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相続人が行方不明の場合の生存確認|長期不在者・失踪宣告・認定死亡の違い

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結論から言えば、相続人の中に長年連絡が取れない方がいても、その方を除いて遺産分割協議を成立させることはできません。生死不明の状態が続く「長期不在者」には不在者財産管理人の選任や失踪宣告という民法上の手続が、災害や事故で死亡がほぼ確実なのに遺体が確認できない場合には認定死亡(戸籍法89条)という戸籍法上の制度が用意されており、両者は要件も効果もまったく異なります。行政書士法人Treeは、戸籍謄本や戸籍の附票の収集による法定相続人の確認・所在調査と遺産分割協議書の作成を業務とし、家庭裁判所への申立てが必要な場面では弁護士・司法書士と、相続税は税理士と連携して対応しています。本記事では、長期不在者と認定死亡の違いと、それぞれが相続手続に与える影響を条文に沿って整理します。

相続人の生存確認が遺産分割の出発点になる理由

遺産分割協議は共同相続人の全員が参加して行う必要があり(民法907条)、1人でも除外して作成した遺産分割協議書は無効です。行方不明の相続人を「いないもの」として作った書類は、預貯金の解約にも不動産の名義変更(相続登記)にも使えません。

そこで最初に行うのが、戸籍による法定相続人の確定と生存確認です。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍を含む)を集めて相続人を確定し、各相続人の現在の戸籍で生存を確認します。戸籍に死亡や失踪宣告の記載がなければ、その方は法律上「生存している相続人」として扱われます。なお2024年3月1日施行の改正戸籍法(120条の2)により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本・除籍謄本をまとめて請求できる広域交付が始まりました。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属が窓口で請求する場合に限られ、兄弟姉妹の戸籍・戸籍の附票・代理人や郵送による請求は対象外です。所在が分からないときは、戸籍の附票(住民票上の住所の履歴が記録された書類)を本籍地の市区町村に請求して住所を追うのが基本です。

附票をたどっても所在がつかめないとき、ここから先が「長期不在者」と「認定死亡」の分かれ道です。

長期不在者とは――生死不明でも自動的に「死亡扱い」にはならない

民法25条1項は「従来の住所又は居所を去った者」を不在者と定め、財産管理人を置かないまま所在不明となった場合に、家庭裁判所が利害関係人等の請求によりその財産の管理に必要な処分を命じられるとしています。重要なのは、たとえ10年、20年と音信不通が続いても、戸籍に死亡の記載がない限り法律上は生存扱いという点です。

  • 家出や失踪の後、住民票を移さないまま所在不明になっている
  • 海外へ渡航したまま消息が途絶えている
  • 住民票上の住所に居住実態がなく、連絡手段が一切ない

長期不在者がいる状態では協議が成立しないため、不在者財産管理人の選任か失踪宣告を家庭裁判所で行うことになります。

認定死亡(戸籍法89条)とは――官公署の報告で戸籍に死亡が記載される制度

戸籍法89条は「水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない」と定めています。この報告に基づいて戸籍に死亡の記載がされる仕組みが、いわゆる認定死亡です。

通常の死亡では、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡診断書または死体検案書を添えて死亡届を提出します(戸籍法86条)。しかし、船舶の沈没や大規模な火災・災害で遺体が発見されない場合は検案書が作成できず、死亡届が出せません。そこで、捜索・取調べを行った官公署(海上保安庁や警察など)が死亡したと認めたときに市町村長へ死亡報告を行い、戸籍に死亡が記載されます。

認定死亡の効果は死亡の「推定」と解されており、後に本人の生存が判明した場合、失踪宣告のような取消しの審判(民法32条)は不要です。ただし、戸籍の死亡記載を消すには家庭裁判所の戸籍訂正許可(戸籍法113条)を得る必要があります。認定死亡自体は官公署の報告により行われるため、申立てが不要な点が特徴です。

長期不在者と認定死亡の違いを比較する

両者は「生死が確認できない人の扱い」という点で似ていますが、制度の性質はまったく異なります。

項目 長期不在者(不在者財産管理・失踪宣告) 認定死亡
根拠条文 民法25条・30条・31条 戸籍法89条
想定場面 家出・音信不通など生死不明の状態が継続 水難・火災その他の事変で死亡がほぼ確実だが遺体が未確認
手続の主体 利害関係人が家庭裁判所に申立て 取調べをした官公署が市町村長に報告
死亡の効果 失踪宣告により死亡と「みなす」(民法31条) 死亡と「推定」される
生存が判明したとき 失踪宣告取消しの審判が必要(民法32条) 反証により覆る(戸籍の記載訂正には家庭裁判所の許可=戸籍法113条が必要)

相続との関係では、失踪宣告(普通失踪)は7年の期間満了時に、認定死亡は官公署が認定した死亡の日に、それぞれ相続が開始する点も大きな違いです。

生死不明の期間が短い場合――不在者財産管理人の選任(民法25条)

行方不明になってからの期間が短い、あるいは生存の可能性が十分にある場合は、不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。申立手数料は収入印紙800円分で、このほか連絡用の郵便切手代と、不在者の財産から管理費用を賄えない事案では予納金が必要になることがあります。

選任された管理人は不在者の財産の保存・管理を行い、家庭裁判所の権限外行為許可を得れば、不在者に代わって遺産分割協議に参加できます。審理では不在者の利益の確保が重視されるため、不在者の取り分をゼロとする協議案は認められにくい点に注意してください。

生死不明が7年続いた場合――失踪宣告(民法30条・31条)

不在者の生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により家庭裁判所が失踪宣告をすることができます(民法30条1項・普通失踪)。また、戦争や船舶の沈没その他死亡の原因となる危難に遭遇した人の生死が、危難の去った後1年間明らかでないときも同様です(同条2項・危難失踪)。宣告を受けた人は、普通失踪では7年の期間満了時に、危難失踪では危難が去った時に死亡したものと「みなされ」(民法31条)、相続が開始します。

  • 申立先:不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所
  • 申立手数料:収入印紙800円分(不在者1人につき)
  • 官報公告料:5,298円(失踪に関する届出の催告分と失踪宣告分)
  • 主な添付書類:不在者の戸籍謄本・戸籍の附票、失踪を証する資料など

申立て後は家庭裁判所調査官による調査と公示催告を経る必要があり、催告期間は普通失踪で3か月以上、危難失踪で1か月以上とされています(家事事件手続法148条3項)。申立てから審判確定までは6か月〜1年程度を見込んでください。宣告の裁判が確定したら、請求した人は確定の日から10日以内に失踪の届出を行います(戸籍法94条・63条1項準用)。

認定死亡・失踪宣告後の相続手続と期限

認定死亡や失踪宣告により相続が開始した後は、通常の相続と同じ期限管理が必要です。

  • 相続登記:2024年4月1日施行の改正不動産登記法76条の2により、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の相続登記申請が義務化されました。施行日前に開始した相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日までです。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。行方不明の相続人がいて3年以内に遺産分割が調わない場合は、相続人申告登記(不動産登記法76条の3)を申し出れば、申し出た相続人の申請義務は履行したものとみなされます(登記申請・申出の代理は司法書士の職域です)。
  • 相続放棄:自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。申述書の作成・提出は行政書士では扱えず、弁護士・司法書士の分野です。
  • 相続税:申告が必要かどうかを含め、税理士への確認をおすすめします。

失踪宣告では宣告の確定により初めて相続の開始を知るケースが多く、各手続の期限は相続開始の知得や不動産所有権取得の知得など、それぞれの法定要件に基づいて判断します。放置すれば他の相続人全員の手続が止まるため、早めの着手が肝心です。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、相続人の生存確認の前提となる戸籍謄本・除籍謄本・戸籍の附票の収集、出生から死亡までの戸籍調査による法定相続人の確定、相続関係説明図と遺産分割協議書の作成までを一括してお引き受けします。不在者財産管理人の選任や失踪宣告など家庭裁判所への申立てが必要な場合は提携の弁護士・司法書士に、相続登記は司法書士に、相続税は税理士におつなぎするため、窓口を一つにしたまま手続を進められます。

遺産分割協議書作成の料金は、ミニマムプラン43,780円、スタンダードプラン87,780円、丸投げプラン217,800円(いずれも税込)です。詳しくは遺産分割協議書作成サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

相続手続でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、戸籍の収集による相続人調査から遺産分割協議書の作成までをサポートします。書類作成に関するご相談は何度でも無料です。※相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続放棄など家庭裁判所へ提出する書類の作成は司法書士・弁護士の業務であり、当法人では取り扱いません。

遺産分割協議書作成サポートの詳細を見る

まとめ

遺産分割協議は相続人全員の参加が必須で、行方不明者を除いた協議は無効です。長期不在者には不在者財産管理人の選任(民法25条)か失踪宣告(民法30条・31条=死亡とみなす)で対応し、水難・火災その他の事変で死亡がほぼ確実な場合は官公署の報告による認定死亡(戸籍法89条=死亡の推定)が働きます。死亡確定後は相続登記の3年以内の申請義務(2024年4月1日施行・10万円以下の過料)などの期限が動き出します。まずは戸籍と附票の調査で相続人の生存・所在を把握することが第一歩です。

相続人の生存確認に関するよくある質問

Q:行方不明の相続人を除いて遺産分割協議をしてもよいですか?

A:できません。遺産分割協議は相続人全員の参加が必要で、1人でも欠けた協議は無効です。不在者財産管理人の選任か失踪宣告のいずれかの手続を経たうえで協議を行う必要があります。

Q:認定死亡と失踪宣告はどちらを選べばよいのですか?

A:選択の問題ではなく適用場面が異なります。認定死亡は水難・火災その他の事変の際に官公署の判断で行われる報告で、遺族が申し立てる手続ではありません。認定死亡がされない生死不明のケースで家庭裁判所に申し立てるのが失踪宣告です。

Q:生死不明になってから7年経っていない場合はどうすればよいですか?

A:普通失踪の宣告には7年間の生死不明が必要なため、期間が足りない場合は不在者財産管理人の選任(申立手数料は収入印紙800円分)を検討します。管理人が家庭裁判所の権限外行為許可を得れば、遺産分割協議を進められます。

Q:認定死亡の後に本人が生きて見つかったらどうなりますか?

A:認定死亡は死亡の「推定」にとどまるため、生存の事実が証明されれば戸籍訂正により死亡の記載が改められます。失踪宣告と異なり民法32条の取消しの審判は不要ですが、戸籍の死亡記載を訂正するには家庭裁判所の戸籍訂正許可(戸籍法113条)が必要です。すでに行われた相続手続の調整は弁護士等へご相談ください。

Q:戸籍の附票とは何ですか。生存確認にどう使いますか?

A:その戸籍に在籍する人の住民票上の住所の履歴が記録された書類で、本籍地の市区町村が発行します。相続人の現住所を調べる基本資料で、附票の住所に居住実態がなく連絡も取れないときに不在者としての手続を検討します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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