補助金関連

キャリアアップ助成金|正社員化・賃金規定改定・賞与退職金導入

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キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者等の正社員化や処遇改善を実施した事業主に支給される厚生労働省の助成金です。「非正規雇用を正社員に登用したい」「契約社員・パートの賃金を引き上げたい」――こうした取組に対して、コース別に1人あたり数十万円〜の助成金が支給されます。

本記事の結論:

  • キャリアアップ助成金は①正社員化コース、②賃金規定等改定、③賃金規定等共通化、④賞与・退職金制度導入、⑤社会保険適用時処遇改善等の複数コースで構成されます。
  • 事前にキャリアアップ計画書を労働局長に届け出ることが必須要件です(令和7年度から認定制は廃止され届出制に変更)。計画期間中の取組が支給対象となります。
  • 支給申請には就業規則・賃金台帳・出勤簿等の労務関係書類の整備が必要で、不備や記載漏れは不支給リスクとなります。
  • 本助成金の申請代行は社会保険労務士の独占業務です(社労士法2条1項1号・27条)。当事務所では助成金そのものの申請代行は行いません。雇用関係助成金とは別の選択肢として「補助金」(ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金等)の活用余地について情報提供・申請代理を行います。

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助成金関連の情報整理について、行政書士法人Treeで対応します。雇用関係助成金(厚生労働省系)の申請書作成・代行は社会保険労務士業務(社労士法第2条第1項各号)です。

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根拠法令・制度

  • 雇用保険法62条(雇用安定事業)
  • 雇用保険法施行規則102条の3(キャリアアップ助成金の支給要件)
  • キャリアアップ助成金支給要領(厚生労働省・令和7年度版)
  • キャリアアップ助成金パンフレット(厚生労働省・令和7年度版/令和8年度版)
  • 労働契約法
  • 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)
  • 社会保険労務士法2条1項1号(雇用関係助成金申請書類作成は社労士の独占業務)・27条(業務制限)
  • 行政書士業務(行政書士の業務範囲)

1. キャリアアップ助成金の基本構造

1-1. 助成金の目的

有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者等の非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進する事業主を支援。同一労働同一賃金の実現にも寄与。

1-2. 主要なコース

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長支援コース

2. 正社員化コース

2-1. 内容

有期雇用労働者・無期雇用労働者・派遣労働者等を正規雇用労働者へ転換した事業主への助成。なお、令和4年度から「有期雇用→無期雇用」への転換は助成対象外(廃止済み)となっています。

2-2. 「重点支援対象者」制度(令和7年4月1日新設)

令和7年4月1日以降、対象労働者は「重点支援対象者」と「それ以外」に区分されます。重点支援対象者に該当する場合のみ、2期に分けた満額の助成金を受給できます。重点支援対象者は以下のいずれかに該当する方です。

  • a. 雇入れから3年以上経過した有期雇用労働者
  • b. 雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下、かつ過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない有期雇用労働者
  • c. 派遣労働者(派遣先で正社員として直接雇用される場合)、母子家庭の母・父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

2-3. 助成額(中小企業・令和7年4月1日以降の運用)

助成金は2期分割支給(第1期:転換後6か月経過時点、第2期:転換後12か月経過時点)に変更されました。第2期は重点支援対象者のみが対象です。

転換パターン 重点支援対象者 それ以外
有期→正規 80万円(40万円×2期) 40万円(第1期のみ)
無期→正規 40万円(20万円×2期) 20万円(第1期のみ)
有期→無期 令和4年度から助成対象外(廃止済み)

大企業の助成額は概ね中小企業の3/4水準です。正確な数値は厚生労働省「キャリアアップ助成金パンフレット(令和7年度版)」および最新の支給要領で確認してください。

2-4. 加算(令和7年度・1事業所あたり原則1回のみ)

令和7年度の正社員化コース加算項目の主な例は以下のとおりです(中小企業の場合)。加算項目は毎年度見直されるため、具体的な加算額・適用要件は厚生労働省最新パンフレット(令和7年度版・令和8年度版)で確認してください。

  • 正社員転換制度を新たに規定した場合の加算
  • 多様な正社員制度(短時間正社員・勤務地限定正社員・職務限定正社員等)を新たに規定した場合の加算
  • 派遣労働者を直接雇用した場合の加算
  • 母子家庭の母・父子家庭の父等を正社員化した場合の加算
  • 人材開発支援助成金の特定訓練修了者を正社員化した場合の加算
  • 情報公表加算(令和8年度創設予定)

2-5. 主要要件

  • キャリアアップ計画書の事前提出(令和7年度から認定制が廃止され届出制に変更)
  • 就業規則・労働協約での転換規定整備(常時10人以上は労基署届出必須)
  • 転換後6か月の継続雇用と賃金支給
  • 賃金3%以上アップ
  • 社会保険・雇用保険加入

3. 賃金規定等改定コース

3-1. 内容

有期・短時間労働者の賃金規定を改定し、3%以上の賃金引上げを実施した事業主への助成。

3-2. 助成額(中小企業・令和7年度運用)

令和7年度から、支給区分が従来の2区分(賃金引上率3%以上5%未満・5%以上)から4区分に細分化され、最大支給額も従来の6.5万円から7万円に増額されました。具体的な助成額は対象労働者数および賃金引上率により異なるため、厚生労働省「キャリアアップ助成金パンフレット(令和7年度版)」および最新の支給要領で必ず確認してください。

従来の参考値(令和6年度時点・中小企業):

対象労働者数 3%以上5%未満 5%以上
3〜10人 1人あたり50,000円 1人あたり65,000円
11人以上 1人あたり40,000円 1人あたり52,000円

※ 令和7年度の4区分細分化後の正確な数値は最新パンフレットをご参照ください。

4. 賃金規定等共通化コース

4-1. 内容

有期雇用労働者等と正規雇用労働者の賃金規定を共通化した事業主への助成。同一労働同一賃金の実現支援。

4-2. 助成額

1事業所あたり600,000円(中小企業)。

5. 賞与・退職金制度導入コース

5-1. 内容

有期雇用労働者等を対象とした賞与・退職金制度を新設した事業主への助成。

5-2. 助成額

  • 賞与制度導入:400,000円(中小企業)
  • 退職金制度導入:400,000円(中小企業)
  • 両方導入:560,000円(中小企業)

6. 社会保険適用時処遇改善コース

6-1. 内容

2024年10月の社会保険適用拡大に対応するため、新たに社会保険被保険者となる短時間労働者の処遇改善を行った事業主への助成。

6-2. 助成額

3年分の助成(最大1人50万円程度)。賃上げ・労働時間延長・両立支援のコース別。

7. キャリアアップ計画書

7-1. 計画書の役割

キャリアアップ助成金申請の前提として、事業主は「キャリアアップ計画書」を労働局長に届け出る必要があります。令和7年度からキャリアアップ計画書の認定制が廃止され、届出制に変更されました(提出のみで足り、認定を待たずに取組を開始できる運用となっています)。様式も簡素化されています。

7-2. 計画書の主要記載事項

  • キャリアアップ管理者
  • 計画期間(3年以上5年以内)
  • 対象労働者の範囲
  • 取り組む内容(正社員化・賃金改定・処遇改善等)
  • キャリアアップ評価制度

7-3. 提出先・期限

事業所所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワーク。最初の取組実施日の前日までに提出。電子申請は「雇用関係助成金ポータル」(要GビズIDプライム。マイナンバーカードによるオンライン申請なら最短即日で取得可能、書類郵送申請の場合は審査に数週間かかるため早めの準備を推奨)が利用可能です。

8. 申請の流れ

  1. キャリアアップ計画書作成・労働局へ提出(届出制。計画期間3年以上5年以内)
  2. 就業規則・労働協約への転換規定等の整備(常時10人以上は労基署届出必須)
  3. 取組実施(正社員化・賃金改定等)
  4. 転換後6か月の継続雇用・賃金支給(賃金3%以上アップ要件含む)
  5. 第1期支給申請書の作成・提出(取組後6か月経過後2か月以内)
  6. 労働局審査・第1期助成金支給
  7. さらに6か月経過後、重点支援対象者は第2期支給申請(転換後12か月経過後2か月以内)
  8. 第2期助成金支給

申請窓口は事業所所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワーク。電子申請は「雇用関係助成金ポータル」(要GビズIDプライム)が利用可能です。

9. 注意点

9-1. 計画書事前提出が絶対条件

取組実施前にキャリアアップ計画書を提出していないと、助成対象外(令和7年度から認定は不要となり届出制に変更されましたが、事前の提出は引き続き必須です)。「採用後に計画書」では支給対象外。

9-2. 就業規則の整備

正社員化規定・賃金規定が就業規則に明記されていることが必須。整備されていないと不支給。

9-3. 賃金3%アップ要件

正社員化コースは「転換後の6か月賃金」が「転換前の6か月賃金」の3%以上アップが必要。

9-4. 社会保険加入

転換後の労働者が社会保険・雇用保険に加入していることが要件。

10. 業務範囲の整理

10-1. キャリアアップ助成金と行政書士の関係

キャリアアップ助成金は雇用保険二事業に基づく雇用関係助成金であり、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士の独占業務(社労士法2条1項1号・27条)です。行政書士はキャリアアップ助成金そのものの申請代行を行うことはできません。

もっとも、人材活用に関する公的支援は雇用関係助成金(社労士分野)だけではなく、行政書士の業務範囲で対応可能な「補助金」という選択肢も存在します。たとえば、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金などは、設備投資・販路開拓・DX・新事業展開に伴う人件費や設備費を支援するものです。

当事務所では、雇用関係助成金そのものの代理申請は行いませんが、補助金活用の検討段階の情報提供・事業計画策定支援・補助金申請代理は対応可能です。「キャリアアップ助成金が使えるか不明」「社労士に依頼するほどの規模ではない」「人件費・設備投資を伴う取組をしたい」という場合は、まず補助金活用の余地を整理することをおすすめします。

10-2. 業務範囲外

  • キャリアアップ助成金等の雇用関係助成金の申請書類作成・提出代行 → 社会保険労務士業務(社労士法2条1項1号・27条)
  • 就業規則の改定・労務監査・賃金台帳整備 → 社会保険労務士業務
  • 社会保険・雇用保険手続 → 社会保険労務士業務
  • 労使紛争・解雇トラブル対応 → 弁護士業務
  • 給与計算・年末調整 → 社会保険労務士・税理士業務

FAQ|よくあるご質問

Q1. キャリアアップ計画書はいつまでに出せばいいですか?

最初の取組実施日の前日まで。事後提出は認められません。

Q2. 派遣社員を直接雇用に切り替えても助成対象ですか?

はい。派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合、当該派遣労働者は「重点支援対象者」に該当します。中小企業の場合、有期雇用からの正社員化で80万円(40万円×2期)が基本となり、派遣労働者の直接雇用加算等が適用される場合があります。具体的な加算額は厚生労働省最新パンフレットで確認してください。

Q3. 1人を正社員化したらいくらもらえますか?

令和7年4月1日以降は、対象労働者が「重点支援対象者」かどうかで助成額が異なります。
・重点支援対象者(雇入れ3年以上の有期雇用労働者、派遣労働者の直接雇用、母子家庭の母等):中小企業1人あたり80万円(40万円×2期)
・それ以外:中小企業1人あたり40万円(第1期のみ・第2期は不支給)
加算要件該当でさらに増額となります。

Q4. 申請から入金までどのくらいかかりますか?

取組実施→6か月経過→申請→審査→支給で、合計1年〜1.5年程度。

Q5. 大企業も対象ですか?

対象ですが、助成額が中小企業より低く設定されています(おおむね2/3)。

Q6. 不正受給したらどうなりますか?

支給決定取消・返還・5年間の不支給措置・事業主名公表。悪質事案は詐欺罪で刑事告訴の可能性。

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助成金関連の情報整理について、行政書士法人Treeで対応します。雇用関係助成金(厚生労働省系)の申請書作成・代行は社会保険労務士業務(社労士法第2条第1項各号)です。

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まとめ

キャリアアップ助成金は、正社員化・賃金改定・賞与退職金制度導入等の取組に対して1人あたり数十万円〜の助成が支給される制度です。事前のキャリアアップ計画書の提出(令和7年度から認定制廃止・届出制)が必須。主要業務は社会保険労務士業務であり、行政書士は計画策定の周辺サポート・申請書類整備で関与。労務監査・就業規則改定は社会保険労務士業務、紛争解決は弁護士業務という業際を踏まえ、専門家チームで対応します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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