永住許可の相談で最も多いのが、「スピード違反で捕まったことがあるのですが、永住は無理でしょうか」「住民税を1か月遅れで払った月があります」「国民年金を数か月払っていない時期がありました」という3つです。いずれも、いわゆる「素行要件」に関わる論点として語られます。ところが、実際に出入国在留管理庁が公表している文書を読むと、これらは必ずしも一つの要件にまとまって書かれているわけではありません。交通違反による罰金刑も、税金の滞納も、年金の未納も、入管法22条2項1号の「素行が善良であること」ではなく、「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」という別の要件の中で整理されているのです。この違いは単なる言葉遊びではなく、日本人の配偶者が永住申請する場面などでは、適用される要件そのものが変わってきます。
本記事では、令和8年(2026年)2月24日改訂の「永住許可に関するガイドライン」、令和8年8月4日に意見公募が開始された同ガイドラインの改定案の原文、出入国在留管理庁が公表している永住許可申請の提出書類一覧とセルフチェックシート、入管法・道路交通法・刑法・国民年金法などの条文を突き合わせながら、交通違反・税金滞納・年金未納が永住審査でどう評価されるのかを実務目線で解説します。あわせて、令和9年(2027年)4月1日に施行される永住許可制度の適正化により、永住許可を受けた後に何が求められるようになるのかも整理します。
在留資格の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士が要件の確認・必要書類の作成・出入国在留管理局への申請取次までを一括してサポートします。ご相談は何度でも無料です。
目次
永住許可の3要件と「素行が善良であること」の正確な位置づけ
結論から述べると、交通違反による罰金刑・税金の滞納・年金の未納は、いずれも入管法22条2項1号の素行善良要件ではなく、条文本文の国益要件の中で評価される事項です。まずは要件の全体像から確認します。
まず条文から確認します。出入国管理及び難民認定法(入管法)22条2項は、永住許可について次のように定めています。法務大臣は、申請者が各号のいずれにも適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。そして1号が「素行が善良であること」、2号が「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」です。
つまり、法律上の要件は次の3つに整理されます。1号の素行善良要件、2号の独立生計要件、そして条文本文が定める国益要件です。出入国在留管理庁の永住許可申請ページでも、審査基準としてこの3つが並記されています。
素行善良要件が適用されない人がいる
入管法22条2項ただし書は、申請者が日本人、永住許可を受けている者(永住者)又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、各号(すなわち素行善良要件と独立生計要件)のいずれにも適合することを要しないと定めています。出入国在留管理庁の永住許可申請ページの審査基準欄にも、同じ趣旨の注記が置かれています。
また、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関が保護の必要性を認めた者で法務省令で定める要件に該当するものについては2号(独立生計要件)に適合することを要しないとされ、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者についても入管法61条の2の14により独立生計要件は不要とされています。
ここが実務上きわめて重要です。日本人の配偶者が永住申請する場合、条文上は素行善良要件そのものは適用されません。しかし、後で述べるとおり、罰金刑や公租公課の不払いは国益要件の中で評価されるため、「配偶者だから交通違反や税金の滞納は一切見られない」ということにはなりません。ただし書で外れるのは1号と2号であって、条文本文の国益要件は誰に対しても適用されるからです。
ガイドラインが示す素行善良要件の内容
出入国在留管理庁が公表している「永住許可に関するガイドライン」(令和8年〈2026年〉2月24日改訂)は、素行善良要件について「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」と定義しています。抽象的な表現ですが、令和8年8月4日に意見公募が開始された改定案(e-Govパブリック・コメント案件番号315000140、受付締切は令和8年9月4日0時0分)では、ここに具体例が加えられました。
改定案第2の3は、素行善良要件について同じ定義を掲げたうえで、「例えば、申請者が、日常生活又は社会生活において、違法行為や迷惑行為を繰り返し行っていたと認められるような場合には、この要件に適合しないと評価されます」と記載しています。「繰り返し」という反復性が素行善良要件の中核に据えられている点が読み取れます。なお、この改定案に対する意見公募の受付は令和8年9月4日0時0分をもって終了していますが、本記事執筆時点で改定後のガイドラインは確定・公表されていません。以下に引用するのは、あくまで改定案の記載です(改定案第6は、改定を原則として令和9年〈2027年〉4月1日以降の申請から適用するとしています)。改定案の全体像については、当ブログの永住許可ガイドライン改定案を原文で全条項解説|年収・年金・日本語B1・配偶者5年3年と適用時期【2026年8月パブコメ開始】で条文ごとに扱っています。
罰金刑・納税・年金は「素行要件」ではなく国益要件に置かれている
現行のガイドラインを丁寧に読むと、罰金刑や公的義務の話は素行善良要件(1)ではなく、国益適合要件(3)の中に置かれています。具体的には、(3)のイが「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること」と定めています。
さらに同ガイドラインには、「公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます」という注記が付されています。申請前にまとめて払っても、当初の期限を過ぎていた事実そのものが消極評価の対象になるという、実務上きわめて重い一文です。
改定案では国益要件の考慮要素が細かく項目立てされている
令和8年8月4日公表の改定案は、要件と特例を簡潔に列挙するにとどまる現行ガイドラインから、13ページ・6章構成の文書へと大幅に拡張されており、国益要件の内部が細かく項目立てされています。本記事のテーマに関係する部分だけを抜き出すと、次のような構造になっています。
第2の5(2)「法に規定する義務の遵守」では、住居地届出等の各種届出義務や在留カードの再交付等に関する義務(法19条の7から19条の16まで)、在留カードの常時携帯義務・提示義務(法23条)、在留資格で認められた活動以外の活動をしない・させない義務(法19条、73条、73条の2)などが挙げられ、これらが遵守されていない場合には消極評価をするとされています。そのうえで「申請時点で現に義務違反の状態にある場合のみならず、過去の義務違反が判明した場合についても、原則として消極評価をします」と明記されています。
第2の5(3)「公租公課の支払」では、「公租」は所得税、住民税、法人税、固定資産税等の租税全般、「公課」は租税以外の負担金(公的医療保険、公的年金等)とされ、これらを適切に支払っていない場合には消極評価をするとされています。そして「申請時点において公租公課の未納がなかったとしても、過去に滞納処分を受けたことがあるなど、過去において適切に支払っていない状況が認められる場合も、原則として消極評価をします」とされ、この考慮要素は原則として同一生計世帯単位で審査すると書かれています。
第2の5(4)「刑罰法令違反」では、「過去に拘禁刑(懲役、禁錮を含む。)や罰金刑を受けた者、少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号若しくは第3号、第64条第1項第1号、第2号若しくは第3号)を受けている者は、原則として消極評価をします」とされています。
整理すると、反復的な違法行為・迷惑行為は素行善良要件、確定した刑罰・税金や保険料の不払い・入管法上の義務違反は国益要件という配置です。世間で「素行要件」と一括りに呼ばれているものは、正確にはこの両方をまたいでいます。呼び名の問題にすぎないと思われるかもしれませんが、日本人の配偶者や永住者の子が申請する場合、素行善良要件は外れても国益要件は外れないため、この区別を理解しているかどうかで準備の内容が変わります。
交通違反はどこから永住審査に影響するのか
交通違反が永住審査に与える影響を考えるとき、最初に押さえるべきはその違反が刑事手続に進んだかどうかです。日本の道路交通法には交通反則通告制度があり、多くの軽微な違反はこの制度で処理されて刑事手続に移行しません。
反則金を納めれば公訴は提起されない
道路交通法125条1項は、「反則行為」を、道路交通法の罪に当たる行為のうち同法別表第二の上欄に掲げるものであって、車両等の運転者がしたものと定義しています。警察官が反則者と認めるときは126条により告知書(いわゆる青切符)を交付し、127条により警察本部長が反則金の納付を通告します。
そして128条2項は、反則金を納付した者は「当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない」と定めています。また130条本文は、反則者は反則金納付の通告を受け、納付期間が経過した後でなければ公訴を提起されない旨を定めています。つまり、青切符で反則金を納付した違反は、起訴も裁判もされず、罰金刑にはなりません。したがって前科にもなりません。速度超過(一般道で30km/h未満、高速道路で40km/h未満の範囲)、駐停車違反、一時不停止、信号無視、携帯電話使用などの多くが、通常はこの枠内で処理されます。
反則金で処理されないケース
道路交通法125条2項は、反則行為をしても「反則者」に当たらない者を列挙しています。具体的には、(1)当該反則行為に係る車両等に関し運転免許を受けていない者(免許の効力が停止されている者を含む)又は免許の種類等により当該自動車を運転できないこととされている者、(2)酒に酔った状態、麻薬等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態、又は政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で運転していた者、(3)当該反則行為をし、よって交通事故を起こした者、(4)16歳未満の者です。
これらに該当する場合は反則金による処理ができず、通常の刑事手続に進みます。「違反そのものは軽微でも、その違反によって事故を起こした場合には反則金では終わらない」という点は見落とされがちです。
罰金刑となりうる主な違反と法定刑
刑事手続に進んだ場合、どの程度の刑が定められているのかを条文で確認しておきます。
最高速度違反は道路交通法118条1項1号により6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金(過失の場合は同条3項により3月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)。無免許運転は117条の2の2第1項1号により3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。酒気帯び運転は同項3号により3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。酒酔い運転は117条の2第1項1号により5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。信号無視や一時不停止など119条各号に当たる行為は3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金です(反則行為に該当すれば反則金で処理されます)。
自動車損害賠償保障法5条は自賠責保険(共済)契約が締結されていない自動車を運行の用に供することを禁じており、これに違反した場合は同法86条の3第1項1号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。人身事故を起こした場合の過失運転致死傷は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条により7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(傷害が軽いときは情状により刑を免除することができる)と定められています。
反則金で済んだ違反も無関係ではない
反則金の納付で終わった違反は罰金刑ではないため、国益要件の「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」には直接引っかかりません。しかし、素行善良要件は「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」であり、改定案は「違法行為や迷惑行為を繰り返し行っていたと認められるような場合」を不適合の例として挙げています。反則金で処理された違反であっても、短期間に何度も繰り返していれば、素行善良要件の側で評価される余地があります。
また、道路交通法上の点数制度による免許停止・免許取消しといった行政処分の履歴も、違反の反復性を示す事実として説明を求められることがあります。出入国在留管理庁の提出書類ページには「申請いただいた後に、当局における審査の過程において、本ページ記載外の資料を求める場合もあります」と明記されており、審査官が追加資料を求めうる幅は広く取られています。実務では、違反歴がある場合に自動車安全運転センターの運転記録証明書を任意に添付し、いつ・どの程度の違反があったのか、その後どう改善したのかを理由書で説明する対応をとることがあります。
罰金刑や保護処分を受けた場合の評価と「何年待てばよいか」
相談で最も多い質問が、「過去に罰金刑を受けたが、何年経てば永住申請できるのか」というものです。この点について、公表資料から言えることと言えないことを分けて整理します。
刑法上の「刑の消滅」
刑法34条の2第1項は、拘禁刑以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは刑の言渡しは効力を失う、罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときも同様と定めています。また刑法27条1項は、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過したときは刑の言渡しは効力を失うと定めています。
なお、令和7年(2025年)6月1日に施行された刑法改正により、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されています。現行ガイドラインの表記も「罰金刑や拘禁刑など」となっており、改定案は「拘禁刑(懲役、禁錮を含む。)」と括弧書きで補っています。
「〇年経てば不問」と読める公表資料は確認できない
刑法34条の2は刑の言渡しの効力に関する規定であって、永住許可の審査基準を定めたものではありません。現行ガイドラインは「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」と書くのみで期間の定めを置いておらず、改定案第2の5(4)も「過去に拘禁刑(懲役、禁錮を含む。)や罰金刑を受けた者……は、原則として消極評価をします」として、経過年数による例外を明示していません。
したがって、「罰金刑から5年経てば永住審査で不問になる」と断定できる公表資料は確認できません。実務上は刑法34条の2の期間を一つの目安として説明することがありますが、それは入管庁が公表した基準ではなく、個別事案の総合判断の結果を保証するものでもありません。永住許可の判断は法務大臣の広範な裁量に基づく総合評価であり、改定案第1の1も「その裁量権の範囲は極めて広範なもの」「特に慎重な審査を行う必要があります」と述べています。
申告義務がある
永住許可申請書(別記第三十四号様式)には、13欄として「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(日本国外におけるものを含む。)」という記載欄があり、「有」の場合は具体的内容を書くことになっています。日本国外での処分も申告対象である点に注意が必要です。
また、出入国在留管理庁が公表している「永住許可申請セルフチェックシート【就労関係の在留資格の方】」には、「過去に、日本の法令に違反して罰金刑・懲役刑・禁固刑を受けたことがない。」という設問が置かれています。同シートには「一つでも『いいえ(No)』に該当した場合、永住許可申請は『不許可』となる可能性が高くなります」「(『いいえ(No)』が一つもなかったとしても、永住許可申請の『許可』を約束するものではありません。)」と注記されています。
なお、改定案は少年法による保護処分(少年法24条1項1号若しくは3号、64条1項1号、2号若しくは3号)を受けている者についても原則として消極評価するとしています。刑事事件の弁護や量刑そのものに関わる事柄は弁護士の業務範囲であり、個別の刑事手続については弁護士にご相談ください。
税金の滞納・遅延納付が永住審査に与える影響
税金については、「未納がないこと」だけでなく「期限内に納めていたこと」が問われます。ここが多くの申請者にとって想定外のポイントです。
提出書類から逆算する審査の視点
就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」「技能」など)及び「家族滞在」の方の永住許可申請では、出入国在留管理庁の提出書類一覧により、直近(過去5年分)の所得及び納税状況を証明する資料が求められます。具体的には、直近5年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)に加え、「直近5年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)」です。
この2つ目の資料について、出入国在留管理庁は「遅延納付(納付期限後の納付)がないことを証明するために提出していただくものですので、領収証書等については必要な年数分を保管しておいてください」と明記しています。直近5年間の全ての期間において住民税が特別徴収(給与から天引き)されている方は、この資料は不要とされ、課税証明書・納税証明書のみで足ります。特別徴収されていない期間がある方は、その期間分について提出が必要です。
国税については、源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)を5税目すべて提出することとされています。納税証明書(その3)は証明日現在において未納がないことを証明するものであるため、対象期間の指定は不要とされています。
住民税の納期と延滞金の仕組み
地方税法320条は、普通徴収の方法によって徴収する個人の市町村民税の納期を、6月、8月、10月及び1月中において当該市町村の条例で定めると規定しています(税額が均等割額に相当する金額以下である場合は6月中)。特別の事情がある場合はこれと異なる納期を定めることができるとされているため、実際の納期は市区町村の条例により確認が必要です。
納期限後に納付した場合には、地方税法326条により延滞金が課されます。延滞金が発生していれば、それ自体が「適正な時期に納めていなかった」ことの記録として残ります。金額の多寡ではなく、期限を過ぎた事実が消極評価につながりうるという構造を理解しておく必要があります。
個々の税額の計算、申告書の書き方、納付方法の選択、過年度分の取扱いといった税務に関する具体的な事項は税理士の業務範囲です。個別の税務については必ず税理士にご確認ください。行政書士法人Treeでは、永住許可申請という在留手続の側から、どの証明書をどの年分について取得すべきかの整理をお手伝いします。
永住申請における所得・納税関係の証明書については、当ブログの永住申請の所得証明書類|住民税課税証明書・納税証明書・独立生計要件(日本人配偶者は適用除外)もあわせてご覧ください。
年金・公的医療保険の未納と「適正な時期の納付」
公的年金と公的医療保険の保険料は、令和元年(2019年)7月以降、永住許可申請の提出書類として明示的に求められています。就労関係の在留資格・「家族滞在」の方の場合、住民税が直近5年分(日本人・永住者・特別永住者の配偶者は直近3年分)であるのに対し、年金と医療保険は直近2年間が対象です。
求められる資料
出入国在留管理庁の提出書類一覧によれば、直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料として、年金事務所発行の「被保険者記録照会回答票」「被保険者記録照会(納付Ⅰ)」及び「被保険者記録照会(納付Ⅱ)」が挙げられています。これに代えて、(ア)全期間の年金記録情報が表示されている「ねんきん定期便」、(イ)ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面、(ウ)国民年金保険料領収証書(写し)を提出することも可能とされています。
注意点として、毎年送付されるハガキ形式のねんきん定期便は全ての期間が確認できないため提出書類としては使用できないとされています。全期間分(封書)の交付申請は日本年金機構に依頼でき、申請から交付までに2か月程度を要するとされていますので、逆算した準備が必要です。
公的医療保険については、世帯全員分の健康保険被保険者証(写し)、国民健康保険被保険者証(写し)、国民健康保険料(税)納付証明書、国民健康保険料(税)領収証書(写し)などが、加入していた制度に応じて求められます。健康保険証の廃止に伴い、マイナ保険証を所持している方はマイナポータルの健康保険証情報に記載の「資格取得年月日」が確認できる画面の写し(3か月以内のもの)、所持していない方は「資格確認証」(写し)を提出することとされています。
領収証書について、出入国在留管理庁は、国民年金保険料については「納付期限後の納付がないことを証明するために提出していただくもの」、国民健康保険料(税)については「遅延納付(納付期限後の納付)がないことを証明するために提出していただくもの」と説明しています。ここでも問われているのは残高ではなく納付のタイミングです。
納期限と時効を条文で押さえる
