離婚手続きにおける年金分割制度について簡単に分かりやすく解説します。【雛形あり】

ツリーちゃん

離婚手続きについて年金分割っていう制度があると聞きました。

ツリーちゃん

年金分割についてよくわからないので教えてください。
年金分割手続きを行うと将来貰える年金の受給額が変わってくる可能性がございます。

行政書士

少々複雑な制度のため本記事ではできるだけ分かりやすく解説いたします。

行政書士

年金分割手続きとは


年金分割とは、離婚時に夫婦の一方が受け取る年金の一部を、他方の配偶者に分割して受け取ることができる制度です。この制度は、離婚によって生じる経済的な不均衡を緩和するために導入されました。分割対象となる年金は、主に厚生年金が対象となります。

ワンポイント

年金分割手続きは、簡単に分かりやすく例えると夫婦の一方が多く支払っている厚生年金を一方に分け与える制度です。対象となっている年金は厚生年金になりますので、国民年金は対象となりません

年金分割手続きをすると、年金の支払い額が少ない方が将来貰える年金受給額が増える可能性があります。

年金分割の種類について

年金分割の方法は2種類あり、「合意分割」と「3号分割」があります。

合意分割と3号分割によって対象者や手続きが異なりますので、下記にてそれぞれの特徴を詳しくご説明します。

合意分割手続きについて

合意分割手続きの特徴としては、その名のとおり合意に基づいて行う手続きになります。

合意分割の特徴は、婚姻期間中に支払った年金を分割の対象とすることができます。つまり、婚姻前に支払っている厚生年金については分割の対象になりません

分割の割合は夫婦が合意する場合、最大で2分の1まで分割が可能ですが、実務においては殆どの方が5:5の割合で分割するケースが多いです。もし相手方が合意してくれない場合は、按分割合を定める調停あるいは審判の申立てをすることになります。

ワンポイント

合意分割の対象期間は、婚姻期間中に支払った厚生年金を対象にすることができます。

そのため例え共働きであっても、婚姻期間中に支払った厚生年金の支払い総額の金額に差があるようであれば、年金分割の請求ができるのが最大の特徴です

3号分割手続きについて

3号分割の手続きの特徴としては、合意分割とは異なり、相手方の合意なくして手続きが実施できます。

ただし、合意分割とは、対象期間の請求範囲及び対象者が異なります。

◆対象者について

厚生年金保険の被保険者または共済組合の組合員の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の方

つまり簡単に説明すると、サラリーマンの妻である専業主婦の方などの国民年金第3号被保険者が対象者になります。

◆請求期間について

請求期間が平成20年4月以降の年金保険料のみが請求の対象となります。

ちなみに合意分割の請求期間は、婚姻期間すべてが対象となりますので請求範囲が大きく異なります。

◆割合について

3号分割の請求割合は必ず50%(2分の1ずつ)が請求されることになります。

ワンポイント

3号分割手続きのメリットとデメリットをこちらのワンポイントでまとめます。

【メリット】

●3号分割手続きは合意なく手続きができる。

●請求割合は必ず2分の1が認められる。

【デメリット】

●対象者が配偶者に扶養されている期間しか対象にならない。

●請求期間が平成20年4月以降のみとなる。

※例えば平成20年4月よりも前に婚姻しているケースだと請求範囲がかなり限られてしまいます。

合意分割の注意点について

合意分割にて手続きをする場合は、原則として離婚後にお二人で手続きを進める必要がございます。

ただし、以下の場合は、請求者が単独で手続きを行うことが可能となります。

  1. 公正証書の謄本または抄録謄本
  2. 公証人の認証を受けた私署証書  
ワンポイント

合意分割にて手続きを行う場合は、原則として夫婦の二人が揃って手続きを進める必要がございます。

ただし、その例外として年金分割について合意した「公正証書の謄本または抄録謄本」又は「公証人の認証を受けた私署証書」があれば、離婚後に一方が単独で手続きを進めることができます。

年金分割っていつまで請求できるの?

年金分割の請求手続は、原則として、離婚をした日の翌日から起算して2年を経過した場合には,することができないこととされています。したがって、この期限を過ぎた場合には、家庭裁判所に対して審判又は調停の申立てをすることもできません。

年金分割の書き方

年金分割に関する合意

甲及び乙は、実施機関に対し、対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨に合意する。

(基礎年金番号等の表示)

第1号改定者 ●●●(平成●年●月●日生)

基礎年金番号 ●●●-●●●

第2号改定者 ●●●(平成●年●月●日生)

基礎年金番号 ●●●-●●●

第2号改定者である★甲or乙★は、離婚届提出日から2年以内に、実施機関に対し、前項の請求手続をする。

公正証書などでも用いられる記載例になりますので、ぜひご参考くださいませ。

最後に

弊所にてご依頼をお勧めする理由

本記事のような手続きにて年金分割の手続きを進めることは可能でございます。しかし、離婚における手続きは年金分割だけではなく、子がいる場合は親権、養育費、面会交流、子がいなくとも慰謝料、財産分与など様々な決め事をまとめなければなりません。

弊所では、記載内容にかかわらず一律の作成代にて対応をさせていただいておりますので、安心してご依頼いただけます。

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