契約書の効力や書き方や注意点等を専門家が解説します!

ツリーちゃん

口約束だと不安なので、契約書を書こうと思っています。

ツリーちゃん

契約書って凄く難しそうだけど、私でも書くことができますか?
簡単な契約書であれば専門家に頼らずとも作成することが可能です。

行政書士

しかし、大事な項目を見落としてしまうと後々トラブルになったり、法令に反する内容が含まれていた場合は、契約内容が無効になってしまうので注意が必要です。

行政書士

この記事では契約書を書くときの大事なポイントや契約書が無効にならないように注意する事項をまとめました。

行政書士

そもそも契約書は必要ですか?


 契約については、一部の書面でなければならないと法律で定められているようなものを除き、口約束でも基本的に契約は成立します。例えばスーパーで買い物をしたときも売買契約書は作成していませんが、売買契約が成立しております。
そのように考えると、いちいち契約書を作成するのは面倒では・・・?と感じるかもしれません。それに相手は友人で信頼しているから大丈夫と考える方もいるかもしれません。
 しかし、もっと大きな買い物やお金の貸し借りなどの際に口約束のみだったとしましょう。
もし相手が契約自体を否定したり、双方の記憶違いによって契約内容の一部を否定したとしても口約束のみでは反論することができません。
仮に裁判をしても裁判官は客観的な証拠から事件を判断するのであり、仮に事実ではお金を貸していたとしても契約書がなければ第三者である裁判官を納得させることはできません。
契約書の作成は双方のトラブル防止のために必要であり、自身の身を守るための武器になりますので、大切な契約では必ず作成すべきでしょう。

契約書作成のメリットについて

  1. 約束事を明確化することができる:契約書には、合意された内容が明確に書かれているため、当事者間での誤解や不一致を回避することができます。
  2. 法的に拘束力を持つ:契約書は法的に拘束力を持ち、もし契約内容に違反した場合は法的手続きが取られる可能性があります。
  3. 約束の証拠となる:契約書には当事者が合意した内容が書かれており、それが証拠として利用されることがあります。
  4. 紛争解決の手段となる:契約書には紛争解決の方法が明確に記載されているため、紛争発生時にはその手段に従って解決することができます。
  5. 契約履行の義務を明確化する:契約書には双方が履行しなければならない義務が明確に書かれており、契約履行を促す役割を持ちます。
  6. トラブルの防止に役立つ:契約書に記載されている内容は、法的に有効なものであれば、お互いが当然に守ろうという意思が働きます。そのため義務を履行していただける可能性が高まると考えられます。約束を守っていただけるのであれば、当然トラブルの予防に繋がります。
ここがポイント

親しい間柄なので大丈夫と考えるのではなく、親しい間柄であるからこそトラブルの防止の観点からも契約書の作成をお勧めいたします。

契約書作成の基本要素について

契約書作成の基本要素には、以下の5つのポイントがあります。

  1. 当事者の明確な表示:契約書では、契約を結ぶ当事者を明確に特定する必要があります。個人の場合は、氏名・住所を記載します。法人の場合は、会社名・所在地・代表者名を記載しましょう。
  2. 契約内容の詳細な記載:契約の主題となる取引やサービスの内容を具体的かつ詳細に記載することが重要です。例えば、商品の売買契約の場合、商品名・数量・価格・納期・支払い方法などを明記します。
  3. 権利義務の明確化:契約書では、双方の権利と義務を明確に定めることが重要です。これには、約束事や条件、違反時の対応などが含まれます。権利義務が明確でないと、契約に関するトラブルが発生する可能性があります。
  4. 日付と署名・捺印:契約書には、作成日や契約成立日を明記し、双方の当事者が署名・捺印することで、正式な契約書としての効力が発生します。この際、本人確認を行ってから署名・捺印することが望ましいです。
  5. その他の条項:契約に関連する追加的な条件や細則を含めることができます。例えば、機密保持条項や適用法・管轄裁判所などを明記することが一般的です。契約書によっては、特定の業界や状況に応じた独自の条項が必要となる場合もあります。

これらの基本要素をしっかりと押さえることで、明確で効力のある契約書を作成することができます。

契約書作成時には、関連法令や業界慣行にも留意し、必要に応じて専門家の意見を求めることが望ましいです。

契約書作成時における注意点について

契約書作成時の注意点には、以下の6つのポイントがあります。

  1. 法令遵守
    契約内容が法令に違反していないことを確認することが重要です。違法な契約内容は無効となり、トラブルの原因となる可能性があります。また、業界固有の規制や規則も確認しておくことが望ましいです。
  2. 相手方と十分な協議を行う
    契約内容について相手方と十分に協議を行い、双方の利益やリスクを把握し、理解し合うことが重要です。これにより、双方が納得のいく契約書が作成できるでしょう。
  3. 書式の統一と整理
    契約書の書式を統一し、見やすく整理することが重要です。また、条項の順序や構成も整理し、関連する事項が連続して記載されるようにすることが望ましいです。
  4. 重要事項の確認
    契約書には、重要事項が適切に記載されていることを確認してください。また、記載漏れがないかどうかも注意深くチェックすることが大切です。
  5. 保存と管理
    契約書は、当事者間の法的証拠となるため、適切に保存・管理することが重要です。また、契約内容に変更が生じた場合は、速やかに契約書を更新し、双方が確認・承認することが望ましいです。
注意事項

契約書は双方が同意していたとしても必ず有効になるとは限りません民法90条(公序良俗違反)やその他法令に反している契約内容は無効になります。

そのためせっかく作成したとしても、無効になってしまうと全く意味がなくなりますので、専門家等に相談していただき、有効な契約書の作成を行いましょう。

代表的な契約書の例について

下記に代表的な契約書の例をいくつかご紹介いたします。

  1. 売買契約書
    売買契約書は、商品やサービスの売り手と買い手の間で締結される契約書です。商品名、数量、価格、納期、支払い条件などの詳細を記載します。
  2. 金銭消費貸借契約書
    金銭消費貸借契約書は、金銭の貸し手(貸主)と借り手(借主)の間で締結される契約書です。貸付金額、利息、返済方法、返済期間、遅延損害金などの詳細を記載します。
  3. 債務承認弁済契約書
    債務承認弁済契約書は、債務者(借り手)と債権者(貸し手)の間で締結される契約書で、債務者が債権者に対して債務を認め、その弁済方法や条件について合意するものです。この契約書は、債務の存在や弁済条件に関する明確な合意を文書化することを目的としており、トラブルや紛争を未然に防ぐ役割があります。
  4. 離婚協議書
    離婚協議書は、夫婦が離婚に関する事項について合意し、記録する書面です。親権者、養育費、財産分割、慰謝料などの詳細を記載し、夫婦双方が署名・捺印します。
  5. 婚前契約書
    婚前契約書は、結婚前に夫婦が結婚後の財産関係や権利義務について合意し、記録する書面です。財産の取り決めや婚姻費用の負担などの詳細を記載し、双方が署名・捺印します。
  6. 示談書
    示談書は、紛争やトラブルを解決するために当事者間で合意した内容を記録した書面です。解決内容、金銭の支払いや請求放棄、損害賠償などの詳細を記載し、双方が署名・捺印します。
  7. 賃貸借契約書
    賃貸借契約書は、不動産(住宅や商業施設など)の貸し手(大家)と借り手(借主)の間で締結される契約書です。賃料、敷金・礼金、契約期間、更新条件、解約条件などの詳細を記載します。
  8. 業務委託契約書
    委託契約書は、業務やサービスの遂行を委託する側(発注者)と受託する側(受託者)の間で締結される契約書です。業務内容、報酬、業務遂行期間、成果物の引き渡し条件、機密保持などの詳細を記載します。
  9. 業務提携契約書
    業務提携契約書は、異なる企業や個人が協力して事業を行うために締結される契約書です。提携の目的、各当事者の役割と責任、費用負担、利益分配、知的財産権の取り扱いなどの詳細を記載します。
  10. 非競争契約書(競業避止契約書)
    非競争契約書は、従業員や取引先が一定期間、競合する事業を行わないことを約束する契約書です。適用期間、対象範囲、違反時の損害賠償金額などの詳細を記載します。
  11. 夫婦間の誓約書
    夫婦間の誓約書は、夫婦が特定の約束事を文書化しておくための書面です。約束事や遵守期間、違反時の損害賠償などの詳細を記載し、夫婦双方が署名・捺印します。
  12. 誓約書
    誓約書は、特定の行為や約束事について、当事者が誓約(約束)することを文書化した書面です。誓約書は、当事者間での信頼関係を構築し、特定の行為を行わないことや義務を遵守することを確約する目的で作成されます。
  13. 合意書
    合意書は、異なる当事者間で合意された事項を文書化した書面です。合意書は主に当事者間の約束事や合意内容を記録する目的で作成されます。これにより、将来的なトラブルや誤解を防ぐことができます。
  14. 契約書の変更・解除・解約に関する書面
    契約の変更、解除、解約を行う際に締結される書面です。変更内容や解除・解約の理由、効力発生日などの詳細を記載し、当事者双方が署名・捺印

この上記以外にも世の中には様々な契約書が存在し、あくまで一例となります。

これらの契約書は、それぞれ独自の目的や内容を持っており、異なる法的効果や義務を生じさせます。契約書の契約書の作成にあたっては、専門家の意見を求めることが重要です。

特に、複雑な契約内容や高額な取引が関与する場合は、専門家である弁護士や行政書士に相談し、適切なアドバイスを受けることが望ましいです。

よくあるトラブルと対処法について

契約書に関するトラブルは多岐にわたりますが、以下にいくつかの代表的なトラブルとその対処法をご紹介します。

  1. 書面による契約がない
    口頭での契約が成立しているものの、書面での契約書が存在しない場合、トラブルが発生した際に証拠が不足し、解決が困難になることがあります。

対処法契約内容を書面に残すことが重要です。できるだけ詳細に内容を記載し、双方が署名・捺印することで、法的証拠として有効になります。

  1. 契約内容の不備や曖昧さ
    契約書の内容が不十分であったり、曖昧である場合、当事者間での解釈が異なり、紛争が生じることがあります。

対処法:契約書の内容を明確かつ具体的に記載し、曖昧な表現を避けることが重要です。また、専門家の意見を求めて適切な文言を選ぶことも効果的です。

  1. 契約違反
    当事者の一方が契約内容に違反した場合、トラブルが発生します。例えば、商品の納期遅れや支払い遅延、契約上の義務を果たさないなどが該当します。

対処法: まずは違反した当事者に対し、契約内容の履行を求める通知を行います。改善が見られない場合は、法的手続きを検討することが必要です。

  1. 契約解除・解約トラブル
    契約を解除や解約したい場合、契約書に記載された条件に従って手続きを行う必要があります。しかし、手続きが適切でなかったり、当事者間で解除条件についての認識が異なる場合、トラブルが生じることがあります。

対処法契約書に明確な解除・解約条件を記載し、手続きを遵守することが重要です。また、解除・解約についての認識を事前に確認し、合意を得ることが望ましいです。

トラブルを予防するためにはどうしたらいい

トラブルを予防するためには以下のような対処方法が考えられます。

  1. 契約書の作成に専門家に相談する
    契約書の作成においては、専門家(弁護士や行政書士)に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。専門家は、法律の知識や経験をもとに契約書の内容を検討し、トラブルを未然に防ぐことができます。
  2. 定期的な契約内容の見直し
    契約内容は、事業や状況の変化に応じて定期的に見直すことが望ましいです。これにより、双方が納得できる契約内容を維持し、トラブルを防ぐことができます。
  3. 契約締結前の十分な協議
    契約締結前に、双方で十分な協議を行い、契約内容についての理解を深めることが重要です。これにより、契約内容に対する認識の齟齬やトラブルを減らすことができます。

契約書に関するトラブルを未然に防ぐためには、十分な協議、明確な契約内容、専門家の意見やアドバイスを適切に活用することが重要です。これにより、安心・安全な契約関係を築くことができます。

公正証書の作成も検討しましょう

高額な金銭のやり取りや離婚協議書のような数十年にわたる長期間の契約となる場合は、公正証書の作成も検討しましょう。以下に公正証書にした場合のメリットについても解説させていただきます。

  1. 証拠能力の高さ
    公正証書は、公証人が契約内容を審査し、正確かつ公平な内容であることを証明する文書です。そのため、公正証書は法的な証拠能力が非常に高く、契約内容に関する証拠として強力な効果を発揮します。これにより、契約に関するトラブルが発生した際の証拠立てが容易になります。
  2. 強制執行力の付与
    公正証書は、債務者が債務の履行を拒否した場合、金銭部分について強制執行(給与や口座の差し押さえ)が可能な文書です。これにより、債権者は迅速かつ効率的に債務の回収ができ、トラブル解決のスピードが大幅に向上します。
  3. 法的信頼性の向上
    公正証書は、公証人(元々裁判官や検事等)が契約内容を検証し、正確性と公平性を保証しています。これにより、当事者間の信頼関係が向上し、契約を円滑に進めることができます。
  4. 当事者の本人確認
    公証人は、公正証書の作成に際して、当事者の身元確認を行います。これにより、身元詐称や詐欺行為を防ぐことができ、安心して契約を締結することができます。
  5. 書面の長期保管
    公正証書の保存期間は、公証人法施行規則により、20年となっています。長期間にわたって保管されるので個人で保管するよりも安心することができます。

様々なメリットを享受することができる公正証書ですが、通常の契約書よりも作成期間を要したり公正証書の作成には手数料が発生するため、コストとメリットを慎重に検討することが重要です。

ポイント

公正証書は何と言っても、強制執行(給与や口座の差し押さえ)ができる書面のため、契約で金額を受け取る側は積極的に公正証書を検討されてみてもよいかもしれません。

ただし、公正証書は厳格な書面なため法律上適切でない記載などを行うことはできません。

手続きや記載できる内容の可否などは専門家に相談されることをお勧めいたします。

最後に

契約書作成は、ビジネスや個人間の約束において重要な書類です。基本要素の理解、注意点の把握、契約書の知識、そしてトラブルへの対処法を身につけることで、安全で円滑な契約関係を築くことができます。
しかし、契約書は法的な知識が必要なことも多いので、不安がある場合は、専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。


弊所では年間数百件以上の様々な契約書作成を行なっており、過去の事案や個々のケースに応じて適切なアドバイスを提供させていただきます。そして相談料金は何度でも無料ですので、ご納得いただくまで対応させていただきます。

また金額も作成は一律14800円で対応しており、明瞭な金額設定にて対応いたします。

もし契約書を作成する上で、ご不明点やご不安な点などございましたらいつでもご相談お待ちしております。


今回の記事が、契約書作成に関する知識と対策の手助けとなることを願っています。