ツリーちゃん
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行政書士
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目次
信用情報開示報告書とは、ご自身のクレジット契約等に関する信用情報が登録されています。
信用情報機関は、一つではなく、代表例として①株式会社シー・アイ・シー(略称:CIC)、②株式会社日本信用情報機構(略称:JICC)、③全国銀行個人信用情報センター(略称:KSC)が挙げられます。
① CICは主にクレジット会社または信販会社で登録された信用情報を取り扱っています。
② 消費者金融系の会社または信販会社で登録された信用情報を取り扱っています。
③ JBA(一般社団法人全国銀行協会・全銀協)によって管理・運営されており、銀行、信用金庫、JAなど銀行関係企業を会員としています。
ご自身の信用情報について確認したいと思ったときは、どの信用情報機関においても取り寄せることができます。
本記事では、信用情報機関の中でも最も多くの信用情報を管理しているCICについて解説をします。
自分の信用情報についてご心配な点がある場合、まずは一度、CICへ信用情報開示報告書の開示依頼をされてみてください。
開示依頼は、以下の4つの方法から簡単に行うことができます。
①パソコン(手数料は1,000円、クレジット支払い)
②スマートフォン(手数料は1,000円、クレジット支払い)
③郵送(手数料は1,000円、定額小為替で送る)
④窓口(手数料は500円)
開示依頼をされる場合の注意点として、クレジット契約時の電話番号も登録情報の一部となっていますので、電話番号が一致しない場合や以前使用していた電話番号の記載がない場合は、開示の対象とならず、情報の取りこぼしになる恐れがあります。
信用情報機関に登録されている個人信用情報には、長期滞納などの事故情報(個人の返済・支払いに関する情報)が登録されています。登録情報は、解消の日から5年から10年間保存されます。
信用情報機関の加盟会員である各貸金業者(クレジットカード会社や金融機関)は、顧客の信用情報を信用情報機関に照会して、その結果、会員が貸し付けを行うかを審査しますが、ご自身の信用情報が登録されていると、返済ができない人、返済をする意思のない人とみなされてしまい、あらゆる融資審査に通過しにくくなってしまいます。
つまり、クレジットカードの新規申込みや更新ができない(結果、クレジットカードを使えなくなる)、消費者金融から借入をすることができない、車のローンや住宅ローンはもちろん携帯電話の分割払いの契約を結ぶことも難しくなります。また、他人の債務の保証人となることも困難となります。これは、子供の奨学金の契約などに影響がでることも考えられます。
―時効の援用ができる状態にあることを確認する―
実際にCICに情報開示を行った場合の報告書を見ていきましょう。

①登録元会社を確認します
まずは、報告書の一番上に記載されているクレジット会社等の名称(会員会社名)を確認します。
債権は、当初の貸主から他の債権者へ譲渡されていることも珍しくありません。債権者が債権譲渡によって債権回収会社に変わっても、最後の返済から5年以上が経過しているのであれば、消滅時効の援用ができる可能性がありますが、もし、5年経過後であれば消滅時効の援用通知は債権回収会社に送付することになります。
債権譲渡されている場合は、原則、31.終了状況が「移管」と表示されております。
②時効の援用ができる状態にあることを確認します
クレジット情報の一番下にある、年月と記号が記載されている欄には、入金状況(クレジットローン返済履歴)が記載されています。直近2年間で遅滞等がなかったかを確認することができます。
記号の意味
| $ 請求通り(もしくは請求額以上)の入金があった |
| P 請求額の一部が入金された(一般的にはリボ払いのときにつきます) |
| R お客様以外から入金があった |
| A お客様の事情でお約束の日に入金がなかった(未入金) |
| B お客様の事情とは無関係の理由で入金がなかった |
| C 入金されていないが、その原因がわからない |
| ― 請求もなく入金もなかった(例:クレジットの利用がない場合) |
| 空欄 クレジット会社等から情報の更新がなかった(例:クレジットの利用がない場合) |
「A」または「―」が連続している場合は、支払いがされていないことを意味していますので、時効援用ができる可能性が高くなります。
③契約年月日を確認します
民法第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
上記のうち、貸金については
一「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。」
二「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」
という要件が重要となります。
つまり、権利行使できることを知った時を基準に5年間が経過したか、権利行使できる時を基準に10年が経過したことのいずれかがあれば、原則として時効の援用ができる状態にあるといえます。
※注意点
上記の民法の規定は、いわゆる改正後の新民法の規定(平成29年法律第44号による改正後の民法)です。
新民法が適用されるのは2020年4月1日以降に成立した法律関係についてのみです。
(例:契約日が2020年5月1日のもの)
そのため、債権の発生した時点が2020年4月1日より前(=2020年3月31日以前)の場合には、改正前の旧民法の規定が適用されることとなります。
(例:契約日が2015年4月30日のもの)
旧民法第167条
1 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2 債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。
また、同様に、いわゆる商事債権についても、債権の発生した時点が2020年4月1日より前(=2020年3月31日以前)の場合には、改正前の旧商法(平成29年法律第45号による改正前の商法第522条)の規定が適用されることとなります。
旧商法第522条
商行為によって生じた債権は、この法律に特段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。
したがって、簡単に整理すると以下のような関係になります。
・契約日が2020年3月31日以前の場合の債権⇒旧民法又は旧商法の適用あり
・契約日が2020年4月1日以降の場合の債権⇒新民法の適用あり
本稿執筆時点(2025年10月)では、時効援用をご検討される多くの方については旧民法又は旧商法に従い判断することとなるかと存じます。
具体的に時効援用できるか否かの判断は、専門家にご相談されることをおすすめいたします。
催告による時効の完成の猶予
第150条(催告による時効の完成猶予)
1 催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
本項は、催告があった場合における時効の完成猶予について規定しています。
催告とは、債務者に対する債権者の意思の通知をいいます。例えば、本来であれば時効の援用が可能になる5年後に時効の援用が可能ですが、その際に債権者側から催告(通知書等)があると、催告があった時点から6ヶ月後まで、時効の完成が猶予されます。ですので時効の援用を行う際には債権者が権利を行使することができることを知った時から6年が経過したタイミングがおすすめです。
④返済状況を確認します
こちらに「異動」と記載されている場合は、以下の3つの状況を意味します。
・返済日より61日以上または3ヵ月以上の支払遅延(延滞)があるもの、またはあったもの
・返済ができなくなり保証契約における保証履行が行われたもの
・裁判所が破産を宣告したもの(破産手続開始の決定がされたもの)
長期に渡って支払いがされていないことを意味していますので、時効援用ができる可能性が高くなります。
また、「異動発生日」についても確認してください。
この日から5年以上が経過していれば、時効援用ができる可能性が高くなります。
⑤保有期限と終了状況を確認します
保有期限、終了状況の表示について記載がない場合は、契約が終了していないことを意味しています。
※契約が終了している場合は、保有期限、終了状況に記載された年月の月末に情報が削除されます。
⑥割賦販売法の登録内容に記載された支払遅延有無を確認します
クレジットカードでのショッピングや、信販会社のショッピングクレジット、いわゆる商品を購入する際に組むローンに関しては、割賦販売法が適用されます。割賦販売法とは、クレジットカードの利用に関して定められた法律のことです。割賦販売とは、売買代金を2ヶ月以上に渡って、3回以上の分割で支払うことを約束した売買方法です。
こちらに記載された支払遅延有無(遅延発生日)を確認します。
この日から5年以上が経過していれば、時効援用ができる可能性が高くなります。
⑦契約の終了状況を確認します
ここには契約の終了状況が記載されています。種類は6つで次のとおりです。
| 表示 | 内容 |
|---|---|
| 完了 | ・支払がすべて完了し、契約が終了したもの ・カードの場合、残高がなく解約したもの |
| 本人以外弁済 | ・契約人以外(保証会社など)から支払がされたもの |
| 貸倒 | ・クレジット会社等が貸倒れとして処理したもの |
| 移管完了 | ・複数契約の債権を一本化するため終了扱いとしたもの ・クレジット会社等が、契約人との契約(債権)を第三者に譲渡したもの |
| 法定免責 | ・支払い免除が法的に認められたもの(破産) |
| (空欄) | ・契約が継続中のもの |
―時効の援用が失敗してしまうケース―
本記事を参考にして、ご自身の債務が時効援用できる可能性が高いことを判断できたとしても、以下のような事実がある場合には、時効の援用が失敗してしまうケースもあります。
【時効援用の失敗例】
・返済をしなかった時点で相手方から裁判を起こされていた
・相手方からの支払いの催告の連絡に対して一部だけ支払っていた
・「少しだけ返済を待ってください。」「〇月〇日までには支払います。」などと発言していた
その場合には、「時効の更新」(権利の承認・債務の承認、民法第152条第1項)があったとみなされ、まだ消滅時効を援用できる状態となっておらず、時効援用の意思表示をしたとしても、未だ返還する義務が残っているということが多いです。
そのため、もしも仮に民法又は旧商法上の時効期間が経過していたとしても、最終的に時効が援用できるかどうかの判断は、一度専門家に相談されることをおすすめいたします。
例えば、CICに登録されていたご自身の事故情報について時効の援用をして債務を消滅させたとしても、いずれの信用情報機関(CIC、JICC、KSC)は、相互に事故情報を共有している場合もあります。もし事実と異なる事故情報が個人信用情報機関に登録されている場合は、登録情報を削除してもらうことができます。
時効の援用が認められた場合は、時効の起算日にさかのぼって債権(債務)が消滅することとなります(民法第144条)。つまり、初めから債務がなかったのと同じ状態となります。
ただし、時効援用をしてから事故情報が削除されるまでには、手続きに時間がかかることと、原則として、時効援用から5年間の間は、事故情報が掲載されるケースが多いです。
削除のタイミングは信用情報機関の種類により異なりますが、その間に借り入れなどを利用できるかどうかは、各貸金業者やカード会社の審査次第となります。したがって、完全な事故情報の抹消には、5年間から10年間が経過するのを待つ必要があります。
信用情報会社によって上記のような特徴はあるものの、これから借り入れやクレジットカードの審査を考えているのであれば、時効援用手続きは早急に行ったほうが望ましいと言えます。
本記事で解説したCIC信用情報開示報告書の見方は、あくまでも時効援用できるかどうかの判断材料の一つです。
時効の援用ができるかどうかの判断は、個人の様々な事情によって異なります。
【時効援用の失敗例】として挙げた中で、自身の身に覚えのない発言から時効の援用が難しくなってしまうケースも多くございます。また、ご自身で時効の援用の意思表示をすることもできますが、場合によっては誤った方法により、逆に「債務承認の意思表示」と捉えられてもございます。
上記のようなリスクを回避するためにも、もし時効の援用をご検討されている場合には、ぜひ一度弊所まで、お気軽にご相談ください。
弊所にて時効援用手続きをするお勧めポイント
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