自筆証書遺言とは何か?作成上の注意点や効力、法務局保管制度についても解説します。

ツリーちゃん

終活というものを聞いて自分で遺言書を用意しようと思いました。

ツリーちゃん

ただ遺言書は色々とルールがあるようなので、どのように遺言書を作成したらいいのか教えてください。
遺言書には民法という法律によって書き方のルールが厳密に決まっております。

行政書士

法律上の要件を満たしていない遺言書だと、将来無効になる可能性があるため要件を満たして作成する必要があります。

行政書士

本記事では、自分で遺言書を書く時の自筆証書遺言書の決まりについて解説します。

行政書士

遺言書ってなんですか?

遺言とは、人が生前に自分の死後にどのように財産を分けるかを定める法的文書のことを指します。

遺言書を書いておくことによって、自分の家族以外にも相続財産を渡すことができたり、家族の中でも特に面倒を見てくれた人物に対して多めに財産を渡すといったこともできます。

自筆証書遺言とは?

遺言書にも「自筆証書遺言書」や「公正証書遺言書」や「秘密証書遺言書」などいくつか種類がございます。

この中でもっとも手軽に作成できる遺言書が自筆証書遺言になります。自筆証書遺言は、全文自筆で記載する必要があるものの、ペンと用紙と印鑑さえあればすぐにでも作成できる遺言書になるため多くの方が利用している遺言書です。

注意事項

自筆証書遺言は手軽に作成できる遺言書ではあるものの、法律上の規定を満たしていなければ遺言書自体が無効となります。

また全文(財産目録を除く)を自筆で作成する必要があるため、高齢者で文字が書けないような状態であれば「公正証書遺言」を利用すべきです。

なぜ遺言書が重要なのか。

遺言書が重要な理由はいくつかありますが、主なポイントは以下の通りです

  1. 財産分与の明確化
    遺言書を作成することで、死後の財産の分配が明確になり、相続トラブルを防ぐことができます。
  2. 相続手続きを円滑にする
    遺言書作成時に財産目録というものを作成することがあります。財産目録を作成することによって相続人は財産調査の手間などが省け、円滑に手続きを進めることができます。
  3. 自分の意思を反映させることができる
    遺言書によって、自分が生前に望む具体的な財産の分け方、特定の物品を誰に渡すなどを指定することができます。
    例えば内縁関係の妻に対して、お世話になった友人、身の回りの世話をしてくれた子供に対して遺言書を書くことも多いです。
  4. 特別な要望を記載できる
    これは負担付き遺言といいますが、例えばこの財産を渡す代わりにペットの世話を見てくれなどの条件付きの遺言書などの作成も可能です。それ以外も特定の財産(例:家族の形見、コレクションなど)に対する特別な要望も遺言書に記載できます。
  5. 税制上のメリット
    遺言書を用いて賢い財産の移転を計画することで、相続税を節約することが可能な場合もあります。
  6. 精神的安堵
    死後のことをきちんと整理しておくことで、生前に安心感を持つことができます。
    そして残された家族も安心することができるため双方にメリットがあると言えます。

以上のようなポイントから、遺言書は多くの人にとって非常に重要な文書であると言えます。

自筆証書遺言を作成するときの注意点

  • 全て自筆であること
    自筆証書遺言書は本人自らの手で書かれる必要があります。パソコンでの入力や代筆は認められておりません。
    ただし、 自筆証書遺言に添付する「財産目録」については、民法改正により、必ずしも自筆する必要がなくなり、パソコンなどで作成したものも認められるようになりました。
  • 日付と署名捺印
    遺言書の最後には作成日と署名捺印が必要です。これにより、いつこの遺言書が作成されたのかと、誰が作成したのかが明確になります。
    例えば令和5年吉日などの記載は認められておりません。
  • 明確な記載
    遺言の内容が曖昧でなく、明確である必要があります。具体的な財産の名前や相続人の名前をしっかりと記載することが推奨されます。
    例えば不動産を相続財産として規定するのであれば、土地建物の全部事項証明証(登記簿)にて特定をして記載すべきです。
  • 年齢と判断能力
    遺言者が15歳以上であり、遺言をする際に判断能力があることが必要です。
    特に揉めるポイントとしては、遺言する際の判断能力についてです。主に遺言書作成時に認知症であるかどうかが争点になることがあります。その場合の対策としては、遺言書を作成した後に、医師の診断を受診し、認知症ではないという診断書を入手しておくのもお勧めです。
  • 正確な用語の使用
    法的な効力を持たせるためには、正確な用語と表現を使うことが望ましいです。特定の法的表現が必要な場合もあるので注意が必要です。例えば「相続させる」や「遺贈する」などケースによって文言の使い分けによって遺言書の効力が異なる場合があります。
  • 書き間違いについて
    書き間違った場合の訂正や、内容を書き足したいときの追加は、その場所が分かるように示した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印する必要があります。
  • 財産目録を作成する
    財産目録の作成は法律上必須とはされておりませんが、財産目録があると相続人が相続財産の手間が省けます。財産目録がない場合は、相続財産の調査から始める必要があります。
  • 保管場所
    遺言書は紛失や破損のリスクがありますので、安全な場所に保管することが必要です。ただし、貸金庫などに保管してしまうと遺言書が発見されなくなったり、遺言書をそもそも取り出せないというトラブルもあるようです。
    保管方法としてもっともお勧めできるのが、令和2年7月10日より開始された法務局の自筆証書遺言保管制度です。法務局へ保管する際の要件は何点かありますが、法務局に保管しておくことによって相続発生時の家庭裁判所への遺言書検認手続を省略できたり、改竄、隠匿、紛失などのトラブルを回避することができるため弊所でも推奨している保管方法になります。
  • 専門家へ相談
    自筆証書遺言にはご自身の作成できる書面ですが、後のトラブルを避けるためにも、法的な知識が求められることも多いため専門家へ内容を確認してもらうことが推奨されます。

遺言書作成後の手続き

遺言書を作成した後は、信頼できる人にその存在と保管場所を知らせることが一般的です。

せっかく遺言書を作成していたとしても、法定相続人が遺言書の存在や保管場所が不明であり、遺言書が発見されなかった場合は遺言書が存在しないものとして相続手続きが開始されてしまう恐れがございます。

遺言書には、どなたかへ相続(遺贈)させると規定しているかと思いますので、相続人や受贈者に対して遺言書や保管場所をお伝えしておくのが望ましいかと思います。

法務局の自筆証書遺言保管制度について

法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する場合は、下記の要件をすべて満たしている必要がございます。

色々と細かな要件はありますが、法務局で自筆証書遺言を保管していた場合は相続発生時に家庭裁判所に対して行う遺言書の検認手続が省略できたり、遺言書の改竄、隠匿、紛失などのトラブルを回避することができるためお勧めの保管方法です。

  • 用紙はA4サイズのみ
  • 上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側5mm の余白を確保する
  • 片面のみに記載(裏表への記載は認められません)
  • 各頁に頁番号を記載する。(1枚のときも1/1と記載する)
    ※財産目録がある場合は、財産目録も含めて頁数を記載する。
  • 複数頁でも、とじ合わせない。(封筒も不要)

法務局での自筆証書遺言保管は是非利用したい制度ですが、上記の要件を満たしていなければ保管を受け付けていただけません。

法務局所定の用紙もございますので、よろしければ下記のURLからご利用くださいませ。

https://www.moj.go.jp/MINJI/common_igonsyo/pdf/001321932.pdf

注意事項

法務局所定の用紙を用いた場合の注意点をお伝えします。

① 印刷環境によっては、法務局所定の用紙を使用したとしても余白などが確保できていないケースがあります。そのため念のため余白については、物差しなどで確認していただくことが無難です。

② 印鑑の押印も余白部分に入ってしまうと、保管が認められません。そのため必ず余白の内側に余裕をもって押印をしてください。

③ 法務局所定の用紙には、上部に□と右下に□がございます。上部の□に対しては、「遺言書」と記載ください。右下の□に対しては、ページ数を記載ください。

よくある間違いとして右下の□に対して署名される方が多いですが、署名と捺印は必ず本文中にしてください。


最後に

自筆証書遺言は手続きが簡単で費用もかからない反面、形式を守らなければならないという厳格さがあります。

法的に要件を満たしていない遺言書は、遺言者の真意に関わらず将来無効になってしまうというリスクがあります。

残された相続人たちが争わないために作成した遺言書によって無用な争いを避けるためにも、遺言者様の最後の願いを叶えるためにも、遺言の内容や形式に不明点や不安がある場合は、ぜひ専門家へ相談することをお勧めします。

以上が自筆証書遺言の作成と効力についての解説です。遺言は大切な財産と人生を左右するものですので、慎重に作成しましょう。何かご不明点やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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