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特定技能の事前ガイダンス|10項目の説明事項・実施方法・時間

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特定技能1号外国人を受け入れる際に必須となる事前ガイダンスは、雇用契約の締結後・在留資格の申請前に、労働条件や入国手続などを本人が理解できる言語で説明する「義務的支援」の最初の項目です。結論として、実施方法は対面またはテレビ電話など映像と音声で相互にやり取りできる方法に限られ、メールや文書の送付だけでは認められません。所要時間は出入国在留管理庁の運用要領上、新規入国者で概ね3時間程度、すでに日本での生活に慣れた元技能実習生などでは1時間以上が一つの目安とされています。本記事では、行政書士の立場から事前ガイダンスの実施方法と実務上の注意点を整理します。

事前ガイダンスとは|義務的支援の最初のステップ

事前ガイダンスは、特定技能所属機関(受入れ企業)または登録支援機関が行う義務的支援の第一項目です。特定技能1号の在留資格は、適正な支援体制が前提となっており、支援計画に沿った義務的支援を怠ると、在留資格の申請が不許可になったり、登録支援機関の登録が取り消されたりするおそれがあります。

事前ガイダンスの目的は、外国人本人が来日後の生活や就労についての全体像を正しく理解し、安心して特定技能の活動を始められるようにすることにあります。とりわけ、聞いていた話と実際の労働条件が違うといったトラブルを未然に防ぐ意味で重要な手続です。

実施タイミング|在留資格の申請「前」に行う

事前ガイダンスは、雇用契約(特定技能雇用契約)の締結後、在留資格の申請前に実施する必要があります。具体的には次のとおりです。

  • 海外から新規入国する場合:在留資格認定証明書の交付申請のに実施
  • 日本国内で在留資格を変更する場合(元技能実習生など):在留資格変更許可申請のに実施

申請後や来日後に行うのでは要件を満たしません。スケジュールを組む際は、契約締結から申請までの間に余裕をもってガイダンスの日程を確保しておくことが実務上のポイントです。

実施方法|対面またはテレビ電話、メール・文書のみは不可

事前ガイダンスは、対面またはテレビ電話・ウェブ会議ツールなど、映像と音声で相互にやり取りできる方法で実施しなければなりません。電話(音声のみ)や、資料をメール送付・郵送するだけの方法は認められていません。海外在住の候補者が相手になることが多いため、実務ではテレビ電話やウェブ会議を活用するケースが一般的です。

本人確認が必須

実施に当たっては、相手が特定技能外国人本人であることを確認したうえで行う必要があります。テレビ電話の場合も、パスポートや本人の顔を画面で確認するなど、なりすましを防ぐ運用が求められます。

理解できる言語(母国語等)での実施

事前ガイダンスは、外国人本人が十分に理解できる言語で行わなければなりません。母国語に限られるわけではありませんが、日本語で十分に理解できない場合は、母国語や本人が習熟した言語での説明、または通訳の手配が必要です。説明後に「内容を理解した」という形式だけで済ませるのではなく、本人が実際に理解できているかを確認しながら進めることが重要です。

所要時間の目安|新規入国者は概ね3時間程度

運用要領では、説明事項を本人が十分に理解できるようにするため、新規入国者については概ね3時間程度かけて実施することが必要と考えられるとされています。一方、技能実習を良好に修了した方など、すでに日本での生活や就労を一定程度理解していると考えられる方については、時間を短縮しても差し支えないとされていますが、その場合でもトータルで1時間に満たないような実施は、適切に行ったと評価されない可能性があります。

もっとも、ここでの時間はあくまで「本人が理解するために必要な時間」の目安です。時間さえかければよいというものではなく、本人が内容を理解したかどうかが本質的な要件である点に注意が必要です。下表は時間の目安を整理したものです。

対象者 所要時間の目安
海外から新規入国する方 概ね3時間程度
元技能実習生など日本での生活に慣れた方 1時間以上(1時間未満は不適切とされるおそれ)

事前ガイダンスで説明すべき10項目|義務的支援の内容

事前ガイダンスでは、少なくとも次の事項を必ず説明しなければなりません。これらは入管法令上の義務的な説明事項です。

  • 業務の内容、報酬の額、その他の労働条件(労働時間・休日・休暇などを含む)
  • 日本で従事できる活動の内容
  • 入国(または在留資格変更)に当たっての手続に関する事項
  • 保証金の徴収や財産の管理、違約金契約などが禁止されていること(本人や家族等が金銭を求められても応じないよう注意喚起)
  • 雇用契約の準備に関して外国人が支払う費用がある場合の、その額・内訳の確認
  • 支援に要する費用を外国人本人に負担させないこと
  • 入国時の送迎に関する支援の内容(海外から入国する場合)
  • 住居の確保に関する支援の内容
  • 相談・苦情の申出先と対応体制
  • 支援担当者の氏名・連絡先(メールアドレス等)

