工場や事業場に一定の設備を設けるとき、業種と設備の組み合わせによっては水質汚濁防止法上の「特定施設」に該当し、都道府県知事等への届出が義務づけられます。届出そのものは許可ではないため軽く見られがちですが、この制度には「届出が受理された日から60日を経過した後でなければ、その施設を設置してはならない」という実施の制限(水質汚濁防止法第9条第1項)が付いています。つまり、届出が遅れればその分だけ設置工事に着手できず、工程全体が後ろにずれるということです。
建設業や不動産開発の現場では、この60日が特に重くのしかかります。生コンクリート製造業のバッチャープラント、砕石業の水洗式破砕施設、自動式車両洗浄施設のように自社設備として設ける施設だけでなく、建てる建物の側に付いてくる特定施設――処理対象人員501人以上のし尿浄化槽、ホテルや旅館のちゅう房・入浴施設、一定規模以上の飲食店のちゅう房施設など――も対象になります。設計段階で見落とすと、建物の引渡し時期そのものが動きかねません。
本記事では、水質汚濁防止法の特定施設設置届出について、対象となる施設の判断方法、60日の実施制限の正確な意味、届出の種類と期限、届出後に発生する測定・記録義務、そして公共下水道に排除する場合の下水道法との関係までを、条文に沿って実務目線で整理します。
建設業許可の取得・更新でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、要件の確認から申請書類の作成・提出代行、決算変更届や各種変更届まで対応します。ご相談は何度でも無料です。
目次
水質汚濁防止法の特定施設設置届出とは|制度の全体像
水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)は、その第1条で、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出と地下に浸透する水の浸透を規制し、公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図ることを目的として掲げています。あわせて、工場及び事業場から排出される汚水・廃液によって人の健康に係る被害が生じた場合の事業者の損害賠償責任についても定めており、これが同法第19条の無過失責任規定につながっています。
公共用水域・特定施設・特定事業場・排出水の関係
制度を理解する出発点は、第2条の定義です。用語の関係が整理できていないと、そもそも自社が規制対象なのかどうかの判断ができません。
| 用語 | 根拠 | 意味 |
|---|---|---|
| 公共用水域 | 法第2条第1項 | 河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠、かんがい用水路その他公共の用に供される水路。ただし、終末処理場を設置している公共下水道・流域下水道(その流域下水道に接続する公共下水道を含む)は除かれる |
| 特定施設 | 法第2条第2項 | 有害物質を含むこと、または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある程度の汚染状態を示す項目に関するものであること、のいずれかの要件を備える汚水又は廃液を排出する施設で、政令で定めるもの |
| 指定地域特定施設 | 法第2条第3項 | 総量規制の対象となる指定地域に設置される施設で政令が定めるもの。具体的には処理対象人員201人以上500人以下のし尿浄化槽(施行令第3条の2) |
| 特定事業場 | 法第2条第6項 | 特定施設(指定地域特定施設を含む)を設置する工場又は事業場 |
| 排出水 | 法第2条第6項 | 特定事業場から公共用水域に排出される水 |
| 有害物質使用特定施設 | 法第2条第8項 | 有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理する特定施設(指定地域特定施設を除く) |
ここで重要なのは、「特定施設を設置した時点で、その工場・事業場全体が特定事業場になる」という構造です。1つの施設が特定施設に該当すると、その敷地から公共用水域に出ていく水すべてが「排出水」として排水基準の適用を受けます。特定施設そのものから出る排水だけが規制されるわけではない、という点は現場で誤解されやすいところです。
届出制であって許可制ではない、しかし着工は止まる
特定施設の設置は、建設業許可や産業廃棄物処理施設の設置許可のような「許可」ではなく「届出」です。行政庁の許諾を得るという建て付けにはなっていません。しかし、法第9条第1項によって届出受理から60日間は施設を設置してはならないとされており、その間に都道府県知事が法第8条の計画変更命令を出すかどうかを審査します。実務的には、許可制に近い時間的拘束が働く届出制と理解しておくのが正確です。
届出先は都道府県知事、ただし政令市等では市長
法文上の届出先は都道府県知事ですが、水質汚濁防止法施行令第10条により、地方自治法上の指定都市の長、中核市の長、および市川市、松戸市、市原市、町田市、藤沢市、徳島市の長が、法第5条から第7条まで、第10条、第11条第3項、第14条第3項、第14条の2第1項から第3項までの届出の受理に関する事務を処理することとされています。法第9条第2項による期間短縮の事務もこれらの市長が行います。このほか、都道府県の条例などで届出の窓口が市に移っている地域もあります(例えば神奈川県では、平塚市・小田原市・茅ヶ崎市・厚木市・大和市も市長あての届出とされています)。事業場の所在地がどの区分に当たるかで窓口が変わるため、届出書を作り始める前に必ず所在地の自治体を確認してください。
特定施設に該当するかの判断|施行令別表第一の読み方と建設現場で登場しやすい施設
特定施設は、水質汚濁防止法施行令(昭和46年政令第188号)第1条により、同令別表第一に掲げる施設と定められています。別表第一は第1号から第74号までの番号が振られ、枝番を含めると102の号があり、このうち第25号は削除されているため、現在の区分は101です。
「業種+施設」の組み合わせで決まる
別表第一の最大の特徴は、多くの号が「○○業の用に供する施設であって、次に掲げるもの」という形式を取っている点です。つまり、同じ「洗浄施設」でも、水産食料品製造業の用に供するものは第3号ロで特定施設になりますが、まったく別の業種で使う洗浄施設は該当しない、ということが起こります。逆に、第65号の「酸又はアルカリによる表面処理施設」、第66号の「電気めっき施設」、第71号の「自動式車両洗浄施設」のように業種を問わず施設だけで該当する号もあります。
判断の手順としては、(1)自社の業種を確認する、(2)その業種が別表第一のどの号に登場するかを探す、(3)該当号に列挙されたイ・ロ・ハ等の施設と自社の設備を突き合わせる、(4)業種横断型の号(第65号、第66号、第71号、第71号の5、第71号の6など)にも該当しないか確認する、という流れになります。規模要件(面積、処理対象人員、処理能力)が付いている号も多いため、括弧書きの除外規定まで必ず読んでください。
建設・不動産の事業者が自社設備として設ける特定施設
| 別表第一の号 | 施設 |
|---|---|
| 第54号 | セメント製品製造業の用に供する抄造施設、成型機、水養生施設(蒸気養生施設を含む) |
| 第55号 | 生コンクリート製造業の用に供するバッチャープラント |
| 第59号 | 砕石業の用に供する水洗式破砕施設、水洗式分別施設 |
| 第60号 | 砂利採取業の用に供する水洗式分別施設 |
| 第65号 | 酸又はアルカリによる表面処理施設 |
| 第66号 | 電気めっき施設 |
| 第70号の2 | 自動車特定整備事業の用に供する洗車施設(屋内作業場の総面積が800平方メートル未満の事業場に係るもの及び第71号に掲げるものを除く) |
| 第71号 | 自動式車両洗浄施設 |
| 第71号の3 | 一般廃棄物処理施設(廃棄物処理法第8条第1項)である焼却施設 |
| 第71号の4 | 産業廃棄物処理施設(廃棄物処理法第15条第1項)のうち一定のもの |
| 第71号の5・第71号の6 | トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン又はジクロロメタンによる洗浄施設・蒸留施設 |
骨材・生コン・砕石を扱う事業者、重機やダンプを自社洗車機で洗う事業者、汚泥の脱水施設など第71号の4に掲げる産業廃棄物処理施設を持つ事業者は、この表のいずれかに当たる可能性があります(がれき類・木くず・廃プラスチック類の破砕施設は第71号の4に含まれません)。特に第71号の「自動式車両洗浄施設」は業種の限定がないため、建設会社が資材置場や車庫に自動洗車機を新設する場合も、その事業場から公共用水域に水を排出していれば届出義務が生じます(公共下水道に排除する場合は、後述の下水道法第12条の3の届出が必要になります)。手洗いの洗車場は「自動式」ではないため該当しませんが、この線引きの判断は自治体に確認するのが安全です。
なお、産業廃棄物処理施設については別途、廃棄物処理法上の設置許可が必要になります。詳しくは産業廃棄物処理施設の設置許可とは?廃棄物処理法第15条・施行令第7条施設・破砕5t/日超・生活環境影響調査を解説もあわせてご確認ください。
建てる建物の側に付いてくる特定施設
建設業・不動産開発の実務で見落としが多いのが、施主のために建てる建物に組み込まれる設備が特定施設に当たるケースです。
| 別表第一の号 | 施設と規模要件 |
|---|---|
| 第72号 | し尿処理施設(処理対象人員500人以下のし尿浄化槽を除く)=処理対象人員501人以上の浄化槽は特定施設 |
| 施行令第3条の2 | 指定地域に設置される処理対象人員201人以上500人以下のし尿浄化槽は「指定地域特定施設」 |
| 第66号の3 | 旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設(住宅宿泊事業に該当するもの及び下宿営業を除く) |
| 第66号の4 | 共同調理場(学校給食法第6条)に設置されるちゅう房施設(業務用部分の総床面積500平方メートル未満の事業場を除く) |
| 第66号の5 | 弁当仕出屋・弁当製造業のちゅう房施設(総床面積360平方メートル未満の事業場を除く) |
| 第66号の6 | 飲食店のちゅう房施設(総床面積420平方メートル未満の事業場を除く) |
| 第66号の7 | そば店・うどん店・すし店・喫茶店等のちゅう房施設(総床面積630平方メートル未満の事業場を除く) |
| 第66号の8 | 料亭・バー・キャバレー・ナイトクラブ等のちゅう房施設(総床面積1,500平方メートル未満の事業場を除く) |
| 第68号の2 | 病床数300以上の病院に設置されるちゅう房施設、洗浄施設、入浴施設 |
| 第67号 | 洗濯業の用に供する洗浄施設 |
大規模マンション、ホテル、社員寮、学校、病院、商業施設の新築案件では、これらの施設が同時に複数該当することも珍しくありません。浄化槽については、処理対象人員が501人以上になった瞬間に水質汚濁防止法の特定施設となり、60日の実施制限がかかる点が最重要です。浄化槽の工事業者側の登録制度については浄化槽工事業登録|浄化槽法第21条・都道府県知事登録・5年更新と浄化槽設備士の専任配置要件で整理しています。
