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育成就労制度の対象17分野|2027年4月1日施行・特定技能19分野との違いを解説

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2027年4月1日に施行される育成就労制度では、受入対象となる「分野(特定産業分野)」が特定技能制度と統一される方向で議論が進んでいます。旧技能実習制度の91職種・168作業から大幅に再編され、3年間の育成期間を経て特定技能1号水準へ到達する仕組みへ転換するため、受入企業は自社の業務がどの分野に該当するか、分野別協議会への加入要件はどうなるかを早期に把握する必要があります。本記事では、現行の特定技能19分野と育成就労17分野の関係を整理、育成就労制度における分野統一の意義、人材育成方針との整合性、分野所管省庁との連携体制までを実務目線で解説します。

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1. 育成就労制度の対象分野とは|特定技能との統一方針

育成就労制度は、2024年6月に成立した「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号、令和6年6月21日公布)により創設された新たな在留資格制度で、技能実習制度に代わる外国人材の受入枠組みとして2027年4月1日に施行されます。

制度設計上の最大の特徴の一つが、受入対象となる「分野(特定産業分野)」を特定技能制度と統一する方向で整理されている点です。技能実習制度では、職種・作業ベースで91職種168作業(2024年時点)が認定されていましたが、現場運用での業務範囲と職種の不一致、ミスマッチによる失踪・転籍困難等の問題が指摘されてきました。育成就労制度では、特定技能制度と同じ「分野」単位で対象を整理し、3年間の育成期間を経て特定技能1号水準に到達することを基本的な制度設計としています。

これにより、育成就労から特定技能1号、さらには特定技能2号へとキャリアパスが明確化されるとともに、受入企業側も「自社業務がどの分野に該当するか」を一度確認すれば、育成就労と特定技能の両方で同じ判断基準を使えるようになります。具体的な分野指定や運用基準は、施行までに分野別運用方針および分野別協議会の制度設計を通じて明確化される見込みです。

2. 特定技能19分野と育成就労17分野の整理(2026年時点)

育成就労制度の対象分野を理解するには、特定技能制度の特定産業分野19分野と育成就労産業分野17分野の関係を整理する必要があります。特に、育成就労では自動車運送業分野と航空分野が除外されている点に注意が必要です。

製造・整備・産業系:工業製品製造業、造船・舶用工業、自動車整備、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環などが含まれます。工業製品製造業は、旧来の素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業を統合した分野として整理されています。

建設・インフラ系:建設、鉄道などが育成就労産業分野に含まれます。一方、自動車運送業は特定産業分野には含まれますが、育成就労産業分野からは除外されています。建設分野では、分野固有の上乗せ基準やJAC(建設技能人材機構)への加入等の確認が重要になります。

サービス・宿泊系:介護、ビルクリーニング、宿泊などが育成就労産業分野に含まれます。航空分野は特定産業分野には含まれますが、育成就労産業分野からは除外されています。介護分野では、令和7年4月21日付け告示改正により、一定の訪問系サービスへの従事が可能となっています。

農林水産・食品系:農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業などが含まれます。これらに加え、特定産業分野ではリネンサプライ、物流倉庫、資源循環も整理されています。

整理のポイント:2026年時点では、特定産業分野は19分野、育成就労産業分野は17分野です。育成就労では、特定産業分野のうち自動車運送業分野と航空分野を除いた分野が対象とされているため、単に「特定技能と完全に同一」と理解しないことが重要です。

3. 育成就労での分野統一の意義|旧技能実習91職種からの大幅再編

技能実習制度の対象は、技能実習法第8条に基づき主務大臣が定める「移行対象職種・作業」として運用されてきました。2024年4月時点で91職種168作業が認定されており、農業関係、漁業関係、建設関係、食品製造関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係、その他の7区分に分かれていました。

この「職種・作業」方式には、現場の業務範囲と認定された作業の不一致、複数職種にまたがる業務を行う実習生の取り扱いの困難さ、職種ごとの試験制度の煩雑さ等の問題がありました。また、特定技能制度との接続性が悪く、技能実習2号修了後に特定技能1号へ移行する際の業務範囲の確認が複雑化していました。

育成就労制度では、対象を特定技能と同じ「分野」単位で整理することで、これらの問題の解消が図られます。具体的には、(1) 受入企業が自社業務の該当性を一度の確認で把握できる、(2) 育成就労から特定技能1号への移行時に同一分野内であれば追加試験等の負担を軽減できる、(3) 分野別協議会が育成就労と特定技能を一体的に運用できる、といった効果が期待されます。

一方、職種から分野への移行に伴い、これまで技能実習の対象だった一部の作業が育成就労の対象外となる可能性も指摘されています。各分野の具体的な業務範囲は、分野別運用方針の中で詳細に定められる予定であり、現行の技能実習を実施している企業は、自社業務が育成就労のどの分野・業務区分に位置付けられるか、施行までに確認しておく必要があります。

4. 人材育成方針|3年で特定技能1号水準への到達

育成就労制度の根幹をなすのが、分野別の人材育成方針と育成就労計画です。基本的な設計として、就労開始前にはA1相当以上の日本語試験(JLPT N5等)の合格または相当講習の受講が求められ、特定技能1号への移行時には、技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験の合格に加え、日本語能力A2相当以上の試験(JLPT N4等)への合格が要件とされています。受入企業は、3年間の育成期間を通じて、技能と日本語能力の双方について段階的に到達目標を管理する必要があります。

人材育成方針には、(1) 分野の特性に応じた育成目標(到達すべき技能水準・日本語水準)、(2) 段階的な育成プロセス(1年目・2年目・3年目の目標)、(3) 評価方法(技能評価試験・日本語能力評価)、(4) 育成体制(指導員の配置・OJT/OffJTの組み合わせ)、(5) 転籍時の引継ぎ等が含まれる見込みです。

受入企業はこの分野別人材育成方針に基づいて、個別の育成就労計画を作成し、外国人育成就労機構(現行の外国人技能実習機構を改組)の認定を受ける必要があります。育成計画の進捗管理は監理支援機関が行い、定期面談・指導等を通じて方針との整合性を確認する仕組みです。

登録支援機関業務の観点では、特定技能1号への移行段階で受入企業から委託を受け、義務的支援10項目(事前ガイダンス・出入国送迎・住居確保・生活オリエンテーション・公的手続同行・日本語学習機会提供・相談苦情対応・日本人との交流促進・転職支援・定期面談/行政機関通報)を実施することになります。

5. 分野所管省庁との連携体制

特定技能制度・育成就労制度では、各分野について所管省庁が定められており、分野別運用方針の策定・分野別協議会の運営・受入見込数の設定等を担います。主な所管関係は以下のとおりです。

介護分野:厚生労働省。介護福祉士国家試験との接続、訪問系介護の運用、特定技能「介護」との一体運用等を所管します。介護職員必要数は2026年度240万人・2040年度272万人と推計されており、受入拡大の中核分野の一つです。

建設分野:国土交通省。JAC(建設技能人材機構)への加入義務、建設キャリアアップシステム(CCUS)登録、建設業法上の許可業種との整合確認等を所管します。育成就労でも建設業許可・経審制度との接続が重要になります。

農業・漁業・食品系:農林水産省。農業派遣制度(特定技能農業の特例)、漁業の特定技能2号運用、飲食料品製造業・外食業の業務範囲整理等を所管します。

製造業系・宿泊・航空:経済産業省(工業製品製造業)、国土交通省(造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊)が所管します。

これらの所管省庁は、出入国在留管理庁・厚生労働省(労働基準・労働条件)と連携しながら、分野別運用方針および分野別協議会を通じて受入の質の確保を図っています。育成就労制度については、2026年1月23日に分野別運用方針が閣議決定され、2026年2月20日に育成就労制度運用要領が公表されています。分野ごとの人材育成方針、転籍要件、上乗せ基準告示等は順次更新されているため、実務では最新の分野別運用方針・運用要領・告示を確認する必要があります。

6. 分野別協議会への加入義務|協議会の役割

特定技能制度では、受入企業(特定技能所属機関)は分野別協議会への加入が義務付けられています(特定技能基準省令)。協議会は、所管省庁・受入企業・業界団体・有識者等で構成され、(1) 分野内の受入状況の共有、(2) 適正受入のための情報交換、(3) 悪質事例の情報共有・対応、(4) 制度の改善提案等を行います。

育成就労制度でも、分野別協議会への加入義務は維持される方向で議論が進んでいます。むしろ、育成就労と特定技能を一体的に運用する分野別協議会として、(1) 分野別人材育成方針の策定・改定、(2) 育成計画認定への意見、(3) 転籍時の受入機関マッチング、(4) 賃金水準の業界基準モニタリング等、機能が拡張される見込みです。

建設分野のJAC、造船・舶用工業分野の協議会、介護分野の協議会など、既に分野ごとの運営体制が整備されており、登録支援機関や受入企業はこれら協議会と継続的に連携することが求められます。新規受入の際には、(1) 分野該当性の確認、(2) 協議会への加入手続、(3) 分野別運用方針への適合確認、(4) 育成就労計画・特定技能支援計画の策定、という一連のフローを踏むことになります。

7. 受入対象業務の細分化|特定技能の業務区分

各分野の中では、さらに「業務区分」によって受入対象業務が細分化されています。例えば、工業製品製造業分野では、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、繊維、縫製といった業務区分があり、それぞれに対応する技能評価試験が設定されています。

建設分野では、土木、建築、ライフライン・設備の3区分の中に、型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ・表装、とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工、空調・給排水設備、電気・電気通信といった業務が含まれます。

育成就労制度でも、こうした業務区分による細分化は維持される見込みで、受入企業は自社の主たる業務がどの業務区分に該当するかを正確に把握することが重要です。特に、複数の業務区分にまたがる業務を行う場合、育成就労計画上の主たる業務をどの区分に位置付けるか、技能評価試験の受験区分と整合させる必要があります。

業務区分の選定を誤ると、(1) 育成計画認定の不認定、(2) 特定技能1号への移行時の試験区分不整合、(3) 分野別協議会との関係での適正受入確認の遅延、等の実務リスクが生じます。施行前に、自社業務と既存の業務区分を照合し、必要であれば所管省庁・分野別協議会への事前確認を行うことが望ましい対応です。

8. 賃金水準|日本人と同等以上の業界平均との比較

育成就労制度の重要な要件の一つに「日本人と同等以上の賃金水準」があります。これは特定技能制度でも同様に求められている要件で、育成就労法・入管法上の認定要件として明確化される予定です。

具体的な確認方法としては、(1) 同一企業内の日本人従業員の賃金との比較、(2) 同一地域・同一業務の業界平均との比較、(3) 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(賃金センサス)」等の公的統計との比較、が想定されます。育成就労制度では、分野別運用方針の中で、業界平均賃金との比較方法や下限水準が明示される方向で検討されています。

分野別協議会の役割として、業界の賃金水準モニタリングを行い、平均的な水準から著しく乖離する受入企業に対しては協議会から指導・是正を行う仕組みも検討されています。これは技能実習制度で課題となっていた「最低賃金ぎりぎりでの受入」「日本人との賃金格差」を解消するための制度的措置です。

受入企業の実務対応としては、(1) 賃金規程の整備、(2) 育成期間中の昇給制度の設計、(3) 特定技能1号移行時の賃金見直し、(4) 同種日本人従業員との比較資料の整備、が必要です。賃金水準は育成就労計画認定の段階で確認されるため、施行までに賃金体系の見直しを進めておく必要があります。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 現在特定技能で受入をしていますが、育成就労が始まったら分野はそのまま使えますか

2026年時点の整理では、特定産業分野は19分野、育成就労産業分野は17分野です。育成就労は特定技能制度と接続する設計ですが、自動車運送業分野と航空分野は育成就労産業分野から除外されています。そのため、現在特定技能で受入をしている企業であっても、自社の分野が育成就労産業分野に含まれるか、分野別運用方針・業務区分・上乗せ基準告示を個別に確認する必要があります。

Q2. 現在の技能実習生は育成就労に切り替わりますか

現に技能実習中の外国人については、施行後一定期間の経過措置が設けられる方向で議論されています。具体的な経過措置の内容(残存期間中は技能実習として継続、育成就労への切替手続等)は、施行までに公布される政省令・告示で明確化される予定です。受入企業は、各実習生の在留期限・技能実習計画の残存期間を整理し、施行後の対応方針を準備しておく必要があります。

Q3. 分野別協議会への加入はいつ行う必要がありますか

現行の特定技能制度では、特定技能外国人を初めて受け入れた日から4か月以内に分野別協議会への加入が必要とされています(建設分野等の一部を除く)。育成就労制度でも同様の運用が想定されますが、分野によっては受入前の事前加入を求める運用もあり得るため、所管省庁・分野別協議会の公表する加入手続を確認してください。

Q4. 賃金水準の「日本人と同等以上」は具体的にどう確認しますか

同一企業内に同種業務を行う日本人従業員がいる場合はその賃金との比較、いない場合は厚生労働省の賃金構造基本統計調査等の公的統計や業界平均との比較を行います。育成就労制度では、分野別運用方針の中で具体的な比較方法・下限水準が示される見込みです。賃金規程と実支給額の差異がないか、控除項目の妥当性も合わせて確認することが重要です。

Q5. 育成就労から特定技能1号への移行はどのような手続ですか

育成就労3年修了時に、技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験、日本語能力A2相当以上の試験(JLPT N4等)に合格していれば、特定技能1号への在留資格変更が可能となります。変更申請については、届出済みの申請取次行政書士による申請取次が可能です。変更後は、特定技能1号の支援計画に基づき、受入企業または登録支援機関による義務的支援の実施が必要となります(自社支援を選択する場合は別途要件あり)。

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まとめ

分野統一の意義:育成就労制度では、受入対象を特定技能と同じ「分野」単位で整理し、旧技能実習91職種168作業から大幅に再編されます。これにより、受入企業は一度の分野該当性確認で育成就労と特定技能の両方の判断ができ、3年の育成期間を経て特定技能1号水準へ到達するキャリアパスが明確化されます。

人材育成方針との整合:各分野ごとに人材育成方針が策定され、3年間で特定技能1号評価試験合格水準および日本語能力試験N4以上の到達を目標とする段階的育成プロセスが設計されます。受入企業はこの方針に沿って個別の育成就労計画を策定し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。

分野別協議会・所管省庁との連携:介護は厚労省、建設は国交省、農業は農水省など、分野ごとの所管省庁と分野別協議会が一体的に運用を担います。分野別協議会への加入義務は維持され、賃金水準の業界平均モニタリング・転籍時のマッチング等、機能が拡張される見込みです。

賃金水準と業務区分の確認:「日本人と同等以上の賃金」要件と業務区分の細分化への対応が、受入企業の実務上の主要論点となります。賃金規程の整備・公的統計との比較・自社業務と業務区分の照合を施行までに進めておくことが望ましい対応です。

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