車両関連

回送運行許可(ディーラーナンバー)の取得|対象事業者・要件・必要書類

更新: 約25分で読めます

新車ディーラー、中古車販売店、陸送会社、整備工場が「車検の切れた車」「まだ登録していない車」を自社の業務で動かすとき、1台ごとに市区町村で仮ナンバーを取っていては業務が回りません。そこで用意されているのが、回送運行許可(通称ディーラーナンバー・赤枠ナンバー)です。道路運送車両法第36条の2に基づく許可を受けると、1組の番号標を複数の車両に付け替えて反復的に回送できるようになります。本記事では、どの事業者が対象になるのか、許可基準・必要書類・手数料・許可後の管理義務・違反したときの処分まで、一次情報を確認しながら実務目線で整理します。

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回送運行許可(ディーラーナンバー)とは|道路運送車両法第36条の2の特例

自動車は原則として、登録を受けていなければ運行の用に供することができず(道路運送車両法第4条)、自動車登録番号標を表示しなければ運行できず(同法第19条)、有効な自動車検査証の交付を受けていなければ運行できず(同法第58条第1項)、自動車検査証を備え付けて検査標章を表示しなければ運行できません(同法第66条第1項)。つまり、未登録の新車や車検切れ・抹消済みの中古車は、そのままでは公道を走れません。

この原則に対する例外が、同法第36条の2に定める回送運行の許可です。条文は「自動車の回送を業とする者で地方運輸局長の許可を受けたものが、その業務として回送する自動車(以下「回送自動車」という。)で、次に掲げる要件を満たすものを、当該許可の有効期間内に、当該回送運行許可証に記載された目的に従つて運行の用に供するときは、第四条、第十九条、第五十八条第一項及び第六十六条第一項の規定は、当該自動車について適用しない」と定めています。

「次に掲げる要件」とは、同項第1号の回送運行許可番号標を国土交通省令で定める位置・方法で表示していること、第2号の回送運行許可証を備え付けていることの2つです。この2要件を欠いたまま走らせれば、そもそも特例の適用がなく、無登録運行・無車検運行の問題に直結します。

臨時運行許可(仮ナンバー)との違い

よく混同されるのが、同法第34条・第35条の臨時運行の許可、いわゆる仮ナンバーです。両者は根拠条文も許可権者も運用も別物です。

臨時運行許可(仮ナンバー) 回送運行許可(ディーラーナンバー)
根拠条文 道路運送車両法第34条・第35条 道路運送車両法第36条の2
許可権者 地方運輸局長、市及び特別区の長、政令で定める町村の長(第34条第2項) 地方運輸局長(第36条の2第1項)
許可できる場合 試運転、新規登録・新規検査・検査証が有効でない自動車の継続検査その他の検査の申請のための提示の回送、その他特に必要がある場合(第35条第1項) 自動車の製作・販売・陸送・特定整備を業とする者が業務として回送する場合(施行規則第26条の2第3号)
有効期間 5日を超えてはならない(第35条第3項本文) 5年を超えてはならない(第36条の2第2項)
使い方 1回の許可につき、目的および経路を定めて運行 許可証記載の目的に従い、複数の車両に反復して使用
申請手数料 運輸監理部長・運輸支局長が行う場合は自動車1両につき750円(道路運送車両法関係手数料令第1条の表6の項)。市区町村が行う場合の手数料は各自治体の定めによる 回送運行許可証の交付につき、1枚あたり許可の期間1月までごとに2,050円(同令第1条の表7の項)

臨時運行許可は「1台につき1回・最長5日・経路指定」という一時的な制度であるのに対し、回送運行許可は「事業者に対して継続的に与えられ、番号標を付け替えて何台にも使える」制度です。台数がまとまるディーラー・陸送会社にとっての差はきわめて大きいといえます。仮ナンバーの取り方については車検切れの車を移動するには?仮ナンバーの取得方法・必要書類・電子車検証の注意点を解説も参考にしてください。

軽自動車・小型二輪への準用

回送運行許可の規定は、道路運送車両法第73条第2項により検査対象軽自動車および二輪の小型自動車にも準用されます。この場合、第36条の2第1項中の「第十九条」は「第七十三条第一項」(車両番号標の表示の義務)と読み替えられます。軽自動車・小型二輪に限って許可証の交付を受ける場合、実務上は許可証の備考欄にその旨が記載されます。