このほか、来日に当たって準備する物品、日本の気候や当面必要となる費用の目安など、説明することが望ましい事項もあわせて伝えると、来日後のミスマッチを減らすことができます。報酬や労働条件については、基本給・各種手当の内訳、計算方法、支払日・支払方法など、本人が具体的にイメージできるよう丁寧に説明することが望まれます。

確認書の作成と保管|実施した証跡を残す

事前ガイダンスを実施したら、その内容を説明し本人が理解したことを示す「事前ガイダンスの確認書」(参考様式第5-9号)を作成し、本人の署名を得ます。確認書は出入国在留管理庁が様式を公表しており、これを利用して作成するのが一般的です。

この確認書は、原則として在留資格の申請時に添付して提出する書類ではなく、特定技能所属機関または登録支援機関で適切に保管しておくべきものです。後日の調査や立入検査の際に提示を求められることがあるため、実施日・実施方法・使用言語・実施担当者などの記録とあわせて整理・保存しておくと安心です。当事務所では、こうした義務的支援が適切に行われたことを示す書類整備のサポートも行っています。

特定技能外国人の受入れでは、事前ガイダンスをはじめとする義務的支援を確実に履行することが、在留資格の許可と安定した雇用の前提となります。行政書士法人Treeでは、在留資格の各種申請書類の作成・取次に加え、登録支援機関と連携した支援体制づくりまで一貫してサポートいたします。事前ガイダンスの進め方や確認書の整備、支援計画の作成についてお悩みの事業者の方は、ぜひ特定技能ビザ・登録支援機関サポートのページからお気軽にご相談ください。ご相談は何度でも無料です。料金や具体的なご依頼内容は個別にご案内いたしますので、まずはお問い合わせください。

まとめ

事前ガイダンスは、特定技能1号の義務的支援の入口となる重要な手続です。ポイントは、(1)雇用契約後・在留資格申請前に実施すること、(2)対面またはテレビ電話など映像と音声でやり取りできる方法で行い、メール・文書のみは不可であること、(3)本人確認を行い、本人が理解できる言語で実施すること、(4)新規入国者は概ね3時間程度・元技能実習生等は1時間以上を目安とし、本人の理解を確認すること、(5)説明後は確認書(参考様式第5-9号)を作成・保管することの5点です。形式だけ整えるのではなく、外国人本人が来日後の生活と就労を正しく理解できるよう、丁寧に実施することが求められます。

事前ガイダンスに関するよくある質問

Q:事前ガイダンスは受入れ企業が必ず自社で行わなければなりませんか。

A:いいえ。事前ガイダンスを含む義務的支援は、受入れ企業(特定技能所属機関)が自ら行うほか、その全部を登録支援機関に委託することもできます。自社に支援体制が整っていない場合は、委託を活用するのが一般的です。

Q:電話やメールだけで実施してもよいですか。

A:認められません。音声のみの電話や、資料をメール送付・郵送するだけの方法は不可です。対面か、映像と音声で相互にやり取りできるテレビ電話・ウェブ会議で実施し、本人確認を行う必要があります。

Q:必ず3時間以上行わなければ違反になりますか。

A:新規入国者については、内容を十分に理解してもらうために概ね3時間程度を要すると考えられている、という目安です。元技能実習生など日本での生活に慣れた方は短縮できますが、その場合でも1時間に満たない実施は適切とは評価されない可能性があります。重要なのは時間そのものより本人が内容を理解したかであり、理解確認を伴って実施することが求められます。

Q:日本語が分かる外国人でも母国語で実施する必要がありますか。

A:本人が十分に理解できる言語で実施することが要件です。日本語に習熟している方であれば日本語で行える場合もありますが、理解が不十分なおそれがあるときは母国語や通訳での実施が必要です。

Q:確認書は入管に提出が必要ですか。保管だけでよいですか。

A:確認書(参考様式第5-9号)は、原則として在留資格の申請時に提出を求められる添付書類ではなく、実施後は特定技能所属機関または登録支援機関で保管しておくものです。立入検査などの際に提示を求められることがあるため、実施記録とあわせて適切に保存してください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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