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第二種貨物利用運送事業の許可申請|NVOCC・国際フォワーダーの要件と純資産300万円

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第二種貨物利用運送事業は、幹線輸送(鉄道・航空・船舶)と集配のトラック輸送をドア・トゥ・ドアで一体的に手配する、いわゆる複合一貫輸送の事業形態です。海上のNVOCC、国際航空のエア・フォワーダー、国内の鉄道利用運送など、ロジスティクス業界の中核をなす業務であり、参入には貨物利用運送事業法に基づく国土交通大臣の許可(同法20条)が必要です。

本記事では、第二種貨物利用運送事業の制度的位置づけ、第一種登録との違い、許可要件(同法22条・23条)、申請手続き、許可後の継続義務、第一種からの拡張時の留意点までを、現場の実務目線で整理して解説します。なお、第二種の財産的基礎は「純資産300万円以上」で第一種と同額です(過去に流通する3,000万円という数字は誤り)。

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目次

  1. 第二種貨物利用運送事業とは|制度概要
  2. 第一種(登録制)と第二種(許可制)の違い
  3. 許可要件(貨物利用運送事業法22条・23条)
  4. 財産的基礎|純資産300万円以上の正確な判定
  5. 申請手続きと登録免許税12万円
  6. 標準処理期間と補正対応
  7. 許可後の継続義務(変更・報告)
  8. NVOCC・国際フォワーダーの典型業務と本法の対象範囲
  9. 第一種登録事業者が第二種へ拡張する場合
  10. よくある質問

第二種貨物利用運送事業とは|制度概要

貨物利用運送事業は、自らはトラック・船舶・航空機・鉄道車両等の輸送手段を保有せず、実運送事業者の輸送サービスを利用して荷主と運送契約を結ぶ事業形態です。同法は事業を次の2類型に分けています。

  • 第一種貨物利用運送事業(同法3条・登録制):単一の輸送モード(例:トラックのみ・船舶のみ・航空のみ)を利用する事業
  • 第二種貨物利用運送事業(同法20条・許可制):幹線輸送(鉄道・航空・船舶)と集配のトラック輸送を組み合わせ、ドア・トゥ・ドアで一体的に提供する複合一貫輸送事業

第二種は荷主に対し「集荷から配達まで一気通貫」のサービスを約定するため、集配体制・幹線輸送機関との契約・事業計画の妥当性など、第一種より確認事項が多く、許可制になっています。NVOCC、国際エア・フォワーダー、国内の鉄道利用運送事業などが典型例です。

第一種(登録制)と第二種(許可制)の違い

第一種と第二種の本質的な違いは、財産的基礎の金額ではなく、(a)登録制か許可制か、(b)集配を伴うドア・トゥ・ドアの一貫輸送か、(c)集配を担う運送機関との契約・体制が必要か、にあります。

項目 第一種(同法3条) 第二種(同法20条)
制度 登録制 許可制
事業範囲 単一モード利用 幹線+集配の一貫輸送
財産的基礎 純資産300万円以上 純資産300万円以上(同額)
集配体制 原則不要 集配のトラック運送事業者等との契約・体制が必要
登録免許税 9万円 12万円
標準処理期間 2〜3か月 3〜4か月(他局照会等あれば+1か月)

このように、財産的基礎の金額は同じです。第二種の方が要件が重いのは、集配を含む一貫輸送を約定するための事業計画・集配事業計画・運送機関との契約関係の整備が必要だからです。

許可要件(貨物利用運送事業法22条・23条)

第二種貨物利用運送事業の許可は同法20条に基づき、許可の基準は同法22条、欠格事由は同法23条に定められています。許可基準の主な内容は次のとおりです。

  1. 事業遂行に必要な施設の整備:使用権原のある営業所、保管施設(必要な場合)、業務委託先たる集配を担う運送事業者等の体制
  2. 財産的基礎:純資産(繰延資産・営業権を除いた額)が300万円以上であること(後述の見出しで詳述)
  3. 事業計画・集配事業計画の合理性:輸送モード、利用区間、集配範囲、運賃料金、業務委託の範囲が整合的であること
  4. 利用する運送機関との契約等:船社・航空会社・鉄道事業者・トラック運送事業者等との運送契約書の写し、契約書案、運賃見積書等を輸送モードや委託形態に応じて提出
  5. 欠格事由(同法23条)の不該当:以下のいずれにも該当しないこと
    • 1年以上の拘禁刑(旧懲役・禁錮)に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
    • 第一種貨物利用運送事業の登録または第二種貨物利用運送事業の許可を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
    • 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
    • 法人にあって、その役員のうちに上記に該当する者があるもの

※2025年6月1日施行の改正刑法により、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。条文上の表記が「懲役又は禁錮」となっている法令も、実体は拘禁刑として運用されます。

財産的基礎|純資産300万円以上の正確な判定

第二種貨物利用運送事業の財産的基礎は、純資産(資産の合計から負債の合計を控除した額)が300万円以上であることが基準です。ここで「純資産」は、貸借対照表上の純資産から、創業費その他の繰延資産および営業権を除いた額を指す点に注意が必要です。

判定資料は直近の決算書類(貸借対照表)を用います。直近決算後に増資等を行って財産的基礎を確保した場合は、増資後の月次試算表や登記事項証明書、払込証明等で証明する取扱いとなります。

過去にインターネット上の一部記事で「第二種は純資産3,000万円が必要」「第一種の10倍」とする記述が見られますが、これは事実と異なります。第二種貨物利用運送事業の財産的基礎の金額は、第一種と同じ300万円以上で正しく、過大な資本政策を組む必要はありません。

申請手続きと登録免許税12万円

申請の流れは概ね次のとおりです。

  1. 事業計画・集配事業計画の策定(輸送モード、利用区間、集配範囲、運賃料金、委託先)
  2. 利用する運送機関との契約書・契約書案・運賃見積書等の整備
  3. 申請書・添付書類の作成(事業計画書、運送約款、財産的基礎を証する書類、欠格事由不該当の宣誓書、利用運送機関との契約関係書類等)
  4. 国土交通大臣(地方運輸局経由)への申請。許可取得時に登録免許税120,000円を納付(登録免許税法別表第1第45号)。「手数料」ではなく登録免許税である点に注意
  5. 標準処理期間(次見出し)を経て許可
  6. 許可日以後1か月以内に登録免許税納付(許可と同時納付の運用もあるため地方運輸局の指示に従う)、必要に応じて運賃・料金設定届・運送約款認可申請(標準約款使用の場合は認可不要)

標準処理期間と補正対応

国土交通省の審査基準上、第二種貨物利用運送事業許可の標準処理期間は原則3〜4か月です。他の地方運輸局への照会等が必要な事案では、これに概ね1か月程度が加算されます。書類補正があれば、補正に要した期間は標準処理期間から除外されます。

申請後は審査官から、利用運送機関との契約関係、集配体制、運賃料金の合理性、事業計画の実現可能性などについて追加の説明や資料提出を求められることがあります。事案によっては数次にわたる補正のやり取りが発生するため、申請の初期段階で書類の整合性を高めておくことが処理短縮の鍵になります。

許可後の継続義務(変更・報告)

許可後は、次の手続きが継続的に発生します。

  • 事業計画・集配事業計画の変更:変更内容によって認可(同法25条等)または事前・事後の届出に区分
  • 運送約款の変更:標準約款から離れる変更は認可申請が必要
  • 利用する実運送事業者・貨物利用運送事業者の変更:原則として事後届出。変更内容により認可・事前届出・事後届出に分かれる
  • 役員変更・営業所変更:所定の届出
  • 事業概況報告書:毎事業年度終了後100日以内に提出
  • 事業実績報告書:前年4月1日から3月31日までの実績を毎年7月10日までに提出

定期報告を怠るなど報告義務に違反した場合、同法64条により100万円以下の罰金の対象となり得ます。継続的な遵守体制を整え、社内で報告期限を管理しておくことが重要です。なお、第二種貨物利用運送事業の許可には有効期間の定めがなく、更新手続きは不要です。

NVOCC・国際フォワーダーの典型業務と本法の対象範囲

第二種貨物利用運送事業の許可を要する典型業務は、おおむね次の3類型です。

① 国際海上コンテナ輸送のNVOCC

日本からの輸出貨物について、荷主から貨物を集荷し、国内陸送、船社への引渡し、海上輸送の手配等を一体的に行う形態が典型です。船社(コンテナ船オペレーター)の輸送スペースを利用し、自社名義のHBL(ハウスB/L)を発行します。

注意点として、貨物利用運送事業法による登録又は許可の対象は、原則として輸出に係る貨物利用運送事業に限られ、輸入および三国間に係る貨物利用運送事業は本法の規制対象外とされています(国土交通省「外航第二種貨物利用運送事業申請要領」)。輸入・三国間サービスを提供するNVOCCであっても、本法の対象となるのは輸出部分です。

② 国際航空のエア・フォワーダー

航空会社のキャパシティを利用し、荷主から航空貨物を集荷、空港搬入、ULD仕立て、航空輸送の手配を一体的に行い、HAWB(ハウスエアウェイビル)を発行します。輸入・三国間の取扱範囲は海上NVOCCと同様の整理になります。

③ 国内複合一貫輸送(鉄道・内航海運の利用運送)

JR貨物のコンテナ列車、内航フェリー、内航RORO船等の幹線輸送と、両端のトラック集配を組み合わせて荷主に提供する形態です。モーダルシフトの担い手として近年改めて注目されています。

国際物品運送に関する法規制・条約(ヘーグ・ヴィスビー・ルール、ハンブルク・ルール、未発効のロッテルダム・ルール)の位置づけを踏まえ、HBL約款、運送契約条件、責任制限条項を整える必要があります。ロッテルダム・ルールは2026年時点で発効に必要な批准国数に達しておらず未発効である点に留意してください。

第一種登録事業者が第二種へ拡張する場合

既に第一種貨物利用運送事業の登録を受けている事業者が、集配の整備を進めて第二種へ拡張するケースは多くあります。手続上は新規の許可申請となり、既存の第一種登録は別途維持されます(ただし第二種許可を受けた者は、その事業計画に係る利用運送の区間の範囲内では、利用する運送機関に係る第一種について登録不要となります=同法3条2項)。

財産的基礎については、第二種でも純資産300万円以上で第一種と同額ですので、第一種をすでに維持できているのであれば、財産的基礎の追加負担は通常生じません。直近決算後に増資等を行っている場合は、その増加額を証明できる資料を整える必要があります。

第一種からの拡張で重くなるのは、集配体制(トラック運送事業者等との契約・委託関係の構築)、事業計画・集配事業計画の整合性、利用運送機関との契約関係の精度です。これらの整備は申請の数か月前から計画的に進めることをおすすめします。

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よくある質問

Q. 第二種貨物利用運送事業の財産的基礎は本当に300万円ですか. 3,000万円という記載を別サイトで見ました.
A. 300万円が正しい数値です. 国土交通省関連資料および複数の専門事務所が一致して、第二種の財産的基礎を第一種と同じ純資産300万円以上としています. 3,000万円という記述は誤りで、過大な資本政策を組む必要はありません.

Q. 純資産300万円はいつの時点で満たせばよいですか.
A. 申請に際して直近の決算書類等で証明します. 直近決算後に増資等で純資産を確保した場合は、増資後の月次試算表・登記事項証明等で補強できます. 許可後も事業を適切に遂行できる財産的基礎を維持することが求められます.

Q. 12万円は手数料ですか.
A. 手数料ではなく登録免許税です(登録免許税法別表第1第45号). 性質が異なるため、領収方法も登録免許税としての納付になります.

Q. 標準処理期間はどのくらいですか.
A. 原則3〜4か月です. 他の地方運輸局への照会等が必要な事案では1か月程度追加されます. 書類補正があった場合の補正期間は標準処理期間から除外されます.

Q. 第一種をすでに持っています. 第二種へ拡張するときに財産的基礎を増やす必要はありますか.
A. 財産的基礎の金額は第一種と第二種で同じ純資産300万円以上のため、通常は追加負担は生じません. 重くなるのは集配体制の整備や事業計画・集配事業計画の精度です.

Q. 海外から日本への輸入NVOCCも第二種の許可が必要ですか.
A. 貨物利用運送事業法の規制対象は原則として輸出に係る貨物利用運送事業で、輸入および三国間に係る貨物利用運送事業は本法の対象外とされています. 輸出側で第二種に該当する取扱いを行う場合は許可が必要です.

Q. 許可後に提出する定期報告は何ですか.
A. 事業概況報告書(毎事業年度終了後100日以内)と事業実績報告書(前年4月1日から3月31日までの実績を毎年7月10日まで)の2つが基本です. 怠ると100万円以下の罰金の対象となり得ます.

まとめ

第二種貨物利用運送事業の許可要件は、財産的基礎(純資産300万円以上)、施設整備、利用運送機関等との契約関係、合理的な事業計画・集配事業計画が中心です。財産的基礎の額は第一種の登録と同じ300万円ですが、第二種は登録制ではなく許可制であり、幹線輸送に接続する集配体制の整備や事業計画・集配事業計画の合理性が求められる点で要件が重く、申請から許可取得まで標準3〜4か月を見込む必要があります。

過去にインターネット上で散見される「第二種は純資産3,000万円」「第一種の10倍」という記述は誤りであり、過大な資本政策(増資・第三者割当等)を行う必要はありません。財産的基礎の正確な判定(繰延資産・営業権除外で300万円以上)と、利用運送機関との契約関係・集配体制の整備に注力することが、許可取得への近道です。

許可後は、事業計画・集配事業計画の変更、運送約款変更、利用運送機関等の変更、役員変更、事業概況報告書(毎事業年度終了後100日以内)・事業実績報告書(毎年7月10日まで)などの手続きが継続的に発生します。報告義務違反については、100万円以下の罰金の対象となる場合があるため、社内での期限管理を整えておくことが重要です。

NVOCC・国際フォワーダー・国内複合一貫輸送はロジスティクス産業の中核であり、適切な許可と運営体制を整えれば長期にわたり安定した事業基盤となります。許可要件の充足確認、事業計画策定、契約書整備、申請取次の各段階で行政書士のサポートをご活用ください。

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※ 本記事は執筆時点の法令(貨物利用運送事業法、登録免許税法、改正刑法等)・国土交通省公表情報・運用実務に基づき作成しています。個別案件の判断は、地方運輸局の運用や事案の事情により異なる場合がありますので、最新情報のご確認と専門家へのご相談をお願いいたします。

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