離婚関連

和解離婚とは?裁判離婚との違いと和解条項の書き方を解説

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「離婚訴訟の途中で和解を勧められた」「裁判を続けるより和解で終わらせたほうがいいと聞いた」——離婚訴訟は判決まで進めば結論が確定しますが、実務では双方が歩み寄って和解離婚で終了するケースも多く見られます。和解条項は判決と同じ法的効力を持ち、強制執行も可能ですが、協議離婚や調停離婚とは異なる特徴があります。この記事では、和解離婚の仕組み・条項の書き方・注意点を行政書士の視点で整理します。

結論として、和解離婚は離婚訴訟の審理中に当事者が合意に至り、裁判官が和解調書を作成することで離婚が成立する形式です。和解調書は確定判決と同一の効力を持ち(民事訴訟法267条)、養育費・財産分与の強制執行も可能です。和解条項には給付内容・履行期限・違反時の取扱いを具体的に記載することが重要です。

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和解離婚とは

離婚の種類

日本の離婚は、成立手続きにより以下のように分類されます。厚生労働省統計(令和6年)によれば、協議離婚が全体の約87.5%、調停離婚が約7.7%を占め、和解離婚・判決離婚は合計で約1%程度にとどまります。

種類 成立方法 割合
協議離婚 夫婦の合意+離婚届 約87.5%
調停離婚 家庭裁判所の調停+合意(家事事件手続法268条) 約7.7%
審判離婚 調停に代わる審判(家事事件手続法284条) 約2.5%
和解離婚 離婚訴訟中の和解成立(人事訴訟法37条) 約1%
認諾離婚 被告が離婚請求を全面的に認諾 ごくわずか
判決離婚 離婚訴訟の確定判決 約1%

和解離婚の位置づけ

和解離婚は、裁判離婚の一形態です。2004年(平成16年)4月1日施行の人事訴訟法(平成15年法律第109号)により新設された比較的新しい制度で、それ以前は離婚訴訟では原則として判決でのみ終結できました。現在では、調停前置主義によりまず離婚調停が必要で、調停不成立となってから離婚訴訟を提起します。訴訟の審理中に当事者間で合意が成立した場合、裁判所書記官が和解調書を作成し、離婚が成立します(人事訴訟法37条・民事訴訟法267条)。

和解離婚の特徴は以下のとおりです。

  • 判決を待たずに訴訟が終了するため早期解決が可能
  • 和解条項は確定判決と同一の効力を持つ(民事訴訟法267条)
  • 養育費・財産分与等の不履行時は強制執行が可能
  • 判決と違って両当事者の合意が必要なため、柔軟な内容を決められる

和解離婚の進め方

Step 1: 離婚訴訟の提起

離婚調停が不成立となった後、家庭裁判所に離婚訴訟を提起します(家事事件手続法257条の調停前置主義)。訴状には民法770条の法定離婚事由を主張します。裁判離婚の手続き全体は「裁判離婚の手続き|訴訟提起から判決までの流れ・費用・期間を解説」で解説しています。

Step 2: 訴訟手続き中の和解勧試

離婚訴訟では、裁判官が審理の途中で和解を勧めることがあります。これを和解勧試といいます。書面のやり取りや口頭弁論の経過を踏まえ、双方に「和解協議をしませんか」と提案される形です。

Step 3: 和解協議の実施

和解協議は、裁判官と両当事者(および代理人弁護士)が法廷外の和解室等で行います。争点となっている離婚条件(親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料等)について合意案を調整します。

Step 4: 和解条項の確定と和解調書の作成

合意に至った内容は和解条項として整理され、裁判所書記官が和解調書を作成します。裁判上の和解が成立し、その内容が和解調書に記載されることで、この時点で離婚も法律上成立します。

