公開日: |最終更新日:
「告訴状は警察と検察のどちらに出せばいいのか」「管轄はどう考えればいいのか」――告訴を決意した方が最初にぶつかる疑問です。結論として、告訴状は警察署(司法警察員)と検察庁(検察官)のいずれにも提出できますが、一般的な刑事事件では管轄の警察署に提出するのが実務上の原則です。
告訴状の提出先は、(1)犯罪地を管轄する警察署が原則、(2)検察庁は経済犯罪や警察官による犯罪など特殊な事案に適している、(3)提出方法は持参が基本で郵送も可能だが本人確認のため出頭を求められる場合がある、の3点がポイントです。
「警察に告訴状を持って行ったが受理されなかった」「検察に直接出したほうが良いか迷っている」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴状作成の専門家が、警察署に受理されやすい告訴状の作成をサポートいたします。相談は何度でも無料・全国対応です。
目次
告訴状はどこに出す?警察署と検察庁の違い
刑事訴訟法第241条第1項は「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない」と定めています。つまり、法律上は警察署と検察庁のどちらに提出しても有効であり、告訴としての法的効力に違いはありません。
しかし、実務上はそれぞれの捜査機関に特徴があり、事案の性質によって適した提出先が変わります。以下の比較表で整理しましょう。
| 比較項目 | 警察署(司法警察員) | 検察庁(検察官) |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 刑事訴訟法第241条1項 | 同条同項 |
| 受理義務 | 犯罪捜査規範第63条1項により管轄外でも受理義務あり | 法律上の受理義務は同等だが、窓口が限られる |
| 得意な事案 | 暴行・傷害・窃盗・ストーカーなど現場捜査が中心の事案 | 詐欺・背任・横領など法律判断が複雑な経済犯罪 |
| 初動捜査 | 現場検証・証拠収集・関係者聞取りの体制が充実 | 法律的な分析力に優れ、独自捜査(特捜部等)が可能 |
| 捜査の流れ | 警察が捜査→書類等を検察官に送付(刑訴法242条) | 検察官が直接捜査、または警察に捜査を指揮 |
| 窓口のアクセス | 全国約1,100の警察署に提出可能 | 地方検察庁の本庁・支部に限定 |
捜査機関の選択は告訴人の自由ですが、第一次的な捜査機関は警察であり、ほとんどの告訴状は警察署に提出されています。検察庁は独自の捜査権限を持つものの、通常の事件では警察からの送致を受けて処分を判断する立場にあるため、窓口として機能するのは一部の事案に限られます。
警察署に提出すべきケースとは?
多くの告訴状は、管轄の警察署に提出するのが適切です。警察は現場検証や被疑者の身柄確保など、物理的な捜査活動において圧倒的な体制を持っています。特に以下のような事案では、警察署への提出が適しています。
- 暴行・傷害事件:被害の状況や現場の証拠保全が重要で、警察の初動が鍵を握る
- 窃盗・器物損壊事件:被疑者の特定や物証の収集に警察の捜査力が必要
- ストーカー・脅迫事件:被害者の安全確保を含めた迅速な対応が求められる
- 名誉毀損・侮辱事件:SNS上の証拠収集やプロバイダへの照会は警察が対応
- 被疑者が特定されている一般的な事案:警察の任意捜査・任意出頭要請が効率的
告訴状の記載方法や受理のポイントについては、告訴状の書き方完全ガイドで詳しく解説しています。
検察庁に提出したほうがよいのはどんな場合?
例外的に、検察庁への直接提出が適しているケースもあります。警察の捜査だけでは対応が難しい事案や、警察への告訴が困難な事情がある場合です。
経済犯罪・知能犯
詐欺・横領・背任・贈収賄といった経済犯罪は、犯罪構成要件の該当性判断に高度な法律知識が求められます。地方検察庁の特別刑事部や、東京・大阪・名古屋の特別捜査部(特捜部)はこうした事案の独自捜査を行う専門部署です。
警察官が被疑者の場合
被疑者が警察官である場合、同じ警察組織に告訴状を提出することに心理的抵抗があるのは当然です。このような場合は検察庁に直接提出することで、捜査の公正性を担保できます。
警察が受理を渋っている場合
警察署に告訴状を提出しても受理されない場合、検察庁に提出するという選択肢があります。検察官は警察に対して捜査の指揮を行う権限を持っているため(刑事訴訟法第193条)、検察庁での受理を経て警察に捜査が指揮される可能性があります。告訴状が受理されない場合の具体的な原因と対策については、告訴状が受理されない理由と対策をご参照ください。
告訴状の作成でお困りの方へ
行政書士法人Treeでは、警察署に提出する告訴状の作成をサポートしています。
- ✔ 受理されやすい告訴状の作成
- ✔ 犯罪事実の整理と証拠の構成をサポート
- ✔ 相談は何度でも無料・全国対応
管轄はどう判断する?提出先の警察署の選び方
犯罪捜査規範第63条第1項は「司法警察員たる警察官は、告訴、告発又は自首をする者があったときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない」と規定しています。法令上は、どの警察署に提出しても受理義務があるということです。
ただし、最終的に捜査を担当するのは事件との結びつきが強い警察署であるため、最初から適切な警察署に提出するほうが効率的です。提出先の判断基準は以下のとおりです。
| 優先順位 | 提出先の基準 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1(最優先) | 犯罪地を管轄する警察署 | 暴行が発生した場所、詐欺の金銭授受が行われた場所 |
| 2 | 被疑者の住所地を管轄する警察署 | 被疑者が特定されている場合に有効 |
| 3 | 告訴人の住所地を管轄する警察署 | 犯罪地が遠方の場合やインターネット犯罪の場合 |
インターネット上の名誉毀損やSNSでの誹謗中傷のように、物理的な「犯罪地」が存在しない犯罪の場合は、告訴人の住所地を管轄する警察署に提出するのが一般的です。また、犯罪地と告訴人の住所地が異なる都道府県にまたがる場合でも、受理した警察署が管轄の警察署に事件を移送する制度があるため、まず最寄りの警察署に相談してみることも一つの方法です。
告訴状の提出方法|持参と郵送のどちらが有利?
告訴状の提出方法は、持参(窓口提出)と郵送の2つがあります。いずれも法的に有効ですが、実務上は持参のほうが円滑に進む傾向にあります。
持参(窓口提出)の流れ
- 警察署の刑事課(または検察庁の告訴担当窓口)に告訴状と証拠資料を持参
- 担当者が告訴状の内容を確認し、補正の必要があればその場で指摘を受けられる
- 本人確認(身分証明書の提示)と告訴人調書の作成に応じる
- 受理されれば事件番号が付与され、受理書(受理票)を受け取る
持参のメリットは、担当者と直接やり取りできるため、告訴の意思や犯罪事実の詳細をその場で確認・補足できる点です。事前に電話で相談日の予約を入れておくとスムーズです。
郵送の場合の注意点
告訴状は郵送でも提出できますが、以下の点に留意する必要があります。
- 配達証明付き書留で送付する(到達の証拠を残すため)
- 郵送後、警察署から本人確認のための出頭を求められることが一般的
- 内容に不備があった場合、補正のやり取りに時間がかかる
- 受理・不受理の判断までに持参より時間を要する傾向がある
遠方で直接出向くことが困難な場合を除き、告訴状は持参で提出するほうが受理までの手続きが速やかです。
なお、2025年5月成立の刑事訴訟法改正(情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律)により、告訴・告発のオンライン提出が法律上可能になりました。完全施行は2027年度末を目途に進められており、具体的な運用方法は整備中です。現時点では持参または郵送が実務上の提出方法ですが、今後オンライン提出が選択肢に加わる見込みです。
提出時によくある失敗と回避策
告訴状を提出する際、以下のようなミスが受理の遅延や拒否につながることがあります。提出前にチェックしておきましょう。
犯罪事実の記載が抽象的すぎる
「詐欺に遭った」「お金を盗まれた」といった記載だけでは、犯罪構成要件に該当する事実が特定できません。いつ・どこで・誰が・どのような方法で・何をしたのかを具体的に記載する必要があります。
証拠資料を一切添付していない
法律上、告訴状に証拠添付の義務はありません。しかし、実務上は被害を裏付ける資料(契約書、メール、振込明細、診断書など)がなければ受理を保留されやすくなります。証拠収集の考え方については告訴に必要な証拠の集め方ガイドが参考になります。
管轄外の警察署に提出して移送に時間がかかる
前述のとおり、管轄外の警察署にも受理義務はありますが、最終的に管轄署への移送手続きが入るため、捜査着手までに余計な時間がかかります。可能な限り犯罪地の管轄署に提出しましょう。
口頭での説明だけで告訴状を作成していない
刑事訴訟法第241条は口頭による告訴も認めていますが、口頭の場合は捜査機関が調書を作成する形になり、告訴人の意図が正確に反映されにくくなります。書面(告訴状)で提出するほうが犯罪事実を明確に記録できるため、確実性が高まります。
よくある質問
Q. 告訴状は交番でも受理してもらえますか?
刑事訴訟法第241条は告訴の提出先を「検察官又は司法警察員」と定めています。交番勤務の警察官は「司法巡査」であることが多く、告訴の受理権限を持つ「司法警察員」には該当しない場合があります。告訴状は警察署の刑事課に持参するのが確実です。
Q. 複数の犯罪行為がある場合、告訴状は1通にまとめるべきですか?
関連する一連の犯罪行為であれば、1通の告訴状にまとめて記載することができます。ただし、犯罪の種類や被疑者が異なる場合は、告訴状を分けたほうが捜査機関の処理がスムーズです。犯罪事実ごとに構成要件を整理して記載しましょう。
Q. 告訴状を提出した後、別の警察署や検察庁に改めて提出できますか?
同一の犯罪事実について、複数の捜査機関に重複して告訴状を提出することは法律上禁止されていません。ただし、実務上は先に受理した機関が捜査を進めるため、重複提出は混乱を招く可能性があります。警察で受理されない場合に検察庁へ改めて提出するという段階的な対応が現実的です。
Q. 告訴状の受理を拒否された場合、どうすればよいですか?
犯罪捜査規範第63条は告訴の受理義務を定めており、正当な理由なく受理を拒否することは原則として認められません。受理を渋られた場合は、(1)告訴状の記載内容を補正する、(2)証拠資料を追加する、(3)検察庁に提出先を変更する、(4)都道府県公安委員会に苦情を申し出る、といった対応が考えられます。
Q. 郵送で告訴状を出す場合、宛先はどう書きますか?
宛先は「○○警察署長 殿」とし、封筒の表に「告訴状在中」と朱書きします。配達証明付きの書留郵便で送付するのが原則です。副本(コピー)を手元に保管し、送付日と追跡番号を記録しておきましょう。
まとめ
告訴状の提出先と管轄の考え方を改めて整理します。
- 提出先は警察署と検察庁の2つ。法的効力に差はないが、一般的な事案では犯罪地を管轄する警察署への提出が原則
- 検察庁への直接提出は、経済犯罪・警察官による犯罪・警察が受理を渋る場合に検討する
- 管轄の判断基準は犯罪地→被疑者住所地→告訴人住所地の順。管轄外でも受理義務はある
- 提出方法は持参が基本。郵送も可能だが、本人確認のため出頭を求められることが多い
- 受理されやすくするためには、犯罪事実を5W1Hで具体的に記載し、証拠を添付することが重要
提出先の選定を誤ったからといって告訴が無効になることはありませんが、適切な提出先に整った告訴状を提出することで、受理から捜査着手までの流れが格段にスムーズになります。告訴の手続き全体の流れについては告訴状の提出から捜査開始までの流れもあわせてご確認ください。
告訴状の作成は行政書士法人Treeにお任せください
| サービス | 料金 |
|---|---|
| 告訴状作成 | 34,800円(税抜)〜 |
- ✔ 受理率を高める犯罪事実の整理と証拠構成
- ✔ 警察署に提出する告訴状の作成をサポート
- ✔ 相談は何度でも無料・全国対応
告訴を検討されている方は、まずはお気軽にお問い合わせください。状況を丁寧にヒアリングし、最適な対応方針をご提案いたします。
※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。
※ 2026年3月時点の刑事訴訟法に基づく解説です。告訴・告発の受理判断は捜査機関の裁量による部分があります。具体的な事案は弁護士にもご相談ください。


