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「つきまとい」「待ち伏せ」「執拗なメッセージ」——ストーカー被害を受けたとき、警察への相談に加えて告訴状の提出という手段があります。ストーカー規制法違反は2017年の法改正で非親告罪となったため、告訴がなくても検察官は起訴できますが、被害事実を正確に記録し処罰意思を明確に伝えるうえで、告訴状の提出は有力な手段です。
ストーカー被害で告訴状を提出する際のポイントは、(1)つきまとい等の行為を規制法第2条の類型に沿って特定、(2)行為の反復性を時系列で整理、(3)恋愛感情等の目的を示す事情の記載、(4)証拠の添付の4点です。
「ストーカー被害の証拠をどうまとめればよいかわからない」「警察に相談したが告訴状の書き方がわからない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴状の作成を代行いたします。相談は何度でも無料です。
目次
ストーカー規制法とは?規制される行為の全体像
ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われる「つきまとい等」および「位置情報無承諾取得等」を規制する法律です。
ストーカー規制法では、規制対象となる行為を大きく2つに分けています。1つ目は「つきまとい等」(法第2条第1項各号)で、8つの行為類型が定められています。2つ目は「位置情報無承諾取得等」(法第2条第3項)で、GPS機器や紛失防止タグを使った位置情報の無断取得・機器の無断装着が対象です(政府広報等では両者を合わせて「10類型」と説明されることもあります)。これらの行為を反復して行った場合に「ストーカー行為」として処罰の対象となります(法第2条第4項)。
つきまとい等の8つの行為類型
| 号 | 行為類型 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1号 | つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき | 自宅や勤務先付近で待ち伏せする、帰宅ルートを尾行する |
| 2号 | 行動監視の告知 | 「今日○○にいたでしょう」と行動を把握していることを伝える |
| 3号 | 面会・交際等の要求 | 拒否しているのに復縁を迫る、面会を繰り返し要求する |
| 4号 | 著しく粗野・乱暴な言動 | 自宅前で大声を出す、物を投げつける |
| 5号 | 無言電話・連続した電話・メール・SNS送信 | 1日に数十回の着信、拒否後もLINEやDMを送り続ける |
| 6号 | 汚物等の送付 | 動物の死体や汚物を郵送する |
| 7号 | 名誉を害する事項の告知 | 誹謗中傷の文書を周囲にばらまく、SNSに虚偽の情報を書き込む |
| 8号 | 性的羞恥心を害する行為 | わいせつな写真を送りつける、卑猥な言葉を告げる |
2025年12月30日施行の改正により、紛失防止タグ(AirTag等)を用いた位置情報の無断取得・無断装着も新たに規制対象に加わりました。また、被害者からの申出がなくても警察の職権で警告を発出できるようになっています。
ストーカー規制法違反の罰則と非親告罪化
ストーカー規制法違反の罰則は、行為の態様に応じて段階的に定められています。2025年6月1日の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されています。
| 違反の態様 | 法定刑 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| ストーカー行為 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 法第18条 |
| 禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 | 法第19条 |
| 禁止命令等に違反した場合(ストーカー行為に至らない場合) | 6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 法第20条 |
ストーカー規制法違反は2017年1月の法改正で非親告罪となりました。被害者が告訴しなくても検察官は起訴できます。しかし、被害の全容を捜査機関に正確に伝え、処罰意思を明示するうえで告訴状の提出は依然として有効な手段です。告訴を受理した場合、捜査機関には捜査義務が発生します(刑事訴訟法第242条)。
ストーカー被害の告訴状はどう書く?作成手順を解説
告訴状に法定の書式はありませんが、捜査機関に受理されやすい構成があります。以下のステップに沿って作成してください。
ステップ1: 表題・宛先を記載する
「告 訴 状」と表題を記載し、宛先は被害地を管轄する○○警察署長 殿とします。検察庁への直接提出も可能ですが、ストーカー事案は緊急性が高いため、まず警察署に提出するのが一般的です。
ステップ2: 告訴人・被告訴人の情報を記載する
告訴人(被害者)は氏名・住所・生年月日・職業・連絡先を記載します。被告訴人(加害者)は判明している範囲で氏名・住所を記載します。氏名が不明でも「被告訴人 氏名不詳(○○の特徴を有する男性/女性)」として告訴することは可能です。
ステップ3: 告訴の趣旨を記載する
「被告訴人の下記所為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律第18条(ストーカー行為)に該当すると思料されるので、捜査の上、厳重に処罰されたく告訴いたします。」と処罰意思を明示します。禁止命令違反がある場合は第19条も併記します。
ステップ4: 告訴の事実を具体的に記述する
ストーカー行為に該当する事実を時系列で具体的に記述します。この部分が告訴状の核心です。以下のポイントを意識してください。
- 行為の特定: つきまとい等の各号のどれに該当するかを意識し、日時・場所・行為内容を具体的に記述する
- 反復性の明示: ストーカー行為の成立には「反復」が要件。複数回にわたる行為を時系列の一覧表で整理する
- 恋愛感情等の目的: 行為の背景にある恋愛感情や怨恨の感情が推認できる事情(交際の経緯、復縁要求の内容等)を記載する
- 被害の程度: 身体的被害のほか、恐怖心・不安感・日常生活への支障も記載する
ステップ5: 経緯と証拠資料を記載する
交際や面識の経緯、ストーカー行為が始まった背景、警察への相談歴(警告・禁止命令の有無)などを補足します。添付する証拠の一覧もここに記載します。
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ストーカー被害の告訴ではどのような証拠を集めるべき?
ストーカー事案では、個々の行為だけでなく反復性を証明する証拠が特に重要です。日常的に記録を残す習慣が、告訴状の説得力を大きく左右します。
| 証拠の種類 | 具体例 | 保全のポイント |
|---|---|---|
| 通信記録 | 着信履歴、メール・LINE・DMのスクリーンショット | 日時が表示された状態でスクリーンショットを保存。端末を初期化しない |
| 映像・写真 | 防犯カメラ映像、つきまとい行為の写真・動画 | 防犯カメラ映像は上書きされる前に保存依頼。スマートフォンでの撮影も有効 |
| 被害記録 | 被害日誌(日時・場所・行為内容を記録したノート) | 毎回の被害を直後に記録する。手書きノートのほかスマートフォンのメモアプリも可 |
| 送付物 | 手紙、贈り物、汚物等の現物 | 素手で触らずビニール袋に保管。封筒は消印が証拠になる |
| 第三者の証言 | 目撃者の供述、家族・同僚への相談記録 | 目撃者の連絡先を控えておく |
| 警察への相談記録 | 相談受理票、警告書の写し、禁止命令通知書 | 相談のたびに受理番号を控える |
| 医療記録 | PTSD・不眠等の診断書 | 精神的被害がある場合は早めに受診し診断書を取得 |
警告・禁止命令と告訴の関係はどうなる?
ストーカー規制法には、刑事告訴とは別に行政的な保護措置として「警告」と「禁止命令」の制度があります。被害者はこれらの手続きと告訴を併用することが可能です。
- 警告(法第4条): 被害者の申出または警察の職権により、警察本部長等が加害者に対してつきまとい等をやめるよう警告を発する。2025年12月の改正で、被害者の申出がなくても職権で警告できるようになった
- 禁止命令(法第5条): 警告を経ても行為が続く場合、または緊急の必要がある場合に、公安委員会が禁止命令を発令する。命令に違反するとそれ自体が犯罪となる(法第20条)
- 告訴: 上記の行政手続きとは別に、ストーカー行為について刑事告訴が可能。警告・禁止命令の段階を経ずに直接告訴することもできる
なお、禁止命令に違反してストーカー行為を行った場合は法定刑が加重されます(法第19条:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金)。告訴状には、警告・禁止命令の経緯があればその旨も記載しておくと、行為の悪質性を示す材料になります。
告訴状の記載で注意すべきポイント
ストーカー被害の告訴状では、一般的な告訴状と比べて以下の点に特に注意が必要です。
- 恋愛感情等の目的要件を明記する: ストーカー規制法の適用には「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情」が必要。単なる嫌がらせや近隣トラブルは規制法の対象外となるため、動機を裏付ける事情を記載する
- 反復性を一覧表で示す: 被害行為の日時・場所・内容・該当する号数を表形式でまとめると、「反復して」行われたことが一目で分かる
- 他の犯罪との競合を意識する: ストーカー行為に伴って傷害・脅迫・住居侵入等が発生している場合は、それらの罪名も併記して告訴することが考えられる
- 被害者の安全確保に触れる: 告訴状提出後に加害者の報復が懸念される場合は、被害者の住所を秘匿する旨の上申書を別途提出する方法がある
よくある質問
Q. ストーカー規制法違反は告訴しなくても捜査されますか?
はい。ストーカー規制法違反は2017年1月の改正で非親告罪となりました。被害者が告訴しなくても、捜査機関の判断で捜査・起訴が可能です。ただし、被害の全容を正確に伝え処罰意思を明示するために告訴状を提出することは、捜査の端緒として有効な手段です。
Q. ストーカー行為の公訴時効は何年ですか?
ストーカー行為罪(法第18条)の公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。禁止命令違反によるストーカー行為罪(法第19条)も同じく3年です。犯罪行為が終わった日から起算されます。
Q. 元交際相手以外からのストーカー行為も規制法の対象ですか?
はい。ストーカー規制法の対象は「恋愛感情その他の好意の感情」に基づく行為です。元交際相手に限らず、一方的な好意を抱いている相手(面識がない場合も含む)からの行為も対象となります。ただし、恋愛感情等と無関係な嫌がらせ(近隣トラブル等)は規制法の対象外となるため、その場合は脅迫罪や迷惑防止条例違反等での告訴を検討します。
Q. SNSでの執拗なメッセージもストーカー規制法の対象になりますか?
はい。法第2条第1項第5号により、拒否しているにもかかわらず連続してSNSのメッセージを送信する行為は「つきまとい等」に該当します。LINE、Instagram、X(旧Twitter)のDM、その他のSNSが対象です。メッセージのスクリーンショットを日時が分かる形で保存しておくことが重要です。
まとめ
- ストーカー規制法は「つきまとい等」8類型と「位置情報無承諾取得等」を規制する法律
- 2017年の改正で非親告罪となったが、告訴状の提出は被害を正確に伝える有効な手段
- 告訴状では恋愛感情等の目的・行為の反復性・該当する行為類型を具体的に記載する
- 公訴時効は3年。証拠は早期に保全することが重要
- 警告・禁止命令の行政手続きと刑事告訴は併用可能
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| サービス | 料金 |
|---|---|
| 告訴状作成 | 34,800円(税抜)〜 |
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※ 2026年3月時点の刑事訴訟法に基づく解説です。告訴・告発の受理判断は捜査機関の裁量による部分があります。具体的な事案は弁護士にもご相談ください。
※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。