許可を受けられる事業者|製作・販売・陸送・特定整備の4業種

道路運送車両法施行規則第26条の2は、地方運輸局長が回送運行の許可をしようとするときの基準として、次の3つを審査すると定めています。

  • 法および法に基づく命令の規定を遵守して回送自動車を運行の用に供すると認められること
  • 回送運行許可証および回送運行許可番号標を適切に管理すると認められること
  • 自動車の製作、陸送、販売又は特定整備を業とする者であること

つまり、対象となるのはこの4業種に限られます。一般の会社が社用車の移動を効率化したい、といった理由では許可を受けられません。各運輸局が定める回送運行の許可事務等の取扱要領(名称は局により異なります)では、業種ごとに業を証する書面が指定されています。

製作(架装を含む)を業とする者

自動車メーカーやボディメーカー、架装業者が該当します。業を証する書面としては、一般社団法人日本自動車工業会、一般社団法人日本自動車車体工業会、一般社団法人日本建設機械工業会の会員であることの書面、またはその他の製作を業とすることの書面が挙げられています。

販売を業とする者

新車ディーラー、中古車販売店、輸入車販売店が該当します。業を証する書面は次のとおり区分されています。

  • 新車販売:メーカーの証明書、またはその他の新車の販売を業とすることの書面
  • 中古車販売:各都県の中古自動車販売商工組合もしくは中古自動車販売協会の会員であることの書面、または都道府県公安委員会が発行する古物営業許可証の写し
  • 輸入車販売:日本自動車輸入組合もしくは外国自動車輸入協同組合の会員であることの書面、またはその他の輸入車の販売を業とすることの書面

中古車販売店の場合、古物商許可が業を証する書面として使えるのが実務上のポイントです。古物商許可の取得については中古車販売の古物商許可|自動車商の必要書類・費用・古物台帳・本人確認を解説で詳しく整理しています。

陸送を業とする者

他人から委託を受けて自動車を回送する事業者です。貨物自動車運送事業法・貨物利用運送事業法に基づく運送事業者、港湾運送事業法に基づく事業を行う者で陸送を業とする者、それ以外の陸送業者に分かれ、いずれも回送委託契約書の写しまたは一般社団法人日本陸送協会の会員であることの書面等が求められます。

特定整備を業とする者

令和2年4月の制度改正で、従来の「分解整備」は特定整備(分解整備+電子制御装置整備)に再編されました。回送運行許可の取扱要領も、これに合わせて「分解整備を業とする者」から「特定整備を業とする者」へ改められています。業を証する書面は、各都県の自動車整備振興会の会員であることの書面、または道路運送車両法第78条に規定する自動車特定整備事業の認証を受けたことを証する書面の写し、もしくは同法第94条の2第1項の指定自動車整備事業の指定を受けたことを証する書面の写しです。認証制度そのものについては特定整備認証の取り方|申請に必要な書類・要件・手続き流れおよび自動車特定整備事業の認証・指定整備工場とは?道路運送車両法第78条・第94条の2、電子制御装置整備を解説をご覧ください。

なお特定整備業者については、関東・近畿・北陸信越いずれの要領でも、許可申請日の直前の連続した2年間および申請日から許可を受けるまでの間に、「自動車整備事業者に対する行政処分等の基準について」(平成18年3月2日付け国自整第126号)に基づく行政処分を受けていないことが審査事項に加えられています。

回送の目的|許可証に記載された目的以外には使えない

回送運行許可で特に注意が必要なのが「目的外使用」です。法第36条の2第1項は「当該回送運行許可証に記載された目的に従つて運行の用に供するとき」に限って特例を認めており、同条第6項は許可証に回送の目的を記載しなければならないと定めています。各運輸局の取扱要領は、記載できる回送の目的を業種別に次のように列挙しています。

  • 製作(架装を含む)を業とする者:自社の製作工場とテストコースとの間の回送/製作工場と車体架装工場との間の回送/製作工場から自動車置場までの回送
  • 陸送を業とする者:自社が回送を委託された自動車の、委託者の指示する場所間の回送
  • 販売を業とする者:仕入先から営業所までの回送および自動車を納品するための回送/自動車置場・車体架装工場・改造作業工場・整備工場と営業所との間の回送/展示または顧客への提示のための営業所と展示場所・顧客所在地との間の回送/仕入れまたは販売に伴って必要となる車検・登録・封印のための回送/販売に伴って発生した下取り車の適正な処理のための回送
  • 特定整備を業とする者:車検のために自ら特定整備しようとする自動車の引取りのための回送/車検のために自ら特定整備した自動車の引渡しのための回送/自ら特定整備した自動車の車検のため車検場までの回送

ここから外れる使い方、たとえば従業員の通勤、社内の使い走り、顧客への代車としての貸出し、自社が回送業務として受託していない車両の移動などは、いずれも目的外使用にあたります。法第36条の2第8項第2号は「回送運行許可証に記載された回送の目的に従わないで回送自動車を運行の用に供したとき」を返納命令・許可取消しの事由として明記しています。

また、許可を受けた者以外の者や、許可証の交付を受けた営業所以外の営業所に番号標を使わせることも、同項第1号の「回送自動車以外の自動車のために利用されたとき」に該当する行為として、行政処分基準に具体的に列挙されています。グループ会社や取引先へ貸与しないという運用の徹底が不可欠です。

なお、許可を受けた後で回送の目的を追加したい場合は、取扱要領に定める「目的の追加申請書」を営業所ごとに提出する取扱いがあります。ただし追加できる範囲は、製作・販売・陸送に係る目的に特定整備に係る目的を加える場合、またはその逆の場合に限られています。

許可基準は地方運輸局ごとに異なる|関東・近畿・北陸信越の比較

施行規則第26条の2は、業種について「自動車の製作、陸送、販売又は特定整備を業とする者であること」と定めるのみです。具体的な台数要件・人数要件は、各地方運輸局が定める取扱要領の別表で定められており、その内容は局によって異なります。ここを取り違えると、要件を満たさず許可を受けられないおそれがあります。公示されている内容を比較すると、次のような差があります。

業種 関東運輸局(令和4年4月14日公示) 近畿運輸局(令和4年4月1日公示) 北陸信越運輸局
製作業 月平均の製作実績10両以上 1か月平均の製作両数10両以上 1か月平均の製作車両数5両以上
販売業 月平均の販売実績12両以上(大型自動車・輸入自動車は1両を2両分として計算) 新車販売10両以上/中古車販売10両以上/輸入車販売5両以上 1か月平均の販売車両数10両以上(輸入車は1両を2両として計算)
陸送業 製作または販売を業とする者と1年以上継続する回送委託契約を締結し、運行管理に自ら責任を負い、回送業務従事運転者が常時10人以上 1年以上の回送委託契約を締結し運行管理に自ら責任を負い、陸送業務に直接従事する運転者数が10名以上 直接陸送に従事する運転者数10名以上(貨物自動車運送事業法の許可を受け車両運搬車を使用する者は1両につき1名以上)
特定整備業 許可申請日の直前1年間の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上(2回目以降の許可は直前1年間の回送運行実績が7台以上)

端数処理も局によって違い、関東は「1両未満は1両に切り上げる」、近畿は「1両未満の端数は四捨五入」としています。近畿はさらに「小型二輪自動車の場合は上記基準のそれぞれの業種の2倍とする(特定整備を業とする者を除く)」という加重を設けています。

関東運輸局は大型自動車の定義を「車両総重量8,000kg以上のもの、最大積載量が5,000kg以上のもの、又は乗車定員が30人以上のもの」と明示しており、輸入自動車は「外国において製作された自動車」としています。いずれの局も「やむを得ない事情があると認められるときは実情に応じて判断する」旨のただし書きを置いていますが、これは例外的な調整規定であって、原則は別表どおりと考えるべきです。

沖縄県については地方運輸局ではなく内閣府沖縄総合事務局が所管し、沖縄総合事務局長の許可を受けることになります。同局も「回送運行許可等事務の取扱要領」および「回送運行許可を受けた者に対する行政処分等基準」を公示しています。申請前に、必ず自社の営業所を管轄する運輸局等の最新の公示を確認してください。

申請手続の流れと必要書類・手数料

手続は「許可」と「許可証の交付・番号標の貸与」の2段階

回送運行許可の手続は2段階に分かれます。第1段階が回送運行の許可で、申請先は地方運輸局長ですが、営業所(管内に営業所が複数あり業態が同一の場合は主たる営業所)の所在地を管轄する運輸監理部長・運輸支局長または自動車検査登録事務所長を経由して申請書(正本1通)を提出します。第2段階が回送運行許可証の交付および回送運行許可番号標の貸与で、こちらは施行規則第26条の3により運輸監理部長または運輸支局長に申請します。

引き続き許可を受けようとする場合(更新にあたるもの)は、取扱要領上、現に許可を受けている期間の終期日の2か月前までに許可申請書を提出しなければならないとされています。終期日は局・業種ごとに定められており、たとえば近畿運輸局は9月30日、北陸信越運輸局は運輸支局により7月15日または7月31日、関東運輸局は業種別に7月31日または11月30日と公示されています。有効期間は法律上5年が上限ですが、終期日が固定されているため実際の期間が一律5年になるとは限りません。自社の終期日は許可書で必ず確認してください。

許可申請書に添付する書類

施行規則第26条第1項は、申請書の記載事項として「氏名又は名称及び住所」「営業所の名称及び所在地」「現に営んでいる事業の種類及びその概要」を定めています。取扱要領は、これに加えて次の添付書類を求めています(関東運輸局の要領第4条による。局により様式番号は異なります)。

  • 登記事項証明書(現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書)。個人の場合は住民票の写し。いずれも許可申請の日からさかのぼって3か月以内に発行されたもの
  • 運転者等に対する法令関係の研修の実施状況および計画を記載した書面
  • 社内取扱内規(管理責任者の選任と職務、その代務者、取扱責任者とその代務者、許可証等の保管方法と使用手続、運転者等の服務、紛失時の対処方法、研修、届出、帳簿等の保存、内規の実施日など11項目を規定したもの)
  • 管理責任者・取扱責任者・これらの代務者の配置計画を記載した書面
  • 製作・販売・陸送・特定整備を業とすることの書面(前章のとおり業種別)
  • 実績等を証する書面:許可申請日の直前3か月間の製作・販売・陸送の実績(製作または陸送で新規申請かつ実績がない場合は向こう3か月間の計画数)。関係団体の会員であることの書面やメーカーの証明書で実績等が証明されている場合は添付不要
  • 陸送業者の追加書類:回送業務に従事する運転者の氏名等を記載した書面、回送委託者一覧表、専ら自動車を積載する事業用自動車(積載車)を有する場合はその自動車登録番号を記載した書面
  • 特定整備業者の追加書類:直前1年間の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上であることを証する書面(自動車整備振興会の会員であることの書面で実績が証明されている場合は不要)

なお、法人の分割または相続により許可に係る業を承継し引き続き回送運行を行おうとする者は、遅滞なく許可申請の手続を取らなければならず、分割契約書・分割計画書、戸籍謄本・戸籍の全部事項証明書等を添付します。この申請をした場合、許可または不許可の通知を受ける日までは許可を受けているものとみなされます。

許可証の交付等の申請と自賠責保険

許可を受けたら、営業所を管轄する支局長等に許可証の交付等申請書を提出します。添付書類は実績等計画書(許可証の交付枚数が1枚である場合は不要)などです。ここで重要なのが自動車損害賠償責任保険証明書の提示で、取扱要領は「保険証の保険期間は、許可の有効期間に相当する期間を充足するものでなければならない」と定めています。保険契約が締結してある旨の保険会社の証明書を添付して提出することで、提示に代えることもできます。

自賠責保険は番号標ごとに契約することになるため、番号標の枚数が増えれば保険料も積み上がります。損害保険料率算出機構は2026年4月30日に金融庁長官へ自賠責保険の基準料率変更を届け出ており、全車種平均6.2%の引上げとなる新料率は2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用されます。更新のタイミングによって保険料が変わりますので、資金計画を立てる際は保険会社に最新の料率をご確認ください。自賠責保険証明書の名義に関する手続は自賠責保険証明書の名義変更|必要書類・権利譲渡通知・解約返戻金・自動車譲渡時の手続で整理しています。

