建設業関連

産業廃棄物多量排出事業者の処理計画・実施状況報告|提出義務と対象基準

更新: 約32分で読めます

建設業や製造業の現場では、毎年6月が近づくと「産業廃棄物処理計画書」「産業廃棄物処理計画実施状況報告書」という書類の話が持ち上がります。前年度の産業廃棄物の発生量が一定量以上となった事業場を持つ事業者は、廃棄物処理法上の「多量排出事業者」として、これらの書類を都道府県知事等に提出する法的義務を負うためです。提出を怠ったり虚偽の記載をしたりすると20万円以下の過料の対象となるうえ、提出された内容は自治体のウェブサイトでインターネット公表されます。つまり、単なる社内書類ではなく、対外的に自社の廃棄物管理姿勢が可視化される制度でもあります。

ところが実務では「1,000トンという基準は会社全体で数えるのか、事業場ごとなのか」「建設業は現場がバラバラだがどう集計するのか」「発生量はどの時点の重量を使うのか」「計画書と実施状況報告書はどちらも6月30日期限だが、対象年度が違うのでは」といった疑問が絶えません。数字の取り方ひとつで該当・非該当が変わり、該当していたのに気づかず未提出のまま過ぎてしまうおそれもあります。

この記事では、廃棄物処理法第12条第9項から第11項、同法第12条の2第10項から第12項、施行令第6条の3・第6条の7、施行規則第8条の4の5から第8条の4の7などの条文を一次情報で確認しながら、対象基準、発生量の数え方、様式の記載事項、提出期限、公表の扱い、過料までを実務目線で整理します。

産業廃棄物収集運搬業許可の取得・更新でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、普通産廃・特別管理産廃・積替え保管ありの各区分について、要件の確認から申請書類の作成・提出代行、5年ごとの更新まで対応します。複数都道府県の同時申請にも対応し、ご相談は何度でも無料です。

産業廃棄物収集運搬業許可サポートの詳細を見る

多量排出事業者制度とは|処理計画と実施状況報告の全体像

多量排出事業者制度は、多量の産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者に対して、廃棄物の減量その他の処理に関する計画の作成・提出と、その実施状況の報告を義務づける制度です。根拠は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」といいます)第12条第9項および第10項に置かれています。

法第12条第9項は「その事業活動に伴い多量の産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者として政令で定めるもの(次項において『多量排出事業者』という。)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない」と定めます。続く第10項が「多量排出事業者は、前項の計画の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に報告しなければならない」として、実施状況報告の義務を定めています。

特別管理産業廃棄物については、法第12条の2第10項・第11項に、産業廃棄物とほぼ同じ構造の規定が置かれています。つまり、普通の産業廃棄物と特別管理産業廃棄物とで、それぞれ別建ての制度が動いているという理解が出発点になります。

制度が現在の形になるまでの経緯

環境省の「多量排出事業者による産業廃棄物処理計画及び産業廃棄物処理計画実施状況報告策定マニュアル(第3版)」(平成31年2月)によれば、この制度の原型は平成3年の法改正にさかのぼり、当時は都道府県知事が処理計画の作成を「指示できる」という仕組みでした。平成9年の改正で「減量」の視点が明確化され、平成12年の改正で、事業者自らが計画を作成・提出し実施状況を報告する現在の義務型の仕組みへ転換されています。

さらに平成22年の改正が実務上大きな意味を持ちます。同改正では、(1) 提出しなかった者等に対する20万円以下の過料が創設され、(2) それまで添付書類の様式しか定められていなかった処理計画について統一様式(規則様式第2号の8等)が定められ、(3) 公表方法が「1年間の公衆縦覧」からインターネット公表へと変更され、(4) 処理計画および実施状況報告を電子ファイルで提出することが可能とされました。現在私たちが目にする様式と運用は、この平成22年改正で固まったものです。

その後、平成29年の改正により、特別管理産業廃棄物の多量排出事業者のうち一定規模の事業者に電子マニフェストの使用が義務づけられ(令和2年4月1日施行)、これに伴って特別管理産業廃棄物処理計画の記載事項に「電子情報処理組織の使用に関する事項」が追加されています。

「計画」と「報告」は毎年6月に2枚セットで動く

実務で最初に押さえるべきは、6月30日という同じ期限に、性質の異なる2つの書類が並ぶという点です。施行規則第8条の4の5は処理計画書を「当該年度の6月30日までに」提出することを求め、施行規則第8条の4の6は実施状況報告書を「翌年度の6月30日までに」提出することにより行うと定めています。

したがって、ある年の6月に提出するのは、(1) その年度の産業廃棄物処理計画書(前年度の発生量が基準以上だったことにより当該年度に義務が生じるもの)と、(2) 前年度に提出した処理計画に対応する実施状況報告書、という2枚になります。この対応関係を取り違えて、実施状況報告書に当該年度の目標値を書いてしまわないよう注意が必要です。

対象となる事業者の基準|1,000トン・50トンと発生量の数え方

誰が多量排出事業者に当たるかは、法律ではなく政令で定められています。廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「令」といいます)第6条の3は、「法第12条第9項の政令で定める事業者は、前年度の産業廃棄物の発生量が千トン以上である事業場を設置している事業者とする」と規定します。

特別管理産業廃棄物については、令第6条の7が「法第12条の2第10項の政令で定める事業者は、前年度の特別管理産業廃棄物の発生量が五十トン以上である事業場を設置している事業者とする」と定めます。

判定は「事業場ごと」に行う

条文が「事業場を設置している事業者」という書き方をしていることからも分かるように、1,000トン・50トンという基準は会社全体の合計ではなく、事業場単位で判定します。環境省マニュアル第3版も、製造業等については「多量排出事業者に該当するかどうかは事業場ごとに判断する」と明記しています。

したがって、全社では年間3,000トンの産業廃棄物を出していても、5つの工場に分散していて各工場が600トンずつであれば、いずれの事業場も1,000トンに達しないため、産業廃棄物についての処理計画の提出義務は生じません。逆に、他の工場の発生量が少なくても、特定の1工場だけが1,000トンを超えていれば、その事業場について処理計画を作成・提出する必要があります。

産業廃棄物と特別管理産業廃棄物は別々に判定する

1,000トンの基準は特別管理産業廃棄物を除いた産業廃棄物について、50トンの基準は特別管理産業廃棄物について、それぞれ独立に判定します。環境省マニュアル第3版の用語定義でも、多量排出事業者を「産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。)の前年度の発生量が1,000トン以上又は特別管理産業廃棄物の前年度の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者」としています。

両方の基準に該当する事業場であれば、産業廃棄物処理計画書(様式第2号の8)と特別管理産業廃棄物処理計画書(様式第2号の13)の両方を提出することになります。なお、どの廃棄物が特別管理産業廃棄物に当たるか、そもそも産業廃棄物と一般廃棄物をどう切り分けるかは判定の前提になります。産業廃棄物と一般廃棄物の切り分けについては産業廃棄物と一般廃棄物の区別・違い|20種類一覧と事業系一般廃棄物の判定方法で整理しています。

中間処理業者は多量排出事業者に含まれない

環境省マニュアル第3版は、多量排出事業者に「中間処理業者(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。)は含まない」と明記しています。マニュアルは除外の理由や中間処理残さの扱いまでは示していないため、処理業と排出事業を兼ねている場合の判定は、提出先の自治体に確認するのが確実です。

処理業者としての立場と排出事業者としての立場が混在する会社では、どちらの数字を集計しているのかを明確にしておかないと、判定を誤ります。産業廃棄物処理業の許可の区分そのものについては産業廃棄物処理業の許可区分|収集運搬業・中間処分業・最終処分業の違いを解説もあわせてご確認ください。

発生量の原則は「廃棄物の処理として何らの操作も加えない時点」

該当・非該当を左右するのが「発生量」の測り方です。ここは条文だけでは読み取れず、環境省マニュアルの考え方を踏まえる必要があります。同マニュアル第3版は、発生量を「一般的には廃棄物の処理として何らの操作も加えない時点での量」と説明したうえで、次のように整理しています。

  • 生産工程の中で行われる減量操作等の工程を経て発生する場合は、その発生時点での量とする
  • 生産工程を経た後に事業場内にある施設等で廃棄物の処理としての操作を経て発生する場合は、当該廃棄物処理工程の前での量とする

つまり、「生産のための工程」を経た後の量なのか、「廃棄物処理のための工程」を経る前の量なのか、という切り分けです。

汚泥の脱水・乾燥の扱い

この考え方が典型的に問題になるのが汚泥です。脱水・乾燥の前後で重量が大きく変わるため、どちらの数字を使うかで1,000トンの境界を越えるかどうかが変わってしまいます。環境省マニュアル第3版は次のように整理しています。

  • 製品の生産工程または一連のプロセスの中に脱水・乾燥工程が組み込まれている場合は、その脱水・乾燥工程の「後」の重量とする
  • 同一敷地内に脱水・乾燥施設があり、その目的が廃棄物処理としての汚泥の脱水・乾燥ととらえられる場合は、その脱水・乾燥工程の「前」の重量とする。例えば、その脱水・乾燥施設が令第7条各号に掲げる産業廃棄物処理施設である場合はこれに当たる

自社に令第7条各号の産業廃棄物処理施設を設置している場合には、その施設を通す前の重量で集計する必要がある、という点は特に見落としやすいところです。産業廃棄物処理施設の設置許可の要否については産業廃棄物処理施設の設置許可とは?廃棄物処理法第15条・施行令第7条施設・破砕5t/日超・生活環境影響調査を解説で詳しく扱っています。

自ら再生利用した量・自ら中間処理した量も発生量に含む

環境省マニュアル第3版は、発生量を「多量排出事業者が設置する事業場において、その事業活動に伴って発生する産業廃棄物の量。当該事業場内での自ら直接再生利用した量や自ら中間処理した量等を含む」と定義しています。

