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トライク(側車付軽二輪)の使用の届出|必要書類・手続き場所・運転免許の区分

更新: 約28分で読めます

三輪バイク、いわゆる「トライク」を購入したものの、どこへ行って何の手続をすればよいのか分からない、という相談は少なくありません。軽自動車検査協会に行ったら「うちの窓口ではありません」と言われた、普通免許で乗れると聞いていたのに販売店から二輪免許が必要だと説明された、ナンバーは付いたが車検の有無がはっきりしない――こうした混乱が起きるのは、トライクという言葉が法令上の用語ではなく、しかも道路運送車両法(車両としての区分)と道路交通法(免許としての区分)が、それぞれ別の基準でトライクを分類しているためです。

本記事では、総排気量250cc以下のトライクが該当する「側車付軽二輪」を軸に、車両区分の根拠条文、手続窓口、必要書類、車検の要否、運転免許の区分、車庫証明の要否、税金までを、条文と一次情報に当たりながら実務目線で整理します。250ccを超える場合や、三輪自動車として扱われる場合との違いにも触れます。

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「トライク」は法令用語ではない|二つの法律が別々に分類している

まず押さえておきたいのは、「トライク」という言葉は法令のどこにも定義されていないという点です。一般には「三輪のオートバイ」「前一輪・後二輪の三輪車」といった意味で使われますが、行政手続の場面では、その車両が法令上どの区分に当てはまるかを個別に判定していくことになります。

そして厄介なのは、判定の物差しが一つではないことです。ナンバーを取る、車検を受ける、税金を払うといった「車両としての扱い」は道路運送車両法が決めます。一方、どの免許で運転できるか、ヘルメットは必要か、といった「走らせ方の扱い」は道路交通法が決めます。この二つは目的が異なる法律であり、区分の基準も条文もまったく別系統です。

その結果、同じ一台のトライクが「道路運送車両法では側車付二輪自動車(=バイクの仲間)」でありながら「道路交通法では普通自動車(=クルマの仲間)」という、一見ちぐはぐな状態になります。これは誤りでも例外でもなく、制度の設計どおりです。以下、それぞれの系統を順に見ていきます。

「登録」と「届出」は法律上まったく別の手続

トライクの手続でよく使われる「登録」という言葉についても、正確な整理が必要です。道路運送車両法第4条は「自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第二十九条から第三十二条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない」と定めています。括弧書きで軽自動車と二輪の小型自動車が明確に除外されている点に注目してください。

つまり、法律上の「登録」とは普通自動車・小型自動車(四輪)などを対象とする制度であり、軽自動車や二輪の小型自動車は登録の対象外です。250cc以下のトライクが受けるのは登録ではなく、道路運送車両法第97条の3第1項に基づく「使用の届出」と「車両番号の指定」です。日常会話では「バイクの登録」と言いますが、窓口で書類名を確認するときには「届出」であることを意識しておくと混乱が減ります。

道路運送車両法上の区分|側車付軽二輪と側車付小型二輪

道路運送車両法における自動車の種別は、同法第3条を受けて道路運送車両法施行規則別表第一が定めています。トライクに関係する部分を抜き出すと、次のようになります。

軽自動車のうち二輪の区分は「二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)で自動車の大きさが下欄に該当するもののうち大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの(内燃機関を原動機とする自動車にあつては、その総排気量が〇・二五〇リットル以下のものに限る。)」とされ、大きさは長さ2.50メートル以下・幅1.30メートル以下・高さ2.00メートル以下です。

ここで決定的に重要なのが、括弧書きの「側車付二輪自動車を含む」という文言です。この一文があるために、側車付二輪自動車として取り扱われるトライクは、車輪が三つあっても「二輪の軽自動車」の枠に入ります。総排気量が0.250リットル(250cc)以下で、かつ上記の大きさの範囲内であれば軽自動車、いわゆる側車付軽二輪です。

250ccを超えると側車付小型二輪になる

別表第一の小型自動車の欄には「二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)及び三輪自動車で軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの」という区分があります。二輪・三輪については、四輪の小型自動車のような大きさ・排気量の上限が設けられていません。

したがって、総排気量が250ccを超えるトライク(250cc以下でも軽自動車の大きさを超えるものを含む)は、側車付二輪自動車として扱われる限り側車付小型二輪となります。後述するとおり、こちらは車検(新規検査・継続検査)の対象になり、税額も異なります。排気量250ccという線は、トライクの手続を考えるうえで最大の分岐点です。

三輪自動車として扱われる場合もある

すべての三輪車が側車付二輪自動車になるわけではありません。別表第一には「三輪自動車」という区分も存在し、軽自動車の側にも「二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)以外の自動車」として、総排気量0.660リットル以下・長さ3.40メートル以下・幅1.48メートル以下・高さ2.00メートル以下の枠が置かれています。

車室(キャビン)を備えた三輪車、四輪車をベースに構造変更した三輪車などは、側車付二輪自動車ではなく三輪自動車として扱われることがあります。この場合、軽自動車であれば検査対象軽自動車として軽自動車検査協会の管轄となり、車検も必要になります。窓口も税額も変わりますので、手続に入る前に、その車両がどの区分で扱われるのかを必ず確認してください。中古で取得した車両であれば、軽自動車届出済証や自動車検査証の「車体の形状」「用途」「総排気量」の記載が判断材料になります。

手続き場所は運輸支局|軽自動車検査協会ではない

実務で最も多い勘違いが、手続窓口です。「軽二輪だから軽自動車検査協会」と思われがちですが、これは誤りです。

根拠を条文で追うと、道路運送車両法第97条の3第1項は「検査対象外軽自動車は、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する地方運輸局長に届け出て、車両番号の指定を受けなければ、これを運行の用に供してはならない」と定めています。さらに道路運送車両法施行規則第63条の2第1項が「車両番号の指定を受けていない検査対象外軽自動車を運行の用に供しようとする者は、運輸監理部長又は運輸支局長に届出書を提出しなければならない」と具体化しています。

軽自動車検査協会自身も、公式サイトのお問い合わせ案内(「普通車・二輪車について」)で、トライクを含む二輪車全般は当協会では取り扱っていないと明記しています。そのうえで側車付二輪車(トライク等)については、排気量50cc以下または定格出力0.60kW以下はお住まいの市区町村へ、排気量51cc以上または定格出力0.61kW以上は国土交通省の「自動車検査登録総合ポータルサイト ヘルプデスク」へ問い合わせるよう案内しています。つまり250cc以下であっても251cc以上であっても、実際に手続を行う窓口は軽自動車検査協会ではなく、運輸支局(または自動車検査登録事務所)です。

排気量別の窓口早見

  • 50cc以下・定格出力0.60kW以下:原動機付自転車として、使用の本拠を管轄する市区町村役場。標識(ナンバープレート)の交付を受けます。
  • 51cc以上250cc以下:側車付軽二輪として、使用の本拠を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所。使用の届出により軽自動車届出済証の交付を受けます。
  • 251cc以上:側車付小型二輪として、同じく運輸支局・自動車検査登録事務所。新規検査を受け、自動車検査証の交付を受けます。

なお、原動機付自転車として市区町村で標識交付を受ける場合の考え方は、原付バイク(125cc以下)の廃車手続き|役所での届出と必要書類を解説でも触れています。窓口が役所か運輸支局かで、書類も証明書の名称も変わる点にご注意ください。

区分ごとの取扱いを一覧で整理する

ここまでの内容を、側車付二輪自動車として扱われるトライクを前提に一覧化すると、次のとおりです。

項目 側車付軽二輪(250cc以下) 側車付小型二輪(251cc以上)
道路運送車両法の種別 軽自動車(二輪) 小型自動車(二輪)
手続の名称 使用の届出・車両番号の指定 新規検査
窓口 運輸支局・自動車検査登録事務所 運輸支局・自動車検査登録事務所
交付される書面 軽自動車届出済証 自動車検査証
車検 なし(検査対象外軽自動車) あり(初回3年・以後2年)
車庫証明 不要 不要
軽自動車税・自動車税 軽自動車税 年額3,600円(標準税率) 軽自動車税 年額6,000円(標準税率)
自動車重量税 届出時に4,900円 検査時(初回3年 5,700円/2年 3,800円)

表の税額はいずれも自家用を前提とした標準的な金額です。軽自動車税は市町村の条例により異なる可能性があり、重量税もエコカー減税等の対象となる場合や、経過年数(13年・18年経過)による重課の対象となる場合には金額が変わり得ます。

「使用の本拠の位置」で管轄が決まる

どの運輸支局に行くかは、所有者の住所ではなく使用の本拠の位置を管轄する運輸支局で決まります。道路運送車両法第97条の3第1項も「その使用の本拠の位置を管轄する地方運輸局長に届け出て」という書き方をしています。

使用の本拠の位置とは、その車両を実際に使用する場所のことです。個人であれば通常は住所地と一致しますが、単身赴任先で使用する場合や、法人が支店で使用する場合には、住所(本店所在地)と使用の本拠が食い違うことがあります。この食い違いを見落とすと、管轄違いで受け付けてもらえません。ナンバープレートの地名表示も、この使用の本拠の位置を管轄する運輸支局によって決まります(道路運送車両法施行規則第63条の4第1項第2号)。

側車付軽二輪の新規届出|必要書類と手続きの流れ

ここからは、250cc以下のトライク、すなわち側車付軽二輪の新規届出について具体的に見ていきます。

必要書類

届出書そのものの様式や添付書類の細目は、運輸支局ごとに案内が異なる部分があります。以下は一般的に求められる書類ですが、実際に足を運ぶ前に、必ず管轄の運輸支局に最新の必要書類を確認してください

  • 軽自動車届出書(OCRシート):運輸支局・自動車検査登録事務所の窓口で配付されており(関東運輸局では「軽二輪第1号様式」)、事前に用意せず当日窓口の記載例を見ながら記入することもできます。車名、型式、車台番号、原動機の型式、総排気量、長さ・幅・高さ、乗車定員などを記入します。運輸局によっては、あわせて軽二輪第2号様式の提出を求める案内をしています。
  • 軽自動車税申告書:車両番号の指定を受けた後、同じ庁舎内などに設けられた税の申告窓口に提出します。税額や納期については、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
  • 使用者の住所を証する書面:個人であれば住民票の写し、法人であれば登記事項証明書などです。道路運送車両法施行規則第63条の2第2項が同規則第36条第1項(第1号に係る部分に限る。)を準用しており、国・地方公共団体の使用する自動車などを除き、住所を証する書面の提出は法令上の要求です。発行後3か月以内のものを求められるのが一般的です。
  • 譲渡証明書:販売店やメーカー、前所有者が作成したもの。新車であれば製造事業者からの譲渡の流れが途切れずにつながっている必要があります。
  • 自動車損害賠償責任保険証明書:自賠責保険の証明書です。自動車損害賠償保障法第5条により、責任保険(または責任共済)の契約が締結されていなければ運行の用に供することができません。届出時点で有効なものを用意します。
  • 自動車重量税納付書:後述の重量税を納付するための書類で、重量税印紙を貼付します。東北運輸局の案内によれば、新車新規の場合や、中古新規で軽自動車届出済証返納証明書(自動車重量税用)を紛失した場合に必要とされています。
  • 委任状:本人以外が窓口に行く場合に必要です。
  • 中古車の場合の追加書類:前使用者が返納手続を済ませている場合は、軽自動車届出済証返納証明書が必要になります。これは道路運送車両法施行規則第63条の6第3項に基づき、返納をした者の申請により交付されるものです。なお東北運輸局の案内では、譲渡証明書に代えて軽自動車届出済証返納済確認書によることができるとされています。輸入車の場合は自動車通関証明書も必要です。

手続きの流れ

当日の流れは、おおむね次のようになります。

  1. 運輸支局の窓口でOCRシートなどの用紙を入手し、記入する。
  2. 自動車重量税納付書に印紙を貼付し、重量税を納付する。
  3. 書類一式を届出窓口に提出する。
  4. 審査を経て、車両番号の指定を受け、軽自動車届出済証の交付を受ける。
  5. ナンバープレート(車両番号標)の交付を受け、車両に取り付ける。

車両番号の指定は、道路運送車両法施行規則第63条の2第3項により「当該届出に係る検査対象外軽自動車の車両番号を定め、軽自動車届出済証を交付することによつて行う」とされています。交付された軽自動車届出済証は、同規則第63条の3により車両に備え付けておく義務があります。自動車検査証と同様、車載しておくべき書類だと考えてください。

四輪の登録自動車と違い、側車付軽二輪のナンバープレートには封印がありません。封印は自動車登録番号標に施されるもので、登録の対象外である軽自動車や二輪の小型自動車には行われないためです。四輪の名義変更に伴う出張封印のような段取りは不要で、交付されたナンバープレートを車両に取り付ければ完了します。ただし、道路運送車両法第97条の3第2項が準用する同法第73条第1項により、車両番号標は国土交通省令で定める位置に、被覆しないことその他車両番号の識別に支障が生じない方法で表示しなければなりません。傾けすぎたり、荷物や部品で覆ったりしないよう注意してください。