手数料

道路運送車両法関係手数料令第1条の表7の項は、回送運行許可証の交付を申請する者の手数料を「一枚につき許可の期間一月までごとに二千五十円(その額が五千円以上である場合であって、その額に百円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた額)」と定めています。回送運行の許可そのものには手数料の定めがなく、費用が発生するのは許可証の交付段階です。実際の金額は次のようになります。

  • 1か月:2,050円 / 6か月:12,300円 / 12か月:24,600円
  • 24か月:49,200円 / 36か月:73,800円 / 48か月:98,400円
  • 60か月(5年):123,000円

これは許可証1枚あたりの金額です。番号標を5組貸与してもらうなら単純計算で5倍になりますので、必要枚数の見積りは慎重に行ってください。

番号標の貸与枚数と後面表示省略

貸与枚数は実績に応じて上限が決まる

法第36条の2第5項は「地方運輸局長は、第一項の許可を受けた者に対し、その申請に基づき、必要と認められる数の回送運行許可証を交付するとともに、これに対応する数の回送運行許可番号標を貸与するものとする」と定めています。「必要と認められる数」の判断基準も取扱要領の別表に置かれており、局ごとに算式が異なります。

  • 関東運輸局(別表3):製作業は月平均製作両数10両までで2組以内、11両以上50両までは「2+(A−10)÷10」、51両以上100両までは「6+(A−50)÷20」、101両以上は「9+(A−100)÷50」(小数点以下切上げ)。販売業は12両までで2組以内から始まり、1,001両以上で「60+(A−1,000)÷60」。陸送業は回送運行業務に従事する運転者1人に対し1組、積載車1両に対し1組が限度。特定整備業は営業所ごとに1組
  • 近畿運輸局(別表2):製作業は1か月の製作両数20両までで2組以内、50両までで4組以内、100両までで8組以内、200両までで16組以内、300両までで24組以内、300両超は50両増すごとに1組。新車販売は100両までで12組以内から始まり500両までで40組以内。陸送業は「運転者×0.9」。特定整備業は1組。いずれも算出した限度数が回送要員数を上回るときは回送要員数が限度
  • 北陸信越運輸局(別表第2):製作業は1か月平均5両以上で2枚、10両以上で3枚以内、以降10両増すごとに2枚以内。販売業は10両以上で2枚、以降10両増すごとに2枚以内。陸送業は運転者1名につき1枚以内。特定整備業は1営業所につき1枚

施行規則第26条の3第1項第4号は、申請書に貸与を受けようとする番号標の数とあわせて金属製のものか合成樹脂製のものかの別を記載すると定めています。番号標の材質・強度については同規則第26条の6第2項が、使用に十分耐える厚さ、金属製の場合は十分な硬度、腐食・さび・亀裂が生じるおそれが少ないこと、塗装の変色・退色や塗膜の剝げ落ちのおそれが少ないことを求めています。

後面表示省略の制度

施行規則第26条の5は、運輸監理部長または運輸支局長が「回送運行の許可を受けていることを明らかにするために必要な措置を講じていると認めるとき」に、番号標を前面のみに表示すればよい(後面表示を省略できる)取扱いを認めています。取扱要領はその要件を次のように定めています。

  • 同一経路において、自動車の回送運行を反復・継続して行うこと
  • 工場、メーカー保管ヤード、船積み港、船揚げ港、積載車荷扱い場、販売会社保管ヤード、納整センター、架装工場保管ヤード、架装工場のうち2施設間において、事前に特定した経路を運行するものであること

手続としては、2施設それぞれの名称・住所・種別と、過去1年間の取扱い台数または向こう3か月間の取扱い見込み台数を記載した後面表示省略届出書を、経路を明示した地図等とともに主たる営業所の所在地を管轄する運輸支局等へ提出します。そのうえで、代替措置として次の対応が求められます。

  • 回送経路が公道横断のみの場合:回送自動車が隊列を組んで走行し、隊列の最後尾に運転者を運送する足車(登録を受けた自動車)が随走して、後面表示のない自動車が前方を走行している旨等を表示する。横断時に一般車両を一時止めるなど、隊列が崩れないための措置を確実に実行する
  • 公道を走行する場合:回送自動車の後面に「回送運行を行う者を特定するための表示」を取り付ける。表示は許可を受けた者の氏名または名称を縦10cm・横20cm以内に、後方から識別可能な方法で表示する

後面表示省略をやめる場合には、廃止届出書の提出が必要です。届け出た経路以外を後面表示省略のまま運行すると、行政処分基準上の違反行為として扱われます。

許可後の管理義務|管理責任者・帳簿・研修・報告・返納

回送運行許可は「取って終わり」ではありません。法第36条の2第3項に基づいて許可に条件が付され、各局の取扱要領がその内容を具体化しています。監査で指摘されやすい項目を整理します。

体制の整備

  • 社内取扱内規の作成:許可申請時に提出したものを実態に合わせて維持し、業務の実態に適合しなくなったときはすみやかに改正する
  • 管理責任者の選任:許可証等の管理に加え、回送運行を行う自動車が保安基準に適合していることの確認体制の構築、運転者等への教育・指導・監督を担わせる。主たる営業所以外の営業所に許可証等を配置したときは、営業所ごとに取扱責任者を選任する
  • 代務者・確認者:管理責任者・取扱責任者の不在時に職務を代行する代務者、保安基準適合の確認等を行う確認者を選任することができる
  • 研修:運転者等に対して少なくとも年1回以上法令等の研修その他必要な事項を実施し、研修等実施記録簿に実施日・研修内容・受講者を記録する

帳簿・記録

  • 管理責任者等名簿・確認者等名簿:選任・変更のつど記録する
  • 番号標台帳:貸与を受けた番号標に係る所定事項を記録する
  • 許可証等管理簿:許可証等を使用させるとき、および返納があったときに記録する。パソコン等で作成したファイルも含まれる
  • 回送業務従事運転者台帳:陸送を業とする者が営業所ごとに備え付ける
  • 保存期間:これらの帳簿等は、許可の有効期間の満了(取消しの場合は取消しの日、廃止届出の場合は届出日)後6か月間保存し、運輸支局等の求めに応じて提示できるようにする

使用時のチェックと運転者の遵守事項

管理責任者等は、回送自動車を運行しようとする者に許可証等を使用させるとき、①保安基準適合の確認が行われていること、②使用者が自己の営業所の者であること(陸送業者は運転者台帳に記載されている者であること)、③回送の目的が許可証に記載されているものであること、④使用の期間が適正であること、を確認しなければなりません。

運転者側の遵守事項は次のとおりです。

  • 番号標を自動車の前面および後面(二輪車・三輪車・前面の番号標を省略できる大型特殊自動車は後面。後面表示省略を行う場合は代替措置による)に、番号の識別に支障が生じない位置・方法で表示すること
  • 許可証を回送自動車の前面の見やすい位置に表示すること(前面ガラスのないものは適宜の方法で前面に表示)
  • 自賠責保険証明書を備え付けること
  • 回送自動車から離れるときは、許可証等の盗難・紛失がないよう留意すること
  • 運行を終了したときは、すみやかに許可証等を管理責任者等に返納すること

そもそも、回送自動車が保安基準に適合していなければ運行の用に供してはならず、その確認は使用者(運転者)または確認者が行わなければならないと要領に明記されています。

届出・報告・返納

次の事由が生じたときは、遅滞なく届出書を提出しなければなりません。氏名・名称・住所の変更、営業所の名称・所在地の変更、管理責任者の変更、社内取扱内規(社内取扱規程)の変更、業の廃止、営業所の新設・廃止、法人の合併、特定整備業者が法第93条の認証の取消しを受けたとき、などです。氏名等の変更や合併には登記事項証明書、内規変更には変更後の内規を添付します。

年次報告も条件に含まれており、回送運行に関する業務について、前年度末の状況を毎年5月31日までに所定の様式で報告しなければなりません。

返納については法第36条の2第7項が直接定めています。許可の有効期間が満了したとき、または許可を取り消されたときは交付を受けている許可証等の全部を、返納命令を受けたときはその命令に応じ全部または一部を、その日から5日以内(取消し・命令の場合は通知を受けてから5日以内)に地方運輸局長へ返納します。

紛失・盗難・毀損の場合は、まず管理責任者等に報告するとともに、紛失等の場合は警察署長に届け出、そのうえで紛失届を支局長等に提出します。届出のあった日から1か月を経過しても番号標が発見されないときは無効の公示が行われ、公示期間は1か月間です。番号標を紛失等または毀損したときは現物をもって弁償しなければならないとされています。

違反した場合の行政処分と罰則

行政処分は点数制

法第36条の2第8項は、①回送運行許可証または番号標が回送自動車以外の自動車のために利用されたとき、②許可証に記載された回送の目的に従わないで回送自動車を運行の用に供したとき、③許可に付した条件に違反したとき、に地方運輸局長が許可証等の全部もしくは一部の返納を命じ、または許可を取り消すことができると定めています。さらに第9項は返納命令を受けた者に対して6か月以内の期間を定めて許可証の交付・番号標の貸与を行わないことができるとし、第10項は許可を取り消された者に対して取消しの日から2年を経過する日までは新たな許可を行わないと定めています。

各局が公示する行政処分等基準は、違反行為の類型ごとに基準点数を定め、営業所および事業者を単位として累計する点数制を採っています。関東運輸局の公示(令和4年4月14日)を例にとると、多くの類型で「臨時・偶発的と認められるもの」は初違反3点、「反復継続・計画的と認められるもの」は初違反5点・再違反7点・再々違反9点とされ、累計点数に応じた処分内容は次のとおりです。

累計違反点数 行政処分等の内容
20点 回送運行許可の取消し
15〜19点 違反営業所の許可証等の全部返納および6か月間の交付・貸与の停止
11〜14点 許可証等の50%返納および3か月間の交付・貸与の停止
7〜10点 許可証等の20%返納および2か月間の交付・貸与の停止
4〜6点 許可証等の1組返納および1か月間の交付・貸与の停止
1〜3点 文書警告

付与された違反点数は、行政処分等を受けた日から3年を経過する日をもって消滅します。ただし、その日の過去2年間に他の行政処分等を受けておらず、かつ改善指導事項が確実に履行されている場合は、2年を経過する日で消滅する取扱いです。

刑事罰

行政処分とは別に、刑事罰も定められています。

  • 法第108条第1号:第4条(無登録運行)、第36条の2第7項(許可証等の返納義務)、第58条第1項(無車検運行)などの違反について、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
  • 法第109条第1号・第9号:第19条(自動車登録番号標の表示義務)違反、第66条第1項(自動車検査証の備付け・検査標章の表示)違反について、50万円以下の罰金
  • 自動車損害賠償保障法第86条の3第1項第1号:同法第5条(責任保険の契約締結強制)違反について、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 自動車損害賠償保障法第88条第1号:同法第8条(自賠責保険証明書の備付け)違反について、30万円以下の罰金

ここで押さえておくべき構造は、目的外運行や番号標・許可証の表示・備付けを欠いた運行は「第36条の2の特例が適用されない状態での運行」になるということです。そうなると、未登録・車検切れの車両であれば、そのまま公道を走ったことになり、行政処分だけでなく法第108条・第109条の適用が問題になります。「ちょっとそこまでだから」という軽い判断が、事業の根幹を揺るがすことになりかねません。

よくある質問

1組の番号標で何台まで回送できますか

台数の上限は定められていません。回送運行許可は、臨時運行許可のように「1台につき1回」ではなく、許可証に記載された目的に沿う限り、番号標を付け替えて反復して使える制度です。ただし同時に複数台へ使うことはできず、1組の番号標で運行できるのは常に1台です。必要な同時運行台数に応じて、前述の貸与基準の範囲で枚数を申請することになります。

回送運行許可を受ければ車庫証明や自動車税の手続は不要になりますか

回送運行許可は、登録・検査に関する規定(法第4条、第19条、第58条第1項、第66条第1項)の適用を除外する制度であり、それ以外の制度に影響を与えるものではありません。個々の車両の登録・保管場所証明・課税の要否は、その車両自体の状態と手続に応じて判断されます。税に関する具体的な取扱いは税理士にご確認ください。

許可を受けた会社の従業員なら誰でも運転できますか

取扱要領は、許可証等を使用させる際に「使用者が自己の営業所の者であること」を確認するよう求めており、陸送を業とする者については運転者台帳に記載されている者であることも要件としています。許可証の交付を受けた営業所以外の営業所の者に使わせることは、行政処分基準上、法第36条の2第8項第1号の違反行為として明記されています。

軽自動車にも使えますか

法第73条第2項により、検査対象軽自動車および二輪の小型自動車にも準用されます。実務上は許可証の備考欄に軽自動車または二輪車に限る旨が記載される取扱いがあり、対象車種は許可証の記載で確認します。

許可の申請から交付までどのくらいかかりますか

標準処理期間は局によって運用が異なるため一律には言えませんが、許可申請は営業所を管轄する運輸支局等を経由して地方運輸局長へ進達される仕組みであり、その後に許可証の交付等申請という第2段階の手続が控えています。継続の申請は取扱要領上「終期日の2か月前まで」とされているため、所要期間は申請先の運輸支局等に事前にご確認ください。期限切れによる運行停止を避けるため、余裕を持ったスケジュールを組んでください。

登録手続そのものを効率化する方法はありますか

回送運行許可は「車両を動かす」ための制度です。登録手続自体の効率化には、自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)や出張封印の活用が有効です。詳しくはディーラー・販売店のためのOSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)活用ガイド出張封印をディーラーが活用する方法|乙種・丙種から丁種委託・再々委託・全国対応をご覧ください。抹消済み車両の再登録については一時抹消登録と再登録(中古新規登録)の手続き|必要書類・費用を解説で整理しています。

車庫証明・名義変更などの自動車手続でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、書類の作成から警察署・運輸支局への提出代行まで対応します。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

回送運行許可(ディーラーナンバー)は、道路運送車両法第36条の2に基づき、自動車の製作・販売・陸送・特定整備を業とする者に対して、登録・検査に関する4つの規定(第4条・第19条・第58条第1項・第66条第1項)の適用を除外する特例です。1台1回・最長5日の臨時運行許可(仮ナンバー)と異なり、1組の番号標を付け替えて反復して使える点に最大の価値があります。

対象事業者は施行規則第26条の2により4業種に限定されますが、具体的な台数・人数要件は地方運輸局ごとの公示で異なります。製作業の月平均製作両数ひとつをとっても、関東運輸局と近畿運輸局は10両以上、北陸信越運輸局は5両以上と差があります。申請前に、必ず自社の主たる営業所を管轄する運輸局の最新の取扱要領と別表を確認してください。

手続は「許可」と「許可証の交付・番号標の貸与」の2段階で、費用が生じるのは第2段階です。手数料令第1条の表7の項により許可証1枚につき許可の期間1月までごとに2,050円(12か月で24,600円、60か月で123,000円)がかかり、番号標ごとに有効期間を充足する自賠責保険の契約が必要です。自賠責保険の基準料率は2026年11月1日以降始期の契約から全車種平均6.2%引き上げられるため、更新時期の資金計画には注意が必要です。

許可後の管理義務も重い制度です。管理責任者の選任、社内取扱内規、番号標台帳・許可証等管理簿、年1回以上の研修、毎年5月31日までの年次報告、有効期間満了後6か月の帳簿保存、5日以内の返納と、条件は多岐にわたります。とりわけ目的外使用と第三者への貸与は行政処分基準で真正面から違反行為に挙げられており、20点の累計で許可取消し、取消し後2年間は新たな許可を受けられません。目的外運行は特例の適用がない運行となり、未登録・車検切れの車両なら無登録運行・無車検運行として刑事罰の対象にもなります。

行政書士法人Treeでは、行政書士法第1条の3第1項に基づく官公署提出書類の作成として回送運行許可申請書・添付書面の作成を、同法第1条の4第1項第1号に基づく提出手続の代理として運輸支局等への提出を承ります。あわせて、車庫証明の取得、移転登録・変更登録などの自動車登録手続についても、書類作成から警察署・運輸支局への提出代行まで一貫して対応いたします。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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