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離婚協議書に書く債務関係|住宅ローン・カードローン・保証債務の整理方法を解説

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離婚協議の中で見落とされやすいのが「債務(マイナス財産)」の整理です。住宅ローン、カードローン、自動車ローン、配偶者の事業資金借入、親族・友人への保証債務など、夫婦の生活を支えてきた借入は、離婚後にどちらがどう返すのかをはっきり決めておかないと、離婚後数年経ってから督促や代位弁済で揉める原因になります。とくに住宅ローンは「連帯債務」「連帯保証」「ペアローン」の違いを理解しないまま協議書を作ると、想定外の返済義務が残ります。本記事では、離婚協議書に盛り込むべき債務関係の論点を、民法768条(財産分与)・民法761条(日常家事債務)・実務判例を踏まえて解説します。

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本記事は実務目線で解説しますが、住宅ローン・カードローン・保証債務など複雑な債務関係を含む離婚協議書については、当事務所の離婚協議書作成サポートでお手伝い可能です。当事者間で合意済みの返済責任・求償権・債権者への通知方針などを、後日紛争にならない条項として書面化します。

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1. なぜ離婚協議書で債務を整理する必要があるのか

離婚協議の場面で「財産分与」というと、預貯金・不動産・退職金などプラスの財産に目が向きがちです。しかし夫婦には、生活費・住宅取得・教育費・自動車購入など、婚姻期間中に積み上がったマイナスの財産(債務)もあります。これを整理せずに離婚すると、債権者(金融機関・カード会社)にとっては「夫婦間の取り決めは関係ない」ため、契約上の名義人や連帯保証人に対して請求が続きます。離婚後何年も経ってから「元配偶者の借金で督促が来た」「自宅が競売にかかった」というトラブルは、債務整理の合意を書面化していなかったことが原因の典型例です。

離婚協議書で債務を整理する目的は大きく三つあります。第一に、夫婦内部での返済責任の分担を明確にすること(誰がいくら払うのか)。第二に、一方が支払わなかった場合の求償ルールを定めること(立て替え分の返還請求)。第三に、債権者対応の方針を共有すること(借換え・名義変更・連帯保証外しの手続きを誰が進めるか)です。これらは協議書に書いておかないと、口約束のままでは後日「言った言わない」の紛争になります。

もっとも、夫婦間でいくら合意しても、債権者の同意がなければ契約上の支払義務は変わりません。これが債務整理の最大のポイントです。たとえば「住宅ローンは夫が払う」と協議書に書いても、妻が連帯債務者・連帯保証人になっている場合、夫の延滞があれば妻にも請求が来ます。協議書で定めるのは「夫婦内部の負担」であり、「対外的な支払義務」を消すには別途債権者との交渉(借換え・連帯保証外し)が必要です。この区別を理解しないまま条項を書くと、実効性のない協議書になってしまいます。

2. マイナス財産は財産分与の対象になるのか(民法768条)

民法768条は「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と定めています。条文には「財産」とあるだけで、プラス財産に限る旨は書かれていません。判例・実務では、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された債務は、マイナスの財産として財産分与の対象とされています(東京家審昭和55年11月14日など)。具体的には、住宅ローン、生活費の補填のためのカードローン、自動車ローン、教育費のための学資ローンなどが典型です。

一方、財産分与の対象から外れる債務もあります。代表的なのは、一方配偶者の個人的な浪費・ギャンブル・自己の趣味のための借入、独身時代から引き継いだ借入、財産分与時点で明らかに婚姻共同生活と無関係な借入です。これらは原則として名義人個人の負担となります。ただし、生活費に補填されていたかどうかは事実認定の問題で、争いになることが多い領域です。

マイナスの財産が大きくプラスの財産を上回る場合(債務超過)、判例・実務は分かれます。多数説は「分与は0で打ち切り、債務までは分担を強制しない」とする立場ですが、東京高判平成3年12月16日のように、債務超過部分まで一定の負担を命じた裁判例もあります。実務的には、夫婦間の合意があれば内部負担割合を自由に決められるため、協議書で合意内容を書面化することが現実的な解決策となります。

注意点として、事業資金として配偶者が個人事業のために借りた債務は、その事業の収益が家計に組み込まれていたかどうかで判断が分かれます。家計への寄与が認められれば共同負担、純粋に個人事業のための借入で家計と分離されていれば名義人負担という整理が一般的です。

3. 民法761条(日常家事債務)と連帯責任

離婚時の債務整理で必ず押さえておくべき条文が、民法761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)です。「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」と定めています。これは、たとえ夫婦の一方が単独で契約した借入であっても、それが「日常の家事」の範囲なら他方配偶者も連帯責任を負うという規定です。

「日常の家事」とは、食料品・日用品・水道光熱費・家賃・子どもの教育費・医療費など、夫婦の通常の家計維持に必要なものを指します。最判昭和44年12月18日は、不動産売却のような重要財産処分は日常家事には含まれないとしました。判断は「夫婦の社会的地位、職業、資産、収入等」を踏まえた客観的な範囲で行われます。

離婚協議の場面では、名義は一方配偶者だけれど生活費補填のために借りたカードローン・消費者ローンが問題になることがあります。形式上は名義人だけが債務者ですが、借入の目的・金額・契約態様・夫婦の生活状況などから「日常の家事」に関する法律行為と評価される場合には、民法761条により他方配偶者にも責任が及ぶ可能性があります。ただし、生活費に使われたという一事だけで当然に他方配偶者が責任を負うわけではなく、個別事情を確認する必要があります。

そこで協議書では、「離婚時点で残存する債務のうち、どれが日常家事債務か、どれが個人債務か」をリストアップし、内部負担割合を明記しておくのが望ましい運用です。たとえば「下記債務はいずれも日常家事のために負担されたものであり、両当事者は連帯責任を負うことを確認する。内部負担割合は甲50:乙50とし、各自その負担分を返済する」といった条項が考えられます。

4. 離婚時の住宅ローン整理:連帯保証人は外れる?連帯債務・ペアローンの違い

離婚協議における債務問題の最大論点が住宅ローンです。住宅ローンの組み方は大きく三つに分かれ、それぞれ離婚時の整理方法が異なります。

(1) 単独債務型:夫婦の一方だけが債務者で、他方は無関係というシンプルなケースです。離婚後も名義人が返済を続けるなら、対外的な変更は不要です。ただし、不動産の所有名義と居住者が異なる場合(例:夫名義の家に妻子が住む)は、所有権をどう扱うか、住宅ローン特約・銀行の承認、家賃相当額の取り決めなどを協議書に盛り込みます。

(2) 連帯債務型:夫婦のいずれもが「主たる債務者」として銀行と契約しているケースです(フラット35の収入合算など)。両者とも全額の支払義務を負うため、片方が払わなければ他方が全額請求されます。離婚しても連帯債務関係は当然には解消されず、銀行の承認を得て債務者を一方に変更(債務引受)するか、別の銀行で借換えして連帯債務を解消する必要があります。銀行が単独債務への変更を承認するかは、残債務に対する単独の返済能力(年収・勤続)で判断されます。

(3) 連帯保証型:一方が主債務者、他方が連帯保証人になっているケースです。連帯保証人は、通常の保証人と異なり催告の抗弁・検索の抗弁を主張できず、債権者から直接請求され得ます。そのため、主債務者が支払わない場合のみ責任を負う通常の保証人と異なり、実質的には主債務者と同じ重い責任を負います。離婚後も連帯保証契約は当然には消滅せず、主債務者が延滞すれば連帯保証人に請求が来ます。連帯保証を外すには、銀行が代わりの保証人を承認するか、借換えで契約を組み直すかのいずれかが必要です。

(4) ペアローン:夫婦それぞれが別々に住宅ローンを組み、それぞれが他方の連帯保証人になるケースです。離婚時には2本のローンをどう整理するかが論点で、片方を完済できる資金(退職金・親族援助)があれば一方を完済、なければ借換えで一本化、それも困難なら任意売却という流れになります。ペアローンは住宅ローン控除を二人で受けられるメリットがある反面、離婚時の整理が最も複雑な類型です。

5. オーバーローン住宅の離婚対策:借換え・連帯保証外し・任意売却

住宅ローンの整理方法は、誰が家に住み続けるか、残債務と現在価値の関係(オーバーローンかアンダーローンか)、夫婦双方の返済能力で大きく変わります。

(1) 借換え(リファイナンス):別の金融機関から新たに融資を受け、既存ローンを完済して契約を組み直す方法です。離婚時の最大のメリットは、新契約で連帯債務・連帯保証関係をクリアにできる点です。たとえば連帯債務だったローンを、家に住み続ける側の単独債務として借換えれば、出ていく側は債務から完全に解放されます。ただし、単独で残債務分の融資を受けられる年収・勤続が必要で、住宅ローン控除の再判定も必要です。

