補助金の申請準備を進めていた事業者が、締切間際になって「自社はみなし大企業に該当するため申請できない」と判明する——これは補助金の実務で決して珍しくない事故です。資本金も従業員数も中小企業の基準に収まっているのに、親会社の出資比率や役員の兼任状況によって、公募要領上は補助対象外と扱われてしまうケースがあるためです。
やっかいなのは、「みなし大企業」という言葉が中小企業基本法に定義されていないことです。中小企業庁自身が「中小企業基本法上にはいわゆる『みなし大企業』の規定はありません」と明言しており、これはあくまで個別の補助金の公募要領や個別法が独自に設けている除外規定です。そのため、補助金ごとに判定基準が微妙に異なり、ある補助金では対象外でも別の補助金では対象になる、という事態が起こります。
本記事では、中小企業基本法第2条第1項の中小企業者の範囲という土台を確認したうえで、ものづくり補助金・新事業進出補助金・省力化投資補助金・持続化補助金といった主要な補助金の公募要領が実際にどう「みなし大企業」を定義しているかを、一次情報に基づいて実務目線で整理します。なお、ものづくり補助金と新事業進出補助金は2026年度に統合され、現在は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されています(後述)。出資比率の数え方、役員兼任要件で社外取締役や監査役をどう扱うか、投資育成会社が株主にいる場合の例外、そして「みなし同一法人」という別概念との違いまで、申請前の自己点検に必要な論点を網羅します。
補助金の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、公募要領の要件確認から事業計画書・申請書類の作成、交付決定後の各種手続まで、完全成果報酬型・着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時は完全無料でサポートします。ご相談は何度でも無料です(採択を保証するものではありません)。
目次
「みなし大企業」とは何か——中小企業基本法に規定はない
まず出発点として押さえるべきは、「みなし大企業」が法律上の用語ではないという事実です。中小企業庁が公開している「中小企業の定義に関するよくある質問」のQ7では、大企業である親会社から一定割合の出資を受けているなど大企業の支配下にある会社について、次のように回答しています。
すなわち、中小企業基本法上にはいわゆる「みなし大企業」の規定はないため、同法第2条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当する限り、中小企業者に該当すると解される。ただし、その他の法律や補助金では支援対象から除外している場合があるので、法律の所管担当や補助金等の各窓口に確認してほしい——という内容です。
同じQ7では「大企業の定義」についても、中小企業基本法上には規定がないが、他の法律や補助金等において規定されている場合がある、と説明されています。つまり「中小企業」も「大企業」も「みなし大企業」も、補助金の世界ではその補助金の公募要領が定めた定義がすべてということになります。
なぜ補助金は「みなし大企業」を除外するのか
補助金の多くは、中小企業・小規模事業者の生産性向上や賃上げを政策目的としています。資本金や従業員数という外形的な数字だけで線を引くと、大企業が資本金1,000万円の子会社を設立して申請するといった形で、実質的に大企業の資金力を背景に持つ事業者が支援を受けられてしまいます。これでは限られた予算が本来の支援対象に届きません。
そこで公募要領は、外形基準(資本金・従業員数)に加えて、資本関係と人的関係の両面から「実質的に大企業の支配下にあるか」を判定するという二段構えの仕組みを採用しています。出資比率の基準と役員兼任の基準が併記されているのは、株式を持たずに役員を送り込むだけで支配することも可能だからです。
「同族会社」「関連会社」とは別の概念
実務では「うちは同族会社だからみなし大企業ではない」「連結対象ではないから大丈夫」といった誤解が見られます。しかし、みなし大企業の判定は法人税法上の同族会社の判定とも、会計上の関連会社・子会社の判定とも別の物差しです。あくまで各補助金の公募要領に書かれた出資比率と役員数の基準に、自社の株主名簿と役員名簿を当てはめて判断します。会計基準や税法の判定結果をそのまま流用することはできません。
前提となる「中小企業者」の範囲——中小企業基本法第2条第1項
みなし大企業の判定は「大企業」に該当するか否かを起点とし、その「大企業」は「中小企業者以外の者」として定義されます。したがって、まず中小企業者の範囲を正確に理解しておく必要があります。
中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項は、国の施策の対象とする中小企業者を次の4号に分けて規定しています。
| 業種 | 資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業その他の業種(下記を除く) | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
また同条第5項は「小規模企業者」を、おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については5人)以下の事業者と定義しています。ここでいう「商業」とは卸売業・小売業を指します。
資本金基準と従業員基準は「いずれか」を満たせばよい
条文は「資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人」という書き方をしているため、両方を満たす必要があるように読めます。しかしこれは誤りです。
中小企業庁のFAQのQ5は「両方の基準を満たす必要はありません。『資本金の額又は出資の総額』、『常時使用する従業員の数』のいずれかを満たせば、中小企業者に該当します」と明記し、条文の「並びに」「及び」は法令用語として表記したものであり、この解釈で問題ないと補足しています。
この点は、みなし大企業の判定にそのまま跳ね返ります。「大企業」に該当するのは、資本金と従業員数の両方が基準を超えている場合です。たとえば製造業で資本金5億円・従業員200人の会社は、従業員基準(300人以下)を満たすため中小企業者に該当し、公募要領上の「大企業」ではありません。この会社が100%出資する子会社は、それだけを理由にみなし大企業と判定されるわけではないということになります。親会社の資本金だけを見て早合点しないよう注意が必要です。
「常時使用する従業員」の数え方
中小企業庁のFAQのQ3によれば、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を指すと解されています。労働基準法第20条は、使用者が労働者を解雇しようとする場合には少なくとも30日前に予告しなければならない旨を定めた規定です。
同法第21条により、次の者には解雇予告の規定が適用されません(一定期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)。
- 日日雇い入れられる者
- 2箇月以内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
- 試の使用期間中の者
したがって、これらに該当する者は「常時使用する従業員」に含まれません。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員、出向者については、この条文をもとに個別に判断されると解されています。また会社役員および個人事業主は、予め解雇の予告を必要とする者に該当しないため、常時使用する従業員には含まれないと解されています。この点は従業員数がボーダーライン上にある事業者にとって決定的な差になります。
業種はどう判定するか
FAQのQ4は、まず総務省が所管する日本標準産業分類(最新版は第14回)の分類項目名・説明・内容例示から該当分類を確認し、次に中小企業庁が公開する対応表でどの業種に当たるかを確認する、という手順を示しています。
問い合わせの多い例として、農林漁業は日本標準産業分類上の大分類A(農業、林業)またはB(漁業)に該当するため「その他の業種」に分類されること、製造小売業は製造した商品をその場で販売する場合(パン屋など)は小売業に該当し、製造場所以外で販売する場合は工場が製造業・店舗が小売業となり複数業種に該当すること、電気・ガス事業は大分類F(電気・ガス・熱供給・水道業)に該当するため「その他の業種」となること(ただし電気小売業およびガス小売業を除く)が挙げられています。
別業種に属する複数の事業を持つ場合は、「主たる事業」に該当する業種で判断されるとされています。売上構成が年度によって変動する事業者は、どの事業を主たる事業として整理するかで資本金・従業員数の基準が変わるため、申請前に根拠を整理しておく必要があります。
公募要領は業種をさらに細分化している
注意したいのは、補助金の公募要領が中小企業基本法の4区分をそのまま使っているわけではない点です。ものづくり補助金の第23次公募要領および新事業進出補助金の第4回公募要領は、中小企業者の範囲として次の業種を個別に掲げています。
| 業種 | 資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業は、日本標準産業分類上は情報通信業ですが、公募要領では資本金3億円以下・従業員300人以下という製造業と同じ枠が適用されます。旅館業は従業員200人以下、ゴム製品製造業は900人以下という特例枠です。親会社がこれらの業種に属する場合、一般的なサービス業の基準で判定すると「大企業」と誤認しかねないため、必ず公募要領の表で確認してください。
加えて注意したいのが旅行業です。ものづくり補助金の第23次公募要領は、上表の1行目を「製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他」と定めており、旅行業を資本金3億円以下・従業員300人以下の枠に明示的に含めています。一方、新事業進出補助金の第4回公募要領の表には旅行業の記載がなく、「サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)」と「その他の業種(上記以外)」という区分になっています。同じ旅行業でも、どの行で判定するかが補助金によって異なり得るということです。旅行業を営む事業者が一律にサービス業(5,000万円以下・100人以下)と自己判定すると結論を誤るおそれがあるため、申請しようとする補助金の公募要領の表を必ず現物で確認してください。
法人形態によっては中小企業者に当たらない
中小企業庁のFAQのQ6は、社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合、有限責任事業組合(LLP)について、農業法人(会社法の会社又は有限会社に限る)を除き、中小企業基本法上の「会社」に該当しないと解されることから、同法上の中小企業者には該当しないものと解される、と回答しています。
ただし、個別の法律や補助金では別途取扱いが定められています。ものづくり補助金の第23次公募要領は、一定の要件を満たす特定非営利活動法人(D)と社会福祉法人(E)を補助対象者として明示しており、いずれも従業員数300人以下であること、法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第13号に規定する「収益事業」を行っていることなどを要件としています。新事業進出補助金も「『中小企業者等』に含まれる『中小企業者』以外の法人」として、中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)、法人税法別表第二に該当する法人、農業協同組合法(昭和22年法律第132号)に基づき設立された農事組合法人、労働者協同組合法(令和2年法律第78号)に基づき設立された労働者協同組合などを、従業員数300人以下であることを条件に対象としています。
なお、FAQのQ8は「小規模企業者」と「小規模事業者」の違いにも触れており、前者は中小企業基本法第2条第5項に規定する従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者等、後者は商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律第2条に規定する商工会・商工会議所の支援対象となる小規模の商工業者等を指すとしています。持続化補助金が後者の定義を採用しているのは、この違いによるものです。
補助金の公募要領が定める「みなし大企業」の類型
ここからが本題です。主要な補助金の公募要領は、みなし大企業を具体的な類型として列挙しています。
ものづくり補助金(第23次公募)の5類型
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第23次公募)」は、補助対象外となる事業者として、次の(1)~(5)のいずれかに該当する事業者(みなし大企業)を掲げています。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者等
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者等
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者等が所有している中小企業者等
- (1)~(3)に該当する中小企業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者等
新事業進出補助金(第4回公募)の6類型
「中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第4回)」は、補助対象外となる事業者の9番目に「みなし大企業」を掲げ、(ア)~(カ)の6類型を定めています。(ア)~(オ)はものづくり補助金の(1)~(5)と同内容ですが、さらに次の類型が加わっています。
(カ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を(ア)~(オ)に該当する中小企業者が所有している中小企業者等
これは孫会社・ひ孫会社のルートを塞ぐ規定です。大企業が直接出資していなくても、大企業に支配された中間持株会社を経由して支配されている場合は、みなし大企業として扱われます。
省力化投資補助金(一般型・第7回公募)の6類型
「中小企業省力化投資補助金<一般型>」の公募要領も、①~⑥のいずれかに該当する事業者をみなし大企業としています。①~⑤はものづくり補助金と同内容ですが、6番目に次の独立した項目が置かれている点が特徴です。
⑥ 応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年間の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等
ものづくり補助金や新事業進出補助金では、課税所得15億円超の除外はみなし大企業とは別立ての項目として規定されていますが、省力化投資補助金ではみなし大企業の類型に組み込まれています。位置づけは違っても、結果として補助対象外になる点は同じです。課税所得の金額そのものの算定や確認については、必ず顧問税理士にご確認ください。
2026年度の制度統合——「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」
ここで挙げた公募回のうち、ものづくり補助金の第23次公募(公募期間2026年2月6日~5月8日17時)と新事業進出補助金の第4回公募(令和8年3月27日~6月19日18時)は、いずれもすでに受付を終了しています。2026年度からは両事業が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されています。第1回公募は、公募開始が令和8年6月29日、申請受付開始が令和8年9月30日、申請締切が令和8年10月30日18時です。
統合後の第1回公募要領のみなし大企業は、新事業進出補助金の第4回と同じ(ア)~(カ)の6類型で、役員兼任の類型から社外取締役・監査役を除く注記も引き継がれています。一方、課税所得の年平均額15億円超による除外は、みなし大企業とは別立ての項目として「応募申請時点において」判定する形に置かれています。本記事が第23次・第4回の文言を引用しているのは、類型の考え方が統合後にも引き継がれているためですが、これから申請する事業者は、旧制度の公募要領ではなく統合後の公募要領で判定してください。
「大企業」とは何か——公募要領の定義
各公募要領は「大企業」を、中小企業基本法に規定する中小企業者以外の者と定義しています。ものづくり補助金の第23次公募要領では、補助対象者として掲げられているA)中小企業者、B)小規模企業者・小規模事業者、C)特定事業者の一部、D)特定非営利活動法人、E)社会福祉法人のいずれにも該当しない場合、大企業に該当するとされています。
さらに重要なのが次の2点です。
- 海外企業についても、資本金および従業員数がともに中小企業者の表の数字を超え、「特定事業者の一部」にも該当しない場合は、大企業に該当する(新事業進出補助金では「大企業とみなす」と表現)
- 自治体等の公的機関に関しても、中小企業基本法の範囲外であり、大企業とみなす
外国の親会社を持つ日本法人や、自治体・公的機関からの出資を受けている第三セクター型の法人は、この規定によってみなし大企業と判定される可能性があります。海外親会社の資本金・従業員数は現地通貨や現地基準での把握になるため、換算方法や証拠資料の整理を早めに始めておくべきです。
出資比率・役員兼任の判定実務
「2分の1以上」と「3分の2以上」——単独か合算か
類型①と②は似ていますが、決定的な違いがあります。
| 類型 | 主体 | 比率 |
|---|---|---|
| ① | 同一の大企業(単独) | 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上 |
| ② | 大企業(複数の合算) | 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上 |
①は「同一の」という限定が付いているため、1社の大企業が単独で50%以上を保有している場合に該当します。②は「大企業が」とだけ規定されており、複数の大企業の保有分を合算して3分の2以上になる場合に該当します。
したがって、A社(大企業)が40%、B社(大企業)が30%を保有している場合、単独では50%に達しないため①には該当しませんが、合算で70%となり②に該当します。逆に、大企業1社が55%を保有していれば、その時点で①に該当します。
「以上」なのでちょうど50%も該当する
条文の文言は「2分の1以上」「3分の2以上」です。「超」ではなく「以上」であるため、ちょうど50.0%、ちょうど66.7%(3分の2)でも該当します。会社法の議決権に関する規定では「過半数」「3分の2以上」といった表現が混在するため感覚がずれやすい部分ですが、公募要領の文言どおりに判定してください。
また、判定の分母は「発行済株式の総数又は出資価格の総額」です。議決権の数ではなく株式数・出資額を基準とする書き方になっているため、種類株式を発行している場合など、議決権割合と株式数割合が乖離するケースでは、事前に補助金事務局へ確認したうえで申請するのが安全です。
役員兼任要件——「役員又は職員」の両方が対象
類型③は「大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者等」です。ここで見落とされがちなのが「職員」という文言です。大企業の役員(取締役等)だけでなく、大企業の従業員(職員)が自社の役員を兼務している場合も対象になります。親会社から部長級の社員が出向して子会社の取締役を務めている、といったケースは実務上よく見られますが、これも人数にカウントされます。
取締役3名のうち2名が親会社の従業員を兼ねていれば、2/3となり2分の1以上を満たすため該当します。役員2名のうち1名が該当するだけでも、ちょうど2分の1となり該当します。役員数が少ない中小企業ほど、1名の兼任で基準に触れやすい構造です。
社外取締役・監査役は役員総数に含まれない(補助金による)
新事業進出補助金の第4回公募要領と省力化投資補助金(一般型)の公募要領には、次の趣旨の注記が置かれています。
役員兼任の類型における「役員」には、会社法(平成17年法律第86号)第2条第15号に規定する社外取締役および会社法第381条第1項に規定する監査役は含まれない。
これは判定上きわめて有利に働く注記です。たとえば取締役3名・監査役1名の会社で、取締役のうち1名と監査役が親会社の職員を兼ねている場合、監査役を除外して考えれば「役員総数3名中1名」となり、2分の1以上には達しません。
ただし注意が必要なのは、この注記がすべての補助金の公募要領に明記されているとは限らないことです。ものづくり補助金の第23次公募要領には、同趣旨の注記を確認できませんでした。社外取締役や監査役の扱いが判定の分かれ目になる場合は、当該補助金の最新の公募要領を確認し、それでも判断がつかないときは事務局へ照会してから申請してください。
JV(共同企業体)で申請する場合
新事業進出補助金の第4回公募要領には、JV(共同企業体)構成員の申請において、JVの出資総額の過半数が大企業またはみなし大企業である場合は本規定を準用し補助対象外とする、という定めが置かれていました。一方、統合後の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」第1回公募要領には、この注記は見当たりません。建設業などでJVを組んで申請を検討する場合は、構成員の属性と出資割合を確認したうえで、申請する公募回の公募要領にJVに関する定めがあるかを個別に確認してください。
みなし大企業の規定を適用しない例外
大企業が株式を保有していても、一定の投資主体については、その保有比率をもってみなし大企業の規定を適用しないという例外が定められています。ものづくり補助金・新事業進出補助金の公募要領は、次の4つを挙げています。
- 「中小企業投資育成株式会社法」(昭和38年法律第101号)に規定する中小企業投資育成株式会社
- 「投資事業有限責任組合契約に関する法律」(平成10年法律第90号)に規定する投資事業有限責任組合(LPS)
- 「銀行法」(昭和56年法律第59号)に規定する特定子会社(投資専門会社)が株式を保有し、銀行法および銀行法施行規則に規定されている代表者の死亡および高齢化その他の事由に起因して事業の承継のために支援の必要が生じた会社であって、当該事業の承継に係る計画に基づく支援を受けている会社(事業承継会社)
- 事業承継会社が株式を保有する法人
省力化投資補助金(一般型)の公募要領では、この例外として中小企業投資育成株式会社と投資事業有限責任組合の2つが挙げられています。補助金によって例外の範囲が異なるため、投資ファンドや銀行系の投資専門会社から出資を受けている事業者は、申請しようとする補助金の公募要領を個別に確認する必要があります。
なお、ものづくり補助金の公募要領には「投資専門会社の株式を保有する金融機関が確認書(様式5)を作成することはできません」という但し書きがあり、新事業進出補助金にも同趣旨の記載があります。例外の適用を受けるためには所定の確認書の提出が求められるケースがあるため、必要書類と作成者の要件をあらかじめ整理しておいてください。
ベンチャーキャピタルからの出資を受けているスタートアップが「VCは大企業に当たるのでは」と不安を持つケースがありますが、投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合であれば、上記の例外に当たり得ます。一方、株式会社形態のVCで同法のLPSに該当しない場合は、その資本金・従業員数から大企業に当たるかどうかを個別に判断することになります。
補助金ごとに基準が違う——持続化補助金の独自ルール
ここまでは「みなし大企業」という用語を使う補助金を見てきましたが、そもそもこの用語を使わず、別の切り口で大企業の支配下にある事業者を除外している補助金もあります。その代表が小規模事業者持続化補助金です。
持続化補助金は「資本金5億円以上の法人の100%子会社」を除外
「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回公募 公募要領」は、補助対象者の要件として次の項目を掲げています。
(2)資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
ここでいう「間接に100%の株式を保有」とは、補助対象者の株式を直接保有する者(A社)の資本金は5億円以上ではないものの、A社の株式を直接保有する者(B社)の資本金が5億円以上である場合などを指す、と公募要領は説明しています。第20回公募の申請受付期間は2026年11月5日から12月15日17時までで、本記事の執筆時点では受付開始前の公募回です。ただし持続化補助金は公募回ごとに賃金引上げ特例や補助対象経費の取扱いが改定されているため、必ず申請する公募回の公募要領で確認してください。
ものづくり補助金等の類型とは判定軸が明確に異なります。持続化補助金では、資本金5億円という具体的な金額と、100%という完全支配の基準が採用されており、たとえば大企業が80%を保有しているだけであれば、この要件では除外されません。逆に、資本金5億円の会社(従業員数によっては中小企業者に該当し得る会社)の完全子会社は除外されます。
課税所得の年平均額15億円超の除外は共通
持続化補助金の第20回公募要領は、補助対象者の要件として「(3)確定している(申告済みの)直近過去3年分の『各年』又は『各事業年度』の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと」も掲げています。該当の有無を確認するため、必要がある場合には納税証明書等の提出を求めることがある、とされています。
ものづくり補助金の第23次公募要領も「公募開始日時点において、確定している(申告済の)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者」を補助対象外とし、新事業進出補助金の第4回公募要領も「公募開始時点において」同様の規定を置いています。基準日が「公募開始日時点」なのか「応募申請時点」なのかは補助金によって表現が異なるため、決算期直後に申請する場合は特に注意してください。課税所得の金額の確定や見込みについては、税理士にご確認ください。
「特定事業者の一部」の枠があると対象が広がる
ものづくり補助金や新事業進出補助金には、中小企業者に該当しない事業者であっても対象となり得る「特定事業者の一部」という枠が設けられています。これは中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第2条第5項に規定する「特定事業者」の一部を指すもので、公募要領上は次の基準が示されています。
| 業種 | 常勤従業員数 | 資本金の額又は出資の総額 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業その他の業種 | 500人以下 | 10億円未満 |
| 卸売業 | 400人以下 | 10億円未満 |
| 小売業又はサービス業 | 300人以下 | 10億円未満 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業 | 500人以下 | 10億円未満 |
中小企業等経営強化法第2条第5項は「特定事業者」を、常時使用する従業員の数が500人以下(卸売業は400人以下、小売業又はサービス業は300人以下)の会社および個人等と定めており、公募要領はこれに資本金10億円未満という条件を重ねています。
この枠が重要なのは、みなし大企業の判定における「大企業」の定義に関わるからです。ものづくり補助金の公募要領は、A)~E)に該当しない場合に大企業に該当するとしており、C)の「特定事業者の一部」に該当すればその者は大企業ではありません。親会社の資本金が3億円を超えていても、従業員数が少なく資本金10億円未満であれば、特定事業者の一部に該当して大企業ではないと判定される余地があるということです。親会社が「大企業かどうか」を判定する際は、中小企業者の表だけでなく特定事業者の表も併せて確認してください。
「みなし同一法人」との違い——グループで1社しか申請できない
みなし大企業と混同されやすいのが「みなし同一法人」(補助金によっては「みなし同一事業者」)という概念です。これは大企業支配の問題ではなく、同一グループから重複して申請することを防ぐための規定です。
省力化投資補助金(一般型)の公募要領は、次のような趣旨の規定を置いています。
- 親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一法人とみなし、いずれか1社のみでの申請しか認められない
- 親会社が議決権の50%超を有する子会社が複数存在する場合、親会社と複数の子会社はすべて同一法人とみなし、このうち1社のみでの申請しか認められない
- 個人が複数の会社「それぞれ」の議決権を50%超保有する場合も同様に、複数の会社は同一法人とみなす
- 子会社が議決権の50%超を有する孫会社、さらにその孫会社が議決権の50%超を有するひ孫会社等についても同様の考え方に基づき同一法人とみなす
- みなし同一法人の判定に当たっては、配偶者・親子およびその他生計を同一にしている者はすべて同一として取り扱う
- 過去に交付決定を受けた個人事業主が設立した法人についても同様の取扱いとする
- 上記に該当しない場合であっても、代表者が同じ法人についても同一法人とみなし、そのうち1社のみでの申請しか認められない
あわせて、本補助金を受けることを目的に主要株主や出資比率を変更して申請することも認められない、と明記されています。
ここでの判定基準は「議決権の50%超」であり、みなし大企業の「発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上」とは分母も閾値も異なります。また「代表者が同じ法人」という基準は、資本関係がまったくない法人同士でも同一法人扱いになり得るという点で、実務上インパクトの大きい規定です。中小企業の経営者が複数の法人の代表を兼ねているケースは珍しくないため、グループ内でどの法人が申請するかを事前に決めておく必要があります。
申請前の自己点検と交付決定後の取扱い
自己点検で確認すべき資料
みなし大企業の該当性を確認するために、最低限そろえておきたい資料は次のとおりです。
- 株主名簿(直近の状態。株主ごとの持株数と持株比率を明記)
- 定款(発行可能株式総数、種類株式の有無を確認)
- 履歴事項全部証明書(発行済株式の総数、役員構成、代表者を確認)
- 役員名簿(各役員の他社での役職・雇用関係を併記したもの)
- 主要株主である法人の資本金額と従業員数がわかる資料(登記事項証明書、会社案内、有価証券報告書等)
- グループ内に他の法人がある場合は、議決権保有関係を示した資本関係図
特に見落とされやすいのが役員名簿です。登記簿には他社での兼務状況は記載されないため、各役員に対して「他社の役員または従業員としての地位があるか」を個別にヒアリングし、書面で残しておくことをおすすめします。親会社からの出向者が非常勤取締役に就任している、といった事実は、経理担当者レベルでは把握されていないことがあります。
申請直前の減資・従業員削減は認められない
新事業進出補助金の第4回公募要領は、補助対象者の要件について次の趣旨を明記しています。応募申請時点や事業実施期間に限って資本金の減資や従業員数の削減を行い、事業実施期間終了後に再度増資や増員を行うなど、専ら本補助金の対象事業者となることを目的として資本金・従業員数・株式保有割合等を変更していると認められた場合には、申請時点にさかのぼって補助対象外となる場合があるとされています。
さらに、当該公募回においてみなし大企業やみなし同一事業者で不採択となった事業者が、次回以降の公募回の応募申請時に資本金・従業員数・株式保有割合等を変更する場合など、本補助金の対象となることを目的とした変更と考えられる場合も補助対象外となる、と釘を刺しています。
ものづくり補助金の第23次公募要領にも同趣旨の規定がありますが、名指ししている方向が逆である点に注意してください。第23次公募要領が補助対象外として挙げているのは「応募申請時点において、一時的に資本金の額又は出資の総額並びに常時使用する従業員の数の増加を行うなど、専ら本事業の補助対象者となることのみを目的として、資本金の額又は出資の総額並びに常時使用する従業員の数を変更していると認められる事業者」です。減資や人員削減ではなく、一時的な増加が例示されています。ものづくり補助金は従業員数の区分によって補助上限額が変わる設計(第23次公募では従業員数1〜5人750万円、6〜20人1,000万円、21〜50人1,500万円、51人以上2,500万円)であるため、上限額を引き上げる目的での一時的な増員も対象外事由として明示されているわけです。いずれにせよ、補助金の要件に合わせるためだけの形式的な数字合わせは、増やす方向でも減らす方向でも認められないという点は共通しています。
資本政策を見直すこと自体は経営判断として当然あり得ますが、補助金申請のためだけの形式的な変更と評価されると、採択後であっても取消しの対象になります。減資や株式の異動を検討する場合は、事業上の合理的な理由を説明できる形で進めることが不可欠です。なお、減資や株主構成の変更に伴う登記手続、および税務上の影響については、それぞれ司法書士・税理士にご確認ください。
交付決定後にみなし大企業に該当したらどうなるか
みなし大企業の要件は、申請時点だけを見るものではありません。
ものづくり補助金の第23次公募要領は、申請以降に補助対象者の要件のいずれにも該当しなくなった事業者、およびみなし大企業に該当することとなった事業者を補助対象外としています。ただし、補助事業実施期間終了日の後に資本金の額または出資の総額および常時使用する従業員の数を超えることとなった事業者、およびみなし大企業に該当することとなった事業者は補助対象外とならない、という例外が置かれています。
新事業進出補助金の第4回公募要領は、この条件の適用が応募申請日から補助事業の完了までの間にも及ぶとし、補助事業者がその間に株主または役員を変更することによりみなし大企業に該当することとなった場合は、当該補助事業者の交付決定を取り消す、と明記しています。省力化投資補助金(一般型)も、本条件の適用は補助事業実施期間中にも及ぶとしています。
また、ものづくり補助金の公募要領は、事業者の義務(遵守事項)の項目でも、補助事業実施期間中に補助対象事業者要件に該当しなくなった場合や、株主または役員を変更することによりみなし大企業に該当することになった場合等で、辞退・廃止をするべきところその手続きをしない不適当があったものは、事務局において交付決定取消しとするとしています。該当することになった時点で自主的に届け出る義務があるという点は、見落とされがちですが重要です。
補助事業実施期間中にM&Aによる資本参加や第三者割当増資を予定している場合、そのタイミング次第で交付決定が取り消され、既に支出した経費が自己負担になるおそれがあります。資本政策と補助事業のスケジュールは、必ずセットで検討してください。事業承継・M&A補助金|事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠の使い分け(旧事業承継・引継ぎ補助金)もあわせてご確認ください。
よくある誤解と質問
Q. 大企業が株主にいるだけで申請できないのですか
いいえ。判定はあくまで比率です。大企業1社が単独で発行済株式の総数の2分の1未満しか保有しておらず、複数の大企業の合算でも3分の2未満であれば、出資比率による類型には該当しません。ただし、役員兼任の類型や、間接支配の類型(大企業に支配された中小企業者が自社株を保有しているケース)に該当しないかを別途確認する必要があります。
Q. 親会社の資本金が3億円を超えていれば自動的に「大企業」ですか
いいえ。中小企業者は資本金基準と従業員基準のいずれかを満たせば該当するため、資本金が基準を超えていても従業員数が基準以下であれば中小企業者です。さらに、ものづくり補助金や新事業進出補助金には「特定事業者の一部」の枠があり、資本金10億円未満で一定の従業員数以下であればこれに該当し得ます。親会社が大企業かどうかは、資本金と従業員数の両方を確認したうえで判定してください。
Q. 監査役が親会社の従業員を兼ねている場合はどうなりますか
新事業進出補助金と省力化投資補助金(一般型)の公募要領では、会社法第381条第1項に規定する監査役は役員兼任の類型における「役員」に含まれないと明記されています。したがって、これらの補助金では監査役はカウントされません。一方、同趣旨の注記がない公募要領では扱いが異なる可能性があるため、申請しようとする補助金の公募要領で個別に確認してください。
Q. 自治体から出資を受けている第三セクターは対象になりますか
公募要領は、自治体等の公的機関に関しても中小企業基本法の範囲外であり大企業とみなす、と定めています。したがって、自治体が単独で2分の1以上を出資している場合などは、みなし大企業の類型に該当することになります。出資比率を正確に確認してください。
Q. 補助金ごとに判定が違うなら、どれを見ればよいですか
申請しようとしている補助金の、その公募回の公募要領です。中小企業庁のFAQも「法律の所管担当や補助金等の各窓口にご確認ください」と繰り返し案内しています。同じ補助金でも公募回によって要件が改定されることがあるため、前回公募の公募要領や解説記事を根拠にするのは危険です。必ず最新版の公募要領本文に当たってください。補助金スケジュール2026年版|主要補助金の公募時期・締切一覧カレンダーで公募時期を確認したうえで、各補助金の最新の公募要領を入手するのが実務的な流れです。
Q. みなし大企業に該当した場合、ほかに使える制度はありますか
補助金によって除外の切り口が異なるため、ある補助金で対象外でも別の補助金では対象になることがあります。たとえば持続化補助金は「資本金5億円以上の法人による100%保有」という基準であり、大企業が80%を保有している事業者はこの要件では除外されません(ただし小規模事業者としての従業員数要件を満たす必要があります)。また、経営革新計画とは?中小企業等経営強化法第14条・新事業活動5類型・付加価値額3%/給与支給総額1.5%・補助金加点を解説で解説している経営革新計画のように、補助金以外の支援制度を組み合わせる選択肢もあります。補助金不採択時の対応戦略|不採択理由の見直し・改善版での再申請・別補助金併願の進め方もあわせてご参照ください。
Q. 判定に迷ったときはどうすればよいですか
各補助金の事務局に設けられている問い合わせ窓口へ照会するのが確実です。株主構成や役員兼任の状況を具体的に示したうえで照会し、回答内容と照会日時を記録に残しておいてください。判断が微妙なまま申請して採択後に取り消されると、既に支出した経費が全額自己負担になるうえ、その後の申請にも影響します。補助金申請の事業計画書の書き方|採択率を上げる5つのポイント・記載例・加点要素で解説しているとおり、事業計画の中身以前に、対象者要件のクリアが大前提です。
みなし大企業に該当するか判断がつかない、対象者要件のクリアから相談したいという事業者さまへ。行政書士法人Treeでは、公募要領の要件確認、事業計画書・申請書類の作成、交付決定後の各種手続を完全成果報酬型・着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時は完全無料でサポートします。ご相談は何度でも無料です(採択を保証するものではありません)。
まとめ
「みなし大企業」は中小企業基本法上の概念ではありません。中小企業庁も、同法上にみなし大企業の規定はなく、第2条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当する限り中小企業者に該当すると解する、と明言しています。除外規定を設けているのは個別の補助金の公募要領であり、判定基準もそこに書かれた文言がすべてです。
判定の土台は中小企業基本法第2条第1項の中小企業者の範囲です。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下で、資本金基準と従業員基準はいずれか一方を満たせば足ります。裏を返せば、「大企業」に当たるのは両方の基準を超える場合であり、親会社の資本金だけを見て大企業と決めつけるのは誤りです。
公募要領の類型は出資比率と役員兼任の二本立てです。同一の大企業が単独で2分の1以上を保有する場合、複数の大企業の合算で3分の2以上を保有する場合、大企業の役員または職員を兼ねる者が役員総数の2分の1以上を占める場合が基本形で、これに間接支配のルートを塞ぐ類型が加わります。いずれも「超」ではなく「以上」である点、そして「職員」の兼務も含まれる点に注意が必要です。
補助金ごとに基準が異なります。ものづくり補助金は5類型、新事業進出補助金は6類型、省力化投資補助金は課税所得15億円超を含む6類型を定める一方、持続化補助金は「みなし大企業」という語を使わず、資本金5億円以上の法人による直接・間接の100%保有という別の基準で除外しています。社外取締役・監査役を役員総数から除く注記の有無も補助金によって違います。必ず申請する公募回の公募要領本文で確認してください。
要件は申請時点だけの問題ではありません。応募申請以降に株主や役員が変わってみなし大企業に該当すると、交付決定の取消しにつながります。行政書士法人Treeでは、公募要領の要件確認、申請書類・事業計画書の作成、交付決定後の各種手続について、行政書士の業務範囲内でサポートしています。株主名簿・役員名簿など申請に必要な資料の整理でお困りの際は、申請準備の早い段階でご相談ください。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