Step 5: 戸籍への反映手続き

和解成立後、10日以内に当事者(原告が通常)が市区町村役場に「報告的届出」としての離婚届を提出します(戸籍法77条)。和解調書謄本を添付して提出します。

和解条項の典型例

離婚成立条項

1. 原告と被告は、本日、協議離婚する。

親権者指定条項

2. 原告被告間の長男○○(令和○年○月○日生)の親権者を原告と定める。

2026年4月1日施行の令和6年民法改正により、離婚後の共同親権も選択可能となりました。共同親権とする場合の条項例は以下のとおりです。

2. 原告被告間の長男○○(令和○年○月○日生)については、原告と被告の共同親権とする。ただし、同人の監護権者は原告とする。

共同親権を選択する場合は、監護権者の指定や、子に関する重要事項の決定方法(進学・医療等)についても和解条項で明確にしておくことが望ましいです。

養育費条項

養育費の終期は、子の経済的自立が見込まれる時期を基準に定めます。実務上は以下のような書き方が一般的です。

(パターン1)原則的な20歳までの書き方

3. 被告は、原告に対し、長男○○の養育費として、令和○年○月から同人が満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り、1か月金○万円を、原告名義の○○銀行○○支店の普通預金口座(口座番号○○○○)に振り込む方法により支払う。振込手数料は被告の負担とする。

(パターン2)大学進学を見据えた22歳3月までの書き方(法務省推奨)

3. 被告は、原告に対し、長男○○の養育費として、令和○年○月から同人が満22歳に達した後の最初の3月まで、毎月末日限り、1か月金○万円を、原告名義の○○銀行○○支店の普通預金口座(口座番号○○○○)に振り込む方法により支払う。振込手数料は被告の負担とする。

2022年4月1日の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられましたが、法務省の見解では養育費の支払期間は当然には18歳に短縮されず、従来どおり20歳までが原則とされます。子が大学進学する可能性がある場合は、「22歳に達した後の3月まで」と明確に定めるのが望ましいとされています。

財産分与条項

4. 被告は、原告に対し、財産分与として金○○○万円を支払う義務があることを認め、これを令和○年○月○日限り、前項の口座に振り込む方法により支払う。

面会交流条項

5. 原告は、被告が長男○○と、毎月○回程度、月○回、宿泊を伴う面会交流をすることを認める。日時・場所・方法の詳細は、子の福祉を考慮しながら当事者間で協議して定める。

清算条項

6. 原告および被告は、本件離婚に関し、本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務も存しないことを相互に確認する。

清算条項は、後日の紛争蒸し返しを防ぐ重要な条項です。ただし、年金分割などは別途の手続きが必要であるため、「ただし、年金分割については別途合意する」等の例外規定を置くこともあります。

和解離婚後の手続きは期限との闘いです

和解離婚が成立した後、当事者は以下のような多数の期限付き手続きを並行してこなす必要があります。

  • 離婚届の提出: 和解成立から10日以内(戸籍法77条・137条)
  • 氏の変更届: 婚姻時の氏を継続する場合は3か月以内(戸籍法77条の2)
  • 子の氏変更・入籍届: 家庭裁判所の許可後
  • 年金分割請求: 2026年4月1日以降の離婚は5年以内
  • 健康保険・国民健康保険の切替: 資格喪失から14日以内
  • 住民票の変更・児童扶養手当申請

行政書士法人Treeでは、和解調書受領後のこれら膨大な手続きのナビゲートから、和解後に追加で必要となる合意事項(事情変更時の対応・履行確認)の書面化までをサポートしています。

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和解離婚と認諾離婚の違い

和解離婚と認諾離婚は、いずれも2004年4月1日の人事訴訟法施行により新設された制度で、離婚訴訟を判決以外で終結させる方法です。違いは以下のとおりです。

項目 和解離婚 認諾離婚
成立方法 当事者双方の譲歩による合意 被告が原告の請求を全面的に受諾
争点 親権・養育費・財産分与等を調整可能 離婚そのものに争いがない場合のみ
親権者等の定め 和解条項で合意可能 未成年子がいる場合は認諾不可
手続き 和解期日での合意 認諾調書の作成
実務上の頻度 裁判離婚の多くを占める ごくまれ

親権者の指定や財産分与等に争いがある場合は認諾離婚では解決できないため、実務では和解離婚が圧倒的多数を占めます。

和解離婚と判決離婚の比較

項目 和解離婚 判決離婚
成立要件 当事者の合意 法定離婚事由(民法770条)の立証
手続き期間 和解成立まで通常1〜6か月 判決確定まで1〜2年
内容の柔軟性 双方の合意で自由に決定 法律の規定・判例に基づく
控訴の可否 不可(和解成立で終局) 可(判決送達から2週間以内)
執行力 あり(民事訴訟法267条) あり(確定判決)
費用 訴訟費用のみ 訴訟費用+判決までの弁護士費用

和解離婚の注意点

和解成立後は合意の変更が困難

和解調書が作成されると、原則として合意内容の撤回・変更はできません。後から「やっぱり違う内容にしたい」と思っても受け入れられないため、和解前に条項内容を十分吟味する必要があります。事情変更による養育費の増減額は、別途家庭裁判所の調停・審判を申し立てることになります。

履行されない場合の強制執行

養育費・財産分与等の和解条項が履行されない場合、和解調書は民事執行法22条7号の債務名義となるため、これに基づいて強制執行の申立てができます。給与の差押え、銀行預金の差押え等が選択肢となります。なお、養育費については、将来分についても一括して差押えができるという強い効力があります(民事執行法151条の2)。養育費の強制執行は「養育費の強制執行手続き|差押えの要件・申立方法・費用を解説」をご参照ください。

戸籍への反映の手続き漏れ

和解成立だけでは戸籍上の離婚記載はされません。10日以内に報告的届出としての離婚届を市区町村役場に提出しないと、戸籍法137条により5万円以下の過料の対象となる可能性があります。なお、10日以内に原告が届出をしない場合、被告(相手方)も届出することができます(戸籍法63条2項)。

よくある質問

Q. 和解離婚の調書謄本はいつ交付されますか?

和解成立後、離婚届や強制執行等で和解調書の正本・謄本が必要になる場合があります。実際の交付時期や取得方法は裁判所の運用によって異なるため、担当書記官又は裁判所に確認の上、必要に応じて交付申請を行います。

Q. 和解離婚の後、公正証書を別途作成する必要はありますか?

和解調書は確定判決と同一の効力を持つため、改めて公正証書を作成する必要はありません。和解調書自体が強制執行の債務名義となります。

Q. 和解案に納得できない場合はどうすればよいですか?

和解は当事者の合意が前提です。納得できない場合は拒否することが可能です。その場合、訴訟は継続して審理が進み、判決に至ります。ただし、判決が和解案より不利になる可能性もあるため、裁判官の勧めと根拠を十分確認することが重要です。

Q. 離婚に関する清算条項があっても、後日発覚した隠し財産は請求できますか?

清算条項は原則として事後的な追加請求を封じる効果がありますが、重要な事実を相手方が故意に秘匿していた場合は、錯誤(民法95条)や不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が認められる余地があります。ただし立証のハードルが高いため、和解前の財産開示・調査を徹底することが重要です。

Q. 和解調書に記載がない事項(年金分割等)はどうしますか?

和解後、必要な手続きを個別に行います。年金分割は日本年金機構への請求、不動産の名義変更は法務局への登記申請、保険の名義変更等は各機関への個別届出が必要です。

【2026年4月1日改正】年金分割の請求期限が延長されました。

  • 2026年3月31日以前に離婚した場合 → 離婚日の翌日から 2年以内
  • 2026年4月1日以降に離婚した場合 → 離婚日の翌日から 5年以内

なお、同日以降の離婚では、財産分与の請求期限も民法改正により2年から5年に延長されています。和解離婚の場合、和解調書で年金分割の按分割合を定めておけば(もしくは別途合意しておけば)、年金事務所への請求手続きがスムーズになります。

まとめ

  • 和解離婚は離婚訴訟の途中で当事者が合意に至り、和解調書で離婚が成立する形式
  • 和解調書は確定判決と同一の効力を持ち、強制執行も可能
  • 和解条項には親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料等の具体的な内容を明記
  • 成立後は内容変更が困難なため、和解前の十分な検討が重要
  • 和解成立後は10日以内に報告的離婚届を提出する義務あり

離婚全体の手続きの比較は「離婚の種類と手続きガイド|協議・調停・裁判の違いを徹底比較【2026年最新】」、離婚訴訟については「裁判離婚の手続き」、離婚後の手続きは「離婚後の手続き完全ガイド」をご参照ください。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の人事訴訟法・民事訴訟法・民法に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言ではありません。訴訟対応は弁護士にご相談ください。

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