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DV離婚の手続きガイド|保護命令・証拠確保・相談先をわかりやすく整理

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「配偶者からの暴力を受けているが、どうすれば安全に離婚できるのだろう」——DV(ドメスティック・バイオレンス)を理由に離婚を考えている方が最初に知るべきことは、ご自身と子どもの安全を確保する手段が法律で用意されているという事実です。保護命令の申立て、証拠の確保、相談窓口への連絡など、DV離婚では通常の離婚とは異なる準備と手順が求められます。DV被害を受けている状況では、加害者との直接の話し合い(協議離婚)が困難なケースも多く、弁護士や公的支援機関の力を借りることが不可欠です。この記事では、DV離婚の基本的な流れ、保護命令制度の仕組み、証拠の集め方について整理します。

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DVとは?離婚原因として認められる行為の範囲

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者やパートナーからの暴力を指します。「暴力」というと身体的な殴る・蹴るをイメージしがちですが、法律上のDVはそれだけにとどまりません。配偶者暴力防止法(DV防止法)では、身体的暴力に加え、精神的・性的・経済的な暴力も広く保護の対象としています。

DVの種類 具体的な行為の例
身体的暴力 殴る、蹴る、物を投げつける、首を絞める、髪をつかんで引きずる
精神的暴力(モラハラ) 怒鳴る、人格を否定する、無視する、行動を監視する、脅迫する
性的暴力 性行為の強要、避妊に応じない、性的な写真・動画の撮影を強制する
経済的暴力 生活費を渡さない、就労を禁止する、借金を強要する、収入を取り上げる
社会的隔離 友人・実家との交流を禁止する、外出を制限する、携帯電話を取り上げる

民法第770条では、離婚を請求できる法定離婚事由の一つに「婚姻を継続し難い重大な事由」を挙げています。DVは、程度や頻度にもよりますが、この「重大な事由」に該当すると判断されるケースが多く、裁判離婚においても離婚が認められる大きな根拠となります。

DV離婚の手続き|安全を確保しながら進める流れ

DV被害者が離婚を進めるうえで最も大切なのは、まず安全を確保し、そのうえで法的手続きに入るという順序です。通常の離婚では夫婦間の話し合い(協議離婚)が一般的ですが、DV案件では加害者と直接対面すること自体がリスクとなるため、弁護士や支援機関を介した手続きが基本となります。

Step 1:相談窓口に連絡し、安全を確保する

DVを受けている場合、最初にすべきことは公的な相談窓口への連絡です。相談記録は、後の保護命令申立てや離婚調停・裁判の際に重要な証拠としても機能します。

  • 配偶者暴力相談支援センター:全国共通短縮番号 #8008(はれれば)で最寄りのセンターにつながります
  • DV相談プラス:電話 0120-279-889(24時間対応)、メール・チャット(12〜22時)でも相談可能
  • 警察:身の危険がある場合は110番通報。警察への相談記録も保護命令申立てに使えます

緊急性が高い場合は、一時保護施設(シェルター)の利用も可能です。配偶者暴力相談支援センターを通じて手配してもらえます。

Step 2:保護命令を申し立てる(必要な場合)

加害者からの暴力が続く危険性がある場合は、裁判所に保護命令を申し立てます。保護命令の詳細は次のセクションで解説します。

Step 3:弁護士に依頼し、離婚手続きを進める

DV案件では、弁護士を代理人に立てて手続きを進めることを強くおすすめします。加害者と直接交渉する必要がなくなり、調停や裁判の場でも被害者の権利が適切に守られます。

離婚の種類としては、以下の流れで検討されるのが一般的です。

離婚の種類 特徴 DV案件での適否
協議離婚 夫婦の話し合いで合意する 加害者との直接交渉は危険が伴うため、弁護士を通じて行うか、他の方法を検討
調停離婚 家庭裁判所で調停委員を介して話し合う 別室対応やビデオ会議が利用可能。DV案件では多く利用される
裁判離婚 調停不成立の場合に裁判で決着する DVが法定離婚事由として認められやすい

調停や裁判では、DVの被害者が加害者と同じ待合室にならないよう配慮される運用が広がっています。申立て時に裁判所へ「安全上の配慮が必要」と伝えておくことが大切です。

離婚の種類ごとの違いについては、離婚の種類と手続きガイドで詳しく解説しています。

Step 4:離婚条件を取り決め、書面化する

離婚が成立する際には、養育費・財産分与・慰謝料・面会交流などの条件を取り決めます。DV案件では、面会交流のあり方(子どもの安全確保)が特に慎重に検討されるべきポイントです。取り決めた内容は離婚協議書または離婚公正証書として書面化し、後のトラブルを防ぎましょう。

※ 2026年4月1日施行の改正民法により、離婚後の「共同親権」が導入されます。ただし、DVのおそれがある場合や、父母が共同して親権を行うことが困難な場合には、家庭裁判所は必ず単独親権を定めることとされています。DV離婚で親権を検討される方は、この点も踏まえて弁護士にご相談ください。

離婚協議書と公正証書の違いについては、離婚協議書と公正証書の違いをご確認ください。

保護命令とは?6つの種類と申立ての要件

保護命令は、DV被害者の安全を確保するための法的手段です。被害者からの申立てにより、裁判所が加害者に対して、被害者へのつきまとい等を禁止する命令を出します。

2024年4月1日施行の改正DV防止法により、保護命令制度は大幅に拡充されました。従来は身体的暴力と生命・身体への脅迫に限定されていた申立て要件に、「自由、名誉又は財産に対する脅迫」も加えられています。

保護命令の6つの類型

保護命令の種類 内容 有効期間
被害者への接近禁止命令 被害者の住居や勤務先などにおけるつきまといや付近のはいかいを禁止 1年間
被害者への電話等禁止命令 面会の要求、深夜の電話・SNS送信、位置情報の無断取得等を禁止 接近禁止命令の期間と同じ
同居の子への接近禁止命令 被害者と同居する未成年の子への接近を禁止 接近禁止命令の期間と同じ
同居の子への電話等禁止命令 子どもへの電話・SNS送信等を禁止 接近禁止命令の期間と同じ
親族等への接近禁止命令 被害者の親族などへの接近を禁止 接近禁止命令の期間と同じ
退去等命令 加害者に住居からの退去を命じる 原則2か月(被害者が所有者等の場合は6か月の特例あり)

電話等禁止命令、子への接近禁止・電話等禁止命令、親族等への接近禁止命令は、いずれも被害者への接近禁止命令に付随して発令される命令です。

改正法では、接近禁止命令の有効期間が従来の6か月から1年間に延長されました。また、保護命令に違反した場合の罰則も「2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金」に引き上げられています。

保護命令の申立て要件

保護命令を申し立てるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 配偶者(事実婚を含む)または生活の本拠を共にする交際相手からの暴力等を受けたこと
  • 更なる暴力により生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
  • 事前に配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談していること(相談していない場合は公証人の認証を受けた宣誓供述書が必要)

なお、離婚後であっても、元配偶者からの暴力が続いている場合は保護命令の申立てが可能です。

保護命令の申立て方法と必要書類

保護命令の申立ては、被害者本人が地方裁判所に対して行います。申立先は、相手方の住所地・申立人の住所(または居所)・暴力が行われた地のいずれかを管轄する地方裁判所です。

申立てに必要なもの

書類・費用 詳細
保護命令申立書 裁判所用と相手方送付用の計2部。裁判所のウェブサイトから書式をダウンロード可能
戸籍謄本 申立人と相手方の関係を証明するため
住民票 事実婚・同居交際相手の場合に必要
DVの証拠 診断書、怪我の写真、音声・動画データ、陳述書など
相談記録の証明 配偶者暴力相談支援センターや警察への相談を申立書に記載する。相談していない場合は公証人の認証を受けた宣誓供述書(手数料11,000円)が必要
収入印紙 1,000円
郵便切手 裁判所ごとに金額が異なる(概ね1,000〜2,500円程度)

申立てから発令までの流れ

申立てが受理されると、まず申立人の審尋(担当裁判官との面談)が行われます。その後、原則として相手方にも審尋の期日が通知されます(相手方審尋は申立人審尋から概ね1週間後)。ただし、被害者の生命・身体に重大な危険が生じるおそれがある緊急の場合には、相手方の審尋なしに保護命令が発令される場合もあります。

申立てから発令までは、通常1〜2週間程度です。緊急の場合はより迅速に対応されることもあります。

DV離婚で不安を感じている方へ

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DV離婚で証拠を確保する方法

離婚調停や裁判、保護命令の申立てでは、DVの事実を裏付ける客観的な証拠が非常に重要です。証拠が十分に揃っていないと、DVの事実が認定されない可能性もあります。可能な範囲で、以下のような証拠を日頃から確保しておくことが大切です。

有効な証拠の種類と集め方

証拠の種類 具体的な確保方法 証拠としての強さ
医師の診断書・受診記録 怪我をしたら必ず医療機関を受診し、診断書を発行してもらう。精神的DVによるうつ病・PTSD等の診断書も有効 非常に高い
警察・相談支援センターの相談記録 暴力を受けたらすぐに警察や配偶者暴力相談支援センターに相談し、記録を残す 非常に高い
怪我の写真・動画 怪我をした箇所をスマートフォン等で撮影する。日付がわかるように撮影する 高い
暴力の音声・動画記録 暴言や暴力行為をスマートフォンのボイスレコーダー等で録音する 高い
メール・LINE等のメッセージ 脅迫的なメッセージ、暴言、支配的な内容のやり取りをスクリーンショットで保存 中〜高
日記・メモ 暴力を受けた日時・場所・行為の内容をできるだけ具体的に記録する 中程度(他の証拠と組み合わせて有効)
壊された物品の写真 壊された家財道具や衣類等を撮影して保存する 中程度

証拠は1つだけでは決定的とならない場合が多いため、複数の種類の証拠を組み合わせて確保しておくことが望ましいとされています。DVの痕跡は時間の経過とともに消えてしまうため、被害を受けた直後に行動することが大切です。

証拠確保で気をつけるポイント

証拠を集める際には、自分の安全を最優先にしてください。無理に録音・撮影しようとして加害者の暴力がエスカレートしては本末転倒です。身の安全を確保できる範囲で行い、難しい場合は相談窓口や弁護士に助言を求めましょう。

DV慰謝料の相場については、離婚の慰謝料相場と請求のポイントで解説しています。

よくある質問

Q. DVを受けていますが、証拠がほとんどありません。離婚できますか?

証拠が少ない場合でも、今後の相談記録を積み重ねることで状況を補強できます。まずは配偶者暴力相談支援センター(#8008)や警察に相談して記録を残すことが第一歩です。弁護士に相談すれば、現在ある状況からどのように進めるべきか具体的なアドバイスを受けられます。

Q. 保護命令が出た後、相手が命令に違反した場合はどうなりますか?

保護命令に違反した場合、加害者には2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金が科されます(2024年4月の改正で罰則が強化されました)。違反があった場合は、ただちに警察に通報してください。

Q. 保護命令の申立てに弁護士は必要ですか?

保護命令の申立ては被害者本人でも行えます。ただし、申立書の作成や証拠の整理、裁判所での審尋への対応を考えると、弁護士に依頼することで手続きがスムーズに進み、精神的な負担も軽減されます。法テラス(0570-078374)では、経済的に余裕がない方向けに弁護士費用の立替制度も用意されています。

Q. DV被害者が加害者と同居したまま離婚手続きを進められますか?

可能ですが、安全面からは別居してから手続きを進めるほうが望ましいとされています。別居先がない場合は、配偶者暴力相談支援センターを通じて一時保護施設(シェルター)を利用できます。住民票の閲覧制限をかけることで、別居後の住所を加害者に知られないようにする措置も可能です。

Q. 行政書士にDV離婚の相談はできますか?

行政書士は、離婚協議書や離婚公正証書の作成をお手伝いできます。ただし、加害者との代理交渉や調停・裁判の代理は行政書士の業務範囲外です。DVが関わるケースでは、交渉や法的手続きの代理が必要になることが多いため、まず弁護士に相談されることをおすすめします。弁護士と連携しつつ、協議書の作成部分を行政書士が担当するという形も可能です。

まとめ

DV離婚では、通常の離婚と異なり、安全確保を最優先にした慎重な手続きが必要です。要点を整理します。

  • まずは配偶者暴力相談支援センター(#8008)や警察に相談し、記録を残すことが出発点
  • 身の危険がある場合は保護命令の申立てを検討する。2024年4月の法改正で保護の範囲が拡大し、接近禁止命令の有効期間も1年間に延長された
  • 証拠は診断書・相談記録・写真・録音など複数の種類を確保する。安全な範囲で早めに行動することが大切
  • DV案件では弁護士への相談を強くおすすめする。加害者との直接交渉を避け、法的に適切な手続きを進められる

一人で抱え込まず、まずは相談窓口に声を上げることが状況を変える第一歩です。離婚後の生活設計も含めて、信頼できる専門家に相談しながら進めてください。

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