「後見人には、毎月いくら払うの?」。費用を考えるときは、契約を作る初期費用と、後見が始まった後の報酬を分けるのがポイントです。法定後見人の報酬は家庭裁判所が決め、任意後見人の報酬は契約で取り決めます。
最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況(令和7年1月〜12月)」によると、2025年12月末の成年後見制度の利用者は259,901人(成年後見・保佐・補助・任意後見の合計)。前年から約2.3%増加しています。この記事では、任意後見契約の原案作成を扱う行政書士法人Treeが、費用の決まり方と事前に確認したい項目を整理します。
任意後見契約書(公正証書)の事前準備は行政書士法人Treeへご相談ください。判断能力があるうちに将来の後見人と権限内容を取り決める任意後見契約書(公正証書)の事前準備・公証役場との調整に対応しております。相談は何度でも無料・全国対応です。
目次
成年後見人の報酬の仕組み
成年後見人の報酬は、「法定後見」と「任意後見」で決まり方が大きく異なります。それぞれの仕組みを正確に理解することが、制度を安心して利用するための第一歩です。
法定後見人の報酬は家庭裁判所が決定
法定後見(後見・保佐・補助)における後見人の報酬は、民法第862条に基づき、家庭裁判所が審判によって決定します。後見人が自分で報酬額を決めることはできません。
報酬額は、後見人が管理する被後見人の財産の額や、実際に行った事務の内容を裁判所が総合的に考慮して算定します。報酬は被後見人の財産から支払われるため、後見人が自己負担する必要はありません。
報酬を受け取るには、後見人自身が家庭裁判所に「報酬付与の申立て」を行う必要があります。申立てをしなければ報酬は発生しないため、特に親族が後見人となる場合は無報酬のケースも少なくありません。
任意後見人の報酬は契約で自由に定められる
任意後見の場合、後見人の報酬は任意後見契約の中であらかじめ本人と後見人候補者が合意して定めます。法定後見とは異なり、裁判所の関与なく自由に報酬額を設定できます。
親族が任意後見人となる場合は無報酬とすることも多く、行政書士・弁護士などの専門家に依頼する場合は月額報酬を設定するのが一般的です。なお、任意後見が開始された後に選任される任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決定します。
法定後見人の報酬|現在は実際の審判結果を参考にする
「預貯金がいくらなら、毎月いくら」と一律に決まる料金ではありません。家庭裁判所が、本人の財産や後見人の事務内容などを考慮して決定します。
東京家庭裁判所の現在の案内は、旧「成年後見人等の報酬額のめやす」ではなく、最高裁の報酬に関する実情調査の集計結果を参照するよう案内しています。旧資料の「月額2万円・3〜4万円・5〜6万円」を、現在の全国共通料金として使うことはできません。
2025年7〜12月の集計は、成年後見人・保佐人・補助人・監督人ごとに、親族か親族以外か、流動資産額、特別な事務についての報酬の求めの有無を分けています。近い条件の審判結果を参考にしても、次の点には注意が必要です。
- 掲載額は、審判で決定された対象期間全体の報酬です。月額表ではありません。
- 報酬の対象期間が12か月より長い事件・短い事件も含まれます。
- 統計は今後の報酬額を保証するものではありません。
費用を見込むときは「対象期間」「担当する事務」「本人の財産」を揃え、管轄の家庭裁判所の最新案内を確認してください。
報酬付与の申立て方法
法定後見人が報酬を受け取るためには、管轄の家庭裁判所に対して「報酬付与の申立て」を行います。申立ての流れは次のとおりです。
- 後見事務の報告書を作成する(対象期間中の事務内容・財産の変動を記載)
- 報酬付与申立書と添付書類(財産目録・収支報告書等)を家庭裁判所に提出する
- 裁判所が事務内容・管理財産を考慮して報酬額を審判で決定する
- 裁判所が定めた金額・対象期間を確認し、本人の財産から報酬を受領する
申立時期・報告対象期間は管轄の家庭裁判所の案内に従って確認します。必要な費用・書式は、裁判所の報酬付与の申立ての案内から確認できます。報酬付与や後見開始などの裁判所提出書類の作成は、Treeの契約原案作成サービスには含まれません。
任意後見人の報酬|契約で決める費用と、裁判所が決める費用
任意後見人への報酬は、本人と任意後見人が契約で取り決めます。職種だけで一律の料金は決まらないため、月額・対象となる事務・追加費用・支払方法を見積もりで確認しましょう。親族と無報酬の契約をする場合もあります。
| 費用 | 決め方・確認すること |
|---|---|
| 任意後見人の報酬 | 契約で決定。月額と担当事務、追加費用を確認 |
| 任意後見監督人の報酬 | 家庭裁判所が決定。後見人の報酬とは別 |
| 契約作成の初期費用 | 原案作成の報酬と、公証人手数料等を区別 |
任意後見監督人の報酬も別に見込む
任意後見が始まるには、家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必要です。その報酬は本人の財産から支払われ、任意後見人の契約上の報酬とは別に発生します。金額の参考は、最高裁の実情調査の「任意後見監督人」をご覧ください。旧資料の月額1〜2万円などを固定額として費用計画に入れないようにしましょう。
任意後見契約の作成をサポートします
判断能力が十分にあるうちに、将来頼む人と任せる事務を契約で決めたい方へ。Treeは任意後見契約の原案作成と公証役場との調整をお手伝いします。担当する事務・契約作成費用を、依頼前に確認できます。
後見開始の申立て費用
成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てる必要があります。申立てにかかる費用の内訳は以下のとおりです。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 800円 | 収入印紙で納付 |
| 登記手数料 | 2,600円 | 収入印紙で納付 |
| 連絡用の郵便料 | 管轄裁判所で確認 | 現金等による納付・郵便切手の案内を確認 |
| 鑑定費用 | 裁判所の案内に従い確認 | 鑑定が必要な場合。全国一律の料金ではない |
| 診断書作成費用 | 医療機関で確認 | 所定の診断書の費用 |
| 戸籍謄本・住民票・登記されていないことの証明書等 | 取得先で確認 | 必要通数・取得方法によって変わる |
上の800円・2,600円は、裁判所の後見開始の手続案内に基づきます。保佐・補助で同意権や代理権の付与も求める場合などは、申立内容に応じて追加費用が生じます。
最高裁の2025年の概況では、終局した成年後見関係事件のうち鑑定を実施したものは約3.4%。鑑定が行われた事件の費用は、5万円以下が約43.7%、10万円以下が約85.8%でした。これは全国の過去の結果であり、個別の事件の料金上限ではありません。診断書や郵便料も必要なため、印紙代だけで総額を見積もらないようにしましょう。
弁護士への申立ての依頼や、司法書士への裁判所提出書類の作成依頼には、別途報酬がかかります。依頼内容と見積もりを確認してください。Treeは家庭裁判所への申立て・裁判所提出書類の作成を扱いません。
費用を抑える方法
成年後見制度の利用にかかる費用の負担が難しい場合、公的な助成制度を利用できる可能性があります。
成年後見制度利用支援事業(市区町村の助成)
厚生労働省の法定後見制度の案内では、費用の支払いが難しい場合に市区町村の「成年後見制度利用支援事業」を確認するよう案内しています。条件を満たす方について、以下の費用の全部または一部が助成される場合があります。
- 後見開始の申立てに要する費用(申立手数料・鑑定費用等)
- 後見人等への報酬
助成の対象者・費用・上限額は市区町村ごとに異なります。申立費用と継続的な報酬のどちらが対象か、申請期限や所得・資産の条件、本人や親族による申立ても対象になるかを、福祉担当窓口へ確認してください。制度があることと、ご自身が助成を受けられることは別です。
法テラスの利用
法テラスの成年後見に関する案内では、申立書類の作成等を弁護士・司法書士へ依頼する場合、資力等の要件を満たせば民事法律扶助を利用できる場合があると説明しています。任意後見契約の原案作成費用に自動的に適用される制度ではありません。
法テラスの利用条件は以下の3点です。
- 収入・資産が法テラスの定める基準以下であること
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
立て替えた費用は原則として返済が必要です。生活保護受給中の返済猶予や、事件終了後の免除には条件・申請があります。対象となる費用や審査は、法テラスの立替制度のQ&Aで確認できます。
成年後見人の報酬は誰が払う?
法定後見人の報酬は被後見人(本人)の財産から支払われます。任意後見人の報酬も、任意後見契約で定めた方法に従って本人の財産から支払うのが一般的です。
後見人の報酬が払えない場合は?
被後見人の財産が少なく報酬の支払いが難しい場合は、市区町村の成年後見制度利用支援事業による助成を受けられる可能性があります。自治体ごとに対象者や上限額が異なるため、窓口確認が必要です。
費用計画は「初期費用」と「開始後の費用」を分ける
契約を作る際の費用と、任意後見が始まってからの継続費用は別です。まず契約原案の作成報酬・公証人手数料等を確認し、開始後は任意後見人の契約報酬に、裁判所が決める監督人報酬と実費を加えて考えます。
Treeの任意後見契約原案作成は43,780円(税込)。公証人手数料等は別途です。毎月の後見・監督人報酬を含む金額ではありません。希望する事務内容をお知らせいただければ、契約作成の内容と費用をご案内します。
よくある質問
Q. 後見人は途中でやめることができますか?
法定後見人が辞任するには、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です(民法844条)。辞任によって新しい後見人の選任が必要になった場合は、辞任した後見人が遅滞なく家庭裁判所へ選任を請求します(民法845条)。希望するだけで自由に終了できる契約とは異なります。
Q. 成年後見人の報酬は誰が払うのですか?
法定後見人の報酬は被後見人(本人)の財産から支払われます。後見人が家庭裁判所に報酬付与の申立てを行い、裁判所が審判で報酬額を決定した後、被後見人の口座から後見人の口座へ振り込む形で受領します。任意後見人の報酬も、任意後見契約に定められた方法で本人の財産から支払われるのが一般的です。
Q. 親族が後見人になった場合も報酬をもらえますか?
親族が法定後見人に選任された場合も、報酬付与を申し立て、家庭裁判所が相当な報酬を認めた場合には受け取れます。申立てだけで必ず報酬が認められるわけではありません。請求するかどうかを検討し、認められた報酬額を確認してください。
Q. 後見人の報酬が払えない場合はどうすればよいですか?
被後見人の財産が少なく報酬の支払いが困難な場合は、お住まいの市区町村が実施する「成年後見制度利用支援事業」による助成を受けられる可能性があります。この制度では、後見人への報酬の全部または一部を自治体が助成します。まずはお住まいの市区町村の福祉担当窓口に相談してください。
Q. 法定後見人と任意後見人の報酬に違いはありますか?
法定後見人の報酬は家庭裁判所が管理財産額や事務内容を考慮して審判で決定するのに対し、任意後見人の報酬は任意後見契約で当事者が自由に定めることができます。法定後見人は現在の審判結果の集計を参考にし、任意後見人は個別契約の見積もりを確認します。旧資料の月額表を現在の固定料金と考えないことが大切です。
Q. 後見人の報酬に税金はかかりますか?
後見人が受け取る報酬には所得税が課税される可能性があります。専門家(行政書士・弁護士・司法書士等)が受け取る報酬は事業所得となることが多いですが、親族が後見人として報酬を受け取る場合の税務上の取扱いは個別事情によって異なるため、必要に応じて税理士等に確認してください。なお、一定の給与所得者には、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら所得税の申告が不要となる例外があります。報酬の受取額だけで判断する基準ではなく、還付申告を行う場合などには例外があります。国税庁の確定申告の案内を確認し、個別の判断は税理士へご相談ください。
まとめ
- 法定後見人の報酬は家庭裁判所が審判で決定(個別の事情・事務内容による)
- 任意後見人の報酬は契約で自由に定められる(見積もり・契約で確認)
- 後見開始の印紙代は申立て800円・登記2,600円。郵便料・診断書等は別途
- 費用負担が難しい場合は市区町村の助成制度や法テラスを活用
- 将来に備えるなら任意後見契約で報酬を事前に取り決めておくと安心
任意後見契約書(公正証書)の事前準備は行政書士法人Treeへ
| サービス | 料金 |
|---|---|
| 任意後見契約 | 43,780円(税込) |
将来、誰に何を任せたいかを契約に残しましょう。契約原案の作成内容と費用をご案内します。公証人手数料等は別途です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


