建設業関連

解体工事業登録は他県の現場でも必要?営業所新設・許可換え新規を実務解説

更新: 約14分で読めます

解体工事業者が他都道府県に営業を広げる場合、「現場に出るだけ」と思って準備を進めると、出口で建設リサイクル法違反を指摘されることがあります。500万円未満(消費税込)の解体工事を請け負う事業者は、建設業許可(解体工事業)を持たない限り、原則として工事を行う都道府県ごとに「解体工事業の登録」が必要だからです。さらに、新しい都道府県に営業所を構えるか、現場だけで動くかによって、登録・標識・帳簿・技術管理者配置の整理が変わってきます。本記事では、解体業者の他都道府県進出にあたって押さえるべき登録要件、営業所新設の手続き、許可換え新規申請、経審・入札参加資格・産廃収集運搬との関係まで、実務目線で解説します。

【お困りの方へ】行政書士法人Tree|解体工事業 他都道府県登録・許可換え新規の段取り支援

「隣県の現場が増えてきたので登録を取りたい」「営業所新設に伴って大臣許可へ切り替えたい」といったご相談に、登録要件の整理から書類作成・申請まで対応します。同時に複数県の登録が必要な場合や、解体登録と建設業許可の選択判断もご相談ください。

料金プラン:解体工事業の登録 66,000円(税込)/建設業許可(解体工事業)110,000円(税込)/複数都道府県同時申請は件数に応じて別途お見積り。

▶ 無料相談はこちら

1. 他都道府県進出時に「解体工事業の登録」が必要となる根拠

解体工事業の登録制度は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(以下「建設リサイクル法」)第21条第1項に根拠があります。同項は「解体工事業を営もうとする者(建設業法第3条第1項の規定により土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同項の許可を受けた者を除く。以下この章において同じ。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない」と定めており、ポイントは括弧書きの「業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事」です。

つまり登録は、本店所在地ではなく「実際に解体工事を施工しようとする都道府県ごと」に求められます。本店が東京都にあって東京都の登録を受けている事業者でも、神奈川県・千葉県・埼玉県で解体工事を請け負うのであれば、原則として各県の知事登録を別途取得することになります。営業所がある都道府県は当然として、営業所がなく現場だけ入る都道府県についても、同じく登録対象になる点が見落とされがちです。

逆に建設業法第3条第1項に基づく解体工事業の許可(建設業許可)を受けている事業者は、建設リサイクル法第21条第1項の「除く」に該当するため、許可で示された営業範囲の中であれば、解体工事業の登録は不要となります。知事許可・大臣許可のいずれであっても、解体工事の施工自体は全国どこでも可能です。両者の違いは営業所を置く都道府県の数による区分であり、施工区域の制限ではありません。500万円未満の請負を含めて、解体工事の規模を増やしていく事業者にとって、登録ルートを延々と束ねるのではなく、建設業許可(解体工事業)へ切り替えるタイミングを検討することは重要です。関連して解体工事業の登録と建設業許可の違い|どちらが必要かを解説もあわせてご覧ください。

2. 営業所がある都道府県と、現場だけの都道府県の整理

他都道府県進出を整理する際、まず「営業所所在地」と「工事現場所在地」を分けて考えると見通しが立てやすくなります。建設リサイクル法第21条第1項の「業を行おうとする区域」は工事の施工区域を指すため、結論として次のようになります。

第一に、営業所を新設する都道府県は、その営業所自体がその県内で解体工事の受注・契約・施工管理を行う拠点である以上、必ず登録対象になります。第二に、営業所はないが現場だけ入る都道府県についても、500万円未満の解体工事を請け負うのであれば原則として登録が必要になります。第三に、建設業許可(解体工事業)を持っていれば、その許可区分(知事許可か大臣許可か)に応じて、各県別の解体登録は不要となります。

注意したいのは、「現場が一時的で終わるから」「下請として現場に入るだけだから」といった事情で登録不要にはならない点です。建設リサイクル法第21条第1項は請負形態を問わず適用されるため、元請でも下請でも、原則として1件あたり500万円未満の解体工事を業として行うのであれば、施工区域の知事登録が必要となります。なお、上記金額や面積の細かい区分は建設業法施行令第1条の2及び建設リサイクル法施行令で定められているので、自社案件が「建設業許可レンジ」と「解体登録レンジ」のどちらに該当するか、見積段階で確認することが重要です。

3. 登録なしで他都道府県に進出できるケース(建設業許可の活用)

解体工事を量・地域ともに広げていく事業者は、解体登録を県ごとに重ねるよりも、建設業許可(解体工事業)を取得した方が結果として手続が軽くなる場面が多くあります。建設業法上の許可区分は、営業所をいくつの都道府県に設置するかで切り分けられます。

一つの都道府県内にだけ営業所を置く場合は、その都道府県知事の建設業許可(知事許可)となり、知事許可でも工事の施工自体は全国どこでも可能です。例えば東京都知事許可(解体工事業)を持つ事業者が、神奈川・千葉・埼玉・茨城の現場で500万円未満~それ以上の解体工事を請け負っても、解体登録は不要です。これに対して、二以上の都道府県に営業所を置く場合は、国土交通大臣許可(大臣許可)が必要になります(建設業法第3条第1項各号)。

したがって、他県への進出方針が「現場は広げるが、営業拠点は本店一拠点でよい」のであれば、知事許可(解体工事業)の取得が現実的な選択肢になります。一方、「現場の規模が大きくなり、各県に営業所を置いて受注体制を組みたい」場合は、大臣許可への切り替え、すなわち許可換え新規申請を検討することになります。関連して知事許可と大臣許可の違い|建設業許可の区分を解説もご参照ください。

4. 営業所新設の手続き|要件と変更届の期限

他都道府県に営業所を新設する場合、まず営業所の物理的・人的要件を満たす必要があります。解体工事業の登録ルートと建設業許可ルートで細部は異なりますが、共通する考え方は、外部から見て独立した事務所として認識できる実体があり、契約締結・指揮監督を行う場所であることです。具体的には、独立した区画で電話・机・帳簿類の保管設備があること、入口や看板で事業者名が掲示されていること、専任の常勤者が配置されていること、などが審査されます。詳細は建設業許可の営業所要件|自宅・レンタルオフィスの可否と物理的要件・人的要件を解説も参考になります。

解体工事業の登録ルートでは、営業所ごとに技術管理者の配置が求められます。技術管理者は解体工事業に係る登録等に関する省令(平成13年国土交通省令第92号)第7条で資格・実務経験が定められており、土木施工管理技士・建築施工管理技士などの所定の資格保有者、または8年以上の実務経験(大学・高専の指定学科卒業者は2年、高等学校の指定学科卒業者は4年)が必要です。詳細は解体工事業登録の技術管理者要件|資格・実務経験8年・大学高専2年・高校4年を整理を参照してください。

営業所を新設したり、技術管理者を変更したりした場合は、建設リサイクル法第25条に基づく登録事項変更届を、登録した都道府県知事に対して30日以内に提出します。住所・商号・代表者・営業所・技術管理者などが変更届の対象です。変更届の提出を怠った場合、建設リサイクル法上の罰則の対象となり、その後の更新審査でも不利に働きます。期限管理は法令遵守の基本であり、解体工事業登録の更新・変更届・廃業等届出|建設リサイクル法第21条・第25条・第27条と5年更新を解説もあわせて整理しておくことをおすすめします。

5. 知事許可⇔大臣許可の「許可換え新規申請」

建設業許可を持つ事業者が他都道府県に営業所を新設し、結果として営業所が二以上の都道府県にまたがる状態になると、知事許可から大臣許可への許可換え新規申請が必要になります。逆に、ある県の営業所を廃止して営業所が一県内に収まる場合は、大臣許可から知事許可への許可換え新規申請となります。

この「許可換え新規」は文字通り新規申請扱いであり、既存の許可の変更届ではありません。許可の有効期間も、許可換え新規が許可された日から改めて5年間として計算され、従前の許可は失効します。許可換え新規の審査中に既存許可が満了する場合の対応や、申請から許可までの間の営業の取扱いについては、都道府県の建設業課に事前確認しておくのが安全です。費用面では大臣許可の許可申請手数料が知事許可と異なり、登録免許税15万円(新規)・更新等は5万円が標準です。詳細は建設業許可の許可換え新規申請|知事⇔大臣・他都道府県への営業所新設の手続きと費用を参照してください。

許可換え新規にあわせて、各営業所の常勤性立証(健康保険・住民票・賃金台帳・出勤簿等)を整える必要があります。新設営業所の技術者についても、同様の立証書類を揃える必要があり、書類の収集・整理に時間がかかる典型場面です。詳細は営業所技術者等の常勤性立証|健康保険・住民票・賃金台帳・出勤簿の整備実務もあわせてご覧ください。

6. 経審スコアと他都道府県の入札参加資格

他都道府県に営業所を新設して建設業許可を整え直すと、経営事項審査(経審)のスコアにも影響が出ます。営業所追加そのものは経審の評価対象ではありませんが、新営業所での技術者配置・常勤性は、Z点(技術職員数や元請完成工事高の評価)に影響します。新営業所に営業所技術者等を配置するために本店の技術者を異動させると、本店側の評価に影響することもあるため、技術者の配置設計は経審受審年度の前から考えておくのが望ましい運用です。

進出先の都道府県の入札に参加する場合、経審の総合評定値(P点)の有効期間に加えて、各自治体の入札参加資格申請を別途行う必要があります。原則として、入札参加資格は都道府県・市町村ごとに申請が必要で、有効期間は2年または3年とされている自治体が多いです。受付期間や様式も自治体ごとに異なるため、進出先のスケジュールに合わせて準備します。経審の運用については経営事項審査(経審)の有効期間と公共工事入札|1年7か月ルールと空白期間対策・受審頻度の最適設計を、入札参加資格については建設業の入札参加資格審査の手続き|申請方法と等級格付けの仕組みを解説を参照してください。

なお、進出先県の地元評価項目(県内本店・県内営業所の所在年数、地元雇用、災害協定など)は、進出直後では加点要件を満たせないことが一般的です。県内営業所として認定されるための要件は自治体ごとに異なり、登記上の支店登録、社会保険適用、常勤職員配置、営業実態の継続期間などが確認される場合があります。そのため、入札戦略上の評価加点は、各自治体の入札参加資格要領を確認しながら数年単位の長期視点で組み立てる必要があります。

7. 産業廃棄物収集運搬業許可との関係

解体工事に伴って発生する廃材は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)上の産業廃棄物に該当します。自社で運搬する場合は、運搬先となる都道府県ごとに産業廃棄物収集運搬業許可が必要となります。「積込み地」と「荷下ろし地」がまたがる場合、両方の都道府県の許可が必要となるのが原則です(廃掃法第14条第1項)。

もっとも、元請建設業者が自ら排出した産業廃棄物を運搬する場合は、産業廃棄物排出事業者として運搬する形となり、収集運搬業許可が不要となる「自社運搬」のスキームを取れる場合があります。判断は契約形態と廃棄物処理責任の所在によって変わるため、元請・下請・運搬主体の役割を整理した上で、許可要否を確認することが必要です。

他都道府県に進出する解体業者にとって、解体登録(または建設業許可)と産廃収集運搬業許可は別個の許可なので、自県と進出先県の両方について、別々のスケジュール感で取得を進める必要があります。詳細は産業廃棄物収集運搬業許可申請の完全ガイド|要件・JWセンター講習・5年更新を解説を参照してください。

8. 進出先での営業活動|標識掲示・帳簿備付・違反時の罰則

登録または許可を得て進出先で営業を始めると、現場・営業所において一定の法定義務が発生します。建設リサイクル法に基づく解体工事業者は、営業所及び解体工事の現場ごとに、登録番号・氏名(商号)・登録年月日・技術管理者の氏名等を記載した標識を掲示する義務があります(建設リサイクル法第33条)。

あわせて、解体工事業者は営業所ごとに帳簿を備え付けて、注文者の氏名・工事名称・工事場所・請負金額・施工年月日・技術管理者の氏名等を記載し、5年間保存する義務があります(建設リサイクル法第34条)。建設業許可業者でも、建設業法第40条・第40条の3に基づく標識掲示と帳簿備付の義務があり、こちらも内容と保存期間が定められています。

これらに違反した場合、建設リサイクル法第50条・第52条の罰則規定により、罰金や登録の取消し等の対象となり得ます。特に他都道府県進出の初期段階では、本店所在地でのルールが進出先県の運用とずれていることがあるため、各県の建設リサイクル法担当窓口(多くは建設業課または環境部局)に、標識掲示と帳簿様式の確認を取っておくと安全です。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 営業所を新設せず、隣県の現場に出張で入るだけでも解体登録が必要ですか。

原則として必要です。建設リサイクル法第21条第1項は「業を行おうとする区域」を基準にしており、営業所の有無を問いません。500万円未満(建築物の場合は1,500万円未満又は延床150㎡未満の木造住宅)の解体工事をその県で請け負うのであれば、現場のみであっても当該県の知事登録が原則として必要となります。建設業許可(解体工事業)を持っている場合は登録不要です。

Q2. 知事許可(解体工事業)でも他県の現場に出られますか。

出られます。知事許可と大臣許可の違いは「営業所を置く都道府県の数」であり、施工区域の制限ではありません。東京都知事許可の解体工事業者でも、神奈川県や埼玉県の現場で工事を行うことができ、その範囲では解体登録は不要です。営業所を他県に新設する場合のみ、大臣許可への切り替え(許可換え新規申請)が必要になります。

Q3. 複数の都道府県で同時に解体登録を取得することはできますか。

可能です。建設リサイクル法上、登録は都道府県ごとに独立した手続のため、各県に同時並行で申請できます。ただし、技術管理者の選任状況や営業実態の確認方法は、申請先の都道府県ごとに運用差があり、実務経験証明や講習修了証等の原本提出を求める県もあるため、書類のローテーション設計を事前に組んでおく必要があります。

Q4. 営業所新設後の変更届はいつまでに出せばよいですか。

解体工事業の登録については、建設リサイクル法第25条で「変更があった日から30日以内」と定められています。建設業許可については、建設業法第11条第1項で営業所新設・廃止等の変更は「30日以内」、営業所技術者等の変更は「2週間以内」と定められています。期限管理を怠ると更新時の不利な評価や行政処分の対象となります。

Q5. 解体工事業の登録から建設業許可(解体工事業)への切り替えを検討するタイミングは。

一つの目安は、(1)請負金額500万円以上の解体工事を継続的に受注する見込みがある、(2)進出先県が3県以上に広がる、(3)経審・入札参加資格を取得して公共工事に参入する予定がある、のいずれかに該当する場合です。解体登録は5年更新・各県独立のため、地理的拡大が進むほど更新・変更届の管理コストが累積します。一方、建設業許可(解体工事業)を取得すれば、知事許可であっても施工自体は全国で可能となり、営業拠点を二以上の都道府県に設置する場合は大臣許可へ切り替える(許可換え新規申請)という整理になります。

【記事のまとめに代えて】行政書士法人Tree|解体工事業の他都道府県進出・許可換え新規の書類作成

本記事で解説した解体工事業の他都道府県登録・営業所新設・許可換え新規申請について、当事務所では行政書士業務として、登録要件の整理、申請書類の作成、変更届の提出、入札参加資格申請の書類作成までを取り扱っております。進出先県との事前協議も実務上の重要ポイントとして対応しています。

料金プラン:解体工事業の登録 66,000円(税込)/建設業許可(解体工事業)110,000円(税込)/複数都道府県同時申請は件数に応じて別途お見積り。経審・入札参加資格・産廃収集運搬業許可も併せてご相談いただけます。

▶ 無料相談・お見積りはこちら

まとめ

登録の管轄区分の核心:建設リサイクル法第21条第1項の解体工事業の登録は、本店所在地ではなく「工事を行う都道府県」ごとに必要です。営業所がある県はもちろん、営業所はなく現場のみ入る県でも、500万円未満の解体工事を請け負うのであれば登録対象となります。建設業許可(解体工事業)を持っている場合は登録不要で、知事許可は全国施工可能、大臣許可は全国に営業所設置可能という整理です。

営業所新設と許可換え新規の核心:営業所を二以上の都道府県に置く状態になると、建設業許可は知事許可から大臣許可への許可換え新規申請が必要になります。許可換え新規は新規扱いで、有効期間は許可日から改めて5年間です。新設営業所には営業所技術者等の配置と常勤性立証が必要で、書類整備に時間がかかるため、進出スケジュールとあわせて逆算した準備が重要です。

経審・入札・産廃との連携の核心:進出先県の入札参加資格申請は経審のP点を前提に、自治体ごとに2年または3年の有効期間で別途行います。地元評価加点は進出直後では取得困難で、長期視点が必要です。解体工事に伴う産業廃棄物の運搬は、運搬経路に該当する都道府県ごとに収集運搬業許可が必要(自社運搬の例外あり)で、解体登録・建設業許可とは別系統で並行管理します。

標識・帳簿・変更届の核心:進出先で営業を始めた後は、建設リサイクル法第33条の標識掲示、第34条の帳簿備付(5年保存)、第25条の変更届(30日以内)といった法定義務を継続的に履行する必要があります。違反は罰金・登録取消し等の対象となり、その後の更新・他県申請にも影響が及びます。

当事務所では行政書士業務として、解体工事業の登録申請、建設業許可(解体工事業)の新規・許可換え新規申請、登録事項変更届・建設業許可変更届の作成、経審申請書類・入札参加資格申請書類の作成、産業廃棄物収集運搬業許可申請の作成までを取り扱っております。進出先県の窓口協議も含めてご相談いただけますので、他都道府県進出を検討中の方は当事務所の解体業LPまでお問い合わせください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree