公開日:2026-05-23
中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業者等が、A類型(生産性向上設備)・B類型(収益力強化設備)・D類型(経営資源集約化設備)・E類型(経営規模拡大設備)等の対象設備を取得・事業供用した場合、即時償却または税額控除7%(特定中小企業者等は10%)を選択できる税制です。C類型(デジタル化設備)は2025年(令和7年)4月1日をもって廃止され、代わりに売上高100億円超を目指す中小企業向けのE類型(経営規模拡大設備)が新設されました。適用期限は令和9年(2027年)3月31日までです。本記事では令和7年度税制改正を反映した現行制度を実務目線で解説します。
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目次
目次
- 中小企業経営強化税制とは
- 適用期限と令和7年度税制改正のポイント
- 経営力向上計画の認定
- 設備類型:A類型・B類型・D類型・E類型
- C類型(デジタル化設備)の廃止
- 対象設備と金額要件・対象外設備
- 即時償却・特別償却・税額控除の違い
- 申請手順と設備取得前の注意点
- 補助金・圧縮記帳との併用
- 業務範囲の整理
- FAQ・まとめ
1. 中小企業経営強化税制とは
中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出する中小企業者等で、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた特定事業者等が、対象設備を取得・製作・建設し、国内にある指定事業の用に供した場合に、即時償却または税額控除を選択できる税制です。
2. 適用期限と令和7年度税制改正のポイント
本税制の適用期限は、令和7年度税制改正により2年延長され、令和9年(2027年)3月31日までに取得し事業の用に供した設備が対象です。
令和7年度税制改正の主な変更点
- C類型(デジタル化設備)の廃止:令和7年4月1日以降は対象外
- E類型(経営規模拡大設備)の新設:売上高100億円超を目指す中小企業向け。建物及びその附属設備が対象
- B類型の投資利益率引上げ:従前の年平均5%以上から7%以上に
- A類型の生産性指標の見直し:単位時間当たり生産量、歩留まり率、投入コスト削減率等に限定
- 暗号資産マイニング業の用に供する設備等を対象外に
3. 経営力向上計画の認定
中小企業経営強化税制を適用するためには、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画を作成し、主務大臣の認定を受ける必要があります。原則として設備取得前に認定を受ける必要があります(例外的に設備取得後一定期間内の計画申請が認められる場合がありますが、期限管理が厳格なため設備発注前に税理士・認定支援機関・行政書士で確認します)。
4. 設備類型:A類型・B類型・D類型・E類型
| 類型 | 設備 | 主な要件 | 確認資料 |
|---|---|---|---|
| A類型 | 生産性向上設備 | 旧モデルと比較して、単位時間当たり生産量・歩留まり率・投入コスト削減率等の生産性指標が年平均1%以上向上する設備 | 工業会等の証明書 |
| B類型 | 収益力強化設備 | 投資計画における投資利益率が年平均7%以上となる設備(令和7年度改正で5%以上から引上げ) | 経済産業大臣の確認書 |
| D類型 | 経営資源集約化設備 | M&A等の経営資源集約化に伴い、修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上上昇する投資計画に係る設備 | 経済産業大臣の確認書 |
| E類型 | 経営規模拡大設備 | 売上高100億円超を目指す中小企業の投資計画に係る設備(平均投資利益率7%以上、経営規模拡大要件、給与支給額増加目標等) | 経済産業大臣の確認書 |
5. C類型(デジタル化設備)の廃止
C類型(デジタル化設備)は、令和7年度税制改正により2025年(令和7年)4月1日をもって廃止されました。同日以降に経営力向上計画の認定を受ける場合は、A類型・B類型・D類型・E類型から選定します。なお、令和7年3月31日以前にC類型で認定を受けていた計画については経過措置の有無を含め、最新の手引きで確認します。
6. 対象設備と金額要件・対象外設備
対象設備と金額要件
- 機械装置:160万円以上
- 工具、器具備品:30万円以上
- 建物附属設備:60万円以上
- ソフトウェア:70万円以上
- E類型の建物及びその附属設備:合計1,000万円以上
対象外設備
令和7年度改正により、暗号資産マイニング業の用に供する設備がA・B・D類型から除外されました。その他、一定の医療機器、電気販売用の発電設備、主要事業でないコインランドリー業用設備等、類型ごとに対象外となる設備があります。最新の税制手引きで確認します。
7. 即時償却・特別償却・税額控除の違い
A類型・B類型・D類型およびE類型のうち機械装置等
- 即時償却(取得価額の全額損金算入)
- または税額控除7%(資本金3,000万円以下等の特定中小企業者等は10%)
- 選択適用
E類型のうち建物及びその附属設備
- 特別償却15%(一定の特定建物等は25%)
- または税額控除1%(一定の特定建物等は2%)
- 即時償却ではなく特別償却となる点に注意
※税額控除には法人税額の20%相当額等の控除上限があります。みなし大企業、対象外業種、青色申告要件、指定事業該当性等により適用可否が変わるため、税理士による確認が必要です。
8. 申請手順と設備取得前の注意点
- 設備類型(A・B・D・E)の選定・対象設備要件の確認
- A類型では工業会等の証明書、B類型・D類型・E類型では経済産業大臣の確認書等について、設備取得前に申請・取得手続を進める
- 経営力向上計画を作成し、主務大臣へ認定申請
- 原則として経営力向上計画の認定後に設備を取得・事業供用
- 税務申告時に必要書類を添付して即時償却・特別償却または税額控除を適用
※工業会等の証明書は通常、設備メーカー等を通じて該当工業会等に発行を依頼します。取得時期・計画申請時期には例外・期限管理があるため、設備発注前に税理士・認定支援機関・行政書士で確認することが重要です。
9. 補助金・圧縮記帳との併用
ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金等で取得した設備についても、経営力向上計画の認定、対象設備要件、指定事業該当性、取得・事業供用時期、証明書・確認書の取得時期等を満たす場合には、中小企業経営強化税制の適用を検討できることがあります。
ただし、補助金の圧縮記帳、自己負担部分の取扱い、財産処分制限、他税制との重複適用制限、補助金公募要領上の制約があるため、必ず税理士に確認します。圧縮記帳と特別償却・税額控除の併用は税務計算が複雑で、組合せによって常に節税効果が大きくなるとは限らないため、税理士によるシミュレーションが必要です。
10. 業務範囲の整理
行政書士業務範囲
- 経営力向上計画の認定申請書類の作成
- 設備投資計画・事業内容・経営力向上の取組・実施時期等の書類整理
- 主務大臣への認定申請
- 補助金との併用検討に必要な書類整備
業務範囲外(連携先専門家)
- 経営強化税制の適用判定・税額計算、即時償却・特別償却・税額控除の選択、圧縮記帳、確定申告(税理士業務)
- B類型・D類型・E類型の投資利益率・修正ROA・有形固定資産回転率の事前確認書(税理士または公認会計士)
- A類型の工業会等証明書の発行(工業会等が発行主体。通常は設備メーカー経由)
- 給与支給額増加目標の労務面の整備(社会保険労務士)
11. FAQ|よくあるご質問
Q. C類型(デジタル化設備)は使えますか?
A. C類型(デジタル化設備)は2025年(令和7年)4月1日をもって廃止されました。同日以降に経営力向上計画の認定を受ける場合は、A類型・B類型・D類型・E類型のいずれかを選定します。
Q. 認定までの期間は?
A. 経営力向上計画の標準処理期間は概ね30日程度とされますが、設備類型、申請先、内容の修正、工業会等証明書や経済産業大臣確認書の取得状況により変動します。設備発注・取得時期との関係が重要なため、実務上は2〜3か月程度の余裕をもって準備することが望ましいです。
Q. 即時償却と税額控除どちらが有利?
A. A類型・B類型・D類型等では、即時償却は初年度の損金算入を大きくし資金繰り改善に寄与しやすく、税額控除は法人税額を直接減らす効果があります。ただし、欠損法人や法人税額が少ない法人では税額控除を使い切れない場合があります。また、E類型の建物及びその附属設備では即時償却ではなく特別償却15%または25%、税額控除1%または2%となるため、税理士によるシミュレーションが必要です。
Q. 補助金で取得した設備にも適用できますか?
A. 要件を満たせば適用可能ですが、補助金の圧縮記帳、自己負担部分の取扱い、財産処分制限、他税制との重複適用制限があるため、必ず税理士に確認します。
Q. 適用期限はいつまでですか?
A. 令和7年度税制改正により2年延長され、令和9年(2027年)3月31日までに取得し事業の用に供した設備が対象です。
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経営力向上計画の認定申請、対象設備・設備投資計画の整理、補助金との併用検討に必要な書類整備について、行政書士法人Treeへご相談ください。
まとめ
中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業者等が、対象設備を取得・事業供用した場合に即時償却または税額控除を選択できる税制です。適用期限は令和9年(2027年)3月31日までです。
令和7年度税制改正により、C類型(デジタル化設備)は2025年4月1日をもって廃止され、現行の設備類型はA類型(生産性向上設備)・B類型(収益力強化設備)・D類型(経営資源集約化設備)・E類型(経営規模拡大設備)の4類型です。B類型の投資利益率要件は従前の年平均5%以上から7%以上に引き上げられ、E類型は売上高100億円超を目指す中小企業向けに新設されました。
税制優遇は、A・B・D類型およびE類型のうち機械装置等は即時償却または税額控除7%(特定中小企業者等は10%)の選択適用、E類型のうち建物及びその附属設備は特別償却15%(一定の特定建物等は25%)または税額控除1%(一定の特定建物等は2%)となります。即時償却ではなく特別償却となる点に注意が必要です。
申請手順は、設備類型の選定、工業会等証明書(A類型)・経済産業大臣の確認書(B・D・E類型)の設備取得前申請、経営力向上計画の作成・主務大臣認定、認定後の設備取得・事業供用、税務申告での適用となります。補助金で取得した設備にも要件を満たせば適用可能ですが、圧縮記帳との併用は税務計算が複雑で常に有利とは限らないため、税理士によるシミュレーションが必須です。
当事務所では経営力向上計画の認定申請書類の作成、設備投資計画・事業内容の書類整理、補助金との併用検討に必要な書類整備について対応します。経営強化税制の適用判定・税額計算・即時償却/特別償却/税額控除の選択・圧縮記帳・確定申告は税理士、B・D・E類型の投資利益率事前確認書は税理士または公認会計士、A類型の工業会証明書は工業会等(通常は設備メーカー経由)、給与支給額増加目標の労務面整備は社会保険労務士の業務範囲となります。
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