公開日:2026年5月11日
少子高齢化と労働力不足が深刻化するなか、中小企業の生産性向上と人手不足解消を目的として2024年度から創設された「中小企業省力化投資補助金」は、現在「カタログ注文型」と「一般型」の2類型が併存しています。本記事が扱う「カタログ注文型」は、カタログから対象機械設備を選んで申請できる申請者にやさしい設計が特徴で、認定された設備カタログから自社業務に合致する機械を選定して申請するスキームのため、補助金申請のハードルが大きく下がる一方、対象設備の制限・補助上限額・販売事業者との共同申請ルール等の独自要件があります。なお、本制度は2026年3月19日に大幅改定が実施されており、本記事は改定後の最新内容で解説します。
本記事の結論:
- 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、認定カタログから対象設備(IoT・ロボット・自動化機器等)を選定し、登録された販売事業者と共同で申請する設計です。
- カタログ注文型の補助率は一律1/2、補助上限は2026年3月19日改定後の3段階区分で「5人以下500万円(大幅賃上げ特例:750万円)/6〜20人750万円(特例:1,000万円)/21人以上1,000万円(特例:1,500万円)」です。一般型(中小1/2・小規模2/3、上限最大8,000万円・特例1億円)とは別制度です。
- 大幅賃上げ特例は、事業場内最低賃金を3.0%以上増加(日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.0%)させること、給与支給総額を6%以上増加させることの両要件で、上限額が引き上げられます。
- Treeでは完全成果報酬型(着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時完全無料)で申請支援を行います。申請主体は事業者本人および販売事業者であり、外部支援を受ける場合は公募要領の定めに従い、支援者名・報酬額等を適切に記載します。税務処理・会計処理は提携税理士をご紹介します。
中小企業省力化投資補助金の申請サポート(完全成果報酬型)
着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時は完全無料の成果報酬型で、対象設備の確認・販売事業者との連携補助・申請書類の整理・実績報告に向けた証憑整理まで支援します。採択後の実績報告も継続支援します。
目次
根拠法令
- 中小企業基本法(中小企業の定義・支援措置)
- 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)公募要領(独立行政法人中小企業基盤整備機構・経済産業省・中小企業庁)
- 2026年3月19日制度改定(補助上限額引き上げ・賃上げ要件率基準化・収益納付撤廃・公募期間延長等)
- 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)
- 労働基準法(賃金引上げ要件の前提となる法令)
- 次世代育成支援対策推進法(従業員21名以上の事業者には一般事業主行動計画策定が必要要件)
- 中小企業省力化投資補助金の申請受付システム利用規約
1. 制度の概要と特徴
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者が、IoT・ロボット・自動化機器等の汎用製品を導入する際の費用を補助する制度として2024年度に創設されました。本制度には「カタログ注文型」と「一般型」(2025年=令和7年新設)の2類型があり、本記事ではカタログ注文型を扱います。最大の特徴は、補助対象となる設備があらかじめカタログとして公表され、申請者は販売事業者と共同事業実施者として申請する形式である点です。これにより、(1)申請者側の事業計画書作成負担が軽減、(2)対象機械の選定・購入先・効果検証が標準化、(3)採択判断の迅速化が図られます。一方、カタログ収載されていない機器は対象外となり、製造業の特殊機器・受注生産機器・オーダーメイド設備等は一般型または他補助金の対象となります。
1-2. 2026年3月19日制度改定の主要変更点
本制度は2024年度創設後、2026年3月19日に大幅改定が実施されており、(a)補助上限額の引き上げ(特に従業員20人以下が大幅増額)、(b)賃上げ要件の率基準への見直し(旧「事業場内最低賃金+45円以上」から「3.0%以上増加」へ)、(c)収益納付の撤廃、(d)公募期間の2027年3月末頃までの延長、(e)2回目以降申請の累計補助上限額(各申請時点の補助上限額×2)の明確化、(f)販売事業者登録要件の緩和(招待不要での登録、販売実績に基づく補助上限額決定)等の変更が行われています。記事公開日(2026年5月11日)時点では改定後の制度が適用されます。
2. 補助率1/2・補助上限はいくら?カタログ注文型の対象事業者
補助対象は、中小企業基本法に定める中小企業者・小規模事業者で、かつ「人手不足の状態にあること」が要件です。業種別の従業員数または資本金の上限要件は、製造業300人以下または資本金3億円以下、卸売業100人以下または1億円以下、サービス業100人以下または5,000万円以下、小売業50人以下または5,000万円以下です。「人手不足の状態」は、(a)直近の従業員平均残業時間が30時間超、(b)従業員数の減少、(c)その他省力化を推し進める必要性等の客観的資料で示す必要があります。なお、50%以上の議決権を有する親会社が既に省力化投資補助金を活用している場合や、課税所得15億円超等の「みなし大企業」は対象外となります。
2-2. カタログ注文型の補助率・補助上限額(2026年3月19日改定後)
カタログ注文型の補助率は、中小企業者・小規模事業者を区別せず一律1/2です。補助上限額は従業員数による3段階区分で、(1)従業員5人以下:500万円(大幅賃上げ特例適用時:750万円)、(2)6〜20人:750万円(特例適用時:1,000万円)、(3)21人以上:1,000万円(特例適用時:1,500万円)となります。なお、一般型では中小企業者1/2、小規模事業者・再生事業者2/3、補助上限額は最大8,000万円(特例適用時1億円)となっており、カタログ注文型とは別制度です。
3. 対象設備の例|カタログ収載製品・販売事業者の確認方法
カタログ注文型では、清掃ロボット、配膳・搬送ロボット、自動チェックイン機、自動精算機、券売機、AI外観検査・画像処理システム、電子棚札、厨房・食品加工関連機器、搬送・物流関連機器、自動倉庫、検品システム、無人搬送車(AGV)、スチームコンベクションオーブン、5軸制御マシニングセンタなど、国が省力化効果を認めた製品カテゴリが順次登録されています。対象カテゴリ・製品・販売事業者は随時追加・更新されるため、申請前に必ず公式の製品カタログで最新情報を確認する必要があります。なお、補助対象経費は「製品本体価格」と「導入関連費(運搬費・設置作業費・動作確認費・マスタ設定等の導入設定費用)」の2つで、製品本体価格は単価50万円以上が要件、導入関連費は製品本体価格の2割までが補助対象となります。
4. 申請の流れ|事業者と販売事業者の共同申請
カタログ注文型の申請は、事業者単独ではなく、登録された販売事業者と中小企業等が共同事業実施者として進める設計です。標準的な流れは、(1)事業者がカタログを確認し、導入したい設備を選定、(2)当該設備のカタログ販売事業者にコンタクト、(3)販売事業者と事業者が共同で事業計画(省力化効果・導入後の活用方法等)を策定、(4)販売事業者と中小企業等が共同事業実施者として申請受付システムで申請(販売事業者が申請画面上で事業者を招待し共同申請として進める)、(5)審査・採択、(6)交付決定後に設備発注・導入、(7)実績報告書提出、(8)補助金支給の段階で進行します。販売事業者側にも参加要件(製品の登録・体制整備・実績報告対応等)があり、申請事業者と販売事業者の連携が成否を分けます。なお、申請には「GビズIDプライム」アカウントの取得が必須で、アカウント取得には一定期間(2週間程度)を要するため、申請計画段階での早期取得が推奨されます。
5. 採択加点・賃上げ特例の要件
採択審査における重要な加点・要件として、(1)大幅賃上げ特例の宣言(事業場内最低賃金3.0%以上増加・給与支給総額6%以上増加の両要件、補助事業実施期間終了時点で達成)、(2)労働生産性年平均成長率3%以上向上の事業計画策定、(3)認定経営革新等支援機関による事業計画の確認、(4)従業員21名以上の事業者には「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」の策定(第6回公募以降必須要件)、(5)人手不足の客観的資料の提出等があります。大幅賃上げ特例の達成により、補助上限額が引き上げられます(5人以下:500万円→750万円、6〜20人:750万円→1,000万円、21人以上:1,000万円→1,500万円)。賃上げ未達成時は、補助金返還義務が発生する場合があります。賃上げ要件、加点項目、効果報告で求められる指標は、公募回により異なるため、必ず最新の公募要領・交付規程で要件と返還条件を確認します。
6. 採択後の実績報告と補助金返還リスク
採択・交付決定後、事業者は計画通りに設備を導入し、(1)実施期間内の事業完了、(2)実績報告書の提出(証憑書類含む)、(3)補助金確定検査の受検、(4)補助金支払請求のステップを完了する必要があります。実績報告では、(1)設備の納入確認書、(2)支払証憑(請求書・振込明細書)、(3)設置写真、(4)稼働開始記録、(5)従業員研修記録(必要時)等を提出します。補助事業終了後は、(1)所定期間(5年程度)の財産処分制限、(2)賃上げコミットメント達成状況の年次報告、(3)効果報告(生産性向上指標の達成度)等のフォローアップが続きます。なお、2026年3月19日改定により「収益納付」(補助事業で得た利益を国に返納する制度)は撤廃されています。要件不達成時は補助金の一部または全額返還となる可能性があるため、採択後の運用も重要です。
7. 他の補助金との比較・併用可否
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、他の主要補助金(一般型、ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・デジタル化AI導入補助金(旧IT導入補助金)・中小企業新事業進出補助金等)と対象経費・対象設備・補助率が異なります。同一設備の費用について複数補助金からの重複受給は禁止されますが、(1)同一企業が異なる事業について各補助金を申請する、(2)同一事業内でも対象経費が完全に分離される場合の併用、(3)申請年度を分けた連続活用等の運用は可能です。事業者の中長期的な投資計画と補助金活用戦略を、提携の中小企業診断士・税理士等とも連携して設計することが推奨されます。
7-2. カタログ注文型と一般型の比較
カタログ注文型と一般型の主な違いは、(a)補助率:カタログ注文型は一律1/2、一般型は中小企業者1/2・小規模事業者/再生事業者2/3、(b)補助上限額:カタログ注文型は最大1,000万円(特例1,500万円)、一般型は最大8,000万円(特例1億円)、(c)対象設備:カタログ注文型は登録カタログから選定、一般型はオーダーメイド設備・システム構築が可能、(d)申請ハードル:カタログ注文型は販売事業者との共同申請で簡素、一般型は個別事業計画の精緻な作成が必要、という点です。導入したい設備がカタログに掲載されている場合はカタログ注文型を、オーダーメイドや個別現場対応が必要な場合は一般型を検討します。
業務範囲の整理
行政書士業務(Treeで対応可能)
- 中小企業省力化投資補助金の申請書類作成支援、必要資料の整理、販売事業者との連携補助、申請画面入力内容の確認支援
- 事業計画書・効果試算表の作成支援
- 採択後の実績報告書・効果報告の作成支援
- 他の主要補助金との比較・選定の情報整理
※ 申請主体は事業者本人および販売事業者であり、外部支援を受ける場合は公募要領・申請画面の定めに従い、支援者名・報酬額等を適切に記載する必要があります。設備の技術的評価、省力化効果の専門的検証、設置可否、保守体制の判断は、販売事業者・メーカー・中小企業診断士等と連携して確認します。
業務範囲外(提携専門家をご紹介)
- 賃上げ要件達成のための労務管理・就業規則改定(社会保険労務士業務)
- 補助金収入の会計処理・税務申告(圧縮記帳等は税理士業務)
- 補助金不交付決定の不服申立て・取消訴訟(弁護士業務)
- 補助金返還請求への対応・訴訟(弁護士業務)
- 設備の選定・技術評価(販売事業者・中小企業診断士業務)
FAQ|よくあるご質問
Q1. 通常のものづくり補助金とどう違いますか。
A. ものづくり補助金は事業計画書の精緻な作成と独自設備の対象範囲が広い「事業計画型」、省力化投資補助金カタログ注文型はカタログから設備を選ぶ「カタログ型」です。申請ハードルはカタログ注文型が低く、対象設備の汎用性はカタログ注文型が限定的です。カタログ外の設備を希望する場合は省力化投資補助金一般型やものづくり補助金を検討します。
Q2. カタログにない設備でも申請できますか。
A. カタログ注文型ではできません。カタログ収載されている設備のみが対象となります。カタログ外の特殊機器・受注生産機器・オーダーメイド設備を導入したい場合は、2025年(令和7年)新設の「省力化投資補助金一般型」(補助上限最大8,000万円、特例適用時最大1億円、補助率1/2〜2/3)の活用や、ものづくり補助金等の他の補助金を検討します。
Q3. 採択率はどの程度ですか。
A. カタログ注文型は随時受付・交付決定の形式で公表される情報が中心となるため、一般的な公募型補助金のように単純な採択率を示しにくい場合があります。申請件数、交付決定件数、採択結果の公表方法は時期により異なるため、最新の交付決定状況・採択結果資料を公式サイトで確認してください。
Q4. 個人事業主も申請できますか。
A. 中小企業基本法上の小規模事業者・中小企業者に該当すれば、個人事業主も申請可能です。製造業・卸売業・サービス業等の業種別従業員数要件・資本金要件を満たし、かつ「人手不足の状態にあること」を客観的資料で示す必要があります。
Q5. 申請してから補助金入金までどのくらいかかりますか。
A. 申請から補助金入金までの期間は、申請時期、審査状況、交付決定のタイミング、設備の納期、設置・検収、実績報告、確定検査の進行により大きく異なります。補助金は原則として後払いのため、設備代金を先に支払う資金繰りを事前に確認しておくことが重要です。
Q6. 賃上げが達成できなかった場合は。
A. 賃上げコミットメント(2026年3月19日改定後は事業場内最低賃金3.0%以上増加・給与支給総額6%以上増加の両要件、補助事業実施期間終了時点で達成)が達成できなかった場合、補助金の一部返還または全額返還となる可能性があります。返還額は事案により異なるため、申請時の賃上げ計画は実現可能な水準で設計することが重要です。
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まとめ
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、人手不足対応と生産性向上を目的とした中小企業・小規模事業者向けの補助制度で、カタログから設備を選定し販売事業者と共同申請するシンプルな申請設計が最大の特徴です。2026年3月19日改定後の補助率は一律1/2、補助上限額は3段階区分で「5人以下500万円(特例750万円)/6〜20人750万円(特例1,000万円)/21人以上1,000万円(特例1,500万円)」となり、特に従業員20人以下の上限額が大幅に引き上げられました。賃上げ特例は「事業場内最低賃金3.0%以上増加・給与支給総額6%以上増加」の率基準で運用されます。カタログから設備を選定し、認定販売事業者と共同申請する仕組みのため、独自設備や受注生産機器・オーダーメイド設備は一般型(補助上限最大1億円)や他補助金を検討します。賃上げ要件・実績報告・財産処分制限等のフォローアップも続くため、採択後の運用設計も含めた総合的な活用が重要です。Treeでは完全成果報酬型(着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時完全無料)で申請を支援し、税務処理は提携税理士・労務対応は提携社会保険労務士をご紹介する連携体制で対応します。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


