公開日:2026年5月14日
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者等の正社員化や処遇改善を実施した事業主に支給される厚生労働省の助成金です。「非正規雇用を正社員に登用したい」「契約社員・パートの賃金を引き上げたい」――こうした取組に対して、コース別に1人あたり数十万円〜の助成金が支給されます。
本記事の結論:
- キャリアアップ助成金は①正社員化コース、②賃金規定等改定、③賃金規定等共通化、④賞与・退職金制度導入、⑤社会保険適用時処遇改善等の複数コースで構成されます。
- 事前にキャリアアップ計画書を労働局長に提出・認定を受けることが必須要件で、計画期間中の取組が支給対象となります。
- 支給申請には就業規則・賃金台帳・出勤簿等の労務関係書類の整備が必要で、不備や記載漏れは不支給リスクとなります。
- 本助成金の申請代行は社会保険労務士の独占業務です。当所は補助金との比較情報提供のみ対応、申請は提携社労士をご紹介します。
キャリアアップ助成金申請のサポート
キャリアアップ計画書の作成、就業規則改定の方針整理、申請書類の整備を支援。実際の労務管理・社会保険手続は社会保険労務士業務、提携社労士をご紹介します。
目次
根拠法令・制度
- 雇用保険法 62条(雇用安定事業)
- キャリアアップ助成金支給要領(厚生労働省)
- 労働契約法
- パートタイム・有期雇用労働法
1. キャリアアップ助成金の基本構造
1-1. 助成金の目的
有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者等の非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進する事業主を支援。同一労働同一賃金の実現にも寄与。
1-2. 主要なコース
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長支援コース
2. 正社員化コース
2-1. 内容
有期雇用労働者・無期雇用労働者・派遣労働者等を、正規雇用労働者・無期雇用労働者・派遣社員から直接雇用に転換した事業主への助成。
2-2. 助成額(中小企業)
| 転換パターン | 1人あたり助成額 |
|---|---|
| 有期→正規 | 800,000円 |
| 無期→正規 | 500,000円 |
| 有期→無期 | 差額分支給(廃止傾向) |
2-3. 加算
- 派遣労働者を直接雇用:280,000円加算
- 母子家庭の母等:90,000円加算
- 多様な正社員(短時間正社員等)への転換:90,000円加算
- 勤務地・職務限定正社員:90,000円加算
2-4. 主要要件
- キャリアアップ計画書の事前提出・認定
- 就業規則・労働協約での転換規定整備
- 転換後6か月の継続雇用
- 賃金3%以上アップ
- 社会保険・雇用保険加入
3. 賃金規定等改定コース
3-1. 内容
有期・短時間労働者の賃金規定を改定し、3%以上の賃金引上げを実施した事業主への助成。
3-2. 助成額(中小企業)
| 賃金引上率 | 1人あたり助成額(3%以上5%未満) | 1人あたり助成額(5%以上) |
|---|---|---|
| 3〜10人 | 50,000円 | 65,000円 |
| 11人以上 | 40,000円/人 | 52,000円/人 |
4. 賃金規定等共通化コース
4-1. 内容
有期雇用労働者等と正規雇用労働者の賃金規定を共通化した事業主への助成。同一労働同一賃金の実現支援。
4-2. 助成額
1事業所あたり600,000円(中小企業)。
5. 賞与・退職金制度導入コース
5-1. 内容
有期雇用労働者等を対象とした賞与・退職金制度を新設した事業主への助成。
5-2. 助成額
- 賞与制度導入:400,000円(中小企業)
- 退職金制度導入:400,000円(中小企業)
- 両方導入:560,000円(中小企業)
6. 社会保険適用時処遇改善コース
6-1. 内容
2024年10月の社会保険適用拡大に対応するため、新たに社会保険被保険者となる短時間労働者の処遇改善を行った事業主への助成。
6-2. 助成額
3年分の助成(最大1人50万円程度)。賃上げ・労働時間延長・両立支援のコース別。
7. キャリアアップ計画書
7-1. 計画書の役割
キャリアアップ助成金申請の前提として、事業主は「キャリアアップ計画書」を労働局長に提出し、認定を受ける必要があります。
7-2. 計画書の主要記載事項
- キャリアアップ管理者
- 計画期間(3年以上5年以内)
- 対象労働者の範囲
- 取り組む内容(正社員化・賃金改定・処遇改善等)
- キャリアアップ評価制度
7-3. 提出先・期限
事業所所在地を管轄する労働局・ハローワーク。最初の取組実施日の前日までに提出。
8. 申請の流れ
- キャリアアップ計画書作成・労働局へ提出・認定
- 就業規則・労働協約への転換規定等の整備
- 取組実施(正社員化・賃金改定等)
- 転換後6か月の賃金支給
- 支給申請書の作成・提出(取組後6か月経過から2か月以内)
- 労働局審査
- 助成金支給
9. 注意点
9-1. 計画書事前提出が絶対条件
取組実施前にキャリアアップ計画書を提出・認定を受けていないと、助成対象外。「採用後に計画書」では支給対象外。
9-2. 就業規則の整備
正社員化規定・賃金規定が就業規則に明記されていることが必須。整備されていないと不支給。
9-3. 賃金3%アップ要件
正社員化コースは「転換後の6か月賃金」が「転換前の6か月賃金」の3%以上アップが必要。
9-4. 社会保険加入
転換後の労働者が社会保険・雇用保険に加入していることが要件。
10. 業務範囲の整理
10-1. 行政書士の業務範囲
- キャリアアップ計画書作成のサポート
- 申請書類の整備サポート
- 正社員転換に関する事業計画策定支援
10-2. 業務範囲外(提携専門家を紹介)
- 就業規則の改定・労務監査 → 社会保険労務士業務
- 社会保険・雇用保険手続 → 社会保険労務士業務
- 労使紛争・解雇トラブル対応 → 弁護士業務
- 賃金台帳・労働者名簿の整備 → 社会保険労務士業務
- 給与計算・年末調整 → 社会保険労務士・税理士業務
注:キャリアアップ助成金申請の主要業務(社労士法2条関係)は社会保険労務士業務です。行政書士は計画策定の経営的サポート・周辺業務で関与。
FAQ|よくあるご質問
Q1. キャリアアップ計画書はいつまでに出せばいいですか?
A. 最初の取組実施日の前日まで。事後提出は認められません。
Q2. 派遣社員を直接雇用に切り替えても助成対象ですか?
A. はい。正社員化コースで派遣→直接雇用は通常800,000円+加算280,000円=合計1,080,000円。
Q3. 1人を正社員化したらいくらもらえますか?
A. 有期→正規で中小企業1人あたり800,000円。加算要件該当でさらに増額。
Q4. 申請から入金までどのくらいかかりますか?
A. 取組実施→6か月経過→申請→審査→支給で、合計1年〜1.5年程度。
Q5. 大企業も対象ですか?
A. 対象ですが、助成額が中小企業より低く設定されています(おおむね2/3)。
Q6. 不正受給したらどうなりますか?
A. 支給決定取消・返還・5年間の不支給措置・事業主名公表。悪質事案は詐欺罪で刑事告訴の可能性。
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キャリアアップ助成金申請のサポート
キャリアアップ計画書の作成、就業規則改定の方針整理、申請書類の整備を支援。実際の労務管理・社会保険手続は社会保険労務士業務、提携社労士をご紹介します。
まとめ
キャリアアップ助成金は、正社員化・賃金改定・賞与退職金制度導入等の取組に対して1人あたり数十万円〜の助成が支給される制度です。事前のキャリアアップ計画書提出・労働局認定が必須。主要業務は社会保険労務士業務であり、行政書士は計画策定の周辺サポート・申請書類整備で関与。労務監査・就業規則改定は社会保険労務士業務、紛争解決は弁護士業務という業際を踏まえ、専門家チームで対応します。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