国民年金法91条は「毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない」と定めています。厚生年金保険法83条1項も「毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない」と同じ構造です。厚生年金保険料については、同法82条2項により事業主が納付義務を負います。会社員として給与から天引きされている方が「自分は払っている」と考える根拠はここにあります。
国民年金法102条4項は、保険料その他の徴収金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは時効によって消滅すると定めています。国民健康保険法110条1項も、保険料その他の徴収金を徴収する権利について同じく2年の消滅時効を定めています。したがって、2年より前の未納分は原則として後から納めること自体ができません。永住申請で年金・医療保険の資料が直近2年間分とされている理由を入管庁は明示していませんが、この時効期間と期間が一致している点は押さえておくとよいでしょう。
免除・納付猶予・追納の位置づけ
国民年金には、所得が一定以下である場合等に申請により保険料の納付を要しないものとする制度があります。国民年金法90条(全額免除)、90条の2(一部免除)、90条の3(学生納付特例)がその根拠です。免除等の承認を受けた期間については、同法94条1項により、厚生労働大臣の承認を受けて承認の日の属する月前10年以内の期間に係る保険料を追納することができます。
ここで実務上重要なのは、「未納のまま放置する」のと「免除・猶予の申請をする」のとでは、記録上の意味がまったく異なるという点です。免除等の承認を受けた期間は、法令に基づいて「納付することを要しない」とされた期間であって、納期限を徒過した未納とは性質が違います。収入が減って支払いが難しい局面では、放置ではなく年金事務所又は市区町村の窓口に相談し、制度上の手続をとることが先決です。ただし、免除期間があることが永住審査でどのように評価されるかを明示した公表資料は確認できませんでしたので、断定は避けます。
なお、申請時に社会保険適用事業所の事業主である方は、自身の納付状況に加えて、直近2年間のうち事業主である期間について、事業所における健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)、又は日本年金機構が発行する社会保険料納入証明書若しくは社会保険料納入確認(申請)書の提出が求められます。経営者の場合は「自分の分」だけでは足りないということです。
公的医療保険料の未納と永住者の在留資格の関係については、当ブログの永住者の国民健康保険・社会保険料未納|公租公課と在留資格取消事由(改正入管法22条の4第1項第8号・2027年4月1日施行)で詳しく扱っています。
入管法上の届出義務違反も評価の対象になる
現行ガイドラインの国益適合要件は、公的義務として納税・保険料の納付と並んで「出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務」を挙げています。改定案第2の5(2)はこれをさらに具体化しています。
中長期在留者に課される主な義務
入管法19条の7第1項は、新規上陸後、住居地を定めた日から14日以内に市町村の長を経由して出入国在留管理庁長官に住居地を届け出ることを求めています。19条の9第1項は、住居地を変更したときに新住居地に移転した日から14日以内の届出を求めています。19条の10第1項は、氏名・生年月日・性別・国籍地域といった住居地以外の記載事項に変更が生じたときの14日以内の届出です。
19条の16は、所属機関等に関する届出を定めています。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」「介護」「研究」などの在留資格をもって在留する方は、契約の相手方である本邦の公私の機関の名称若しくは所在地の変更、その消滅、当該機関との契約の終了又は新たな契約の締結が生じた日から14日以内に届け出なければなりません。「家族滞在」(配偶者として活動する者)、「日本人の配偶者等」(配偶者の身分を有する者)、「永住者の配偶者等」(配偶者の身分を有する者)については、配偶者との離婚又は死別が届出事由です。
入管法23条2項は、中長期在留者に在留カードの常時携帯義務を課し、同条3項は入国審査官・入国警備官・警察官等から提示を求められたときに応じる義務を定めています。
転職時の届出については、当ブログの技人国ビザで転職したら14日以内に届出!就労資格証明書と3か月ルールもご参照ください。
届出義務違反には罰則がある
これらの義務は罰則により担保されています。入管法71条の5は、19条の7第1項又は19条の8第1項に違反して住居地を届け出なかった者、19条の9第1項に違反して新住居地を届け出なかった者、19条の10第1項・19条の15(4項を除く)・19条の16に違反した者を、20万円以下の罰金に処すると定めています。
71条の2は、19条の7第1項・19条の8第1項・19条の9第1項・19条の10第1項又は19条の16の届出に関し虚偽の届出をした者などを、1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処するとしています。在留カードの携帯義務違反は75条の3により20万円以下の罰金、提示を拒んだ場合は75条の2第2号により1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金です。
さらに、現行の入管法22条の4第1項8号・9号は、新たに中長期在留者となった者が許可を受けた日から90日以内に住居地の届出をしないこと、届け出た住居地から退去した場合に退去の日から90日以内に新住居地の届出をしないこと(いずれも正当な理由がある場合を除く)を在留資格の取消事由としています。10号は虚偽の住居地の届出です(2027年4月1日の改正法施行後、これらは10号〜12号に繰り下がり、8号・9号には後述する永住者に関する取消事由が置かれます)。住居地から退去した日(新規の場合は許可を受けた日)から90日以内に届出をしないと、正当な理由がない限り、永住者であっても在留資格取消しの対象になりうるという構造です。
改定案が「申請時点で現に義務違反の状態にある場合のみならず、過去の義務違反が判明した場合についても、原則として消極評価をします」としている以上、「今は届出済みだから問題ない」という理解では足りません。過去に14日を大きく超えて届け出た履歴がある場合は、その事情を理由書で説明する準備をしておくべきです。
永住許可を受けた後も義務は続く|2027年4月1日施行の取消事由
令和6年(2024年)の入管法等改正により、永住許可制度の適正化が行われました。改定案の注1は、入管法22条2項本文に加えられた「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」という文言について、「令和9年4月1日に施行する令和6年の入管法等改正法により追加されたもの」であり、「この文言は従前の本ガイドライン上の記載を法律上の要件として明確化したものであって、同日以前の審査においても考慮されていたもの」と説明しています。
追加される取消事由
出入国在留管理庁が公表している「永住許可制度の適正化Q&A」は、改正後の入管法22条の4第1項8号・9号について詳しく解説しています。
8号の「この法律に規定する義務を遵守せず」とは、「入管法が規定する永住者が遵守すべき義務で、退去強制事由として規定されている義務ではないが、義務の遵守が罰則により担保されているものについて、正当な理由なく履行しないこと」をいうとされています。そのうえで、「例えば、うっかり、在留カードを携帯しなかった場合や在留カードの有効期間の更新申請をしなかった場合に、在留資格を取り消すことは想定していません」と明記されています。
8号の「故意に公租公課の支払をしないこと」については、「支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないこと」をいい、「支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず、公租公課の支払をしない場合など」が想定されているとされています。他方で、「病気や失業など、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していません」とされています。
交通違反は9号の対象外だが、実刑には別の規定がある
同Q&Aは、9号に規定する刑罰法令違反について、「刑法の窃盗、詐欺、恐喝、殺人の罪などや自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の危険運転致死傷など、一定の重大な刑罰法令違反に限られており、いずれも故意犯を対象としています」と説明しています。そして「交通事故を起こして過失運転致死傷の罪で処罰された場合は、本号の対象とはなりません」「道路交通法は、取消事由として規定された刑罰法令には含まれていませんから、道路交通法違反により処罰された場合は、そもそも対象となりません」「処罰の内容も拘禁刑に処せられたことが要件となっていますから、罰金刑に処せられた場合も、対象とはなりません」と明言しています。
ただし同Q&Aは続けて、「永住者であっても、1年を超える実刑に処せられた場合は、罪名等にかかわらず、退去強制事由に該当して退去強制される場合があります」と注意を促しています。これは入管法24条4号リ(昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。ただし刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者等を除く)に対応します。また同号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法等に違反して有罪の判決を受けた者を退去強制事由としており、薬物事犯については執行猶予付きの判決であっても対象になりうる点に留意が必要です。
直ちに退去ではなく職権による在留資格変更が原則
同Q&Aは、取消事由に該当する場合であっても、「直ちに在留資格を取り消して出国させるのではなく、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権で永住者以外の在留資格への変更を許可することとしています」とし、「多くの場合、『定住者』の在留資格を付与することとなると考えています」と述べています。また、改正法附則25条に置かれた配慮規定を踏まえ、対象者の我が国への定着性や生活状況等にも十分配慮して慎重に運用するとしています。
永住者の在留資格取消しについては、当ブログの永住者の在留資格喪失リスク|2024年改正入管法22条の4の取消事由拡大と対応策でも解説しています。
審査中の変更は申告する義務がある
永住許可申請には、2021年10月1日から「了解書」の提出が必要とされています。この了解書は法務大臣宛てで、審査結果を受領するまでの間に一定の変更が生じた場合には速やかに申請先の出入国在留管理局に連絡する必要があることを了解する内容です。連絡すべき事項として、就労状況の変更(退職・転職)、家族状況の変更(離婚・別居・同居)、税金、年金保険料及び医療保険料の納付状況について申請時点から変更が生じた場合(滞納した場合等)、生活保護等の公的扶助を受けることとなった場合、刑罰法令違反により刑が確定した場合が挙げられています。
了解書には「事情の変更について連絡しないまま永住許可を受けたことが判明した場合、当該永住許可が取り消されることがあります」という注記が付されています。審査期間中に交通事故で罰金刑が確定した、住民税を滞納したといった事情が生じた場合、黙っていてよいわけではありません。
申請前にできる実務的な準備
ここまでの整理を踏まえ、申請前に手を打てることを実務の順序で並べます。
セルフチェックシートで先に自己診断する
出入国在留管理庁は「永住許可申請セルフチェックシート(就労資格用)」を公表しており、申請に際してはこのシートも提出書類と合わせて提出するよう求めています。設問は、10年在留(うち就労資格又は居住資格で5年以上)、在留期間「3年」又は「5年」が決定されていること、直近5年間の住民税の適正な時期の納税、国税の未納がないこと、直近2年間の年金保険料(国民年金及び厚生年金)の適正な時期の納付、直近2年間の医療保険料(健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療保険)の適正な時期の納付、そして過去に日本の法令に違反して罰金刑・懲役刑・禁固刑を受けたことがないことなどです。「未納や当初の納税期限を超えて納税したことがある場合は、『いいえ(No)』を選んでください」という注記も置かれています。なお、現行ガイドラインでは、在留期間「3年」を「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うのは令和9年(2027年)3月31日までとされ、同日時点で「3年」を有する方については、その在留期間内に処分を受ける場合の初回に限り同様に取り扱うとされています。
領収証書を「必要な年数分」保管する
出入国在留管理庁は、領収証書等を「必要な年数分」保管しておくよう繰り返し注意喚起しています(対象期間は、住民税が就労関係の在留資格・「家族滞在」の方で直近5年間、日本人・永住者・特別永住者の配偶者で直近3年間、年金・医療保険が直近2年間です)。Web通帳の画面の写し等(取引履歴が分かるもの)でも差し支えないとされていますが、加工等できない状態で印刷されたものに限るとされ、Excelファイル等は不可です。納付の事実そのものより、納付日を証明できる資料が残っているかどうかが実務上のボトルネックになります。
住民税は特別徴収への切替えを検討する
直近5年間の全ての期間において住民税が特別徴収(給与から天引き)されている方は、遅延納付がないことを証明する資料の提出が不要とされています。普通徴収で納付書払いをしていると、うっかり納期を過ぎるリスクと、領収証書を5年分保管し続ける負担の両方を抱えることになります。
支払いが難しいときは放置せず相談する
永住許可制度の適正化Q&Aは、「公租公課の支払についてお困りの場合は関係行政機関に御相談いただくとともに、御自身の在留資格について御心配な点がある場合にはFRESCの窓口にも御相談していただけます」とし、「単に公租公課を支払うために関係機関に相談に行ったような場合に通報を受けることは想定していません」と述べています。相談に行くこと自体が不利益に直結するわけではありません。
スケジュールから逆算する
永住許可申請の標準処理期間は出入国在留管理庁により4か月~6か月と示されています。手数料は申請時ではなく、許可されるときに収入印紙で納付します。額は申請の受付日で決まり、2026年9月30日までに受け付けられた申請は10,000円(許可が10月1日以降になっても改定前の額)、2026年10月1日以降に受け付けられた申請は200,000円です(令和8年政令第268号。永住許可申請はオンライン申請の対象外で、窓口での申請のみです)。日本で発行される証明書は全て発行日から3か月以内のものを提出する必要があり、全期間分(封書)のねんきん定期便は交付申請から交付まで2か月程度を要するとされています。証明書の有効期間と取得所要時間を突き合わせた段取りが欠かせません。
在留手数料の改定(令和8年政令第268号。2026年8月28日公布、同年10月1日施行)の内容については、当ブログの【確定】在留手数料の値上げが閣議決定|永住20万円・更新最大7万5000円【2026年10月1日施行】で扱っています。
よくある質問
駐車違反が1回だけあります。永住は不許可になりますか
反則金を納付して終わった駐車違反は、道路交通法128条2項により公訴を提起されないため罰金刑ではなく、国益要件の「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」に直接該当するものではありません。素行善良要件についても、改定案が例として挙げるのは「違法行為や迷惑行為を繰り返し行っていたと認められるような場合」です。もっとも、永住許可の判断は法務大臣の広範な裁量に基づく総合評価であり、1回の違反があるかないかだけで結論が決まるものではありません。
反則金を払ったら前科になりますか
道路交通法128条2項により、反則金を納付した者は当該行為に係る事件について公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されません。起訴も判決もないため、罰金刑としての前科は付きません。ただし、違反そのものの記録や点数は残ります。
免許停止処分を受けたことがあります
免許停止は道路交通法に基づく行政処分であって刑罰ではありません。したがって「罰金刑や拘禁刑」には当たりません。ただし、免許停止に至る点数は複数回又は重い違反の積み重ねを意味することが多く、素行善良要件の側で「違法行為を繰り返し行っていた」と評価される余地はあります。事実関係を運転記録証明書等で整理し、理由書で説明する準備をしておくとよいでしょう。
