入管・ビザ関連

国際結婚の婚姻手続|本国法・婚姻要件具備証明書・創設的届出

更新: 約26分で読めます

国際結婚の手続は、「婚姻届を出す」という一点だけを見ているとつまずきやすくなります。日本人同士の婚姻であれば、市区町村の窓口に婚姻届を提出すればそれで婚姻は成立します。ところが相手が外国籍の方である場合、そもそも「どの国の法律で婚姻の成立を判断するのか」「どの国の方式で婚姻を成立させるのか」という二つの問いを先に整理しなければ、届出が受理されないばかりか、後の在留資格申請にまで影響が及びます。

本記事では、法の適用に関する通則法が定める準拠法の考え方を出発点に、婚姻要件具備証明書の取得実務、創設的届出と報告的届出の使い分け、戸籍と氏の扱い、そして婚姻後の在留資格「日本人の配偶者等」までを、条文の根拠を示しながら実務目線で解説します。日本で先に婚姻するのか、相手方の本国で先に婚姻するのかによって必要書類も期限も変わりますので、全体像を把握したうえで段取りを組んでください。

国際結婚の手続と配偶者ビザでお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士が要件の確認・必要書類の作成・出入国在留管理局への申請取次までを一括してサポートします。ご相談は何度でも無料です。

国際結婚・配偶者ビザサポートの詳細を見る

国際結婚の手続は「準拠法」から考える

国際結婚とは、法律上は「渉外的な要素を含む婚姻」を指します。当事者の一方または双方が外国籍である場合、日本の裁判所や市区町村の戸籍窓口は、どの国の法律を適用してその婚姻の有効性を判断するかを決めなければなりません。この「どの国の法律を適用するか」を決めるルールが国際私法であり、日本では法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)がこれを定めています。

実質的成立要件と形式的成立要件(方式)を分けて考える

婚姻の成立要件は、大きく二つに分けて考えます。一つは実質的成立要件で、婚姻できる年齢に達しているか、すでに配偶者がいないか、近親者同士ではないか、といった「婚姻する資格」に関する要件です。もう一つは形式的成立要件(方式)で、届出をするのか、宗教儀式を行うのか、登録機関で登録するのかといった「どうやって婚姻を成立させるか」の手続に関する要件です。

通則法は、この二つに別々の準拠法ルールを置いています。実質的成立要件については通則法第24条第1項が「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定めています。「各当事者につき」とあるとおり、日本人側は日本法で、外国籍の相手方はその本国法で、それぞれ判断されます。一方の当事者が本国法上の要件を満たしていなければ、婚姻は成立しません。

方式は「挙行地法」が原則(通則法24条2項・3項)

方式については、通則法第24条第2項が「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による」と定めています。日本で婚姻するなら日本の方式、すなわち戸籍法に基づく婚姻届の提出によることになります。

さらに同条第3項は「前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない」と定めています。この第3項は実務上きわめて重要です。本文だけを読むと「相手方の本国の方式でもよい」と読めますが、ただし書によって、日本国内で婚姻を挙行する場合に当事者の一方が日本人であるときは、日本の方式(戸籍法による婚姻届)によらなければならないとされています。

つまり、日本人と外国籍の方が日本国内にいる状態で、相手方の在日大使館・領事館において本国の方式で婚姻の手続をとったとしても、それだけでは日本法上有効な婚姻とは扱われません。日本国内で婚姻するのであれば、市区町村への婚姻届の提出が必須になります。ここを誤解して「大使館で結婚したから日本での手続は報告だけでよい」と考えてしまうケースが実務では散見されます。

なお、当事者双方が外国籍で日本国内にいる場合は、通則法24条3項ただし書の適用がありませんので、一方の本国の方式によることも、日本の方式(市区町村への婚姻届)によることも可能です。

本国法はどう決まるか(通則法38条)

「本国法による」といっても、相手方が複数の国籍を持っている場合や無国籍の場合、あるいは州ごとに法律が異なる国の国籍を持っている場合には、そもそもどれが本国法なのかが問題になります。通則法第38条は次のように整理しています。

  • 重国籍の場合(同条第1項)……国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法、ないときは当事者に最も密接な関係がある国の法が本国法となります。ただし、国籍のうちいずれかが日本国籍であるときは、日本法が本国法となります。
  • 無国籍の場合(同条第2項)……本国法によるべき場合において当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法によります。
  • 不統一法国の場合(同条第3項)……地域により法を異にする国の国籍を有する場合は、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合は当事者に最も密接な関係がある地域の法)が本国法となります。アメリカ合衆国のように州ごとに婚姻法が異なる国では、この規定によって適用される州法を特定することになります。

反致と公序という二つの調整弁

通則法第41条は「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」という反致の規定を置いています。同条ただし書は第25条(婚姻の効力)等を除外していますが、婚姻の成立を定める第24条第1項は除外されていませんので、婚姻の実質的成立要件については反致が働く余地があります。相手方の本国の国際私法が「婚姻の成立は住所地法による」と定めており、その住所地が日本であるような場合には、結果的に日本法で判断されることになります。

また、通則法第42条は「外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない」と定めています。相手方の本国法が一夫多妻を認めている場合など、日本の公序に反する結果となる適用は排除されます。

日本法上の婚姻の実質的要件と2024年改正

日本人が当事者となる以上、日本人側については必ず日本の民法上の要件を満たす必要があります。ここは通則法24条1項によって日本法が適用される部分です。

民法が定める婚姻の要件

  • 婚姻適齢(民法第731条)……「婚姻は、十八歳にならなければ、することができない」。かつて女性は16歳とされていましたが、民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号)により男女とも18歳に統一され、2022年(令和4年)4月1日に施行されています。
  • 重婚の禁止(民法第732条)……「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」。
  • 近親者間の婚姻の禁止(民法第734条)……直系血族または三親等内の傍系血族の間では婚姻できません。ただし、養子と養方の傍系血族との間はこの限りではありません。
  • 直系姻族間の婚姻の禁止(民法第735条)……直系姻族の間では婚姻できません。姻族関係が終了した後も同様です。
  • 養親子等の間の婚姻の禁止(民法第736条)……養子等と養親等の間は、親族関係が終了した後でも婚姻できません。

削除済みの規定|再婚禁止期間と父母の同意

実務上、古い情報が残りやすい論点として再婚禁止期間があります。女性について離婚後100日間の再婚を禁じていた民法第733条は、民法等の一部を改正する法律(令和4年法律第102号)により削除され、2024年(令和6年)4月1日に施行済みです。現在の民法第733条は「削除」となっており、女性も離婚後ただちに再婚できます。国際結婚の場面でも、日本人女性側についてこの制限を前提に案内するのは誤りです。

同時に嫡出推定も見直され、民法第772条第1項後段は「女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする」として婚姻後に生まれた子を夫の子と推定し、同条第3項は「女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する」と定めています。

なお、未成年者の婚姻に父母の同意を要するとしていた民法第737条も現在は削除されていますが、こちらは上記の令和4年法律第102号ではなく、成年年齢を引き下げた平成30年法律第59号による削除で、2022年(令和4年)4月1日施行です。婚姻適齢が18歳に統一されて成年年齢と一致したため、同意の規定自体が不要になったという経緯であり、再婚禁止期間の廃止とは根拠法令も施行時期も異なります。

一方的要件と双方的要件

通則法24条1項は「各当事者につき、その本国法による」と定めていますが、要件の性質によっては相手方にも影響します。婚姻適齢のように当事者本人だけを保護する趣旨の要件は一方的要件と呼ばれ、その当事者の本国法だけで判断されます。これに対して、重婚の禁止や近親婚の禁止のように婚姻の相手方や社会秩序にも関わる要件は双方的要件と呼ばれ、双方の本国法をともに満たす必要があると解するのが一般的な整理です。

実務では、日本人側が日本法上の要件を満たすことは戸籍謄本で確認され、外国籍の方が本国法上の要件を満たすことは次に述べる婚姻要件具備証明書で確認される、という役割分担になっています。

創設的届出と報告的届出の違い

国際結婚の手続を理解するうえで、もっとも重要な区別が創設的届出報告的届出です。同じ「婚姻届」という名前でも、法的な意味がまったく異なります。

創設的届出

創設的届出とは、その届出によってはじめて婚姻が成立する届出をいいます。民法第739条第1項は「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」と定めており、日本の方式による婚姻は届出が成立要件そのものです。同条第2項は「前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない」と定めています。婚姻の成立日は、届出が受理された日になります。

報告的届出

報告的届出とは、すでに外国の方式で成立している婚姻を、日本の戸籍に反映させるための届出です。婚姻はすでに外国法上成立していますので、届出は成立要件ではなく、戸籍記載のための報告にすぎません。婚姻の成立日は、外国の方式で婚姻が成立した日となり、日本での届出日ではありません。

報告的届出には期限があります。戸籍法第41条は「外国に在る日本人が、その国の方式に従つて、届出事件に関する証書を作らせたときは、三箇月以内にその国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその証書の謄本を提出しなければならない」と定めています。実務上は、この3か月の期間内に、在外公館または本籍地の市区町村へ婚姻証書の謄本を提出することになります。

どちらを選ぶかで段取りが変わる

日本で先に婚姻するなら創設的届出、相手方の本国など外国で先に婚姻するなら報告的届出になります。どちらを選ぶかは、当事者が現在どこにいるか、相手方の本国の手続にどれくらい時間がかかるか、在留資格の申請をいつ始めたいかによって決まります。相手方が日本にいない状態で在留資格認定証明書の交付申請を急ぐのであれば、日本側で先に創設的届出を済ませて戸籍に婚姻の事実を記載させたうえで申請するという組み立てが一般的です。

日本で先に婚姻する場合(日本方式・創設的届出)

日本国内で日本人と外国籍の方が婚姻する場合は、通則法24条3項ただし書により日本の方式によることになりますので、市区町村への婚姻届の提出が必要です。

届出先

戸籍法第25条は「届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない」と定めています。日本人配偶者の本籍地または夫婦いずれかの所在地(住所地・居所地)の市区町村役場が窓口です。2024年(令和6年)3月1日に施行された戸籍法改正(令和元年法律第17号)により、本籍地以外の市区町村に届け出る場合でも、日本人側の戸籍謄本(全部事項証明書)は原則として添付不要になりました。

一般的な必要書類

  • 婚姻届(成年の証人2名の署名が必要。民法739条2項)
  • 日本人側の戸籍謄本(2024年3月1日以降は、本籍地以外の市区町村に届け出る場合も原則添付不要。求められるかは届出先の市区町村に確認)
  • 外国籍の方の婚姻要件具備証明書と日本語訳文
  • 外国籍の方の国籍を証する書面(旅券など)と日本語訳文
  • 市区町村によっては、外国籍の方の出生証明書などとその日本語訳文
  • 窓口に出頭した方の本人確認資料

外国語で作成された書面には、必ず日本語訳文を添付します。訳文には翻訳者の氏名を記載する必要があります。翻訳者は当事者本人でも差し支えないとされるのが一般的な取扱いですが、市区町村によって運用に幅がありますので、事前に窓口へ確認してください。

本人確認(戸籍法27条の2)

婚姻届は、届出によって効力を生ずる届出(創設的届出)ですので、戸籍法第27条の2第1項により、市町村長は窓口に出頭した者に対し、その者が届出事件の本人であるかどうかを確認するため、運転免許証その他の資料の提供または説明を求めるものとされています。偽装婚姻や第三者による無断届出を防ぐための規定です。窓口には運転免許証、マイナンバーカード、旅券などを持参してください。

市区町村長の審査と「受理伺い」

民法第740条は「婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条、第七百三十二条、第七百三十四条から第七百三十六条まで及び前条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない」と定めています。「その他の法令の規定」には通則法も含まれますので、市区町村長は外国籍の方の本国法上の要件充足まで確認したうえで受理の可否を判断します。

提出された書面だけでは本国法上の要件が満たされているか判断できない場合、市区町村は管轄の法務局・地方法務局に受理してよいかを照会します。これがいわゆる受理伺いです。受理伺いに回った場合、回答が出るまで数週間から数か月を要することがあり、婚姻成立日が想定より遅れる原因になります。在留期限が迫っている、あるいは在留資格認定証明書の交付申請を急ぎたいというケースでは、この期間を見込んだスケジュールを組む必要があります。

婚姻要件具備証明書とは何か|取得できない場合の実務

婚姻要件具備証明書とは、婚姻しようとする者が、その本国法上、婚姻に必要な要件を備えていることを証明する書面です。独身証明書と呼ばれることもあります。国際結婚の実務では、この一枚が揃うかどうかで手続の難易度が大きく変わります。

外国籍の方が日本で婚姻する場合

外国籍の方については、その本国の在日大使館・領事館などが発行する婚姻要件具備証明書を、日本語訳文とともに市区町村へ提出します。婚姻年齢に達していること、独身であること、日本人と婚姻することについて本国法上の障害がないことなどが記載されます。発行機関・記載事項・様式は国によって大きく異なりますので、まず相手方の本国の在日公館に取得方法を確認するのが出発点になります。

日本人が外国で婚姻する場合

逆に、日本人が外国の方式で婚姻する際には、日本人側が日本法上の婚姻要件を備えていることを証明する書面を、相手国の役所などに提出するよう求められます。この日本人側の婚姻要件具備証明書は、本籍地の市区町村役場法務局・地方法務局およびその支局、または日本の在外公館で取得できます。

法務局で請求する場合の取扱いには注意点があります。東京法務局の案内によれば、請求できるのは外国の方式で婚姻関係を成立させようとする日本国籍を有する本人に限られ、代理人による請求・受領および郵送による請求はできないとされています。必要書類は、証明書交付請求書、請求者の戸籍全部事項証明書または個人事項証明書(なるべく新しいもの)、および運転免許証・旅券・マイナンバーカードなどの本人確認資料です。請求の際には、相手方の氏名・性別・生年月日・国籍地域・婚姻挙行地を記載する必要があります。

また、提出先の国によっては市区町村役場で交付を受けた婚姻要件具備証明書では認められない場合があるとされ、東京法務局の案内では、中国については法務局・地方法務局およびその支局で発行したものでなければ認められていないとされています。どの機関が発行したものを提出先が求めているかを、事前に相手国側へ確認しておくことが重要です。

婚姻要件具備証明書が発行されない国の場合

国によっては、そもそも婚姻要件具備証明書という制度自体が存在しない場合があります。この場合、実務では次のような書面を組み合わせて、本国法上の要件を満たしていることを疎明する取扱いがとられています。

  • 本国の領事の面前で、婚姻年齢に達していること・婚姻について法律上の障害がないことを宣誓し、領事が署名した宣誓書(申述書)
  • 公証人が認証した宣誓供述書(Affidavit)
  • 本国が発行する独身証明書、家族関係登録簿、出生証明書などの公文書
  • 本国の婚姻に関する法令の該当条文の抜粋とその日本語訳

これらの書面で足りるかどうかは市区町村の判断となり、前述の受理伺いに回ることも少なくありません。何をどこまで揃えれば受理されるかは相手国と窓口によって差がありますので、書類を集め始める前に、届出予定の市区町村の戸籍担当窓口に具体的な組合せを確認しておくことを強くおすすめします。

公印確認・アポスティーユ

日本で発行された公文書を外国の官庁に提出する場合、その文書が真正であることの証明を求められることがあります。提出先の国がハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)の締約国であれば外務省のアポスティーユ、締約国でなければ外務省の公印確認を受けたうえで駐日大使館・領事館の領事認証を受ける、という流れになるのが一般的です。日本人側の婚姻要件具備証明書や戸籍謄本を相手国へ提出する場合には、この手続の要否を早めに確認してください。

外国で先に婚姻する場合(外国方式・報告的届出)

相手方の本国や第三国で先に婚姻を成立させる場合は、通則法24条2項により挙行地の方式に従うことになります。その国の法律で婚姻が成立した時点で、日本法上も婚姻は有効に成立しています。

在外公館での創設的届出ができるのは日本人同士の場合

ここで誤解が多いのが、在外公館(日本の大使館・総領事館)で婚姻届を出せるかという点です。民法第741条は「外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる」と定めています。条文が「日本人間」と明記しているとおり、在外公館における日本方式の創設的婚姻届が可能なのは、当事者双方が日本人である場合です。

日本人と外国籍の方の組合せでは、在外公館において日本方式の創設的婚姻届をすることはできない取扱いとされています。この場合は、まず滞在国の方式で婚姻を成立させ、その後に報告的届出を行うか、あるいは日本の市区町村へ創設的届出を行うことになります。

報告的届出の期限と提出先

戸籍法第40条は「外国に在る日本人は、この法律の規定に従つて、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事に届出をすることができる」と定め、同第41条が前述のとおり3か月以内の証書謄本の提出を義務づけています。提出先は、婚姻した国にある日本の在外公館、または日本人配偶者の本籍地の市区町村です。本籍地の市区町村へは郵送でも提出できるとされている自治体が多く、海外にいる間に日本の家族を通じて提出するという方法もとられています。

報告的届出の必要書類

  • 婚姻届(報告的届出の場合、証人欄の記載は不要とされるのが一般的です)
  • 外国の機関が発行した婚姻証明書の原本と日本語訳文
  • 日本人側の戸籍謄本(国内の市区町村への届出は2024年3月1日以降、在外公館への届出は2024年4月1日以降、いずれも原則添付不要。本籍地で戸籍情報が電算化されていない場合は必要)
  • 外国籍配偶者の国籍・生年月日を証する書面(旅券の写しなど)と日本語訳文
  • 市区町村によっては、外国籍配偶者の出生証明書とその日本語訳文

婚姻証明書については、発行日から3か月以内のものを求める自治体があります。海外で婚姻した後に時間が経ってから日本での届出をする場合、あらためて婚姻証明書を取り直す必要が生じることがありますので、提出予定の市区町村の要件を先に確認しておいてください。

なお、3か月の期限を過ぎてしまった場合でも、婚姻自体が無効になるわけではありません。婚姻は外国法上すでに成立していますので、期限後でも報告的届出は受理されます。ただし届出期間の経過について過料の対象となり得ますので、速やかに届け出てください。

戸籍と氏はどうなるか

国際結婚では、日本人同士の婚姻とは戸籍の扱いが大きく異なります。ここを正確に理解していないと、後で在留資格の申請書類を揃える際に混乱します。

外国人配偶者は戸籍に入らない

戸籍は日本国民について編製されるものですので、外国籍の配偶者について戸籍が作られることはありません。戸籍法第6条ただし書は「日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する」と定めています。

さらに戸籍法第16条第3項は「日本人と外国人との婚姻の届出があつたときは、その日本人について新戸籍を編製する。ただし、その者が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない」と定めています。つまり、親の戸籍に入っていた日本人が外国籍の方と婚姻すると、その日本人を筆頭者とする単独の新戸籍が編製されます。外国籍の配偶者はその戸籍に記載される「構成員」にはならず、日本人配偶者の戸籍の身分事項欄に、婚姻した事実と配偶者の氏名・生年月日・国籍が記載される形になります。

氏は当然には変わらない

日本人同士の婚姻では、民法第750条により夫婦は夫または妻の氏を称します。しかし外国籍の方との婚姻では、婚姻によって日本人側の氏が当然に変わることはありません。日本人配偶者は、婚姻後も従前の氏をそのまま称するのが原則です。

外国人配偶者の称している氏に変更したい場合には、戸籍法第107条第2項が特則を置いています。同項は「外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨及び変更しようとする氏の振り仮名を届け出ることができる」と定めています。6か月以内であれば市区町村への届出だけで氏を変更できますが、6か月を経過すると、氏の変更には戸籍法第107条第1項によりやむを得ない事由があるとして家庭裁判所の許可を得る必要が生じます。

逆に、いったん外国人配偶者の氏に変更した後、離婚・婚姻の取消し・配偶者の死亡があった場合には、戸籍法第107条第3項により、その日から3か月以内に限り家庭裁判所の許可を得ないで従前の氏に戻る届出ができます。

この6か月・3か月という期間は見落とされやすく、期間経過後に家庭裁判所の手続が必要になってしまうケースは少なくありません。氏を変更するかどうかは、婚姻届の提出時点で方針を決めておくことをおすすめします。

氏の変更届と氏名の振り仮名

なお、戸籍法の改正(令和5年法律第48号)により2025年(令和7年)5月26日から戸籍に氏名の振り仮名が記載される取扱いとなり、氏の変更届においても振り仮名を届け出ることとされています。上記の戸籍法107条2項の条文にも振り仮名に関する文言が含まれています。届出書の記載事項が従来と変わっていますので、最新の様式を市区町村窓口で確認してください。

婚姻後の在留資格「日本人の配偶者等」

婚姻手続が完了しても、それだけで外国籍の配偶者が日本に住めるようになるわけではありません。日本での同居生活を望むのであれば、在留資格の取得または変更が必要です。婚姻の成立と在留資格の許可はまったく別の判断であり、婚姻が有効に成立していても在留資格が不許可になることはあります。

在留資格の内容

出入国管理及び難民認定法の別表第二は、在留資格「日本人の配偶者等」に該当する者を「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」と定めています。日本人と法律上有効に婚姻している配偶者が、この在留資格の対象になります。

在留期間は、出入国管理及び難民認定法施行規則の別表第二により「五年、三年、一年又は六月」と定められています。初回申請では1年が付与されることが多く、婚姻期間の経過や生活の安定性に応じて3年・5年へと伸びていくのが一般的な運用です。

申請のルートは二つ

配偶者が海外にいる場合は、日本にいる配偶者などが代理人となって在留資格認定証明書交付申請を行い、交付された証明書を海外の配偶者に送り、現地の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)の発給を受けてから来日する、という流れになります。すでに配偶者が別の在留資格で日本にいる場合は、在留資格変更許可申請を行います。

短期滞在で来日中に婚姻し、そのまま「日本人の配偶者等」へ変更したいという相談は非常に多いのですが、入管法第20条第3項ただし書は「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする」と定めています。原則としていったん出国し、在留資格認定証明書のルートによることを前提に段取りを組むべきです。

主な必要書類

出入国在留管理庁が公表している「日本人の配偶者等」(配偶者の場合)の在留資格認定証明書交付申請の必要書類は、おおむね次のとおりです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書 1通
  • 写真 1葉(規格を満たすもの)
  • 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通(婚姻の事実の記載があるもの)
  • 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
  • 日本での滞在費用を証明する資料(直近1年分の住民税の課税〔又は非課税〕証明書および納税証明書 各1通。入国後間もない場合や転居等でこれらで証明できないときは、預貯金通帳の写し、雇用予定証明書など)
  • 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
  • 配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
  • 質問書 1通
  • 夫婦間の交流が確認できる資料(スナップ写真。二人で写っており容姿がはっきり確認できるもので、アプリで加工したものは不可。2〜3葉。ほかにSNSの記録や通話記録など)
  • 返信用封筒

ここで実務上のポイントになるのが質問書です。出会いの経緯、交際期間、結婚に至った経緯、コミュニケーションに使用する言語、双方の親族の認識、婚姻歴などを詳細に記載する書面で、審査官はこの記載と提出資料の整合性を丹念に確認します。記載が抽象的であったり、日付や場所の記憶が資料と食い違ったりすると、追加資料提出通知書が届いたり、不許可の原因になったりします。交際期間が短い、年齢差が大きい、共通言語が明確でない、といった事情がある場合ほど、質問書と裏づけ資料の作り込みが結果を左右します。

手数料と証明書の電子化

在留資格認定証明書交付申請には手数料はかかりません。在留資格変更許可申請および在留期間更新許可申請の手数料は、2026年9月30日までに受け付けられた申請は6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)ですが、2026年10月1日以降に受け付けられる申請は、許可された在留期間に応じて1万円〜7万5,000円(オンライン申請は1万円〜6万5,000円)になります(令和8年政令第268号、2026年10月1日施行)。たとえば10月1日以降に受け付けられた申請で在留期間1年が許可された場合は、窓口33,000円(オンライン申請27,000円)です。どちらの額になるかは許可日ではなく申請の受付日で決まり、手数料は申請時ではなく許可を受けるときに納めます。申請前に出入国在留管理庁の最新の案内を確認してください。

また、在留資格認定証明書は2023年(令和5年)3月17日から電子化されており、オンライン申請時に受領方法として電子メールを選択するか、窓口申請の場合はあらかじめ在留申請オンラインシステムで利用者登録を行い、付与された利用者IDを記載した「(窓口申請)在留資格認定証明書電子交付希望申出書」を添付して申請することで、電子メールで受け取ることができます。海外の配偶者へ紙の証明書を国際郵便で送る必要がなくなり、日数と費用を圧縮できます。

婚姻後の届出義務と注意すべきリスク

婚姻と在留資格の取得で手続が終わりというわけではありません。婚姻後にも法律上の義務があり、これを怠ると在留資格に直結する不利益が生じます。

離婚・死別時の14日以内の届出

入管法第19条の16は、中長期在留者のうち一定の在留資格を持つ者について、所定の事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁長官へ届け出ることを義務づけています。同条第3号は「日本人の配偶者等(日本人の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)」について「配偶者との離婚又は死別」を届出事由として掲げています。離婚や死別があった場合には、14日以内の届出が必要です。

6か月ルール(在留資格の取消し)

入管法第22条の4第1項第7号は、「日本人の配偶者等」の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者に係るものに限る)をもって在留する者が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していることを、在留資格の取消事由として定めています。ただし「当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合」は除かれます。

離婚が成立していなくても、実質的な婚姻生活が6か月以上失われている状態が続けば取消しの対象になり得るという点が重要です。もっとも、配偶者からの暴力を避けるための別居、単身赴任、病気療養、離婚調停中であるなど、別居に合理的な事情があれば「正当な理由」として考慮され得ます。

なお、入管法第22条の5は、第22条の4第1項第7号に該当する事実が判明したことにより在留資格を取り消そうとする場合には、法務大臣は在留資格の変更の申請または永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならないと定めています。婚姻関係が破綻した場合でも、日本人との間に子がいて監護養育しているなどの事情があれば「定住者」への変更が検討されることがあります。

偽装婚姻のリスク

在留資格の取得だけを目的とした婚姻届の提出は、刑法第157条第1項の公正証書原本不実記載等罪に該当し得ます。同項は「公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」と定めています。同条第3項により未遂も処罰されます。

また、不実の記載のある文書の提出により上陸許可等を受けた場合は、入管法第22条の4第1項第3号により在留資格の取消事由となります。真摯な婚姻であるにもかかわらず疑いを持たれてしまうケースもありますので、交際の経過を示す資料を日頃から保存しておくことが、結果的に自身を守ることにつながります。

国籍は婚姻によって変わらない

日本の国籍法には、婚姻によって国籍を取得したり喪失したりする規定はありません。日本人と婚姻しても外国籍の配偶者が当然に日本国籍を取得することはなく、日本人が外国人と婚姻しても日本国籍を失うことはありません。

日本国籍の取得を希望する場合は帰化許可申請によることになりますが、日本人の配偶者については国籍法第7条が要件を緩和しています。同条は「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの」について、また「日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するもの」について、国籍法第5条第1項第1号(引き続き5年以上日本に住所を有すること)および第2号(18歳以上で本国法によって行為能力を有すること)の条件を備えないときでも帰化を許可することができると定めています。

なお、国際結婚で生まれた子が日本と外国の国籍を併有することになった場合、国籍法第14条第1項により、外国および日本の国籍を有することとなった時が18歳に達する以前であるときは20歳に達するまでに、18歳に達した後であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならないとされています。

関連記事

国際結婚の手続と配偶者ビザでお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士が要件の確認・必要書類の作成・出入国在留管理局への申請取次までを一括してサポートします。ご相談は何度でも無料です。

国際結婚・配偶者ビザサポートの詳細を見る

まとめ

国際結婚の手続は、準拠法の切り分けから考えると全体像が見えます。婚姻の実質的成立要件は法の適用に関する通則法第24条第1項により各当事者の本国法で判断され、方式は同条第2項により婚姻挙行地の法によります。同条第3項ただし書により、日本国内で婚姻を挙行し当事者の一方が日本人であるときは、日本の方式すなわち戸籍法による婚姻届が必須です。在日大使館での本国方式の手続だけでは日本法上の婚姻は成立しません。

手続のルートは創設的届出報告的届出の二つです。日本で先に婚姻するなら市区町村への創設的届出で、届出が受理された日が婚姻成立日になります。外国で先に婚姻したなら、戸籍法第41条により3か月以内に婚姻証書の謄本を在外公館または本籍地の市区町村へ提出する報告的届出となり、婚姻成立日は外国法上成立した日です。なお民法第741条が「外国に在る日本人間」と定めているとおり、在外公館での日本方式の創設的婚姻届は日本人同士の場合に限られます。

実務上の関門は婚姻要件具備証明書です。発行制度のない国では宣誓供述書や本国法令の抜粋などを組み合わせて疎明することになり、市区町村が判断できない場合は法務局への受理伺いに回って数週間から数か月を要することがあります。戸籍については、外国人配偶者は戸籍に入らず日本人配偶者の身分事項欄に記載され、氏を配偶者の氏に変更するには婚姻の日から6か月以内の届出が必要である点(戸籍法第107条第2項)にも注意してください。

婚姻の成立と在留資格の許可は別の判断です。在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間は5年・3年・1年・6月で、審査では質問書とスナップ写真をはじめとする婚姻の実体の立証が結果を大きく左右します。婚姻後も、離婚・死別があれば入管法第19条の16により14日以内の届出が必要であり、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わない状態が続けば同法第22条の4第1項第7号の取消事由に該当し得ます。

行政書士法人Treeでは、行政書士法第1条の3第1項に基づく官公署提出書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成業務として、在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の必要書類の整理と作成、質問書や理由書の作成サポートを行い、申請取次の届出をした行政書士が出入国在留管理局への申請取次まで対応しています。婚姻の成立時期と在留期限をにらんだ段取りは早めに組むほど選択肢が広がりますので、まずはご相談ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree