公開日:2026年5月16日
産業廃棄物(産廃)の取扱いには「収集運搬業」「中間処分業」「最終処分業」の3つの許可区分があり、それぞれ業務範囲・許可主体・施設要件・更新期間が異なります。建設業者・解体業者が「自社で運ぶ」「中間処理を行う」「最終処分まで一気通貫」と業態を広げる際、どこからどこまで何の許可が必要かを正しく整理しないと、無許可営業(廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)という重大な法令違反に発展します。本記事では3区分の違いを、許可主体・対象施設・申請の難易度・実務上の役割から比較解説します。
本記事の結論:
- 産業廃棄物処理業は収集運搬業・中間処分業・最終処分業の3区分。廃掃法14条1項・6項に基づきそれぞれ別個の許可が必要。
- ①収集運搬業は積込・運搬・積替保管が業務範囲で、都道府県知事等の許可。②中間処分業は破砕・焼却・脱水等で、処分施設設置許可(廃掃法15条)と業許可がセット。
- ③最終処分業は埋立処分(管理型・安定型・遮断型)で施設要件が最も厳格。3区分の兼業は可能だが、それぞれ独立の許可・施設・人員が必要。
- 当所は収集運搬業(積替え保管なし55,000円〜)許可申請に対応(料金は 公式料金ページ 参照)。中間処分・最終処分業の施設設置許可は専門コンサル・弁護士と連携対応します。
産業廃棄物収集運搬業許可の申請サポート
新規・更新・変更届を一式で行政書士が文書作成・申請代行します。新規(積替保管なし)55,000円・積替保管あり110,000円・2件目以降38,500円/件・更新44,000円・変更届27,500円(全て税込)。多都道府県展開もパッケージ料金で対応します。
目次
根拠法令
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条(定義)・第3条(事業者の責務)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条(産業廃棄物処理業)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条(産業廃棄物処理施設の設置許可)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条・第6条の2(処理基準)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第10条以下(業の許可基準・施設の許可基準)
- 廃掃法第25条第1項第1号(無許可営業に対する罰則:5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金又はこれを併科。法人に対する罰金上限は同法第32条第1項第1号により3億円)・第26条(委託基準違反・無許可での施設譲受け・改善命令違反等:3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はこれを併科。なお不正の手段による業許可取得は第25条第1項のより重い類型で処罰)
まず確認すべきは「運ぶだけ」か「処分する」か
産業廃棄物処理業の許可区分を判断するときは、まず自社の業務が「運ぶだけ」なのか、「処分する」のかを整理します。自社で発生した廃棄物を自社で運ぶだけであれば、原則として処理業許可は不要ですが、車両表示・書面備付け義務があります。他社の廃棄物を運ぶ場合は収集運搬業許可が必要です。運搬途中で積替え・保管を行う場合は、積替保管ありの収集運搬業として施設基準が問題になります。破砕・焼却・脱水・中和・選別等を行う場合は中間処分業、埋立処分を行う場合は最終処分業が問題となり、一定規模以上の施設では廃掃法15条の施設設置許可も必要になります。
3区分の全体像
産業廃棄物処理業は、廃掃法第14条第1項(収集運搬業)と同条第6項(処分業)に分かれて規定されています。処分業はさらに「中間処分業」と「最終処分業」に区分される実務運用です。各区分の主な特徴は以下のとおりです。
収集運搬業
排出事業者の現場から、中間処分施設または最終処分施設まで、産業廃棄物を運搬する業務です。許可主体は、原則として積込み地・荷下ろし地を管轄する都道府県知事です。ただし、政令市区域内で積替え保管を行う場合、都道府県内の一政令市内のみで収集運搬を行う場合などは、政令市長の許可が必要となることがあります。施設要件は車両(運搬車・運搬容器)の保有のみで、施設の設置許可は不要です(積替保管施設を設ける場合を除く)。許可期間は5年(優良認定で7年)。
中間処分業
収集運搬で運ばれた産業廃棄物を、破砕・焼却・脱水・中和・選別・乾燥等の処理(中間処理)により、減量化・減容化・無害化または再資源化する業務です。許可主体は処分施設所在地の都道府県知事(または政令市長)。処分施設は廃掃法第15条第1項(一定規模以上)の場合は別途施設設置許可が必要で、許可期間は5年(優良認定で7年)。
最終処分業
中間処理を経た残渣等を、最終的に埋立処分する業務です。許可主体は処分施設所在地の都道府県知事(または政令市長)。最終処分場は「管理型」「安定型」「遮断型」の3類型に分かれ、それぞれ施設構造・維持管理基準が厳格に定められています。施設設置許可(廃掃法第15条)も極めてハードルが高く、地元住民の合意形成・環境影響評価が要件となります。
収集運搬業の業務範囲詳細
積替保管の有無
収集運搬業は「積替保管なし」と「積替保管あり」の2類型に分かれます。「積替保管なし」は排出事業者→処分業者まで直接運搬する形態、「積替保管あり」は中間に保管施設(積替施設)を設置する形態です。後者は施設の設置に関する基準(廃掃法施行規則第10条の3)が適用され、申請内容が大幅に増加します。
許可単位は都道府県ごと
収集運搬業は、原則として積込み地と荷下ろし地を管轄する都道府県知事の許可が必要です。例:埼玉県の現場で積込み、千葉県の中間処分施設に運搬する場合、通常は埼玉県と千葉県の許可を確認します。政令市については、積替え保管の有無、一政令市内のみで業を行うか、都道府県区域をまたぐかにより許可主体が変わるため、自治体手引きで確認します。多都道府県を跨ぐ場合は許可数が増え、更新時期の管理も煩雑になります。
取扱品目
産業廃棄物20種類(廃掃法施行令第2条)と特別管理産業廃棄物(廃酸・廃アルカリの一部・廃石綿等)はそれぞれ別個の許可です。実務上、建設業者は「がれき類・木くず・廃プラスチック類・金属くず・ガラスくず等」をまとめて取扱う形が多く、申請時に取扱品目を明示します。
中間処分業の業務範囲詳細
処理方法の種類
中間処理の主な方法は①破砕(コンクリートがら・木くず)、②焼却(廃プラ・木くず・廃油等)、③脱水(汚泥・有機性廃棄物)、④中和(廃酸・廃アルカリ)、⑤選別(混合廃棄物の手選別・機械選別)、⑥乾燥、⑦溶融などです。処理方法ごとに必要な施設要件・技術管理者要件が異なります。なお、⑤選別は、中間処理として処分業許可の対象となる場合があります。ただし、単なる積替え時の分別、保管施設での選別、処理施設としての選別ラインなど、実態により許可区分・施設基準が変わるため、自治体へ事前相談が必要です。
施設設置許可の要否
中間処分施設のうち一定規模以上のもの(対象となる施設の種類・規模は廃掃法施行令第7条で規定)は廃掃法第15条第1項に基づく施設設置許可(産業廃棄物処理施設設置許可)が必要です。例:焼却施設は、廃棄物の種類により基準が異なりますが、産業廃棄物の焼却施設では処理能力200kg/時以上または火格子面積2㎡以上等が施設設置許可の対象となります。破砕施設では、廃プラスチック類、木くず、がれき類などについて処理能力5t/日超の場合に施設設置許可が問題となります。脱水施設では、汚泥処理能力10㎥/日超など、施設種類ごとに基準を確認する必要があります。施設設置許可は環境影響評価・地元住民説明会・専門家審査会等を経て、半年〜2年以上かかります。
技術管理者の選任
廃掃法第15条第1項の許可を受けた産業廃棄物処理施設の設置者には、技術管理者の選任が義務付けられています(廃掃法第21条)。技術管理者は、廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当する者で、施設の種類に応じて、技術士資格、学歴・専攻、実務経験、廃棄物処理施設技術管理者講習(一般財団法人日本環境衛生センター実施)の修了等の要件を満たす必要があります。必要な資格・実務経験年数は施設種類により異なるため、自治体の手引き・技術管理者講習の案内で確認します。
最終処分業の業務範囲詳細
3類型の最終処分場
最終処分場は処分する廃棄物の性状に応じて以下に区分されます。①安定型最終処分場は、廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・ガラスくず等・がれき類など、性状が安定した廃棄物(安定5品目)を埋め立てる処分場です。②管理型最終処分場は、汚泥・燃え殻・ばいじん・木くず等、浸出水管理が必要な廃棄物を扱います。③遮断型最終処分場は、有害物質を含む廃棄物を自然環境から遮断して保管する最も厳重な構造の処分場です。施設構造・維持管理基準は、安定型は安定5品目の搬入管理が中心、管理型は浸出水処理・遮水工等が必要、遮断型は外部環境との完全遮断構造が求められます。
施設要件の厳格性
最終処分場の施設設置許可は、生活環境影響調査(廃掃法第15条第3項)、住民意見聴取、専門委員会審査、技術上の基準(地下水等の水質保全・遮水工・浸出水処理設備等)の遵守が必要です。新設は地元同意の壁が厚く、近年新規設置は極めて困難になっています。
維持管理積立金
最終処分場は廃止後も浸出水処理・モニタリング等の維持管理が必要なため、産業廃棄物の最終処分場では廃掃法第15条の2の4に基づく維持管理積立金の積立て義務があります。積立金は独立行政法人環境再生保全機構が管理し、廃止後の維持管理費用に充当されます。
3区分の許可・施設・更新の比較表
| 項目 | 収集運搬業 | 中間処分業 | 最終処分業 |
|---|---|---|---|
| 許可主体 | 積込・荷下ろし都道府県 | 施設所在都道府県 | 施設所在都道府県 |
| 施設要件 | 運搬車両のみ | 処分施設+施設許可 | 最終処分場+施設許可 |
| 講習 | JWセンター講習修了 | JWセンター講習修了 | JWセンター講習修了 |
| 技術管理者 | 不要 | 必要(一定施設) | 必要 |
| 更新期間 | 5年(優良7年) | 5年(優良7年) | 5年(優良7年) |
| 申請の難易度 | 低〜中 | 中〜高 | 非常に高い |
3区分を兼業する場合の注意
独立した許可と施設・人員
収集運搬・中間処分・最終処分を兼業することは可能ですが、それぞれ独立した許可申請と施設・人員(技術管理者・運行管理者等)が必要です。「中間処分業を取れば収集運搬は付随で可」という制度ではないため、すべて取得するなら3つの申請を行います。
排出事業者責任との関係
排出事業者は「最終処分が終了するまで」適正な処理を確保する義務(廃掃法第3条第1項・第12条第7項)を負います。マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付・回付・保管が義務であり、収集運搬業者・中間処分業者・最終処分業者を結ぶ流れの中で、各段階の処理完了を確認します。
優良認定制度
収集運搬業・中間処分業・最終処分業のいずれも「優良認定産廃処理業者」として認定されると、許可期間が5年→7年に延長され、入札等で有利になります。認定基準は遵法性(不利益処分なし)・事業の透明性(情報公開)・環境配慮(ISO14001等)・電子マニフェスト導入率・財務健全性などです。優良認定取得は更新時申請であり、新規許可と同時の取得はできません。長期的視点で取得を計画することが重要です。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の運用
マニフェスト交付義務
排出事業者は産業廃棄物の運搬・処分を委託する際、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する義務があります(廃掃法第12条の3)。マニフェストは7枚綴りの複写式(A・B1・B2・C1・C2・D・E票)で、排出事業者・収集運搬業者・中間処分業者・最終処分業者の各段階で記載・回付・保管します。紙マニフェストは、排出事業者・収集運搬業者・処分業者がそれぞれ、交付日または送付を受けた日から5年間保存する必要があります(廃掃法施行規則第8条の21の2等)。
電子マニフェスト(JWNET)
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が運営する電子マニフェストシステム(JWNET)が普及しています。2020年4月1日以降、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50t以上の事業場から、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の処理を委託する場合は、電子マニフェストの使用が義務化されています(廃掃法第12条の5第1項)。普通産廃やPCB廃棄物の処理委託はこの義務の対象外です。電子化により紙マニフェストの保管・記載ミスのリスクが減り、行政報告も自動化されます。
マニフェスト不備の罰則
マニフェスト未交付・虚偽記載・保存義務違反は、廃掃法第27条の2により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります。排出事業者責任は刑事罰だけでなく、行政処分(措置命令・撤去命令)にも繋がります。
業務範囲の整理
行政書士業務(許可申請の作成・代理)
- 産業廃棄物収集運搬業許可申請書の作成・提出代理(新規・更新・変更)
- 産業廃棄物処分業許可申請書の作成・提出代理(事業計画作成等は専門コンサル・技術士と連携)
- 産業廃棄物処理施設設置許可申請書の作成(行政書士の業務範囲内。ただし、施設設計・生活環境影響調査・測量・開発許可・住民説明・近隣紛争対応・行政処分争訟は専門コンサル、技術士、建築士、弁護士等の領域のため連携対応)
- 事業計画書・事業の用に供する施設・申請者の能力に関する書類の作成
- 変更届・廃止届・優良認定申請書の作成
業務範囲外(他士業領域)
- 許可取消処分・改善命令に対する取消訴訟の代理(弁護士業務/弁護士法第72条)
- 住民訴訟・差止請求への対応(弁護士業務)
- 近隣住民との紛争交渉代理(弁護士業務)
- 排出事業者責任に基づく損害賠償交渉(弁護士業務)
- 処理施設の建設工事・設備設計(建築士・技術士業務)
- 許認可取得後の財務諸表作成・税務申告(税理士業務)
FAQ|よくあるご質問
Q1. 自社で発生した廃棄物を自社で運搬する場合も許可は必要ですか?
自社運搬(自家処理)は許可不要です(廃掃法第14条第1項括弧書き)。ただし、自社運搬の場合も、運搬車両に「産業廃棄物収集運搬車」等の表示と、排出事業者の氏名または名称の表示が必要です。許可業者ではないため許可番号の表示は不要ですが、氏名または名称、運搬する産業廃棄物の種類・数量、積載日、積載事業場・運搬先等を記載した書面の備付けが必要です。他社の廃棄物を1件でも運搬すると業として許可が必要になります。
Q2. 解体業者が解体現場から自社中間処分場に運搬し、選別後は他業者に処分委託する場合の許可は?
解体工事では、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)及び廃掃法上、原則として元請業者が排出事業者となります。解体業者が元請として自社の廃棄物を自社施設へ運搬する場合は自社運搬として整理できる余地がありますが、下請業者が元請の廃棄物を運搬する場合や、他社の廃棄物を運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可が必要となります。自社施設で破砕・選別等を行う場合は、処分業許可や施設設置許可の要否も別途確認します。選別後の有償売却・引渡しは処理委託として収集運搬業者と最終処分業者の許可確認が必要です。
Q3. 中間処分業の施設設置許可と業の許可は同時取得できますか?
制度上は別個ですが、実務上は施設設置許可を先行取得し、その後業の許可を申請する流れが一般的です。施設設置許可なしには業の許可が得られないため、施設整備計画と並行して業の許可スケジュールを設計します。
Q4. 優良認定はどう取れますか?
優良認定は、廃掃法施行規則上の優良基準に適合する場合に、更新時等に認定される制度です。認定されると通常5年の許可期間が7年に延長されます。遵法性、事業の透明性、環境配慮、電子マニフェスト利用、財務健全性等が確認されますが、該当条文・必要資料は許可区分(収集運搬業・処分業)ごとに異なるため、自治体手引きで確認します。許可票表示・入札条件等で有利になります。
Q5. JWセンター講習はいつ受講すればよいですか?
許可申請前に申請者(個人事業主・法人代表者または役員)が受講します。新規許可講習(2日間)と更新講習(1日)があり、毎月全国で開催されています。修了証は5年間有効で、有効期限内に許可申請を行います。
Q6. 多都道府県で収集運搬業をするとき、申請を一括で出せますか?
各都道府県(または政令市)ごとに別個の申請が必要です。書類の様式・添付書類は概ね共通ですが、独自要求事項がある自治体もあります。一括申請の制度はないため、自治体ごとにスケジュールを管理します。多都道府県展開はパッケージ料金で対応する行政書士事務所が便利です。
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まとめ
産業廃棄物処理業は収集運搬業・中間処分業・最終処分業の3区分に分かれ、それぞれ独立した許可・施設・人員が必要です。建設業・解体業からの業態拡大、自社運搬の有償化、中間処理施設への投資等を検討する際は、まず3区分の役割と要件を理解し、自社のビジネスモデルに必要な許可を特定することが第一歩となります。施設設置許可(廃掃法第15条)が必要となる中間処分業以上は、計画段階から地方自治体・地元住民との調整が必要となり、許可までに数か月〜数年単位の時間を要します。許可申請の代理・事業計画の文書化は行政書士、住民紛争・許可取消訴訟は弁護士、施設設計は建築士・技術士というように、専門家を適切に使い分けて進めてください。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


