造成工事や宅地分譲、資材置場の整備、工場用地の確保など、土地に手を入れて建物を建てようとするとき、着工の前に立ちはだかるのが都市計画法の「開発許可」です。建設業者や不動産事業者から「建設業許可は持っているのに、造成に着手できないと言われた」「市街化調整区域の土地を仕入れたが建築確認が下りない」といった相談は絶えません。開発許可は建設業許可とはまったく別の制度で、根拠法も所管部署も審査基準も異なります。
本記事では、都市計画法第29条の開発許可について、開発行為の定義(法第4条第12項)、市街化区域と市街化調整区域の区分(法第7条)、許可が不要となる面積要件(都市計画法施行令第19条・第22条の2)、技術基準(法第33条)と立地基準(法第34条)の違い、申請手続の流れ、違反した場合の監督処分と罰則までを、条文と国土交通省の運用指針に基づいて実務目線で整理します。条例による上乗せ・引下げが多い分野ですので、最終的な判断は必ず開発許可権者の窓口でご確認ください。
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目次
開発許可制度とは|都市計画法第29条が求める事前の許可
開発許可制度は、都市計画法第29条を中心に組み立てられた土地利用規制です。同条第1項は「都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(括弧書き略)の許可を受けなければならない」と定めています。ポイントは「あらかじめ」という文言で、工事に着手してから追認してもらう制度ではありません。土を動かす前に許可を受けることが前提です。
許可権者は原則として都道府県知事ですが、地方自治法第252条の19第1項の指定都市または同法第252条の22第1項の中核市(都市計画法ではまとめて「指定都市等」と呼びます)の区域内では、当該指定都市等の長が許可権者になります。さらに、地方自治法第252条の17の2第1項の規定により都道府県知事の権限に属する事務の全部を処理することとされた市町村(法第33条第6項でいう「事務処理市町村」)がある場合は、その市町村長が窓口となります。同じ都道府県内でも市によって申請先が変わるため、まず「この土地の開発許可権者はどこか」を確定させることが実務の第一歩です。
制度の趣旨について、国土交通省の「開発許可制度運用指針」(平成26年8月1日国都計第67号制定、令和7年3月19日国都計第193号最終改正)は、開発許可制度が二つの役割を持つと整理しています。ひとつは技術基準への適合性審査を通じて良好な宅地水準を確保すること、もうひとつは立地基準への適合性審査を通じて都市計画に定められた土地の利用目的に沿った開発を行わせ、立地の適正性を確保することです。前者が法第33条、後者が法第34条に対応します。この二本立ての構造を頭に入れておくと、後述する基準の使い分けが理解しやすくなります。なお近年の運用指針は、コンパクトシティの形成と、気候変動による自然災害の頻発化・激甚化への対応を強く意識した記述になっており、災害リスクの高い区域での開発を抑制する方向の改正が続いています。
「開発行為」とは何か|法第4条第12項の区画形質の変更
開発許可が必要かどうかは、まず「その工事が開発行為に当たるか」から検討します。都市計画法第4条第12項は、開発行為を「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」と定義しています。要素は二つで、(1)主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的があること、(2)土地の区画形質の変更を伴うことです。どちらか一方でも欠ければ開発行為には当たりません。
建築物と特定工作物の範囲
「建築物」は建築基準法第2条第1号の建築物を、「建築」は同条第13号の建築をそれぞれ指します(法第4条第10項)。「特定工作物」は第一種と第二種に分かれます(法第4条第11項)。
第一種特定工作物は「コンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるもの」で、都市計画法施行令第1条第1項がアスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物(建築基準法施行令第116条第1項の表に掲げる危険物)の貯蔵または処理に供する工作物を挙げています(港湾法の保管施設、電気事業用の電気工作物などには除外規定があります)。
第二種特定工作物は「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」で、施行令第1条第2項は、野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設である工作物と、墓園を掲げ、いずれも規模が1ヘクタール以上のものを対象としています。学校(大学を除く)や都市公園法の都市公園などは除かれます。運用指針は、観光植物園やサーキットは通常規制対象となる一方、キャンプ場、ピクニック緑地、スキー場、マリーナは規制対象とならないとの解釈を示しています。運動・レジャー以外の目的で設置される施設である工作物(博物館法による博物館とされる動植物園である工作物など)も規制対象外です。
開発行為に当たらないとされる典型例
運用指針は、区画形質の変更の判断について次の基準を示しています。単なる分合筆は規制の対象とならないこと。建築物の建築自体と不可分一体の工事と認められる基礎打ちや土地の掘削等の行為は規制の対象とならず、すでに建築物の敷地となっていた土地またはこれと同様の状態にあると認められる土地では、敷地としての区画を変更しない限り原則として規制対象とする必要はないこと。農地等の宅地以外の土地を宅地とする場合は原則として規制の対象とすること、などです。
一方で運用指針は、「単に一定規模以上の切土又は盛土を伴わないことのみをもって、『形質』のみならず『区画』の変更にも当たらないとするようなことは、法の趣旨を逸脱する」とも明記しています。切土・盛土がなければ開発行為ではない、という単純化は誤りだということです。
いわゆる再開発型開発行為(既成市街地や土地区画整理事業等の計画的な開発が行われた区域における二次的な開発行為)については、建築に際して切土・盛土等の造成工事を伴わず、かつ従来の敷地境界の変更が既存建築物の除却や塀・垣・柵等の除却・設置にとどまり公共施設の整備の必要がないと認められるものは、建築行為と不可分一体のものとして開発行為に該当しないものとして取り扱うことができるとされています。ただしこの判断は開発許可権者が行うものであり、規制対象規模以上の敷地で建築を行う場合は、建築確認担当部局の審査に先立って開発許可担当部局が判断し、求めに応じて都市計画法施行規則第60条の書面(実務で「60条証明書」と呼ばれます)を交付する運用が示されています。
「建築目的」の判断は総合判断
「山林現況分譲」「現況有姿分譲」などと称し、宣伝文書に「建築不可」と記載して規制を免れようとする事案について、運用指針は、区画割・区画街路等の状況や宣伝文書の文言等の諸般の事由を総合的にみて客観的に判断すべきであり、「建築不可」の文言があっても総合的にみて建築目的と客観的に判断し得るものであれば開発行為に当たると解して差し支えないとしています。判断の参考として、土地の区画割、区画街路、擁壁、販売価格、利便施設、交通関係、付近の状況、名称の8項目が示されています。
市街化区域と市街化調整区域|区域区分と4つのエリア
開発許可の要否と難易度は、対象地がどの区域にあるかで大きく変わります。都市計画法第7条第1項は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定めることができるとし、首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏整備法の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏開発整備法の都市整備区域の全部または一部を含む都市計画区域などについては、区域区分を定めるものとしています。
市街化区域は「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」(法第7条第2項)、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」(同条第3項)です。この二つの定義の差が、後述する立地基準(法第34条)の厳しさの根拠になっています。
実務上、土地は次の4つに整理して考えると混乱しません。
| 区域の種類 | 性格 | 開発許可の考え方 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | すでに市街地、または概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域 | 一定規模未満は許可不要。技術基準(法33条)のみ適用 |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 | 規模による適用除外がなく、原則すべて許可が必要。技術基準に加えて立地基準(法34条)が上乗せされる |
| 区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き都市計画区域)・準都市計画区域 | 線引きがされていない都市計画区域と、都市計画区域外で一定の土地利用整序が必要な区域 | 一定規模未満は許可不要。技術基準のみ適用 |
| 都市計画区域及び準都市計画区域外 | いわゆる都市計画区域外 | 1ヘクタール以上の開発行為のみ許可が必要(法29条2項) |
対象地がどの区域に属するかは、市町村の都市計画情報の公開システムや都市計画課の窓口で確認できます。1筆の土地が市街化区域と市街化調整区域にまたがっているケースもあり、公図と都市計画図の重ね合わせが必要になることも珍しくありません。仕入れ前の調査を怠ると、取得後に「この土地では建てられない」という事態になりかねません。
面積要件|許可が不要になる規模の一覧
法第29条第1項第1号は、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域または準都市計画区域内で行う開発行為で、その規模がそれぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満のものについては、許可を不要としています。この「政令で定める規模」を定めているのが都市計画法施行令第19条です。
| 区域 | 許可が不要となる規模(原則) | 条例で別に定められる範囲 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 1,000平方メートル未満 | 市街化の状況により無秩序な市街化を防止するため特に必要があると認められる場合、300平方メートル以上1,000平方メートル未満の範囲で条例により別に定めることができる |
| 区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域 | 3,000平方メートル未満 | 市街化の状況等により特に必要があると認められる場合、300平方メートル以上3,000平方メートル未満の範囲で条例により別に定めることができる |
| 都市計画区域及び準都市計画区域外 | 1ヘクタール未満(法29条2項、令22条の2) | — |
加えて重要なのが施行令第19条第2項です。都の区域(特別区の存する区域に限る)および、その区域の全部または一部が首都圏整備法第2条第3項の既成市街地・同条第4項の近郊整備地帯、近畿圏整備法第2条第3項の既成都市区域・同条第4項の近郊整備区域、中部圏開発整備法第2条第3項の都市整備区域内にある市町村の区域については、市街化区域の基準が「1,000平方メートル」ではなく「500平方メートル」に読み替えられます。三大都市圏で事業を行う場合は、この読替えの適用があるかを必ず確認してください。
市街化調整区域には規模による適用除外がない
ここが最も誤解の多い点です。法第29条第1項第1号が挙げているのは「市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域」であり、市街化調整区域は含まれていません。したがって市街化調整区域では、10平方メートルの土地であっても、区画形質の変更を伴い建築目的があれば原則として開発許可が必要です。「小規模だから大丈夫」という感覚は通用しません。
