごとに、産廃処理業の許可がどうなるかを整理します。

承継の方法 許可の扱い 主な手続き
株式譲渡(会社ごと譲渡) 法人格が存続するため許可は継続 役員・株主等の変更届
事業譲渡(資産・事業のみ譲渡) 許可は承継できない 譲受側で新規許可申請
合併(吸収・新設) 消滅会社の許可は消滅 存続・新設会社で新規許可が必要
会社分割 許可は承継できない 承継会社で新規許可が必要
個人事業主の死亡(相続) 業の許可は消滅(一身専属)。ただし処理施設の設置許可は相続届により地位承継できる場合あり 業を続ける相続人は新規許可申請。施設の設置許可がある場合は相続届も必要

株式譲渡なら許可は維持できる

後継者や買い手に株式を譲渡する方法であれば、許可を持つ法人格はそのまま存続します。許可番号も有効期間も変わらず維持されるため、産廃許可の観点では最もスムーズです。ただし、代表者・役員・株主・出資者の変更が生じるため、所管の都道府県知事・政令市長へ変更届を提出する必要があります。役員等の変更は届出期限が定められており、自治体によって運用が異なるため、変更後は速やかな届出が求められます。新たな役員等が欠格要件に該当しないことも前提となります。

事業譲渡・合併・分割は「新規許可」が原則

事業譲渡では、許可は譲渡人に残ったままで譲受人へは移りません。譲受人が産廃処理を行うには、自社で新たに許可を取得する必要があります(新規許可の要件・手続の詳細は産業廃棄物収集運搬業許可申請の完全ガイドをご参照ください)。合併も同様で、吸収合併によって消滅する会社の許可は消滅し、存続会社が承継することはできません。会社分割でも、分割で事業を受け継ぐ会社が改めて許可を取得しなければなりません。

新規許可の審査には時間がかかります。収集運搬業(積替え保管を含まない)では標準処理期間がおおむね60日(約2か月)とされる自治体が多く、処分業(中間処理・最終処分)や処理施設が関わる場合は数か月を要するのが一般的です。許可が下りるまでの「空白期間」に産廃の収集運搬・処分を行えば無許可営業となり、廃棄物処理法違反として重い罰則の対象になります。組織再編の効力発生日(合併・分割の登記日)に合わせて、あらかじめ許可を取得しておく段取りが欠かせません。

処理施設(設置許可)は承継できる場合がある

混同しやすいのが、「業の許可」と「処理施設の設置許可」の違いです。焼却施設や最終処分場などの産業廃棄物処理施設の設置許可については、廃棄物処理法第15条の4が、譲受け・借受け、合併・分割、相続による施設設置者の地位の承継に関する規定を準用しており、次のとおり地位を承継できる制度があります。

  • 譲受け・借受け:施設を譲り受け・借り受けて引き継ぐ場合は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けることで設置者の地位を承継できます。
  • 合併・分割:法人の合併・分割により施設を引き継ぐ場合は、あらかじめ都道府県知事の認可を受けることで地位を承継できます。
  • 相続:施設設置者について相続があった場合は、相続人が設置者の地位を承継し、相続の日から30日以内に都道府県知事への届出が必要です。

ただし、これはあくまで「施設の設置許可」を引き継ぐ制度です。施設の設置許可を承継しても、その施設を使って産業廃棄物の処分を業として行うには、別途、処分業の許可が承継先に必要である点に注意してください。施設は引き継げても、業の許可は別に取得が必要、という二段構えになります。

相続が発生したときの実務上の注意

個人で産廃処理業の許可を受けていた方が亡くなった場合、その許可は消滅します。相続人が同じ事業を続けるには、相続人名義で改めて新規許可を申請する必要があり、許可が下りるまでは産廃処理を行えません。事業を止められない現場では、生前の早い段階で法人化したうえで株式の承継を準備しておくなど、空白期間を作らない設計が重要です。

相続にあたっては、許可の問題だけでなく、車両(事業用自動車)の名義変更、契約先との委託契約・マニフェスト運用の引継ぎ、許可更新時期の確認など、付随する手続きも生じます。なお、相続放棄や限定承認、相続税の申告、相続登記といった手続きは産廃許可とは別の専門領域です。これらは司法書士・税理士・弁護士と連携してサポートいたします。

欠格要件と更新時期の確認を忘れずに

どのスキームでも、新たに許可を受ける者・新たな役員等が欠格要件(廃棄物処理法上の準用規定)に該当しないことが必須です。たとえば、一定の刑(拘禁刑など。令和7年6月1日施行の刑法改正で従来の懲役・禁錮は原則「拘禁刑」に一本化されました)に処せられて一定期間を経過していない場合などは許可を受けられません。役員・株主が変わる承継では、新たな関係者全員について欠格要件のチェックが必要です。

あわせて、引き継ぐ許可の有効期間(更新時期)も確認しましょう。産廃処理業の許可は更新が必要で、承継・組織再編のタイミングと更新期限が重なると手続きが煩雑になります。建設業許可の承継手続きとあわせて検討したい場合は、当事務所の建設業許可の譲渡・承継ガイドもご参照ください。

当事務所のサポート(CTA)

行政書士法人Treeでは、産業廃棄物収集運搬業・処分業の新規許可申請・変更届・更新申請、組織再編に伴う許可の取り直しの段取り、処理施設に関する手続きまで、事業承継の全体像を踏まえて一貫してサポートします。合併・分割・相続のスケジュールに合わせ、無許可営業の空白期間が生じないよう許可取得の計画を組み立てます。料金は案件の内容により異なりますので、個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。まずは許認可手続のご相談はこちらからお気軽にどうぞ。

まとめ

産業廃棄物処理業の許可は事業者に専属し、合併・分割・事業譲渡・相続では原則として承継できず新規許可が必要です。会社ごと引き継ぐ株式譲渡なら許可は維持され、役員等の変更届で足ります。処理施設の設置許可は第15条の4により譲受け・借受け・合併・分割・相続で地位を承継できる場合がありますが、業の許可は別に取得が必要です。どのケースでも、無許可営業の空白期間を作らないよう、効力発生日から逆算した許可取得のスケジュール管理が成否を分けます。早めの準備と専門家の活用をおすすめします。

産業廃棄物処理業の事業承継に関するよくある質問

Q:合併すれば消滅会社の産廃許可を存続会社が引き継げますか。

A:いいえ。吸収合併で消滅する会社の許可は消滅し、存続会社が当然に承継することはできません。存続会社・新設会社が改めて許可を取得する必要があります。効力発生日までに許可を得ておくよう段取りしてください。

Q:株式譲渡と事業譲渡では手続きはどう違いますか。

A:株式譲渡は法人格が存続するため許可はそのまま維持され、役員・株主等の変更届で対応します。事業譲渡は許可が移らないため、譲受側での新規許可申請が必要です。許可の継続を重視するなら株式譲渡が有利な場合が多いです。

Q:個人で許可を持つ父が亡くなりました。事業を続けられますか。

A:個人の許可は死亡により消滅するため、相続人が改めて新規許可を申請する必要があります。許可が下りるまで産廃処理は行えません。事業継続には生前の法人化など、空白期間を作らない準備が有効です。

Q:処理施設だけは引き継げると聞きました。本当ですか。

A:処理施設の設置許可は、譲受け・借受け(都道府県知事の許可)、合併・分割(都道府県知事の認可)、相続(相続の日から30日以内の届出)により設置者の地位を承継できる制度があります。ただし、その施設で処分を業として行うには、別途、処分業の許可が承継先に必要です。

Q:許可の取り直しにはどれくらい時間がかかりますか。

A:収集運搬業(積替え保管なし)では標準処理期間がおおむね60日(約2か月)とされる自治体が多く、処分業や施設が関わる場合は数か月かかるのが一般的です。組織再編の効力発生日から逆算し、早めに申請準備を始めることが重要です。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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