有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設
特定施設のうち、有害物質を製造・使用・処理するものは「有害物質使用特定施設」(法第2条第8項)として、地下浸透防止の観点から上乗せの規制がかかります。有害物質は施行令第2条で28物質が定められており、カドミウム及びその化合物、シアン化合物、鉛及びその化合物、六価クロム化合物、砒素及びその化合物、水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物、ポリ塩化ビフェニル、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ベンゼン、ほう素及びその化合物、ふつ素及びその化合物、1,4-ジオキサンなどが並びます。
また、有害物質を貯蔵する指定施設のうち、そこから有害物質を含む水が地下に浸透するおそれがあるものとして政令で定めるもの(施行令第4条の4により、施行令第2条の物質を含む液状の物を貯蔵する指定施設)は「有害物質貯蔵指定施設」とされ、法第5条第3項の届出対象になります。これらは公共用水域に水を排出していなくても届出義務が生じる点が、通常の特定施設と決定的に異なります。
60日の逆算の基準は「工事着手」|法第9条の実施制限と法第8条の計画変更命令
法第9条第1項の条文を正確に読む
法第9条第1項は、法第5条の届出をした者又は法第7条の届出をした者は、その届出が受理された日から60日を経過した後でなければ、その届出に係る特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設を設置し、又はその構造、設備若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法の変更をしてはならない、と定めています。
ここで注意すべきなのは、制限されているのが「使用の開始」ではなく「設置」および「変更」だという点です。したがって、使用開始日の60日前に届け出れば足りるという理解は誤りです。設置工事の着手日を基準に逆算しなければなりません。東京都や神奈川県をはじめ多くの自治体が「工事着手の60日前まで」と案内しているのは、この条文構造を反映したものです。
60日の逆算を工程表に落とし込む
実務では、次の順序で日程を組み立てます。
- 設備の設置工事に着手する予定日を確定する
- その日から60日前を「届出が受理されていなければならない日」とする
- 受理日は提出日と一致しない場合があるため、記載不備の補正期間を見込んでさらに2〜4週間前倒しで提出する
- 設計変更が生じたら、受理済みの届出内容との差異を確認し、必要なら法第7条の変更届出を出し直す(その時点から60日が再スタートする)
設計変更のたびに60日が振り出しに戻り得るという点は、発注者・設計者・施工者の三者で共有しておくべき情報です。基本設計が固まった段階で先に届出を出し、詳細設計で変更が出たら変更届で追いかけるという進め方は、変更の内容によっては再び60日を要するため、必ずしも安全策になりません。
期間短縮の申出(法第9条第2項)
法第9条第2項は、都道府県知事は法第5条又は第7条の届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、60日の期間を短縮することができると定めています。短縮の手続は自治体によって異なります。例えば東京都では、短縮願の書類を提出する必要はなく、審査完了通知を受け取った時点で実施制限が解除されるとされています(東京都「水質汚濁防止法に基づく届出のしおり」)。短縮を希望する場合の手続は、事前相談の際に届出先へ確認してください。ただし短縮はあくまで行政庁の裁量であり、権利として請求できるものではありません。工程を短縮前提で組むのは危険です。
法第8条の計画変更命令も60日以内
法第8条第1項は、法第5条第1項・第2項の届出又は法第7条の一定の変更届出があった場合において、排出水の汚染状態が特定事業場の排水口において排水基準に適合しないと認めるとき、又は特定地下浸透水が有害物質を含むものとして環境省令で定める要件に該当すると認めるときは、その届出を受理した日から60日以内に限り、特定施設の構造・使用の方法・汚水等の処理の方法に関する計画の変更、または設置に関する計画の廃止を命ずることができると定めます。
法第8条第2項は、有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設が法第12条の4の環境省令で定める構造基準等に適合しないと認めるときの計画変更命令を定めており、こちらも受理日から60日以内に限られます。さらに、総量規制が適用される指定地域内事業場については、法第8条の2により汚濁負荷量が総量規制基準に適合しないと認めるときの措置命令が、やはり受理日から60日以内に限って可能とされています。60日という期間は、事業者を待たせるためではなく、行政庁の命令権限の行使期限として設計されていると理解すると、制度の趣旨がつかみやすくなります。
違反した場合の罰則
| 違反行為 | 根拠 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 法第8条・第8条の2等による命令違反 | 法第30条 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 排水基準に適合しない排出水の排出(法第12条第1項違反) | 法第31条第1項第1号 | 6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(過失の場合は3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金) |
| 法第5条・第7条の届出をせず、又は虚偽の届出をした | 法第32条 | 3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 法第6条の届出をせず、又は虚偽の届出をした | 法第33条第1号 | 30万円以下の罰金 |
| 法第9条第1項の実施の制限に違反した(60日を待たずに設置・変更した) | 法第33条第2号 | 30万円以下の罰金 |
| 法第14条第1項・第2項・第5項の記録義務違反 | 法第33条第3号 | 30万円以下の罰金 |
| 法第10条・第11条第3項・第14条第3項の届出をせず、又は虚偽の届出をした | 法第35条 | 10万円以下の過料 |
法第34条には両罰規定が置かれており、法人の代表者や従業者が業務に関して法第30条から第33条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人にも各本条の罰金刑が科されます。なお、懲役・禁錮は刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律により拘禁刑に一本化され、水質汚濁防止法の罰則についても2025年6月1日から拘禁刑の表記になっています。
届出の種類と提出期限の一覧|設置・変更・氏名変更・承継
水質汚濁防止法の届出は法第5条の設置届出だけではありません。届出の種類ごとに期限も罰則も異なるため、一覧で押さえておくと管理しやすくなります。
| 届出 | 根拠 | 提出時期 |
|---|---|---|
| 特定施設の設置届出(公共用水域に排出する場合) | 法第5条第1項 | 設置しようとするとき(法第9条第1項により受理から60日間は設置不可) |
| 有害物質使用特定施設の設置届出(地下浸透させる場合) | 法第5条第2項 | 同上 |
| 有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の設置届出 | 法第5条第3項 | 同上 |
| 経過措置の届出(政令改正等で既存施設が特定施設等になった場合) | 法第6条第1項・第2項 | 特定施設等になった日から30日以内 |
| 総量規制の指定地域を定める政令の施行に伴う届出 | 法第6条第3項 | 政令の施行の日から60日以内 |
| 構造等の変更届出 | 法第7条 | 変更しようとするとき(法第9条第1項により受理から60日間は変更不可) |
| 氏名・名称・住所・代表者氏名、工場等の名称・所在地の変更/使用の廃止 | 法第10条 | その日から30日以内 |
| 承継の届出(譲受け・借受け・相続・合併・分割) | 法第11条第3項 | 承継があった日から30日以内 |
| 汚濁負荷量の測定手法の届出 | 法第14条第3項 | あらかじめ(変更時も同様) |
| 事故時の届出 | 法第14条の2 | 応急措置を講じたうえで速やかに |
変更届出(法第7条)の対象になる事項
法第7条は、法第5条又は第6条の届出をした者が、法第5条第1項第4号から第9号までに掲げる事項、同条第2項第4号から第8号までに掲げる事項、又は同条第3項第3号から第6号までに掲げる事項を変更しようとするときに、変更届出を義務づけています。第5条第1項でいえば、第4号(特定施設の構造)、第5号(特定施設の設備)、第6号(特定施設の使用の方法)、第7号(汚水等の処理の方法)、第8号(排出水の汚染状態及び量)、第9号(その他環境省令で定める事項)が対象です。
一方、第1号(氏名又は名称及び住所並びに法人の代表者の氏名)と第2号(工場又は事業場の名称及び所在地)の変更は法第10条の届出であり、事後30日以内の提出で足りる代わりに、60日の実施制限はかかりません。変更の内容によって「事前届出+60日待機」か「事後30日以内」かが分かれるという点は、社内マニュアルに明記しておく価値があります。
承継の届出(法第11条)
法第11条第1項により、法第5条又は第6条第1項・第2項の届出をした者から特定施設又は有害物質貯蔵指定施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該届出をした者の地位を承継します。第2項は相続、合併、分割の場合の承継を定めています。そして第3項により、地位を承継した者は承継があった日から30日以内に都道府県知事へ届け出なければなりません。この届出を怠ると法第35条により10万円以下の過料の対象です。
M&Aや事業譲渡の場面では、建設業許可や産業廃棄物処理業許可の承継手続に注意が向きがちですが、特定施設の承継届も同時に発生します。設備を含む事業譲渡のデューデリジェンスでは、対象事業場に特定施設があるか、届出が現況と一致しているかを必ず確認してください。建設業許可の承継は建設業法第17条の2・第17条の3の認可手続の対象で、許可取得後の各種変更届出の期限については建設業許可の変更届出|2週間・30日・4か月の提出期限と必要書類を行政書士が解説で期限を整理しています。
届出書の作成実務|様式第一・記載事項・添付資料
様式と提出部数
水質汚濁防止法施行規則第3条第4項により、法第5条第1項・第2項・第3項、第6条第1項・第2項、第7条の規定による届出は、いずれも様式第一による届出書によって行います。設置届も変更届も同じ様式を使い、表題の「特定施設(有害物質貯蔵指定施設)設置(使用、変更)届出書」および根拠条項の記載から該当しない文言を消すことで区別する構成です。法第6条第3項の届出のみ様式第二の二を用います。
提出部数は、施行規則第2条により届出書の正本にその写し1通を添えて提出することとされています。実務上は自治体が独自に部数を追加していたり、電子申請では部数の概念がなかったりするため、窓口の案内に従ってください。
法第5条第1項の記載事項
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 工場又は事業場の名称及び所在地
- 特定施設の種類
- 特定施設の構造
- 特定施設の設備(特定施設が有害物質使用特定施設に該当しない場合等は除く)
- 特定施設の使用の方法
- 汚水等の処理の方法
- 排出水の汚染状態及び量(指定地域内の工場又は事業場に係る場合は排水系統別の汚染状態及び量を含む)
- その他環境省令で定める事項
第9号の「環境省令で定める事項」は、施行規則第3条第1項により排出水に係る用水及び排水の系統とされています。特定地下浸透水に係る届出(法第5条第2項第8号)では特定地下浸透水に係る用水及び排水の系統、有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設に係る届出(法第5条第3項第6号)では有害物質に係る用水及び排水の系統または搬入及び搬出の系統が、それぞれ環境省令で定める事項です。
作成でつまずきやすいポイント
第3号「特定施設の種類」は、施行令別表第一の号番号と施設名称をそのまま転記します。自社での呼称ではなく政令の文言に合わせる必要があり、ここが合っていないと受理段階で補正を求められることがあります。
第8号「排出水の汚染状態及び量」は、様式第一の別紙で汚染状態の項目ごとに記載します。ここで届け出た項目が、そのまま法第14条第1項の測定義務の対象になります。施行規則第9条第1号は、排水基準に定められた事項のうち様式第一別紙四により届け出たものについて年1回以上の測定を求めているためです。届出時に不要な項目まで広く書くと、その後の測定コストが毎年発生し続けます。逆に必要な項目を落とすと基準遵守の裏づけが取れません。
添付資料は法令に一律の定めがなく、自治体ごとの運用によります。神奈川県の案内では工場案内図、施設配置図、構造図、生産工程図、排水経路図、処理施設の設計計算書などが例示されており、東京都でも様式に応じた別紙が細かく指定されています。事前相談の段階で添付資料リストを入手し、設計図面の作成スケジュールに組み込むのが確実です。
届出後に生じる義務|排水基準の遵守・測定・記録の保存
排水基準の遵守(法第12条)
法第12条第1項は、排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならないと定めます。排水基準は法第3条第1項に基づき「排水基準を定める省令」(昭和46年総理府令第35号)で定められ、有害物質については同令別表第一、その他の項目(生活環境項目)については別表第二が適用されます。
別表第二の生活環境項目は15項目で、水素イオン濃度、生物化学的酸素要求量、化学的酸素要求量、浮遊物質量、ノルマルヘキサン抽出物質含有量(鉱油類・動植物油脂類)、フェノール類含有量、銅含有量、亜鉛含有量、溶解性鉄含有量、溶解性マンガン含有量、クロム含有量、大腸菌数、窒素含有量、燐含有量です。重要なのは同表の備考2で、これらの排水基準は1日当たりの平均的な排出水の量が50立方メートル以上である工場又は事業場に係る排出水について適用するとされている点です。日平均排水量が50立方メートル未満なら生活環境項目の一律基準は適用されませんが、有害物質に係る別表第一の基準には量の要件がなく、量の多寡にかかわらず適用されます。
また、法第3条第3項により、都道府県は一律基準では不十分と認められる区域について、条例でより厳しい許容限度を定めることができます。いわゆる上乗せ排水基準です。一律基準だけを見て判断すると、地域によっては実際の適用基準を見誤ります。
なお、法第12条第2項は、ある施設が新たに特定施設となった際に現にその施設を設置している者について、特定施設となった日から6か月間(政令で定める施設は1年間)は排水基準を適用しないという経過措置を置いています。政令改正で自社設備が新たに特定施設になった場合の猶予期間ですが、その時点で既に特定事業場であった場合や、相当する条例の規制(罰則付き)が適用されている場合は猶予されません(同項ただし書)。
測定と記録の保存(法第14条)
法第14条第1項により、排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、汚染状態を測定し、その結果を記録し、保存しなければなりません。具体的な内容は施行規則第9条が定めています。
- 排出水の汚染状態の測定は、排水基準に定められた事項のうち様式第一別紙四により届け出たものについて1年に1回以上(温泉を利用する旅館業の一部項目は3年に1回以上)、その他のものについては必要に応じて行う
- 都道府県等が条例でより多い回数を定めたときは、その回数で行う
- 測定は排水基準の検定方法により行う
- 測定のための試料は、汚染状態が最も悪いと推定される時期及び時刻に採取する
- 測定の結果は様式第八による水質測定記録表により記録する
- 記録は、測定に伴い作成したチャートその他の資料等とともに3年間保存する
「汚染状態が最も悪いと推定される時期及び時刻に採取する」という規定は見落とされがちですが、稼働の少ない時間帯に採水して基準内の数値を並べても、法令上の測定を行ったことにはなりません。記録の不作成・虚偽記録・不保存は法第33条第3号により30万円以下の罰金の対象です。
有害物質使用特定施設等の構造基準と定期点検
法第12条の4は、有害物質使用特定施設を設置している者又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者に対し、有害物質を含む水の地下への浸透の防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準として環境省令で定める基準の遵守を義務づけています。具体的な基準は施行規則第8条の2から第8条の7までに、施設本体の床面及び周囲の構造、配管等の構造、排水溝等の構造、地下貯蔵施設の構造、使用の方法として詳細に定められています。
あわせて法第14条第5項により、これらの施設については環境省令で定めるところにより定期に点検し、結果を記録・保存しなければなりません。施行規則第9条の2の2は構造・設備の点検を別表第一の区分ごとの回数で行うこと、使用の方法に関する点検を1年に1回以上行うことを定め、点検により異常等が認められた場合には直ちに補修その他の必要な措置を講ずるものとしています。施行規則第9条の2の3は、点検を行った施設、点検年月日、点検の方法及び結果、点検を実施した者及び点検実施責任者の氏名、講じた措置の内容を記録し、点検の日から3年間保存することを求めています。
事故時の措置(法第14条の2)
特定事業場の設置者は、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質を含む水などが公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければなりません。指定施設を設置する事業場、貯油施設等を設置する事業場についても同様の規定が第2項・第3項に置かれています。応急措置を講じていないと認められるときは、法第14条の2第4項により措置命令が出され、命令違反は法第31条第1項第2号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります。
公共下水道に排除する場合|下水道法第12条の3の届出
終末処理場のある公共下水道は「公共用水域」から除かれる
水質汚濁防止法第2条第1項の「公共用水域」の定義からは、終末処理場を設置している公共下水道及び流域下水道(その流域下水道に接続する公共下水道を含む)が除外されています。したがって、排水を終末処理場のある公共下水道に流している事業場は、水質汚濁防止法上の「排出水」を出していないことになり、同法の排水基準は直接には適用されません。
しかし、それで届出が不要になるわけではありません。下水道法に基づく別系統の届出義務が発生します。また、有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設を設置する場合は、公共用水域に水を排出していなくても水質汚濁防止法第5条第3項の届出が必要です。分流式下水道の地域で雨水を雨水管から公共用水域に出している事業場は、同法第5条第1項の設置届出の対象として扱われることがあります(東京都「水質汚濁防止法に基づく届出のしおり」)。
下水道法上の「特定施設」と届出
下水道法第11条の2第2項は、水質汚濁防止法第2条第2項に規定する特定施設又はダイオキシン類対策特別措置法第12条第1項第6号に規定する水質基準対象施設を、単に「特定施設」と定義しています。そのうえで下水道法第12条の3第1項は、工場又は事業場から継続して下水を排除して公共下水道を使用する者が、当該工場又は事業場に特定施設を設置しようとするときは、公共下水道管理者に届け出なければならないと定めます。届出先が都道府県知事等ではなく、下水道を管理する市町村等である点に注意してください。
| 手続 | 根拠(下水道法) | 内容 |
|---|---|---|
| 特定施設の設置の届出 | 第12条の3第1項 | 設置しようとするとき、公共下水道管理者へ届出 |
| 既存施設が特定施設になった場合の届出 | 第12条の3第2項 | 特定施設となった日から30日以内 |
| 公共下水道の使用開始に伴う届出 | 第12条の3第3項 | 使用することとなった日から30日以内 |
| 構造等の変更の届出 | 第12条の4 | 第12条の3第1項第4号から第7号までの事項を変更しようとするとき |
| 計画変更命令 | 第12条の5 | 届出を受理した日から60日以内に限り命令可能 |
| 実施の制限 | 第12条の6第1項 | 届出が受理された日から60日を経過した後でなければ設置・変更してはならない(第2項により短縮可能) |
| 氏名の変更等の届出 | 第12条の7 | 変更・使用廃止の日から30日以内 |
| 水質の測定義務 | 第12条の12 | 特定施設の設置者は下水の水質を測定し、結果を記録 |
ご覧のとおり、下水道法にも受理から60日の実施制限が置かれています(第12条の6第1項)。水質汚濁防止法と同じ時間感覚で工程を組む必要があります。罰則も整備されており、第12条の3第1項又は第12条の4の届出をせず、又は虚偽の届出をした場合は第47条の2により3月以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金、第12条の6第1項の実施の制限に違反した場合は第49条第2号により20万円以下の罰金、第12条の5の計画変更命令に違反した場合は第45条により1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。
また、公共下水道に排除される下水についても、下水道法第12条の2第1項の政令で定める基準、および同条第3項に基づき公共下水道管理者が条例で定める基準に適合しない下水を排除してはならないとされています。これに違反すると第46条第1項第1号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(過失の場合は3月以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金)です。「下水道に流しているから水質は自由」という理解は明確な誤りです。
他法令・条例との重なり|ダイオキシン類対策特別措置法・浄化槽法・上乗せ条例
ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設
ダイオキシン類対策特別措置法にも、水質汚濁防止法と非常によく似た届出制度があります。同法第12条第1項は特定施設を設置しようとする者に都道府県知事への届出を義務づけ、第14条第1項が構造等の変更の届出を定めています。第15条は届出を受理した日から60日以内における計画変更命令を、第17条第1項は届出が受理された日から60日を経過した後でなければ設置・変更してはならない実施の制限を、それぞれ定めています(第17条第2項により短縮可能)。また第13条第1項は、既存の施設が特定施設となった場合の届出を、特定施設となった日から30日以内としています。
廃棄物焼却炉など、水質汚濁防止法とダイオキシン類対策特別措置法の双方で特定施設に該当する設備は珍しくありません。両方の60日が同時に走るのか、片方だけかを設計初期に切り分けることが、工程管理の要点になります。
浄化槽法第5条の届出(21日の制限)
浄化槽を設置し、又はその構造若しくは規模の変更をしようとする者は、浄化槽法第5条第1項により、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては市長又は区長)及び当該都道府県知事を経由して特定行政庁に届け出なければなりません。ただし、建築基準法第6条第1項の確認を申請すべきとき等はこの限りでないとされています。
この届出には、同条第2項により届出が受理された日から21日(型式認定を受けた型式に係る浄化槽は10日)以内に限って都道府県知事が勧告できるという期間が定められ、第4項でこの期間を経過した後でなければ浄化槽工事に着手してはならないとされています(内容が相当であると認める旨の通知を受けた後は着手可能)。
つまり、処理対象人員501人以上の浄化槽を設置する場合、上記ただし書に当たらず浄化槽法第5条の届出が必要なときは、浄化槽法第5条の21日と、水質汚濁防止法第5条・第9条の60日が並行して走ることになります。新築工事のように建築基準法第6条第1項の確認を申請すべきときは浄化槽法第5条の届出自体が不要となりますが、その場合でも水質汚濁防止法の60日は別途かかります。いずれにせよ工程を支配するのは長いほうの60日であり、浄化槽法の21日だけを見て日程を組むと、水質汚濁防止法第9条第1項の実施の制限に違反するおそれがあります。
条例による横出し・上乗せ規制
法第29条は、地方公共団体が条例で必要な規制を定めることを妨げないとし、次の事項を挙げています。
- 排出水について、法第2条第2項第2号に規定する項目によって示される水の汚染状態以外の水の汚染状態(有害物質によるものを除く)に関する事項
- 特定地下浸透水について、有害物質による汚染状態以外の水の汚染状態に関する事項
- 特定事業場以外の工場又は事業場から公共用水域に排出される水について、有害物質及び法第2条第2項第2号の項目によって示される水の汚染状態に関する事項
- 特定事業場以外の工場又は事業場から地下に浸透する水について、有害物質による水の汚染状態に関する事項
建設現場から発生する濁水は、施行令別表第一のいずれの号にも通常は該当しません(第1号ニの「掘削用の泥水分離施設」は鉱業又は水洗炭業の用に供するものに限られます)。しかし第3号が示すとおり、特定事業場以外の事業場からの排水も条例で規制できるため、多くの自治体が生活環境保全条例等で工事現場排水の濁水対策や届出を求めています。水質汚濁防止法だけを確認して「対象外」と結論づけるのは危険です。
大気側の同種の届出については解体工事における大気汚染防止法の届出|事前調査結果報告・特定粉じん排出等作業の手続を行政書士が解説、資材のリサイクルに関する届出については建設リサイクル法の特定建設資材廃棄物とは|対象工事・届出・分別解体・再資源化・罰則を解説、砕石業に関連する登録制度については採石業者登録(採石法第32条)|都道府県知事登録・採石業務管理者(第32条の13)・岩石採取計画認可(第33条)と関連環境法令もあわせてご確認ください。
よくある実務の落とし穴とFAQ
落とし穴1:60日を「使用開始の60日前」と誤解する
繰り返しになりますが、法第9条第1項が制限しているのは「設置」と「変更」であって「使用開始」ではありません。設置工事の着手日から逆算するのが正しい運用です。設備の据付けを先に済ませて使用開始だけ遅らせても、実施の制限違反は解消されません。
落とし穴2:政令改正で既存設備が新たに特定施設になった
施行令別表第一は過去に何度も改正されてきました。改正により既存の設備が新たに特定施設に該当することになった場合、法第6条第1項により特定施設となった日から30日以内に法第5条第1項各号等に掲げる事項を届け出なければなりません。この場合は法第9条の実施の制限は適用されず、代わりに法第12条第2項により排水基準の適用が6か月間(政令で定める施設は1年間)猶予されます(その工場・事業場が既に特定事業場であった場合などは猶予されません)。届出漏れは法第33条第1号により30万円以下の罰金の対象です。
落とし穴3:使用廃止の届出を忘れる
特定施設の使用を廃止したときは、法第10条によりその日から30日以内に届け出る必要があります。設備を撤去しただけで届出をしていないと、行政の台帳上は特定事業場のままとなり、立入検査や報告徴収(法第22条)の対象として扱われ続けます。廃止届の懈怠は法第35条により10万円以下の過料です。
落とし穴4:測定項目を広く届け出すぎる
様式第一の別紙で届け出た項目が、そのまま毎年の測定義務の範囲を決めます。実際には発生し得ない有害物質まで念のため記載してしまうと、以後、毎年の分析費用が積み上がります。逆に、想定される項目を落とすと基準遵守の立証ができません。工程から発生し得る物質を根拠を持って特定する作業が、届出書作成の核心部分です。届出は実際の汚染状態に即して行う必要があり、虚偽の届出は法第32条の罰則の対象となるため、記載する項目は自治体の事前相談で確認してください。
FAQ:届出をすれば設置してよいという「許可」がもらえますか
いいえ。特定施設の設置は届出制であり、行政庁から許可証が交付される仕組みではありません。ただし法第9条第1項の実施の制限があるため、届出受理から60日を経過するか、法第9条第2項による期間短縮を受けるまでは設置できません。自治体によっては短縮を認めた旨の通知書が交付されます。
FAQ:届出は誰の名義で出すのですか
法第5条第1項は「工場又は事業場から公共用水域に水を排出する者」が「特定施設を設置しようとするとき」に届け出るとしています。したがって、原則として特定施設を設置して事業を行う者(施主・テナント・事業運営者)の名義であり、工事を請け負う建設業者の名義ではありません。官公署に提出する届出書類を他人の依頼を受け報酬を得て業として作成することは、いかなる名目によるかを問わず、原則として行政書士・行政書士法人以外には認められていません(行政書士法第19条第1項)。届出義務者が誰か、届出書の作成を誰に依頼するかは、契約段階で明確にしておくべきです。
FAQ:一時的な工事現場の仮設設備も特定施設になりますか
施行令別表第一に掲げる施設に該当するかどうかで判断されます。仮設か常設かという区別は政令上の要件ではありません。例えば工事期間中だけ設置する生コンプラント(バッチャープラント)は第55号に該当し得ます。一方、掘削工事に伴う濁水処理設備は、第1号ニの「掘削用の泥水分離施設」が鉱業又は水洗炭業の用に供するものに限られるため、水質汚濁防止法の特定施設には通常該当せず、条例による規制の対象になることが多いといえます。
FAQ:鉱山や電気工作物、廃油処理施設の場合はどうなりますか
法第23条第1項は、鉱山保安法上の鉱山施設、電気事業法上の電気工作物、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律上の廃油処理施設である特定施設等について、法第5条から第11条まで等の規定を適用せず、それぞれの法律の相当規定によることとしています。該当する場合は届出先も手続も変わるため、施設の法的位置づけを先に確定させてください。
FAQ:測定記録はどのくらい保存すればよいですか
排出水等の測定結果の記録は、施行規則第9条第9号により、測定に伴い作成したチャートその他の資料等とともに3年間保存します。有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の定期点検の記録も、施行規則第9条の2の3第2項により点検の日から3年間保存します。
建設業許可の取得・更新でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、要件の確認から申請書類の作成・提出代行、決算変更届や各種変更届まで対応します。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
水質汚濁防止法の特定施設設置届出は、法第5条に基づく都道府県知事(政令で定める市等では市長)への届出です。届出制ではあるものの、法第9条第1項の実施の制限により届出が受理された日から60日を経過するまで施設を設置できません。制限されているのは「設置」と「変更」であって「使用開始」ではないため、逆算の基準は工事着手日である点を取り違えないでください。
該当性の判断は、施行令別表第一(第1号から第74号まで、枝番を含めて101区分)で行います。生コンクリート製造業のバッチャープラント、砕石業の水洗式破砕施設、自動式車両洗浄施設といった自社設備だけでなく、処理対象人員501人以上のし尿浄化槽、旅館業のちゅう房・入浴施設、一定規模以上の飲食店ちゅう房施設のように、建てる建物に付いてくる特定施設も見落とせません。
届出の種類は設置届だけではありません。既存施設が新たに特定施設になった場合の法第6条の届出(30日以内)、構造等の法第7条の変更届出(60日の制限あり)、氏名・所在地変更や使用廃止の法第10条の届出(30日以内)、譲受け・相続・合併等による法第11条第3項の承継届出(30日以内)を、期限とセットで管理する必要があります。
届出後は義務が続きます。法第12条第1項の排水基準遵守、法第14条第1項の測定・記録・3年間保存、有害物質使用特定施設等における法第12条の4の構造基準遵守と法第14条第5項の定期点検が継続します。生活環境項目の一律基準が日平均排水量50立方メートル以上の事業場に適用される点、都道府県の上乗せ条例がある点も確認してください。公共下水道に排除する場合は下水道法第12条の3の届出が必要で(有害物質使用特定施設等は水質汚濁防止法第5条第3項の届出も必要)、こちらにも60日の実施制限があります。
行政書士法人Treeは、官公署に提出する書類の作成と提出手続の代理を業務としています。建設業許可の新規取得・業種追加・更新、決算変更届や営業所技術者等の変更届といった建設業法上の手続について、要件確認から書類作成・提出代行までご相談を承ります。ご相談は何度でも無料ですので、許認可の全体像を整理したい段階からお気軽にお問い合わせください。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