ただし、まったく例外がないわけではありません。施行令第22条第6号は、周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗・事業場等で延べ面積50平方メートル以内のものの新築のために、その居住者が自ら業務を営むために行う規模100平方メートル以内の開発行為を、法第29条第1項第11号の「通常の管理行為、軽易な行為」として許可不要としています。要件が細かく、ほとんどの事業用開発には使えません。
複数の区域にまたがる場合
開発区域が市街化区域、非線引き都市計画区域、準都市計画区域、都市計画区域および準都市計画区域外のうち二以上の区域にわたる場合の扱いは、法第29条第3項の委任を受けた施行令第22条の3が定めています。この場合、次の要件を「いずれにも」満たすときに限り、許可が不要となります。すなわち、開発区域の面積の合計が1ヘクタール未満であること、市街化区域・非線引き都市計画区域・準都市計画区域のうち二以上の区域における開発区域面積の合計が、それぞれの区域について許可を要しないこととされる規模のうち最も大きい規模未満であること、市街化区域部分が1,000平方メートル(施行令第19条第2項の適用がある場合は500平方メートル。条例で別に定めがあるときはその規模)未満であること、非線引き都市計画区域部分および準都市計画区域部分がそれぞれ3,000平方メートル(条例で別に定めがあるときはその規模)未満であることです。
また、都市計画区域・準都市計画区域と、その外の区域とにまたがる場合は、開発区域の面積の合計が1ヘクタール以上であれば法第29条第2項の許可が必要になります(令第22条の3第2項)。なお、開発区域の一部でも市街化調整区域にかかる場合は、この規模の緩和規定は働きません。
面積以外の適用除外|農林漁業用建築物・公益上必要な建築物など
法第29条第1項は第2号以下でも許可不要の類型を並べています。実務でよく登場するものを整理します。
第2号(農林漁業関係)は、市街化調整区域、非線引き都市計画区域、準都市計画区域内で行う開発行為で、農業・林業・漁業の用に供する政令で定める建築物、またはこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とするものです。施行令第20条が対象建築物を列挙しており、畜舎、蚕室、温室、育種苗施設、搾乳施設、集乳施設等の生産・集荷用建築物、堆肥舎、サイロ、種苗貯蔵施設、農機具等収納施設等の生産資材の貯蔵・保管用建築物、家畜診療用の建築物、用排水機・取水施設等の管理用建築物、そしてこれら以外で建築面積が90平方メートル以内の建築物が挙げられています。注意すべきは、この第2号に「市街化区域」が含まれていないことです。市街化区域内の農業用倉庫であっても、規模が基準以上なら開発許可が必要になります。
第3号(公益上必要な建築物)は、駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち、開発区域およびその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用および環境の保全を図るうえで支障がないものとして政令で定める建築物の建築を目的とする開発行為です。施行令第21条が31号にわたって列挙しており、道路法の道路を構成する建築物、都市公園法の公園施設、鉄道事業・軌道の施設、港湾施設・漁港施設、認定電気通信事業の施設、水道・下水道の施設、図書館法の図書館、博物館法の博物館、社会教育法第20条の公民館、火葬場、と畜場、廃棄物処理施設、卸売市場などが含まれます。
第4号から第8号は、都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業の施行として行う開発行為です。これらは都市計画事業の認可・承認や各事業法の手続の中で公共施設整備等が担保されるため、重ねて開発許可を求めない趣旨です。
第10号は非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為、第11号は通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるものです。施行令第22条は第11号の内容として、仮設建築物の建築や土木事業等に一時的に使用するための第一種特定工作物の建設、車庫・物置その他これらに類する附属建築物の建築、床面積の合計または築造面積が10平方メートル以内の増築・増設、用途変更を伴わない改築、床面積の合計が10平方メートル以内の改築、前述の日用品店舗の特例を定めています。
なお、法第29条第2項(都市計画区域および準都市計画区域外での1ヘクタール以上の開発行為)についても、農林漁業用建築物等と、第1項第3号・第4号・第9号から第11号までの類型が適用除外とされています。また、国または都道府県等が行う開発行為については、当該国の機関または都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもって開発許可があったものとみなされます(法第34条の2、開発許可の特例)。
技術基準(法第33条)|全区域に共通する14の審査項目
法第33条第1項は、申請に係る開発行為が同項各号の基準に適合し、かつ申請手続が法令に違反していないと認めるときは、都道府県知事は開発許可を「しなければならない」と定めています。基準に適合すれば許可しなければならない羈束的な処分と位置づけられています(市街化調整区域では、後述する法第34条の立地基準にも該当する必要があります)。第1号から第14号までの内容を概観します。
用途・設計に関する基準(第1号から第6号)
第1号は、開発区域内に用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、居住環境向上用途誘導地区、特定用途誘導地区、流通業務地区または港湾法第39条第1項の分区(これらを「用途地域等」といいます)が定められている場合、予定建築物等の用途がその用途制限に適合していることを求めます。用途地域等が定められていない場合は、建築基準法第48条第14項等による用途制限に適合していることが要件になります。
第2号は、主として自己の居住の用に供する住宅の建築を目的とする開発行為以外について、道路、公園、広場その他の公共の用に供する空地が、開発区域の規模・形状・周辺の状況、土地の地形および地盤の性質、予定建築物等の用途、その敷地の規模および配置を勘案して、環境の保全上、災害の防止上、通行の安全上または事業活動の効率上支障がない規模・構造で適当に配置され、開発区域内の主要な道路が開発区域外の相当規模の道路に接続するよう設計されていることを求めます。
この技術的細目は施行令第25条に置かれています。予定建築物等の用途・敷地規模等に応じて6メートル以上12メートル以下で国土交通省令が定める幅員(小区間で通行上支障がない場合は4メートル)以上の道路が敷地に接するよう配置すること(第2号)、開発区域内の主要な道路は開発区域外の幅員9メートル(主として住宅の建築目的の場合は6.5メートル)以上の道路に接続すること(第4号)、開発区域内の幅員9メートル以上の道路は歩車道を分離すること(第5号)などです。省令が定める幅員は、住宅の敷地または規模1,000平方メートル未満の非住宅の敷地では6メートル、その他は9メートルとされています(規則第20条)。
公園等については、開発区域の面積が0.3ヘクタール以上5ヘクタール未満の場合は開発区域面積の3パーセント以上の公園・緑地・広場を、5ヘクタール以上の場合は1箇所300平方メートル以上かつ合計3パーセント以上の公園を設けることが求められます(令第25条第6号・第7号)。
第3号は排水施設、第4号は給水施設に関する基準で、第4号も自己居住用住宅の建築を目的とする開発行為は適用外です。第5号は地区計画等への適合性、第6号は公益的施設と予定建築物の用途の配分に関する基準です。主として住宅の建築を目的とする20ヘクタール以上の開発行為では、規模に応じ必要な教育施設、医療施設、交通施設、購買施設その他の公益的施設を、機能に応じ居住者の有効な利用が確保される位置および規模で配置しなければなりません(令第27条)。
防災と災害ハザードエリア(第7号・第8号)
第7号は、地盤の沈下、崖崩れ、出水その他による災害を防止するため、地盤の改良、擁壁または排水施設の設置その他安全上必要な措置が講じられるよう設計が定められていることを求めます。加えて、開発区域内の土地が宅地造成及び特定盛土等規制法第10条第1項の宅地造成等工事規制区域内にあるときは同法第13条に、同法第26条第1項の特定盛土等規制区域内にあるときは(一定規模のものについて)同法第31条に、津波防災地域づくりに関する法律第72条第1項の津波災害特別警戒区域内にあるときは同法第75条の措置に、それぞれ工事計画が適合していることが要件になります。
第8号は、主として自己の居住の用に供する住宅の建築を目的とする開発行為以外について、開発区域内に建築基準法第39条第1項の災害危険区域、地すべり等防止法第3条第1項の地すべり防止区域、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下「土砂災害防止法」といいます)第9条第1項の土砂災害特別警戒区域、特定都市河川浸水被害対策法第56条第1項の浸水被害防止区域(これらを法は「災害危険区域等」と呼びます)その他政令で定める区域(施行令第23条の2により急傾斜地崩壊危険区域)内の土地を含まないことを求めています。ただし、開発区域およびその周辺の地域の状況等により支障がないと認められるときは、この限りではありません。運用指針は、このただし書が適用され得る場合として、区域指定の解除が決定しているか短期間のうちに解除が確実と見込まれる場合、開発不適区域の占める割合が僅少でフェンス設置等により利用を禁止・制限する場合、自己業務用の施設で申請者以外の利用者が想定されない場合などを挙げています。
環境・輸送・申請者の能力(第9号から第14号)
第9号は1ヘクタール以上(条例により0.3ヘクタール以上1ヘクタール未満の範囲で別に定めることが可能。令第23条の3)の開発行為について樹木の保存・表土の保全等の措置を、第10号は1ヘクタール以上(令第23条の4)の開発行為について騒音・振動等による環境悪化の防止上必要な緩衝帯の配置を、第11号は40ヘクタール以上(令第24条)の開発行為について輸送の便等からみて支障がないことを求めます。
第12号は申請者の資力および信用、第13号は工事施行者の工事完成能力に関する基準です。いずれも、主として自己の居住の用に供する住宅の建築を目的とする開発行為(盛土規制法の許可を要するものを除く)や、自己の業務の用に供する建築物・特定工作物の建築等を目的とする開発行為(盛土規制法の許可を要するものと、開発区域の面積が1ヘクタール以上のもの(令第24条の2・第24条の3)を除く)は適用対象外とされています。運用指針は、資力・信用の判断は資金計画や過去の事業実績等を勘案して行い、特に資金計画については処分収入を過当に見積もっていないかに留意することが望ましいとし、審査書類は資金計画書のほか法人の登記事項証明書、役員の住民票の写し等、事業経歴書、納税証明書に統一することが望ましいとしています。
第14号は、開発行為の施行等の妨げとなる権利を有する者の「相当数の同意」を得ていることです。全員の同意ではなく相当数である点が特徴で、同意していない権利者がその権利の行使として建築物を建築する場合は、後述する工事完了公告前の建築制限の例外にもなっています(法第37条第2号)。
条例による強化・緩和
地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例で技術的細目に定められた制限を強化または緩和することができます(法第33条第3項)。また、良好な住居等の環境の形成・保持のため必要と認める場合には、条例で区域・目的・予定建築物の用途を限り、建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができます(同条第4項)。この最低限度は200平方メートル(市街地の周辺その他の良好な自然的環境を形成している地域では300平方メートル)を超えない範囲とされています(令第29条の3)。景観行政団体は、景観計画区域内で景観計画に定められた開発行為の制限内容を条例で開発許可の基準として定めることもできます(同条第5項)。なお、令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)により、法第33条第1項第1号イの「用途地域等」に「特定業務施設等誘導地区」が追加されます。この部分は公布日(2026年5月27日)から6か月以内で政令で定める日(遅くとも2026年11月26日)に施行されますので、境目の時期には最新の条文をご確認ください。
立地基準(法第34条)|市街化調整区域だけに上乗せされる立地の類型
法第34条は「前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為(括弧書き略)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない」と定めています(主として第二種特定工作物の建設を目的とする開発行為は対象外)。つまり市街化調整区域では、法第33条の技術基準をすべてクリアしたうえで、さらに法第34条各号のいずれかに該当しなければ許可を受けられません。ここが市街化区域との決定的な違いです。号は第1号から第14号までですが、第8号の2が枝番として置かれているため、実際の類型は15あります。各号の概要は次のとおりです。
| 号 | 類型の概要 |
|---|---|
| 第1号 | 周辺地域の居住者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物、または日常生活のため必要な物品の販売・加工・修理等の店舗・事業場等(令第29条の5は、令第21条第26号イからハまでの学校・社会福祉施設・医療施設等を公益上必要な建築物としています) |
| 第2号 | 市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効利用上必要な建築物・第一種特定工作物 |
| 第3号 | 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物等 |
| 第4号 | 農林漁業用建築物(法第29条第1項第2号の政令建築物以外のもの)、市街化調整区域内で生産される農産物・林産物・水産物の処理、貯蔵、加工に必要な建築物等 |
| 第5号 | 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律の所有権移転等促進計画に基づくもの |
| 第6号 | 都道府県が国または独立行政法人中小企業基盤整備機構と一体となって助成する中小企業の連携・共同化等の事業用建築物等 |
| 第7号 | 市街化調整区域内で現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する建築物等 |
| 第8号 | 政令で定める危険物の貯蔵・処理に供する建築物等(令第29条の6により火薬類取締法の火薬庫) |
| 第8号の2 | 災害危険区域等その他政令で定める開発不適区域内に存する建築物等に代わるべき建築物等(区域外で従前と同一の用途に供されるものに限る) |
| 第9号 | 市街化区域内に建築・建設することが困難または不適当なものとして政令で定める建築物等(令第29条の8により、道路の円滑な交通確保のための道路管理施設・休憩所・給油所等、火薬類の製造所) |
| 第10号 | 地区計画または集落地区計画の区域内で、その内容に適合する建築物等 |
| 第11号 | 市街化区域に隣接・近接し、市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域で、おおむね50以上の建築物が連たんしている地域のうち条例で指定する区域内の開発行為 |
| 第12号 | 周辺における市街化を促進するおそれがなく、市街化区域内で行うことが困難または著しく不適当と認められる開発行為として、条例で区域・目的・予定建築物等の用途を限り定められたもの |
| 第13号 | 区域区分の決定・変更により市街化調整区域が拡張された際に、自己の居住・業務の用に供する目的で土地等の権利を有していた者が、6か月以内に届出をしたうえで5年以内(令第30条)に行う開発行為 |
| 第14号 | 都道府県知事が開発審査会の議を経て、周辺における市街化を促進するおそれがなく、市街化区域内で行うことが困難または著しく不適当と認める開発行為 |
災害ハザードエリアの原則除外
第11号・第12号の条例で指定する区域には、原則として次の区域を含めないこととされています(令第29条の9、第29条の10)。建築基準法第39条第1項の災害危険区域、地すべり等防止法第3条第1項の地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害防止法第7条第1項の土砂災害警戒区域、特定都市河川浸水被害対策法第56条第1項の浸水被害防止区域、水防法第15条第1項第4号の浸水想定区域のうち一定の要件に該当する区域などです。過去の許可事例をそのまま前提にすると判断を誤ります。
「自己の居住の用」「自己の業務の用」の意味
法第33条・第34条を通じて、開発行為は「自己居住用」「自己業務用」「その他」の3区分で扱いが変わります。運用指針は、「自己の居住の用に供する」とは開発行為を施行する主体が自らの生活の本拠として使用することをいうと解し、当然に自然人に限られるため、会社が従業員宿舎の建設のために行う開発行為や、組合が組合員への譲渡を目的とする住宅の建設のために行う開発行為は該当しないとしています。
また「自己の業務の用に供する」とは、当該建築物内において継続的に自己の業務に係る経済活動が行われることであり、文理上この場合は住宅を含まないため、分譲または賃貸のための住宅の建設や宅地造成のための開発行為はもちろん、貸事務所・貸店舗等も該当しないとされています。他方、ホテル、旅館、結婚式場、中小企業等協同組合が設置する組合員の事業に関する共同施設、従業員のための福利厚生施設等は該当すると考えられるとされています。この区分を誤ると、適用される基準や必要書類の範囲が変わってしまいます。
申請手続の流れ|事前協議から工事完了公告・登録簿まで
公共施設管理者の同意と協議(法第32条)
開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければなりません(第1項)。また、開発行為または工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者とも協議しなければなりません(第2項)。この同意書・協議経過を示す書面は申請書の添付図書となります(法第30条第2項)。さらに、開発区域の面積が20ヘクタール以上の場合は義務教育施設の設置義務者および水道事業者と、40ヘクタール以上の場合はこれに加えて一般送配電事業者・配電事業者・一般ガス導管事業者、鉄道事業者・軌道経営者とも協議が必要です(令第23条)。大規模案件では、この事前協議だけで数か月を要することも珍しくありません。
申請書と添付図書(法第30条、規則第15条から第17条)
申請書には、開発区域(工区に分けたときは開発区域および工区)の位置・区域・規模、予定建築物等の用途、開発行為に関する設計、工事施行者、その他国土交通省令で定める事項を記載します。省令で定める事項は、工事の着手予定年月日および完了予定年月日、自己居住用・自己業務用・その他の別、市街化調整区域内の開発行為については該当する法第34条の号およびその理由、資金計画です(規則第15条。自己居住用の開発行為と、1ヘクタール未満の自己業務用の開発行為では、盛土規制法の許可を要する工事を除き、資金計画の記載は不要です)。
設計は設計説明書および設計図により定めます(規則第16条第2項)。設計図として、現況図(2,500分の1以上)、土地利用計画図(1,000分の1以上)、造成計画平面図・断面図、排水施設計画平面図(500分の1以上)、給水施設計画平面図、がけの断面図(50分の1以上)、擁壁の断面図が定められています。添付図書は、開発区域位置図(5万分の1以上)、開発区域区域図(2,500分の1以上)、法第33条第1項第14号の同意を得たことを証する書類、設計図作成者の資格を証する書類などです(規則第17条)。
設計者の資格(法第31条、規則第18条・第19条)
開発区域の面積が1ヘクタール以上の開発行為に関する工事については、設計図書を国土交通省令で定める資格を有する者が作成しなければなりません(規則第18条)。資格は規則第19条が定めており、1ヘクタール以上20ヘクタール未満の工事については、大学で土木・建築・都市計画・造園に関する課程を修めて卒業後、宅地開発に関する技術に関して2年以上の実務経験を有する者、短期大学・高等専門学校卒業後3年または4年以上、高等学校卒業後7年以上の実務経験を有する者、技術士法の第二次試験のうち国土交通大臣が定める部門に合格し2年以上の実務経験を有する者、一級建築士で2年以上の実務経験を有する者などが挙げられています。20ヘクタール以上の工事では、さらに20ヘクタール以上の開発行為に関する工事の総合的な設計に係る設計図書の作成実務の経験等が求められます。これは一級建築士事務所登録の要件|建築士法23条・24条・管理建築士・5年更新・設計等の業務に関する報告書で扱う建築士法上の登録とは別の制度ですので、混同しないよう注意してください。
許可・不許可の通知と標準処理期間(法第35条)
都道府県知事は、開発許可の申請があったときは遅滞なく許可または不許可の処分をし、文書をもって申請者に通知しなければなりません。運用指針は、法第29条の開発許可に関する標準処理期間について、許可申請受付から許可処分までの期間は、開発審査会の議を経る必要がある場合を除き、原則として1か月以内とすることが適切であるとしています。ただし、これはあくまで正式受付後の期間であり、実務上時間がかかるのは受付前の事前協議です。標準処理期間を徒過したことをもって直ちに不作為の違法となるものではない旨も運用指針に明記されています。
工事中・完了時の制限と手続
開発許可を受けた開発区域内の土地では、工事完了の公告があるまでの間、建築物を建築し、または特定工作物を建設してはなりません(法第37条)。例外は、当該開発行為に関する工事用の仮設建築物等を建築するときその他都道府県知事が支障がないと認めたとき、および法第33条第1項第14号の同意をしていない者がその権利の行使として建築するときです。
工事が完了したら都道府県知事に届け出て(法第36条第1項)、検査を受けます。検査の結果、工事が開発許可の内容に適合していると認められれば検査済証が交付され(同条第2項)、遅滞なく工事完了の公告がなされます(同条第3項)。この公告があった後は、何人も、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物・特定工作物を新築・新設してはならず、また建築物を改築し、または用途を変更して予定建築物以外の建築物としてはなりません(法第42条第1項)。ただし、都道府県知事が支障がないと認めて許可したとき、または開発区域内の土地について用途地域等が定められているときは、この限りではありません。なお、用途地域が定められていない土地の区域における開発許可では、都道府県知事は必要があると認めるときに建築物の建蔽率、高さ、壁面の位置その他建築物の敷地・構造・設備に関する制限を定めることができ(法第41条第1項)、その制限に違反して建築してはならないとされています(同条第2項)。
変更・廃止・承継
法第30条第1項各号の事項を変更しようとするときは変更の許可が必要です(法第35条の2第1項)。ただし国土交通省令で定める軽微な変更は届出で足ります。規則第28条の4は軽微な変更として、予定建築物等の敷地の形状の変更(敷地規模の10分の1以上の増減を伴うもの等を除く)、工事施行者の変更(一定の場合は氏名・名称・住所の変更に限る)、工事の着手予定年月日・完了予定年月日の変更を挙げています。工事を廃止したときは遅滞なく届け出なければなりません(法第38条)。
許可に基づく地位は、相続人その他の一般承継人が当然に承継します(法第44条)。開発許可を受けた者から開発区域内の土地の所有権その他工事施行の権原を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて地位を承継することができます(法第45条)。事業譲渡や法人再編の場面では、この承認手続を失念すると無許可施工と評価されかねません。承継の考え方は制度ごとに異なりますので、建設業許可のM&A事業承継|地位承継認可・合併・事業譲渡の手続きを解説もあわせてご確認ください。
公共施設の管理・帰属と開発登録簿
開発行為により設置された公共施設は、工事完了公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属します。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、または法第32条第2項の協議により別段の定めをしたときは、それらの者の管理となります(法第39条)。公共施設の用に供する土地も、原則として公告の日の翌日に、公共施設を管理すべき者に帰属します(法第40条第2項)。
都道府県知事は、開発許可をしたときは、許可の年月日、予定建築物等の用途、公共施設の種類・位置・区域、開発許可の内容、法第41条第1項による制限の内容などを開発登録簿に登録し、常に公衆の閲覧に供するように保管し、請求があったときは写しを交付しなければなりません(法第47条)。中古の宅地を取得する際、過去の開発許可の内容や予定建築物の用途制限を確認するうえで、開発登録簿の写しは重要な調査資料です。
手数料・関連手続と、違反した場合の監督処分・罰則
手数料は自治体の条例で定まる
開発許可の申請手数料は、国が一律に定めているものではなく、各自治体の条例で定められます。参考として、東京都都市整備局が公表している都市計画法に基づく開発許可申請等手数料(令和6年7月31日から改定後の額を適用)では、開発区域の面積と目的の区分に応じて次のように定められています。
| 開発区域の面積 | 自己住宅用 | 自己業務用 | その他 |
|---|---|---|---|
| 0.1ヘクタール未満 | 13,000円 | 21,000円 | 141,000円 |
| 0.1ヘクタール以上0.3ヘクタール未満 | 39,000円 | 51,000円 | 215,000円 |
| 0.3ヘクタール以上0.6ヘクタール未満 | 76,000円 | 113,000円 | 320,000円 |
| 0.6ヘクタール以上1.0ヘクタール未満 | 149,000円 | 204,000円 | 379,000円 |
| 1.0ヘクタール以上3.0ヘクタール未満 | 225,000円 | 340,000円 | 573,000円 |
| 3.0ヘクタール以上6.0ヘクタール未満 | 305,000円 | 457,000円 | 654,000円 |
| 6.0ヘクタール以上10.0ヘクタール未満 | 370,000円 | 567,000円 | 808,000円 |
| 10.0ヘクタール以上 | 497,000円 | 795,000円 | 1,081,000円 |
同じ面積でも、自己住宅用と「その他」(分譲・賃貸目的など)とでは約2倍から約11倍の開きがあり、おおむね規模が小さいほど差が大きくなります。0.1ヘクタール未満は13,000円と141,000円で約10.8倍、10.0ヘクタール以上は497,000円と1,081,000円で約2.2倍です。変更許可の手数料は、開発行為の変更が許可手数料の10分の1、新たな土地の編入に係る変更が許可と同額、その他の変更が15,000円で、合計額に上限(1,081,000円)が設けられています。開発登録簿の写しの交付は700円、規則第60条の証明書の交付は900円です。あくまで東京都の例であり、他の自治体では金額も区分も異なりますので、必ず申請先の条例をご確認ください。
関連する他法令の手続
開発許可は単独で完結しません。実務では次の手続と並行または前後して進める必要があります。
- 建築確認:建築基準法第6条第1項等による確認済証の交付を受けようとする者は、その計画が法第29条第1項・第2項、第35条の2第1項、第41条第2項、第42条、第43条第1項または第53条第1項の規定に適合していることを証する書面(60条証明書)の交付を求めることができます(規則第60条)。なお、建築物の設計および工事監理は建築士法に基づく資格者の業務です。
- 盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法):宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域の指定後に開発許可を受けた宅地造成・特定盛土等の工事は、同法の工事許可を受けたものとみなされます(同法第15条第2項・第34条第2項)。その代わり、開発許可の審査で同法の基準への適合が求められます(法第33条第1項第7号)。開発許可が不要な規模の造成や土石の堆積などは、同法の許可が別に必要になる場合があります。
- 農地転用:対象地が農地の場合、市街化調整区域では農地法第4条第1項または第5条第1項の都道府県知事等の許可が必要です。市街化区域内の農地については、あらかじめ農業委員会に届け出れば足ります(同法第4条第1項第7号、第5条第1項第6号)。農地の相続手続き・相続登記|届出義務と農地法の許可・納税猶予を解説の「農地法の許可制度(3条・4条・5条)」の項もご参照ください。
- 既存建築物の解体を伴う場合:一定規模以上の解体工事では建設リサイクル法の届出等が必要です。建設リサイクル法の特定建設資材廃棄物とは|対象工事・届出・分別解体・再資源化・罰則を解説で対象工事と手続を整理しています。
- 造成工事の請負:造成工事そのものを請け負う場合は建設業許可の要否も検討が必要です。軽微な工事とは?建設業許可が不要な工事の範囲と注意点および建設業許可とは?取得要件・申請手続き・費用を完全ガイド【2026年最新】をご覧ください。
市街化調整区域では「建築許可」も必要になる
見落とされがちなのが法第43条です。市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内では、都道府県知事の許可を受けなければ、法第29条第1項第2号・第3号に規定する建築物以外の建築物を新築し、または第一種特定工作物を新設してはならず、建築物を改築し、または用途を変更して同号の建築物以外の建築物としてはなりません。区画形質の変更を伴わない、つまり開発行為に当たらない建築であっても、市街化調整区域では別途この建築許可(実務では「43条許可」と呼ばれます)が必要になるということです。
許可基準は施行令第36条が定めており、排水施設や災害防止措置の基準に適合すること、地区計画等に適合すること、そして法第34条第1号から第10号までに規定する建築物等であること、第11号の条例指定区域内で条例の用途に該当しないものであること、都道府県の条例で区域・目的・用途を限り定められたもの(令第36条第1項第3号ハ)であること、または都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たもの(同号ホ)であることなどが求められます。既存宅地であることのみを理由に自由に建て替えられるわけではありません。
監督処分と罰則
国土交通大臣、都道府県知事または市町村長は、法令や処分に違反した者、違反の事実を知って違反に係る土地・工作物等を譲り受けた者、違反工事の注文主・請負人(下請人を含む)、許可に付した条件に違反している者、詐欺その他不正な手段により許可を受けた者などに対し、都市計画上必要な限度において、許可の取消し・変更・効力停止、条件の変更・追加、工事その他の行為の停止命令、建築物その他の工作物等の改築・移転・除却その他違反是正のために必要な措置を命ずることができます(法第81条第1項)。命令をした場合は標識の設置等により公示されます(同条第3項)。
罰則は次のとおりです。法第29条第1項・第2項または第35条の2第1項に違反して開発行為をした者は50万円以下の罰金(法第92条第3号)。法第37条・第42条第1項に違反して建築物を建築し、または特定工作物を建設した者、法第41条第2項に違反して建築物を建築した者、法第42条第1項・第43条第1項に違反して建築物の用途を変更した者、法第43条第1項に違反して建築物を建築し、または第一種特定工作物を建設した者も、それぞれ50万円以下の罰金です(同条第4号から第7号)。
より重いのが法第81条第1項の監督処分命令に違反した場合で、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています(法第91条)。さらに法人の代表者や従業者が業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人にも各本条の罰金刑が科されます(法第94条、両罰規定)。法第35条の2第3項の軽微な変更の届出や法第38条の廃止の届出を怠り、または虚偽の届出をした者には20万円以下の過料が定められています(法第96条)。許可を得ずに行った行為に罰則が科される点では建設業法とも共通しますので、建設業許可なしで工事すると?無許可営業のリスクと罰則もあわせて確認しておくとよいでしょう。
不許可処分に不服がある場合
法第29条第1項・第2項、第35条の2第1項、第41条第2項ただし書、第42条第1項ただし書、第43条第1項に基づく処分やその不作為、これらの規定に違反した者に対する法第81条第1項の監督処分についての審査請求は、開発審査会に対して行います(法第50条第1項)。不作為についての審査請求は、開発審査会に代えて当該不作為に係る都道府県知事に対してすることもできます。開発審査会は、審査請求がされた日(不備の補正を命じた場合は補正された日)から2か月以内に裁決をしなければならず(同条第2項)、却下する場合を除き、あらかじめ関係人等の出頭を求めて公開による口頭審理を行わなければなりません(同条第3項)。開発審査会は都道府県および指定都市等に置かれ、委員5人以上で組織されます(法第78条)。
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まとめ
開発許可の要否は、まず「開発行為に当たるか」(法第4条第12項の区画形質の変更と建築目的)、次に「どの区域にあるか」(法第7条の区域区分)、最後に「規模が基準未満か」(施行令第19条・第22条の2)という順で検討します。単なる分合筆や建築と不可分一体の掘削は開発行為に当たらない一方、切土・盛土がないことだけを理由に区画の変更まで否定するのは法の趣旨を逸脱する、というのが運用指針の立場です。
面積要件は、市街化区域1,000平方メートル(首都圏・近畿圏・中部圏の一定区域は500平方メートル)、非線引き都市計画区域・準都市計画区域3,000平方メートル、都市計画区域外1ヘクタールが原則で、条例により300平方メートルまで引き下げられている地域があります。これに対して市街化調整区域には規模による適用除外がなく、原則としてすべての開発行為に許可が必要である点が最大の落とし穴です。土地の仕入れ前に区域と規模を確定させることが、事業の成否を分けます。
審査基準は二層構造です。法第33条の技術基準は全区域に共通し、道路・公園・排水・給水の配置、災害防止措置、災害危険区域等を含まないこと、申請者の資力・信用、権利者の相当数の同意などを問います。法第34条の立地基準は市街化調整区域のみに上乗せされ、第1号から第14号(第8号の2を含む)の類型に該当しなければ許可できません。第11号・第12号の条例区域からは災害ハザードエリアが原則として除外されており、過去の許可事例をそのまま前提にすると判断を誤ります。
手続面では、法第32条の公共施設管理者との事前協議・同意が実質的な山場です。標準処理期間は開発審査会の議を経る場合を除き原則1か月以内とされていますが、これは正式受付後の期間にすぎません。工事完了公告前の建築制限(法第37条)、公告後の予定建築物以外の建築制限(法第42条)、市街化調整区域における43条許可まで一連の流れとして押さえておく必要があります。無許可の開発行為は50万円以下の罰金、監督処分命令違反は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であり、両罰規定も置かれています。
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※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


