契約書

契約書の書き方|基本構成・条項チェックリストと作成の6ステップ

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契約書は、誰が、何を、いつまでに行い、いくらをいつ支払うのかを、後から双方が確認できる形にするための書類です。最初に取引条件を整理し、契約の種類に合う条項と、法律上必要な書面・手続きを確認します。

民法522条では、契約は申込みに対して相手が承諾すると成立し、法令に特別な定めがある場合を除いて書面の作成を要しません。書面があると、合意した内容や時期を確認しやすくなります。保証契約のように書面または所定の電磁的記録が必要なものや、事業用定期借地権設定契約のように公正証書が必要なものもあります。民法446条・522条など

契約書の基本構成と当事者の書き方

構成 記載する内容
表題 「業務委託契約書」「売買契約書」など、実際の取引に合う名称を使います。
前文 当事者の正式名称と取引の目的を示し、本文で使う呼称を定めます。
本文・別紙 対象、役割、対価、履行の時期、変更・終了の条件などを記載します。仕様書や発注書を参照する場合は、その版・日付・優先順位を明確にします。
後文・締結欄 締結日、住所・所在地、氏名・名称、法人の代表者または権限を持つ署名者、紙の通数や電子原本の保管方法を決めます。

法人との契約では、屋号や担当部署だけで相手を特定せず、法人の正式名称と契約を結ぶ権限を確認します。代理人が署名する場合は、委任の有無と範囲も確認してください。契約の種類と選び方

契約書の条項チェックリスト

次は一般的な取引で確認する項目です。期間の定めのない契約や無償契約もあり、すべての項目が一律に契約の成立条件になるわけではありません。個別法が書面や明示事項を定めている場合は、そのルールに従います。

確認する項目 条項に落とし込む内容
目的・対象 何を取り決めるか、売買する物や委託する業務、数量・仕様、担当範囲、契約外の作業。
履行・検収 納期・納品方法、検査する場合の基準と期限、差戻しと再提出の手順、追加作業の承認。
対価・費用 報酬・代金、税込・税別、支払日、支払方法、振込手数料、実費や追加作業の負担。
期間・終了 締結日と効力発生日、必要に応じて満了日・更新・中途解約、解除事由と手続、終了時の精算。
情報・成果物 秘密情報、開示先、目的外利用、返却・消去、著作権や利用許諾、個人情報の取扱い。
責任・紛争 契約不適合への対応、損害の範囲や上限、反社会的勢力の排除、協議、必要に応じて合意管轄。

例えば業務委託では、成果物の完成を約束する仕事か、一定の業務を行う仕事かで、検収や報酬の決め方が異なります。「業務委託」という表題だけで判断せず、実際に合意した業務を具体的に書きます。損害賠償条項の確認ポイント

契約書を作成して締結する6ステップ

  1. 取引条件を整理する。当事者、対象、役割、納期、対価、支払日を箇条書きにし、双方の認識が違う点を先に確認します。
  2. 契約の種類と法令を確認する。類型に近いひな形を選び、消費者取引、委託取引、不動産などに適用されるルールを確認します。
  3. 本文と別紙を作る。誰が何をするのかを明記し、期日、計算式、変更・追加費用の承認方法を具体的にします。
  4. 条項の整合を確認する。金額、納期、更新期限、本文と別紙、解除時の精算、契約終了後も残る義務を見直します。
  5. 相手と変更箇所を確認する。Wordなどの変更履歴を使う場合は、最終版で修正内容と別紙が一致しているか確認します。
  6. 最終版を締結・保管する。署名や電子署名を行う人の権限、締結日、保存形式、紙の契約書に印紙が必要かを確認し、合意した最終版を共有します。

条項を書くときの具体例と注意点

業務範囲、対価、支払条件

例えば制作業務なら、成果物の種類・点数、ファイル形式、納期、修正の範囲、追加作業の承認方法まで定めます。報酬欄には「報酬は税込55,000円とし、支払者が振込手数料を負担する」など、負担する当事者が分かる表現を使います。支払日は確定できる日付や算定方法を置き、請求書の受領や検収と支払期限の関係も確認します。

取適法(中小受託取引適正化法)やフリーランス法の対象取引では、発注時に直ちに書面や電子的方法で取引条件を明示する義務があります。支払期日の規律が適用される場合は、原則として給付の受領日や役務の提供を受けた日等から60日以内のできる限り短い期間で支払日を定めます。フリーランス法では、所定の事項を明示した再委託で、元委託の支払期日から30日以内のできる限り短い期間とする特例があります。2026年1月1日以降の対象発注では、合意があっても振込手数料を受託者に負担させ、代金・報酬から引くことは減額に当たります。公正取引委員会の取適法の留意事項 / フリーランス法の取引条件・報酬の案内

期間、更新、解約・解除

締結日と契約の効力を発生させる日は、必要に応じて分けます。自動更新を設ける場合は、更新期間、更新しない旨の通知期限・方法・宛先を定めます。中途解約と契約違反による解除は分けて、違反の是正を求める期間、即時解除とする具体的な事由、通知方法、終了時の精算や資料返還を確認します。

民法541条の催告による解除では、相当期間を定めて履行を求め、その期間に履行がなく、不履行が軽微でないことが問題になります。542条には履行不能などの無催告解除の類型があります。消費者契約では免責条項や解約料等に法的な制限があります。定型約款の組入れ・変更には、別に民法548条の2以下の規律があります。解除条項の書き方 / 消費者庁の消費者契約法の解説

契約不適合、損害賠償、秘密保持

売買では、目的物が合意した種類・品質・数量に適合しない場合に備え、検査・通知の方法、修補や代替品などの対応を明確にします。民法562〜564条は、履行の追完、代金減額、損害賠償・解除を定めていますが、請求にはそれぞれ条件があります。種類・品質の不適合は、原則として知った時から1年以内に売主へ通知する規律があり、売主が知っていた場合などの例外もあります(566条)。責任を制限する場合も、売主が知りながら告げなかった事実や消費者契約など、法令上の制限を確認します。

秘密保持では、対象情報、公知情報等の除外、利用目的、開示先、返却・削除、終了後に残す期間を決めます。条項がない場合にも、営業秘密や個人情報などに適用される法令や他の義務があります。反社会的勢力排除条項は、取引の性質に応じて表明・保証や解除の条件を検討します。秘密保持契約書の書き方

締結前に確認する管轄、署名、印紙税、保存

合意管轄は対象と第一審を明記する

裁判所を合意で定める場合は、一定の法律関係に基づく訴えについて、第一審の管轄を、書面または内容を記録した電磁的記録で合意します(民事訴訟法11条)。「本契約から生じる訴えについて、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」といった書き方があります。法定の専属管轄や事件の種類、消費者契約等での制約も確認します。合意がない場合は、被告の住所地のほか義務履行地など、法律に定める管轄を確認します。民事訴訟法4条・5条・11条など

押印と電子署名は、合意の証拠と方式を確認する

民事訴訟法228条4項により、本人または代理人の署名または押印がある私文書は、真正に成立したものと推定されます。電子署名法3条にも、本人による所定の電子署名が行われた電磁的記録について同様の推定があります。どちらも、誰の意思に基づく文書かに関する推定です。契約条項の有効性や文書に書かれた事実は別に判断されます。合意メール、権限を確認した記録、電子契約の署名履歴も保管します。法務省等の押印に関するQ&A / 法務省の電子署名法と電子契約のQ&A

紙が必要かは契約類型によります。一般定期借地権と定期建物賃貸借は所定の電磁的記録にも対応しています。定期建物賃貸借では、更新がなく期間満了で終了する旨を、契約前に別途説明します。説明書面の交付に代えて電子で提供する場合は、借主の承諾等が必要です。事業用定期借地権の契約は公正証書が必要です。公正証書の作成手続自体にはデジタル方式もあり、利用方法は公証役場へ確認します。借地借家法22条・23条・38条 / 法務省の公正証書作成手続のデジタル化

紙の印紙税と電子データの保存を確認する

契約書が印紙税の課税文書に該当するかは、表題だけでなく記載内容で判断します。請負、不動産売買などで紙の課税文書を作成した場合は、所定の額を納めます。収入印紙を貼る方法を使う場合は消印も必要です。契約を電子データだけで作成・授受する場合、その電子データには印紙税はかかりません。署名等のある紙の契約原本を別に作る場合は、紙の文書の課税関係を確認します。書面の綴じ目に押す契印、別々の書面の関連を示す割印、印紙の消印は目的が異なります。

印紙税を納付しなかった場合、契約の効力とは別に、原則として印紙税額の3倍の過怠税がかかります。所轄税務署長に所定の申出書を提出し、調査による過怠税の決定を予知してした申出でない場合は1.1倍になります。国税庁の電子データの授受と印紙税 / 国税庁の過怠税と申出の条件

法人税の帳簿書類に該当する契約書は、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。青色繰越欠損金が生じた年度などは原則10年間となる場合があります。電子取引で契約データを授受した場合は、電子帳簿保存法に沿って電子データを保存します。税務上の期限に加え、継続中の義務や個別法、契約の履行状況をもとに保管期間を決めます。国税庁の帳簿書類の保存期間 / 国税庁の電子帳簿保存法の案内

契約書の書き方でよくある質問

Q. 合意書や覚書という名前でも契約になりますか?

当事者が内容に合意し、必要な法定要件を満たしていれば、合意書や覚書でも契約として扱われます。既存契約を変更する場合は、どの契約のどの条項をいつから変更するか、変更しない条項の扱いを明記します。

Q. 署名や押印がないと無効ですか?

多くの契約は申込みと承諾で成立し、押印は一律の成立条件ではありません。ただし、保証など書面等が必要な契約もあります。誰がどの内容に合意したかを確認できるよう、契約に合った署名・確認方法を選びます。

Q. 契約書をWordで作ってもよいですか?

Wordで案を作り、変更履歴で修正を管理できます。締結時は、本文と別紙を含む最終版を確定し、紙の原本または合意した電子記録と署名履歴を保管してください。法令が方式を指定する契約では、その方法に従います。

Q. 契約書に収入印紙を貼るかは何で決まりますか?

紙で作成した文書の内容と、印紙税法上の課税文書の区分で判断します。紙の原本を別に作成する場合は、電子データでもやり取りしたという理由だけで非課税とは判断できません。

Q. 法人の契約書は何年間保存しますか?

法人税の帳簿書類に該当する場合、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。一定の欠損年度などには原則10年間となる場合があり、電子取引は電子保存も確認します。

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※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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