社内でリサイクルに回した分や、社内で減量した分を差し引いてしまうと、発生量を過小に把握することになります。「外部に処理委託した量=発生量」ではない、というのは実務上もっとも誤りやすい論点です。委託量だけを集計すると、実際には基準以上であるのに基準未満と誤って判断するおそれがあります。

自社の別事業場で処理する場合

ある事業場から1,000トン以上の産業廃棄物が発生し、それを自社の別の事業場で処理する場合について、環境省マニュアル第3版は、当該処理に係る量は「自ら中間処理する量等」として扱い、処理計画の作成は「廃棄物を発生した事業場について行う」と整理しています。処理を担当した事業場ではなく、発生元の事業場で計画を作る、という点に注意が必要です。

処理計画等の作成単位|製造業と建設業で異なる

次に、誰の名前で、どの単位で書類を作るかという問題です。環境省マニュアル第3版は、業種の性質に応じて2つの考え方を示しています。

製造業等|事業場ごとに作成するのが基本

製造業等の場合は、事業場ごとに処理計画および実施状況報告を作成することが基本とされます。あわせて、次の2つの例外的な取扱いが示されています。

  • 同一敷地内に関連会社の事業場があり、一体的に産業廃棄物の処理を行っている場合には、処理計画等の中に関連会社の事業場から生ずる産業廃棄物の処理を含めることができる
  • 事業者が区域内に無人施設等の複数の関連施設を設置しており、それらの施設から生じる産業廃棄物を一体的に管理している場合には、それらの施設を含めて多量排出事業者に該当するかどうかを判断する。この場合、処理計画等の作成は、それら区域内の施設を管轄している支店等が行う

ここでいう「区域内」とは、環境省マニュアル第3版の用語定義によれば、都道府県知事および令第27条第1項に規定する指定都市の長等の管轄区域内を指します。

建設業等|区域内の作業所を総括する支店等ごとに作成する

建設業等の場合、現場(作業所)が都道府県内に多数分散し、しかも工事ごとに生まれては消えるため、事業場ごとの作成という発想がなじみません。そこで環境省マニュアル第3版は、「区域内の作業所(現場)を総括的に管理している支店等ごとに区域内に係る処理計画等を作成することを基本とする」とし、多量排出事業者に該当するかどうかも「区域内の作業所(現場)を合わせて判断する」としています。

つまり建設業では、同じ区域内にある各現場から出る産業廃棄物を合算し、その合計が1,000トン以上(特別管理産業廃棄物は50トン以上)であれば、その区域内の現場を総括する支店が、当該区域を管轄する都道府県知事または指定都市・中核市の長に対して処理計画を提出する、という構造になります。ここでいう区域は都道府県知事および指定都市の長等の管轄区域ですから、同じ県内であっても指定都市・中核市の区域は別区域として扱われ、提出先も書類も分かれます。

建設工事の排出事業者は元請業者

建設業でこの集計を行う前提として決定的に重要なのが、建設工事に伴い生ずる廃棄物の排出事業者が誰かという論点です。法第21条の3第1項は、建設工事が数次の請負によって行われる場合、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についての同法の規定の適用については、注文者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者(元請業者)を事業者とする、と定めています。

環境省マニュアル第3版もこの点を解説し、平成22年の法改正により、実際の施工を下請業者が行っている場合であっても元請業者を排出事業者として処理責任を負わせることとされた旨、また、従来示されてきた「元請業者が総合的に企画、調整及び指導を行っていないと認められるときは下請業者が排出事業者になる場合もある」という解釈は、同改正によりそのような場合であっても排出事業者は元請業者であることとされた旨に留意する必要があると述べています。

したがって建設業では、下請として入った現場の廃棄物は自社の発生量に算入せず、元請として受注した工事の廃棄物を集計することになります。元請の立場で負う実務上の責任については解体工事のマニフェスト交付義務|元請事業者の責任も参考になります。

当該年度に事業場が存在しない場合

環境省マニュアル第3版は、処理計画等は「当該年度に現に事業場を設置している事業者が作成する」ものとし、前年度に1,000トン以上であった事業場でも、当該年度にその事業場が撤去されて存在しない場合には、前年度の発生量にかかわらず処理計画等の作成義務は生じないとしています。

一方、支店等が複数の施設や作業所をまとめて作成する場合には、それらの一部が当該年度に撤去されて存在しないときは、その分は当該年度の処理計画には含めないものの、多量排出事業者かどうかの判断に用いる前年度の発生量には含める、という取扱いが示されています。建設業の現場は工期満了で消えるため、この二段構えの整理は押さえておく必要があります。

産業廃棄物処理計画書(様式第2号の8)の記載事項

施行規則第8条の4の5は、法第12条第9項の環境省令で定める基準を「次に掲げる事項を記載した様式第二号の八による計画書を当該年度の六月三十日までに提出すること」と定め、記載事項として次の10項目を列挙しています。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
  2. 計画期間
  3. 当該事業場において現に行つている事業に関する事項
  4. 産業廃棄物の処理に係る管理体制に関する事項
  5. 産業廃棄物の排出の抑制に関する事項
  6. 産業廃棄物の分別に関する事項
  7. 自ら行う産業廃棄物の再生利用に関する事項
  8. 自ら行う産業廃棄物の中間処理に関する事項
  9. 自ら行う産業廃棄物の埋立処分又は海洋投入処分に関する事項
  10. 産業廃棄物の処理の委託に関する事項

事業に関する事項の書き方

様式第2号の8の備考は、「当該事業場において現に行つている事業に関する事項」欄の記入方法を具体的に指示しています。事業の種類の欄には日本標準産業分類の区分を記入し、事業の規模の欄には、製造業の場合における製造品出荷額(前年度実績)、建設業の場合における元請完成工事高(前年度実績)、医療機関の場合における病床数(前年度末時点)等、業種に応じて事業規模が分かるような前年度の実績を記入することとされています。

また、産業廃棄物の一連の処理の工程の欄には、当該事業場において生ずる産業廃棄物についての発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の工程(当該処理を委託する場合は、委託の内容を含む)を記入します。処理フローを文章または図で示す欄です。

「現状(前年度実績)」と「計画(目標)」の二段構成

排出の抑制、分別、自ら行う再生利用、自ら行う中間処理、自ら行う埋立処分または海洋投入処分、処理の委託の各項目は、いずれも「①現状」と「②計画」の二段構成になっています。現状の欄には前年度実績とこれまでに実施した取組を、計画の欄には目標値と今後実施する予定の取組を記載します。

数量は産業廃棄物の種類ごとに記載し、備考により、産業廃棄物の種類が3以上あるときは前年度実績および目標の欄に「別紙のとおり」と記入して別紙を添付する扱いとされています。また、それぞれの欄に記入すべき事項がないときは「―」を記入します。

委託に関する事項の内訳が細かい

特に注意したいのが「産業廃棄物の処理の委託に関する事項」です。様式第2号の8の備考は、産業廃棄物の種類ごとに全処理委託量を記入するほか、その内数として次の4区分を記入するよう求めています。

  • 優良認定処理業者(令第6条の11第2号に該当する者)への処理委託量
  • 処理業者への再生利用委託量
  • 認定熱回収施設設置者(法第15条の3の3第1項の認定を受けた者)である処理業者への焼却処理委託量
  • 認定熱回収施設設置者以外の熱回収を行っている処理業者への焼却処理委託量

この内訳は、平成23年2月4日付けの環境省通知(環廃対発第110204005号・環廃産発第110204002号)で示された趣旨に沿ったもので、循環的利用を進める観点から、委託による減量の実態を把握できるようにしたものです。委託先が優良認定処理業者かどうか、再生利用に回っているかどうかを日頃から把握していないと、期限直前に集計できず苦労することになります。委託契約書の記載事項との整合については産業廃棄物の中間処理委託契約書|廃掃法12条6項・施行令6条の2第4号・必須記載事項・電子マニフェストもあわせてご確認ください。

目標値の立て方と単位

環境省マニュアル第3版は、「目標」の各欄について、建設業等のように受注によって大きく左右される場合も想定されるが、過去数年間の傾向や前年度の受注高をもとにして推計する等により数値を求めて記載する、としています。また、記載する数値は重量で記載することとされているため、体積や個数で把握している場合には重量に換算する必要があります。木くずを立方メートルで、廃プラスチック類を袋数で管理している現場は多く、換算方法を社内で統一しておくことが実務上の課題になります。

計画期間と提出者

計画期間の欄には、その計画が対象とする期間を記載します。単年度で作成する例が一般的ですが、環境省マニュアル第3版は「処理計画の策定に当たって複数年度にわたる計画を策定している場合においても、多量排出事業者に該当した年度の翌年度に実施状況報告をしなければならない」と述べており、複数年度の計画を策定することも想定されています。ただし、複数年度計画であっても報告を省略できるわけではありません。

提出者については、環境省マニュアル第3版が、製造業等の場合は処理計画の作成単位である事業場または支店等を管理している代表者等(工場長、工場管理者、支店長など)とすることができ、建設業等の場合は原則として処理計画の作成単位である支店等の代表者等(支店長など)とすることができる、としています。必ずしも本社の代表取締役名義でなくてもよい、ということです。

実施状況報告書(様式第2号の9)の書き方と提出期限

施行規則第8条の4の6は、「法第十二条第十項の規定による報告は、様式第二号の九による報告書を翌年度の六月三十日までに提出することにより行うものとする」と定めています。

第1面|計画期間と目標値の転記

様式第2号の9の第1面には、事業場の名称・所在地・事業の種類のほか、産業廃棄物処理計画における計画期間と、産業廃棄物処理計画に記載した目標値を項目ごとに転記します。備考も「産業廃棄物処理計画における目標値」の欄には、項目ごとに、産業廃棄物処理計画に記載した目標値を記入することと明示しています。事業の種類の欄には日本標準産業分類の区分を記入します。

ここで転記するのは、あくまで報告対象年度に対応する処理計画の目標値です。当該年度に新たに提出した計画の目標値ではありません。前年度の計画書の写しを手元に置いて作業するのが確実です。

第2面|①から⑭までの数量フロー

様式第2号の9の第2面は、産業廃棄物の種類ごとに、発生から最終処分に至る数量の流れを①から⑭の欄で記入する構成です。備考が定める各欄の意味は次のとおりです。

  • ①欄 当該事業場において生じた産業廃棄物の量
  • ②欄 ①の量のうち、中間処理をせず直接自ら再生利用した量
  • ③欄 ①の量のうち、中間処理をせず直接自ら埋立処分又は海洋投入処分した量
  • ④欄 ①の量のうち、自ら中間処理をした産業廃棄物の当該中間処理前の量
  • ⑤欄 ④の量のうち、熱回収を行った量
  • ⑥欄 自ら中間処理をした後の量
  • ⑦欄 ④の量から⑥の量を差し引いた量
  • ⑧欄 ⑥の量のうち、自ら利用し、又は他人に売却した量
  • ⑨欄 ⑥の量のうち、自ら埋立処分及び海洋投入処分した量
  • ⑩欄 中間処理及び最終処分を委託した量
  • ⑪欄 ⑩の量のうち、優良認定処理業者(令第6条の11第2号に該当する者)への処理委託量
  • ⑫欄 ⑩の量のうち、処理業者への再生利用委託量
  • ⑬欄 ⑩の量のうち、認定熱回収施設設置者(法第15条の3の3第1項の認定を受けた者)である処理業者への焼却処理委託量
  • ⑭欄 ⑩の量のうち、認定熱回収施設設置者以外の熱回収を行っている処理業者への焼却処理委託量

備考は、産業廃棄物の種類が2以上あるときは、種類ごとに第2面の例により処理計画の実施状況を明らかにした書面を作成し、添付することとしています。処理計画書が「種類が3以上のときに別紙」であるのに対し、実施状況報告書は「2以上のときに種類ごとの書面」という整理になっており、条件が異なる点に注意が必要です。

数字が合わない、というつまずき

①から⑭の関係は単純な内訳と差引きで構成されているため、社内の集計表がこの構造に対応していないと、報告書を作る段階で数字が突き合わなくなります。とりわけ、④(中間処理前の量)と⑥(中間処理後の量)と⑦(減量した量)の関係、⑩の全処理委託量と⑪から⑭までの内数の関係は、日々のマニフェスト管理や計量記録の粒度が粗いと再構成が難しくなります。年度末を待たずに、四半期ごとにこの区分で集計しておくのが実務上は安全です。

特別管理産業廃棄物の場合|様式第2号の13・第2号の14と電子マニフェスト義務

特別管理産業廃棄物の多量排出事業者については、施行規則第8条の17の2が処理計画の記載事項を、第8条の17の3が実施状況報告を定めています。

記載事項は11項目|産業廃棄物との違い

施行規則第8条の17の2は、様式第2号の13による計画書を当該年度の6月30日までに提出することとし、記載事項として、氏名等、計画期間、現に行っている事業に関する事項、管理体制、排出の抑制、分別、自ら行う再生利用、自ら行う中間処理、自ら行う埋立処分、処理の委託の10項目に加えて、第11号として「法第十二条の五第一項に規定する電子情報処理組織の使用に関する事項」を掲げています。

産業廃棄物側の様式第2号の8には海洋投入処分が含まれるのに対し、特別管理産業廃棄物側の第9号は「自ら行う特別管理産業廃棄物の埋立処分に関する事項」であり海洋投入処分を含まない点、そして電子情報処理組織に関する第11号が加わっている点が、条文上の違いです。実施状況報告書は様式第2号の14により、施行規則第8条の17の3に基づき翌年度の6月30日までに提出します。

電子マニフェストの使用義務の対象

法第12条の5第1項は、一定の事業者を「電子情報処理組織使用義務者」とし、産業廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合に、情報処理センターへの登録等を義務づけています。その対象は環境省令で具体化されています。

施行規則第8条の31の2は、法第12条の5第1項の環境省令で定める産業廃棄物を「法第二条第五項に規定する特別管理産業廃棄物(令第二条の四第五号イからハまでに掲げるものを除く。)」と定めます。括弧書きで除かれるのは、廃ポリ塩化ビフェニル等、ポリ塩化ビフェニル汚染物およびポリ塩化ビフェニル処理物です。なお、平成30年3月30日付けの環境省通知は、令第2条の4第5号ル(8)に掲げるポリ塩化ビフェニルを含む汚泥・廃酸・廃アルカリ等は除外されず、対象に含まれるとしています。

そのうえで施行規則第8条の31の3は、対象事業者を「当該年度の前々年度において産業廃棄物(前条に規定するものに限る。)の発生量が五十トン以上である事業場を設置している事業者(当該事業場から生ずる産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合に限る。)」としています。

ここでポイントになるのは、多量排出事業者の判定が「前年度」の発生量であるのに対し、電子マニフェスト使用義務の判定は「前々年度」の発生量である点です。同じ50トンという数字でも、見る年度が1年ずれます。