また、届出は原則として使用者本人または委任を受けた者が窓口で行います。販売店が手続を代行してくれるかどうかは店舗によって異なります。個人売買で取得した場合は自分で手配することになりますので、譲渡証明書の記載漏れや押印漏れがないか、受け取りの時点で確認しておくと二度手間を防げます。

費用の目安

側車付軽二輪の新規届出でかかる主な費用は次のとおりです。

  • 自動車重量税 4,900円:自動車重量税法第3条により、届出軽自動車(同法第2条第1項第3号=道路運送車両法第97条の3第1項の車両番号の指定を受ける軽自動車)は課税物件とされています。税額は同法第7条第1項第4号ロで二輪の軽自動車につき4,000円と定められていますが、租税特別措置法第90条の11第1項第2号ニ(2)の当分の間の税率により4,900円となっています。届出時に一度納めれば、以後の定期的な納付はありません。
  • ナンバープレート代(車両番号標の交付手数料):地域により金額が異なります。管轄の運輸支局にご確認ください。
  • 自賠責保険料:契約期間により異なります。

なお、税額や課税の可否について個別具体的な判断が必要になる場合は、税理士にご確認ください。行政書士は税務相談・税務代理を行うことができません。

車検の要否|側車付軽二輪に車検はない

250cc以下と251cc以上を分ける最大の実務差が、車検の有無です。

道路運送車両法第58条第1項は「自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない」と定めています。

そして、この「検査対象外軽自動車」の中身を定める道路運送車両法施行規則第35条の2は、第1号で「二輪の軽自動車」を挙げています。先に確認したとおり、別表第一の「二輪の軽自動車」には側車付二輪自動車が含まれます。したがって、側車付軽二輪は検査対象外軽自動車であり、車検を受ける義務がありません。これが、250cc以下のトライクが新規検査ではなく「使用の届出」で足りる理由でもあります。

251cc以上は車検が必要

これに対し、側車付小型二輪(二輪の小型自動車)は検査対象です。道路運送車両法第59条第1項により新規検査を受ける必要があり、自動車検査証の有効期間は同法第61条第1項により原則2年、同条第2項第2号により二輪の小型自動車の初回は3年とされています。

重量税も検査時に納めます。自家用の二輪の小型自動車の場合、租税特別措置法第90条の11第1項第2号イ(3)により有効期間3年のもので5,700円、同号ロ(5)により有効期間2年のもので3,800円です。

車検がないことの落とし穴

車検がないというのは、裏を返せば自賠責保険の期限を誰も定期的にチェックしてくれないということです。四輪車や251cc以上の二輪車であれば、車検時に自賠責の有効期間が確認されるため、期限切れのまま公道を走ってしまう事態は起きにくい構造になっています。

側車付軽二輪にはその仕組みがありません。自動車損害賠償保障法第5条に違反した状態、すなわち自賠責が切れたまま運行するといういわゆる無保険運行が起きやすいのは、まさにこの区分の車両です。届出のときに満期日を控えておく、カレンダーに登録しておくといった自衛策を取ってください。自賠責保険証明書の取扱いについては、自賠責保険証明書の名義変更|必要書類・権利譲渡通知・解約返戻金・自動車譲渡時の手続も参考になります。

また、車検がないことは整備をしなくてよいという意味ではありません。保安基準に適合しない状態での運行が許されるわけではなく、点検整備は使用者の責任で行う必要があります。

運転免許の区分|普通免許で乗れるトライクと二輪免許が必要なトライク

ここからは道路交通法の系統に移ります。トライクに関する情報で最も混乱が多いのが、この免許の話です。

道路交通法第3条を受けた道路交通法施行規則第2条は、自動車の種類を表で定めています。大型自動二輪車は「総排気量が〇・四〇〇リットルを超え、又は定格出力が二〇・〇〇キロワットを超える原動機を有する二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの」、普通自動二輪車は「二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車、大型自動二輪車及び小型特殊自動車以外のもの」と定義されています。

そして普通自動車は「車体の大きさ等が、大型自動車、中型自動車、準中型自動車、大型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車又は小型特殊自動車について定められた車体の大きさ等のいずれにも該当しない自動車」という、いわば受け皿の規定になっています。

ここで決定的なのが、同表の備考です。「車体の構造上その運転に係る走行の特性が二輪の自動車の運転に係る走行の特性に類似するものとして内閣総理大臣が指定する三輪の自動車については、二輪の自動車とみなして、この表を適用する。」と定められています。

つまり、三輪の自動車は原則として自動二輪車の定義(=二輪の自動車)に当てはまらないため、受け皿である普通自動車に落ちます。ただし、内閣総理大臣が指定する一定の三輪車だけは二輪の自動車とみなされ、自動二輪車として扱われる、という構造です。なお、二輪車に側車を付したいわゆるサイドカーは、大型自動二輪車・普通自動二輪車の定義そのものに「側車付きのものを含む」と書かれているため、このみなし規定を経るまでもなく最初から自動二輪車です。この点は後述します。

特定二輪車の4要件

この「内閣総理大臣が指定する三輪の自動車」が、一般に特定二輪車と呼ばれるものです。道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(平成21年内閣府令第33号)および内閣府告示(平成21年内閣府告示第249号)が平成21年(2009年)9月1日から施行されており、都道府県警察の案内によれば、次の要件をすべて満たす三輪の自動車が該当します。

  1. 3個の車輪を備えるもの
  2. 車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に配置されているもの
  3. 同一線上の車軸における車輪の接地部中心点を通る直線の距離(輪距)が460ミリメートル未満であるもの
  4. 車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有するもの

要するに、前二輪が狭い間隔で並び、旋回時にバイクのように車体が傾く構造の三輪車です。これに該当すると、排気量に応じて特定大型自動二輪車または特定普通自動二輪車となり、大型自動二輪車免許または普通自動二輪車免許が必要になります。当然、道路交通法第71条の4第1項により乗車用ヘルメットの着用義務も生じ、同条第4項から第7項までの二人乗り制限も適用されます。

普通免許で運転できるトライク

一方、旋回時に車体が傾かない構造の三輪車、たとえば後輪二輪が独立して固定されている典型的なトライクは、上記4要件を満たしません。したがって二輪の自動車とはみなされず、道路交通法上は普通自動車として扱われ、普通自動車免許で運転できます。愛知県警察も、3個の車輪を備え、またがり式の座席とハンドルバー方式の舵取り装置を持ち、運転者席の側方が開放されているという条件を満たす「トライク」について、平成21年の改正の前後を通じて普通免許で運転できる旨を案内しています。

ここが、冒頭で述べた「ちぐはぐさ」の正体です。道路運送車両法では側車付軽二輪(バイク扱い)、道路交通法では普通自動車(クルマ扱い)という組み合わせが、ごく普通に成立します。ナンバーの手続はバイクとして運輸支局で行い、運転は普通免許で行う、というわけです。

サイドカー(側車付二輪車)は二輪免許が必要

ここで必ず区別しておきたいのが、二輪車の側面に側車を付したいわゆるサイドカーです。先に引用したとおり、道路交通法施行規則第2条の表は、大型自動二輪車・普通自動二輪車をいずれも「二輪の自動車(側車付きのものを含む。)」と定義しています。側車付きの二輪車はこの定義によって初めから自動二輪車に含まれており、特定二輪車のみなし規定を経る必要がありません。したがって、サイドカーの運転には大型自動二輪車免許または普通自動二輪車免許が必要であり、乗車用ヘルメットの着用義務も及びます。愛知県警察の案内でも、側車付二輪車(いわゆるサイドカー付の二輪車)は、平成21年の改正の前後を通じて大型自動二輪車または普通自動二輪車として整理されています。

同じ三つの車輪を持つ車両でも、トライクは普通免許、サイドカーは二輪免許という正反対の結論になります。道路運送車両法上はどちらも側車付二輪自動車として同じ扱いを受けるだけに、免許区分の取り違えが起きやすい部分です。

二人乗りの制限はどうなるか

二輪車には、免許取得からの経過年数に応じた同乗者の制限があります。道路交通法第71条の4第4項から第7項までがこれを定めており、たとえば普通自動二輪車免許を受けて1年に達しない者は同乗者を乗せて運転できず、高速自動車国道・自動車専用道路については20歳未満または免許期間3年未満の者は同乗者を乗せられないという基準が置かれています。

これらの規定も、名宛人は大型自動二輪車・普通自動二輪車の運転者です。道路交通法上は普通自動車に区分されるトライクには適用されません。なお、同条第4項は「大型自動二輪車(側車付きのものを除く。以下この条において同じ。)」「普通自動二輪車(側車付きのものを除く。以下この条において同じ。)」という書き方をしており、この括弧書きは第5項以下にも及びます。その結果、サイドカーは二輪免許が必要である一方、第4項から第7項までの二人乗り制限からは明文で外されていることになります。

ただし、実際に人を乗せられるかどうかは、その車両の乗車定員によって決まります。乗車定員1名として届出されている車両に同乗者を乗せれば定員外乗車になりますので、軽自動車届出済証の乗車定員欄を必ず確認してください。

ヘルメットと座席ベルト

ヘルメットについて、道路交通法第71条の4第1項は「大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで……運転してはならない」と定めています。義務の名宛人が自動二輪車の運転者に限定されているため、道路交通法上は普通自動車に区分されるトライクの運転者には、この規定による着用義務は及びません。もっとも、これは法令上の義務がないというだけの話であり、安全上の必要性がなくなるわけではありません。実際の走行環境を考えれば、着用が望ましいことは言うまでもありません。

座席ベルトについては、道路交通法第71条の3第1項が「自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト……を装着しないで自動車を運転してはならない」と定めています。義務の対象は、あくまで保安基準上「備えなければならない」座席ベルトです。

そして道路運送車両の保安基準第22条の3第1項は、座席ベルトの装備義務の対象から「二輪自動車、側車付二輪自動車及び最高速度二十キロメートル毎時未満の自動車」を明文で除外しています。側車付二輪自動車として扱われるトライクには保安基準上の座席ベルト装備義務がなく、その結果、道路交通法第71条の3第1項の装着義務も生じない、という筋道になります。

車庫証明と税金|側車付軽二輪の負担を整理する

届出そのもの以外に気になるのが、車庫証明の要否と、毎年・取得時にかかる税金です。この二つをまとめて整理します。

車庫証明は不要

四輪車を購入したときに必要になる車庫証明(自動車保管場所証明書)は、側車付軽二輪では不要です。

根拠は自動車の保管場所の確保等に関する法律第2条第1号です。同号は、この法律における「自動車」を「道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車(二輪の小型自動車、二輪の軽自動車及び二輪の小型特殊自動車を除く。)」と定義しています。

すでに確認したとおり、道路運送車両法施行規則別表第一の「二輪の軽自動車」には側車付二輪自動車が含まれます。したがって、側車付軽二輪として届出されたトライクは、そもそも車庫法上の「自動車」に当たらず、保管場所証明も保管場所届出も必要ありません。251cc以上の側車付小型二輪も、同じく「二輪の小型自動車」として除外されます。

ただし、法律上の手続が不要であることと、保管場所を確保しなくてよいこととは別問題です。道路上に常時駐車すれば、道路交通法上の駐車違反の問題が生じ得ます。四輪車の車庫証明手続については、多摩地域の車庫証明|管轄警察署・手数料・軽自動車届出・申請流れを行政書士が解説で詳しく解説しています。

軽自動車税は年額3,600円が標準税率

側車付軽二輪にかかる税は、毎年課される軽自動車税と、届出時に一度だけ納める自動車重量税です。

地方税法は、軽自動車税の標準税率について、軽自動車及び小型特殊自動車のうち「二輪のもの(側車付のものを含む。)」を年額3,600円、「三輪のもの」を年額3,900円と定めています。また、二輪の小型自動車は年額6,000円です。

ここでも「側車付のものを含む」という括弧書きが効いており、側車付軽二輪として届出されたトライクは、車輪が三つあっても二輪のものとして年額3,600円の区分になります。三輪自動車として扱われる場合の3,900円とは別区分ですので、自身の車両がどちらなのかを取り違えないでください。

なお、これらはあくまで標準税率です。地方税法は、市町村が標準税率を超える税率で課する場合には各号の税率に1.5を乗じて得た率を超えることができないと定めており、市町村の条例によって税額が異なる可能性があります。賦課期日は4月1日、納期は4月中において市町村の条例で定めるとされています。実際の税額と納期は、お住まいの市町村にご確認ください。

自動車重量税と環境性能割

自動車重量税は前述のとおり、届出時に4,900円を一度納めます。継続的な負担はありません。

また、四輪車などの取得時に課されていた自動車税環境性能割および軽自動車税環境性能割は、2026年3月31日をもって廃止されました(二輪の軽自動車・二輪の小型自動車は、側車付のものを含め、もともと環境性能割の課税対象外でした)。あわせて「自動車税種別割」は「自動車税」へ、「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」へと名称が戻っています。古い記事や書式で「種別割」「環境性能割」という表記を見かけることがありますが、現在の名称とは異なります。

繰り返しになりますが、税額の具体的な計算、還付の可否、申告書の書き方といった税務に関するご相談は税理士にご確認ください。登録自動車にかかる自動車税の月割還付の仕組み(軽自動車税との違いを含む)については、自動車税(旧自動車税種別割)の月割還付|抹消登録時の還付請求・グリーン化特例・課税対象の判定もあわせてご覧ください。

名義変更・住所変更・返納(廃車)の手続

届出が済んだ後も、車両や使用者に変更があれば手続が必要です。

記載事項の変更は15日以内

道路運送車両法施行規則第63条の5第1項は「検査対象外軽自動車の使用者は、軽自動車届出済証の記載事項について変更があつたときは、その日から十五日以内に、当該事項の変更について、運輸監理部長又は運輸支局長が行う軽自動車届出済証の記入を受けなければならない」と定めています。

引越しによる住所変更、婚姻等による氏名変更、使用者の変更(名義変更)は、いずれもこの記入手続の対象です。15日という期限が法令に明記されている点は見落とされがちですので、注意してください。使用者の氏名・名称または住所の変更を事由とする場合は、同条第3項により住所を証する書面の提出が求められます。

排気量ごとのバイクの名義変更の実務は、バイクの名義変更手続き|排気量別の必要書類・費用・手続き場所を解説で詳しく整理しています。トライクの名義変更も、側車付軽二輪であれば軽二輪と同じ流れで進みます。ただし、同記事で原付として整理されている125cc以下の排気量でも、側車付のトライクは51cc以上であれば側車付軽二輪となり、運輸支局での手続になります。

使用を廃止するとき(返納)

車両の使用をやめるときは、同規則第63条の6第1項第2号により、遅滞なく軽自動車届出済証を運輸監理部長または運輸支局長に返納しなければなりません。返納にあたっては申請書を提出し、申請により軽自動車届出済証返納証明書の交付を受けることができます(同条第3項)。

この返納証明書は、後日その車両を第三者に譲渡した際、譲受人が新規届出をするために必要になります。返納しただけで書類を保管していないと、買い手側の手続が止まることがありますので、譲渡を予定しているなら必ず交付を受けて保管してください。

届出済証を紛失したとき

軽自動車届出済証が滅失し、き損し、または識別が困難となったときは、同規則第63条の7により再交付を受けることができます。申請書を提出して手続します。

つまずきやすいポイントと実務上の注意

並行輸入・自作・改造トライクの保安基準適合

海外から並行輸入したトライクや、二輪車を改造して三輪化した車両は、新規届出の段階で保安基準への適合性が問題になります。灯火装置、制動装置、車幅、後写鏡といった項目が、側車付二輪自動車に適用される基準を満たしているかを確認する必要があります。

また、二輪車をベースに三輪化した場合、車台番号の同一性、原動機の型式、諸元の変更など、確認を求められる事項が増えます。この種の車両では書類の整合性が審査の中心になりますので、譲渡証明書、通関証明書、諸元表などを取り揃えたうえで、事前に管轄の運輸支局へ相談することを強くおすすめします。改造車・並行輸入車の審査の全体像については、NALTEC(自動車技術総合機構)とは|車検・構造変更・改造車審査・並行輸入車登録を解説もご参照ください。

販売店の説明と法令区分が一致しないことがある

カタログや販売サイトで「トライク」「三輪バイク」と表示されていても、その車両が法令上どの区分で扱われるかは別の話です。「普通免許で乗れます」という説明が、特定二輪車に該当する車両について誤ってなされているケースもあり得ます。

判断に迷ったら、まず二輪車に側車を付したサイドカーではないかを確認してください。サイドカーは側車付きの自動二輪車として二輪免許が必要です。そのうえで、三輪の自動車であれば、輪距が460ミリメートル未満か、旋回時に車体が傾く構造かという2点を確認します。この2点が揃っていれば特定二輪車として二輪免許が必要になる可能性が高く、揃っていなければ普通免許で運転できる可能性が高い、という見当がつきます。確定的な判断は、警察本部の運転免許担当窓口に照会するのが確実です。

任意保険の引受け

自賠責保険は必須ですが、任意保険については、トライクという車種の特殊性から引受条件が通常の自動車・二輪車と異なる場合があります。原動機付自転車を対象とするいわゆるファミリーバイク特約が使えるかどうかも含め、契約前に保険会社へ具体的な車両情報を伝えて確認してください。届出を済ませてから任意保険が付けられないと分かる、という事態は避けたいところです。

高速道路の料金区分

高速道路の料金車種区分は、道路運送車両法上の区分とは別に、高速道路会社が車両の種類(形状・規格・乗用や貨物の別など)に応じて定めているものです。NEXCO西日本の案内では、最も料金の低い「軽自動車等」の区分に二輪自動車(側車付を含む)と軽自動車(三輪を含む)が挙げられています。もっともトライクは外観から車種を判別しづらく、料金所で確認を求められることがあります。各料金所では車種区分を証明する「車種区分証明書」が発行されていますので、自分の車両がどの区分になるか、証明書をどう受け取るかは、利用する高速道路会社に直接ご確認ください

区分の確定が出発点になる他の特殊車両

三輪や特殊な形状の車両は、区分の判定が手続の出発点になるという点で共通しています。大型特殊自動車の区分については大型特殊自動車の登録・ナンバーと必要書類|小型特殊との違い、車検・税金・免許を解説を、けん引を伴う車両についてはキャンピングトレーラーの登録と752kg基準|けん引免許・車庫証明・登録手続の全体像をご覧ください。いずれも「まず区分を確定させる」という進め方は同じです。

手続を専門家に依頼する場合

行政書士は、行政書士法第1条の3第1項により、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とすることができます。軽自動車届出書、軽自動車届出済証記入申請書、譲渡証明書、委任状といった書類の作成は、この規定に基づく業務です。

また、同法第1条の4第1項第1号により、作成した官公署提出書類を提出する手続について代理することができます。運輸支局への届出書の提出代行は、この規定に基づきます。遠方の運輸支局が管轄になる場合や、平日の日中に窓口へ行くことが難しい場合には、書類作成と提出代理をあわせて依頼することで負担を軽減できます。

なお、行政書士法第1条の3第2項により、他の法律で制限されている事務については業務を行うことができません。税務に関する相談や税額の計算は税理士の業務であり、行政書士は取り扱えません。この点はご理解いただいたうえで、必要に応じて税理士にご確認ください。

車庫証明・名義変更などの自動車手続でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、書類の作成から警察署・運輸支局への提出代行まで対応します。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

トライクの手続でつまずく最大の原因は、道路運送車両法と道路交通法が別々の基準で分類していることにあります。車両としてはバイク(側車付二輪自動車)、運転免許としてはクルマ(普通自動車)という組み合わせは制度どおりの姿であり、矛盾ではありません。この二本立てを最初に理解しておくと、以降の情報の整理が一気に楽になります。

手続の窓口は運輸支局または自動車検査登録事務所です。軽自動車検査協会ではありません。総排気量250cc以下であれば側車付軽二輪として、道路運送車両法第97条の3第1項に基づく使用の届出を行い、軽自動車届出済証と車両番号の交付を受けます。251cc以上は側車付小型二輪となり、新規検査を受けて自動車検査証の交付を受けることになります。

250cc以下は検査対象外軽自動車として車検がなく、車庫証明も不要です。ただし車検がないということは自賠責保険の期限を確認してくれる仕組みがないということでもあり、期限管理は使用者自身の責任です。届出時に満期日を控えておく習慣をつけてください。軽自動車税は二輪のもの(側車付を含む)として標準税率年額3,600円、自動車重量税は届出時に4,900円が目安となります。

運転免許については、輪距460ミリメートル未満かつ旋回時に車体が傾く構造という特定二輪車の要件に該当するかどうかが分岐点です。該当すれば二輪免許とヘルメット着用義務が生じ、該当しなければ原則として普通免許で運転できます。ただし、二輪車に側車を付したサイドカーは「側車付きのもの」として最初から自動二輪車に含まれ、二輪免許が必要です。販売店の説明を鵜呑みにせず、構造から確認する姿勢が安全です。

行政書士法人Treeでは、軽自動車届出書をはじめとする運輸支局提出書類の作成と、作成した書類の提出手続の代理を行っています。区分の判定に迷う段階からご相談いただければ、必要書類の洗い出しから窓口での手続までを一貫してお手伝いできます。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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