年金を過去に半年ほど滞納しましたが、いま全部払いました
ガイドラインには「申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます」という注記があります。したがって、後から完納したことで消極評価が消えるとは限りません。年金・医療保険の提出資料は直近2年間が対象ですが、改定案(令和9年4月1日以降の申請から適用するとされています)は過去に適切に支払っていない状況も原則として消極評価するとしているため、2年より前の未納であれば影響がないとは言い切れません。個別の判断は事案ごとの総合評価によります。
会社が社会保険に加入していません
厚生年金保険法82条2項により、保険料の納付義務は事業主が負います。適用事業所であるにもかかわらず加入手続がされていない場合、被保険者記録が残らず、直近2年間の納付状況を証明する資料を用意できないという問題が生じます。この場合は年金事務所に加入状況を確認し、記録の整理を先行させる必要があります。ご自身が社会保険適用事業所の事業主である場合は、事業所分の納付を証する資料も別途求められます。
配偶者や子に未納があります。私の申請に影響しますか
現行の提出書類は、申請人だけでなく「申請人を扶養する方」の所得・納税状況、そして世帯全員分の住民票や健康保険被保険者証を求めています。さらに改定案第2の5(3)は、公租公課の支払という考慮要素について「原則として同一生計世帯単位で審査を行います」と明記しています。世帯として整えるという視点が必要です。
母国での交通違反や犯罪歴は申告が必要ですか
永住許可申請書13欄は「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(日本国外におけるものを含む。)」と定めており、日本国外の処分も申告対象です。虚偽の申告は、後に判明した場合に不利益な取扱いを受けるおそれがあります。
日本人の配偶者ですが、税金や年金は見られないのですか
入管法22条2項ただし書により、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子については素行善良要件と独立生計要件への適合は不要です。しかし、条文本文の国益要件は適用されます。罰金刑・拘禁刑や公的義務の履行は現行ガイドラインの国益適合要件(3)イに置かれていますので、「配偶者だから何も見られない」ということにはなりません。配偶者の永住申請については、当ブログの日本人の配偶者等から永住申請する要件|配偶者ビザは婚姻3年・在留1年もご参照ください。
不許可になった場合、不服申立てはできますか
出入国在留管理庁の永住許可申請ページは、不服申立方法を「なし」と記載しています。行政不服審査法に基づく不服申立ての制度は用意されていないという趣旨です。実務上は、不許可理由を確認したうえで、要件を整えて再申請する対応をとることになります。
在留資格の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士が要件の確認・必要書類の作成・出入国在留管理局への申請取次までを一括してサポートします。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
永住許可の法律上の要件は、入管法22条2項1号の素行善良要件、2号の独立生計要件、そして条文本文の国益要件の3つです。世間で「素行要件」と呼ばれている論点は、実際にはこの素行善良要件と国益要件にまたがっています。ガイドライン上、罰金刑・拘禁刑や公的義務の履行は国益適合要件の側に置かれており、日本人・永住者・特別永住者の配偶者又は子であっても国益要件は外れません。
交通違反については、反則金を納付して終わったものは道路交通法128条2項により公訴が提起されず、罰金刑にはなりません。他方、無免許・免許停止中・酒気帯び・酒酔い、そしてその違反によって事故を起こした場合は同法125条2項により反則金では処理されず、刑事手続に進みます。反則金で処理された違反であっても、繰り返していれば素行善良要件の側で評価される余地があります。
税金・年金・医療保険については、「未納がないこと」だけでは足りません。ガイドラインは当初の納付期間内に履行されていない場合は原則として消極的に評価すると明記しており、提出書類でも住民税は直近5年間(日本人・永住者・特別永住者の配偶者は直近3年間)、年金・医療保険は直近2年間について「遅延納付がないこと」を証する資料が求められます。領収証書等を年数分保管しているかどうかが、実務上の分かれ目になります。
入管法上の届出義務も国益要件の一部です。住居地の届出は14日以内(19条の7、19条の9)、所属機関等に関する届出も14日以内(19条の16)で、違反には71条の5による20万円以下の罰金が定められています。さらに令和9年(2027年)4月1日施行の改正により、永住許可を受けた後に入管法上の義務を遵守しないことや、故意に公租公課を支払わないことが在留資格の取消事由に加わります。永住は取得して終わりではなく、その後の在留状況が問われ続ける資格です。
行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士が、永住許可の要件充足状況の確認、住民税・国税・年金・医療保険に関する証明書の整理、理由書をはじめとする提出書類の作成、そして出入国在留管理局への申請取次までを一貫してお手伝いしています。交通違反歴や納付の遅れがある場合は、どの資料でどのように事実関係を説明するかを申請前に検討しておくことが大切です。ご相談は何度でも無料ですので、申請の前段階からお声がけください。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


