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信託監督人と受益者代理人の違い|信託法第131条・第138条・第139条第4項・受益者連続信託30年ルール・権限・報酬・後任選任を解説

約16分で読めます

家族信託は、認知症対策・事業承継・障害のあるお子様の財産管理等で広く活用される長期運営型の信託契約です。受託者(家族・専門家)が信託財産を管理・処分する権限を持つため、不適切な運営を防止する監督体制として、信託監督人・受益者代理人の選任が重要となります。信託法上、信託監督人・受益者代理人はいずれも任意設置ですが、10年以上の長期信託、受益者が高齢・未成年・障害があるケース、受託者と受益者の利益相反が想定されるケースでは、設置を強く検討すべきです。本記事では、信託監督人・受益者代理人の役割・権限・選任方法・報酬・実務上の活用、行政書士の業務範囲を整理します。

本記事の結論:

  • 信託監督人は、受益者のために自己の名をもって受託者を監督する者(信託法第131条以下・第132条第1項)。受益者代理人は、代理する受益者のために受益者の権利に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有する者(信託法第138条以下・第139条第1項)。
  • 受益者代理人が選任されると、信託法第92条各号の権利および信託行為で留保された権利を除き、受益者本人の権利行使が制限される(信託法第139条第4項)。受益者の自己決定権が大幅に制限される点に注意。
  • 受託者本人は信託監督人・受益者代理人になれない(信託法第137条・第144条が準用する第124条の欠格事由)。
  • 後継ぎ遺贈型受益者連続信託(信託法第91条)には30年ルール(信託契約から30年経過後の受益権承継は1度のみ)の期間制限がある。
  • 当事務所は家族信託契約書の文案作成・信託監督人/受益者代理人選任条項の整備・公正証書化サポートを担当します。

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  • 家族信託を長期運営(10年以上)で設計したい
  • 受託者の業務監督を担う第三者(信託監督人)を設置したい
  • 受益者が高齢・判断能力低下時の代理人を予め指定したい
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信託監督人は監督、受益者代理人は権利行使の代理。ただし権限設計が重要

信託監督人は、受益者が受託者を適切に監督できない場合等に、受益者のために自己の名をもって受託者の職務を監督する者です。一方、受益者代理人は、代理する受益者のために、受益者の権利に関する裁判上・裁判外の行為を行う権限を有する者です。両者はいずれも任意設置ですが、受益者が高齢・未成年・障害がある場合、受託者と受益者の利益相反が想定される場合、10年以上に及ぶ長期信託では、設置を強く検討すべきです。特に受益者代理人が選任されると、信託法第92条各号の権利や信託行為で留保された権利を除き、受益者本人の権利行使が制限されるため、信託契約書で権限範囲、報酬、報告義務、利益相反対応、辞任・解任、後任選任方法を明確に定めることが重要です。

根拠法令(2026年5月時点)

  • 信託法第131条以下(信託監督人の選任)・第132条第1項(信託監督人の権限)・第137条(準用規定:第124条欠格事由・第127条第3項報酬等)
  • 信託法第138条以下(受益者代理人の選任)・第139条第1項(受益者代理人の権限)・第139条第4項(受益者代理人がある場合の受益者本人の権利行使制限)・第144条(準用規定)
  • 信託法第124条(欠格事由:未成年者・当該信託の受託者である者)
  • 信託法第127条第3項(信託契約に定めがある場合の報酬請求権、第137条・第144条で準用)
  • 信託法第90条(遺言代用信託)
  • 信託法第91条(後継ぎ遺贈型受益者連続信託・30年ルール)
  • 信託法第92条(受益者代理人がある場合にも受益者が自ら行使できる権利等)
  • 信託法第21条以下(受託者の義務)
  • 信託法第58条第4項(委託者および受益者による受託者解任)
  • 信託業法(営業として信託の引受けを行う場合の規律)
  • 不動産登記法(信託登記)
  • 相続税法第9条の2以下(信託に関する課税)
  • 司法書士法第3条第1項第1号(登記申請代理)・第4号(裁判所提出書類の作成)・第6号(認定司法書士の簡裁訴訟代理)
  • 弁護士法第3条(紛争代理・調停代理)・第72条(非弁行為の禁止)
  • 税理士法第2条(税務代理・税務書類の作成・税務相談)
  • 行政書士法第1条の2第1項(権利義務に関する書類の作成)

1. 信託監督人と受益者代理人の違い

1-1. 信託監督人(信託法第131条以下)

信託監督人は、受益者のために自己の名をもって受託者を監督する者です(信託法第131条第1項)。受益者が複数・若年・判断能力低下等で受託者を直接監督できない場合に重要な役割を果たします。

権限の範囲(信託法第132条第1項)

信託監督人は、受益者のために自己の名をもって、信託法第92条各号(第17号、第18号、第21号及び第23号を除く)に掲げる権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。

主な権限の具体例

  • 受託者の業務報告請求権(信託法第36条)
  • 帳簿・書類の閲覧謄写請求権(信託法第38条)
  • 受託者の解任請求権(信託法第58条第4項に基づく裁判所への申立て、信託監督人が受益者のために行使)
  • 損失補填責任追及(信託法第40条)

信託監督人は「受益者のために」「自己の名をもって」権限を行使する点が特徴で、受益者の権利を代理するわけではありません(受益者は自ら権利行使することも可能)。権限範囲は信託契約書で具体的に整理することが重要です。

1-2. 受益者代理人(信託法第138条以下)

受益者代理人は、受益者の権利行使を代理する者です(信託法第138条第1項)。受益者が判断能力を欠く・未成年・多数いる場合に、受益者に代わって信託に関する意思表示・権利行使を行います。

権限の範囲(信託法第139条第1項)

受益者代理人は、その代理する受益者のために当該受益者の権利(第42条の規定による責任の免除に係るものを除く)に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。

主な権限の具体例

  • 受益者の権利の包括的代理
  • 信託の変更・終了に関する受益者の合意の表明
  • 受託者との交渉・調整
  • 受益権の処分(信託契約で定めた範囲)

受益者代理人は広い代理権を持ち得ますが、受益者のために善良な管理者の注意をもって、誠実かつ公平に権限を行使する義務があります。受益権の譲渡・放棄、信託変更・終了への同意、実質的な贈与に近い処分など、受益者の財産的利益を大きく左右する行為については、信託契約書で権限範囲・同意要件・禁止事項を明確に定めるべきです。

【重要】受益者代理人選任時の受益者の権利行使制限(信託法第139条第4項)

受益者代理人が選任されると、その代理する受益者は、信託法第92条各号に定める権利(信託行為で制限できない最低限の権利)および信託行為で別途定めた権利を除き、受益者自ら権利行使することができなくなります。

つまり、受益者代理人を選任すると受益者の自己決定権が大幅に制限される結果となるため、選任は慎重に判断する必要があります。受益者の判断能力が十分である場合は、信託監督人選任のみとし、受益者代理人を選任しないという設計も有力です。

1-3. 両者の使い分け

  • 信託監督人:受託者の業務監督が中心。受益者は自ら権利行使することも可能
  • 受益者代理人:受益者の権利を代理。代理権の範囲内で受益者本人の権利行使が制限される
  • 両者の併用:監督機能と代理機能を分離することで、相互チェックが働く

両者を併用する場合は、同一人が兼任するのか、別人に分けるのかを検討します。相互チェックを重視するなら別人に分ける方が望ましく、同一人が兼任する場合は、権限範囲、利益相反時の対応、報告義務、報酬、解任・後任選任方法をより明確に定める必要があります。

2. 選任方法

2-1. 信託契約書での指定(原則)

信託契約締結時に、信託監督人・受益者代理人として就任する者を契約書で指定します。氏名・住所・権限・報酬・後任選定方法を明記。

2-2. 事後の選任

信託契約締結後に追加・後任の信託監督人または受益者代理人を選任する場合は、まず信託契約書で定めた選任方法に従います。信託行為に定めがない場合や、指定された者が就任できない場合には、利害関係人の申立てにより裁判所が選任できる場合があります。委託者・受託者・受益者の合意による選任を予定する場合も、委託者死亡後や判断能力低下後に備え、契約書で手続を明確にしておく必要があります。

2-3. 裁判所による選任(信託法第131条第4項・第138条第4項)

以下の要件を満たす場合、利害関係人の申立てにより、裁判所が信託監督人・受益者代理人を選任できます。

  • 信託行為に信託監督人・受益者代理人に関する定めがないとき
  • 信託行為の定めにより信託監督人・受益者代理人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、もしくはこれをすることができないとき
  • 受益者保護のため必要がある場合

裁判所による選任の場合、当該選任の裁判には理由を付さなければならず、選任の裁判に対しては委託者・受託者・受益者または既存の信託監督人/受益者代理人に限り即時抗告が可能です。契約書で後任選任方法を定めておくことで、裁判所選任に頼らず運営を継続しやすくなります。

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3. 信託監督人・受益者代理人の人選

主な人選パターン

  • 家族・親族:信頼関係が深いが、第三者性に欠ける場合あり
  • 行政書士・弁護士・司法書士・税理士:専門性が高く中立的、報酬発生
  • 信託会社:信託業法上の規律対象、報酬高額
  • NPO・社会福祉協議会:地域密着型、報酬は比較的低額

欠格事由(信託法第137条・第144条が準用する第124条)

以下の者は信託監督人・受益者代理人になれません。

  • 未成年者
  • 当該信託の受託者である者(受託者本人は信託監督人・受益者代理人になれない、自己監督の禁止)

受託者本人が信託監督人・受益者代理人になれない点は家族信託の人選において必須の判断基準です。受託者と異なる第三者を選任する必要があります。

長期運営(信託の継続期間)を考慮し、後任選定方法も契約書で定めておくことが重要です。

4. 報酬の設計(信託監督人:信託法第137条準用第127条、受益者代理人:第144条準用第127条)

信託監督人・受益者代理人は、信託契約に報酬を受ける旨の定めがある場合に限って、受託者に対して信託財産から報酬を請求できます(信託法第127条第3項の準用)。信託契約に報酬の定めがなければ、信託監督人・受益者代理人は無報酬となるため、契約書での明記が必須です。

月額または年額で固定するパターンが多いです。

報酬の目安

  • 個人・家族:無報酬または年額1万円〜
  • 専門家(行政書士・弁護士・司法書士等):月額1〜3万円(年額12万円〜36万円)
  • 信託会社:高額(個別契約、信託業法対象)

専門家報酬は、信託財産の規模、業務量、報告頻度、不動産・事業承継・受益者連続信託の有無、責任範囲により大きく変動するため、契約書で報酬額、増額事由、実費精算、辞任時の精算方法を明確にします。報酬は信託財産から支出されることが多く、信託契約書で支出方法・支出時期(月末払い・年度末払い等)を明記します。

5. 家族信託の長期運営における監督体制の意義

5-1. 受託者の利益相反防止

家族信託の受託者は通常、委託者・受益者の家族(子・孫等)となります。受託者が自己の利益を優先する利益相反行為を防止するため、第三者の監督が有効です。

5-2. 受益者の権利保護

受益者が高齢・判断能力低下・未成年の場合、自ら受託者を監督することが困難です。信託監督人・受益者代理人が受益者の権利を保護します。

5-3. 長期運営の継続性

10年以上の長期信託では、当初の受託者・関係者が高齢化・死亡することが想定されます。後任選定方法・信託監督人の代替体制を契約書で明確化することで、運営の継続性を確保します。

5-4. 紛争予防

受託者の業務に対する受益者・他の家族からの不信・疑念が生じた場合、信託監督人が客観的に業務を確認することで、紛争の予防・早期解決が可能となります。

6. 受益者連続信託・遺言代用信託での活用

6-1. 後継ぎ遺贈型受益者連続信託(信託法第91条)

第1受益者の死亡後に第2受益者へ受益権が移転する受益者連続信託(例:委託者父→第1受益者父→第2受益者母→第3受益者長男→第4受益者孫等)では、信託法第91条の規定により以下の期間制限があります。

【信託法第91条「30年ルール」】

信託契約がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が新たに受益権を取得した場合、その受益者が死亡するまで(または受益権が消滅するまで)信託の効力が継続します。つまり、信託開始から30年経過後は受益権の承継は1度しか認められません。

例:信託契約から28年経過時にDが受益者で、Dが32年経過時に死亡してEへ承継した場合は有効。しかし、Eが死亡してFへの承継はできず、Eの死亡時に信託は終了します。

30年ルールの存在により、受益者連続信託は「半永久的な財産承継」ではないため、信託契約書設計時には30年ルールを踏まえた現実的な受益者指定が必要です。長期にわたって信託が継続するため、信託監督人・受益者代理人の選任が特に重要となります。なお、家族信託自体は30年を超える運営も可能(30年ルールは後継ぎ遺贈型受益者連続信託の期間制限であり、通常の家族信託全体の期間制限ではない)。

6-2. 遺言代用信託(信託法第90条)

遺言代用信託では、委託者死亡後に受益者・受託者・関係者の構成が変わるため、信託監督人・受益者代理人の選任有無、後任候補者、就任承諾、報酬、報告方法を事前に定めておくことが強く推奨されます。

7. 業務範囲の整理

行政書士の業務範囲(行政書士法第1条の2第1項:権利義務に関する書類の作成)

  • 家族信託契約書の文案作成
  • 信託監督人・受益者代理人選任条項の整備(欠格事由非該当の確認、報酬条項、後任選定方法等)
  • 受託者・信託監督人・受益者代理人の報酬条項の設計(信託法第127条第3項準用に基づく)
  • 後任選定方法・信託終了事由(信託法第163条)の設計
  • 信託契約の公正証書化サポート(公証役場との文案調整)
  • 受任者として信託監督人・受益者代理人を引き受け(個別事案に応じて、信託法第137条・第144条準用第124条の欠格事由に該当しないことを前提)

※行政書士が信託監督人・受益者代理人に就任する場合は、信託財産を受託者として引き受けるものではなく、信託契約上の監督・代理機能を担う立場であることを明確にします。継続的・反復的に信託の引受けや信託財産の管理・処分を営業として行う場合は信託業法の免許・登録が問題となるため、業務範囲、報酬、責任、利益相反、辞任・解任、後任選任を個別に確認します。また、信託会社・信託銀行の商品を媒介・代理して信託契約の締結に関与する場合は、信託契約代理業の登録が問題となることがあります。行政書士が行う家族信託契約書の文案作成や公正証書化サポートと、信託会社等のために信託契約締結を媒介・代理する営業とは区別します。

業務範囲外(連携先専門家)

  • 信託登記(不動産信託・株式信託等):司法書士法第3条第1項第1号、司法書士業務
  • 信託に関する税務(贈与税・相続税・所得税)の計算・申告:税理士法第2条、税理士業務
  • 信託受益権・信託財産の評価:目的により担当専門家が異なります。不動産の鑑定評価は不動産鑑定士、相続税・贈与税・所得税の評価・申告は税理士、会社・事業・会計上の評価は公認会計士等と連携
  • 営業信託(信託会社等):信託業法上の規律対象、信託会社の業務
  • 信託をめぐる紛争・調停・訴訟代理:弁護士法第3条、弁護士業務(訴額140万円以下の簡裁訴訟代理は司法書士法第3条第1項第6号により認定司法書士も対応可能)
  • 家庭裁判所での信託監督人・受益者代理人選任申立書の作成:司法書士法第3条第1項第4号、司法書士業務
  • 家事審判の代理人活動:弁護士法第3条、弁護士業務

FAQ|よくあるご質問

Q1. 信託監督人と受益者代理人は両方選任する必要がありますか?
A. 信託法上はいずれも任意設置で、両方選任する義務はありません。ただし、長期運営の家族信託では、受託者監督機能(信託監督人)と受益者代理機能(受益者代理人)を分離することで相互チェックが働くため、両者の併用が推奨されます。なお、受益者代理人が選任されると受益者本人の権利行使が制限される(信託法第139条第4項)ため、受益者の判断能力が十分である場合は信託監督人選任のみとする設計も有力です。

Q2. 信託監督人の報酬はどの程度ですか?
A. 専門家(行政書士・弁護士等)の場合、月額1〜3万円程度が目安として設定されることがあります。家族・親族の場合は無報酬または低額(年額1万円〜)が多いです。信託会社の場合は高額となり、信託財産の規模・業務量・報告頻度・責任範囲により大きく変動します。信託契約に報酬の定めがない場合は無報酬となるため(信託法第127条第3項準用)、契約書で報酬額、増額事由、実費精算、辞任時の精算方法を明確にします。

Q3. 信託監督人・受益者代理人が死亡・辞任した場合の対応は?
A. 信託契約書で後任選定方法を定めておくことが重要です。一般的には、第1順位の後任者・第2順位の後任者を契約書で指定するか、信託監督人・受益者代理人が後任を指名できる規定を置きます。契約書に定めがなく就任不能の場合は、利害関係人の申立てにより裁判所が選任します。

Q4. 行政書士は信託監督人になれますか?
A. 信託法上、信託監督人・受益者代理人の資格に法定の制限はなく、行政書士も就任可能です(受託者本人を除く欠格事由非該当者)。専門性・中立性・継続性の観点から、行政書士・弁護士・司法書士・税理士等の専門家が選任されるケースが増加しています。ただし、継続的・反復的に信託の引受けや信託財産の管理・処分を営業として行う場合は信託業法の免許・登録が問題となるため、業務範囲を明確に区別します。

Q5. 信託監督人を選任せず家族信託を運営すると問題がありますか?
A. 法的には問題ありません(信託監督人・受益者代理人はいずれも任意設置)。ただし、受託者の利益相反行為・不適切運営を防止する仕組みが欠けるため、長期運営では紛争リスクが高まります。長期にわたる家族信託(10年以上)や、後継ぎ遺贈型受益者連続信託(信託法第91条の30年ルールの範囲内で複数世代の財産承継を設計するもの)では、信託監督人の選任を強く推奨します。

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まとめ

信託監督人は、受益者のために自己の名をもって受託者を監督する者で、信託法第131条以下に規定があります。権限の根拠は同法第132条第1項で、信託法第92条各号に掲げる権利(第17号、第18号、第21号、第23号を除く)に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有します。受益者の権利を代理するわけではないため、受益者は自ら権利行使することも可能です。

受益者代理人は、代理する受益者のために受益者の権利に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有する者で、信託法第138条以下に規定があります。権限の根拠は同法第139条第1項です。重要な副作用として、受益者代理人が選任されると、信託法第92条各号の権利および信託行為で留保された権利を除き、受益者本人の権利行使が制限されます(同法第139条第4項)。受益者の自己決定権が大幅に制限されるため、選任は慎重に判断する必要があります。

信託監督人・受益者代理人はいずれも任意設置です。受託者本人は欠格事由(信託法第137条・第144条が準用する第124条)により就任できません。報酬請求権は信託契約に定めがある場合に限り認められるため(信託法第127条第3項準用)、契約書で報酬額・支出方法・後任選定方法を明確に定めることが必須です。

後継ぎ遺贈型受益者連続信託(信託法第91条)には30年ルール(信託契約から30年経過後の受益権承継は1度のみ)の期間制限があります。受益者連続信託は半永久的な財産承継ではないため、契約書設計時には30年ルールを踏まえた現実的な受益者指定が必要です。遺言代用信託(同法第90条)では、委託者死亡後の運営継続のため、信託監督人・受益者代理人の後任候補者・就任承諾・報酬・報告方法を事前に整備しておくことが強く推奨されます。

当事務所では家族信託契約書の文案作成、信託監督人・受益者代理人選任条項の整備、報酬条項の設計、後任選定方法の整備、信託契約の公正証書化サポートを行政書士業務範囲(行政書士法第1条の2第1項:権利義務に関する書類の作成)で対応します。家族信託の監督体制設計をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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