(2) 連帯保証外し(保証人変更):現在の銀行で、連帯保証人を別の人(親族など)に交代してもらう方法です。借換えより手続きは軽いですが、銀行が新保証人の信用力を厳格に審査し、承認されないことも多いのが実務感覚です。承認の可否は、主債務者の単独の返済能力と、新保証人の信用力で判断されます。

(3) 任意売却:オーバーローン(残債務>売却価額)で借換えも返済継続も困難な場合、銀行の承諾を得て競売前に売却し、売却代金で残債務の一部を返済、残りは無担保債務として分割返済する方法です。競売より高値で売れる可能性があり、銀行も合意してくれることが多い手段ですが、無担保債務は離婚後も返済が続くため、誰がどう負担するかを協議書で明記しておく必要があります。

(4) アンダーローンでの売却:売却価額が残債務を上回る場合、売却益(差額)を財産分与の対象として清算します。比較的シンプルな選択肢で、住み続けるニーズがなければ最も紛争リスクが低い方法です。

(5) 居住継続+名義はそのまま:もっとも危険な選択肢ですが、現実には少なくないパターンです。「夫名義のローンを夫が払い続け、妻子が住む」という形ですが、夫が返済を止めれば家を失います。協議書で「夫が滞納した場合の通知義務」「妻に通知された後の対応」「住宅ローン特約違反(賃貸化)への対応」などを細かく定めておく必要があります。

6. カードローン・消費者ローン・自動車ローンの整理

住宅ローン以外の債務も、離婚協議書で漏れなく整理します。

(1) カードローン・消費者ローン:銀行カードローン、消費者金融、クレジットカードのリボ・キャッシングは、名義人個人の契約であることがほとんどです。配偶者が連帯保証人になっているケースは稀ですが、借入の目的・金額・契約態様等から「日常の家事」に関する債務と評価される場合には、民法761条により他方配偶者にも責任が及ぶ可能性があります。協議書では、各債務について債権者名・契約番号(特定可能な情報)・残債務額・名義人・用途・内部負担割合・返済責任者を一覧化します。

(2) 自動車ローン:自動車ローンは所有権留保(完済まで所有権はローン会社)が一般的です。離婚後、車を譲渡する場合は所有権留保が外れる完済時まで名義変更ができません。「乙が引き続き返済を継続し、完済後速やかに甲名義に変更する」といった条項が必要です。途中で滞納されれば車を失うリスクがあるため、引取条項(滞納時は車両を返還する旨)も検討します。

(3) 教育ローン・学資ローン:子どもの教育費のための借入は、養育費の取り決めとも関連します。借入の名義人と、養育費としての負担をどう連動させるか整理が必要です。たとえば「学資ローンの返済を父が担う代わりに、養育費を相応に減額する」といった調整もあり得ますが、子の利益に反しない範囲で慎重に設計します。

(4) リース・割賦・サブスク:家電・家具・スマートフォン端末などの分割払い、リース契約も債務です。名義人・残期間・解約金の有無を確認し、誰が引き継ぐか定めます。

7. 保証債務:親族・友人の借入や事業の連帯保証

見落とされがちな論点が「保証債務」です。配偶者が、親族の事業資金借入、友人の住宅ローン、勤務先の経営者保証などの連帯保証人になっている場合、本人は1円も借りていないのに、主債務者が返済を止めれば全額の責任を負います。

保証債務は、原則として名義人個人の責任です。配偶者は連帯保証契約の当事者ではないため、民法761条の日常家事債務には該当しません。したがって、離婚協議書では「下記保証債務は乙個人の責任であり、甲はこれに関与しない」と明示しておくのが安全です。逆に、夫婦の合意で「保証履行された場合、内部で半分負担する」とする場合も、その旨を明記します。

2020年4月施行の改正民法では、個人根保証契約に極度額の定めが必須となり、事業のための貸金等債務の個人保証では公正証書による保証意思の確認が必要となりました(民法465条の2・465条の6)。離婚協議書で保証債務を扱う際は、これらの新ルール下で締結された契約か、改正前の契約かを確認し、極度額・主債務の特定をリストに反映させます。

8. 名義人責任と内部負担の区別:求償権の取り決め

離婚協議書での債務条項の核心は、「名義人責任(対債権者)」と「内部負担(夫婦間)」を区別することです。前述のとおり、夫婦間でいくら合意しても債権者には対抗できません。一方、夫婦間の内部負担は当事者の合意で自由に決められます。

この区別から生じるのが「求償権」の問題です。たとえば連帯債務の住宅ローンを「夫が全額返済する」と協議書で決めた場合、夫が滞納すれば妻にも請求が来ます。妻がやむを得ず立て替えれば、妻は夫に対して立替分の返還を求める権利(求償権)を持ちます。協議書では、「乙が支払いを怠ったことで甲が立て替えた場合、甲は乙に対して立替金額および利息を請求できる」と明記しておくと、後日の請求根拠が明確になります。

逆に、円満解決を望むケースでは「求償権を放棄する」条項を入れることもあります。ただし求償権の放棄は、立て替えた側が金銭請求できなくなる重大な合意なので、慎重な検討が必要です。一般的には、財産分与全体のバランスを考慮し、たとえば「不動産の取得と引き換えに住宅ローンの支払義務と求償権放棄をセットで負担する」といった包括的設計を行います。

求償権を生かす場合、公正証書化により証拠力を高め、一定の金銭債務として特定できれば強制執行受諾文言の効力が生じます。ただし、公正証書で直ちに強制執行できるのは、民事執行法22条5号に基づき原則として金額・支払時期などが特定された金銭債務に限られます。将来の立替によって発生する求償金は、発生条件や金額の特定方法によって執行の可否が分かれるため、公証役場・弁護士等に確認しながら設計する必要があります。

9. 協議書に盛り込む債務条項のサンプル構造

債務条項は、以下の構成で整理するとわかりやすくなります(実際の協議書はケースに応じて文言調整が必要です)。

第○条(債務の確認):離婚時点で存在する債務を一覧化(債権者・契約番号・残債務額・名義人・用途)。

第○条(住宅ローン):所有名義・債務者・連帯保証関係を確認し、内部負担割合、借換え・名義変更の方針、進捗予定、滞納時の通知義務、立て替えた場合の求償権を定める。

第○条(その他の債務):カードローン・自動車ローン・教育ローンなどの内部負担と返済責任者を明記。

第○条(保証債務):保証債務の名義人と、保証履行時の取扱い(個人責任とするか、夫婦で内部負担するか)を定める。

第○条(求償権):いずれかが立て替えた場合の求償権の発生、利息、請求方法、行使期限などを定める。

第○条(債権者対応):銀行・カード会社への通知、借換え手続きの担当、必要書類への協力義務を定める。

第○条(情報共有):完済までの間、双方の連絡先変更通知義務、年1回の残債務確認、滞納時の即時連絡などを定める。

協議書を公正証書化する場合は、金額・支払時期などが特定された養育費・財産分与金等について、強制執行受諾文言を入れることで、不払時に強制執行(給与差押え・口座差押え)を行いやすくなります。求償権については、将来の立替によって発生する性質上、金額や発生条件の特定方法によって執行の可否が分かれるため、別途慎重な条項設計が必要です。

【記事のまとめに代えて】行政書士法人Tree|離婚協議書(債務条項を含む)作成サポート

本記事で解説した住宅ローン・カードローン・保証債務などの整理について、合意済みの内容を後日紛争にならない条項として書面化する離婚協議書作成サポートをご提供しています。求償権の設計、内部負担割合の明文化、公正証書化(執行認諾付き)などにも対応可能です。なお、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の交渉代理や債権者との和解交渉は弁護士業務(弁護士法72条)のため、提携弁護士をご紹介します。

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10. 民事再生・自己破産と並行する場合の注意点

債務超過が深刻で、離婚協議の途中・直後に個人再生や自己破産を予定する場合、債務整理手続と離婚協議の関係を整理しておく必要があります。

(1) 自己破産・個人再生の代理は弁護士業務:債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の手続代理、債権者との和解交渉、裁判所への申立書類の作成代理は、弁護士法72条・司法書士法3条により行政書士は取扱いできません。Treeはこれらの手続には関与せず、提携弁護士をご紹介します。

(2) 財産分与との関係:破産直前の財産分与は、「不相当に過大」と認定されると否認権の対象となり、破産管財人によって取り戻される可能性があります(破産法160条以下)。婚姻期間や寄与度から見て合理的な範囲の財産分与であれば原則否認されませんが、明らかに過大な分与(債務を残す側が大半の財産を相手方に渡す)は要注意です。

(3) 免責の範囲:自己破産で免責が認められても、養育費・婚姻費用などの「非免責債権」(破産法253条)は免責されません。離婚協議書で養育費を取り決めていれば、破産後も支払義務が残ります。一方、夫婦間の財産分与金や求償金は、性質によって免責の可否が分かれます。

(4) 順序の検討:「離婚協議成立→財産分与→債務整理」とするか、「債務整理→離婚協議成立」とするかで、結果が大きく変わります。タイミングの選択は弁護士と相談したうえで決めるべき論点です。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 妻名義のカードローンを夫が「全額自分が払う」と協議書に書いた場合、妻は債権者から請求されない?

妻が契約上の名義人である以上、債権者は妻に請求できます。協議書の合意は夫婦間の内部負担を定めるにとどまり、債権者には対抗できません。妻を契約から完全に解放するには、夫が借換えで新たに自分名義のローンを組み、妻名義の借入を完済する必要があります。

Q2. 夫の住宅ローンの連帯保証人になっている。離婚しても連帯保証は外れない?

離婚は身分関係の変更にすぎず、連帯保証契約は当然には終了しません。連帯保証を外すには、銀行の承認を得て代わりの保証人を立てるか、借換えで契約を組み直す必要があります。承認の可否は主債務者(元配偶者)の単独の返済能力次第です。

Q3. オーバーローンの自宅をどう整理すればよい?

借換えで返済を継続するか、任意売却で残債務を圧縮するか、競売を待つかの選択肢があります。夫婦双方の返済能力と居住ニーズで判断します。任意売却後の残債務は無担保債務として返済が続くため、誰が負担するかを協議書に明記する必要があります。

Q4. 配偶者が経営者保証で多額の保証債務を負っている。離婚時に妻の生活を守るには?

保証債務は名義人個人の責任なので、保証契約の当事者でない配偶者には及びません。ただし、保証履行で家計資産が失われると夫婦財産にも影響します。財産分与を先行させる場合は破産法上の否認リスクに留意し、弁護士と相談しながらタイミングを設計してください。

Q5. 離婚協議書を公正証書化すると、求償権の行使にどんなメリットがある?

公正証書に強制執行受諾文言を入れておくと、相手方が約束どおりに支払わない場合に、訴訟を経ずに給与・預金等の差押えを行いやすくなります。ただし、民事執行法22条5号に基づき、金額・支払時期などが特定された養育費・財産分与金等が対象となります。求償権は将来発生・金額未確定となり得るため、養育費等と同じように当然に強制執行できるとは限らず、条項設計に留意が必要です。

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まとめ

マイナス財産も財産分与の対象:民法768条の財産分与は、婚姻期間中に夫婦の協力で形成された債務(住宅ローン・生活費補填のカードローン・自動車ローン等)も対象に含めます。一方、一方配偶者の浪費・個人趣味の借入・婚姻と無関係な債務は名義人個人の負担として整理するのが原則です。債務超過の場合の扱いは判例上分かれますが、夫婦間の合意があれば内部負担割合を自由に設定できます。

名義人責任と内部負担の区別が核心:夫婦内部でいくら合意しても債権者には対抗できません。協議書で定められるのは「夫婦間の負担」であり、債権者への支払義務を消すには借換え・連帯保証外しなど別途債権者との交渉が必要です。求償権の取り決め・公正証書化(執行受諾文言)まで設計しておけば、立替分の回収もスムーズです。

住宅ローンは類型別に整理:単独債務・連帯債務・連帯保証・ペアローンで、離婚時の整理方法は大きく異なります。借換え(リファイナンス)・連帯保証外し・任意売却・アンダーローンでの売却・居住継続のいずれを選ぶかで、必要な条項も変わります。とくにペアローンと連帯保証型は対応が複雑なため、早めの方針決定と専門家相談が重要です。

日常家事債務と保証債務の取扱い:民法761条の日常家事債務は、名義が一方でも双方に責任が及びます。一方、第三者の借入の連帯保証は名義人個人の責任で、配偶者には及びません。協議書では債務をリスト化し、各債務の性質(日常家事か個人債務か保証債務か)を明示しておくと後日の紛争を防げます。

行政書士法人Treeは、合意済みの内容を後日紛争にならない離婚協議書として書面化する業務を担当します。具体的には、債務一覧の整理、内部負担割合の条項化、求償権の設計、公正証書化サポートなどです。なお、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の代理交渉、債権者との和解交渉、家事調停・訴訟の代理は弁護士業務(弁護士法72条)のため、必要な場合は提携弁護士をご紹介します。離婚協議書での債務整理をご検討の方は、まずは無料相談で現状をご共有ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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