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相続人廃除後の代襲相続|廃除された人の子は相続できる?民法887条2項・遺留分・取消し(894条)を解説

更新: 約16分で読めます

「推定相続人の廃除」(民法第892条第893条)は、被相続人に対する虐待・重大侮辱・著しい非行があった推定相続人について、被相続人が家庭裁判所に廃除を請求し、または遺言で廃除の意思表示をすることにより、その者の相続権を奪う制度です。廃除された者は被相続人の相続人となれず、当該相続における遺留分も失います

もっとも、廃除の効果は被廃除者本人にとどまり、その子は民法第887条第2項代襲相続人として被相続人の相続人となります。「廃除されたのだから子も相続できない」という誤解は誤りで、廃除と相続放棄(民法939条)の効果の違いを理解することが重要です。

本記事では、(1)廃除制度の概要(民法892条・893条)、(2)廃除事由(虐待・重大侮辱・著しい非行)、(3)生前廃除と遺言廃除の手続、(4)廃除の効果と子の代襲相続(民法887条2項)、(5)廃除と相続欠格(民法891条)・相続放棄(民法939条)との違い、(6)遺留分との関係、(7)廃除の取消し(民法894条)、(8)業務範囲(家裁手続は司法書士・弁護士、遺産分割協議書は行政書士)を整理して解説します。

推定相続人の廃除と代襲相続が問題となる相続事案では、家庭裁判所への廃除請求(または遺言による廃除)と、代襲相続人を含む遺産分割の整理を分けて進める必要があります。行政書士法人Treeでは、戸籍収集・相続関係説明図の作成、代襲相続を踏まえた遺産分割協議書の文案作成をサポートします(家庭裁判所への廃除請求書類の作成は提携司法書士または弁護士、家事審判手続の代理は提携弁護士、相続税申告は提携税理士をご紹介します)。

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目次

  1. 推定相続人の廃除制度の概要(民法892条・893条)
  2. 廃除事由|虐待・重大侮辱・著しい非行
  3. 生前廃除(民法892条)の手続
  4. 遺言廃除(民法893条)の手続
  5. 廃除の効果と被廃除者の子の代襲相続(民法887条2項)
  6. 廃除と相続欠格(民法891条)の違い
  7. 廃除と相続放棄(民法939条)の違い
  8. 遺留分との関係(廃除されると遺留分も失う)
  9. 廃除の取消し(民法894条)
  10. 代襲相続を踏まえた遺産分割の進め方
  11. 業務範囲|行政書士・司法書士・弁護士・税理士の役割
  12. よくある質問

推定相続人の廃除制度の概要(民法892条・893条)

民法は、推定相続人(被相続人が死亡した時に相続人となるべき者)が被相続人に対して虐待・重大侮辱その他の著しい非行があった場合に、被相続人の意思に基づきその者の相続権を奪う制度を設けています。

  • 生前廃除(民法892条):被相続人が生前に家庭裁判所に対し廃除を請求
  • 遺言廃除(民法893条):被相続人が遺言で廃除の意思表示を行い、遺言執行者が家庭裁判所に対し廃除を請求

廃除の対象となるのは遺留分を有する推定相続人(配偶者・子・直系尊属)に限られます(民法892条)。兄弟姉妹には遺留分がないため、廃除制度の対象外であり、被相続人は遺言で財産を他の者に承継させることで兄弟姉妹を相続から除外できます(兄弟姉妹は遺留分侵害額請求もできません)。このことから、後述する「廃除による代襲相続」は被相続人の子(およびその直系卑属)について生じ、兄弟姉妹の系統では生じない点に注意が必要です。

廃除事由|虐待・重大侮辱・著しい非行

民法第892条が定める廃除事由は次の3つです。

  • 被相続人に対する虐待:身体的暴力、長期間の精神的虐待、生活費の搾取等
  • 被相続人に対する重大な侮辱:人格を否定する言動、社会的名誉を著しく傷つける行為等
  • その他の著しい非行:被相続人の財産の浪費、犯罪行為、家族関係を破壊する行為等

家庭裁判所の判断基準

家庭裁判所は、廃除事由の有無を厳格に判断します。単なる感情的対立・親子喧嘩・疎遠といった事情では廃除は認められず、被相続人の人格・名誉・財産・生活基盤に対する具体的かつ重大な侵害があったことの立証が必要です。

裁判実務での判断

廃除は相続権・遺留分を失わせる重大な制度であるため、家庭裁判所では廃除事由の有無が厳格に判断されます。単なる不仲や感情的対立では足りず、具体的な事実と客観的資料(医療記録・録音録画・第三者の証言・警察記録等)による立証が重要です。

生前廃除(民法892条)の手続

申立人

被相続人本人が、自ら家庭裁判所に廃除を請求します。

申立先

原則として、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。遺言による廃除など、被相続人の死亡後に申立てを行う場合は、相続開始地を管轄する家庭裁判所が問題となります。

申立費用

  • 収入印紙:800円(対象推定相続人1人につき)
  • 連絡用郵便切手(家庭裁判所により異なる)

家庭裁判所の判断

家庭裁判所は、提出資料や当事者の主張を踏まえ、審判により廃除事由の有無を判断します。廃除は相続権を失わせる重大な制度であり、当事者間の合意だけで成立するものではありません(廃除は家事事件手続法上の審判事項として整理されています)。

審判確定後の届出(10日以内)

廃除を認める審判が確定した場合、申立人は、審判確定の日から10日以内に、審判書謄本・確定証明書等を添付して推定相続人廃除届を提出します。届出により戸籍に廃除の記載がなされます。

申立書類の作成は司法書士・弁護士業務

家庭裁判所への申立書類(廃除請求審判申立書等)の作成は、司法書士業務(裁判所提出書類の作成)または弁護士業務であり、行政書士業務の範囲外です。家事審判手続の代理は原則として弁護士業務です。

遺言廃除(民法893条)の手続

仕組み

被相続人が遺言で「○○を推定相続人から廃除する」旨の意思表示を行い、その遺言の効力発生後、遺言執行者が家庭裁判所に対し廃除を請求します。遺言廃除を有効に進めるには、遺言で遺言執行者の指定を併せて行うことが実務上重要です。

遺言廃除の流れ

  1. 被相続人が遺言(公正証書遺言が安全)で廃除の意思表示と遺言執行者の指定を行う
  2. 被相続人の死亡により遺言の効力が発生
  3. 遺言執行者が遺言の検認(自筆証書遺言で法務局保管制度を利用していない場合)を経て、家庭裁判所に廃除を請求
  4. 家庭裁判所が廃除事由の有無を審判で判断
  5. 遺言廃除が認められた場合、被廃除者は当該相続について相続人とならなかったものとして扱われます(民法893条後段)

遺言執行者の指定がない場合

遺言で遺言執行者を指定しておくのが実務上安全ですが、指定がない場合は、利害関係人の請求により家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる必要があります(民法1010条)。遺言執行者の指定がないだけで、遺言廃除制度の利用が直ちに不可能になるわけではありません。

遺言廃除の効力

遺言廃除は、遺言の意思表示があるだけでは効力は完成せず、遺言執行者による家庭裁判所への請求と審判が必要です。戸籍上の廃除記載がない場合は、廃除審判が確定しているか、遺言廃除の請求が未了ではないかを確認します。

廃除の効果と被廃除者の子の代襲相続(民法887条2項)

廃除の効果

  • 被廃除者は、その廃除を行った被相続人との関係で相続権を失う(被相続人の相続人とならない)
  • 被廃除者は当該相続における遺留分も失う
  • 戸籍に廃除の記載がなされる
  • 効果は被廃除者本人のみに及び、その子にはおよばない(子は代襲相続人となる)
  • 廃除の効果は相対的で、被廃除者は廃除を行った被相続人以外の者(例えば他方の親など)の相続では相続人となり得ます

効果発生の時期

遺言廃除が認められた場合、被廃除者は当該相続について相続人とならなかったものとして扱われます(民法893条後段の遡及効)。生前廃除の場合は、廃除審判の確定により推定相続人の地位を失い、その後の相続開始時に相続人となりません。

子の代襲相続(民法第887条第2項)

民法第887条第2項は、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、または第891条の規定(相続欠格)に該当し、もしくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる」と定めています。

つまり、廃除された推定相続人に子がいれば、その子は代襲相続人として被相続人の相続人となります。「廃除されたのだから子も相続できない」というのは誤りで、廃除の効果は被廃除者本人にとどまります。

代襲相続の範囲

  • 被相続人の子が廃除された場合:その子(孫)が代襲(民法887条2項)
  • 孫が代襲時に死亡または相続欠格・廃除によって相続権を失っていれば:ひ孫が再代襲(民法887条3項)。直系卑属は代襲・再代襲が続きます
  • なお、兄弟姉妹は遺留分がなく廃除の対象とならないため、「兄弟姉妹の廃除」による甥姪の代襲は生じません。兄弟姉妹については、その死亡または相続欠格により甥姪が代襲しますが(民法889条2項・887条2項)、甥姪の再代襲は認められません(889条2項は887条3項を準用しない)

廃除と相続欠格(民法891条)の違い

「廃除」と「相続欠格」はいずれも相続権を失う制度ですが、性質が異なります。

論点 廃除(民法892条・893条) 相続欠格(民法891条)
性質 被相続人の意思に基づく 法律上当然に失格
手続 家庭裁判所の審判(生前廃除)または遺言+遺言執行者の家裁請求(遺言廃除) 法律上当然に相続資格を失う。ただし欠格事由の有無に争いがある場合は相続人間で主張立証が必要となり、訴訟等で確認されることがある
事由 虐待・重大侮辱・著しい非行(遺留分を有する推定相続人=配偶者・子・直系尊属が対象。兄弟姉妹は対象外) 被相続人や先順位・同順位相続人を殺害・殺害未遂、刑事訴追阻止、遺言妨害、遺言偽造変造等(兄弟姉妹にも適用され得る)
子の代襲相続 あり(民法887条2項) あり(民法887条2項)
取消 被相続人がいつでも家庭裁判所に取消請求可(民法894条) 廃除の取消しのような明文の取消制度はない。被相続人が欠格者を許した場合(宥恕)の扱いには議論あり
戸籍記載 あり なし(要件該当者の自己申告ないし相続人間の主張立証)

いずれも子の代襲相続が認められる点は共通します。重要な違いとして、廃除は遺留分を有する推定相続人に限られ兄弟姉妹は対象外ですが、相続欠格は兄弟姉妹にも適用され得ます。

廃除と相続放棄(民法939条)の違い

「廃除」は被相続人の意思で相続権を奪う制度、「相続放棄」は相続人本人が相続を放棄する制度であり、効果が大きく異なります。

論点 廃除 相続放棄(民法939条)
主体 被相続人(家裁請求または遺言) 相続人本人(家裁への申述)
時期 生前または遺言 相続の開始を知った時から3か月以内
子の代襲相続 あり なし(最初から相続人でなかったものとみなす)
遺留分 失う 放棄により発生しない

子の代襲の有無が決定的に異なる

相続放棄では子の代襲相続は発生しません(民法939条により「初めから相続人とならなかったもの」とみなされ、代襲原因に該当しないため)。一方、廃除では子の代襲相続が発生します(民法887条2項)。この違いは遺産分割に大きな影響を及ぼします。

遺留分との関係(廃除されると遺留分も失う)

廃除された者は相続権を失うため、当該相続における遺留分も失います。これは廃除制度の重要な効果です。

代襲相続人の相続分・遺留分

廃除された者の子(代襲相続人)は、被代襲者が受けるはずであった相続分を承継します(民法901条)。代襲相続人が複数いる場合は、その相続分を人数に応じて分けます。遺留分についても、代襲相続人は相続人として、民法第1042条に基づく遺留分を有する場合があります。

遺留分侵害額請求

被相続人が遺言で代襲相続人の遺留分を侵害する内容を定めた場合、代襲相続人は遺留分侵害額請求(民法1046条)を行えます。同法第1048条により、遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき、または相続開始時から10年を経過したときに消滅します。

廃除の取消し(民法894条)

民法第894条は、被相続人がいつでも家庭裁判所に対し推定相続人の廃除の取消しを請求することができると定めています。被相続人が廃除後に被廃除者と和解した場合や、廃除事由となった事実が誤解に基づいていたことが判明した場合などに、廃除を取り消すことができます。

取消しの手続

  • 生前の取消し:被相続人が家庭裁判所に取消請求
  • 遺言による取消し:被相続人が遺言で取消しの意思表示を行い、遺言執行者が家庭裁判所に請求

取消しの効果

廃除の取消しが認められると、生前の取消しであれば被廃除者は推定相続人の地位に復帰します。遺言による取消しなど相続開始後に取消しが問題となる場合には、取消しの効果により相続開始時に遡って相続人として扱われます。戸籍上の廃除の記載も抹消されます。

代襲相続を踏まえた遺産分割の進め方

廃除があった相続では、被廃除者の子(代襲相続人)を含めた遺産分割協議が必要です。

遺産分割協議の進め方

  1. 戸籍収集・相続関係説明図の作成:被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、被廃除者の廃除記載確認、代襲相続人の戸籍・住民票を収集
  2. 代襲相続人の特定・連絡:被廃除者の子が代襲相続人として遺産分割協議に参加
  3. 代襲相続人が未成年の場合:親権者が代理(親権者と未成年者の利益相反時は特別代理人選任)
  4. 遺産分割協議書の作成:被廃除者を除く相続人+代襲相続人全員の署名・実印押印
  5. 相続登記・預貯金解約等の手続:協議書に基づき各種承継手続

留意点

  • 戸籍上の廃除記載がない場合は、廃除審判の確定状況・遺言廃除請求の未了の確認が必要
  • 代襲相続人と被廃除者本人との連絡が困難な場合がある
  • 代襲相続人が未成年・成年被後見人等の制限行為能力者である場合は、特別代理人・成年後見人等の手続が並行的に必要

業務範囲|行政書士・司法書士・弁護士・税理士の役割

  • 行政書士(行政書士法人Tree):戸籍収集、相続関係説明図の作成、代襲相続を踏まえた遺産分割協議書の文案作成、相続関係・財産関係・手続経過の整理。家庭裁判所に提出する廃除請求の主張書面・申立書類の作成は司法書士または弁護士に連携
  • 司法書士:家庭裁判所への廃除請求・廃除取消請求の申立書類(裁判所提出書類)の作成、相続登記
  • 弁護士:家事審判手続の代理、廃除請求・廃除取消請求の代理、紛争性のある事案、遺留分侵害額請求の代理、廃除の有効性が争われる訴訟
  • 税理士:相続税の申告(代襲相続人を含む計算)、贈与税との関係

家庭裁判所への廃除請求書類の作成は司法書士または弁護士業務、家事審判手続の代理は原則として弁護士業務、相続登記は司法書士業務であり、いずれも行政書士業務の範囲外です。行政書士は廃除の効果を踏まえた相続関係整理と遺産分割協議書作成を担当します。

推定相続人の廃除があった相続では、代襲相続人を含む正確な相続関係の確定が出発点です。行政書士法人Treeでは、戸籍収集・相続関係説明図・代襲相続を踏まえた遺産分割協議書の作成を担当します。家庭裁判所への廃除請求書類は提携司法書士または弁護士、家事審判手続の代理・紛争性のある事案や遺留分侵害額請求の代理は提携弁護士、相続税は提携税理士をご紹介します。

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よくある質問

Q1. 推定相続人を廃除すれば、その子も相続できなくなりますか。

なりません。廃除の効果は被廃除者本人にとどまり、その子は民法887条2項により代襲相続人として被相続人の相続人となります。これは相続欠格(民法891条)の場合も同じです。

Q2. 廃除と相続放棄では子の取扱いが違いますか。

違います。廃除では子の代襲相続が発生しますが、相続放棄では子の代襲相続は発生しません(民法939条により「初めから相続人とならなかったもの」とみなされ代襲原因に該当しないため)。この違いは遺産分割に大きな影響を及ぼします。

Q3. 兄弟姉妹を廃除することはできますか。

できません。廃除の対象は遺留分を有する推定相続人(配偶者・子・直系尊属)に限られ(民法892条)、兄弟姉妹には遺留分がないため対象外です。被相続人は遺言で財産を他の者に承継させることで兄弟姉妹を相続から除外できます。したがって「兄弟姉妹の廃除」による甥姪の代襲も生じません。なお兄弟姉妹の死亡・相続欠格により甥姪が代襲する場合はあります(民法889条2項。甥姪の再代襲なし)。

Q4. 廃除の申立先はどこですか。

原則として被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。遺言による廃除など被相続人の死亡後に申立てを行う場合は、相続開始地を管轄する家庭裁判所が問題となります。

Q5. どんな事由があれば廃除が認められますか。

民法892条は虐待・重大な侮辱・その他の著しい非行を廃除事由としています。単なる感情的対立・親子喧嘩・疎遠では認められず、被相続人の人格・名誉・財産・生活基盤に対する具体的かつ重大な侵害が必要です。家庭裁判所の判断は厳格です。

Q6. 廃除は遺言でもできますか。

できます(民法893条による遺言廃除)。遺言で廃除の意思表示と遺言執行者の指定を行い、被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に廃除を請求します。遺言執行者の指定がない場合は、利害関係人の請求により家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。

Q7. 廃除されると遺留分も失いますか。

はい。廃除された者は当該相続における相続権を失い、遺留分も失います。ただし、その子(代襲相続人)は被代襲者が受けるはずであった相続分を承継し(民法901条)、代襲相続人として民法1042条に基づく遺留分を有する場合があります。

Q8. 廃除の効果は他の被相続人の相続にも及びますか。

及びません。廃除の効果は相対的で、被廃除者は廃除を行った被相続人との関係でのみ相続権を失います。被廃除者は他方の親など別の被相続人の相続では引き続き相続人となり得ます。

Q9. 廃除を取り消すことはできますか。

民法894条により、被相続人はいつでも家庭裁判所に廃除の取消しを請求できます。取消しは遺言でも可能です。生前の取消しでは被廃除者は推定相続人の地位に復帰し、遺言による取消しなど相続開始後に取消しが問題となる場合は相続開始時に遡って相続人として扱われます。

Q10. 廃除請求は行政書士に依頼できますか。

家庭裁判所への廃除請求審判申立書の作成は司法書士業務または弁護士業務、家事審判手続の代理は弁護士業務であり、行政書士業務の範囲外です。行政書士は廃除がある相続の戸籍収集・相続関係説明図・遺産分割協議書の作成を担当します。

Q11. 代襲相続人が未成年の場合の遺産分割はどうしますか。

親権者が法定代理人として遺産分割協議に参加します。親権者と未成年者との間で利益相反がある場合(親権者も同じ相続の相続人である等)は、特別代理人の選任が必要です(民法826条)。複数の未成年者の間でも利害が対立する場合には、子ごとに別の特別代理人が必要となることがあります。

まとめ

「推定相続人の廃除」は、民法第892条(生前廃除)・第893条(遺言廃除)に基づき、被相続人に対する虐待・重大侮辱・著しい非行があった推定相続人について、被相続人の意思により相続権を奪う制度です。廃除された者は当該相続における相続権と遺留分を失います。廃除の対象は遺留分を有する推定相続人(配偶者・子・直系尊属)に限られ、兄弟姉妹は遺留分がないため廃除の対象外であり、廃除による甥姪の代襲も生じません。

廃除の効果は被廃除者本人にとどまり、その子は民法第887条第2項により代襲相続人として被相続人の相続人となります。これは相続欠格(民法891条)の場合も同じで、相続放棄(民法939条)の場合とは異なります。相続放棄では子の代襲相続は発生しません。「廃除されたのだから子も相続できない」という誤解は遺産分割を誤らせるため、廃除・相続欠格・相続放棄の3制度の効果の違い(特に子の代襲の有無)を正確に理解することが重要です。

生前廃除の申立先は被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所、廃除を認める審判が確定したら申立人が10日以内に推定相続人廃除届を提出して戸籍に廃除を反映します。遺言廃除は遺言執行者が家庭裁判所に請求します(遺言で遺言執行者を指定しておくのが安全。指定がない場合は家庭裁判所に選任を申し立て可)。

代襲相続人を含む遺産分割では、戸籍収集による正確な相続関係の確定(廃除の戸籍記載確認)、代襲相続人への連絡、未成年・制限行為能力者がいる場合の特別代理人選任、遺留分侵害額請求の検討(民法1046条・1048条の1年/10年の期間制限)など、複数の論点が並行的に発生します。

廃除の効果を踏まえた戸籍収集・相続関係説明図・遺産分割協議書の作成は行政書士法人Treeにご相談ください。家庭裁判所への廃除請求書類の作成は提携司法書士または弁護士、家事審判手続の代理・紛争性のある事案や遺留分侵害額請求の代理は提携弁護士、相続税申告は提携税理士をご紹介します。

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※ 本記事は執筆時点の法令(民法等)・裁判所の運用に基づき作成しています。廃除の認容判断、代襲相続人の特定、遺留分の計算は事案により異なります。家庭裁判所への申立てが必要な場面では司法書士・弁護士、相続税の取扱いは税理士へのご相談をお願いいたします。

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