告訴状関連

告訴の取消し(取下げ)は可能?撤回の方法と注意点

更新: 約6分で読めます

「一度提出した告訴を取り消すことはできるのだろうか」——示談が成立した場合や、事情が変わったときに、このような疑問を持つ方は少なくありません。結論から言えば、告訴は公訴の提起(起訴)前であれば取り消すことが可能です。ただし、親告罪の場合は一度取り消すと再度の告訴ができなくなるため、慎重な判断が求められます。この記事では、告訴の取消し(取下げ)の方法・条件・注意点について解説します。

告訴の取消しは起訴前であれば可能ですが、親告罪では再告訴ができなくなるため、取消し前に必ず専門家に相談しましょう。

「告訴状の作成・取消しについて相談したい」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。相談は何度でも無料・全国対応です。

▶ 今すぐ無料で相談してみる

告訴の取消し(取下げ)はいつまで可能?

刑事訴訟法第237条1項は、「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる」と定めています。つまり、検察官が起訴状を裁判所に提出する前であれば、告訴を取り消すことができます。

逆に言えば、検察官がすでに起訴した後では告訴の取消しはできません。特に親告罪の事件では、起訴のタイミングが早い場合もあるため、取消しを検討している場合は速やかに対応する必要があります。

親告罪と非親告罪で取消しの効果はどう違う?

告訴の取消しが持つ意味は、対象の犯罪が親告罪か非親告罪かによって大きく異なります。

項目 親告罪 非親告罪
告訴取消しの効果 検察官は起訴できなくなる 検察官の判断で起訴は可能
再告訴の可否 不可(刑訴法237条2項) 再告訴は可能とされている
主な該当犯罪 名誉毀損・侮辱・器物損壊・信書開封など 傷害・窃盗・詐欺・横領など

親告罪の場合

親告罪とは、被害者等の告訴がなければ検察官が起訴できない犯罪類型です。告訴を取り消すと訴訟条件が欠けるため、検察官は起訴をすることができなくなります。さらに、刑事訴訟法237条2項により、一度告訴を取り消した者は同一の事実について再び告訴をすることができません。これが「取消しは慎重に」と言われる最大の理由です。

主な親告罪には以下のものがあります。

  • 名誉毀損罪(刑法230条)
  • 侮辱罪(刑法231条)
  • 器物損壊罪(刑法261条)
  • 信書開封罪(刑法133条)
  • 秘密漏示罪(刑法134条)
  • 未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)
  • 過失傷害罪(刑法209条)

非親告罪の場合

傷害罪窃盗罪・詐欺罪・横領罪などの非親告罪では、告訴を取り消しても検察官の判断で起訴が行われる場合があります。告訴は捜査の端緒の一つにすぎず、取り消したとしても捜査自体が終了するわけではありません。ただし実務上は、被害者が告訴を取り消すと処罰意思がないものとして、検察官が不起訴(起訴猶予)の判断をする一つの材料になることがあります。

告訴取消しの具体的な方法は?

告訴の取消しは、告訴を受理した捜査機関に対して書面(告訴取消書)を提出する方法で行います。口頭でも法的には可能ですが、書面で記録を残すのが一般的です。

告訴取消書に記載する主な内容

  • 宛先(担当の検察官または司法警察員)
  • 作成年月日
  • 告訴人(告訴をした者)の住所・氏名・押印
  • 告訴した事件の特定(被疑者名・罪名・告訴年月日など)
  • 告訴を取り消す旨の明記
  • 取消しの理由(示談成立など。必須ではないが記載が一般的)

提出先は、事件が検察庁に送致されている場合は検察庁の担当検察官、まだ警察段階にある場合は告訴を受理した警察署です。事件がどの段階にあるか不明な場合は、告訴を提出した先に問い合わせれば案内を受けられます。

告訴の取消しと示談はどう関係する?

告訴の取消しは、加害者側との示談交渉の中で求められることが多くあります。示談が成立した場合、示談書に「告訴を取り消す」旨の条項を入れ、別途告訴取消書を捜査機関に提出するという流れが一般的です。

ここで注意すべき点が2つあります。

  • 示談の成立と告訴の取消しは別の手続きです。示談書に合意しただけでは告訴の取消しにはならず、捜査機関への書面提出が必要です
  • 親告罪の場合、告訴を取り消すと再告訴ができなくなります。示談条件に不安がある場合は、取消し前に弁護士等の専門家に相談することが大切です

なお、2025年6月1日施行の刑法改正により、従来の「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に一本化されました。法定刑の表記は変わりましたが、告訴の取消しに関する手続き自体に変更はありません。

告訴を取り消すべきか判断に迷う場合や、告訴取消書の書き方がわからない場合は、行政書士法人Treeにご相談ください。相談は何度でも無料です。

▶ 専門家に状況を相談する(無料)

よくある質問

Q. 告訴の「取消し」と「取下げ」は違うものですか?

法律上の正式な用語は「告訴の取消し」(刑事訴訟法237条)です。「取下げ」は実務や警察の現場で使われることがある表現ですが、意味は同じです。いずれも告訴の効力をなくす手続きを指します。

Q. 告発の取消しも同様にできますか?

告発についても公訴提起前であれば取り消すことができます。ただし、告発の取消しには刑事訴訟法237条2項のような再告発禁止の規定は適用されないと解されており、取消し後に再度告発をすることは可能とされています。告訴と告発の違いの詳細は「告訴と告発の違い」で解説しています。

Q. 親告罪以外の犯罪で告訴を取り消した場合、再告訴はできますか?

非親告罪については、刑事訴訟法237条2項の再告訴禁止規定は親告罪にのみ適用されると解されているため、再度の告訴は法的に可能とされています。ただし、実務上は一度取り消した後の再告訴は捜査機関に慎重に扱われる可能性があります。

Q. 被害届の取下げと告訴の取消しは同じですか?

異なる手続きです。被害届は犯罪事実の届出にすぎず、処罰を求める意思表示を含みません。一方、告訴は処罰を求める意思表示を伴うものです。親告罪の場合、被害届を取り下げても告訴の効力は残ります。告訴と被害届の違いの詳細は「告訴状と被害届の違い」をご覧ください。

まとめ

告訴の取消し(取下げ)について、ポイントを整理します。

  • 告訴の取消しは公訴提起前(起訴前)であれば可能(刑訴法237条1項)
  • 親告罪の場合、取消しにより起訴不可能となり、再告訴もできない(同条2項)
  • 非親告罪の場合、取消し後も検察官の判断で起訴される可能性がある
  • 取消しの方法は告訴取消書を捜査機関に提出
  • 示談と告訴取消しは別の手続き。示談書への記載だけでは告訴は取り消されない

特に親告罪では取消しの影響が大きいため、判断に迷ったら専門家に相談してから結論を出すことをおすすめします。

告訴状の作成・取消書の作成は行政書士法人Treeにお任せください

サービス 料金
告訴状・告訴取消書作成 34,800円(税抜)〜
  • ✔ 告訴状の作成から取消書の作成まで対応
  • ✔ 相談は何度でも無料・全国対応

▶ 行政書士法人Treeに相談してみる

※ 2026年3月時点の刑事訴訟法に基づく解説です。告訴・告発の受理判断は捜査機関の裁量による部分があります。具体的な事案は弁護士にもご相談ください。

行政書士法人Tree