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育成就労外国人の社会保険|健康保険・厚生年金・労災・雇用保険の加入義務

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育成就労外国人を雇用する企業には、日本人従業員とまったく同じ基準で社会保険・労働保険への加入義務が生じます。具体的には、健康保険・厚生年金保険(まとめて社会保険)、労災保険・雇用保険(まとめて労働保険)の4つです。「外国人だから」「在留資格が育成就労だから」といって加入を省略できる制度はありません。育成就労制度は2027年(令和9年)4月1日施行の「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に基づくもので、技能実習制度を発展的に解消して新設される在留資格です。本記事では、行政書士の立場から、4つの保険の加入義務・保険料負担・実務上の注意点を整理します。なお保険加入の具体的な手続きは社会保険労務士の業務領域となるため、当事務所では在留資格申請・育成就労計画の作成支援や監理支援機関に関するサポートを担い、特定技能1号へ移行後の登録支援機関業務も含めて、保険手続きは提携する社会保険労務士と連携してサポートします。

育成就労制度とは(2027年4月施行)

育成就労制度は、これまでの技能実習制度に代わって創設される新しい受入れ制度です。技能実習が「技能移転による国際貢献」を目的としていたのに対し、育成就労は「特定技能1号水準の人材の育成」と「対象分野における人材の確保」を目的とする点が大きく異なります。在留資格の正式名称は「育成就労」で、原則として特定技能1号への移行を前提とし、おおむね3年間の育成を行います。

施行日は2027年4月1日です。重要なのは、育成就労外国人は技能実習生と同様、日本の事業所に「雇用契約」に基づいて就労する労働者だという点です。労働者である以上、労働関係法令や社会保険・労働保険の規定は日本人と同様に適用されます。これは制度が変わっても変わらない大原則です。

健康保険・厚生年金保険(社会保険)の加入義務

株式会社などの法人や、一定の業種で常時5人以上を使用する個人事業所は「強制適用事業所」に該当し、ここでフルタイムで働く育成就労外国人は原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。加入は事業主・本人の意思や希望にかかわらず、要件に該当すれば法律上当然に必要となるもので、外国人であることや在留資格の種類による例外はありません。

主なポイントは次のとおりです。

  • 健康保険:就労を開始した日に被保険者資格を取得します。医療機関での自己負担は原則3割となり、病気・けが・出産などで給付を受けられます。
  • 厚生年金保険:厚生年金の被保険者は同時に国民年金の第2号被保険者となります。毎月の保険料を給与から控除して納めることで、国民年金保険料も納付したものとして扱われます。
  • 保険料負担:健康保険料・厚生年金保険料はいずれも事業主と本人が折半します。本人負担分は給与から控除します。

育成就労外国人は日本国内に住所を有することになるため、原則として住民となり、年金・医療の公的制度に組み込まれます。受入れ企業はこの仕組みを前提に給与設計や説明を行う必要があります。

労災保険の加入義務

労災保険(労働者災害補償保険)は、労働者を1人でも雇用するすべての事業所に適用されます。育成就労外国人も「労働者」である以上、雇用形態や労働時間の長短にかかわらず適用対象です。

労災保険の特徴は、保険料を全額事業主が負担する点です。本人負担はありません。業務中や通勤途中のけが・病気・障害・死亡について、療養給付や休業給付などが受けられます。育成就労は製造・建設・介護・農業など現場作業を伴う分野での受入れが想定されるため、労災保険の適切な適用と労働災害防止は受入れ企業にとって特に重要です。

雇用保険の加入義務と適用要件

雇用保険は、次の両方の要件を満たす場合に加入義務が生じます。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

育成就労はフルタイムでの就労を前提とした在留資格であり、通常はこの要件を満たすため雇用保険の被保険者となります。保険料は事業主と本人が一定割合で負担します(率は業種・年度により異なります)。失業等給付のほか、受入れ企業が活用できる助成金等の前提となる場合もあります。

なお、外国人を雇用する事業主には、雇用保険の加入手続きとあわせて、または加入対象でない場合でも、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています。届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合には、30万円以下の罰金の対象となり得るため注意が必要です。

帰国時の年金「脱退一時金」|要件・請求期限・月数上限

育成就労外国人は将来的に特定技能へ移行して長く在留するケースもありますが、納付期間が短いまま帰国する場合には、納めた厚生年金・国民年金保険料の一部を払い戻す「脱退一時金」を請求できます。主な要件は次のとおりです。

  • 日本国籍を有していないこと
  • 保険料の納付済期間等が6か月以上あること
  • 老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと
  • 日本国内に住所を有していないこと(出国していること)

請求は、原則として日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内に行う必要があります。資格喪失日や住民票の転出日との関係で起算点が異なる場合があるため、個別のケースでは日本年金機構または社会保険労務士に確認しましょう。厚生年金の脱退一時金の計算に用いる月数の上限は、最終月が2021年4月以降の場合最大60か月(5年分)です。なお、育成就労から特定技能へ移行して長期就労する人が増えることを踏まえ、脱退一時金の支給額計算に用いる月数上限を現行の5年分から8年分へ引き上げる改正が予定されています。ただし、適用開始日は政令で定められることになっているため、実際の請求時には最新情報の確認が必要です。手続きの説明は、育成就労外国人の保護・生活支援の一環として受入れ側でも案内が求められる場面があります。具体的な金額計算や請求手続きは日本年金機構や社会保険労務士に確認・連携のうえ進めるのが確実です。

受入れ企業が押さえるべき実務ポイント

4つの保険をまとめると、加入義務と保険料負担は次のように整理できます。

保険の種類 主な加入要件 保険料負担
健康保険 適用事業所での就労(原則強制) 労使折半
厚生年金保険 適用事業所での就労(原則強制) 労使折半
労災保険 労働者を1人でも雇用 全額事業主
雇用保険 週20時間以上かつ31日以上雇用見込み 労使で負担(率は年度等による)

これらの加入手続き(資格取得届の提出等)や給与計算は社会保険労務士の業務領域です。一方で、受入れの前提となる在留資格「育成就労」の申請、育成就労計画の作成、監理支援機関に関するサポートは行政書士が担う領域であり、特定技能1号へ移行後の登録支援機関業務も含まれます。社会保険の適切な加入は、在留資格の審査・更新においても適正な受入れ体制を示す重要な要素となります。労働条件・社会保険・在留手続きを一体で整えることが、安定した受入れの鍵となります。

育成就労・特定技能の在留資格申請や、育成就労の監理支援機関・特定技能の登録支援機関に関する受入れ体制づくりについては、行政書士法人Treeにご相談ください。社会保険・労働保険の手続きは提携する社会保険労務士と、税務は提携する税理士と連携し、ワンストップで受入れをサポートします。特定技能・育成就労の受入れサポートはこちら。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

育成就労制度は2027年4月1日施行の育成就労法に基づく新しい在留資格で、就労する外国人は日本人と同じ労働者です。そのため、健康保険・厚生年金保険(社会保険)、労災保険・雇用保険(労働保険)は、要件に該当すれば本人や事業主の意思にかかわらず加入が義務付けられます。健康保険・厚生年金は労使折半、労災保険は全額事業主負担、雇用保険は週20時間以上かつ31日以上雇用見込みで適用されます。帰国時には脱退一時金の制度もあります。在留手続きは行政書士、保険手続きは社会保険労務士と、適切な役割分担で受入れ体制を整えましょう。

育成就労の社会保険に関するよくある質問

Q:育成就労外国人は本人が希望すれば社会保険に入らなくてもよいのですか?

A:いいえ。健康保険・厚生年金保険は強制適用事業所での就労であれば、本人や事業主の希望にかかわらず加入が必要です。要件に該当する限り「加入しない」という選択はできません。

Q:保険料は誰が負担しますか?

A:健康保険料と厚生年金保険料は事業主と本人が折半します。労災保険料は全額事業主負担です。雇用保険料は事業主と本人が一定割合で負担します(率は業種・年度により異なります)。

Q:育成就労は技能実習と社会保険の扱いが違いますか?

A:基本的な考え方は同じです。技能実習生も育成就労外国人も日本で雇用契約に基づき働く労働者であり、要件に該当すれば社会保険・労働保険に加入する点は変わりません。制度の目的や転籍の可否などは異なりますが、保険加入義務の枠組み自体は共通です。

Q:短期間で帰国する場合、納めた年金は無駄になりますか?

A:一定の要件を満たせば「脱退一時金」を請求できます。保険料納付済期間が6か月以上あり、出国後2年以内に請求することが必要です。厚生年金部分の計算月数の上限は、最終月が2021年4月以降の場合で最大60か月です(今後、上限を引き上げる改正の適用が予定されています)。具体的な金額や手続きは日本年金機構または社会保険労務士にご確認ください。

Q:在留資格の手続きと保険の手続きは同じ専門家に頼めますか?

A:在留資格申請・育成就労計画の作成支援・監理支援機関に関するサポートは行政書士、特定技能1号への移行後の登録支援機関業務も同様に行政書士が対応し、社会保険・労働保険の加入手続きや給与計算は社会保険労務士の業務です。当事務所では行政書士業務を担い、保険手続きは提携する社会保険労務士と連携してワンストップで対応します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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