離婚関連

離婚後の手続き完全ガイド|届出・保険・年金を一括整理

更新: 約15分で読めます

離婚届を提出して終わり、ではありません。離婚成立後には、戸籍・氏名の届出、健康保険の切替え、年金の変更、住所変更、子どもに関する手続きなど、やるべきことが数多くあります。特に健康保険の切替えは空白期間が生じると医療費が全額自己負担になり、児童手当の変更届は届出が遅れると受給が途絶えるリスクがあるため、期限に注意が必要です。

この記事では、離婚後に必要な手続きを時系列で整理し、届出先・期限・必要書類をまとめました。離婚協議書作成の専門家として、見落としがちな手続きや、離婚前に済ませておくべき準備も含めて解説します。「何から手を付ければいいかわからない」という方は、このガイドをチェックリストとしてご活用ください。

「離婚後の手続きが多すぎて整理できない」「離婚条件を書面に残さないまま離婚届を出してしまいそう」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。離婚協議書・公正証書の作成で養育費・財産分与・慰謝料の取り決めを確実に書面化します。相談は何度でも無料・全国対応です。

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離婚後にやるべき手続き一覧【時系列チェックリスト】

離婚後の手続きは多岐にわたりますが、期限の厳しいものから優先的に処理していくことが重要です。以下の表で、手続きの種類・届出先・期限を時系列で整理しました。

優先度 手続き 届出先 期限の目安
最優先 健康保険の切替え(扶養から外れる場合) 市区町村役場 / 勤務先 離婚後すみやかに(14日以内が目安)
最優先 国民年金への切替え(第3号〜第1号) 市区町村役場 離婚後14日以内
最優先 児童手当の受給者変更 市区町村役場 離婚後速やかに(15日以内が目安)
早め 離婚の際に称していた氏を称する届(婚姻時の姓を継続使用する場合) 市区町村役場 離婚後3か月以内
早め 子の氏の変更許可申立て 家庭裁判所 期限なし(ただし早めが望ましい)
早め 住民票の異動届(転居届・転入届) 市区町村役場 転居後14日以内
早め 世帯主の変更届 市区町村役場 変更後14日以内
順次 年金分割の請求 年金事務所 離婚後5年以内
順次 運転免許証の氏名・住所変更 警察署 / 運転免許センター すみやかに
順次 銀行口座・クレジットカードの氏名変更 各金融機関 すみやかに
順次 パスポートの氏名変更 パスポートセンター 渡航前まで
順次 生命保険の受取人変更 保険会社 すみやかに
順次 学校への届出(子どもの氏名変更等) 学校 氏名変更後すみやかに

上記以外にも、ひとり親家庭の支援制度(児童扶養手当・ひとり親家庭等医療費助成など)の申請が可能な場合があります。お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。

戸籍・氏名に関する手続き

離婚すると、婚姻によって氏(姓)を変更した側は、原則として旧姓(婚姻前の氏)に戻ります。ただし、離婚後も婚姻中の姓を使い続けたい場合は「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出することで継続使用が可能です。

旧姓に戻る場合

離婚届を提出すれば、婚姻前の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るかを選べます。子どもの戸籍は離婚届だけでは変わりません(後述の「子の氏の変更」手続きが別途必要です)。旧姓に戻った後は、運転免許証・銀行口座・保険証・パスポートなど、氏名が記載されている各種書類の変更が必要になります。

婚姻中の姓を継続する場合

離婚後も婚姻中の姓を名乗り続けるには、離婚の日から3か月以内に市区町村役場に「離婚の際に称していた氏を称する届」(戸籍法第77条の2の届出)を提出します。この届出を出すと、離婚後も婚姻中の姓を名乗ることができ、仕事上の名前や子どもとの姓の統一を維持できます。期限を過ぎると家庭裁判所の許可が必要になるため、忘れずに届け出てください。

離婚後の氏変更手続きの詳細については離婚後の氏変更手続きで詳しく解説しています。

健康保険・年金の切替手続き

離婚によって配偶者の社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れる場合、速やかに切替手続きを行う必要があります。切替えが遅れると、保険証が使えない期間が生じ、その間の医療費は全額自己負担(10割負担)になるリスクがあります。

健康保険の切替えパターン

離婚後の状況 加入する保険 届出先 必要なもの
自分の勤務先で社会保険に加入 勤務先の健康保険 勤務先 勤務先の指示に従う
自営業・無職になる 国民健康保険 市区町村役場 資格喪失証明書・離婚後の戸籍謄本・本人確認書類・マイナンバー
親の扶養に入る 親の健康保険 親の勤務先 親の勤務先の指示に従う

国民健康保険に加入する場合は、配偶者の勤務先から発行される「資格喪失証明書」が必要です。離婚が決まったら、配偶者に資格喪失証明書の取得を依頼しておくとスムーズに手続きが進みます。

年金の切替え(第3号被保険者〜第1号被保険者)

配偶者の厚生年金の扶養(国民年金第3号被保険者)だった方は、離婚後は国民年金第1号被保険者への切替えが必要です。届出先は市区町村役場で、届出期限は離婚後14日以内です。自分の勤務先で厚生年金に加入する場合(第2号被保険者になる場合)は、勤務先で手続きを行います。

年金分割の請求

婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割する「年金分割」は、離婚後5年以内に年金事務所に請求する必要があります(2026年4月1日施行の改正厚生年金保険法により、従来の2年から延長されました)。この期限を過ぎると、原則として年金分割を請求する権利が消滅します。年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、手続きの流れが異なります。

年金分割の詳しい手続きと計算方法は年金分割の手続きと計算方法をご覧ください。

住所変更・住居関連の手続き

離婚に伴い転居する場合は、住民票の異動届をはじめとする住所変更の手続きが必要です。

住民票の異動届

同一市区町村内の転居であれば「転居届」を、他の市区町村へ引っ越す場合は旧住所地に「転出届」を出したうえで新住所地に「転入届」を提出します。いずれも転居後14日以内が届出期限です。

世帯主の変更届

配偶者が世帯主だった場合、離婚後に同居を解消すれば新しい住所で自分が世帯主になります。一方、離婚後もしばらく同居を続ける場合は、世帯主の変更届を市区町村役場に提出します。

郵便物の転送届

郵便局に転居届を提出しておくと、旧住所宛ての郵便物が新住所に1年間転送されます。転送届は郵便局の窓口のほか、インターネット(e転居)でも手続き可能です。重要な郵便物の受け取り漏れを防ぐため、転居したらすぐに届け出ておきましょう。

離婚条件を書面に残しておくことが、手続き後のトラブル防止につながります

養育費・財産分与・慰謝料の取り決めは、口約束ではなく離婚協議書・公正証書として書面に残しておくことが重要です。行政書士法人Treeでは、離婚に伴う各種条件を漏れなく書面化するサポートを行っています。

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子どもに関する手続き(親権・学校・児童手当)

未成年の子どもがいる場合は、離婚後に特有の手続きが加わります。子どもの生活への影響を最小限に抑えるため、早めに対応してください。

子の氏の変更許可の申立て

離婚すると、親権者が旧姓に戻っても子どもの戸籍と氏は自動的には変わりません。子どもの姓を親権者と同じにするには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てる必要があります(民法第791条)。許可が出たら、市区町村役場で「入籍届」を提出して、子どもを親権者の戸籍に入籍させます。

家庭裁判所への申立ては、子どもが15歳未満の場合は法定代理人(親権者)が行い、15歳以上の場合は子ども本人が申し立てます。なお、2026年4月施行の民法改正により共同親権が導入されたため、15歳未満かつ共同親権の場合は原則として父母が共同で申し立てる必要があります。申立先は子の住所地を管轄する家庭裁判所で、手数料は子ども1人につき収入印紙800円です。手続きの詳細は裁判所の「離婚」関連手続きページでも確認できます。

児童手当の受給者変更

児童手当は原則として子どもと同居している親(生計を維持する程度の高い者)に支給されます。離婚前に配偶者が受給者だった場合は、離婚後に受給者の変更届を提出する必要があります。届出先は市区町村役場で、届出が遅れると手当が受給できない月が生じる可能性があるため、離婚後15日以内の届出が重要です。

児童扶養手当(ひとり親家庭向け)の申請

離婚によりひとり親家庭となった場合、児童扶養手当を申請できる可能性があります。児童扶養手当は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもを養育しているひとり親に支給される手当です。所得制限がありますが、該当する場合は市区町村役場で申請してください。

学校への届出

子どもの氏名が変わる場合や転校が必要な場合は、学校への届出が必要です。公立学校の転校手続きは、転出先の市区町村教育委員会で「転入学通知書」を受け取り、転校先の学校に提出する流れです。氏名変更のみ(転校なし)の場合も、学校への連絡は忘れずに行ってください。

離婚後の手続きの流れ

離婚後の手続きは数が多く、何から手を付ければいいか迷いがちです。以下のステップに沿って、期限の厳しいものから順に処理していきましょう。

Step 1: 離婚届を提出する(離婚日当日)

離婚届を市区町村役場に提出します。離婚届の提出と同時に、旧姓に戻るか婚姻時の姓を継続するかを決め、新しい戸籍の本籍地を指定します。婚姻時の姓を継続する場合は「離婚の際に称していた氏を称する届」もあわせて提出できます。離婚届の書き方については離婚届の書き方と提出方法で解説しています。

Step 2: 健康保険・年金の切替え(離婚後14日以内)

配偶者の社会保険の扶養から外れる場合は、自分の勤務先の健康保険・厚生年金に加入するか、国民健康保険・国民年金に加入するかを確認のうえ、それぞれ勤務先または市区町村役場で手続きを行います。資格喪失証明書が必要になるため、離婚前に配偶者の勤務先に発行を依頼しておくとスムーズです。

Step 3: 児童手当の受給者変更届を提出する(離婚後15日以内)

子どもがいる場合は、児童手当の受給者変更届を市区町村役場に提出します。あわせて児童扶養手当の申請ができるかどうかも窓口で確認してください。

Step 4: 住民票の異動届・世帯主変更届を提出する(転居後14日以内)

転居する場合は転出届・転入届(または転居届)を提出します。同居を続ける場合でも、世帯主の変更届が必要なケースがあります。

Step 5: 子の氏の変更許可を家庭裁判所に申し立てる

子どもの姓を親権者と同じにしたい場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てます。許可後、市区町村役場で入籍届を提出します。

Step 6: 年金分割の請求・各種名義変更を行う

年金分割(離婚後5年以内)、運転免許証・銀行口座・保険・パスポートの氏名変更・住所変更を順次進めます。すべて一度にやる必要はありませんが、リストを作成して漏れがないよう管理することをおすすめします。

よくある質問

Q. 離婚届を提出したら、健康保険証はすぐに使えなくなりますか?

配偶者の健康保険の扶養に入っていた場合、離婚の事実が配偶者の勤務先に届け出られた時点で資格を喪失します。資格喪失後に旧保険証を使って医療機関を受診すると、後日、保険給付分の返還を求められることがあります。離婚後は速やかに自分の勤務先の健康保険への加入、または国民健康保険への加入手続きを行い、保険証の空白期間をできるだけ短くしてください。

Q. 離婚後3か月を過ぎてから婚姻時の姓を名乗りたい場合はどうなりますか?

離婚後3か月以内であれば「離婚の際に称していた氏を称する届」の提出だけで婚姻時の姓を継続できますが、3か月を過ぎると家庭裁判所に「氏の変更許可」を申し立てる必要があります。家庭裁判所は「やむを得ない事由」があるかどうかを審査するため、必ずしも許可されるとは限りません。姓の継続を希望する場合は、3か月以内の届出を忘れないようにしてください。

Q. 子どもの戸籍は離婚届を出すだけで親権者の戸籍に移りますか?

移りません。離婚届を提出しただけでは子どもの戸籍は元の戸籍(離婚前の戸籍)に残ったままです。子どもを親権者の新しい戸籍に入れるには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立て、許可を得た後に市区町村役場で「入籍届」を提出する必要があります。

Q. 年金分割の請求期限(5年)を過ぎてしまった場合、もう請求できませんか?

原則として、離婚後5年を経過すると年金分割の請求権は消滅します(2026年4月の法改正前に離婚した場合は従来どおり2年)。ただし、離婚時に年金分割の按分割合について家庭裁判所の調停や審判を申し立てていた場合は、調停・審判の確定から一定期間内に請求できることがあります。期限が近い方は年金事務所に早めに相談してください。

Q. 離婚協議書は離婚届の提出前に作るべきですか?

離婚届の提出前に作成するのが原則です。養育費・財産分与・慰謝料・年金分割の合意内容を離婚協議書に書面化し、できれば公正証書にしておくことで、離婚後の支払いが滞った場合に裁判なしで強制執行が可能になります。離婚届提出後に条件を決めようとすると、相手の協力が得られにくくなるケースが多いため、事前の書面化を強くおすすめします。

Q. ひとり親家庭が受けられる公的支援にはどのようなものがありますか?

代表的なものとして、児童扶養手当(令和8年度の場合、所得に応じて月額最大46,690円、子ども1人の全部支給の場合)、ひとり親家庭等医療費助成(自治体により内容が異なる)、母子父子寡婦福祉資金貸付金(生活資金・教育資金等の低利貸付)などがあります。自治体独自の支援制度もあるため、お住まいの市区町村の窓口で確認することをおすすめします。

まとめ

離婚後の手続きは種類が多く、期限もそれぞれ異なります。この記事の要点を整理します。

  • 健康保険・年金の切替え児童手当の受給者変更は最優先(離婚後14〜15日以内)
  • 婚姻時の姓を継続する場合は離婚後3か月以内に届出が必要
  • 子どもの戸籍・氏の変更は家庭裁判所の許可が別途必要
  • 年金分割の請求期限は離婚後5年以内(2026年4月改正)
  • 養育費・財産分与・慰謝料は離婚届の提出前に離婚協議書・公正証書で書面化しておく

離婚前の準備として最も重要なのは、離婚条件の書面化です。口約束のまま離婚届を提出してしまうと、後から「言った・言わない」のトラブルに発展するリスクがあります。離婚協議書や公正証書で取り決めを明確にしておくことで、離婚後の手続きもスムーズに進められます。

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