公開日:2026年5月6日
「他人のクレジットカード情報を悪用してオンライン決済された」「ネットバンキングへ不正アクセスされ、知らない口座に送金されていた」「電子マネーやポイントを勝手に使われた」――。インターネットや電子決済が生活インフラとなった現代、こうしたサイバー犯罪・ネット詐欺の被害は年々増加しています。これらの行為の多くは、単なる詐欺罪(刑法246条)ではなく、電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)として処罰され、法定刑は10年以下の拘禁刑(2025年6月施行の改正刑法による)と非常に重い犯罪です。
本記事では、電子計算機使用詐欺罪・不正アクセス禁止法違反の構成要件、典型事例、警察署長宛て告訴状の書き方、証拠保全の方法、行政書士に依頼できる範囲と弁護士・専門業者の業務範囲を整理し、被害者がとるべき初動対応を網羅的に解説します。
結論:オンライン詐欺・不正アクセス被害は「電子計算機使用詐欺罪」「不正アクセス禁止法違反」として刑事告訴が可能です。証拠保全(取引履歴・IPアドレス・通信ログ・スクリーンショット)を直ちに行い、警察署長宛ての告訴状を提出することが被害回復・再発防止の第一歩となります。
電子計算機使用詐欺罪・サイバー犯罪被害の告訴状作成サポート
行政書士法人Treeでは、電子計算機使用詐欺罪・不正アクセス禁止法違反等のサイバー犯罪被害について、警察署長宛て告訴状の作成をサポートします。証拠資料の整理から構成要件への当てはめ、告訴状ドラフトの作成まで、行政書士業務範囲内で丁寧に対応します。
- ✔ 告訴状・告発状作成 スタンダード:38,280円(税込)
- ✔ 告訴状・告発状作成 お急ぎ特急:49,280円(税込)
- ✔ オプション:不受理時対応 +33,000円
- ✔ 初回相談無料
目次
1. 電子計算機使用詐欺罪の根拠法令と法定刑
電子計算機使用詐欺罪は、コンピュータの普及に伴い、人を直接欺くのではなく電子計算機(コンピュータ)に虚偽の情報や不正な指令を与えて財産を取得する行為を処罰する目的で、1987年に新設された比較的新しい犯罪です。
刑法246条の2(電子計算機使用詐欺罪)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。
2025年6月施行の改正刑法により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました。法定刑の上限は10年と、通常の詐欺罪(246条)と同じ重さに設定されています。
不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)
- 11条(3条違反・不正アクセス罪):3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 12条1号〜4号(4条違反・不正取得罪/5条違反・不正助長罪のうち相手方の目的を知っていた場合/6条違反・不正保管罪/7条違反・フィッシング行為):1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- 13条(5条違反・不正助長罪のうち相手方の目的を知らなかった場合):30万円以下の罰金
サイバー犯罪では、電子計算機使用詐欺罪と不正アクセス禁止法違反が併合罪として成立するケースが多く見られます。
2. 詐欺罪(246条)と電子計算機使用詐欺罪(246条の2)の違い
| 区分 | 詐欺罪(刑法246条) | 電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2) |
|---|---|---|
| 欺く対象 | 人(自然人) | 電子計算機(コンピュータ) |
| 典型場面 | 対面・電話での金銭詐取、振り込め詐欺の対人部分 | オンライン決済の不正、ネットバンキング不正送金 |
| 客体 | 財物または財産上の利益 | 財産上の利益(電磁的記録の作出・供用) |
| 法定刑 | 10年以下の拘禁刑 | 10年以下の拘禁刑 |
| 公訴時効 | 7年 | 7年 |
例えば、振り込め詐欺で被害者を騙して現金を振り込ませる行為は「詐欺罪」ですが、盗んだクレジットカード番号でオンラインショップから商品を購入する行為は「電子計算機使用詐欺罪」となります。両者の境界線は「人を騙したか、機械に虚偽情報を入力したか」にあります。
3. 電子計算機使用詐欺罪の構成要件
電子計算機使用詐欺罪の成立には、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 客体:人の事務処理に使用する電子計算機
銀行のオンラインシステム、クレジットカード会社の決済システム、電子マネー事業者のサーバー、ECサイトの注文システム等が該当します。
- 行為:虚偽の情報・不正な指令を与える、または虚偽の電磁的記録を供用する
他人名義のクレジットカード情報の入力、盗んだIDパスワードによるログイン、改ざんした取引データの送信等が該当します。
- 結果:財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録の作出または虚偽の電磁的記録の供用
不正な取引履歴・残高変動の電磁的記録が作成されることが必要です。
- 財産上不法の利益の取得
商品の購入、現金の送金、サービスの利用等、財産的利益を得たことが必要です。
- 故意
虚偽の情報であることの認識、不正な利益取得の意思が必要です。
4. 典型事例と該当条文
(1) 他人のクレジットカード情報を使用したオンライン決済詐欺
盗んだクレジットカード番号・セキュリティコードを使ってECサイトで商品を購入する行為は、典型的な電子計算機使用詐欺罪です。フィッシングメールでカード情報を窃取した場合は、フィッシング行為(不正アクセス禁止法7条違反・12条4号)も併合罪として成立し得ます。
(2) 銀行のATM・ネットバンキングへの不正アクセス・送金
他人のID・パスワードでネットバンキングにログインし、自己または第三者の口座に送金する行為は、電子計算機使用詐欺罪と不正アクセス禁止法違反(3条違反・11条)が成立します。被害額が大きいことが多く、組織犯罪化しているケースもあります。
(3) 電子マネーの不正使用
盗んだ電子マネーカード番号やプリペイドコードを利用して商品・サービスを購入する行為も電子計算機使用詐欺罪に該当します。
(4) ポイント・マイレージの不正取得・使用
他人のアカウントに不正ログインしてポイントを移転・換金する行為は、電子計算機使用詐欺罪と不正アクセス禁止法違反の両方に該当します。
(5) フィッシング詐欺による情報窃取後の不正使用
フィッシングサイトで取得したID・パスワード・カード情報を用いて不正利用した場合、フィッシング行為(不正アクセス禁止法7条違反・12条4号)、不正アクセス(同3条違反・11条)、電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)が連鎖的に成立します。
5. 共犯・教唆犯の処罰
サイバー犯罪は分業化・組織化していることが多く、実行犯以外にも以下の関与者が共犯・教唆犯として処罰対象となります。
- フィッシングサイト構築者:偽サイトの設計・運営者は、不正アクセス禁止法違反の幇助犯または共同正犯として処罰され得ます。
- 不正アクセスツール作成・配布者:マルウェア・スキミングツール等の作成者は、不正指令電磁的記録作成・供用罪(刑法168条の2)に該当する場合があります。
- ID・パスワードの売買業者:不正アクセス禁止法のID・パスワード不正提供罪(5条違反のうち相手方の目的を知っていた場合・12条2号)等が成立します。
- 口座売買・名義貸し:犯罪収益移転防止法違反、組織犯罪処罰法違反等の対象となります。
6. 警察への相談窓口と告訴状の提出
警察庁・各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
サイバー犯罪は通常の所轄警察署に加え、専門部署が設置されています。
- 警察庁サイバー警察局:全国的な対策・国際協力を統括
- 各都道府県警察サイバー犯罪対策課:実際の捜査担当窓口
- サイバー犯罪相談窓口:各都道府県警の相談電話・ウェブフォーム
告訴状の提出先
告訴状は被害者の住所地または被疑者の所在地を管轄する警察署長宛てに提出します。サイバー犯罪は被疑者の所在地が不明なことが多いため、被害者所在地の警察署が窓口となるのが一般的です。
7. 証拠保全の重要ポイント
サイバー犯罪では、デジタルデータが時間とともに失われる・上書きされるリスクがあるため、被害発覚直後の証拠保全が極めて重要です。
- 取引履歴・利用明細:銀行・カード会社・電子マネー事業者から書面で取得
- IPアドレス・通信ログ:プロバイダ・サービス事業者に保全要請(ログ保存期間は通常3〜6ヶ月)
- スクリーンショット:不正アクセスの痕跡、フィッシングサイトのURL、不審メールの全文(ヘッダー含む)
- メールヘッダー情報:送信元IPアドレス・経由サーバー情報を含む完全なヘッダー
- 端末のログ:被害端末のアクセスログ・イベントログ
- 金融機関への連絡記録:被害申告日時・対応者氏名・口座凍結要請の記録
特にプロバイダの通信ログは保存期間が短いため、被害発覚後はすみやかに警察を通じた保全要請を行うことが望まれます。
8. 民事責任・損害回復と弁護士業務
刑事告訴と並行して、民事上の損害賠償請求(民法709条 不法行為)を検討する被害者も少なくありません。ただし、以下は弁護士業務であり、行政書士は対応できません。
- 加害者特定のための発信者情報開示請求の代理
- 損害賠償請求訴訟の代理
- 示談交渉・和解交渉
- 金融機関に対する補償請求の代理
また、ハッキング被害からのシステム復旧・マルウェア駆除等はセキュリティ専門業者の業務範囲です。行政書士法人Treeでは、必要に応じて提携弁護士・専門業者をご紹介します。
9. 国際的なサイバー犯罪と国際刑事共助
サイバー犯罪は国境を越えて行われることが多く、被疑者・サーバーが海外に所在するケースが珍しくありません。日本は「サイバー犯罪に関する条約(ブダペスト条約)」に加盟しており、締約国間で証拠の保全・提供・捜査協力が可能です。国際刑事共助法に基づく共助要請は警察・検察・外務省を通じて行われ、被害者は告訴状提出時にその旨を申し添えることで、捜査機関の対応の参考となります。
料金プラン(告訴・告発状作成)
| プラン | 料金(税込) | 含まれる内容 |
|---|---|---|
| スタンダード | 38,280円 | ヒアリング+時系列整理+警察署長宛て告訴状・告発状の文案作成+添付資料リスト作成(受理・捜査開始・起訴・有罪を保証するものではありません) |
| お急ぎ特急 | 49,280円 | スタンダードの内容を優先対応で進行 |
| オプション | 不受理時対応 +33,000円 | 不受理となった場合の追加対応 |
※ 弁護士・社労士・税理士の費用は別途となります。ご相談は何度でも無料。Web面談・対面どちらも全国対応です。
※ 損害賠償請求・示談交渉・発信者情報開示請求の代理は弁護士業務のため、提携弁護士をご紹介します。
※ ハッキング被害復旧・フォレンジック調査は専門業者をご紹介します。
FAQ よくあるご質問
Q1. 電子計算機使用詐欺罪と詐欺罪はどう違いますか?
欺く相手が「人」なら詐欺罪(246条)、「電子計算機(機械)」なら電子計算機使用詐欺罪(246条の2)です。法定刑はいずれも10年以下の拘禁刑です。
Q2. 公訴時効は何年ですか?
電子計算機使用詐欺罪は法定刑が10年以下の拘禁刑のため、公訴時効は7年(刑事訴訟法250条2項4号)です。
Q3. 被疑者が誰か分からなくても告訴できますか?
はい。「氏名不詳」として告訴可能です。IPアドレス・アカウントID・通信記録等から捜査機関が特定を進めます。
Q4. 被害額が少額でも告訴は受理されますか?
金額の多寡は告訴受理の要件ではありません。組織的・反復的犯行の端緒となる場合もあるため、少額被害でも告訴の意義があります。
Q5. ネットバンキングの被害は銀行が補償してくれますか?
個人の場合、過失の程度により補償される場合があります。具体的補償額の交渉は弁護士業務のため、提携弁護士にご相談ください。
Q6. フィッシングサイトを見つけたら通報できますか?
はい。警察庁・フィッシング対策協議会・JPCERT/CC等への通報が可能です。被害発生前でもサイト閉鎖等の対応につながります。
Q7. 告訴状の提出先は警察署と検察庁どちらですか?
実務上、告訴状はまず管轄警察署長宛てに提出するのが一般的です。捜査・送検・起訴の流れを踏まえても、警察署経由での提出が現実的かつ効率的です。なお、検察庁宛て告訴状の作成と提出代理は別の問題で、依頼者の代理人として告訴の意思表示を行う「提出代理」は弁護士の業務範囲となります。
Q8. 海外サーバー経由の犯罪でも捜査できますか?
サイバー犯罪条約等に基づく国際刑事共助で対応可能です。ただし時間を要するため、国内の証拠保全をまず徹底することが重要です。
Q9. 被害端末は警察に提出すべきですか?
フォレンジック調査の対象となるため、原則として保全のうえ警察の指示に従ってください。電源を切らない・操作しないことが望ましい場合があります。
Q10. 告訴と被害届の違いは何ですか?
被害届は被害事実の申告にとどまり、告訴は処罰意思を明示するものです。告訴は捜査機関に捜査義務が生じる点で重要です。
Q11. クレジットカード会社への連絡はいつすべきですか?
不正利用を発見次第、直ちにカード会社に連絡し、カード停止・取引取消・利用照会を行ってください。証拠資料としても重要です。
Q12. 損害賠償も同時に請求できますか?
民事の損害賠償請求は弁護士業務です。刑事告訴と並行して進めたい場合は、行政書士法人Treeから提携弁護士をご紹介します。
サイバー犯罪・ネット詐欺被害の告訴状作成はTreeへ
電子計算機使用詐欺罪・不正アクセス禁止法違反等のサイバー犯罪被害について、警察署長宛て告訴状の作成を行政書士法人Treeがサポートします。証拠資料の整理から構成要件への当てはめまで丁寧に対応し、被害者の処罰意思を捜査機関に届けるお手伝いをいたします。
- ✔ 告訴状・告発状作成 スタンダード:38,280円(税込)
- ✔ 告訴状・告発状作成 お急ぎ特急:49,280円(税込)
- ✔ オプション:不受理時対応 +33,000円
- ✔ 初回相談無料
関連記事
- 不正アクセス被害の告訴状の書き方|禁止法の罰則と証拠の集め方
- 詐欺罪の告訴状サンプル|構成要件・証拠・提出までの流れ
- 名誉毀損・侮辱罪の告訴状|SNS誹謗中傷への刑事対応
- 業務妨害罪の告訴状|威力業務妨害・偽計業務妨害の違い
まとめ
電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)は、コンピュータに虚偽情報を入力して財産上の利益を得る行為を10年以下の拘禁刑で処罰する重大犯罪です。オンライン決済詐欺・ネットバンキング不正送金・電子マネー不正使用・フィッシング被害など、現代型サイバー犯罪の多くがこの条文または不正アクセス禁止法違反として処罰対象となります。
被害者がとるべき初動は、(1)金融機関・サービス事業者への即時連絡と取引停止、(2)取引履歴・IPアドレス・スクリーンショット等の証拠保全、(3)警察署長宛て告訴状の提出、の3点です。行政書士法人Treeでは、行政書士業務範囲内で告訴状作成を全力でサポートします。損害賠償請求・示談交渉・システム復旧等は提携弁護士・専門業者をご紹介しますので、ワンストップでの初動対応が可能です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