PCB廃棄物と普通産廃は義務の対象外

平成30年3月30日付けの環境省通知(環循適発第18033010号・環循規発第18033010号)は、電子情報処理組織使用義務者が特別管理産業廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物等を除く)以外の産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、当該産業廃棄物については電子マニフェストの使用の義務対象とならないことを明示しています。環境省マニュアル第3版も、同一の事業場から発生するものであっても、いわゆる普通産廃やPCB廃棄物の処理を委託する際は紙マニフェストの使用も可能である旨を述べています。

登録が困難な場合の例外

施行規則第8条の31の4は、情報処理センターに登録することが困難な場合として、(1) 電気通信回線の故障、天災その他やむを得ない事由により登録等が困難であると認められる場合、(2) 入出力装置が情報処理センターの電子計算機と電気通信回線で接続されている者に運搬または処分の委託をすることが困難であると認められる場合、(3) 電子情報処理組織使用義務者の常勤の役員または職員の年齢が平成31年3月31日においていずれも65歳以上である場合であって、入出力装置が接続されていない場合、の3つを定めています。

環境省マニュアル第3版は、あらかじめこれらに該当することが明らかな場合は、処理計画にその旨および理由を記載することとしています。また、義務者に該当しない事業者は、次年度について電子マニフェスト使用義務者に該当しない旨を記載します。

義務者かどうかは毎年度判定し直す

環境省マニュアル第3版は、電子マニフェスト使用義務者となるか否かは年度ごとに判断するため、いったん義務者となった事業者であっても、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン未満となった年度の翌々年度は義務対象から外れる、としています。一度該当したら永続的に義務が続くわけではありません。

提出先・提出方法・インターネット公表

条文上の提出先は「都道府県知事」ですが、実際には政令で定める市の長が処理する場合があります。

提出先は都道府県知事または指定都市・中核市の長

法第24条の2第1項は、同法の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより政令で定める市の長が行うこととすることができると定めます。これを受けて令第27条は、法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち一定の除外事務以外の事務は、地方自治法第252条の19第1項に規定する指定都市の長および同法第252条の22第1項に規定する中核市の長が行うこととする、と規定しています。

多量排出事業者の処理計画・実施状況報告の受理事務は、令第27条が列挙する除外事務に含まれていません。したがって、事業場が指定都市または中核市の区域内にある場合は、当該市長が提出先となります。環境省マニュアル第3版も、用語定義において「都道府県知事」を「都道府県知事又は指定都市の長等」としています。

なお、都道府県によっては地方自治法の事務処理特例条例により、これ以外の市に事務を移譲している場合があります。提出先や電子申請システムの有無、独自の添付書類の要否は自治体ごとに運用が分かれるため、実際の提出前に事業場所在地の自治体の案内を確認することをお勧めします。

電子ファイルによる提出

環境省マニュアル第3版は、処理計画および実施状況報告は「提出先の承諾があれば、電子ファイルにより提出することができる」としています。これは、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)第6条および同法施行令第2条、環境省の所管する法令に係る同法施行規則(平成17年環境省令第9号)第9条・第10条に基づくものです。同施行規則第9条は、法第12条第9項、第12条の2第10項、施行規則第8条の4の6および第8条の17の3の規定に基づく書面の交付等を対象として掲げています。

もっとも、条文上は「相手方の承諾を得て」行うものとされていますので、自治体側が電子提出を受け付けているかどうかが前提になります。近年は都道府県独自の電子申請システムを用意している例も増えていますので、紙の郵送を前提に段取りを組む前に、提出先の受付方法を確認する価値があります。

インターネットによる公表

法第12条第11項は「都道府県知事は、第九項の計画及び前項の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、公表するものとする」と定め、施行規則第8条の4の7は、この公表を「計画の提出又は報告を受けた後、速やかに、インターネットの利用により公表することにより行うものとする」としています。特別管理産業廃棄物についても、法第12条の2第12項と施行規則第8条の17の4に同旨の規定があります。

平成23年2月4日付けの環境省通知(環廃対発第110204005号・環廃産発第110204002号)は、従来は1年間の公衆縦覧によっていた公表をインターネット利用に改めた趣旨について、住民への情報提供や周知を徹底し、排出事業者の自主的な排出抑制、再生利用等による減量化の取組を推進するためであると説明しています。

この結果、提出した処理計画書と実施状況報告書は、自治体のウェブサイト上で会社名とともに公開されます。取引先や発注者が閲覧できる情報であることを踏まえ、記載する取組内容は実態に即した、説明可能なものとしておく必要があります。なお、自治体の記載案内では、公表対象となることを踏まえ、管理体制図には社員の個人名を記載せず役職・職務で記載するよう求めている例があります。

提出しなかった場合の過料|法第33条第2号・第3号

法第33条は、次の各号のいずれかに該当する者は20万円以下の過料に処する、として、第2号に「第十二条第九項又は第十二条の二第十項の規定に違反して、計画を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者」を、第3号に「第十二条第十項又は第十二条の二第十一項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者」を掲げています。

この過料は平成22年の法改正で創設されたものです。平成23年2月4日付けの環境省通知(環廃対発第110204004号・環廃産発第110204001号)は、処理計画および実施状況報告の提出を確実にし、排出事業者による減量等の自主的な取組を促進するため、提出せず、もしくは虚偽の記載をして提出し、または実施の状況を報告せず、もしくは虚偽の報告をした多量排出事業者を20万円以下の過料に処することとした旨を述べています。

過料は刑罰ではないが、放置してよいものでもない

過料は行政上の秩序罰であり、罰金や拘禁刑のような刑罰ではありません。前科として記録されるものでもありません。しかし、法令上の義務違反であることに変わりはなく、自治体からの指導・催告の対象となりますし、公共工事の発注者や取引先から法令遵守状況を問われる場面で不利に働く可能性があります。

加えて、この制度は提出内容がインターネットで公表される仕組みですから、提出していなければ公表情報にも掲載されません。該当するかどうか微妙な場合には、自治体の担当部署に事前に相談し、判断の根拠を社内に記録として残しておくことが望ましい対応です。

虚偽記載も同じ過料の対象

条文は「虚偽の記載をしてこれを提出した者」「虚偽の報告をした者」も対象としています。期限に追われて概算値で埋める、社内で確認が取れていない数字をとりあえず書く、といった処理は避けるべきです。数字が固まらない項目については、根拠を持って推計したうえで、その旨を説明できる状態にしておくことが基本になります。

年間スケジュールと関連する義務

多量排出事業者の処理計画は、単独で存在する義務ではありません。日常の廃棄物管理の記録が、そのまま計画書と報告書の材料になります。

年間の流れ

実務上の流れを整理すると、次のようになります。

  • 年度中(4月〜翌3月) 産業廃棄物の種類ごとに、発生量、自ら再生利用した量、自ら中間処理した量と処理後の量、自ら埋立処分した量、委託量(優良認定処理業者・再生利用・認定熱回収施設設置者・それ以外の熱回収の内訳を含む)を集計する
  • 年度末 集計してきた年度(翌年度から見れば前年度)の発生量を確定し、事業場ごと(建設業等は区域内の作業所を総括する支店等ごと)に1,000トン・50トンの基準に該当するかを判定する
  • 4月〜6月 該当する場合、当該年度の処理計画書(様式第2号の8・第2号の13)を作成する。また、前年度に処理計画書を提出していた場合は、当該年度に基準に該当するかどうかにかかわらず、その計画に対応する実施状況報告書(様式第2号の9・第2号の14)を作成する
  • 6月30日まで いずれも提出先(都道府県知事または指定都市・中核市の長)に提出する
  • 提出後 速やかにインターネットで公表される

産業廃棄物処理責任者と特別管理産業廃棄物管理責任者

法第12条第8項は、その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者に対し、当該事業場ごとに産業廃棄物処理責任者を置くことを求めています(自ら産業廃棄物処理責任者となる事業場を除く)。

法第12条の2第8項は、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者に対し、当該事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置くことを求めています(自ら管理責任者となる事業場を除く)。これらの義務に違反した場合は、法第30条第5号により30万円以下の罰金の対象となります。多量排出事業者に該当する規模の事業場では、これらの選任状況もあわせて点検しておくべきです。

帳簿の備付け

法第12条第13項は、法第7条第15項および第16項の規定を、その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者で政令で定めるものについて準用しています。令第6条の4は、この政令で定める事業者として、(1) その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために産業廃棄物処理施設または産業廃棄物処理施設以外の産業廃棄物の焼却施設が設置されている事業場を設置している事業者、(2) その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業場の外において自ら当該産業廃棄物の処分または再生を行う事業者、(3) 法第12条の7第1項の認定を受けた者、を掲げています。

帳簿の備付け・記載・保存の義務違反は、法第30条第1号により30万円以下の罰金の対象です。帳簿の記録は、処理計画書や実施状況報告書の数量の裏付けにもなります。

委託契約書とマニフェストとの整合

処理計画書と実施状況報告書に記載する委託量は、委託契約書の内容とマニフェストの交付・回付の記録から積み上げるのが基本です。委託先が優良認定処理業者かどうか、再生利用に回っているかどうかを内訳として記載する必要があるため、契約段階から情報を整理しておくと集計が楽になります。建設現場から出る特定建設資材廃棄物の再資源化については建設リサイクル法の特定建設資材廃棄物とは|対象工事・届出・分別解体・再資源化・罰則を解説、収集運搬業の許可要件や許可の単位については産業廃棄物収集運搬業許可申請の完全ガイド|要件・JWセンター講習・5年更新を解説も参考になります。

参考|再資源化事業等高度化法との関係

近年、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(令和6年法律第41号。再資源化事業等高度化法)が制定され、環境省は廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を定める省令(令和7年環境省令第1号)を定めています。同法では、前年度に処分を行った産業廃棄物の数量(特別管理産業廃棄物を除く)が10,000トン以上であること、または前年度に処分を行った廃プラスチック類の数量が1,500トン以上であることといった要件に該当する「特定産業廃棄物処分業者」に対し、国への定期報告が求められます。報告は毎年6月30日までに前年度の実績について行うものとされ(同法施行規則第67条)、令和7年度実績の報告期限は令和8年6月30日でした。

これは廃棄物を処分する側の事業者に課される制度であり、廃棄物処理法の多量排出事業者の処理計画とは別の制度です。両者を混同しないよう注意してください。もっとも、排出事業者としても、委託先の処分業者がどのような再資源化の取組を行っているかを把握しておくことは、処理計画の「委託に関する事項」を充実させるうえで有益です。

よくある質問

会社全体で1,000トンを超えていれば提出が必要ですか

いいえ。令第6条の3は「前年度の産業廃棄物の発生量が千トン以上である事業場を設置している事業者」と定めており、判定は事業場単位です。ただし建設業等の場合は、環境省マニュアル第3版に従い、区域内の作業所(現場)を合わせて判断し、それらを総括的に管理している支店等ごとに作成することが基本とされています。

外部に委託した量だけを集計すればよいですか

いいえ。環境省マニュアル第3版は、発生量に「当該事業場内での自ら直接再生利用した量や自ら中間処理した量等を含む」としています。社内で再生利用・減量した分を除いて集計すると、発生量を過小に把握することになります。

同じ年の6月に提出する計画書と報告書は、同じ年度のことを書くのですか

いいえ。処理計画書は施行規則第8条の4の5により当該年度の6月30日まで、実施状況報告書は施行規則第8条の4の6により翌年度の6月30日までに提出します。したがって同じ年の6月に提出する2枚は、対象となる年度が1年ずれています。

複数年度の計画を出せば、報告は最終年度だけでよいですか

いいえ。環境省マニュアル第3版は、複数年度にわたる計画を策定している場合でも、多量排出事業者に該当した年度の翌年度に実施状況報告をしなければならないとしています。

前年度は1,000トンを超えましたが、その工場を閉鎖しました。提出は必要ですか

環境省マニュアル第3版は、処理計画等は当該年度に現に事業場を設置している事業者が作成するものとし、当該年度にその事業場が撤去されて存在しない場合には、前年度の発生量にかかわらず作成義務は生じないとしています。ただし、支店等が複数の施設や作業所をまとめて作成する場合の前年度発生量の判断には、撤去された分も含める扱いが示されています。個別の事情によりますので、提出先の自治体に確認することをお勧めします。

下請として入った現場の廃棄物も自社で集計しますか

建設工事に伴い生ずる廃棄物については、法第21条の3第1項により、注文者から直接建設工事を請け負った元請業者が事業者とされます。したがって、下請として施工した工事の廃棄物は、原則として元請業者の側で集計されることになります。

提出が遅れたらどうなりますか

法第33条第2号・第3号により、計画を提出しない場合や報告をしない場合は20万円以下の過料の対象となります。期限を過ぎていることに気づいた場合は、放置せず、提出先の自治体に速やかに相談したうえで提出することが基本的な対応になります。

建設業許可の取得・更新でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、要件の確認から申請書類の作成・提出代行、決算変更届や各種変更届まで対応します。ご相談は何度でも無料です。

建設業許可サポートの詳細を見る

まとめ

多量排出事業者制度の骨格は、法第12条第9項・第10項(特別管理産業廃棄物は法第12条の2第10項・第11項)にあります。対象は令第6条の3により前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上である事業場を設置している事業者、令第6条の7により前年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者です。判定は会社単位ではなく事業場単位で行います。

実務でもっとも間違いが起きやすいのが発生量の数え方です。環境省マニュアル第3版は、自ら直接再生利用した量や自ら中間処理した量も発生量に含めるとしており、外部委託量だけを見て非該当と判断するのは誤りです。汚泥のように脱水・乾燥の前後で重量が大きく変わるものは、その工程が生産工程なのか廃棄物処理工程なのかで把握時点が変わります。

作成単位は業種で異なります。製造業等は事業場ごと、建設業等は区域内の作業所を総括的に管理している支店等ごとが基本です。建設工事の排出事業者は法第21条の3第1項により元請業者とされるため、下請として入った現場の廃棄物は自社の集計には乗りません。

期限は、処理計画書が施行規則第8条の4の5により当該年度の6月30日、実施状況報告書が同第8条の4の6により翌年度の6月30日です。同じ6月30日に提出する2枚は対象年度が1年ずれます。提出内容は施行規則第8条の4の7に基づきインターネットで公表され、提出を怠った場合や虚偽の記載をした場合は法第33条第2号・第3号により20万円以下の過料の対象となります。

産業廃棄物処理計画書・実施状況報告書は、行政庁に提出する書類です。行政書士は、行政書士法第1条の3第1項により官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成を業として行い、同法第1条の4第1項第1号により作成することができる書類の提出手続の代理を行うことができます。行政書士法人Treeでは、産業廃棄物収集運搬業許可や建設業許可の取得・更新をはじめとする許認可手続について、要件確認から書類作成・提出代行までご相談を承っています。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree