補助金関連

飲食店の補助金・助成金2026|小規模事業者持続化補助金・省力化・デジタル化AI導入・業務改善助成金を解説

更新: 約8分で読めます

飲食店の経営では、店舗改装や販路開拓、券売機・配膳ロボットなどの省力化、キャッシュレス決済の導入、そして人材の確保と賃上げが大きな課題です。これらの取り組みには、国の補助金・助成金を活用できる場面が数多くあります。本記事では、行政書士の立場から、飲食業が2026年(令和8年)時点で使える主な制度を「販路開拓」「省力化」「キャッシュレス・IT化」「人材確保・賃上げ」の4つの目的別に整理し、上限額・補助率・要件のポイントを解説します。なお補助金の申請書類(事業計画書等)の作成は行政書士の職域ですが、雇用関係助成金は社会保険労務士、税務処理は税理士と連携してサポートする体制が必要になります。

補助金と助成金はどう違うのか

「補助金」は主に経済産業省・中小企業庁が所管し、予算と採択件数に上限があるため、申請しても審査で採択されなければ受給できません。事業計画書の質が採否を左右します。一方「助成金」は主に厚生労働省が所管し、賃上げや雇用に関する一定の要件を満たすことで支給される性格のものが多いという違いがあります。ただし助成金であっても、審査・不交付事由・予算上限・申請期間内の募集終了等があるため、最新の要領で必ず確認が必要です。飲食業ではどちらも活用余地が大きく、目的に応じて使い分けることが重要です。補助金と助成金の違いや、申請を行政書士・社会保険労務士のどちらに依頼すべきかについては補助金と助成金の違い|申請代行を行政書士と社労士のどちらに頼むべきかで詳しく解説しています。

共通して押さえておくべき最重要ルールは、原則として交付決定(または交付決定通知)の前に発注・契約・購入した費用は対象外になるという点です。「先に設備を買ってしまった」というケースは飲食店で非常に多い失敗です。必ず「申請 → 交付決定 → 発注・実施 → 実績報告 → 入金」の順序を守ってください。

販路開拓・店舗改装に:小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない飲食店にとって最も使いやすいのが小規模事業者持続化補助金(一般型)です。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が5人以下、宿泊業・娯楽業は20人以下が「小規模事業者」の対象になります。多くの個人経営の飲食店が該当します。

通常枠の補助上限は50万円、補助率は原則3分の2です。さらに、適格請求書(インボイス)発行事業者への転換等を行う「インボイス特例」で50万円、賃金引上げに取り組む「賃金引上げ特例」で150万円が上乗せされ、両方を満たすと最大250万円まで拡充されます。対象経費は店舗改装費、看板・チラシ等の広告宣伝費、ウェブサイト関連費、新メニュー開発に関わる費用など幅広く、テイクアウトやデリバリーへの参入といった販路開拓に向いています。商工会・商工会議所の支援(事業支援計画書の発行)を受けて申請する点が特徴です。公募回ごとにスケジュールや要件が変わるため、最新の公募要領を必ず確認してください。

券売機・配膳ロボットに:中小企業省力化投資補助金

人手不足が深刻な飲食業では、中小企業省力化投資補助金が有力な選択肢です。あらかじめ登録された製品から選ぶ「カタログ注文型」では、券売機・セルフレジ、配膳ロボット、自動調理機器、自動釣銭機といった省力化設備の導入を支援します。

2026年3月19日からの制度改定後の補助上限額は、従業員5人以下で500万円、6〜20人で750万円、21人以上で1,000万円が基本です。大幅な賃上げ(補助事業実施期間終了時に事業場内最低賃金を3.0%以上増加させる等)を達成する場合は、それぞれ750万円・1,000万円・1,500万円に引き上げられます。補助率は2分の1以下です。製品はカタログから選定するため一般型に比べて申請の手続が簡便な点もメリットです。なお制度改定後は2回目以降の交付申請に累計上限や追加の賃上げ要件が設けられているため、再申請を検討する際は事務局の最新情報を確認してください。

キャッシュレス・POSレジ・モバイルオーダーに:デジタル化・AI導入補助金

従来の「IT導入補助金」は、令和8年度からデジタル化・AI導入補助金へと名称が変わりました。飲食店ではPOSレジ、モバイルオーダー、セルフオーダー、予約・順番管理システム、会計・受発注ソフトなどの導入に活用できます。

通常枠の補助対象はソフトウェア、機能拡張・データ連携ツール等のオプション、導入設定・研修等の役務が中心で、補助率は原則2分の1以内です。一定の賃上げ要件を満たす事業者は3分の2以内となり、導入するソフトウェアの業務プロセス数に応じて補助額が設定されます。なおPC・タブレット・POSレジ・券売機等のハードウェアは、インボイス枠等で対象ソフトウェアの使用に資するものとして申請する場合に対象となり、ハードウェア単体での申請は認められません。なおキャッシュレス決済そのものの手数料軽減は本補助金の対象外であり、決済事業者のキャンペーン等とは性質が異なります。申請枠や要件は年度ごとに更新されるため、事務局の公式情報で最新の類型を確認してください。制度の詳細・対象ITツール・申請の流れについてはデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)申請サポートもあわせてご覧ください。

賃上げ・人材確保に:業務改善助成金・キャリアアップ助成金

飲食業は最低賃金近傍の労働者が多く、賃上げと設備投資を組み合わせる業務改善助成金と相性が良い業種です。事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行うことで助成を受けられ、令和8年度は50円・70円・90円コースに再編されています。助成率は引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満の場合は5分の4、1,050円以上の場合は4分の3で、引き上げる労働者数やコースに応じて最大600万円が助成されます。厨房機器やオーダーシステムなどの設備が対象になり得ます。コース・助成率・対象経費の詳細は業務改善助成金とは?2026年の50円・70円・90円コース・1,050円基準・対象経費を解説をご覧ください。

非正規スタッフの正社員化にはキャリアアップ助成金(正社員化コース)があります。有期雇用の従業員を正規雇用に転換した場合、重点支援対象者に該当すれば中小企業で1人あたり最大80万円(2期に分けて支給)が助成されます。これらの雇用・賃金に関する助成金は社会保険労務士の専門領域にあたるため、当事務所では提携の社会保険労務士と連携してサポートいたします。なお助成金の課税関係(益金算入の有無等)は税理士にご確認ください。

飲食店の補助対象経費・申請の流れでつまずきやすいポイント

  • 発注のタイミング:交付決定前の契約・購入は原則対象外。リフォームや厨房設備の発注時期に特に注意します。
  • 事業計画書の説得力:補助金は審査があり、誰が・何のために・どんな効果を見込むかを具体的に書けるかが採否を分けます。
  • 制度の最新性:上限額・補助率・名称(IT導入補助金→デジタル化・AI導入補助金など)は改定されるため、必ず公募要領で最新版を確認します。小規模事業者持続化補助金中小企業省力化投資補助金デジタル化・AI導入補助金業務改善助成金キャリアアップ助成金などの公式情報を確認してください。
  • 実績報告と保存:交付後も領収書・写真等の証憑保存と実績報告が必要です。

当事務所では、飲食店の事業計画書の作成支援をはじめ、補助金申請に関する書類作成を行政書士の職域内でサポートし、雇用関係助成金は社会保険労務士、税務は税理士と連携してワンストップで対応します。補助金・助成金の併用可否や、自店に最適な制度の選び方も含めてご提案します。詳しくは補助金・助成金サポートのご案内をご覧ください。補助金申請は着手金0円・完全成果報酬型(不採択時は報酬が一切かからない体系)でご依頼いただけます。料金の詳細は料金一覧をご確認ください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

飲食業が使える主な制度は、販路開拓・店舗改装なら小規模事業者持続化補助金(最大250万円)、省力化設備なら中小企業省力化投資補助金、キャッシュレス・POSレジ・モバイルオーダーならデジタル化・AI導入補助金、賃上げと設備投資なら業務改善助成金、正社員化ならキャリアアップ助成金です。いずれも交付決定前の発注は対象外という共通ルールがあり、補助金は事業計画書の質が採否を左右します。制度は毎年改定されるため、最新の公募要領を確認したうえで、自店の目的に合った制度を計画的に選ぶことが成功の近道です。

飲食業の補助金・助成金に関するよくある質問

Q:複数の補助金・助成金を同時に使えますか。

A:目的や対象経費が異なれば併用できる場合がありますが、同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることは原則できません。たとえば持続化補助金で改装、業務改善助成金で厨房設備というように対象を分ける設計が必要です。併用可否は各制度の公募要領で確認し、計画段階で整理することをおすすめします。

Q:開業前・開業直後でも申請できますか。

A:制度ごとに「事業を営んでいること」等の要件があり、開業前は対象外となる制度もあります。一方で開業後すぐに申請できる制度もあります。創業に関する別枠が用意されることもあるため、開業時期と制度の要件を照らし合わせて選定することが重要です。

Q:補助金を受け取ると税金はかかりますか。

A:補助金は原則として収益(益金)に計上され、法人税・所得税の課税対象となる場合があります。圧縮記帳などの取扱いもありますので、具体的な税務処理は税理士にご確認ください。当事務所では提携税理士と連携して対応します。

Q:採択されなかった場合、費用はどうなりますか。

A:当事務所の補助金申請サポートは着手金0円・完全成果報酬型のため、不採択の場合は報酬が発生しない体系です。詳細は料金一覧をご確認ください。ご相談は何度でも無料です。

Q:申請から入金までどのくらいかかりますか。

A:制度や公募回によって異なりますが、申請から採択発表、交付決定、事業実施、実績報告を経て入金されるまで、一般に数か月から半年以上かかることが多いです。設備の発注は必ず交付決定後に行い、資金繰りにも余裕をもって計画してください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree