ホームページの新規制作やリニューアルは、中小企業・小規模事業者にとって数十万円から数百万円規模の投資になります。「補助金が使えるらしい」と聞いて調べ始めたものの、制度ごとに対象範囲がまったく違い、しかも2026年の公募回で重要なルール変更が入っているため、ウェブ上に残る古い解説のまま資金計画を立てると計算が狂います。とくに小規模事業者持続化補助金では、ウェブサイト関連費の上限が第19回公募までの「補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)」から、第20回公募では「30万円(税込)」へと変更されました。本記事では、ホームページ制作・リニューアルに実際に使える補助金を整理したうえで、公募要領の記載に基づいて補助対象になる費用・ならない費用を実務目線で解説します。
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目次
ホームページ制作・リニューアルに補助金を使うときの全体像
「ホームページ制作の補助金」と一括りに語られがちですが、実際には目的の異なる複数の制度があり、どれを使うかによって補助対象として認められる費用の範囲がまったく変わります。まず全体像を押さえてください。
| 制度 | ホームページ費用の位置づけ | おおまかな規模感 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> | 「ウェブサイト関連費」として明示的に補助対象。ただし補助金交付申請額の上限は30万円(税込) | 補助上限50万円(特例上乗せで最大250万円)・補助率3分の2 |
| 小規模事業者持続化補助金<創業型> | 同上(経費区分・上限の考え方は一般型と同じ) | 補助上限200万円(インボイス特例で250万円)・補助率3分の2 |
| デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金) | 補助対象は事務局に登録されたITツールの導入費用。情報発信目的のサイト制作費そのものを計上する枠組みではない | 通常枠 5万円〜450万円・補助率2分の1以内(要件により3分の2以内) |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 「広告宣伝・販売促進費」の中で、補助事業のPR等に係るウェブサイト構築が対象 | 枠により補助下限100万円〜750万円、上限750万円〜9,000万円 |
| 自治体独自の補助金 | ホームページ作成費を直接対象とする制度を設けている市区町村・都道府県がある | 数万円〜数十万円規模が中心 |
この中で、中小企業・小規模事業者がホームページ制作に最も使いやすいのが小規模事業者持続化補助金です。公募要領に「ウェブサイト関連費」という経費区分が独立して設けられており、サイトの制作・更新が正面から補助対象と位置づけられているためです。以下では持続化補助金を軸に解説し、後半で他制度との使い分けを整理します。
制度をまたいで共通する3つの大原則
制度が違っても、次の3点はほぼ共通します。とくに交付決定前の発注・契約・支払いは、多くの制度で補助対象外となります。
- 交付決定前の発注・契約・支払いは補助対象外。「採択された」だけでは着手できません。採択発表のあとに交付申請を行い、交付決定通知書を受け取ってから発注するのが原則です。持続化補助金の公募要領も、補助対象外経費として「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」を明記しています。
- 補助金は後払い(精算払い)。制作費はいったん全額を自己資金または借入で支払い、実績報告・確定検査を経てから補助金が振り込まれます。資金繰りの計画が必要です。
- 単なる会社案内・求人目的のサイトは通りにくい。持続化補助金は「販路開拓等の取組」を支援する制度であり、公募要領も「単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費」を補助対象外としています。誰に何を売るためのサイトなのかを事業計画で示せることが前提です。
交付決定前着手の禁止については、ものづくり補助金の交付決定前着手の禁止|発注・契約・支払いのNGタイミングと準備行為でも詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。
小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回の基本情報とウェブサイト関連費の上限変更
小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>は、小規模事業者等が経営計画に基づいて行う販路開拓等の取組を支援する制度です。商工会地区・商工会議所地区それぞれの事務局が運営し、申請にあたっては地域の商工会・商工会議所から事業支援計画書(様式4)の発行を受ける必要があります。
補助上限額と補助率
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限(基本) | 50万円 |
| 補助率 | 3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3) |
| インボイス特例 | 補助上限に50万円上乗せ |
| 賃金引上げ特例 | 補助上限に150万円上乗せ |
| 両特例を満たす場合 | 補助上限に200万円上乗せ(最大250万円) |
補助対象者は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で常時使用する従業員5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業および製造業その他で20人以下の小規模事業者等です。一定要件を満たす特定非営利活動法人も対象になり得ますが、一般社団法人・医療法人・社会福祉法人・農事組合法人などは補助対象外とされています。
インボイス特例・賃金引上げ特例の詳細は、持続化補助金のインボイス特例|免税事業者からの転換・上乗せ50万円の要件および持続化補助金の賃金引上げ枠|事業場内最低賃金+50円・赤字事業者の補助率引上げで解説しています。
第20回公募のスケジュール
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募要領公開 | 2026年5月27日(水) |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木)(2026年9月15日時点で受付開始前) |
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
| 採択発表(予定) | 2027年3月頃 |
| 見積書等の提出期限 | 2028年2月29日 |
| 補助事業実施期限 | 2028年3月31日(金) |
注意すべきは、様式4の発行受付締切(12月4日)が申請締切(12月15日)よりも先に来る点です。公募要領は「受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません」と明記しています。ホームページのリニューアルを検討している段階で商工会・商工会議所への相談を始めておかないと、間に合いません。
また、交付決定は採択発表からおおむね1〜2か月かかる場合があるとされています。第20回で採択された場合、実際に制作会社へ発注できるのは2027年春以降になる見込みです。「今すぐサイトを作り替えたい」という案件と補助金のスケジュールは、しばしば噛み合いません。ここは最初に依頼者と共有しておくべき現実的な論点です。
ウェブサイト関連費の上限が「30万円(税込)」に変更された
本記事で最も重要な変更点です。第19回公募の公募要領では、ウェブサイト関連費について「補助金交付申請額の1/4(最大50万円)が、当経費の申請額の上限です」と定められていました。ところが第20回公募では、この記載が「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です」に改められています。
この変更には2つの実務的な意味があります。
- 割合制限がなくなり、定額の上限になった。第19回までは「補助金交付申請額の4分の1」という割合制限があったため、特例を使わず補助金50万円を申請する事業者は、ウェブサイト関連費に充てる補助金額が12万5,000円までに限られていました。第20回はこの割合制限が撤廃され、一律30万円(税込)が上限です。つまり補助上限50万円のみ・インボイス特例のみで申請する事業者にとっては枠の拡大、賃金引上げ特例などで補助上限が大きい事業者にとっては縮小(従来の最大50万円から30万円へ)という、方向の異なる2つの影響があります。特例で補助上限が250万円になっても、ウェブサイト関連費として申請できる補助金額は30万円で頭打ちです。
- 広報費にも同じく30万円(税込)の上限が新設された。第19回の公募要領では広報費に金額上限の定めがありませんでしたが、第20回では広報費も「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)」とされ、あわせて「広報費のみによる申請はできません」という条件も加わりました。
補助率3分の2を前提に単純計算すると、ウェブサイト関連費として計上できる補助対象経費はおおむね45万円が目安となります。ただし消費税等の取扱い(後述)によって税抜・税込のどちらで計上するかの前提が変わりますので、実際の計上額は最新の公募要領と事務局・商工会等への確認によって確定させてください。
インターネット上には「持続化補助金なら4分の1・最大50万円までウェブサイトに使える」と書かれた解説が今も多数残っています。これは第19回までの取扱いです。第20回で申請する方は、必ず第20回の公募要領で確認してください。
ウェブサイト関連費「だけ」では申請できない
もう一つの重要な制約が、これも第19回から引き続き設けられている「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」というルールです。
つまり「ホームページを作りたいだけ」では持続化補助金の申請自体が成立しません。持続化補助金の経費区分は、①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費の8区分です。ホームページ制作を計画に入れるなら、たとえば新商品のパッケージ開発(⑥)、展示会出展(④)、チラシ・カタログ制作(②)、店舗改装(⑧)などと組み合わせ、販路開拓の一連の取組としてストーリーを組み立てる必要があります。第20回では広報費も単独申請不可となりました。もっとも公募要領はいずれについても「必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と記すのみで、「サイト+チラシ」のようにウェブサイト関連費と広報費だけを組み合わせた申請が認められるかは明示されていません。この構成を検討する場合は、事前に事務局または商工会・商工会議所へ確認してください。
採択率の目安
中小企業庁の発表によれば、第19回公募では申請16,576件に対し7,819件が採択されました(2026年7月29日公表)。単純計算で採択率は約47%です。決して「出せば通る」水準ではなく、事業計画の説得力が採否を分けます。事業計画書の書き方については持続化補助金【第20回】様式2・様式3の書き方|記載例と補助上限・電子申請を参照してください。
補助対象になるホームページ関連の費用
ここからが本題です。第20回公募要領が「対象となる経費例」として挙げているもの、および経費区分の切り分けを整理します。
ウェブサイト関連費で計上するもの
ウェブサイト関連費は「販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費」と定義されています。公募要領が対象例として挙げているのは次のとおりです。
- 商品販売のためのウェブサイト作成や更新
- 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策
- 商品販売のためのウェブサイトに掲載する宣材写真の制作費用
- ウェブサイトに掲載する商品・サービスを販売するための画像や動画作成費用
- オフラインを含むシステム開発、顧客管理システムの構築、アプリケーション開発
- 業務効率化のためのソフトウェア
- 販路開拓等のための特定業務用ソフトウェア(設計用3次元CADソフト、販促活動に役立てる顧客管理ソフト等)。ただしPOSソフトは補助事業計画「Ⅰ.補助事業の内容」の「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」に記載した場合に限る
実務的に押さえておきたいのは、SEO対策が「効果や作業内容が明確な」ものに限って対象例に挙げられている点です。月額いくらで内容が判然としない「SEOコンサル顧問料」のような契約は、成果物や作業内容を証憑で示せず、実績報告の段階で否認されるリスクがあります。作業項目・工数・成果物が特定できる見積と契約にしておくことが重要です。
また、サイトに載せる写真・動画の制作費が対象例に含まれている点も見落とされがちです。商品撮影やサービス紹介動画の外注費は、ウェブサイト関連費として計上できる余地があります。
広報費で計上するもの(区分の切り分けに注意)
第20回で見落としやすいのが、ウェブ関連の費用でも広報費に区分されるものがあることです。第19回ではインターネット広告やSNS広告がウェブサイト関連費の対象例に置かれていましたが、第20回ではこれらが広報費の対象例に移されています。第20回の広報費の定義自体も「パンフレット・ポスター・チラシ・インターネット広告・SNS広告等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費」と改められました。
- インターネット広告、バナー広告の実施
- SNS広告、運用代行費
- インターネットでのプレスリリース配信
- 郵送、インターネットを介したDMの発送
- 電子パンフレット作成
- 街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告への掲載
- 商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成
ただし公募要領は広報費の注記として「自社ホームページや、ECサイトにて使用する動画や写真の制作費用等については、③ウェブサイト関連費にて計上してください」としています。同じ写真・動画でも、自社サイト・ECサイトに載せるものはウェブサイト関連費、それ以外の広報媒体で使うものは広報費という切り分けです。広報費・ウェブサイト関連費はそれぞれ30万円(税込)の上限があるため、どちらに計上するかで申請できる補助金額が変わります。経費明細表を作る前に区分を確定させてください。
判断の軸は一貫して「販路開拓」
対象・対象外の判断で迷ったときは、「その費用は、経営計画で示した販路開拓の取組に直接必要か」に立ち返ってください。補助対象経費の条件は、公募要領上、①使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費、②交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費、③証憑資料等によって支払金額が確認できる経費、の3つをすべて満たすものと定められています。この3条件に照らして説明できない費用は、区分の議論以前に計上できません。
補助対象にならないホームページ関連の費用
次に、対象外となる費用です。ここを知らずに見積を取ると、後で計画の組み直しが必要になります。
ウェブサイト関連費の区分固有の対象外
第20回公募要領が「対象とならない経費例」として挙げているものは次のとおりです。
- ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用
- 電子書籍の出版に係る費用(新商品開発費でも対象外)
- 販売を目的としたシステムやソフトウェア開発(新商品開発費でも対象外)
- 家庭および一般事務用ソフトウェア
- 既に導入しているソフトウェアの更新料
- 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ
- 有料配信する動画の制作費
- 有料の講座で使用する動画や電子教材の作成
- ウェブサイトに使用する画像等における被写体や商品(紹介物等を含む)の購入に係る費用
とくに重要なのが次の3点です。
第一に、ウェブサイトやシステムに関するコンサルティング・アドバイス費用は対象外です。制作会社の見積に「ディレクション費」「コンサルティング費」といった名目が含まれている場合、内容によっては否認される可能性があります。何の作業に対する対価なのかを見積書上で明確にしておく必要があります。
第二に、補助事業期間内に運用に至らなかったサイト・LPは対象外です。制作が完了しても公開・運用開始が事業期間を過ぎれば、その費用は補助対象になりません。制作会社との契約では、納品日ではなく「補助事業期間内に公開する」ことをスケジュールに落とし込んでください。
第三に、既存ソフトウェアの更新料は対象外です。すでに使っているCMSやプラグインのライセンス更新費用を計上することはできません。なお、契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権を購入する場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみが補助対象となります。
全区分に共通する対象外経費
経費区分ごとの記載に加え、公募要領には全区分共通の補助対象外経費が定められています。ホームページ制作に関係するものを抜き出します。
- 交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの
- 他社の商品を宣伝するためのHP制作費(「他社のために実施する経費」として明示的に対象外)
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費
- 自社内部やフランチャイズチェーン本部との取引によるもの
- 社内の役員・従業員や代表者・役員の親族(3親等以内)へ発注しているもの、あるいは代表者・役員の親族(3親等以内)が代表または役員に就いている事業者へ発注しているもの。財務諸表等規則第8条で定義されている親会社、子会社、関連会社および関係会社へ発注しているもの
- 公租公課(消費税・地方消費税は、免税事業者・簡易課税事業者・2割特例の申請者が消費税等を補助対象経費に含めて交付申請し、その内容で交付決定を受けた場合を除き対象外)
- 金融機関などへの振込手数料、インターネットバンキング利用料、インターネットショッピング決済手数料等
- 商品券・金券の購入、クーポン・ポイントでの支払い、小切手・手形・相殺による決済
- 役員報酬、直接人件費
- 売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用(成果報酬型のSEO対策・広告運用契約などが該当し得ます)
- 1取引10万円(税抜)を超える現金支払
- 補助金応募書類・実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用
- 必要な経理書類(見積書・請求書・領収書等)を用意できないもの
ウェブ制作の現場でとくに事故が多いのが、関係者への発注です。「社長の息子がウェブ制作をしているので発注した」「グループ会社の制作部門に作らせた」といったケースは、いずれも公募要領上の対象外類型に真正面から当たります。制作会社を選ぶ段階で、資本関係・親族関係の有無を必ず確認してください。
また、通信費が対象外とされている点も重要です。レンタルサーバー代・ドメイン維持費については、ウェブサイト関連費の定義に「運用」が含まれる一方で、共通の対象外経費には通信費が挙げられています。どこまでを計上できるかは個別の判断になりますので、見積の段階で事務局または商工会・商工会議所に確認しておくのが確実です。
消費税の取扱いは税理士に確認を
消費税・地方消費税は原則として補助対象外です。免税事業者・簡易課税事業者・2割特例の適用事業者については、消費税等を補助対象経費に含めて申請し、その内容で交付決定を受けた場合に限り例外的に取り扱われます。自社がどの区分に当たるか、経費を税抜・税込のどちらで計上すべきかは税務上の判断を伴いますので、必ず税理士にご確認ください。補助金を受け取った場合の課税関係の全体像については、補助金に税金はかかる?|消費税不課税・法人税法42条圧縮記帳・所得税法42条総収入金額不算入・インボイス・住民税国保への影響もあわせてご覧ください。
50万円(税抜)以上のサイト制作は「処分制限財産」になる
見落とされやすいのが、補助金を受けた後の制約です。持続化補助金の公募要領は、ウェブサイトおよびシステムを50万円(税抜)以上の費用で作成・更新する場合、当該ウェブサイトおよびシステムは「処分制限財産」に該当すると定めています。
処分制限財産に該当すると、補助事業が終了し補助金の支払を受けた後であっても、一定の期間(通常は取得日から5年間)は処分(補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等)が制限されます。処分制限期間内に処分する場合は、事前に補助金事務局へ承認を申請し、承認を受けなければなりません。承認に際しては、残存簿価等から算出される金額の返還として、交付を受けた補助金の全部または一部に相当する金額の納付を求められることがあります。承認を得ずに処分すれば、交付規程違反として補助金交付取消・返還命令(加算金付き)の対象になります。
ホームページで言えば、「補助金で作ったサイトを2年後に別のコンセプトで全面的に作り替える」「事業をやめてサイトを閉鎖する」「サイトごと事業譲渡する」といった行為が処分に該当し得るということです。ただし公募要領は、「補助金の交付を受けた補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化は、補助金事務局への事前承認申請等が必要となる『処分』には該当しません」とも明記しています。通常の運用の中での改善・機能追加まで縛られるわけではありません。
財産処分の承認手続の実務は補助金の財産処分承認申請|処分制限期間内の売却・廃棄・目的外使用の手続で解説しています。50万円以上のサイトを作る場合は、着手前に5年間の制約があることを社内で共有しておいてください。
創業1年以内の事業者・ITツール導入を検討する事業者の選択肢
小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回
創業して間もない事業者には、一般型とは別に<創業型>が用意されています。第4回公募の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 200万円(インボイス特例対象事業者は50万円上乗せで最大250万円) |
| 補助率 | 3分の2 |
| 対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費(一般型と同じ8区分) |
| 公募要領公開 | 2026年5月27日(水) |
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00 |
| 様式4発行の受付締切 | 原則2026年12月4日(金) |
申請要件は、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した特定創業支援等事業による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が、公募締切時から起算して過去1か年の間であることです。法人の場合は代表者本人、個人事業主の場合は本人が支援を受けている必要があり、役員や従業員、家族専従者が受けた場合は対象外とされています。
創業型でもウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で、単独申請不可のルールも同じです。補助上限が200万円と大きいぶんサイトに多く配分できる、ということにはならない点に注意してください。詳細は小規模事業者持続化補助金<創業型>|創業後1年以内の要件・補助上限200万円・特定創業支援等事業で解説しています。
デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)
2026年度から、IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わりました。正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」です。申請枠は通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。
通常枠の補助対象経費はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が必須で、オプションとして機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ、役務として導入コンサルティングや導入設定・保守サポート等が対象です。補助率は2分の1以内(令和6年10月から令和7年9月までの間で、当該期間における地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は3分の2以内)、補助額は5万円〜150万円未満(1プロセス以上)、150万円〜450万円以下(4プロセス以上)です。
ここで押さえるべき最大のポイントは、補助対象経費が「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」に限定されていることです。さらに、選択するITツールは「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」「供給・在庫・物流」「会計・財務・経営」「総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務」「その他業種固有のプロセス」といった業務プロセスを1種類以上含む必要があります(汎用プロセスのみのツールは単独では交付申請できません)。
つまり、この制度は業務プロセスを効率化するソフトウェアの導入を支援する枠組みであり、情報発信を目的とするコーポレートサイトの制作費そのものを計上する制度設計にはなっていません。予約管理・受発注・顧客管理といった機能を持つ登録ITツールを導入する場合には対象になり得ますが、その場合でも補助対象は登録されたITツールの導入費用です。「ホームページを作りたい」という目的から入ると、制度選択を誤ります。
スケジュールは締切回ごとに設定されます。事務局が公表している通常枠等の5次締切分は、締切日2026年9月29日(火)17:00、交付決定日2026年11月9日(月)予定、事業実施期間は交付決定から2027年4月30日(金)17:00まで(予定。事業実績報告期限も同日)です。続く6次締切分は締切2026年10月30日(金)17:00・交付決定2026年12月10日(木)予定、7次締切分は締切2026年12月1日(火)17:00・交付決定2027年1月19日(火)予定と公表されています(2026年9月15日時点。8次以降は未公表)。日程は変更される場合がありますので、申請前に必ず事務局サイトで最新の日程をご確認ください。制度の詳細はIT導入補助金2026の通常枠|A・B類型廃止後の補助額・補助率・ITツール登録要件およびデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)申請サポート|補助対象経費・申請の流れをご覧ください。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の「広告宣伝・販売促進費」
設備投資を伴う規模の大きい取組では、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が選択肢になります。これは新事業進出補助金とものづくり補助金が統合された制度で、第1回公募が2026年6月29日に開始されました。申請受付は2026年9月30日(水)に開始予定で(2026年9月15日時点では受付開始前)、応募締切は2026年10月30日(金)18:00、採択発表は2027年1月頃(予定)です。日程は変更される場合がありますので、申請前に必ず事務局サイトでご確認ください。
枠は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つです。革新的新製品・サービス枠は補助下限100万円・補助上限750万円〜2,500万円(賃上げ特例適用時は850万円〜3,500万円)、新事業進出枠とグローバル枠は補助下限750万円・補助上限2,500万円〜7,000万円(同3,000万円〜9,000万円)と、いずれも従業員規模に応じて設定されています。
この制度でホームページ費用が計上されるのは「広告宣伝・販売促進費」です。公募要領は同区分の内容を「補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費」と定めています。機械装置・システム構築費の注記でも「補助事業のPR等に係るウェブサイトに係る経費は、『広告宣伝・販売促進費』となります」と、区分が明示されています。
ただし、次の制約があります。
- 広告宣伝・販売促進費の上限は「事業計画期間1年当たりの、補助事業で新たに製造等する製品等の売上高見込み額(税抜)の5%」。計算式は「事業計画期間内の補助事業における売上見込み額合計 ÷ 事業計画年数 × 5%」とされています。
- 100万円(税抜)以上のウェブサイト構築費を計上する場合、実績報告時に開発費用算出資料(作業単価、作業工数および作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録等)の提出が必要です。
- 金額にかかわらず、複数者からの見積もりおよび価格の妥当性が確認できる証憑の提出が必要です。
- 補助事業実施期間内にウェブサイトが公開されることが必要で、交付決定後の発注・契約が前提です。
- 補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や、会社全体のPR広告に係る経費は対象外です。
最後の点は決定的です。この制度で認められるのは、あくまで補助事業で新たに手がける製品・サービスをPRするためのサイトであり、会社全体のコーポレートサイトのリニューアルは対象になりません。統合前の新事業進出補助金(第4回公募時点の制度内容。同公募は2026年6月19日に締切済み)については中小企業新事業進出補助金(新事業進出促進補助金)申請代行|事業再構築補助金後継・最大9,000万円・第4回公募中で整理しています。
なお、ものづくり補助金の第23次公募は2026年5月8日17:00で受付を終了しています。「ものづくり補助金でホームページを」と検討していた方は、統合後の新制度に切り替えて計画を組み直してください。
制作会社と契約する前に確認すべき実務チェックポイント
ここまでの内容を、実際にウェブ制作会社と話を進める段階のチェックリストにまとめます。
- 着手のタイミング…交付決定通知書を受け取る前に、発注書・契約書・注文請書を交わしていないか。前払金の支払いも「支払い」に当たります。制作会社から「先に着手して、採択されたら精算しましょう」と提案されても応じてはいけません。
- 見積の粒度…「サイト制作一式 80万円」ではなく、設計・デザイン・コーディング・CMS構築・撮影・SEO対策といった内訳を明示してもらう。公募要領も「見積金額に複数の項目が含まれる場合は、その内訳を示してください」「支出内容が不明確なものは認められません」としています。コンサルティング費・アドバイス費が混ざっていないかも要確認です。
- 相見積の要否…持続化補助金では、採択発表後、交付決定までに価格の妥当性を証明できる見積書等(相見積を含む)の提出が求められます。第20回公募要領は「発注先選定の相見積」として、発注総額(1件あたり)が50万円超(税込)となるものは、経費区分を問わず2者以上から見積を取り、より安価な発注先(委託先)を選ぶことを求めています。サイト制作費が50万円(税込)を超えるなら、相見積は「安全のため」ではなく必須です。公募要領は相見積を必ず補助事業者自身が別々の企業から取得するよう求めていますので、制作会社に他社見積の手配を任せることは避けてください。発注(委託)する事業内容の性質上、見積を取ることが困難な場合は、随意契約の対象とする理由書を採択発表後交付決定までに提出することとされています。
- 発注先の関係性…自社内部、フランチャイズ本部、役員・従業員、代表者・役員の3親等以内の親族、親会社・子会社・関連会社への発注になっていないか。
- 公開日のコミット…補助事業期間内に公開・運用開始できるスケジュールか。契約書に公開予定日を明記しておくと実績報告時の説明が容易になります。
- 証憑の6点セット…見積書・発注書(契約書)・納品書・検収書・請求書・支払を証する書類がそろうか。支払は銀行振込が大原則です。1取引10万円(税抜)を超える現金払いは補助対象外とされ、代表者や従業員の個人クレジットカードでの支払いも、立替払いとして帳簿等で確認できなければ補助対象外になります。詳しくは補助金の実績報告書の証憑整理|見積・発注・納品・検収・請求・支払の6点セットをご覧ください。
- 成果物の確認資料…実績報告時には成果物が分かる資料の提出が必要です。公開後のサイトのスクリーンショットやURL、作業報告書を制作会社から受け取れるよう契約に織り込んでおきます。
- 事業効果報告の義務…持続化補助金では、補助事業終了後1年経過時点の状況を報告する義務があります。これを提出していないと次回以降の申請ができません。
補助事業期間中の実務全般は持続化補助金の補助事業期間と実績報告|発注から支払い・証憑整理の実務、交付決定通知書の読み方は補助金の交付決定通知書の読み方|交付決定後に確認する金額・条件・注意点で解説しています。
よくある質問
コーポレートサイトのリニューアルだけで持続化補助金を申請できますか
できません。第20回公募要領は「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と定めています。加えて、補助対象事業は「販路開拓等のための取組」である必要があり、単なる会社のPRや営業活動に活用されるものは補助対象外とされています。新商品・新サービスの販路開拓という文脈の中に、サイト制作を位置づけられるかが分かれ目です。
ドメイン代・レンタルサーバー代は補助対象になりますか
ウェブサイト関連費の定義には「運用」が含まれる一方、全区分共通の補助対象外経費として「電話代、インターネット利用料金等の通信費」が挙げられています。また、契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権については按分等の方式で補助事業期間分のみが対象とされています。個別の費目がどちらに整理されるかは判断が分かれ得るため、見積段階で事務局または商工会・商工会議所に確認してください。
すでに制作会社と契約してしまいました。あとから補助金を申請できますか
交付決定前に発注・契約・購入・支払いを実施したものは補助対象外です。これは持続化補助金でもデジタル化・AI導入補助金2026でも共通するルールで、例外は持続化補助金における展示会等への出展申込み(請求書の発行が交付決定日以後であることが必要)などごく限られています。契約済みの案件を後から補助対象にすることはできません。
ホームページの補助金は「助成金」とは違うのですか
補助金は予算の範囲内で審査を経て採択されるものであり、要件を満たせば原則支給される助成金とは性質が異なります。なお、キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金・業務改善助成金などの雇用関係助成金の申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。当事務所が承れるのは、経済産業省系・地方自治体系など行政書士業務の範囲内の補助金に限られます。雇用関係助成金については社会保険労務士または管轄の労働局へご相談ください。両者の違いは補助金と助成金の違い|2026年版・申請代行を行政書士と社労士のどちらに頼むべきかで整理しています。
自治体のホームページ作成補助金はありますか
市区町村や都道府県が独自にホームページ作成費の補助制度を設けている例があります。ただし年度ごとに予算・要件・受付期間が変わり、先着順で締め切られる制度も少なくありません。所在地の自治体の産業振興担当課、商工会・商工会議所、ミラサポplusやJ-Net21などの公的な情報サイトで、最新の公募状況を直接確認してください。国の補助金と自治体の補助金を同一の経費に重複して充てることは原則としてできませんので、併用可否も必ず事前に確認が必要です。
申請にはGビズIDが必要ですか
持続化補助金の申請は電子申請システムのみで受け付けられ、GビズIDプライムのアカウントが必要です。郵送申請は一切受け付けられません。アカウント取得には数週間程度を要する場合がありますので、申請受付開始(2026年11月5日)に間に合うよう早めに準備してください。なお、行政書士等の第三者にGビズIDのアカウント・パスワードを開示することは利用規約違反とされています。また、第三者の支援を受けた場合は、様式2の確認事項にその相手方と支援に係る金額(着手金・成功報酬など名目を問わず)を記載しなければ、虚偽の報告として不採択・交付決定取消となります。取得手順はGビズIDプライムの取得方法|2要素認証・マイナンバーカード・書類申請の手続きで解説しています。
補助金の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、公募要領の要件確認から事業計画書・申請書類の作成、交付決定後の各種手続まで、完全成果報酬型・着手金0円・成功報酬8〜15%・不採択時は完全無料でサポートします。ご相談は何度でも無料です(採択を保証するものではありません)。
まとめ
ホームページ制作・リニューアルに最も使いやすいのは小規模事業者持続化補助金です。ただし第20回公募では、ウェブサイト関連費の上限が第19回までの「補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)」から「30万円(税込)」の定額に変更されました。広報費にも同じく30万円(税込)の上限が新設されています。割合制限が撤廃されたため、補助上限50万円のみの事業者は枠が広がり、賃金引上げ特例を使う事業者は逆に縮小します。旧ルールの解説のままでは資金計画の計算が狂います。
補助対象になるのは、商品販売のためのサイト作成・更新、効果や作業内容が明確なSEO対策、サイトに掲載する宣材写真・動画の制作費、顧客管理システムやアプリケーションの開発などです。一方、サイトやシステムに関するコンサルティング・アドバイス費用、既存ソフトウェアの更新料、補助事業期間内に運用に至らなかったサイト・LPは対象外とされています。見積書の名目ひとつで結論が変わるため、契約前の内訳確認が欠かせません。
制度共通の落とし穴は交付決定前の発注・契約・支払いです。さらに、役員・従業員・3親等以内の親族や関連会社への発注、通信費、消費税(免税事業者等を除く)も対象外とされています。50万円(税抜)以上のサイトは処分制限財産に該当し、通常は取得日から5年間、事務局の承認なく廃棄・譲渡等ができません。
制度選択も重要です。デジタル化・AI導入補助金2026は事務局に登録されたITツールの導入費用が対象で、情報発信目的のサイト制作費を計上する制度ではありません。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の広告宣伝・販売促進費では、補助事業のPRに係るウェブサイト構築が対象となる一方、会社全体のPR広告は対象外で、上限は新製品等の売上見込み額の5%に制限されます。目的とサイトの性格に合った制度を選ばなければ、そもそも対象になりません。
行政書士法人Treeでは、行政書士法第1条の3に基づく官公署提出書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成として、公募要領の要件確認、事業者さまご自身が検討された経営計画・補助事業計画の書面化、経費明細の整理、交付申請・実績報告に関する書類作成をお手伝いしています。ホームページのリニューアルを検討している段階でご相談いただければ、どの制度で、どの費用を、いつ発注すれば補助対象になるかを、公募要領に沿って一緒に組み立てられます。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


