離婚関連

熟年離婚の注意点|年金分割・退職金・財産分与・老後資金のポイントを解説

更新: 約8分で読めます

結論から言えば、熟年離婚では「年金分割」「退職金の財産分与」「住居の確保」の3つが最重要課題です。婚姻期間が長いからこそ分与対象となる財産が大きく、離婚後の生活設計を慎重に行う必要があります。この記事では、熟年離婚(概ね婚姻期間20年以上・50代以降の離婚)に特有の法律問題と手続きのポイントを整理します。

「離婚後の生活が不安」「年金分割で損をしたくない」「自宅や退職金をどう分けるべきか分からない」——熟年離婚を検討中の方は、行政書士法人Treeにご相談ください。離婚協議書・公正証書の作成を通じて、財産分与・年金分割・住居に関する取り決めを確実に書面化します。相談は何度でも無料・全国対応です。

▶ 30秒で相談予約する

熟年離婚の年金分割

年金分割は熟年離婚において最も重要な制度のひとつです。婚姻期間中に納めた厚生年金保険料の記録を分割する制度であり、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

種類 対象期間 按分割合 手続き
合意分割 婚姻期間全体 最大2分の1(当事者の合意または裁判所の決定) 離婚後原則5年以内に年金事務所に請求(2026年4月1日以降の離婚。それ以前は2年以内)
3号分割 2008年4月以降の第3号被保険者期間 自動的に2分の1 相手方の同意不要。離婚後原則5年以内に請求(2026年4月1日以降の離婚。それ以前は2年以内)

注意すべきは、年金分割の請求期限です。令和8年4月1日(2026年4月1日)施行の改正により、原則として離婚成立日の翌日から5年以内に請求が必要となりました(それ以前に離婚した場合は2年以内の経過措置が適用されます)。この期限を過ぎると分割請求ができなくなります。年金分割の詳細は「年金分割の手続きと計算方法」で解説しています。

退職金の財産分与

退職金は、婚姻期間中の労働の対価として形成された財産であり、財産分与の対象となります。すでに支給された退職金はもちろん、将来支給される退職金も、支給の蓋然性が高い場合は分与対象となるのが裁判実務の傾向です。

退職金の分与対象額の計算

退職金のうち財産分与の対象となるのは、婚姻期間に対応する部分です。一般的な計算式は以下のとおりです。

分与対象額 = 退職金額 × (婚姻期間 ÷ 勤続年数) × 分与割合(通常2分の1)

たとえば退職金2,000万円、勤続35年、婚姻期間25年の場合:2,000万円 × 25/35 × 1/2 = 約714万円が分与対象の目安となります。

住居の確保と住宅ローン

熟年離婚では、自宅の処分をどうするかが大きな問題になります。住宅ローンが残っている場合は特に複雑です。

パターン メリット 注意点
売却して代金を分割 清算が明確 ローン残高が売却額を上回るオーバーローンの場合は売却困難
一方が住み続ける 生活環境を維持できる ローン名義の変更が困難(金融機関の審査あり)
賃貸に転居 ローン問題を回避 高齢での賃貸契約は保証人の確保が課題

離婚と住宅ローンの関係について詳しくは「離婚と住宅ローン|家を売る・住み続ける場合の手続き」をご覧ください。

財産分与・年金分割の取り決めを書面に残しませんか?

行政書士法人Treeでは、離婚協議書作成の専門家が年金分割・退職金・不動産の分与内容を公正証書にまとめるサポートをいたします。

  • ✔ 年金分割の按分割合の取り決めを書面化
  • ✔ 退職金・不動産・預貯金の分与を漏れなく記載
  • ✔ 財産分与や慰謝料の分割払いに備えた強制執行認諾文言付き公正証書にも対応
  • ✔ 相談は何度でも無料・全国対応

▶ 専門家に状況を相談する(無料)

熟年離婚で見落としがちなポイント

介護義務の消滅

離婚が成立すると、元配偶者に対する法律上の扶養義務(民法752条)は消滅します。「介護が負担で離婚を考えている」という動機自体は法律上問題ありませんが、離婚後は元配偶者の介護について法的な義務を負いません。ただし、介護保険サービスの利用状況や要介護認定については、離婚に伴い届出が必要な場合がありますので、市区町村の窓口で確認しておくことをお勧めします。

健康保険・介護保険の切り替え

配偶者の扶養に入っていた場合、離婚後は国民健康保険への加入、任意継続、就職先の健康保険への加入、またはご家族の健康保険の被扶養者となることなどを検討する必要があります。75歳以上は後期高齢者医療制度に加入していますが、保険料の負担が変わる場合があります。

離婚後の生活費・収入の見通し

熟年離婚で後悔しないためには、離婚後の月々の収入見通しを事前に試算しておくことが重要です。主な収入源として、年金分割後の老齢厚生年金、自身の国民年金(老齢基礎年金)、財産分与で受け取った現金・不動産の運用収益などが考えられます。50代での離婚では年金受給開始(原則65歳)までの空白期間の生活費をどう賄うかも重要な検討事項です。年金事務所では「年金分割のための情報通知書」の取得と将来の年金見込み額の試算が可能です。

相続権の消滅

離婚が成立すると配偶者としての相続権は消滅します。婚姻期間が長く、相手に多額の遺産が見込まれる場合には、離婚後の生活設計や将来の資産状況も含めて慎重に検討することが重要です。

生命保険の受取人変更

離婚後も元配偶者が生命保険の受取人のままになっているケースがあります。離婚を機に受取人の見直しを行いましょう。

よくある質問

Q. 専業主婦でも退職金の財産分与を請求できる?

請求できます。専業主婦(夫)による家事労働・育児が配偶者の就労を支えたと評価され、退職金を含む婚姻中に形成された財産は原則として2分の1ずつの分与対象となります。

Q. 年金分割をすると相手の年金が減る?

はい。年金分割は婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度であるため、分割した側の年金受給額は減少します。ただし、分割するのは婚姻期間に対応する部分のみです。

Q. 定年退職後に離婚しても退職金の分与は請求できる?

可能です。退職金がすでに支給され預貯金等に形を変えている場合でも、婚姻中に形成された財産として財産分与の対象になります。離婚時に現存する預貯金のうち、退職金由来の部分が分与対象です。

Q. 熟年離婚の慰謝料相場は?

離婚原因によりますが、不貞行為の場合は100万〜300万円、DVの場合は50万〜300万円程度が相場です。婚姻期間の長さは増額要素として考慮されます。慰謝料の相場については「離婚の慰謝料相場と請求方法」をご確認ください。

まとめ

  • 熟年離婚の3大課題は年金分割・退職金の財産分与・住居の確保
  • 年金分割は離婚成立日の翌日から原則5年以内に請求が必要(2026年4月1日以降の離婚。それ以前は2年以内)
  • 退職金は婚姻期間に対応する部分が分与対象
  • 取り決め内容は離婚協議書・公正証書で書面化すべき

離婚協議書・公正証書の作成はプロにお任せください

サービス 料金
離婚協議書作成 19,800円〜(税込)
離婚公正証書作成 29,800円〜(税込)
  • ✔ 年金分割・退職金・不動産の分与を漏れなく書面化
  • ✔ 公証役場との調整も丸ごとお任せ
  • ✔ 相談は何度でも無料・全国対応

▶ 行政書士法人Treeに相談してみる

年金分割の手続きについては裁判所ウェブサイト(年金分割の割合を定める調停)でも確認できます。

※ 本記事の内容は2026年4月時点の民法・家事事件手続法に基づく解説です。個別の事案では弁護士への相談もご検討ください。

行政書士法人Tree