公開日:2026-05-22
「絶対儲かる投資手法」「高配当ファンド」等の宣伝で投資セミナーを開催し、参加者から会員費・運用資金を集める投資セミナー型の詐欺的トラブルが相談されています。金融庁、国民生活センター、消費者庁、警察庁も、無登録業者による投資勧誘、SNS型投資詐欺、もうけ話に関する消費者トラブルについて注意喚起しています。刑法第246条詐欺罪に加え、事案によっては、出資法違反(出資金の受入れの制限・第1条等)・金融商品取引法違反(無登録の金融商品取引業・第29条)・特定商取引法違反等が問題となり、刑事告訴の対象となります。
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目次
投資セミナー詐欺は、虚偽説明・運用実態・送金記録・無登録業者情報の整理が重要
目次
- 投資セミナー詐欺の典型手口
- 詐欺罪・金商法・出資法・特商法の関係
- 金融庁登録・警告情報の確認方法
- 告訴状で重要となる証拠保全
- 告訴状作成のポイント
- 民事返金請求・消費生活センター相談との違い
- 業務範囲
1. 投資セミナー詐欺の典型手口
- FX・暗号資産・株式の自動売買ツール詐欺
- 無登録ファンドへの出資勧誘
- 未公開株・新規上場(IPO)をうたう詐欺(有価証券性、集団投資スキーム持分該当性、金融商品取引業登録の有無を確認)
- 連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)を利用した投資勧誘、又は無限連鎖講(いわゆるネズミ講)に近い仕組みを利用した資金集め
- 高額情報商材・コンサルティング詐欺
2. 詐欺罪・金商法・出資法・特商法の関係
2-1. 適用罪名
- 刑法第246条詐欺罪(10年以下の拘禁刑)
- 出資法違反:出資金の受入れの制限=出資法第1条、預り金の禁止=同法第2条。罰則は同法第8条第3項により3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金。ただし出資法第8条第4項により、第3項のうち第1条(出資金の受入れの制限)及び第3条に係る部分は、刑法に正条がある場合(詐欺罪等が成立する場合)には適用されない。一方、第2条(預り金の禁止)違反はこの適用除外の対象外であり、詐欺罪と併せて成立し得る(観念的競合等)
- 金融商品取引法違反:無登録の金融商品取引業=同法第29条違反。罰則は同法第197条の2第10号の4により5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金、又はこれらの併科。投資セミナーでのファンド出資勧誘等は、実態により、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業、集団投資スキーム持分の募集・私募の取扱い等の無登録営業に該当することが多い
- 特定商取引法違反:連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引、電話勧誘販売、訪問販売、通信販売等に該当し、不実告知、故意の事実不告知、誇大広告、断定的判断の提供等が問題となる場合
2-2. 公訴時効(罪により異なる)
- 刑法第246条詐欺罪(法定刑10年以下の拘禁刑)の公訴時効は7年(刑事訴訟法第250条第2項第4号:長期15年未満の拘禁刑に当たる罪)
- 金融商品取引法第197条の2第10号の4の無登録金融商品取引業(5年以下の拘禁刑)の公訴時効は5年
- 出資法第1条違反等(3年以下の拘禁刑)の公訴時効は3年
早期の告訴が望ましいといえます。
3. 金融庁登録・警告情報の確認方法
勧誘元の業者について、金融庁の登録業者検索や無登録業者警告情報を確認します。確認事項は以下のとおりです。
- 金融庁の登録状況・警告情報
- 登録番号・商号・所在地・担当者名・振込先口座の一致
- 不自然な個人口座指定、登録業者を装うなりすましの有無
※金融庁の警告情報に掲載されていないことは適法性の証明にはなりません。登録業者を装う事案もあるため、登録情報の一致を慎重に確認します。
4. 告訴状で重要となる証拠保全
- 投資セミナー資料・勧誘内容(録音・配布資料・スクリーンショット)
- 運用実態の不存在を示す資料(虚偽の運用報告書・運用通帳・公式サイト等)
- 同種被害者の存在を示す資料(被害者連絡網・SNSでの被害申告等)
- 送金記録(銀行振込・暗号資産送金記録・トランザクションID)
- 勧誘者・代表者・運営者の身元情報(氏名・連絡先・所在地・SNSアカウント等)
5. 告訴状作成のポイント
欺罔行為(虚偽の宣伝・実績偽装)、錯誤、財産的処分行為(会員費・運用資金の支払)、財産上の損害、及びこれらに対する故意を、証拠と対応させて刑法第246条詐欺罪の構成要件上整理します。
金融商品取引法、出資法、特定商取引法等については、事案の実態に応じて成立可能性のある関連法令として整理します。告訴状では、詐欺罪の構成要件を中心に、無登録営業、違法な出資金受入れ、連鎖販売取引上の不実告知等の事情を補強資料として位置付けます。出資法第8条第4項により、第3項のうち第1条(出資金の受入れの制限)及び第3条に係る部分は刑法に正条がある場合(詐欺罪が成立する場合等)には適用されない一方、第2条(預り金の禁止)違反はこの適用除外の対象外であるため、第1条違反と第2条違反を区別して詐欺罪との関係を整理して記載します。
6. 民事返金請求・消費生活センター相談との違い
- 刑事告訴(警察署・検察庁):加害者の刑事処罰を求める手続。捜査機関の捜査・起訴・刑事裁判に至る
- 民事返金請求:被害金の返還を求める手続(任意交渉、調停、民事訴訟)。代理交渉・訴訟は弁護士業務
- 消費生活センター相談(消費者ホットライン188:いやや):同種被害情報の確認、業者への相談員のあっせん、消費者契約法上の取消・解除の検討
- 金融サービス利用者相談室(金融庁):金融商品取引業者・無登録業者に関する一般相談
刑事告訴、民事返金、消費生活センター相談は並行して進めることができます。
7. 業務範囲の整理
行政書士の業務範囲(行政書士業務:権利義務又は事実証明に関する書類の作成)
- 警察署長(司法警察員)宛て告訴状・告発状の作成
- 事実関係整理書面の作成(時系列での欺罔行為・錯誤・財産的処分行為・財物交付・故意を示す事実の整理)
- 添付証拠目録の整理
業務範囲外(連携先専門家)
- 検察庁(検察官)宛て告訴状・告発状の書類作成(司法書士法第3条第1項第4号、司法書士業務として整理)。検察庁・警察・相手方との代理対応、法的紛争対応は弁護士業務(弁護士法第3条・第72条)
- 被害金返還の交渉・民事訴訟代理(弁護士法第3条、弁護士業務)
- 金融庁の登録業者検索、無登録業者警告情報の確認、金融サービス利用者相談室や消費生活センターへの一般相談は本人でも可能。被害金返還請求、相手方との交渉、民事訴訟、刑事事件での代理対応は弁護士業務
FAQ|よくあるご質問
Q1. 金融庁の警告情報は告訴の証拠になりますか?
有用な資料になります。金融庁の登録状況や無登録業者警告情報は、金融商品取引法違反の可能性や違法性を示す資料として重要です。ただし、詐欺罪の立証には、これに加えて、勧誘時の虚偽説明、運用実態の不存在、被害者が錯誤に陥って支払った経緯、被害金額、加害者の故意を示す資料を整理する必要があります。
Q2. 投資セミナー参加費だけでも告訴できますか?
可能性はあります。ただし、単にセミナー内容に不満がある、投資で損をしたというだけでは直ちに詐欺罪とはいえません。参加費を支払わせる時点で、虚偽の実績、架空の講師・運用実態、確実に利益が出るとの断定的説明などがあり、その説明を信じて参加費を支払ったことを資料で示す必要があります。
Q3. 公訴時効は?
刑法第246条詐欺罪(法定刑10年以下の拘禁刑)の公訴時効は7年です(刑事訴訟法第250条第2項第4号:長期15年未満の拘禁刑に当たる罪)。並行して問題となる罪は法定刑により公訴時効が異なり、出資法第1条違反等(3年以下の拘禁刑)は3年、金融商品取引法第197条の2の無登録金融商品取引業(5年以下の拘禁刑)は5年です。早期の告訴が望ましいといえます。
Q4. 民事返金請求と刑事告訴は同時にできますか?
可能です。刑事告訴は加害者の刑事処罰を求める手続、民事返金請求は被害金の返還を求める手続で、別個に進められます。被害金返還の交渉・民事訴訟代理は弁護士業務範囲です。消費生活センター・金融サービス利用者相談室への相談と並行することもできます。
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まとめ
投資セミナー詐欺は、FX・暗号資産・株式の自動売買ツール詐欺、無登録ファンド出資勧誘、未公開株・IPO詐欺、連鎖販売取引(マルチ商法)を利用した投資勧誘、無限連鎖講(ネズミ講)、高額情報商材詐欺等の典型手口があります。金融庁、国民生活センター、消費者庁、警察庁が注意喚起しています。
適用罪名は、刑法第246条詐欺罪(10年以下の拘禁刑)に加え、出資法違反(出資金の受入れの制限=第1条、預り金の禁止=第2条、罰則は第8条)、金融商品取引法違反(無登録の金融商品取引業=第29条違反、罰則は第197条の2第10号の4により5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金)、特定商取引法違反(連鎖販売取引・電話勧誘販売等での不実告知・断定的判断の提供等)が並行的に問題となります。ただし、出資法第8条第4項により、第3項のうち第1条(出資金の受入れの制限)及び第3条に係る部分は刑法に正条がある場合(詐欺罪が成立する場合等)には適用されない。第2条(預り金の禁止)違反はこの適用除外の対象外であるため、罪名の関係を整理して告訴状に記載します。
公訴時効は罪により異なり、詐欺罪7年、金商法第197条の2違反5年、出資法第1条違反等3年です。立証は、投資セミナー資料・勧誘内容(録音・配布資料)、運用実態の不存在、同種被害者の存在、送金記録、金融庁の登録状況・警告情報等で構成要件論証を充実させます。金融庁の警告情報は重要資料ですが、警告未掲載=適法ではないため、登録番号・商号・所在地・振込先口座の一致を慎重に確認します。
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※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


