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知的財産権(特許権・商標権・著作権等)の侵害は、民事上の損害賠償請求だけでなく、刑事告訴により処罰を求めることも可能です。もっとも、親告罪か非親告罪かは権利類型により異なり、著作権侵害は原則親告罪、特許権侵害や商標権侵害などは非親告罪です。この記事では、知的財産権侵害の刑事告訴の方法・告訴状の書き方・対象となる犯罪類型に加え、告訴前に準備したい証拠の考え方も解説します。
知的財産権侵害の告訴状作成でお困りの方は、行政書士法人Treeにご相談ください。侵害類型の整理や証拠資料の確認を含め、告訴状・告発状の作成を専門家がサポートいたします。相談は何度でも無料・全国対応です。
目次
知的財産権侵害の犯罪類型と罰則
| 侵害類型 | 根拠法 | 罰則 | 親告罪 |
|---|---|---|---|
| 特許権侵害 | 特許法第196条 | 10年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金(併科可) | 非親告罪 |
| 商標権侵害 | 商標法第78条 | 10年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金(併科可) | 非親告罪 |
| 著作権侵害 | 著作権法第119条 | 10年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金(併科可) | 原則親告罪(一部非親告罪) |
| 不正競争行為(一般) | 不正競争防止法第21条 | 5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金(併科可) | 非親告罪 |
| 不正競争行為(営業秘密侵害) | 不正競争防止法第21条1項 | 10年以下の拘禁刑又は2,000万円以下の罰金(海外使用等は3,000万円以下・併科可) | 非親告罪 |
法人が侵害行為を行った場合は、行為者個人の処罰に加え、法人に対しても罰金が科されます(両罰規定)。特許法・商標法・著作権法では法人に3億円以下の罰金が科されます。不正競争防止法では、営業秘密侵害罪の法人罰金は5億円以下(不正競争防止法第22条1項)、そのうち海外使用目的等の重大事案では法人に10億円以下の罰金が科されます。その他の不正競争行為(周知表示混同惹起等)では法人に3億円以下の罰金が科されます。
告訴状の記載事項
1. 告訴人の情報
権利者(告訴人)の氏名・住所・連絡先を記載します。法人の場合は法人名・代表者名・所在地です。
2. 被告訴人の情報
侵害者(被告訴人)の氏名・住所を記載します。不明な場合は「氏名不詳」とし、判明している情報(屋号・ウェブサイトURL等)を記載します。
3. 告訴の趣旨
「被告訴人の下記行為は○○法第○条に該当するので、処罰を求めます」と記載します。
4. 犯罪事実
- 侵害された権利の特定(特許番号・商標登録番号・著作物名等)
- 侵害行為の具体的内容(製造・販売・複製・公衆送信等)
- 侵害行為の日時・場所
- 侵害を認識した経緯
5. 証拠資料
- 権利の存在を証明する資料(特許証・商標登録証・著作物の原本等)
- 侵害品の現物またはスクリーンショット
- 侵害品の購入記録
- 侵害者の特定資料
告訴状の基本的な書き方は「告訴状の書き方ガイド」で詳しく解説しています。告訴状が受理されない場合の対策は「告訴状が受理されない5つの理由と対策」を参照してください。
告訴の手続き
告訴期間
親告罪の場合、告訴期間は「犯人を知った日から6か月」です(刑事訴訟法第235条1項)。著作権侵害は原則親告罪ですが、2018年の法改正により、対価を得る目的で反復継続して行う海賊版の販売等は非親告罪となりました。特許権侵害・商標権侵害は非親告罪のため、告訴期間の制限はありません。
提出先
告訴状は、侵害行為が行われた場所または被告訴人の住所を管轄する管轄警察署に提出します。知的財産権侵害は専門性が高いため、事前に担当部署へ相談しておくことが有効です。
よくある質問
Q. 著作権侵害でSNSの投稿を告訴できる?
著作権のある著作物を無断で複製・公衆送信する行為は著作権侵害に該当します。SNS上の無断転載も告訴の対象となり得ます。ただし、投稿者が匿名の場合は、発信者情報開示請求により投稿者を特定する手続きが先に必要です。
Q. AI生成コンテンツが著作権侵害に使われた場合も告訴できる?
生成AIを用いて著作物を無断で学習データとして利用する行為や、AIが出力したコンテンツが既存の著作物に類似する場合も著作権侵害が問題となりえます。現時点では、AI学習目的の著作物利用は著作権法第30条の4により一定範囲で許容されますが、享受目的・商業目的の場合は侵害に該当する可能性があります。AI技術の急速な進展に伴い、判断基準の整備が進んでいますので、具体的なケースについては専門家への相談をお勧めします。
Q. 模倣品の販売は何罪に問える?
模倣品の販売は、商標権侵害(商標法第78条)に加え、事案によっては不正競争防止法上の刑事罰対象行為や、場合によっては詐欺罪(刑法第246条)に該当する可能性があります。具体的にどの法律で対応できるかは事案ごとの検討が必要です。
Q. 特許権侵害の立証は難しい?
特許権侵害の立証には、対象製品が特許の請求項(クレーム)の構成要件を全て充足することの証明が必要です。技術的な分析が求められるため、弁理士の鑑定書を証拠として添付することが有効です。
まとめ
- 知的財産権侵害は10年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金(法人は3億円〜5億円以下、法律により異なる)
- 著作権侵害は原則親告罪(告訴期間6か月)
- 告訴状には権利の特定・侵害行為・証拠を具体的に記載
- 特許権・商標権侵害は非親告罪のため告訴期間制限なし
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


