契約書

ライセンス契約書の書き方|必須記載事項と種類別の注意点を解説

更新: 約6分で読めます

ライセンス契約書は、知的財産権(特許・商標・著作権等)の使用を許諾する際に作成する契約書です。ライセンサー(権利者)とライセンシー(使用者)の権利義務を明確にし、将来のトラブルを防ぎます。この記事では、ライセンス契約書の基本構成・必須記載事項・種類ごとの注意点に加え、条項作成時に迷いやすいポイントも解説します。

契約書作成・リーガルチェックサポート

契約書作成・リーガルチェックについて、行政書士法人Treeで対応します。ミニマム 21,780円(税込)/スタンダード 27,500円(税込)/公正証書作成サポート 32,780円(税込)

無料相談を申し込む

ライセンス契約の種類

種類 内容 主な対象
特許ライセンス 特許権の実施を許諾 製造業・技術分野
商標ライセンス 商標の使用を許諾 フランチャイズ・ブランド展開
著作権ライセンス 著作物の利用を許諾 ソフトウェア・コンテンツ・AI学習データ等 ※AI学習データとして著作物を利用する場合や、生成AIで作成したコンテンツの商用利用を許諾する場合も著作権ライセンスの問題が生じます
ノウハウライセンス 技術的ノウハウの開示・使用を許諾 技術提携・製造委託

なお、フランチャイズ契約は商標ライセンス・ノウハウライセンス・継続的指導義務などが一体となった複合的な契約です。フランチャイズ契約とライセンス契約は混同されやすいですが、フランチャイズではロイヤリティに加えて経営指導・研修・広告分担金などの義務も発生する点で、単純な知的財産の使用許諾とは異なります。

ソフトウェアライセンスについては、SaaS・クラウドサービスのように著作物の「配布」ではなく「アクセス権の付与」として構成されるケースや、オープンソースライセンス(MIT・GPLv3等)との関係にも留意が必要です。オープンソースのライセンス条件(改変物の公開義務等)が自社製品に波及するリスクも契約書で手当てすべきポイントです。

ライセンス契約書の必須記載事項

1. 許諾の対象と範囲

許諾する知的財産権を明確に特定します。特許であれば特許番号、商標であれば登録番号、著作物であれば作品名・内容を具体的に記載します。

2. 独占的許諾か非独占的許諾か(※「独占的通常実施権」は主に契約実務上の用語)

許諾の形態 内容
独占的許諾(※分野により専用実施権・専用使用権・独占的利用許諾など法的整理が異なる) ライセンシーのみが使用できる形態がある
独占的通常実施権(契約実務上の用語) 第三者への重複許諾を制限する形態。ライセンサー自身の利用可否は契約で定める
非独占的通常実施権 複数のライセンシーに許諾可能。なお通常実施権は当事者間合意のみで効力が発生するが、特許権の移転・倒産等に際して第三者に対抗するためには特許庁への登録が必要(特許法第99条)

3. 使用地域・使用期間

ライセンスの地理的範囲(日本国内限定・全世界等)と許諾期間を定めます。自動更新条項の有無、中途解約の条件も明記します。

4. 対価(ロイヤリティ)

  • 定額方式: 一定額を定期的に支払う(月額・年額)
  • ランニングロイヤリティ方式: 売上高や販売数に応じた料率で支払う
  • 一時金(イニシャルフィー): 契約締結時に一括で支払う
  • ミニマムロイヤリティ: 売上に関わらず最低保証額を支払う

5. サブライセンスの可否

ライセンシーが第三者にさらに使用許諾(サブライセンス)できるかを定めます。原則としてサブライセンスを禁止し、必要な場合はライセンサーの書面による事前承諾を条件とすることが一般的です。

6. 品質管理・報告義務

特に商標ライセンスでは、商標の価値を維持するためにライセンシーの品質管理義務が重要です。売上報告・帳簿閲覧権・監査権の規定も設けます。

7. 契約終了時の処理

契約終了後の在庫品の取扱い、表示物の撤去、秘密情報の返還・廃棄などを定めます。

契約書の基本的な書き方については「著作権譲渡契約書の書き方」も参考になります。請負契約と委任契約の違いは「請負契約書の書き方」で解説しています。

契約書作成・リーガルチェックサポート

契約書作成・リーガルチェックについて、行政書士法人Treeで対応します。ミニマム 21,780円(税込)/スタンダード 27,500円(税込)/公正証書作成サポート 32,780円(税込)

無料相談を申し込む

ライセンス契約の注意点

知的財産権の有効性確認

ライセンスの対象となる知的財産権が有効に存続しているか確認します。特許権は原則として出願から20年で存続期間が満了します(ただし医薬品・農薬等の許可処分が必要な特許は最大5年の延長登録制度あり)。商標権は10年ごとの更新が必要です。

独占禁止法との関係

ライセンス契約に不当な制限を設けると、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に抵触する可能性があります。公正取引委員会の「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」に留意が必要です。

国際ライセンスの場合

外国企業とのライセンス契約では、準拠法(どの国の法律を適用するか)と紛争解決条項(裁判管轄・仲裁)を明確に定めることが重要です。

よくある質問

Q. ライセンス契約に印紙税はかかる?

ライセンス契約書は、原則として印紙税法上の課税文書には該当しません。ただし、1. 複数の取引を継続して行うことを前提とした基本契約的な性質を持ち、2. 目的物の種類・取引条件等を定めた「継続的取引の基本となる契約書」(印紙税法別表第一の第7号文書)に該当する場合は4,000円の印紙が必要になることがあります。なお、電子契約(電磁的方式)で締結したライセンス契約書は印紙税の課税対象外となります(印紙税は紙の文書にのみ課税)。

Q. ライセンス契約と譲渡契約の違いは?

ライセンス契約は知的財産権の「使用許諾」であり、権利自体はライセンサーに留まります。譲渡契約は権利自体を移転するものです。ライセンスは契約期間終了後に使用権が失われますが、譲渡は永続的に権利が移転します。

Q. 口頭のライセンス契約も有効?

民法上、契約は口頭でも成立します。しかし、ライセンス契約は許諾範囲・対価・期間等の条件が複雑なため、書面化しないとトラブルの原因になります。特に特許の専用実施権は特許庁への登録が効力発生要件であるため(特許法第98条1項2号)、必ず書面が必要です。

まとめ

  • ライセンス契約は特許・商標・著作権・ノウハウの4種類
  • 独占/非独占の区別地域・期間を明確に定める
  • 対価は定額・ランニング・一時金・ミニマムの組み合わせ
  • 商標ライセンスでは品質管理義務が特に重要

契約書作成・リーガルチェックサポート

契約書作成・リーガルチェックについて、行政書士法人Treeで対応します。ミニマム 21,780円(税込)/スタンダード 27,500円(税込)/公正証書作成サポート 32,780円(税込)

無料相談を申し込む

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree