入管・ビザ関連

企業内転勤ビザとは?海外子会社・関連会社から日本へ駐在員を呼び寄せる要件と出向契約

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在留資格「企業内転勤」は、本邦に本店・支店その他の事業所を有する公私の機関について、外国にある本店・支店・子会社・関連会社等の事業所の職員が、日本にある事業所へ期間を定めて転勤し、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事する場合の就労系在留資格です。技人国ビザと異なり学歴・実務経験10年等の要件は課されず、代わりに転勤直前1年以上の海外事業所での技人国相当業務経験が必要となります。本記事では海外グループ会社等から日本へ呼び寄せる通常の企業内転勤(1号相当)を対象に、対象範囲・要件・必要書類・在留期間を実務目線で整理します。

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目次

  1. 企業内転勤ビザとは(入管法別表第一の二)
  2. 対象となる転勤形態(本店・支店・子会社・関連会社間)
  3. 系列企業の範囲(議決権20%以上の関連会社等の限定)
  4. 主な要件:1年以上の技人国相当業務・日本人同等以上の報酬
  5. 転勤元と転勤先の関係立証・受入機関のカテゴリー資料
  6. 技人国ビザとの違い(学歴要件不要・日本側との直接契約不要)
  7. 必要書類:出向契約・辞令・在職証明・会社関係資料
  8. 在留期間と更新時の注意点
  9. (参考)企業内転勤2号(2024年改正)
  10. 業務範囲の整理
  11. FAQ・まとめ

1. 企業内転勤ビザとは(入管法別表第一の二)

本記事では、海外グループ会社等から日本の事業所へ転勤する通常の在留資格「企業内転勤」を解説します。出入国管理及び難民認定法別表第一の二、上陸基準省令の企業内転勤の項に基づき、海外事業所の職員が日本事業所へ期間を定めて転勤し、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事する場合に該当します。グローバル展開する日系企業が海外現地法人の外国人従業員を日本本社・日本支社へ受け入れる場合や、外資系企業が海外本社・海外グループ会社の外国人従業員を日本支社・日本法人へ駐在させる場合に活用されます。

2. 対象となる転勤形態(本店・支店・子会社・関連会社間)

企業内転勤に該当する典型的な転勤形態は次のとおりです。

  • 外国法人の日本支店・日本営業所への転勤
  • 日本法人の海外支店・海外事業所から日本本店・日本支店への転勤
  • 海外子会社から日本の親会社への出向・転勤
  • 海外親会社から日本子会社への出向・転勤
  • 同一グループ内の兄弟会社・関連会社間の出向・転勤

いずれの場合も、転勤元と転勤先の関係、転勤の期間、業務内容、報酬、直前1年以上の勤務実績を資料で立証します。

3. 系列企業の範囲(議決権20%以上の関連会社等の限定)

企業内転勤の「転勤」に含まれる系列企業の範囲には限定があります。

  • 親会社・子会社:財務諸表等規則にいう親会社・子会社(議決権の過半数所有等)
  • 関連会社:議決権20%以上を保有する会社等。資本関係のない会社は対象外
  • 子会社同士・孫会社間の異動:対象
  • 関連会社間の異動「子会社の関連会社」との異動:原則として対象外

転勤元と転勤先がいずれも該当する系列関係にあるかを、出資証明・登記事項証明書・組織図・連結関係資料等で個別に確認する必要があります。

4. 主な要件:1年以上の技人国相当業務・日本人同等以上の報酬

上陸基準省令の企業内転勤の項により、以下の要件を満たすことが必要です。

  • 申請に係る転勤の直前に、外国にある本店・支店その他の事業所において、1年以上継続して、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事していたこと(単なる海外勤務1年では足りない。単純作業・現場作業・販売接客のみは1年要件に算入しにくい)
  • 転勤後の日本での業務も、技術・人文知識・国際業務に該当する業務であること(IT・設計・技術開発・会計・法務・経営企画・マーケティング・貿易・通訳翻訳・海外取引業務等の専門的業務。単純作業・製造ライン作業・店舗接客のみは原則対象外)
  • 日本人が同種業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること(海外本社払い・日本側払い・出向手当・住宅手当等を含めた報酬設計を、労働条件通知書・出向契約書・給与明細・社内賃金規程等で説明。税務・社会保険の取扱いは税理士・社会保険労務士に確認)

5. 転勤元と転勤先の関係立証・受入機関のカテゴリー資料

同一法人内の本店・支店間の転勤、親会社・子会社間の転勤、子会社間の転勤、関連会社間の転勤等が想定されます。資本関係、議決権割合、役員関係、連結関係、グループ組織図、出資証明、登記事項証明書、年次報告書等により、転勤元と転勤先が同一企業グループ内の事業所であることを立証します。

あわせて、日本側受入機関の実在性・事業継続性・安定性を示す資料も重要です。所属機関のカテゴリーに応じて、上場証明、法定調書合計表、決算書、登記事項証明書、会社案内、事業内容資料、事業所写真等の提出を検討します。

6. 技人国ビザとの違い(学歴要件不要・日本側との直接契約不要)

項目 技術・人文知識・国際業務 企業内転勤
学歴・実務経験 大学等の学歴または一定年数の実務経験が必要 不要。代わりに転勤直前1年以上の技人国相当業務経験
新規採用 可能 不可(既存社員の転勤・出向のみ)
日本側との契約 本邦の公私の機関との契約(雇用・委任・委託等)が必要 日本側との直接の労働契約は不要。出向元(現地法人)との契約を維持したまま現地法人が給与を支払う形態も可
業務内容 技人国相当の専門的業務 転勤前後双方が技人国相当の専門的業務

企業内転勤は、申請人が日本の受入機関と直接の労働契約を結んでいなくても差し支えなく、出向元との契約を維持したまま現地法人が給与を支払う形態も認められる点が、技人国(日本の機関との契約が前提)と異なる重要な特徴です。出向契約・社内辞令で転勤の実態を明確にしておくことが重要です。

7. 必要書類:出向契約・辞令・在職証明・会社関係資料

  • 出向契約書・転勤辞令
  • 在職証明書・海外勤務期間証明書
  • 転勤前後の職務内容説明書(技人国相当性を立証)
  • 労働条件通知書・報酬支払方法の説明書
  • 転勤期間・帰任予定の説明書
  • グループ会社関係資料(資本関係・議決権割合・組織図・連結関係資料)
  • 日本側受入機関のカテゴリー資料(上場証明・法定調書合計表・決算書・登記事項証明書・会社案内・事業内容資料)
  • 転勤元・転勤先双方の登記事項証明書・年次報告書

8. 在留期間と更新時の注意点

在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかです(出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二)。実際に付与される在留期間は、出向・転勤予定期間、受入機関の規模・安定性、本人の職務内容、過去の在留状況等により個別に判断されます。企業内転勤は「期間を定めて転勤」する在留資格であるため、出向期間・転勤予定期間を明確にすることが重要です。

更新時には、転勤実態の継続、業務内容が技人国相当性を維持しているか、報酬が日本人同等以上か等が審査されます。途中で帰任した場合や、出向元との関係が解消された場合等は、在留資格の該当性に影響します。

9. (参考)企業内転勤2号(2024年改正)

2024年6月の入管法改正により、技能等を修得するために日本に転勤し講習を受けながら業務に従事する外国人を対象とする「企業内転勤2号」(現行の企業内転勤は1号に相当)の新設が決まっており、2027年またはそれ以前に施行される予定です。本記事の対象は通常の企業内転勤(1号相当)ですが、近い将来の制度変更として留意してください。申請時点では出入国在留管理庁の最新資料を確認します。

10. 業務範囲の整理

行政書士業務範囲

  • 企業内転勤ビザの在留資格認定証明書交付申請、在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請の取次
  • 出向契約書、転勤辞令、在職証明書、海外勤務期間証明書、職務内容説明書等の整理
  • グループ会社関係資料・受入機関カテゴリー資料の整理
  • 海外法人の登記簿・会社概要・出資関係資料・在職証明書等について、日本の入管申請用の翻訳・資料整理・説明書作成

業務範囲外(連携先専門家)

  • 海外法人の設立・登記・税務・労務手続および現地法上の有効性確認(現地専門家)
  • 日本側税務(源泉徴収・年末調整・出向者の課税関係)(税理士)
  • 労務管理・社会保険手続・出向者の労働条件設計(社会保険労務士)
  • 不許可処分に対する取消訴訟代理(弁護士)

11. FAQ|よくあるご質問

Q. 転勤元と転勤先の関係はどの程度必要ですか?
A. 同一法人内の本店・支店間の転勤、親会社・子会社間の転勤、子会社間の転勤、関連会社間の転勤等が想定されます。関連会社は議決権20%以上を保有する会社等を指し、資本関係のない会社は対象外です。関連会社間の異動や「子会社の関連会社」との異動は原則として対象外となります。資本関係、議決権割合、役員関係、連結関係、グループ組織図、出資証明、登記事項証明書、年次報告書等で立証します。

Q. 転勤元での勤務期間は?
A. 申請に係る転勤の直前に、外国にある本店・支店その他の事業所で1年以上継続して技人国相当業務に従事している必要があります。過去に1年以上勤務していたとしても、転勤直前の勤務でない場合や、途中でグループ外企業へ転職している場合は、原則として要件を満たしにくくなります。

Q. 企業内転勤に学歴要件はありますか?
A. 企業内転勤では、技人国ビザのような大学卒業・実務経験10年等の要件は直接求められません。ただし、転勤直前1年以上、海外事業所で技人国相当業務に従事していたこと、日本での業務も技人国相当であることを立証する必要があります。したがって、学歴要件が不要であっても、単純作業・現場作業中心の業務では認められにくいです。

Q. 日本側の会社と雇用契約を結ぶ必要がありますか?
A. 企業内転勤では、申請人が日本の受入機関と直接の労働契約を結んでいなくても差し支えなく、出向元(現地法人)との契約を維持したまま現地法人が給与を支払う形態も認められます。出向契約・社内辞令で転勤の実態を明確にしておくことが重要です。技人国(日本の機関との契約が前提)との大きな違いです。

Q. 報酬の支払方法はどうすればよいですか?
A. 日本人が同種業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが要件です。海外本社払い・日本側払い・出向手当・住宅手当等を含めた報酬設計について、労働条件通知書・出向契約書・給与明細・社内賃金規程等で説明します。税務・社会保険の取扱いは税理士・社会保険労務士に確認します。

Q. 在留期間は何年付与されますか?
A. 5年・3年・1年・3月のいずれかです。実際の付与期間は、出向・転勤予定期間、受入機関の規模・安定性、本人の職務内容、過去の在留状況等により個別判断されます。企業内転勤は期間を定めた転勤の在留資格であるため、出向期間・転勤予定期間を明確にすることが重要です。

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まとめ

在留資格「企業内転勤」は、本邦に本店・支店その他の事業所を有する公私の機関について、外国にある本店・支店・子会社・関連会社等の事業所の職員が日本にある事業所へ期間を定めて転勤し、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事する場合の就労系在留資格です。本記事は通常の企業内転勤(1号相当)を対象とします。

主な要件は、転勤直前1年以上、外国事業所で技術・人文知識・国際業務に該当する業務に継続して従事していたこと、転勤後の日本での業務も技人国相当業務であること、日本人が同種業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることです。単なる海外勤務1年では足りず、技人国相当の専門業務経験が必要となります。

系列企業の範囲には限定があり、関連会社は議決権20%以上を保有する会社等を指します。子会社同士・孫会社間の異動は対象ですが、関連会社間の異動や「子会社の関連会社」との異動は原則として対象外です。資本関係・議決権割合・役員関係・連結関係・組織図等で系列関係を立証します。

技人国との違いは、学歴・実務経験10年等の要件が課されない代わりに転勤直前1年以上の海外事業所での技人国相当業務経験が必要となる点、および日本側の受入機関と直接の労働契約を結ぶ必要がなく出向元との契約を維持したまま現地法人が給与を支払う形態も認められる点です。出向契約・転勤辞令で転勤の実態を明確にすることが重要です。在留期間は5年・3年・1年・3月で、出向・転勤予定期間や受入機関の規模・安定性等により個別判断されます。なお、2024年6月の入管法改正により企業内転勤2号の新設が決まっており、2027年またはそれ以前に施行される予定です。

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※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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