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貸切バスの許可申請|一般貸切旅客自動車運送事業(道路運送法第3条第1号ロ・第4条)の要件・運行管理者・車庫基準・5年更新制

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貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業、いわゆる観光バス・送迎バス・チャーターバス等)は、道路運送法第3条第1号・第4条に基づく国土交通大臣(管轄地方運輸局長)の許可が必要な事業です。2012年関越自動車道高速ツアーバス事故・2016年軽井沢スキーバス事故を受け、参入基準・事業継続要件が厳格化され、2017年4月1日からは5年ごとの更新制が施行されました。本記事では、貸切バス許可の要件、運行管理者・整備管理者の選任、営業所と車庫の要件、運賃料金、行政書士の業務範囲を整理します。

本記事の結論:

  • 貸切バス事業は道路運送法第3条第1号ロ・第4条に基づく許可制。所要資金・人員・車両・営業所・車庫の要件が厳格化(2016年軽井沢スキーバス事故後)。
  • 運行管理者(道路運送法第23条):営業所ごとに原則最低2名以上選任。整備管理者道路運送車両法第50条):営業所ごとに選任。
  • 最低保有車両数:営業区域ごとに3両以上、大型車を使用する場合は5両以上。3〜5両未満は中型車・小型車・コミューター車に限定する条件付き。
  • 車庫:原則として営業所に併設、併設できない場合は営業所から直線2km以内
  • 運賃料金は道路運送法第9条の2に基づき公示運賃(上限・下限)の範囲内で届出。
  • 2016年改正により5年ごとの更新制(2017年4月1日施行)が導入。
  • 当事務所は許可申請書類の作成・提出代理を担当します。

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  • 貸切バス事業(観光バス・送迎バス・チャーターバス)を新規開業したい
  • 2016年軽井沢スキーバス事故後の厳格化された参入基準を整理したい
  • 運行管理者・整備管理者の選任要件を確認したい
  • 5年ごとの更新申請を準備したい
  • 営業所追加・車両追加等の事業計画変更認可を行いたい

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貸切バス事業の許可は「車両・営業所・車庫・運行管理者・資金計画」の要件確認がカギ

貸切バス事業は2012年関越自動車道高速ツアーバス事故・2016年軽井沢スキーバス事故を受けて、参入基準・事業継続要件が大幅に厳格化されました。所要資金(安全投資計画・事業収支見積書との整合性)、人員(運行管理者は原則最低2名)、車両(営業区域ごとに3両以上、大型車は5両以上)、営業所・車庫(車庫は営業所に併設または直線2km以内)、運行管理者・整備管理者の選任、5年ごとの更新審査(事業継続審査)など、新規参入のハードルは高くなっています。事故防止・運行安全の観点から、申請段階で安全管理体制を十分整備する必要があります。

根拠法令(2026年5月時点)

  • 道路運送法第3条第1号(一般貸切旅客自動車運送事業の定義)・第4条(許可)・第9条の2(一般貸切旅客自動車運送事業の運賃及び料金の届出)・第15条(事業計画変更認可)・第23条(運行管理者)・第23条の2(運行管理者資格者証)
  • 道路運送車両法第50条(整備管理者の選任)・道路運送車両法施行規則第31条の3
  • 道路運送法施行規則第6条(許可申請手続)・第7条(事業計画変更)
  • 旅客自動車運送事業運輸規則第47条の9(運行管理者の選任数)
  • 「一般貸切旅客自動車運送事業の許可等に関する処理方針」(国土交通省告示)
  • 「一般貸切旅客自動車運送事業の事業計画の変更等に係る処理方針」(国土交通省告示)
  • 2016年改正道路運送法(貸切バス事業許可の5年ごとの更新制導入。更新制は2017年4月1日施行)
  • 労働基準法、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示):バス運転者の拘束時間、休息期間、連続運転時間、時間外労働上限等の労務管理
  • 道路運送車両法(車両の検査・登録)
  • 司法書士法第3条第1項第1号・税理士法第2条・社労士法第2条第1項各号・弁護士法第3条
  • 行政書士法第1条の2第1項・第1条の3第1項第1号

1. 貸切バス事業の区分

道路運送法第3条は旅客自動車運送事業を以下に区分します。

  • 第1号 一般旅客自動車運送事業
    • イ:一般乗合旅客自動車運送事業(路線バス・コミュニティバス)
    • ロ:一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス・観光バス・送迎バス・チャーターバス)
    • ハ:一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー・介護タクシー・ハイヤー)
  • 第2号 特定旅客自動車運送事業(特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送する事業)

2. 許可要件

2-1. 所要資金

所要資金については、人件費・燃料費・修繕費・車両関係費・施設費・保険料・安全投資費用・適正化機関負担金等を見積もり、安全投資計画および事業収支見積書と整合した経理的基礎を立証します。単に6か月分を確保すれば足りるというものではなく、計画期間中に安全投資を継続できる財務基盤が審査されます。必要資金は、車両数・車種・営業所・車庫・運行形態・安全投資の内容により大きく異なり、一般的には数千万円規模となることがあります。

2-2. 人員(運行管理者・整備管理者)

運行管理者(道路運送法第23条、選任数は旅客自動車運送事業運輸規則第47条の9)

  • 営業所ごとに原則として最低2名以上の常勤の有資格運行管理者を選任
  • 貸切バスでは、39両まで2名、40両以上は車両数に応じて追加選任が必要
  • 選任できる者は、旅客自動車運送事業運行管理者資格者証または一般貸切旅客自動車運送事業運行管理者資格者証等、貸切バス事業に対応した資格要件を満たす者
  • 運行管理者資格者証は、運行管理者試験合格、または運行の安全確保業務に5年以上従事しその間に国土交通大臣認定の講習を5回以上(うち1回は基礎講習)受講した者に交付(道路運送法第23条の2)
  • 具体的な必要人数・資格要件は管轄運輸局の最新基準で確認

整備管理者(道路運送車両法第50条)

  • 営業所ごとに選任
  • 3級以上の自動車整備士の資格者、または2年以上の整備実務経験+整備管理者選任前研修修了者から選任

運転者

  • 使用する車両区分に応じた第二種運転免許が必要
  • 大型バスを運転する場合は大型第二種免許
  • 中型車・小型車・コミューター車を使用する場合も、車両の定員・車両総重量等に応じた二種免許を確認
  • 健康診断・運転適性診断・運転者教育等の体制整備

2-3. 車両

  • 最低保有車両数:営業所を要する営業区域ごとに3両以上が必要。ただし、大型車を使用する場合は営業区域ごとに5両以上が必要
  • 3両以上5両未満で申請する場合は、中型車・小型車・コミューター車を使用しての輸送に限定する旨の条件が付されます
  • 車両構造:旅客運送に適した安全基準を満たすバス
  • 使用権原:自社保有またはリース契約等で確保

2-4. 営業所

  • 都市計画法・建築基準法・農地法等関係法令適合
  • 使用権原(所有または賃貸借契約)の確保。借用の場合は、原則として概ね3年以上の契約期間がある賃貸借契約書等で確認します。契約期間が3年未満でも、自動更新等により継続使用が認められる場合があります
  • 休憩・睡眠施設の確保
  • 運行管理者・整備管理者が常駐できる施設

2-5. 車庫

  • 原則として営業所に併設し、併設できない場合は営業所から直線2km以内に設置する必要
  • 車両ごとに必要な収容能力
  • 使用権原(所有または賃貸借契約)の確保
  • 都市計画法・建築基準法・農地法等関係法令適合

2-6. 法令遵守

  • 欠格事由非該当および法令遵守体制の確認(道路運送法上の欠格事由、過去の許可取消・行政処分歴、重大事故、関係法令違反、役員の欠格事由等を審査基準に従って確認)
  • 運輸安全マネジメント体制の整備
  • 安全投資計画の策定(営業所ごと)

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3. 運賃料金(道路運送法第9条の2)

貸切バス事業(一般貸切旅客自動車運送事業)の運賃料金は、道路運送法第9条の2に基づき国土交通大臣(管轄地方運輸局長)への届出制です。各地方運輸局が公示する運賃(上限額・下限額)の範囲内で、距離制・時間制により運賃を設定し届け出ます。

3-1. 公示運賃

2014年から各地方運輸局が「公示運賃」を設定しており、原則として公示運賃の範囲内(上限額・下限額)で運賃を設定する必要があります。下限額未満の運賃は安全コストを確保できないとして認められません。

3-2. 距離制・時間制

  • 距離制:走行距離に応じた運賃
  • 時間制:拘束時間に応じた運賃
  • 長距離輸送は両者の組合せ

4. 5年ごとの更新制(2016年改正・2017年4月1日施行)

2016年軽井沢スキーバス事故を受けた道路運送法改正により、貸切バス事業は5年ごとの更新制が導入され、2017年4月1日から施行されました。更新時には事業継続審査が行われ、安全運行・適正な運賃・事業計画の継続的な遵守状況が審査されます。

更新時に審査される項目

  • 運行管理者・整備管理者の継続選任
  • 運転者の労務管理(改善基準告示の遵守)
  • 車両整備状況・点呼記録
  • 事故報告・行政処分歴
  • 運賃の適正性(公示運賃の遵守)
  • 運輸安全マネジメント体制

5. 申請の流れ

  1. 事業計画策定(営業所・車庫の選定、車両確保、人員確保)
  2. 運行管理者・整備管理者の確保(試験受験・研修受講)
  3. 所要資金の準備(安全投資計画・事業収支見積書)
  4. 申請書類の整備(事業計画書・財務諸表・関係法令適合書面等)
  5. 管轄地方運輸局長への許可申請
  6. 法令試験(事業者代表者の受験)
  7. 標準処理期間:数か月(地方運輸局・補正・現地確認等により変動)
  8. 許可後、運輸開始届出・運賃料金届出・事業実施
  9. 5年ごとの更新申請

6. 業務範囲の整理

行政書士の業務範囲(行政書士法第1条の2第1項・第1条の3第1項第1号)

  • 一般貸切旅客自動車運送事業許可申請書類の作成・提出代理
  • 運行管理者・整備管理者選任届出
  • 運賃料金届出(道路運送法第9条の2)
  • 事業計画変更認可申請(営業所追加・車両追加等)
  • 5年ごとの更新申請
  • 運輸開始届出
  • 各種変更届出(事業所変更・人員変更等)

業務範囲外(連携先専門家)

  • 運行管理者・整備管理者試験受験(本人受験必須)
  • 大型二種免許の取得(本人取得必須)
  • 法令試験(事業者代表者の受験必須)
  • 法人設立登記・変更登記(司法書士法第3条第1項第1号、司法書士業務)
  • 労務管理規程・就業規則の作成(社労士法第2条第1項第2号、社会保険労務士業務)
  • 社会保険手続(社労士法第2条第1項第1号・第1号の2、社会保険労務士業務)
  • 税務申告・税額計算(税理士法第2条、税理士業務)
  • 事故対応・損害賠償交渉(弁護士法第3条、弁護士業務)

FAQ|よくあるご質問

Q1. 貸切バス事業の最低保有車両数は?
A. 営業所を要する営業区域ごとに3両以上が必要です。ただし、大型車を使用する場合は営業区域ごとに5両以上が必要となります。3両以上5両未満で申請する場合は、中型車・小型車・コミューター車を使用しての輸送に限定する旨の条件が付されます。

Q2. 標準処理期間はどのくらいですか?
A. 目安として数か月を要します。書類審査・現地確認(営業所・車庫)・法令試験(事業者代表者の受験)等の手続を経て許可が判断されます。管轄運輸局、申請内容、補正の有無、営業所・車庫の関係法令確認、人員・車両確保状況により期間は変動します。

Q3. 個人事業主でも許可は取れますか?
A. 個人事業主でも取得可能ですが、所要資金・営業所・車庫・人員等の要件を満たす必要があり、実務上は法人格(株式会社・合同会社等)での申請が一般的です。

Q4. 一般貸切と一般乗合の違いは?
A. 一般貸切(観光バス・送迎バス・チャーターバス、道路運送法第3条第1号)は契約者単位での貸切運送、一般乗合(路線バス・コミュニティバス、同号)は不特定多数の旅客への定期運送です。許可区分・運賃制度・事業計画が異なります。

Q5. 5年ごとの更新で許可が取り消されるケースは?
A. 重大事故の発生、行政処分歴、運賃料金の不適正、安全管理体制の不備、運行管理者・整備管理者の選任不備等が更新拒否事由となります。継続的な安全管理体制の整備が重要です。

Q6. 車庫は営業所から離れていても良いですか?
A. 車庫は原則として営業所に併設し、併設できない場合は営業所から直線2km以内に設置する必要があります。10km以内ではなく2km以内である点に注意します(10kmは一般貨物自動車運送事業等の基準であり、貸切バスとは異なります)。

Q7. 運行管理者は1名でも良いですか?
A. 貸切バスでは、原則として営業所ごとに最低2名以上の常勤の有資格運行管理者を選任する必要があります。39両まで2名、40両以上は車両数に応じて追加選任が必要です。タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業)の5両以上で1名という基準とは異なります。

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まとめ

貸切バス事業(一般貸切旅客自動車運送事業)は道路運送法第3条第1号ロ・第4条に基づく許可制事業で、2012年関越自動車道高速ツアーバス事故・2016年軽井沢スキーバス事故を受けて参入基準・事業継続要件が大幅に厳格化されました。新規参入のハードルは高くなっており、安全管理体制の整備が事業継続の生命線となります。

主な許可要件は、(1)所要資金(安全投資計画・事業収支見積書と整合した経理的基礎)、(2)運行管理者(道路運送法第23条、原則最低2名)・整備管理者(道路運送車両法第50条)の選任、(3)最低保有車両数:営業区域ごとに3両以上、大型車は5両以上(3〜5両未満は中型車・小型車・コミューター車に限定)、(4)営業所と車庫の確保(車庫は原則営業所に併設または直線2km以内)、(5)休憩・睡眠施設、(6)欠格事由非該当・運輸安全マネジメント体制です。

運賃料金は道路運送法第9条の2に基づき国土交通大臣(管轄地方運輸局長)への届出制で、2014年から各地方運輸局が公示運賃(上限・下限)を設定しており、下限額未満の運賃は認められません。距離制・時間制で算定し、長距離輸送は両者の組合せとなります。

2016年改正により5年ごとの更新制(2017年4月1日施行)が導入され、更新時には運行管理者・整備管理者の継続選任、運転者の労務管理(改善基準告示の遵守)、車両整備状況、事故報告・行政処分歴、運賃の適正性、運輸安全マネジメント体制等が事業継続審査で審査されます。

当事務所では一般貸切旅客自動車運送事業許可申請書類の作成・提出代理、運行管理者・整備管理者選任届、運賃料金届出(道路運送法第9条の2)、事業計画変更認可申請、5年ごとの更新申請を行政書士業務範囲(行政書士法第1条の2第1項・第1条の3第1項第1号)で対応します。試験受験・大型二種免許取得は本人、法人登記は司法書士、労務は社会保険労務士、税務は税理士の業務範囲です。貸切バス事業の新規開業をご検討中の事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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